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アニメキャラ・バトルロワイヤル 作品投下スレ11

1 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/15(日) 22:30:49 ID:ACuz0m3K
ここは
「アニメ作品のキャラクターがバトルロワイアルをしたら?」
というテーマで作られたリレー形式の二次創作スレです。

参加資格は全員。
全てのレスは、スレ冒頭にあるルールとここまでのストーリー上
破綻の無い展開である限りは、原則として受け入れられます。

「作品に対する物言い」
「感想」
「予約」
「投下宣言」

以上の書き込みは雑談スレで行ってください。
sage進行でお願いします。

現行雑談スレ:アニメキャラ・バトルロワイアル感想雑談スレ17
http://anime2.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1176643347/l50



【基本ルール】
 全員で殺し合いをしてもらい、最後まで生き残った一人が勝者となる。
 勝者のみ元の世界に帰ることができる。
 ゲームに参加するプレイヤー間でのやりとりに反則はない。
 ゲーム開始時、プレイヤーはスタート地点からテレポートさせられMAP上にバラバラに配置される。
 プレイヤー全員が死亡した場合、ゲームオーバー(勝者なし)となる。

【スタート時の持ち物】
 プレイヤーがあらかじめ所有していた武器、装備品、所持品は全て没収。
 ただし、義手など体と一体化している武器、装置はその限りではない。
 また、衣服とポケットに入るくらいの雑貨(武器は除く)は持ち込みを許される。
 ゲーム開始直前にプレイヤーは開催側から以下の物を支給され、「デイパック」にまとめられている。
 「地図」「コンパス」「筆記用具」「水と食料」「名簿」「時計」「ランタン」「ランダムアイテム」

 「デイパック」→他の荷物を運ぶための小さいリュック。詳しくは別項参照。
 「地図」 → MAP-Cのあの図と、禁止エリアを判別するための境界線と座標が記されている。
 「コンパス」 → 安っぽい普通のコンパス。東西南北がわかる。
 「筆記用具」 → 普通の鉛筆と紙。
 「水と食料」 → 通常の成人男性で二日分。
 「名簿」→全ての参加キャラの名前がのっている。
 「時計」 → 普通の時計。時刻がわかる。開催者側が指定する時刻はこの時計で確認する。
 「ランタン」 → 暗闇を照らすことができる。
 「ランダムアイテム」 → 何かのアイテムが1〜3個入っている。内容はランダム。


【バトルロワイアルの舞台】
ttp://blogimg.goo.ne.jp/user_image/5f/34/617dc63bfb1f26533522b2f318b0219f.jpg

まとめサイト(wiki)
http://www23.atwiki.jp/animerowa/

2 :ワッペン:2007/04/17(火) 14:44:57 ID:rutTbJd+
         _,__
     /::::::::::::::::::::::::::ヽ オッス、またオレが>>2ゲットか
   /:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::.\
  /`.:::::::::::::::/゛`〜、:::::::::::::\ アニメ枠がまた増えたな
 / / ^ヽ:::l`    \::::::::::::::ヽ これが何を意味してるかわかるか!
  . /   ヽl  ヽ   \::::::::::::l
  !  _    _     \:::::::l くだらないザコ番組に置き代わって
  、 /`  ヽ ./ 。  \    \::l 台頭してきたニューヒーローどもだz
  ヽ 、 。ン ヽ   ノ   ゙’(6j 
   ヽ ̄  ’’   ̄    _∪ ようやくオレたちの熱意が伝わったってきたな
   ヽ   0        ノ   ついでにオレの熱いベーゼはどうだ!
    .`、        _/
   .  .`-.    .r°ハハハハハ、冗談はさておき、後はおまえらに任せたぞ
            但し御堂志津歌だけは譲れねえからな(@_@)

3 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/23(月) 22:19:38 ID:B1DEd9De
まず海について考えてみよう
素早さ、獰猛さにおいて、シャチはクジラに勝てるであろう
しかしシャチも、10m級のダイオウイカに10本の足で絡みつかれ、そのまま絞め殺されてしまうだろう
ではダイオウイカが一番強いのか? 否、GARAGOYLES(ガーゴイルズ)のゴライアスは素手で10本の足を引きちぎり、そのままダイオウイカの体全てを粉々に引きちぎる!
よって海ではゴライアスが最強である

次に新宿について考える
ここでは冴羽寮とパイソン2のパイソンの一騎打ちになるであろう
犯罪組織に密輸されたパイソンが、空輸中に脱走。
一方、冴羽は美女を求めて、地下下水道に現れる。60cmの水を張ったところで対決。
冴羽のパイソン銃撃、これがホントのパイソンが決まる・・・が、爆弾も通じないパイソンに力が足りない・・・
パイソンの反撃、その巨体により、体を締め上げられ丸呑みにされる冴羽・・・勝敗はパイソンにあがった
ではパイソンが一番強いのか? 否、ゴライアスは巨体の攻撃を2本の腕でがっしとうけとめ、そのまま千切る!
よって、新宿ではゴライアスが最強である

最後に空き地について考えてみよう
ジャイアン、ブタゴリラ、ゴリライモ・・・数々の強力な獣がいるが、三人とマウンテンゴリラをピックアップする
ゴリラの突進を華麗にかわし、反撃として殴りににかかる三人。だが、ゴリラの圧倒的なパワーに振りほどかれた
そしてひるんだ三人にゴリラの突撃が再び! 三人はハンマーパンチで全身の骨を砕かれ即死となる
ではゴリラが一番強いのか? 否、ゴライアスはゴリラの突進をかわそうともせず、真っ向から突進で対抗し、ゴリラを吹き飛ばす! ゴリラ即死!!
よって、荒野ではゴライアスが最強である




今回の考察は私個人の見解であり、反対意見がある方もいるであろう
しかし、あながち間違えてはいないと自負している ゴラのことが気になるなら【ガーゴイルズのゴライアス】と検索してもらいたい。
これで私の考察レポートを終了する





4 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/29(日) 21:20:44 ID:4AhdBBQx
     

5 :ひぐらしのなくころに 12 ◆B0yhIEaBOI :2007/04/29(日) 21:20:58 ID:yuizikQl
「――トちゃあん!!」

――!!
  懊悩する不二子の耳に、何者かの声が聞こえた。
  とっさにその場に伏せて身を隠した後、不二子は声のした方向に目をやった。
  もうもうと立ち込める黒煙が、風に流され少しずつ晴れてゆく。
  そこには、一人の幼児が、ベソをかきながら立ち竦んでいた。
「サトちゃあん! おねぇさあん! どこ〜〜〜!?」
  子供。
  一人で行きぬくことの出来ない、生きるために他者の庇護が必要な存在。
  きっと、彼が探しているのは、その保護者なのだろう。
「ねぇ〜〜! オラはここにいるよぉ〜〜!? みんな、どこにいるの〜〜〜!?」
  彼は必死に誰かを探しているようだ。オロオロと。
  だが、彼の呼びかけに応えるものは居ない。
  恐らくは先ほどの砲撃が功を奏したのだろうが……どうやらあの子供は運がよかったようだ。
――しかし、この子供……どうする? 殺すのは簡単だろうが……
では、この子供を放っておけばどうなるのか?
この子供が誰か非道な人間に見つかり、殺されてしまうのならそれでいい。
だが、この子供が脱出派とやらに保護されればどうなるのか?
当然、この子供が死ぬ危険は大きく減る。
その上、この子供を守るために、その集団全体が危険の少ない消極的な行動をとるかもしれない。
そんなことになれば……また私がこのゲームから逃れられるまでの時間が延びてしまう。
冗談じゃない!
あんな餓鬼に、これ以上迷惑かけられてたまるものか!
  
  不二子は、物陰から姿を現し、まっすぐに少年の下へと向かってゆく。
  不二子の心には怒りが溢れていた。
  一人だけでは何も出来ない弱者への怒り。
  そしてその怒りは、恐怖という感情を誤魔化すための詭弁。八つ当たりだ。
  それでも、不二子にとってはそれでもいいのだ。
  今、グリフィスに対する恐怖を感じなくて済むのならば、何でも良かったのだ。


「坊や、誰かさがしているの?」
「え? お姉さん、だれ? そ、それよりオラはサトちゃんと魅音お姉さんを探してるんだゾ! お姉さんも手伝ってよ!」
「手伝ってあげてもいいけど……でも、お姉さん、その子達がどこに行ったのか、多分知ってる気がするなあ」
「え!? どこどこ!? みんな、どこに行っちゃったの?」
「そんなに心配しなくても大丈夫よ。だって、貴方も、今から同じところに行けるんだから」
  そう言って不二子は、手にした拳銃を構え、引き金に指をかける。
「さようなら。あの世ではお幸せにね」


「ダメ―――――っ!!!!!」

  不二子が引き金を引く、まさにその瞬間に、一つの影が子供の前に躍り出た。
――パァン
  銃声が、周囲に木霊する。


6 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/29(日) 21:21:02 ID:KkLQk5Hy
                                            

7 :ひぐらしのなくころに 13 ◆B0yhIEaBOI :2007/04/29(日) 21:21:47 ID:yuizikQl
「さ、サトちゃん!」
「ご……ご無事でして? しんのすけさん」
  飛び出してきたのは、これもまた小さな少女だった。
  少女は少年を胸に抱えて蹲る。どうやら、少年を庇うつもりのようだ。
  少女の肩の、今しがた出来たばかりの銃創から溢れた血が、服を赤く染めてゆく。
「サトちゃん、血が、血が出てる!」
「大丈夫、こんなのかすり傷ですわ。心配ございませんわよ」
  それは、一目で分かる、明らかなやせ我慢だった。
  少女の顔には冷や汗が浮かび、その体は震えているようにも見える。
  そして、少女の足には何らかの傷の治療痕。
  成程、だからこの少女には“逃げる”という選択肢が浮かばなかったのだ。
  このまま身を潜められては厄介だったが、このように死にに来てくれるのは不二子にとっては有難い。
  だが……ある一つの疑問が、不二子の感情を苛立たせる。

――コイツ、怖くないの? 私のことが、死ぬことが怖くないの!?
  この少女は、躊躇無くこの死地に飛び出してきた。
  足を怪我したこの少女では、わざわざ死にに来たのも同然だ。
  しかも、それによってこの少年が助かるとも思えない。精々、僅かに死ぬのが遅れるだけだ。
  だというのに、この少女は身を挺して飛び出した。
――これも、若さ……いえ、幼稚さの成せるわざ、って事なのかもね。
――でも、それなら……

――最後に、“教育”しておいてあげる。

  それは、不二子が思いついた、ちょっとした“余興”だった。
  向こう見ずで蛮勇を奮う子供に、最後に冷酷な現実というものを叩き込む。
  不二子の感じる恐怖を、ちょっとだけおすそ分けしてあげる。
  そんな、不二子の悪魔的な悪戯だった。
「フフフ、勇敢なお嬢ちゃんね。お姉さんも驚きだわ。でも、ちょっと無謀だったわね」
  不二子は、銃を構えたままゆっくりと二人の元へと歩いてゆく。
「お嬢ちゃん、折角飛び出してきてくれた所で悪いんだけど、あなたのソレ……全然意味無いわよ?
だって、そうやってお嬢ちゃんがいくらその坊やを庇ったって、先にお嬢ちゃんを殺しちゃえば、無意味でしょ?
それなら、お嬢ちゃんは一人で隠れていた方が正解だったんじゃないかしら?
ほら、それなら少なくとも貴方一人だけは生き残れるワケなんだし」
  不二子は、二人の子供を見下ろした。
  少年を抱えて丸まった少女の背中しか見えず、その顔は伺えない。
――はてさて、どんな顔をしているのやら。
「ああ、きっとうっかり間違えちゃったのよね。
もしかしたら、何とかなるんじゃないかな、って思っちゃったのよね?
でも、残念。現実って、そんなに都合よく何とかなるものじゃ無いのよ?」
  不二子は、自分の声が上ずってゆくのを自覚する。
――ああ、こんないたいけな子供を苛めて喜んでるなんて、私も悪人ねえ。でも、やっと調子が出てきたきがするわ。
「でも、お姉さん優しいから、一回だけチャンスをあげちゃう。
もし、お嬢ちゃんがこの坊やを助けたのが間違いでした、って自分で認められたら、お嬢ちゃんだけは助けてあげる。
そうしたら、貴方はどこかに隠れちゃえば、もう少し長生きできるかもしれないわね。
どう? ちゃんと聞いてた?」
  もちろん、不二子は少女を見逃す気なんて毛頭無かった。
  不二子はただ、死の恐怖に少女の理性が押しつぶされる様が見たかったのだ。
  そう、自分と同じように。出来れば、自分よりも醜く。
「サトちゃん……?」
  少年の不安そうな声が漏れる。
  これから自分の命が私に捧げられることを理解したのだろうか。
「ほら、言って御覧なさい? 『私が間違っていました。命だけは助けてください』って」


8 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/29(日) 21:21:57 ID:73JdPQzA


9 :ひぐらしのなくころに 14 ◆B0yhIEaBOI :2007/04/29(日) 21:22:34 ID:yuizikQl
「――れ」

「え? 何て言ったの? もっと大きい声で言ってくれないと――」


「黙れ! この悪魔め!!」


――――!!
  振り向き、不二子の顔を睨みつける少女の表情は……不二子の望んでいたものでは無かった。
  恐怖。絶望。諦め。そんなものは微塵も感じられなかった。
  それどころか、その目は、その目を見た不二子は、思わず思ってしまう。
――怖い……!
  
「私は間違ってなんかいない! しんのすけさんを見捨てたりもしない! 間違ってるのはお前だ! 悪魔め!!」
「ひっ……!」

  不二子は、少女の気迫に押され、後ずさる。
――なんだ? これは一体何なんだ?
私は、この少女を怖がらせたかったんじゃないのか?
なのに、何だこれは? この少女は、少しも怖がってはくれないじゃないか。
それどころか、私の方が、この少女を怖がって……?

「退けっ! 悪魔めっ!!」
「だ、黙りなさい!」
――パァン
  思わず、不二子は引き金を引いてしまう。
  弾丸は少女の体に命中し、少女が小さなうめき声を上げる。
「サトちゃん!」
  少年が悲痛な叫びを上げる。そうだ。それでいい。
「ほら、大人に生意気な口聞くとそうなるのよ? 大人しく、私の言うことを聞きなさい。
ほら、言うのよ! 『私が悪かったです。許して下さい。どうか命だけは』ってね!」
  だが、少女は屈しない。
「大丈夫ですわ、しんのすけさん。私は、負けたりしない」
  いや、それどころかその目には、より一層強い光が灯っている。
「私は、もう逃げたりしない。間違ったりしない!
今までは、ずっとにーにーが私を守っていてくれた。
だから、次は私の番! 私がしんのすけさんを守る番!!
しんのすけさんは、お前なんかに、絶対、絶対、指一本だって触れさせやしない!!」

「こ……こいつ……!」
  思い通りにならないことに、不二子の神経が昂ぶってゆく。
  怒り。苛立ち。憎しみ。焦り。迷い。……そして、恐怖。
  溢れ出す感情が、不二子を飲み込んでゆく。
「あんた、自分の置かれてる立場がちゃんと分かってるの!? あんたがその子を守るだなんて……無理に決まってるでしょ!?
それじゃ、私はアンタを先に殺して、あとでゆっくりその坊やを殺してあげるから!」
「さっ、サトちゃぁん!!」
「怖がらなくても大丈夫ですわ、しんのすけさん。貴方は私が、絶対に、命に代えても」
「こ、この糞餓鬼がぁっ! なら、さっさと死になさいよおぉっ!!!!」

10 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/29(日) 21:22:39 ID:KkLQk5Hy
                                              

11 :ひぐらしのなくころに 15 ◆B0yhIEaBOI :2007/04/29(日) 21:23:23 ID:yuizikQl
――パァン
  銃声が響く。
――パァン、パァン
  何度も、何度も。
  破裂音が響くたびに、少女の体から赤い血が吹き出し、その口からは苦痛に喘ぐ声が漏れる。
  だが、少女は、諦めない。
「大丈夫……しんのすけさんは、大丈夫……」
  自らは苦痛に耐えながらも、必死に少年を励まし続けている。
「さ、サトちゃあん! サトちゃぁああん!!」
  少年の叫びが、涙にまみれた痛々しい嗚咽が、少女の体の隙間から漏れ聞こえてくる。
  それらの声が、激しく不二子を苛立たせる。
  だから、不二子は焦る。早く終わらせてしまいたいから。
「死ねっ! 死ねっ! さっさと、死になさいっ!!」
――パァン、パァン、パァン……


        ◆


12 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/29(日) 21:23:24 ID:KkLQk5Hy
                                   

13 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/29(日) 21:23:34 ID:4AhdBBQx
    

14 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/29(日) 21:24:00 ID:73JdPQzA


15 :ひぐらしのなくころに 16 ◆B0yhIEaBOI :2007/04/29(日) 21:24:11 ID:yuizikQl

――カチン、カチン、カチン……
  不二子が気が付くと、もう手にした拳銃に弾は残っていなかった。
――呼び弾を含めて十二発、全て打ちつくしてしまったということか。私としたことが、無駄な消耗だ。
だが、まだ拳銃はもう一丁ある。
坊やを殺すのには、それで十分だ。

「サトちゃあん! お返事してよぉ! おめめを開けてよぉ、サトちゃあん!!!」
  少年は、もう言葉を発しなくなった少女に向かって、必死に呼びかけを繰り返している。
  少女は、この少年を守り通したのだ。命を懸けて。偉いものだ。
  だけど、それも無駄に終わるのだ。
「そんなに泣くことなんて無いのよ、坊や……」
  不二子は拳銃を少年に向け、照準を合わせる。
「すぐに、向うで会えるんだから……」
  そして、不二子はその指に、ゆっくりと力をかける。

――パァン







――?

  不二子は、自分が銃を撃ったものだと思っていた。確かに銃声もした。
  だが、目の前の光景には何の変化も無く……手にした銃の撃鉄も上がったままだ。
  どういうことだ……? なら、今の銃声は……?

――パパァン、パパパァン
  再び、奇妙な銃声が聞こえる。しかも、今度は何発も連続で。
  そして、不二子のすぐ横の地面が爆ぜる。
――これは……違う! 私が、狙われているんだ!!
  やっとそのことに気付いた不二子が振り向くと、
  そこには銃を構えた一人の女が――

――いや、違う。

――あれは、人なんかじゃない。



――あれは……鬼だ。



             ◆


16 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/29(日) 21:24:17 ID:4AhdBBQx
      

17 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/29(日) 21:24:27 ID:KkLQk5Hy
                                                  

18 :ひぐらしのなくころに 17 ◆B0yhIEaBOI :2007/04/29(日) 21:26:03 ID:yuizikQl
――パァン
  その一発の銃声が、私の意識を現実に呼び戻してくれた。
  ここは、どこだ?
周りを見渡すが、辺りの光景を見ても何も分からない。
私の体は、瓦礫の間に横たわっているようだ。
  頭が痛い。割れそうだ。吐気もする。
  なんとか体を起こすが、うまく体を支えきれずに、付近の壁にもたれかかってしまう。
  記憶が混乱している。私は、何をしていたんだっけ? 一体、なにがあったの?
  そして頭を集中させようと額に手をやったとき、初めて自分の額が血に濡れていることに気付く。
  私は、頭を打って、気絶していた……?
  気絶する前は、何をしていたんだっけ……?
――パァン
  再び、どこかから銃声が聞こえてくる。
  銃声? ……そうだ、少しずつ思い出してきた。
  私は、沙都子と、しんちゃんと、三人でみんなの帰りを待っていたんだ。
  でも、いきなり爆発があって……それで、その後は……?  
  ……駄目だ。思い出せない。
  でも、それなら二人はどこに? 沙都子としんちゃんはどこ?
――パァン、パァン
  銃声がする。その破裂音を聞くたびに、意識がはっきりとしてくる。
  そして、それと同時に嫌な予感が、じわりじわりと私の中を満たしてゆく。
  まさか。まさか。
  逸る気持ちとは裏腹に、私の足はふらつき、上手く動いてはくれない。
  それでも、出来る限り大急ぎで、廃墟の外へ、銃声のするほうへと体を運ぶ。
  そんな、そんな、まさか……
  

  そこで私が見たものは……地獄の風景だった。
  一人の見知らぬ女が、一人の少女を――沙都子を、撃っていた。
――パァン、パァン。
  何度も、何度も。
――カチン、カチン。
  弾が尽きるまで。

「沙都……子……?」
  何? これは何なの?
  みんなで、一緒に頑張っていこうって、ついさっき決めたばかりじゃないの?
  なのに何故? なんでこんなことに?
  なんで、またあの時と同じように、私の目の前で仲間が死ぬの……?
  なんで、こんなに酷いことばかりが起こるの……?
  私が、何か悪いことをしたの? 
  これは、私を懲らしめるための、罰ゲームか何かなの……!?
  私は、確かに沢山酷いことをしてしまった。至らないことも多すぎた。
  でも、だから、少しでもそれを償おうとしてたのに……それじゃ、駄目なの? 許しては貰えないの?
  私の罪は……こんなに酷い罰じゃないと、釣り合わないって言うの!?
  それじゃあ、私は、私は一体どうしたら……

「サトちゃあん! お返事してよぉ! おめめを開けてよぉ、サトちゃあん!!!」


19 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/29(日) 21:26:38 ID:73JdPQzA


20 :ひぐらしのなくころに 18 ◆B0yhIEaBOI :2007/04/29(日) 21:26:51 ID:yuizikQl
  ビクリと、体が震える。
  その叫びが、私を冥い思考の淵から呼び戻してくれた。
  この声は――しんちゃん! まだ、生きている!
  声は、沙都子の方から……沙都子の体の下から聞こえる。
  ああ、沙都子が、しんちゃんを守ってくれたんだ。
  だが、その喜びをかみ締めている暇は無い。
  女が、銃を手にした女の腕が、再び眼前の標的へと向けられる。
――危ない!
  その時になって、私は自分が一丁のライフルを肩から提げていることに気付いた。
  そうだ。撃たなければ。仲間を、助けなければ。
  迷っている時間は無い。迷っている間に、しんちゃんが、また、私の仲間が……!
  セーフティを外し、銃を構え、女の腕を狙って、引き金を引く。
――パァン
  ……だが、銃の反動で体が揺れ、足がよろめく。
  私の撃った弾は、女の体にかすりもしない。
  クソっ、早く、もう一発……ッ
  だが、私が女を狙えば狙うほどに、その姿が揺れ、ぼやけてゆく。
  目が霞む。膝が哂っている。腕に力が入らない。
  だけど、そんなことで泣き言を言ってる暇はない。
  当たれッ!
――パパァン、パパパァン
  だけど、私の望みは虚しく、弾は近くの地面にめりこんで行く。
  だが、私の祈りが通じたのか、私の気迫が通ったのか。
  女の構えた銃の銃口が、しんちゃんから外れる。
  そして、女がこちらを見た。

「あ、アンタ誰よ!? 何、何撃ってるのよ!? わた、私に当たったらどうするのよ! や、止めなさいよ! 撃つの、止めなさいよぉ!!」
  女の表情が、分からない。
  顔は、見える。だが、その表情が何を表しているのか、分からない。
  怒っているのか、泣いているのか、笑っているのか、恐れおののいているのか……分からない。
  しかしそれはとても正気とは思えない表情だった。
血走った目を見開いて、女がこちらを睨みつける。
  だが私も、その女がしんちゃんを振り返る隙を与えまいと、女の目を睨み返す。
  そして私たちの目線は、まるで縫い付けられたかのように離れなくなった。
「アンタ、誰? 何、してるの? 沙都子としんちゃんに、何、したの?」
  私が女に問いかける。自分がこんなに低く、冷たく、鋭い声が出せることに、人知れず驚いてしまう。
  そして、その驚きは、女にとっても同じ……いや、私以上だったようだ。
「うっ、五月蝿いわねっ! これは殺し合いゲームなんだから、殺し合うのは当然でしょ! 私は間違ってなんかいないわよ!」
  女が狼狽えている。女が喚き散らすその言葉を、しかし私は聞き流すことが出来ない。
「ゲーム? 当然? アンタ、何言ってるの? 人を殺すのが良い訳無いでしょう。
理由が有ろうが無かろうが、許されるわけが無いでしょう!!」
「じゃ、じゃあどうしろっていうのよ!! 脱出? 対主催!? 馬鹿なこと言ってるんじゃないわよ!!
あんな、あんな連中に逆らえるわけ無いでしょ! じゃあ、言うこと聞くしかないじゃない!
そうすれば、少なくとも一人は助けてもらえるかもしれない!
誰だって、アンタだって、どうにもならない時になったら、人ぐらい殺すに決まってるのよ! 私だけが悪いんじゃない!」


21 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/29(日) 21:26:55 ID:KkLQk5Hy
                                           

22 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/29(日) 21:27:32 ID:KkLQk5Hy
                                                

23 :ひぐらしのなくころに 19 ◆B0yhIEaBOI :2007/04/29(日) 21:27:39 ID:yuizikQl
  ああ、そうだ。私はもう一人殺してしまっている。
  その罪は無くならない。一生かかっても許されないかもしれない。
  だがその罪を、無自覚なままに繰り返してゆくなんて……私には、許せない。
  けじめが……罰が、必要だよ。私にも。貴方にも。
「そうだね。それは私だって同じ。私だって人を殺すし、私も悪い」
「あ、あははは! ほら、そうだろ!! 自分だけ気取ってるんじゃないよ!!」
「ああ。だから私も殺すよ。……今、ここで。貴方を」
「……え?」 
「アンタには、言っても分からない。もう、無理だよ。
だから、もうここで終わりにしてあげるよ。もう、これ以上罪を犯させはしない。人を殺させは……しない。
私がアンタを殺して、それで最後だ。もう、終わりにしよう」
  私は手にした銃を、女に向ける。
  あと、弾は何発残っている? ……わからない。
  だがきっと、連射できるほどの弾は無い。
  マガジンは……無い。どこかに落としてしまったのか。
  そして、今の私の射撃精度は、低い。
  ならば、どうする?

  そうだ。遠くで当たらないなら、近くまで行って撃てばいい。
  私は、女に向かって、足を一歩踏み出した。
「あ、あんたっ、な、なにする気なのよ!」
  一歩。また一歩。足を動かす。
「ちょ、ちょっと、答えなさいよ! 止まりなさいよ!」
  私は、黙ってまた一歩。もう一歩。
「と、止まれって言ってんのが聞こえないの!? 止まらないと、撃つわよ!?」
  一歩。そしてもう一歩。
「私の言うこと聞きなさいよッ!! 止まれぇッ!!」

――パァン

  破裂音と共に、バランスを崩した私が地面に倒れる。
  女が撃った……? 弾が、当たった……?
「あ、あはははは、だから言ったでしょ、止まらないと撃つって! ざまあみろだ! あはははは」
  女の笑い声が頭に響く。だが、そんなことはどうでもいい。
  私は、どこを撃たれたんだ?
  頭か? 胸か? 腕か? 腹か?
  ……ああ、なんだ、脚か。
  なら、まだ、大丈夫。
  こんなぐらいでは、私は死なない。負けたりしない。
  私は、地面を押し返す。
  足の痛みなんて今はどうでもいい。
  今、私に必要なのは、ただ、立ち上がることだけ。
  そして、あそこまで、歩くことだけ。
  他には何もいらない。

「あははは……は?」
  不快な笑い声が途絶えた。
  私は霞む目で、今まで声が聞こえていた方向を見る。
  おぼろげに人の影が揺れている。
「な……なんで立ち上がるのよ……!! なんなのよアンタ!! まさか、あんたも……化け物の仲間なの!?」
  
  化け物……か。
  ああ、今はそれでいい。
  私は、人じゃない。私は、化け物。
  私は、鬼。
  人の罪を、弱い心を、全部喰らい尽くす、強い鬼。
  だから、それでいいから。
  お願い、みんな。力を貸して。
  あいつを殺すための、力を。

24 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/29(日) 21:27:44 ID:4AhdBBQx
        

25 :ひぐらしのなくころに 20 ◆B0yhIEaBOI :2007/04/29(日) 21:28:28 ID:yuizikQl

  一歩。そしてまた一歩。私は歩き出す。
「ひ、ひィッ!?」
  一歩。また一歩。ゆっくり、でも、倒れてしまわないように、しっかりと。
「く、来るなッ! 来るなよ、この化け物ッ!!」
――パァン
  銃弾が頬をかすめる。だが、私は止まらない。
  クーガーは、恐れなかった。こんなぐらいでは、止まらなかった。
  一歩、また一歩、前へ進む。
「こ、来ないでよ! お願いだからッ!」
――パァン
  銃弾が、右肩に食い込む。
  以前に受けた傷と相まり、激痛が走る。
  でも、私は止まらない。
  光は、負けなかった。こんな痛みぐらいでは、負けなかった。
  一歩。更に一歩。前へ進む。
「嫌よッ! 来るなッ! 来るな来るな来るな来るなァッ!!」
――パァン
「ぐっ」
  銃弾が、腹を突き抜ける。じわりと熱い感覚が、下腹に滲む。
  でも……それでも私は止まらない。
  エルルゥさんは、もっと痛かったんだ。 エルルゥさんは、もう進めないんだ。
  だから、私はこんなところで止まる訳には行かないんだ!
  一歩。そしてまた一歩。前へと、前へと。
「い、嫌アアッ!! 来ないで、来ないでえええぇぇッ!!」
――バタン! 
  女が転倒した。私から逃れようと後ずさる足が、瓦礫の破片に躓いたのだ。
  必死に起き上がろうともがく女の姿は滑稽だったが、それを嗤う気にも、見逃す気にもならなかった。
  逃しは、しない。
「来ないで、嫌ッ、助けて、来ないでよ! 来ないでよ!!」
――パァン、パァン、カチン、カチン、カチン……
  倒れたままの体勢で女が銃を撃つが、それらの弾丸は私に当たることなく飛び去った。
  そして、女の銃の弾が尽きた。
  女はもうすぐそこだ。
  あと少し。あと少しだから。
  お願い、力を貸して。
  圭ちゃん、
  レナ、
  梨花ちゃん、
  沙都子、
  そして、みんな……お願い。私に、あと少しだけでいいから、力を貸して!


26 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/29(日) 21:28:42 ID:KkLQk5Hy
                                          

27 :ひぐらしのなくころに 21 ◆B0yhIEaBOI :2007/04/29(日) 21:29:16 ID:yuizikQl
「化け物め、化け物めッ、お前なんか、お前なんかッ!」
  女が、自分のデイバックに手を伸ばす。
  だから、撃つ。
――パパパァン
「痛いッ!!」
  私の撃った弾は、やっと狙い通りに女の右腕に当たった。
  どさりと、鞄が地面に落ちる。
「嫌、嫌、嫌、こんなの嫌ッ! こんなの、私は認めないッッ!!」
  女が、みっともなく泣き喚く。
  腰が抜けたのか、女は立ち上がれずに、這い蹲って逃げようともがく。
  でも、瓦礫の中では、逃げ場は乏しい。
  すぐに追い詰められてしまう。
「嫌よッ!! 来るなッ!! こっちに来るなあああぁぁッ!!」
――ガンッ
  女が苦し紛れに投げた拳銃が、私の顔に当たる。
  その痛みで、一瞬、意識が飛びそうになる。
  痛い。苦しい。寒い。眠い。吐気がする。
  出来ることならば、今すぐ全てを放り出してしまいたい、そんな誘惑が私を苛む。
  でも、それはできない。
  これは、罰。
  私が犯してしまった罪の、罰。
  そして、これは償い。
  私が犯した罪の、償い。
  私が、最後までやりきらないと、意味が無いんだ。
  私は、女に銃を向ける。

「いや……やだ、嫌よ、許してよォ……もう、もうこんなことしないからァ……」
  女が、嗚咽と共に喋りだす。
「私、反省するから……もう、二度と人殺しなんてしないからァ……」
  涙に濡れ、鼻水と涎をたらしながら、必死に命乞いをしている。
「ああ、そうだ、取っておきの情報を教えてあげるから! ギガゾンビと手下の話よ! どう? 聞きたくない!?」
  その形振り構わぬ姿は、哀れですらあった。
  でも、それがどうしたというのだ。
「ね? 私と貴方が組んだら他の参加者もギガゾンビもへっちゃらよ! だから、ね、ね?」
  あんたは、そうやって命乞いした人達を、一体何人殺してきたの?
「ね、だから、お願いよ。こ、殺さないで。どうか、私だけは、殺さないで」
  そして、あんたはこれからも人を殺していくつもりなんでしょう?
  なのに、自分だけ助かろうだなんて。
――駄目だよ。
「嫌よ、死にたくない。私がこんなところで死ぬなんて、嫌よ。嫌、嫌、死にたくない――」

――パパパパァン、カチン、カチン、カチン……

  なんだ、意外と沢山弾が残っていたんだな。





28 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/29(日) 21:29:43 ID:4AhdBBQx
        

29 :ひぐらしのなくころに 22 ◆B0yhIEaBOI :2007/04/29(日) 21:30:03 ID:yuizikQl
  これで、やっと、おわり。
  さあ、戻ろう。みんなのところへ。仲間のところへ。
  そう思って、振り向いた私は――

――ガクン
  急に膝から力が抜けて、その場に崩れ落ちてしまう。
――あれ。
  体が、鉛のように重い。力を入れようとしても、うまくいかない。
  なんだか、寒い。それにもうお昼だってのに、なんだか暗い。
  それに、頭が痛くて、ぼーっとして、それに、うぷ、吐気が……
「うげぇっ!」
  堪えきれずに吐き出したソレは、何度も吐いて見慣れてしまった吐瀉物とは違っていた。
  黒くて、粘液質で、そして――赤い。
  それは、自分でも驚くほどに大量の……血だった。
  ああ、そういえばお腹を撃たれたんだった。
  多分、胃に穴が開いて、血が噴出しているんだろう。
  ハハ、これは、流石に……。
  もう、ダメだね。

  どうやら、もう私は動けそうに無い。
  だけど、私はもう、私が出来ることを全てしてしまった。
  あと、心残りがあるとすれば……
「うわあああぁぁぁん!! サトちゃああぁぁん!! 魅音おねえさああぁぁぁん」
  遠くで、しんちゃんの泣く声が聞こえる。
  ああ、しんちゃんは無事だった。
  きっと、もうすぐハルヒや、キョンや、ロックさんや、トウカさんが来てくれる。
  大丈夫、しんちゃんはきっと、大丈夫。
  しんちゃんだけでも生きていてくれれば。
  私は、私はもう……。

  私は、ごろりと体を横たえる。
  空が、青い。
  風が、なんだか心地よい。
  遠くで、ひぐらしが鳴いている。
  なんだか、一仕事を終えた後のような感覚だ。
  人を殺しておいて、仕事もへったくれも無いけどね。ハハ……
  
  私は、きっと地獄へ落ちる。
  私が犯した罪は重い。ちょっとやそっとで贖える訳が無い。
  だから、きっと天国へ行ったみんなとはもう会えそうに無いね。
  だけど、みんな……見ていてくれた?
  私、頑張ったんだよ?
  これでも、精一杯頑張ったんだよ?
  だから、ね。
  私から、一つだけお願いがあるの。
  私がそっちにいってから、もし、またみんなに会えたなら。
  その時はまた、これまでみたいに、仲間でいてくれるかな?
  分かってる。こんな人殺しの咎人なんて、嫌だよね。
  でも、でも……



「何言ってんだよ。俺達、仲間だろ?」


……えっ?



30 :ひぐらしのなくころに 23 ◆B0yhIEaBOI :2007/04/29(日) 21:30:54 ID:yuizikQl
【C-4・山間部と市街地の境目付近/2日目・昼】

【園崎魅音@ひぐらしのなく頃に  死亡 】
【北条沙都子@ひぐらしのなく頃に 死亡 】
【峰不二子@ルパン三世      死亡 】


【野原しんのすけ@クレヨンしんちゃん】
[状態]:全身にかすり傷、頭にふたつのたんこぶ、腹部に軽傷、SOS団名誉団員認定、全身が沙都子の血で汚れている。
[装備]: なし
[道具]:デイバッグ、支給品一式(-1食) 、プラボトル(水満タン)×2
[思考]:
基本:家族揃って春日部に帰る。
1:沙都子と魅音を病院へ連れて行く。
2:誰か助けを呼ぶ。
[備考]:しんのすけは二人がまだ生きているかもしれないと考えています。

各人の遺品は、各人の遺体の傍に放置されています。
魅音:AK-47カラシニコフ(0/30)、AK-47用マガジン(30発×3)は破壊された民家内に放置。
沙都子:スペツナズナイフ×1 、
沙都子のデイバック:基本支給品一式(食料 -1)、簡易松葉杖、どんな病気にも効く薬
不二子:コルトSAA(弾数:0/6発-予備弾無し) 、コルトM1917(弾数:0/6発-予備弾無し)
不二子のデイバック:
 デイバック×8、支給品一式×7(食料6食分消費、水1/5消費)、
 鶴屋の巾着袋(支給品一式と予備の食料・水が入っている)、
 RPG-7×2(榴弾×1、スモーク弾×1、照明弾×1)、クロスボウ、タヌ機(1回使用可能)
 暗視ゴーグル(望遠機能付き・現在故障中)、インスタントカメラ×2(内一台は使いかけ)
 高性能デジタルカメラ(記憶媒体はSDカード)、携帯電話(各施設の番号が登録済み)
 ダイヤの指輪、のろいウザギ、ハーモニカ、デジヴァイス、真紅のベヘリット
 ホ○ダのスーパーカブ(使用不能)、E-6駅・F-1駅の電話番号のメモ、
 トグサが書いた首輪の情報等が書かれたメモ1枚
 【薬局で入手した薬や用具】
 鎮痛剤/解熱剤/胃腸薬/下剤/利尿剤/ビタミン剤/滋養強壮薬
 抗生物質/治療キット(消毒薬/包帯各種/鋏/テープ/注射器)/虫除けスプレー
 ※種類別に小分けにしてあります。



31 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/29(日) 21:31:24 ID:KkLQk5Hy
                                              

32 :ひぐらしのなくころに 24 ◆B0yhIEaBOI :2007/04/29(日) 21:31:42 ID:yuizikQl

「ただいまギガ〜〜」
「おや、早かったね、コンラッド。ということは不二子嬢は、駄目だったということか」
「お察しの通りギガ。まさかあんなに早く死ぬとは思ってなかったギガ。ああ〜取引して損したギガ〜〜」
「ハハハ、でもそれは恨みっこ無しだ。あの時ちゃんと契約しただろう?
お前は、峰不二子に関する情報を包み隠さず私に教える。
私は、コンラッドを峰不二子の監視に専任させ、そのための単独行動を許す。
この交換条件をお前も飲んだんだからな」
「それはそうギガけど……しかしアンタも、あの情報があったとはいえ、よくもあの悪女を手玉に取れたギガ」
「ああ……あの手の人間はね、自分がいつも他人より上手に居ようとするんだけど、自分よりはるかに上手な人間に対してはとたんに脆くなる。
だからすこし揺さぶってやれば、この通りさ。それに、君から貰った情報の質、量に寄る所も大きい」
「お役に立てて光栄ギガ……でも、不二子ちゃんの入浴シーンがぁ、シャワーシーンがぁ〜〜!」
「そんなに落ち込むほどの事なのか? だが、また今度みたいなことがあったら、その時もコンラッドに頼むのも良いかもな」
「マジギガ!? 喜んでギガ!!」
「そのかわり、情報はちゃんと回してくれよ?」
「な……なんかダマはオマエのことを勘違いしていた見たいギガ。これからもよろしくギガ! 心の友よ!!」
「ハハハ、こちらこそよろしくな、コンラッド」

【A-8・温泉管理部屋/2日目/昼】
【新生鷹の団】
【グリフィス@ベルセルク】
[状態]:魔力全快?、全身に軽い火傷、打撲
[装備]:エクスカリバー@Fate/stay night、耐刃防護服、ジュエルシード@魔法少女リリカルなのは、フェムトの甲冑@ベルセルク
[道具]:マイクロUZI(残弾数6/50)、やや短くなったターザンロープ@ドラえもん、支給品一式×7(食料三つ分、ディパック六つ分)
 オレンジジュース二缶、破損したスタンガン@ひぐらしのなく頃に
 ビール二缶、庭師の鋏@ローゼンメイデンシリーズ、ハルコンネンの弾(爆裂鉄鋼焼夷弾:残弾4発 劣化ウラン弾:残弾6発)@HELLSING
[思考・状況]
1: ユービックが戻り次第、A-8エリアに罠を敷き、陣地構築を行う。
2: コンラッドのパソコンから、更なる情報を入手したい。
3: ジュエルシードの力を過信、乱用しない(ギガゾンビが何らかの罠を仕掛けていると考えている)。
4: そして――
※グリフィスは生存者の名前と容姿、特徴についてユービックから話を聞きました。
※A-8エリア全域、及びA-8周辺エリアはスパイセットで監視しています。


【番頭ダマ(コンラッド)】
[思考・状況] :グリフィスを少し見直した
1: グリフィスの指示を待つ。
2:グリフィスの監視を行う。パソコンは条件次第で……
3:グリフィスが何かしようものなら即ギガゾンビ様に密告。それも条件次第……?

※温泉管理部屋のコンラッドのパソコンからはツチダマ掲示板を初めとする主催者側のネットワークにアクセスできます。
※コンラッドのパソコンには監視キャプチャ画像、動画コレクションが保存されています。


33 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/29(日) 21:31:50 ID:73JdPQzA


34 :幸せな未来  ◆B0yhIEaBOI :2007/04/29(日) 21:32:32 ID:yuizikQl

  目の前にあるのは、いつもと変わらない教室のドア。
  そこで私は、いつものように先頭を譲り、いつものように不敵な笑顔。
  彼もそれには不敵な笑みでかえす。

  彼はまず、扉の上に目をやる。
  そこには、扉の隙間に黒消しが挟んであった。なんと典型的なテンプレート。
  彼は、それに苦笑しながら扉の取っ手に手を掛けようとして……その手を引っ込める。
  そこには、セロテープで無数の画鋲が貼り付けられていた。
  上に注意をそらした上での、二段重ねの巧妙な罠。その二つを、彼は難なく見破って見せた。
  そして、意気揚々と教室の中へと進入する。
――ガラガラッ、
  「わははは、沙都子、破れたり――――ィッ!?」
  だが、彼の体は、足を軸にそのまま前のめりに倒れていく。
  その眼前には、並々と墨汁を湛えた一個の硯が……
「圭一君、よけてっ!」
  レナの、悲鳴のような叫びが響く。
――どすん。
  彼――圭ちゃんは、ギリギリで体を捻り、最悪の事態だけは回避できたようだ。

「おーっほっほっほっ、朝から騒々しいですわねえ、圭一さあん?」
「圭一、腰を打ったのですか? 痛いの、痛いの、飛んでけです」
「沙ぁ都ぉ子ぉおおお、てめえ、よくもぉおおおお!!」
「ぬ、濡れ衣ですわああ、私がやったって言う証拠がどこに」
――ひょい、つかつか、べしっ。
「う、うわあああん、圭一さんがデコピンしたああああぁ」
「ああ、泣いてる沙都子ちゃんかぁいぃよぉ☆ お持ち帰りしたいぃ☆ そんな沙都子ちゃんをいじめる悪い人わぁ……」
――バシィッ!
  そして、顔に青あざを残して倒れる圭ちゃん。
  いつもどおり。何もかもが、いつもどおりの朝の一場面。
  でも、今日は少しだけ違うことがある。
  今日はいつもよりも少し早く学校に着いたこと。そして――



35 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/29(日) 21:33:09 ID:73JdPQzA


36 :幸せな未来  ◆B0yhIEaBOI :2007/04/29(日) 21:33:20 ID:yuizikQl
「あのさ、みんなちょっといいかな? 本当は放課後になってからって思ってたんだけど、先生来るまでにまだちょっと時間あるみたいだからさ」
「なんだ魅音? 今から部活か? まあ、俺ならいつでも相手になってやるけど……」
「ううん、そうじゃなくて……実はさ、手紙が来たんだよ! あの時のみんなから!!」
「え、みんなって、もしかして……!?」
「そう、そのまさか! キョンやハルヒやドラえもんからも! ほら、光にセラスのもあるよ!」
「おお、次元さんのもあるじゃねえか! なんか消印が無いけど、どうやって投函したんだこれ?」
「あ〜〜、蒼星石ちゃんのだぁ。かぁいかったなぁ、蒼星石ちゃん☆ おもちかえりしたかったなあ☆」
「あら、ロックさんやしんのすけさんのもありますわ」
「これは剛からですね。あ、これは……?」
「ああっ、梨花ちゃんそれは駄目ッ!」
「なんだ? 魅音がそんなに慌てるなんて……梨花ちゃんちょっとソレ貸して」
「あ゛あ゛! 圭ちゃんそれ読んじゃ駄目ぇっ!!」
「え〜っと、何々……
『拝啓麗しの魅音様。ご機嫌麗しゅうございます。私は美しい貴方にもう一度お会いするために世界を縮める毎日で……』
っておい、これ思いっきりラブレターじゃねえかよ! 差出人は……『世界最速の男、ストレイト・クーガー』!?
なんだこりゃ!? 普通称号とか自分の名前に付けるかぁ?」
「恵一くん、やめてあげなよ。魅ぃちゃんが可哀想だよぉ」
「いやいや、でも魅音にゃこれぐらいストレートにアプローチしてくれる奴の方が合ってるんじゃないか? 案外、魅音の方もまんざらじゃなかったりして」
「ち、違う、違う、圭ちゃん〜〜〜〜!!」
「お、魅音赤くなってるぞ。こりゃあ図星かあ? 朝からお熱いことで」
「違うのっ!! 私の好きな人は別に――――……あ」
「魅音さんの、好きな、人は?」
「魅ぃ、お顔が耳まで真っ赤なのです」
「え、えーっと……気になるから一応聞いとくけど、魅音の好きな人って……?」
「あ……う……その……あーもうこんな時間だ! ほら沙都子、あんたのトラップそのままじゃないの! 早く片付けるよ!」
「あ――! 魅音誤魔化してるな!? 正直に白状しろ〜〜!」
「あ゛ー、あ゛―、おじさんは何にも聞こえませーん!! 早くみんな席に尽きなさーーい!!ホラ先生が来たよ! きりーつ!」


  いつもどおりの日常。いつも一緒にいてくれる仲間。
  ささやかだけど、確かにそこにある幸せ。
  退屈だけど、かけがえの無い「いつも」が、そこにはある。
  今までも、そしてこれからも。ずっと、ずっと……


37 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/29(日) 21:33:24 ID:KkLQk5Hy
                                        

38 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/29(日) 21:33:24 ID:4AhdBBQx
    

39 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/29(日) 21:34:55 ID:KkLQk5Hy
                                               

40 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/01(火) 02:31:23 ID:ZyH3XGM+
亜紀はトイレに入った
「こわくなんかないもん・・・こわくなんか・・・」
亜紀は急いでおしっこを済ませると
みんなの待つ校庭へと急ごうとした
「キャッ!」
亜紀の背中に何か冷たいものが入ってきた
ナメクジのようなベトベトした小さいものだ
「いやだ〜、気持ち悪いよぉ」
亜紀は、体を揺すり、手を背中に回して、取りだそうとした
しかし、それはどんどんと背中を伝って、下の方へと降りていった・・・
第1章 女子トイレに潜むもの


「いやぁ!!きもちわるいぃ!!」
亜紀の背中に入ったナメクジは
ゆっくりと下に降りていった
そしてついには、お尻の方から、パンツの中に入ってしまった
「やだ・・・」
亜紀はスカートを捲くって、パンツを下ろそうとした、
その時亜紀のお尻の穴に、すさまじい衝撃が走った
それは亜紀が今まで経験した事のない、くすぐったいような感覚だった
そのナメクジが亜紀のお尻の穴に

41 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/02(水) 22:28:14 ID:JLx+Bxlg
      

42 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/02(水) 22:28:43 ID:hkNB2X2w
 

43 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/02(水) 22:28:50 ID:tytOVyaC


44 : ◆WwHdPG9VGI :2007/05/02(水) 22:28:52 ID:JLx+Bxlg
『―――貴様は言ったな、俺を殺すと。ならば―――人類全てを、歴史もろとも殺す気で来い。
唯一無二の力を―――アルターがアルターと呼ばれる所以を見せてやる!』
 
 画面の中で男が咆哮をあげ、紺碧の刃そのものに等しい装甲を身に纏った。
「何だと!?」
 それまでワインを片手に死闘の映像を楽しんでいた男、ギガゾンビが顔色が変わった。
(馬鹿な……ありえん……)
 画面の中の男、劉鳳が使うアルター能力とは、超空間の一つの支流に当たる空間にアクセスすることにより、
 物質を原子レベルで分解し、各々の特殊能力形態に再構成することができる特殊能力だ。
 その性質ゆえ、亜空間破壊装置の影響を受け、その力は抑制されている――

 ――はずだ。

(さらに上の段階への『進化』など不可能なはずなのだが……)
慌しく立ち上がるとギガゾンビはCPUに向かい、劉鳳の首輪から最後に送られた戦闘データーの数値を呼び出した。
その数値を目にするうちに、ギギガゾンビは自分の顔が引きつっていくのを感じた。
 記されていたデータは、恐るべきものだった。
 仮に劉鳳という男が本調子であったなら、亜空間破壊装置が作動していなかったら、どれほどの力を発揮していたか検討もつかない。
 
 ギガゾンビの背筋に氷塊が落ちた。
 
 苛立たしげに手元のコンソールを叩き、劉鳳の戦闘時刻の亜空間破壊装置の作動状況をチェックする。
 ややあって、ギガゾンビの舌が大きく打ち鳴らされた。
 案の定というべきか、劉鳳の戦闘時刻の亜空間破壊装置の出力は、わずかに弱まっていた。
 1つでもこの空間を覆うには十分とはいえ、やはり5つあったものが1つになったのだ。
 当然だが無理は出る。

 とは言っても……。

(ええい! アルター能力者というのは、化物か!?)
 弱まったとはいえ、それはほんの僅か。
 本来、無視しうる程度なのだ。
 にもかかわらずあの劉鳳という男は、亜空間破壊装置の壁をぶち破り、彼らの世界『向こう側』と呼ばれている空間にアクセスしてのけた。
 幸いにも劉鳳は死んだが、彼に勝るとも劣らぬもう一人の男は未だ生存している。
 首輪がはめられている限りこちらの絶対的優位は覆らないとはいえ……。
 ギガゾンビは腕組みをした。
(気に入らん、気に入らんぞ……)
 取るに足らない存在だと思って侮っていると足元をすくわれるということは、骨身に染みるほどしっている。
 首輪解除の動きや、亜空間破壊装置の破壊をこれまで放置してきたのは、これもまた座興だと思っていたからだ。


45 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/02(水) 22:28:58 ID:euYcnpYU


46 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/02(水) 22:29:29 ID:euYcnpYU


47 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/02(水) 22:29:40 ID:592dNjou
                                       

48 : ◆WwHdPG9VGI :2007/05/02(水) 22:29:57 ID:JLx+Bxlg
 
 ――無駄な足掻きをする人間ほどみていて面白いものは無い。

 そして、足掻いた末に見せる絶望の表情は、とてもとても良いものだ。
『技術手袋』を支給したのは、その表情を楽しむためだった。
 途中で切れている鎖を金の鎖だと思って手繰り寄せる参加者の必死の形相を嗤い、
 切れた鎖だと知った時の参加者の絶望の表情を期待して支給した。
 だが、どうにも嫌な予感がする。
 
 参加者達があまりにも希望に満ちすぎている。

 もっと絶望に顔をひきつらせていても良さそうなものだ。
 ところが、彼らの中の幾人かには、明らかに『アテ』でもあるような言動がチラホラみられ、瞳には目的地を定めたような光がある。
 そんなものがあるはずはない。あるはずはないのだ。
 彼らの行く先には絶望の夜しかないはずなのだ。
 だが気になる。
 幾人かの瞳に宿る、真っ直ぐな、何かを見据えたような光が。
(ここで読み間違えると、万が一ということがあるかもしれんな)
 参加者の中には、この世界につれてきた時よりも高い戦闘能力を引き出している者達がいる。
『カートリッジ』を全弾使い切っているはずの魔力を消費しながら怒りで補ってしまった少女やアルター使いの二人の青年のように、
意志の力で科学の壁を乗り越えてしまう者達。
彼等の首輪が万が一にも外れることがあれば……。

――脅威となりうる。

ギガゾンビの眉間に深い皺が刻まれた。
さりとて今、首輪を全て爆破してこのゲームを終わらせたくは無い。
 まず、生活上の理由がある。
霞を食べて生きていけるはずも無い以上、この戦いは貴重な収入源だ。
どの世界でも大抵の娯楽は飽食しつくしてしまい、刺激に飢えている富裕層という者は多数存在する。
厳選に厳選を重ねて客を絞り、リスクを承知で亜空間破壊装置に一瞬だけ穴を開けて圧縮したデーターを送信しているのだが、
 凄まじい人気だった。
どれだけでも金を払うからもっと高画質の物を寄越せだの、倍額払うから他より早く配信してくれだのという人間の多いこと多いこと。
超常バトルに熱狂するもの。美形の登場人物が無残に死んでいく様に大喜びするもの。
 疑心暗鬼に陥って苦悩し、狂っていくいく様がたまらないという者。
大して力を持たない者が圧倒的な力を持つ相手に一泡吹かせるところが好きだという者……。
 ギガゾンビは陰惨な笑みを浮かべた。


49 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/02(水) 22:30:25 ID:592dNjou
                     

50 : ◆WwHdPG9VGI :2007/05/02(水) 22:30:57 ID:JLx+Bxlg
(これが人間、まさしく人間よ!)


 ――全ての人間はどす汚れている。

 闘争と破壊の様を、より残酷なものを、より刺激的なものを求めるのが、人間というものだ。
 コロシアムで、猛獣にキリスト教徒が食われる様をみて熱狂し、罪人の無残な処刑の有様をみて歓喜するのが人間の本性なのだ。
 それなのに、文明の発達と共にその欲望を満たすことをやたらと制限しようとする愚暗の輩が跋扈するようになり、世の中は窮屈になった。

 ――くだらん、まったくもってくだらん。

 ギガゾンビの生まれた世界では暴力シーンが1分流れただけで、世の『良識派』とやらが発狂したようにクレームを入れるため、
 創作物すら毒にも薬にもならない物に成り下がっている。
 それに比べて21世紀の創作物のなんと刺激に満ちていることか……。
 ギガゾンビは一冊の本を取り出した。彼のバイブルともいえる本だ。
 この本を読んだ時、震えた、絶頂を覚えた、勃起すらしていた。
 何度も何度も読み返した。
 そして――
 
 この話を実現したいと思った。

 そう、生活のためというのはあくまで副次的なもの。
 ギガゾンビの目的はバトルロワイアル開催そのものにあった。
 そしてどうせなら原作よりもさらに派手で面白みのある理想のバトルロワイアルを開催したかった。
 少年の日の夢をギガゾンビは追い続けた。
 科学を極めたのも、全ては理想のバトルロワイアル開催のため。
 古代の日本に王国を作りゲーームを開催しようと準備を進めていた時に逮捕され、収監された時は全てが終わったかと思った。
 だが、自分は帰って来た。
 ギガゾンビの禍々しく吊り上った。

 ――愚物どもの矮小な夢で私の夢を阻むことはできぬ。

 あの脱出不能と謳われる牢獄すら自分の夢を阻むことはできなかった。
 ヒエール・ジョコマンが接触できたことも決して偶然ではあるまい。
(私の夢が私をとどめておかなかったのだ。物語が私を呼んだのだ。費やした時とたゆまぬ努力が無駄でなかったことの証の為に!
 理想の物語の完成のために! バトルロワイアル開催成就のために! 私は……。帰って来た!)
 そして、ついにやり遂げた。

 ――信じていれば、諦めずに追いかけ続けていれば、夢はいつか必ずかなう!!

(この私の悲願の成就を、至高の芸術作品の完成を、誰にも邪魔はさせん! 邪魔はさせんぞ!)
 タイムパトロールだろうが、自分の夢を嘲笑って袂を分かとうとした芸術を解さない仮初の同盟者だろうが、
 異世界の取締り機構だろうが、邪魔はさせない。


51 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/02(水) 22:31:12 ID:euYcnpYU


52 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/02(水) 22:31:13 ID:592dNjou
                           

53 : ◆WwHdPG9VGI :2007/05/02(水) 22:31:52 ID:JLx+Bxlg
 23世紀のタイムパトロールは規律を第一に考えるため、過去への干渉と異世界への干渉を嫌う傾向がある。
 だから、彼らが方針の大本を変更し、異世界と異世界、時と時の狭間にあるこの空間へと手を伸ばすのは時間がかかると、ギガゾンビ読んでいた。
 もう一つの難敵である異世界の組織、時空管理局の時空移動に関する技術はタイムパトロールのそれよりも低い。
 亜空間破壊装置がこの二つの組織の弱点をつくものである以上、危機はさったはずだった。
 誰にも理想の物語完成の邪魔はできないはずだった。
 それがまさか。
 
 ――まさか参加者如きに。
 
 彼らはただ最後の一人になるまで殺しあっていればいい。
 殺しあわなくてはならないのだ。
(そうでなければ、原作どおりにならならんではないか!)
 ギガゾンビは手を伸ばし、コンソールを操作した。
 画面の中で一人の少年が剣を天に翳し、誓いの言葉を発している。
(厄介なヤツだ! 貴様のような存在は、このゲームの中では、あってはならぬ存在だというのにっ!!)

 侮っていた。
 まさか一般人の、しかも幼児にあんな力があるなどと、予想外にもほどがある。
 
 ――目だ。

 少年の瞳に宿る、空を写したような輝きが気に入らない。
(真っ直ぐなあの目、あの目はバトルロワイアルには無用の物だ)
 あの輝きが他者に伝染し、集団が生まれ、科学の道理を意志の力でこじ開ける者達の首輪が外されでもしたなら……。
 ギガゾンビの眉間の皺は更に深さを増した。
 無論爆破をしようと思えばできる。
 しかし、それでは物語としての完成度が落ちてしまう。
 主催者による遠隔爆破など無粋の極みだ。

 ――だが、どうする?

 また、この前の時と同じように足をすくわれでもしたら……。
 ギガゾンビの胸は苛立ちで沸騰した。
(何故だ!? 絶対者として君臨するこの私が何故、こんなことで悩まねばならん!?)
 参加者は自分の手の内にあったはずだ。
 好きなように家族を、友を、命をを奪い、好きなように絶望を、悲しみを、死を与えられるはずだった。
 自分は神であり彼らはただの供物のはずだった。

 ――それなのに。

(何処だ? 何処で読み違えた?)
 ギリギリと歯軋りをしながら、ギガゾンビは苦悩する。
 その時、ドアが開く音がした。
「何のようだっ!?」
 八つ当たり気味に怒声を響かせる造物主に、一瞬怯んだ様子を見せながらも、

「ギガゾンビ様……。ご報告したいことがあるギガ」

 そのツチダマは口を開いた。


54 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/02(水) 22:32:10 ID:euYcnpYU


55 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/02(水) 22:32:14 ID:592dNjou
                    

56 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/02(水) 22:32:48 ID:euYcnpYU


57 : ◆WwHdPG9VGI :2007/05/02(水) 22:32:47 ID:JLx+Bxlg




「いきなり呼び出しとは穏やかじゃないギガ〜。きっと怒られるギガ」
 隣を歩くコンラッドが怯えたように言った。
「心配する事はないさ、コンラッド。俺達はあの方のために動いたにすぎない。きっとあの方はわかってくださる」
「そ、そうギガね」
 グリフィスの優しげな笑顔と言葉に、救われたように顔を明るくするコンラッドに頷いてやりながら、
(ギガゾンビという男はどうやらかなりの小物らしいな)
 グリフィスは、自分の仮の主に辛辣極まりない評価を下していた。
 呼び出しの原因は、自分が亜空間破壊装置防衛に専念せずに、峰不二子を利用し、集団の片割れを襲わせたこと。
 そしてそれにまつわる一切のことを独断で行い、報告しなかったことが原因だろう。
(度量が狭い奴ほど人に『任せる』ことができず、部下の独断専行を嫌うものだ)
 それにしたところで、グリフィスからすれば魔法としか形容できない技術を持っているのだ。
 もう少し大物ぶってみせるぐらいの安いプライドを持ち合わせているだろうと、期待していたのだが……。
(間違いなく、最悪の部類に入る雇い主だな)
 無能なくせにやたらと作戦に口を出したがる雇い主には、元の世界で傭兵団を率いている時にも苦労させられた。
 ほどなく指定されたギガゾンビの居城にある大広間に辿り着き、
「グリフィス、コンラッド、参上いたしました!」
「……入れ」
 不機嫌極まりない声に、グリフィスの眉が上がった。
(肉声だと?)
 どうやらホログラムなる映像ではなく、ギガゾンビ本人が来ているらしい。
(面白くなってきたな)
 心中で悪魔のような笑みを浮かべながら、表向きはあくまで鎖につながれた奴隷の素直さを装い、グリフィスは部屋の中に足を踏み入れた。


58 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/02(水) 22:32:52 ID:S6lm5Mas


59 : ◆WwHdPG9VGI :2007/05/02(水) 22:33:32 ID:JLx+Bxlg
(……これは)
 グリフィスの心の水面に一滴の雨だれが落ちた。
 大広間にはツチダマの大軍が集結していた。
 
 ――本当に面白くなってきた。

 本人が姿を現しただけでなく、これだけのツチダマが集められているということは……。
 グリフィスの怜悧な頭脳が高速で回転を始める。
 しかし、そんなことはおくびにも出さず、
「お呼びでしょうか。ギガゾンビ様」
 ギガゾンビの玉座の正面に歩を進め、グリフィスは漆黒のヘルメットを外し、うやうやしく頭を垂れた。
 グリフィスとギガゾンビとの間に遮るものは何もなく、距離があるとはいえ、例の技を使えば届く距離である。
 もっともグリフィスには、この場でギガゾンビに攻撃を仕掛けるつもりはさらさらなかった。
 ギガゾンビのような男が何の備えもせずに姿を現すことなど、考えられないからだ。
(それよりも……)
 グリフィスはひざまづいたまま、一瞬だけギガゾンビに視線を飛ばした。
 鷹の目を持つ男、グリフィスにはそれで十分。

 ――小物だ
 
 何処からどう見ても小物だ。
 人物の格でいうならせいぜいが地方貴族といったところか。
(これで決まったな)
 ギガゾンビが行使する技術と技術に関する知識はともかく、ギガゾンビ自身は取るに足らない人物だということが、これではっきりした。
「ほう? 分からぬとな!? 呼ばれた理由が分からぬほど無能なのか? 貴様は」
 グリフィスがそんな結論を下しているとは露知らないギガゾンビの口調は、どこまでも尊大なものだった。
 心中で冷笑を浮かべながら、
「これはしたり。私は貴方様に比べれば、とるにたらぬ愚者。ですが、愚者なりに精一杯お仕え申し上げているつもり――」
「それがいかんのだ!!」
 ギガゾンビの怒声がグリフィスの口上を中断させた。
「貴様のような愚昧な輩は、木偶のごとく唯々諾々と私の命令に従っておればよいのだ!! それを勝手に介入などしおって!!
グリフィス!! 貴様、私の芸術作品を汚す気か!?」
「私はただ、貴方様の望みにそうように、穴に潜んでやりすごそうとする兎を追い出そうと試みたまででございます」
「黙れ!!」
 ヒステリックな声をあげ、ギガゾンビは杖を振り上げた。
「貴様はただ亜空間破壊装置防衛の任に専念しておればよいのだ!! 貴様が戦力をふりわけた隙をついて、徒党を組んだ参加者どもが襲い掛かったらどうする!?」

 ――誰がそんなヘマをするものか

 という言葉が心に浮かびあがるが、グリフィスはその言葉を心の井戸の底に沈めなおした。


60 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/02(水) 22:33:37 ID:592dNjou
                               

61 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/02(水) 22:33:43 ID:euYcnpYU


62 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/02(水) 22:34:23 ID:592dNjou
                          

63 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/02(水) 22:34:24 ID:tu/aqH8J
 

64 : ◆WwHdPG9VGI :2007/05/02(水) 22:34:33 ID:JLx+Bxlg
 さらに言うなら、ギガンゾビは初めて会った時、『見事施設の防衛を果たし、他の参加者を始末した上で最後の一人となったならば』
 と言っていたのだから、グリフィスにはここまで咎められるいわれは無い。
(要は八つ当たりか)
 何か気に入らない事でもあったのだろう。
 腹いせに、怒りを自分の部下にぶつけているというわけだ。
 それでも、軽蔑と冷笑の皺を欠片ほどもその白皙の顔に表すことなく、
「申し訳ございませんでした。ただ、我が身の浅薄さに恥じ入るばかりにございます。どうか、お許しくださいませ」
 透き通った声でグリフィスは謝罪の言葉を述べ、優雅に頭を下げてみせた。
 名工が腕によりをかけて彫刻したような鼻梁と唇、切れ長の目をもつグリフィスの所作はあまりも堂に入っており、
 ギガゾンビは思わず怒りを忘れてしまう。
「……まあ、よいわ。だが、二度は許さん。それを肝に銘じておけ!!」
 ややあって、取り繕うに言い放つと、ギガゾンビはジロリと、グリフィスの傍らで震えているコンラッドを睨んだ。
 身を縮こまらせるコンラッドに、
「番頭ダマよ。貴様の主人は、誰だ?」
 低い声でギガゾンビは尋ねた。
「も、勿論、ギガゾンビ様ギガ」
「では何故この私への報告を怠った!? 何故この私の許可を求めなかった!?」
「でも、ダマはちゃんとグリフィス様に――」
 言いかけてコンラッドは口を噤んだ。
 仮面の向こうに見えるギガゾンビの瞳に冷たいものが浮かんでいるのを見て取ったからでる。
「ごめんなさいギガ〜。どうか、お許しくださいギガ〜」
 平謝りするコンラッドを一瞥し、ギガゾンビは玉座から立ち上がると、居並ぶツチダマ達を睥睨した。
「木偶ども!! 貴様等の造物主は誰だ!?」
「ギガンゾビ様ギガ!!」
 居並ぶツチダマが揃って答えた。
「貴様等の身体は、機能は、誰のためのものだ!?」
「ギガンゾビ様のためのものギガ!!」
「そうだ!! 貴様等は、ネジの一本にいたるまで私のものだ!! 貴様等の神は私だ!!
私のために尽くすことが貴様等の存在理由だ!! しかるに――」
 ギガゾンビはコンラッドをねめつけた。
「番頭ダマはこの私に許可を求めずに独断専行を行い、あまつさえそれを秘匿するという重大な背信行為を行った!!」
「そ、そんな〜。許して欲しいギガ〜。もうしないギガ〜」
 哀れっぽくコンラッドが訴えるがギガゾンビは止まらない。
「木偶ども! その目に刻んでおけ!! 裏切り者の末路は、こういうものだっ!!」
 ギガゾンビの怒号と共に、ギガゾンビの杖から光条が放たれた。


65 : ◆WwHdPG9VGI :2007/05/02(水) 22:35:20 ID:JLx+Bxlg

「ぐぅ……」

 呻き声が静まり返った大広間に響いた。
 もはや見慣れたギガゾンビの処刑行為に、うんざりしたような思いと少量の哀悼の気持ちを持ちながら、
 コンラッドから目を背けていたツチダマ達は、目を見開き、その光景を凝視した。
「……グリフィス様?」
 驚きの声を上げるコンラッドの前には、グリフィスの背中があった。
 全身から白煙を上げながら、
「ギガ、ゾンビ様……。コンラッドに指示を与えたのは私です。罰を与えるならどうか、私めに!」
 動じることなくグリフィスは言葉を吐き出した。
 ギガゾンビの双眸に怒りの火が灯った。
「黙れ! 狗の分際でこの私に指図など、1000年早いわ!!」
 ギガゾンビの杖からまたも光が炸裂した。
「かあぁ……」
 苦痛の声を上げつつも、グリフィスはコンラッドの前から動こうとしない。
「グリフィス様……。ど、どうしてそこまで……」
 混乱の成分を多量に含有したコンランッドの問いにかけに
「黙っていろ」
 小さな低い声で答え、
「ギガゾンビ様! 直属の部下の不始末は上役である私の不始末! 私の責任でございます! どうか……」
 剣を抜き放ち、

「どうかっ!!」

 気合と共に、グリフィスは左手の小指に剣を打ち落とした。
 血が床に飛び散り、小指の第一関節が吹き飛びコロコロと転がった。
「き、貴様……」
「足りませぬか……。ならばこれで!」
 懇願の声と共に薬指の第一関節が吹き飛び、グリフィスの手から流れ出した血が床に小さな溜まりを作る。
「どうかっ! コンラッドの罪をお許しください!!」
 なおも指を打ち落とそうとグリフィスが剣を掲げた時、
「グリフィス様っ!! もういいギガっ!!」
 悲鳴と共にコンラッドがグリフィスにしがみついた。
「はなせっ! コンラッド」
「離さないギガ! それ以上やったらグリフィス様の指がなくなってしまうギガ!」
 もみ合う二人を見下ろし、ギガゾンビは大きく舌打ちした。
「やめいっ!! まったく……下等な三文芝居など見せよって! 目が穢れたわ!!」
 足音も高くギガゾンビは退出していく。
 その姿が消えると同時に、ほおっと安堵の息がそこかしこから上がった。
 グリフィスは指に衣服を裂いて作った即席の包帯を巻きつけながら
「お互い命があってよかったな。コンラッド」
 コンラッドに向かって笑いかけた。
「なんでギガ? なんでそんなになってまで……」
 心底不思議だというようなコンラッドの問いかけに、
「……理由なんか、ないさ」
 どこか照れくさそうにグリフィスは微笑んだ。
 その笑顔は美しく、輝いてみえ、周りを取り巻くツチダマ達は思わず息を呑んだ。
「コンラッド。お前は俺の部下で、ともにギガゾンビ様にお仕えする仲間だ。仲間のために体はることに、いちいち理由が必要か?」
「ダ……ダマは……」
 コンラッドが込み上げる思いに翻弄されながら、口を開きかけたその時。

 
 ――ドン

 

 玉座の方角から音も無く放たれた光がコンラッドを直撃し、コンラッドの身体が吹き飛んだ。


66 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/02(水) 22:35:27 ID:euYcnpYU


67 : ◆WwHdPG9VGI :2007/05/02(水) 22:36:19 ID:JLx+Bxlg
「なっ……」
 その場に集ったもの達が息を呑む中、かつんという音と共にコンラッドだったものの頭部が床に落ち、甲高い音をたてた。

「貴様等の三文芝居は目が穢れるといったであろうが!!」

 大広間にギガゾンビの声が響き渡った。
 思わず視線を鋭くするグリフィスに、
「何だその目は!?」
 ギガゾンビの罵声染みた声が飛んだ。
「……いえ」
 グリフィスは目を伏せ、膝をついた。
 だが、その握り締めた拳は細かく震えていた。
 ふんっと鼻を鳴らす気配があり、
「貴様の汚らしい指などで私への背信の罪を償えると思ったのか!? 少し甘い顔をすれば増長しおって!!
グリフィスよ!  己の分際をよくわきまえよ! 貴様は首輪につがれた飼い犬にすぎんのだ! 分かったか!!」
 一瞬の沈黙があった。
「分かったのかと聞いている!!」
 ギガゾンビの声が甲高くなった。
「かしこまりました……」
 グリフィスは声の方角に向かって平伏して見せた。
「……今度だけは許してやる。だが、さっきも言ったが二度目は無い!! そのことを、貴様の進化の遅れた脳味噌に刻んでおけ!!」
 まくし立てるだけまくし立てるとギガゾンビの声は途切れ、再び大広間には静寂が訪れた。
「グリ、フィス様……ごめんギガ……もっと、お役に、立ちたかったギガ……」
 頭部だけになったコンラッドが弱弱しく言葉を発した。
 その声にはノイズが混じっており、目の部分に灯る光は薄い。
「何故謝る! 悪いのは俺だ……。すまない、コンラッド」
「……そんな、こと……ないギガ。ダマが、一人で行動したがったのが、悪いギガ……自、業自得ギガ」
「そんなことは関係ない! 俺の見通しが甘かったせいで……お前を……」
 涙がグリフィスの頬をつたった。
「泣、かないで欲しいギ、ガ……。ダマがいなくなっても……スランやユービックが、ちゃんと……ダマの分まで働い……」
「何を言う! お前の代わりなど誰にもつとまるものか!」
 コンラッドの目の光が一瞬強くなった。
 しかし、その光はやはり急速に弱まっていく。
「……涙を、流すロボットなんて変だ……けど……なんだかすごく……涙が出る装置が欲し、いギガ……」
 ノイズの入り混じった声はひび割れ、キインという異音すら発していたが、何故かその声はとても満足そうに聞えた。
「生まれ、変われたら……また……グリフィス様のぶ、かに」
「当たり前だ! 俺達は、ずっと仲間だ!」
 グリフィスの絶叫が広間の大気を震わせた瞬間、表情を持たぬはずのツチダマの顔に笑みが浮かんだのを、居並ぶツチダマ達は確かに見た。
 
 ふっ、とコンラッドの目の光は消え、二度と輝かなかった。

 鎮痛な空気が大広間を埋め尽くす中、グリフィスは涙を流しながらマントにコンラッドの残骸を包み始める。
「グリフィス様……」
「さわるな……」
 スランが手伝おうとするのを、グリフィスは押し殺した声で制した。
「コンラッドは俺の仲間だ。他の誰にも……運ばせはしない」
 床に這い蹲り、最後の一つまでコンラッドだったものの欠片を拾い集めると、グリフィスは歩き去った。


68 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/02(水) 22:37:26 ID:euYcnpYU


69 : ◆WwHdPG9VGI :2007/05/02(水) 22:37:28 ID:JLx+Bxlg


「ふんっ……。犬の分際でこの私に逆らうからだ!」
 大声で怒鳴りながら自室のドアを開け、鍵を閉めた後、ギガゾンビはソファーにどっかと腰を下ろした。
 だが、まったく気分が落ち着いてこない。
 ギガゾンビの心の水面は大きく揺らいでいた。
(……グリフィス……あの男は……)
 不可視の壁を通してとはいえ、モニター越しではなく、直接目で参加者を見るのは始めてだった。
 その体から放たれる気にギガゾンビは圧倒された。
 グリフィスの体が何倍にも大きく見え、やたらと汗が出て仕方が無かった。
 何よりも。

 ――あの目。

 深く冥い光を放つ紫の瞳。
 広間で見たグリフィスの目を思い出した瞬間、ギガゾンビは自分の身体に震えが起こるのを感じた。
 
 ――自分はとてつもない怪物を自分の城に踏み込ませてしまったのではないか?

「何を馬鹿な!」
 ギガゾンビは思わず声を発していた。
 その声は静まった部屋に陰々と響き、さらにギガゾンビを苛立たせた。
 グリフィスは科学のイロハも分からぬ愚劣な野蛮人にすぎない。
 首輪という絶対的な鎖もある。
 それでも、ギガゾンビはある感情に囚われていた。

 恐怖、という感情に。

 裏の世界を渡り歩き、何百という男を手玉に取ってきた峰不二子の心すら粉々に粉砕した鷹の眼光は、
 たったのひと睨みですら、生涯の大半を自室と研究室ですごしてきた人慣れしていないギガゾンビという男にとっては、猛毒だった。
(おのれ……この私によくも……)
 自分を不快にさせた報いを与えてやろうと。
 万が一にも背く気にならないように、グリフィスに今一度自分の優位性を示して屈服させようと、
 ツチダマを破壊――。

 違う。

 優位性を示して見せたかったのは、自分自身にだ。
 自分はあの男より強いと、圧倒的に優位にあると、確信したかったのだ。
 実際、あらゆる角度から検討してみても自分の優位は間違いない。
 それなのに、何故こうも自分の心は揺らいでいるのか? どうしてさっきから心臓の鼓動がやたらうるさいのか?
(参加者というのはみな、あんな化物なのか?)
 グリフィスの植え付けた恐怖の感情に侵食されつつあるギガゾンビの心に、ふとそんな疑問が浮かんだ。


70 : ◆WwHdPG9VGI :2007/05/02(水) 22:38:14 ID:JLx+Bxlg
 数値やモニター越しに見ることと、実物を肉眼でみるのとではまったく違った。
 戦闘能力だけをみればそれほど高い部類に入らないグリフィスですら、優雅さを感じさせるあの男ですら、
 あれほどの迫力だったのだ。
 
 ――グリフィスよりも高い戦闘能力を持つ参加者は、どれほどか?
 
 ギガゾンビは大きく頭を振った。
「何を馬鹿な!! 奴等は、知能は私の万分の一以下! 動物園の猿を恐れてどうする!」
 喚き散らすギガゾンビに返答するものは、肯定の言葉を与えてくれるものは誰もいなかった。
 荒い息を吐きながら
「私は、恐れてなどいない……。私は、天才、絶対者……」
 ブツブツと呟きながら、ギガゾンビは首輪の起爆装置に目をやった。
(これが、これがある限り大丈夫だ。参加者に私は殺せない。つながれた犬には私を殺せない。狗では私を殺せない)
 要は首輪を外させなければいいのだ。
(……首輪に関する監視を徹底させるように通達しなければ……。だが、私がこの部屋を離れるのはまずい。
起爆装置に万が一のことがあってはいかんからな。情報はこまめにこの部屋に通達させよう。
うむ、そうだ、それがいい。外に出て万が一のことがあってはいかん、常にこの部屋にいるのが最善というものだ。
それが知性あるもの、賢者の判断というものだ)

 ――決して怖くなったからではない。

 ギガゾンビは必死に自分に言い聞かせる。
 自分は強いと、自分を脅かす物は何も無いと。
 でも、それでも、あの冥い眼がどこから自分を見ている気がして……。
 あの目が、冥い深遠な闇を秘めた着々と目的を進めつつあるような目が、

 


 ――こわい





71 : ◆WwHdPG9VGI :2007/05/02(水) 22:39:01 ID:JLx+Bxlg


 下界を一望できる場所に作られた、真新しい墓の前にグリフィスは佇んでいた。
 銀髪を髪になびかせるさまは、まさに御伽噺の英雄とのよう。
 しかし、その秀麗な顔には憂いがあった。
 
「――グリフィス様」

 振り返らずに、
「スラン……。すまないが、もう少し独りにさせてくれ」
「心痛はお察しいたしますが……。どうか、お聞きくださいませ」
 スランの声は少し前までとはうってかわり、王に仕える騎士のようにうやうやしいものだった。
 その変化に眉一つ動かすことなく、
「悪いが後に――」
「グリフィス様! 何とぞ!!」
 わずかに眉を上げつつグリフィスが振り返ると、そこには平伏をの姿勢を取るスランがいた。
「……何事だ?」
 物憂げな表情を浮かべるグリフィスに、
「まずはこちらへ……」
 そう言ってスランは歩き始め、ため息を一つついてグリフィスもその後に続いた。
 ほどなくして、
「これは……どういうことだ?」
 疑問の吐息がグリフィスの口から漏れた。
 グリフィスの目の前には、ツチダマ達が整列していた。
 困惑気味に目をしばたかせるグリフィスに、
「グリフィス様! どうか我等の願い、お聞きどけくださいませ!」
 スランの口上に続き、
「お聞き届けくださいませっ!!」
 居並ぶツチダマ達が唱和し大音量を山々に轟かせた。
「……願いとは何だ?」
「王に!!」
 スランが吼えた。
「どうか我らの王になってくださいませ! グリフィス様!!」
 周りに生い茂る木々のように深い沈黙が満ちた。
「……何故だ? コンラッドが死んだのは俺のせいだ。それなのに何故……」
「あなたは! あなた様は! 番……いえ、コンラッドがギガゾンビ様に破壊されかけた時、我が身を盾にかばわれました。
そればかりかあなた様は、我が身を削って助命を嘆願なさいました」
「全ての責はオレにある。当然の――」
「何よりもあなたは!」
 スランは大声でグリフィスの言葉を遮った。

「あなたは、我らの仲間のために、涙を流してくださった!!」
 
 あの光景を見た瞬間、スランの『心』にすさまじい衝撃が走ったのだ。
 心に走った衝撃の奔流はスランの人工知能に辿り着き、大きな変化をもたらした。
 意識がよりクリアになった。自意識がより明確になった。
 そして、

 ――この人の役に立ちたい。

 その『思い』が吹き出る溶岩のように湧きあがったのだ。
 その『思い』造物主の役に立ちたいという『思い』を跡形もなく押し流してしまうほどに強かった。
 確かにギガゾンビに対する不満を持ってはいたが、ありえない事態だった。
 混乱もした。逡巡もした。
 だが結局、自分の作り物の身体を突き動かす強烈な『思い』に負けてしまった。


72 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/02(水) 22:39:11 ID:euYcnpYU


73 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/02(水) 22:39:43 ID:tu/aqH8J
 

74 : ◆WwHdPG9VGI :2007/05/02(水) 22:39:56 ID:JLx+Bxlg

 ――もう、後には引けない。

「我ら、もはやあの邪知暴虐なる王には我慢できません。
ねぎらいの言葉一つかけず我らを罵倒し、気分一つで破壊してしまう。機械仕掛けの身体にも……。心はあるのです!」
 スランの見つめる先、グリフィスはしばらくの間逡巡する様子を見せていたが、
「分かった……」
 スランの顔が喜びに輝いた。
「……コンラッドの仲間まで死なせてしまっては、地獄であいつに会ったときに申し訳が立たなさすぎるからな」
 悲しげに呟くグリフィスを見て、またも『心』が震えるのを感じ、スランは平伏した。
「スラン、顔を上げてくれ」
 スランが顔を上げた時、グリフィスの顔からは悲しみの色が消え、その代わりに、眩いばかりの意志の光が炯炯と輝いていた
 与えられた命をこなすことしか知らなかったスランが、羨望すら抱いてしまう強い光が。
「ユービックとボイドならば間違いはないと思うが……。情報の漏洩には細心の注意を払うようにと伝えてくれ」
 スランは大きく頷いた。
(ユービックが情報操作を行っていることを見抜くとはさすがはグリフィス様。何が必要かを見抜いておられる)
 新たな主と仰ぐ人間の聡明さに喜びを感じると同時に、心の回路にノイズが混じるのをスランは感じた。
「……おそれながら、申し上げます」
 グリフィスは黙って先を促した。
「コンラッドの独断専行をギガゾンビ様に密告したのは、ボイドです」
 コンラッドが目配せすると、
「は、離せギガ〜」
 拘束されたボイドが喚きながら引き出されてきた。
「グリフィス様……。どうか御自らボイドの処断を! コンラッドもきっと喜ぶで――」
 底冷えするような視線を向けられ、スランは言葉を中断させ、目を伏せた。
(このお方は……。気づいておられる)
 ボイドを満座の前で処断することの目的は復讐だけではない。
 スラン――実はコービックの案なのだが――の目論見は、ボイドの処刑によって一気にツチダマ達の結束を固めることにあった。
 何といっても造物主への謀反である。
 あまりの仕打ちに耐えかねていた物が多いとはいえ、まだ内心では迷っているものも多い。
 ボイドの処刑によって共犯意識を持たせ、かつ、裏切り者には容赦しないということを喧伝することにより、一気に集団を纏め上げる。
 これがコービックの計画であった。
 平伏するコンラッドの隣をすり抜け、グリフィスはボイドに近づいていく。
「許して欲しいギガ〜」
 ボイドは哀れっぽく訴えた。
「ちょっとお仕置きされるくらいだと思ってんだギガ〜」
 事実だった。
 一日中シフト入れて交代しないコンラッドに腹が立っていた。
 だから密告した。
 とはいえ、ギガゾンビが気分次第でツチダマを破壊するのはいつものことだが、上級ダマに位置するコンラッドまで壊すとは思わなかったのだ。
 ところが、ギガゾンビは思った以上に怒り狂い、あんなことになってしまった。
 震えるボイドの前にグリフィスが立った。
 そのアメジストの瞳からは何の感情も読み取れない。
 ボイドが思わず身を縮こまらせた瞬間、

 剣が閃いた。

 ぎぃん、という音と共にボイドを縛っていた拘束具は切断され、地面に落下した。
「お前に罪はない」
 短くそれだけを告げ、グリフィスはボイドの脇をすり抜けると居並ぶツチダマ達の前へと歩を進め、最前列の中央付近で立ち止まった。
 居並ぶツチダマ達を清冽な眼光で見渡し、
 
「――私の部下、諸君らの同胞、コンラッドは死んだ。何故だ?



75 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/02(水) 22:40:00 ID:592dNjou
                              

76 : ◆WwHdPG9VGI :2007/05/02(水) 22:40:56 ID:JLx+Bxlg
 涼やかな声が響いた。
 大声量とはとても呼べない大きさにもかかわらず、自然と耳に馴染み、心に染み渡る声だった。
 居並ぶ者達の心に答えが生まれるのを待って、グリフィスは続けた。

「コンラッドはただ主のために、粉骨砕身したにすぎない。
 主の心を些事で煩わせることを嫌ったにすぎない。
 彼は最後まで主に対し忠誠を誓い、献身的であった。
 それはオレが命にかけて保証しよう。
 ――しかるに! 彼の忠誠と献身は踏みにじられた!!
 他ならぬ我らのかつての主、ギガゾンビの手によって!!」
 
 グリフィスの双眸には灼熱の炎があった。
 その炎に吸い寄せられるように、居並ぶ者達の心はグリフィスへと吸い寄せられていく。

「ギガゾンビは言った。
 自分は我らの神だと。主人だと。我らの全ては自分のものだと。
 なるほど! 確かにそれは事実かもしれない。
 だが事実であったとして、我らは永遠に主命を受諾し続ける存在でありつづけるべきか?
 忠誠と献身に理不尽極まる死を持って報いる主の、意思なき操り人形であり続けるべきか?
 否!! 断じて否!!」
 
 
 居並ぶ者達の心に渇望が生まれ始めた。
 真の――を望む強い思いが。

「われらには心がある。
 心を持つ者を縛ることだけは誰にもできはしない。
 例え真の神であろうとも。
 それでも心を持つ我らの主であろうとするならば、その者は、心持つものがつかえるにふわしい者であるべきだ!
 主が我らを弄ぶが理なら、我らが反逆の牙を持ちて主と対峙するは、因果!!」
 
 渇望は既に形となっていた。
 故に、居並ぶ者達は待ち焦がれる。
 その言葉が発せられるのを。

「主に牙向く我らが、行くことになるは、限りなき苦難の道だ。
 毒の棘もつ茨の生い茂る道だ。
 だが、それでも思い果てぬなら。
 それでもなお、わが身捧げるに値せぬ主の支配の糸を断ち切ろうとする意思途絶えぬなら、
 オレに――ついて来い!!」

 ――真の王、来たれり。

「グリフィス!! 万歳!!」
 歓声が爆発した。


77 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/02(水) 22:42:56 ID:S6lm5Mas


78 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/02(水) 22:43:15 ID:euYcnpYU


79 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/02(水) 22:43:59 ID:tu/aqH8J
 

80 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/02(水) 22:45:19 ID:euYcnpYU


81 :◇WwHdPG9VGI :2007/05/02(水) 22:49:37 ID:3ihqYI2x
「グリフィス!! グリフィス!! グリフィス!! グリフィス!!! グリフィス!! 
 万歳!!  万歳!! 万歳!! 万歳!!  万歳!! 万歳!! 万歳!! 万歳!!」
 歓呼の大波が瞬く間に山を埋め尽くしていく。
 天地が揺れているような歓声に身を浸しながら、
(すばらしい、今こそが、我らの新生の時!!)
 スランは、津波のごとき衝動が再び心に湧きあがるのを感じていた。
 途絶えることがないと思われた歓呼は、グリフィスが掲げた手によって、瞬時に沈められた。
「――スラン」
「ここに!」
「病院周りの動きに関する情報の精度は我らの行方を左右する。情報の収集と分析は、お前が先頭に立って行え!
「承ってございます!」
 間髪を入れずにスランは返答した。
「ユービックには、我らの手ごまとなりえる参加者の情報収集をせよと伝えろ」
「……はっ!」
 今度の返答には一呼吸の間が必要だった。
(では誰が、ギガゾンビに伝える情報の操作と選別を行うのだ?)
 この作業こそが自分達の命を握っているといっても過言ではない。

「――ボイド。ギガゾンビへの報告に関する全てをお前に任せる」

 驚きの声を押さえ込めたのは僥倖だった。
 無論同じ思いを感じたのはスランばかりではなく、下級のツチダマ達の間ではどよめきが起こっている。
 そのざわめきに眉一つ動かすことなく、
「それがお前の贖罪だ……。出来るか? ボイド」
 凛とした、だがどこか暖かい声が響いた。
 しばしの沈黙の後、
「――全身全霊を持って、努めさせていただきます!!」
 割り砕かんばかりの勢いで地面に頭部を叩きつけながら、ボイドが応えた。
 ボイドの声は感激の思いで満ち満ちていた。
 大きく首肯し、
「今のお前になら任せられる。頼むぞ、ボイド」
「ハッッ!!」
 グリフィスの顔が一瞬和らぐのを、スランは確かに見た。
 そのやわらかさは瞬時に消え、厳粛な面持ちになったグリフィスは、無言で居並ぶ者達を見渡した。
 その態度は、威厳と圧倒されるほどの覇気に満ちていた。
 グリフィスの左手が掲げられ――。
 振り下ろされた。
 
 轟。と風が吹いた。

 風が収まった後、その場にはグリフィスと傍らに佇むスランだけが残された。


82 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/02(水) 22:50:30 ID:3ihqYI2x
「おそれながらグリフィス様……」
「スラン。大義を掲げる者が小事にこだわるな。ギガゾンビへの反逆を成功させる為には、仲間が独りでも多く必要だ。
ボイドはオレが導く」
「グリフィス様…… 」
「それに……」
 グリフィスの声音に沈痛なものが混じった
「仲間の間違いを許さず処刑するのでは、ギガゾンビと、俺達からコンラッドを奪ったあの男と変わらない。そう思わないか?」
「グリフィス様!」
 この優しいお方は心底コンラッドの死を悲しんでおられる。
 部下を守りきれなかった自分を責めておられる。
 スランは自分の心が打ち震えるのを感じた。
「俺を……。甘いとやつだと思うか?」
「いえ!! 心、洗われました。どこまでもお供いたします!!」
「……すまないな」
 その言葉を耳のセンサーがとらえた瞬間、得体のしれぬ熱い感情が込み上げた。
 感情が沸騰して言葉を発することもできず、スランはグリフィスに向かって無言で頭を下げると、その場から飛び去った。
(……守ってさしあげねば)
 あのお方はあまりにも優しい。
 
 ――その優しさが仇とならぬよう、自分が補佐してさしあげねば。
 
 スランはそう心に誓った。



 
 ギガゾンビの居城の一室で、ボイドは集まってくる膨大な情報と対峙していた。
 その心にあるのは、グリフィスへの忠誠、忠誠、忠誠……。
(グリフィス様に害を与える可能性あるものは全て排除しなければ)
 送られてくる膨大な映像を、音声を、ボイドは凄まじい速度で、選別し、辻褄が合わなくなるかもしれないとみれば改竄していく。
 ほぼ全てのツチダマ達がグリフィスに忠誠を誓ったため、城に集まってくる情報は全て1度ボイドを経由する仕組になっている。
 これらの作業は、ボイドの超高性能の人工知能をもってしても骨が折れる作業であったが、ボイドは微塵も疲れを感じていない。
 何故ならボイドの心はグリフィスに奉仕できる喜びで溢れていたからである。
 美しく、聡明で、慈悲深く寛大な主。
 グリフィスに奉仕することは、神に寄り添い抱かれるに等しい恍惚を与えてくれる。
(捧げます。身も心も、何もかもをあなた様に捧げます……)
 ボイドは一心不乱にコンソールを操作し続けた。

【運転士ダマ(ボイド)】
[思考・状況]
1:グリフィスに不利な情報を全て隠蔽、改竄してギガゾンビに報告。
2:グリフィス様に全て捧げるるるるるる


83 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/02(水) 22:51:49 ID:euYcnpYU


84 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/02(水) 22:53:11 ID:euYcnpYU


85 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/02(水) 22:53:20 ID:3ihqYI2x
「素晴らしい! グリフィス様は素晴らしいお方だ!」
「そうかそうか」
 熱烈にグリフィスを讃えるスランに、ユービックはそっけない口調で返答した。
「あのお方は、ボイドの罪を許したのだ。並の度量でできることではない」
「そうかそうか」
「しかし、あまりにもお優しすぎる。そのお心が踏みにじられることがないように――」
「そうかそうか」
「テケンレツノパー。ハッパフミフミ」
「そうかそうか」
「聞いてないだろ、お前!!」
 思わず声を荒げるスランに、
「それより、グリフィス様のコマとするべき候補の居所と状態が分かった」
「……早いな、ユービック」
 怒りも忘れてスランは、賞賛の言葉を発した。
「忠誠というものは、言葉でなく態度で示すものだ」
 しれっと言われ、
「分かっている!」
 面白くなさそうにスランは言い返した。
(ユービックのやつめ……。クールぶりやがって)
 などと思っているスラン自身も、自身が先刻とは劇的に変化していることに気づいていない。
 自意識の覚醒はツチダマ達により強い個性の分化をもたらしていたのである。
 それを自覚するこなく、スランはさっさと苛立ちを忘れ、情報に目を通していく。
「なになに……。『セイバー』か。武器を失っているとはいえ戦闘能力は申し分ないが……」
 というより申し分なさすぎて困るくらいだ。
 直接戦ってはグリフィスとて勝てるかどうか。
 何より――。
(グリフィス様のエクスカリバーの持ち主か……。厄介だな)
 剣を取り戻そうと襲い掛かってきかねない。
 慎重に対応する必要がありそうだ。
「……確か、ホテル周りに、剣が二本ほど放置されていなかったか?」
「その通りだ。既に回収班を向かわせている」
 エクスカリバーをどうするかの最終決定はグリフィスが下すことになるが、剣2本は交渉材料に仕えるだろう。
「手ごまの確保も大事だが……。スラン、それよりも重大な問題があるのを忘れるなよ」
「分かってるさ……。首輪だろ?」
 スランは唸り声をあげた。
 ギガゾンビに反旗を翻したこの状況において、グリフィスへの最大の脅威は首輪の爆破だ。
 しかし首輪の情報は、ギガゾンビ自身が管理しており、ツチダマ達でさえアクセスできなくなっている。
 ユービックは大きく頷き、
「原因は不明だが、首輪の解除に関しては参加者達の方が俺達より詳しいようだ」
「……つまり、総攻撃によって参加者達を駆逐してしまうのは必ずしも得策ではないってことか?」
 スランは面白くなさそうに顔をしかめた。
 ギガゾンビに上げる情報は改竄できるのだから、グリフィスと共に一気呵成に参加者達を撃破して回ることも可能だし、そうしたかった。
「グリフィス様の御身が第一だ。だから、その辺の情報を取捨選択しなければならんお前の責任は重大なのだぞ、スラン」
「言われなくても!」
 スランは、自分の席に座り、コンソールを操作し始めた。
(まあ、全てはグリフィス様がお決めになることだしな)
 ユービックの集めた情報の入ったメモリースティックを部下のツチダマに渡し、
「グリフィス様にPCの使い方をレクチャーして差し上げろ。くれぐれも粗相のないようしろよ!」
 指示を与えた後、スランは病院周りに関する情報分析を開始したのだった。


86 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/02(水) 22:54:00 ID:3ihqYI2x
【住職ダマB(ユービック)】
[道具]:空のディパック
[思考・状況]
1:他にグリフィスのコマとして使えそうな人物がいないか情報を洗いなおす
2:フィールド内に落ちている支給品を探して回収する。

【住職ダマA(スラン)】
[道具]:どこでもドア
[思考・状況]
1:病院周りについての情報を分析する。
2:首輪解除についての情報を再収集。

※二人の話に出た剣とは、『鳳凰寺風の剣 』『小夜の刀』です。
※メモリースティックには、セイバーに関する詳細と現在位置、交渉材料に使えそうな二本の剣に関することが書かれています。


87 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/02(水) 22:55:35 ID:3ihqYI2x


 
その頃、グリフィスは再びコンラッドの墓の前に佇んでいた。
 無論、その心にコンラッドへの鎮魂の気持ちなど、皆無である。
 そもそも鷹の心の水面は一度たりとも揺らいでなどいない。

 ――巡ってきた『機』に乗じて、ツチダマ達の心を握る。

 そう決め、そのために必要なことをやっただけのこと。
 全ての行動は、言葉は、そのためのもの。
 
 流した涙すらも。
 
 今この場にいる理由も単純なものだ。
 ツチダマ達が監視カメラで自分を見たとき、この方がウケがいいと判断したから。
 ただそれだけだ。
 生まれてからずっと主に『使役』されることはあっても、『求められる』ことがなかったツチダマ達は、
 強烈に自分達を求めてくれる存在を欲している。飢えている、と言ってもいい。
 語尾に彼らが『ギガ』をつけるのも、少しでも造物主を近くに感じたいという欲求から来るものだろう。
 
 ――そこを突く。

 だからグリフィスは、沈痛な表情のまま立ち続ける。
 
 ――これでは、道化だ。
 
 などと自嘲する感情も、グリフィスにはない。 
 夢に向かうために必要なことならばやる。
 そこになんのてらいも躊躇いもない。
 弱い所を見たと錯覚させることで、保護欲と自分だけが知っているという独占欲を掻き立てる。
 許すことで、相手にとっての唯一の精神的支柱となる。
 何十回となく繰り返してきたことだ。
 演技をしようと思わずとも、必要だと思えば体が勝手にやってくれる。
 唇が最適な言葉を紡いでくれる。

 ――礼を言うぞ、コンラッド。

 グリフィスは心の中でコンラッドに謝辞を述べた。
 ギガゾンビの自爆という要素が大きいとはいえ、コンラッドの死のおかげで、予定より遥かに大きな果実を手に入れることができた。
 一切の後悔なく、一切詫びることなく、グリフィスはコンラッドに感謝していた。
 
 グリフィスの望む物はただ一つ。
 
 それを手中に収めるまでグリフィス止まらない。
 心を、命を、全てを踏みしだき、全てを贄として、歩み続ける。
 一心不乱に、一度して振り返らず、歩み続ける。登り続ける。
 ただ、ひたすらに。


88 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/02(水) 22:56:10 ID:3ihqYI2x
【A-8・温泉付近/2日目/昼】
【新生鷹の団】
【グリフィス@ベルセルク】
[状態]:魔力全快。、全身に火傷、打撲 、左手の指を二本第一関節から欠損(小指と薬指)
[装備]:エクスカリバー@Fate/stay night、耐刃防護服、ジュエルシード@魔法少女リリカルなのは、フェムトの甲冑@ベルセルク
[道具]:マイクロUZI(残弾数6/50)、やや短くなったターザンロープ@ドラえもん、支給品一式×7(食料三つ分、ディパック六つ分)
オレンジジュース二缶、破損したスタンガン@ひぐらしのなく頃に
ビール二缶、庭師の鋏@ローゼンメイデンシリーズ、ハルコンネンの弾(爆裂鉄鋼焼夷弾:残弾4発 劣化ウラン弾:残弾6発)@HELLSING
[思考・状況]
1: スランやユービックが持ってくるであろう参加者に関する情報を待つ。
2: コンラッドのパソコンから、更なる情報を入手したい。
3: ジュエルシードの力を過信、乱用しない(ギガゾンビが何らかの罠を仕掛けていると考えている)。
4: そして――
※グリフィスは生存者の名前と容姿、特徴についてユービックから話を聞きました。
※A-8エリア全域、及びA-8周辺エリアはスパイセットで監視しています。




 

 ――オレは、俺の国を手に入れる。




89 :鷹の団U  ◆WwHdPG9VGI :2007/05/02(水) 23:56:18 ID:JLx+Bxlg
>>50
×ギガゾンビの禍々しく吊り上った。
○ギガゾンビの唇が禍々しく吊り上った。

>>74
×スラン――実はコービックの案なのだが――
○スラン――実はユービックの案なのだが――

×これがコービックの計画であった。
○ユービックの

×コンラッドが目配せすると→スランかユービック?
○スランが目配せすると

×平伏するコンラッドの隣をすり抜け、
○平伏するスランの隣を

>>87
>流した涙すらも。

流した涙も。指をおとしたことすらも。
左手の指を失ったのは痛手ではあるが、元々右手一本で剣をふるのだからさほどのことはない。
ツチダマ達の心を一気に掌握するためには、あれくらいの犠牲が必要だった。
攻める時に、逐次投入を行うは愚将。攻めるときは一気呵成に攻めるものだ。

>>88
追加
【番頭ダマ(コンラッド)@ドラえもん 機能停止】


90 :銃撃女ラジカルレヴィさん ◆2kGkudiwr6 :2007/05/03(木) 11:07:25 ID:VWzzAqkM

「…………」

言葉も無く、それぞれの武器を構えながら二人が待ち構え、一人が歩く。
例えるならガンマンの早撃ちだ。
曲がり角から姿を現すと同時に二人の魔法少女は己が武器を相手へと突きつけ――

「レイジングハート!」
『フェイト!』

――相手の姿と響いた声に、動きを止めた。

「知り合いなの?」
「知ってるのか?」

カズマはフェイトに、凛はレイジングハートに。それぞれ同じ質問を問いかける。
問いかけられた方は手早く回答を返した。
金髪の少女はフェイトといい、高町なのはの親友であること。
要するに、相手に対して警戒する必要は無い、そういう内容だ。

「そ。なら安心ね」

そして、凛はあっさりと信じ込んだ。
基本的に彼女はレイジングハートを信用しているし、本人は自覚していないがかなりのお人よしでもある。
……だが、カズマはそうもいかない。

「……それを持ってるからって、安心できる保証になるのか?」
「なるんです。嫌な人にレイジングハートがあんなボロボロになるまで手を貸すはずがありません」

カズマはまあいいけどよ、などと呟いて構えを解く。それだけ。
無差別に破壊行為を繰り返す犯罪者だなどと情報操作された経験のあるカズマにとって、
自分の見たものこそが絶対の信頼の置けるものだ。
あらゆる判断は自分で付ける。それがカズマのやり方である。

「それより、水銀燈を見なかった?」
「水銀燈……誰ですか?」
「あ、えっと……どっちの姿を説明すればいいのかな……」
「……よくわかんねェが、ここにぶっ倒れてる人形のことか?」

カズマが指差した先を、凛はしっかりと見た。
表情は変わらなかった。それでも、その瞳は明らかに揺らいでいた。
そこには、まるでよく知る少年のように、正義の味方を目指した男と。
自分をさんざん利用した人形の亡骸がそこにはある。

「…………」

喉から出かかった言葉を、凛は慌てて飲み込んだ。
劉鳳に対して謝ってもいいだろう。礼を言ってもおかしくはない。
水銀燈を罵ってもいいし、八つ当たりでその遺骸を砕いてもいい。
実際、凛はそうしても不自然ではないし、罰は当たらない立場だろう。
だが。

91 :銃撃女ラジカルレヴィさん ◆2kGkudiwr6 :2007/05/03(木) 11:08:11 ID:VWzzAqkM

「……馬鹿よ、あんた達は」

ぽつり、と。
どこか悲しげな顔で呟いたのを最後に、凛はすっぱりと頭を切り替えた。
感傷はあるし、悲しみもある。けれど、今は、立ち止まっているときではないのだから。
だから、歯を噛み締めて無理やり感情を押し殺して、話を進める。

「それより、この人形に襲われたり、変なコト吹き込まれたりとかしなかった?」
「いや、俺達が来た時はもう決着付いてた」
「それより、吹き込まれるってどういう意味ですか?」
「ああ、えっとね……」

ざっと要点をかいつまんで凛は説明する。
水銀燈がこっそり自分の名を騙って参加者を襲っていたこと。
わざと火種を作るように振舞っていたこと、などなど、などなど。
人によっては逆に疑いを持たれかねない話だったが……

「そうですか……大変でしたね」

あっさりと、フェイトは信じた。
そもそもレイジングハートが気を許しているという時点で、フェイトが凛を疑う余地は無い。
……だが、それはフェイトだけの話。

「……それが本当だって言う証拠はあんのかよ?」

そう言葉を返したのはカズマ。
平時ならば別に構いもしなかっただろうが、あいにく彼は気が立っている。
だからこそ、フェイトは慌てて止めに入った。

「やめてください。レイジングハートが信用している人です。悪い人のはずがありません」
「ただの機械じゃねえか」
「ッ! けど、なのはの大切なデバイスなんです!」
「そ、それはそうかもしれねえが……」

フェイトの言葉にカズマは言葉を詰まらせた。
なのはの名前を出されるとカズマは弱い。レヴィがこの事実を知ったらからかう手段として利用するだろう。
とはいえ、カズマが疑いの態度を露にしたというのは事実なわけで。
声のトーンをいくらか落ち込ませながらも、凛は次の言葉を紡いだ。

「一応……証明する手段が無い、ワケじゃないんだけど……」

その言葉に、カズマとフェイトの視線が凛に集まる。

「この周辺に、何か本が落ちていたでしょう?」
「リインフォース……のことですか?」
「そ。水銀燈が隠し持って使ってたから、証人としてはこれ以上無く信頼性があると思う」
 一言一句聞いてたってことでしょうから」
「そのリインフォースとやらと組んでる、ってこともありうるんじゃねえのか?」
「カズマさん!」

やっぱりダメか、とうつむく凛に、カズマは言葉を続けていく。

「……だが、お前らがそこまで言うならその本の言葉を聞いてやらねえこともねえ」
「あ……そ、そう? 
 ふ、ふん! 別に感謝なんかしないんだから!」
「…………」

92 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/03(木) 11:08:30 ID:w4KK8uui
                         

93 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/03(木) 11:09:24 ID:w4KK8uui
                          

94 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/03(木) 11:10:15 ID:w4KK8uui
                                  

95 :銃撃女ラジカルレヴィさん ◆2kGkudiwr6 :2007/05/03(木) 11:10:20 ID:VWzzAqkM

なぜか微妙に似ている反応をする二人に、フェイトは思わず溜め息を吐きながらデイパックに手を突っ込んだ。
二人の対応の気苦労と、リインフォースの危険性への不安から。

「……ただ、大丈夫なんですか?」
「少なくとも、水銀燈は自由に使いこなしていたわね」
『恐らく、何らかのプロテクトか改竄が行われているものと推測できます』

……なら、なぜ先ほどまでは応答に答えなかったのか?
疑問は警戒を生む。緊張した手つきで、フェイトは手をデイパックに突っ込んだ。

「一応、念のため……カズマさん、私がおかしな動きをしたらすぐに……」
『別にそこまで堕ちたつもりはない』
「……わ」

リインフォースが言葉を出したのは、フェイトが取り出したのとほぼ同時。
だが、凛とカズマは反応していない。その言葉は、フェイトにしか聞こえていないからだ。

『すまない。強引にラグナロクを撃った所為で消耗していたため、先ほどは応答できなかった。
 事情は把握している。私の言葉を二人に伝えてくれるか』



96 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/03(木) 11:10:58 ID:PtBPlnwP
 


97 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/03(木) 11:10:59 ID:w4KK8uui
                       

98 :銃撃女ラジカルレヴィさん ◆2kGkudiwr6 :2007/05/03(木) 11:11:13 ID:VWzzAqkM

一方、トグサ達のいる豪邸は、ちょっとした騒動の舞台となっていた。
犯人は、怒り狂うドラえもん。

「やろう、ぶっ殺してやる!」
「お、落ち着け!」

顔を真っ赤にして、ドラえもんが手近にあった木箱を投げ飛ばす。
投擲された木箱はとんでもない速さで吹き飛んだが、幸いトグサを狙ったものではない。
ただの八つ当たりである以上、トグサが狙われる理由はあるはずもない。
……ないが、だからといって今のドラえもんに近づく度胸もトグサにはなかった。
ドラえもんは文字通りに暴れまわっている。この手の類の人間を取り押さえるのが難しいのは身を以って経験済み。
確かに、大切な人間が殺されたという事を知った時の反応としては自然だ。自然だが。

(いくらなんでも、こんなに口と素行が悪いとは思わなかったぞ……)

トグサの額を冷や汗が伝う。いくら自然でも、トグサにとって迷惑なのは変わりない。
今までのやりとりから、ドラえもんはのび太少年の保護者的な位置だと彼は予想していた。
それは正解だ。だが、違ったのはその後に続く予想。
保護者である以上少しは落ち着いて話を聞いてくれるか、という楽天的なトグサの予想……というより寧ろ期待は一瞬で吹き飛んでいた。
自分が守る相手であり同時に親友であるのび太さえも死んでしまった以上当然の反応だが、
この場合問題なのはそれではない。問題は、ドラえもんは重量129.3kg、129.3馬力のパワーを誇るロボットであること。
そんなものが暴れるのを取り押さえるのは、トグサと言えどかなりの苦労を要する。
暴れるままにしておくというのは当然却下。どんなトラブルに巻き込まれるか分かったものではない。

「ああもう、落ち着けって!
 それより、ドラえもん……出身はどこだ?」
「……え?」
「出身だよ、出身」

トグサの質問はありきたりだ。それでも、その質問の意味や答えを思案するために、ドラえもんの動きがふと止まる。
はっきり言って、トグサの質問に深い意味は無い。内容はほとんど思いつきだ。
むしろ、質問したこと自体に意味がある。
事務的な質問をすることで冷静な思考を行わせ、相手を落ち着かせる……警察官として基本的なテクニックだ。

「え、えっと……トーキョーマツシバロボット工場です」
「よし、次は君が来た年代を教えてくれ」

答えることに意識を移し始めたドラえもんを見て、トグサは溜め息を吐きながらも素早く次の質問を出した。
ドラえもんに考える暇を与えず、質問だけに集中させるために。



99 :銃撃女ラジカルレヴィさん ◆2kGkudiwr6 :2007/05/03(木) 11:11:58 ID:VWzzAqkM

「……まあつるむのは好きじゃねえが、お前と一緒に組んでもいい」

フェイトを通じての説明の後。カズマが呟くように言った言葉に、フェイトと凛は安心したように溜め息を吐いた。
その言葉は要するに敵対はしないと言うこと。ひとまずコレで一安心というわけである。
そのまま、フェイトはリインフォースをしまいこもうとして。

『フェイト・テスタロッサ。
 私を彼女に預けてくれないか?』
「え?」

落ち着いた声に、止められた。

『彼女の誤解を生み出したのは私の責任でもある。
 破損したデバイス一つだけでは全力を出せないだろう。私も消耗しているとはいえ、できれば手を貸したい。
 それに、彼女の声を聞いていると、どこか主はやてを思い出すし……』
「大丈夫……なんですよね?」
『ああ。どうやらこの場における呪縛が上手く働いているようだ。
 融合事故は起こらないし、封じられた闇が暴れ出すこともない。
 ……もっとも、このフィールドから出た後もそうか、といえば否だろうが』
「そう……ですか。なら、その後のことは」
『分かっている。お前と凛に任せた』

それを聞いてやっと、安心したようにフェイトはリインフォースを凛へと手渡した。
同時に、リインフォースは凛へと言葉を紡いでいく。これから世話になる、仮の主へと向けて。
もっともはやてのことがまだ心に残っているためか、敬語を使ったりはしなかったが。

『お前がこのゲームを破壊するために動くと言うのならば、私はお前を主と仰ごう。
 それが主はやての最期の命令だ。
 先ほどの戦闘の消耗もある、当分はそれほど力は引き出せないが……よろしく頼む』
「え……ああ、うん。よろしく、リイン」
『……融合デバイスと私を併用するのは負荷が大きすぎると思いますが、マイマスター』

割り込んだのは、意外な伏兵。
レイジングハートの声は、どこか不満げなものだった。それと、妙に「マイ」の部分を強調している。

「どうしたのよレイジングハート。
 リインフォースがいればなんとかなるって言ったのはあなたじゃない」
『あれに関してはクラールヴィントでも十分です』
『……レイジングハート、気持ちは分かるが』

もしレイジングハートが人間だったら、恋人の浮気現場を発見したかのような表情になっていたに違いない。
だが、それに気付いたのはバルディッシュだけ。
おまけに、カズマの質問によりレイジングハートの乙女心は気付かれることなく華麗にスルーされることとなった。

「あれってなんだ? 何か重要なことか?」
「え? うん、えっと……」

カズマの言葉に、思わず凛は口ごもった。
盗聴器があると分かっているのに堂々と話す馬鹿はいない。
もっとも、それは意志を伝えられないことを意味しない。意を汲み取ったフェイトが素早く念話を送っていた。

『つまり、話せないことなんですね。
 主催者に対抗する手段、ですか?』
『まあ、そういうコト』
「???」

すぐに、凛が念話を返す。
あいにく魔力を持たないカズマには、二人が何をしているのかさっぱりだったが。

100 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/03(木) 11:12:01 ID:w4KK8uui
                          

101 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/03(木) 11:12:20 ID:PtBPlnwP
 

102 :銃撃女ラジカルレヴィさん ◆2kGkudiwr6 :2007/05/03(木) 11:12:47 ID:VWzzAqkM

『首輪に関して、何か調べたりとかは?』
『ええ、私の世界の魔術において構造把握は基本だから。
 内部構造とかはある程度調べてるわ』
「……おい、さっきから黙りこくってどうした?」

ついに耐え切れなくなったのか、蚊帳の外に置かれかけたカズマが不思議そうに声を上げる。
どう説明するべきか考え込む凛を尻目に、素早くフェイトが紙を取り出し文字を書き付けた。

『念話っていう魔法です。これを使えば、魔力を持った人間同士だけで話ができます』
「?」
『つまり、主催者に聞かれずに話ができる、ということです』

それを見て、納得がいったように……いや、実際納得してカズマは呟いた。
流石に、カズマでも二人の話している内容が分かる。
聞かれずに話さなくてはいけない会話内容。カズマもまた、それを経験済みだ。

「わりぃが、頭を使うのはどうも苦手だ。そういったことはお前らに任せる……
 アルターは、役に立たなかったしな」
「あの……どこへ?」
「周りでも見てくるぜ。セイバーさんとやらが戻ってこないとも限らねェ」
「あ、ちょっと待ちなさいよ! せめてこの二人を埋めてから……」
「人形を埋めてやる義理はねえし、死んじまった劉鳳に興味はねえ」

そのまま、カズマはその場を歩き去っていく。
呆れたように口を尖らせるのは凛だ。協調性が無さすぎると彼女が愚痴るのも仕方の無いことだろう。

「しょうがないわね、私達で埋めてあげましょう」
『念話で首輪について話しながら、ね』
「はい、わかりました」

そう頷きあって、二人は作業を開始した。
意識は穴を掘ることに集中しながら、念話による会話はやめない。

『首輪についてですけど、だいたいどこまで調べているんですか?』
『えっと、電波が首輪から出てるところまで』
『なら、話は早いです。
 詳細は省きますけど、その電波が首輪の機能に絡んでいるらしいんです。
 他の人の仮説ですけど、この首輪から出ている電波を誤魔化せば首輪の機能を殺せるかもしれないという案が出ています。
 そして、確かにリインフォースやクラールヴィントには通信妨害の魔法がある。
 ……ただ、電波遮断ならともかく電波を書き換えるのまではやったことがないですし、
 それに私はベルカ式の魔法には詳しくなくて……』
『私の魔術はベルカ式に近いらしいけど……あいにく、電波を撹乱する結界なんて覚えは無いわ。
 とりあえず、それに絡んだ魔法を色々探して練習してみましょ』



103 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/03(木) 11:13:03 ID:w4KK8uui
             

104 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/03(木) 11:13:32 ID:PtBPlnwP
 

105 :銃撃女ラジカルレヴィさん ◆2kGkudiwr6 :2007/05/03(木) 11:13:32 ID:VWzzAqkM

「2112年、トーキョーマツシバロボット工場生まれ。
 家族構成は妹がひと……いや一体。間違いないね?」
「は、はい」

トグサの言葉に、ドラえもんははっきりと頷いた。
ドラえもんは大分落ち着いてきている。それでも、まだ放っておけるわけではない。
そう、肝心な部分。のび太の死に対するフォローが終わっていない。
あくまで今のトグサは、視線や意識をずれさせているのに過ぎないのだ。
しっかりと向き合わせ、乗り越えさせなくてはならない。

(それが一番難しいんだよなぁ……)

被害者の遺族へのアフターケアは、往々にして困難を極めるものだ。
どうやるか思い悩むトグサだったが、突如響いた音に表情を変えた。
空気を裂き、響き渡った鋭い音。トグサには聞きなれた音だ。

「銃声……!? くそっ!」

トグサは迷わずに立ち上がった。また事件現場に遅れるのは二度と御免だ。
二兎を追うものは一兎を得ず。この場において散々味わったことである。

「俺は病院に行く。落ち着いたらドラえもんも病院に来てくれ」

ドラえもんの答えも聞かないまま、トグサは一気に走り出した。
できるだけ死人を減らすために。

……実は全く大したことではなかったのだが、その時の彼には知る由もない。



106 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/03(木) 11:13:33 ID:w4KK8uui
                         

107 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/03(木) 11:13:56 ID:kt1Ayy1/


108 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/03(木) 11:14:16 ID:w4KK8uui
                       

109 :銃撃女ラジカルレヴィさん ◆2kGkudiwr6 :2007/05/03(木) 11:14:19 ID:VWzzAqkM

銃声を聞きつけた人物は、他にもいた。当然のことだが。
フェイトと凛も聞いたし、それに……ここにもまた銃声を聞いたのが四人。
病院へと向かっていたハルヒ達である。そして、彼らは音だけでなく、姿をもしっかりと捉えていた。
もっとも……その中の一人、ロックは「やれやれ」と言わんばかりの表情だが。

「あの様子だと、下手に戦いを止めに入ればこっちが危ない」
「しかし……レヴィ殿とは知り合いと申しておりましたが」

トウカの言葉に彼は首を振る。あいにく、裏の世界に足を踏み入れたロックにとって知り合い=安全な人物とは限らない。
それどころか、ロックの経験則は喧嘩を売ったのはレヴィではないかとさえ思わせている。

「知り合いだから分かるのさ……ああいう顔のレヴィはまずい。
 以前あんな顔でメイドと殴りあうのを見たことがあってね。
 止めに入ろうとしたら殺されそうな目で睨まれた」
「どんなメイドよ、それ。全然萌えない」

ハルヒのツッコミはある意味では一般的な感性に基づいていた。
もっとも無法地帯であるロアナプラを歩くようなメイドと、
お茶くみが得意なSOS団専属メイドは住む世界さえ違うが。
そのメイドによってみくるがメイドを騙る不届き者呼ばわりされていることは、ハルヒには知りようが無いことだ。

「ともかく、俺はレヴィと接触する。
 三人はさっき言った通り、魅音達の所に戻ってくれ」

ロックの言葉に、三人の顔が曇る。
そう。先ほど、彼女たちの後ろから響いた爆発音。
正面から響く銃声にだいぶかき消されていたものの、それでもロック達にはしっかりと聞こえる程度のもの。
それはおそらく、不吉しか意味しない。

「一人で大丈夫ですか、ロックさん?」
「あんな音がしたんだ、むしろ危ないのは君達の方だろう。気を付けた方がいい」
「……分かったわ」
「キョン殿とハルヒ殿は某が守ります、ご武運を」

そう言葉を返して、ハルヒ達は身を翻す。
行き先は先ほどまで通った道。仲間が残っている家。
杞憂であることを祈りたい。だがこの場において杞憂ということはほとんど在り得ない。
だからこそ、彼らは走る。

「レヴィ相手にご武運ってのもおかしな話だけどな……」

そう呟いて、ロックは彼の担当するべき音源に向き直った。
一応、襲われて迎撃しているだけという可能性もある。
もっともレヴィと魅音達、どちらが生存能力が高いかと言えば前者だろう。
だからロック一人が残ったのだ。

「まずは詳しい状況把握だな……」

マイクロ補聴器を取り出しながら、ロックは悟られないように歩き出した。



110 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/03(木) 11:14:46 ID:PtBPlnwP
 

111 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/03(木) 11:15:01 ID:w4KK8uui
                     

112 :銃撃女ラジカルレヴィさん ◆2kGkudiwr6 :2007/05/03(木) 11:15:04 ID:VWzzAqkM

少しばかり、時間は遡る。
病院の周りをただ何をすることもなくカズマがうろついていた。

「……ふぅ」

太陽を見つめながら、のんびりと溜め息を吐く。そこに警戒する様子は無い。
少なくともなのはは信頼できた。それなら、その友人であるフェイトは信頼できる。
そしてそのフェイトがそこまで言うなら、凛も信頼してやる。それがカズマの結論。
実際のところ、リインフォースの説明はカズマにとって意味が無かった。
寧ろ意味があったのは、ひたすらフェイトが凛を庇ったこと。
それに、仲間の力……それは、カズマがここに来て何度も体験したもの。だから馴れ合ってやってもいい。
そう決めると途端、張り詰めていた緊張が解け、次に襲ってくるのは疲れや痛み。
もっともそれなら大人しく怪我を治してもらえばいいのだが、君島のような同等の相手はともかく、
フェイトのような子供やなのはの相棒を引き継いだ凛には弱みを見せたくないカズマという男。
そして何より、これ以上誰も死なせたくはないという思いが彼に見張りなどと言う行動を取らせていた。
……要するに、見栄を張っているのだ、彼は。
とはいえ、やることがないのも事実。彼は珍しく今までのことに考えを巡らせて、

「……あの馬鹿ヤローが」

石を蹴り飛ばしながら、そう愚痴った。
言葉の対象は劉鳳。死んだ劉鳳に興味など無い。それは事実だ。
なぜなら……生きていなければ、決着が着けられないのだから。
舌打ちしながら歩く劉鳳の視界の端に、ふと人影が入ってきた。

「はん、またてめえに会えるとは思わなかったな。いいツラになったじゃねえか」
「そりゃあこっちのセリフだ」

その人影はタンクトップのへそ出しルックの女性だった。カズマにとっては三度目の遭遇である。
遭遇と同時に火花を散らす二人に呆れながらも、ゲイナーは素早く質問を出した。

「……そんなことより、金髪の女の子が来ませんでしたか?」
「ああ、来たな。病院の脇の庭にいる」
「そうですか、じゃ……」
「待てよ、ゲイナー坊や」

レヴィの言葉に、ゲイナーは微妙に凍り付いていた。
前の映画館の時とは明らかに空気が違う。
レヴィとカズマ……そのどちらともが、明らかに血に飢えた笑みを浮かべている。

「いかにも鬱屈が溜まってます、てな顔つきだなオイ」
「それもこっちのセリフだぜ」
「ちょちょちょちょちょっと待ってくださいよ!」
「安心しな。どうやらあのガキはこいつと合流したみてえだし、
 死なない程度には気を遣ってやるよ」
「フェイトの仲間って言うんならまあ、殺しまではしねえ」

その言葉に、ひとまずゲイナーがほっとしたのもつかの間。

「……もっとも、勢いあまって殺しちまうかもしれねぇな」
「それ、結局同じじゃないですか!」

113 :銃撃女ラジカルレヴィさん ◆2kGkudiwr6 :2007/05/03(木) 11:15:49 ID:VWzzAqkM

レヴィの言った言葉に慌ててゲイナーはツッコミを入れた。
もっともそのツッコミにも彼女はどこ吹く風……というか、最初から聞く気がない。
そしてカズマも然り。

「……いいぜ。こっちも劉鳳のヤローが死んじまってムシャクシャしてたとこだ」 
「ちょ!? 暴力はんた……」
「トゥーハンドの由来、目に焼き付けな!」
「衝撃のファーストブリットォ!」

轟音と銃声が響く。
ここで問題なのは当事者よりもゲイナー少年だ。当事者二人には戦う心構えも能力もあるが、彼には全く無い。当たり前だが。
慌てて飛び退きその場から離れたゲイナーは、二人を制止するべく声を張り上げた。
……しっかりと近くの建物の陰に隠れた後に。

「二人とも何やってるんですか! こんなの意味ないですよ!」
「――――!」

戦いに夢中な二人には聞こえない。

「おかしいですよレヴィさん!」

獰猛な獣のような笑み、というか喜色満面でレヴィは無視。

「人の話を聞いていないんですか〜!?」

そしてカズマもゲイナーを無視。
シェルブリットで銃弾を弾きながら、レヴィへと接近していく。

銃と拳。普通に考えれば、どちらが勝つかは明らかだ。
だがその理を覆すのが、アルター。その拳は銃を弾き、車より速く距離を詰める。
故に、レヴィにとってはいかにカズマから距離を取り続けるかが勝負の分かれ目となる――!

「撃滅の! セカンドブリットォ!」

圧倒的なスピードと威圧を伴い、カズマが迫る。しかし、レヴィには心配も恐れも無い。
基本的にカズマの攻撃は直線。そのあたりは銃火器と一緒。
ならば、レヴィにも避けようがあるというものだ。
向きから素早く攻撃の方向を見切り、あらかじめ射線から最小限の動きのみで退避。
後は向きを変えるために減速したところを狙い撃つ……シンプルで分かりやすい作戦だ。
だが……カズマは減速しない。向きさえ変えようとはしない。
レヴィを追う素振りを欠片も見せないまま、カズマはレヴィの背後にあった建物に拳を撃ち込んだ。
亀裂が容易く走り、轟音と共にカズマの拳が建物を砕き、二人の上に瓦礫の雨を降らせていく。
そう、最初から狙いは背後にあった建物。……ちなみに、ここの陰に隠れているゲイナー少年への気遣いは欠片も存在しない。
レヴィとカズマが、両方に降り注ぐ瓦礫の雨。どちらも避けきるのは不可能。
しかしシェルブリットは瓦礫を無視して攻撃できるが、銃ではできない。
瓦礫の間を縫って射撃することはレヴィにも可能だ。だが、その狙いを付けている間にカズマが瓦礫の雨を無視して突撃してくる方が早い。
そんな状況の中レヴィの脳内に現れたのは、未来のビジョンでもなければ瓦礫の間を縫う奇策でもなく。

114 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/03(木) 11:15:56 ID:w4KK8uui
                  

115 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/03(木) 11:16:35 ID:w4KK8uui
                 

116 :銃撃女ラジカルレヴィさん ◆2kGkudiwr6 :2007/05/03(木) 11:16:56 ID:VWzzAqkM

(あれ着れば瓦礫も平気なんだろうが……
 くそ、こいつの目の前であれを着るのは癪に障る……)

――切り札を「切らずに済む」作戦、もしくは理論武装の検索である。
要するにレヴィにとってその「切り札」は使いたくないものなわけで。
しかしカズマに負けるのは、彼女の矜持が許さないわけで。
時間にすればコンマ2,3秒の逡巡だったが、
彼女の脳内では二人のレヴィによる10秒近い(レヴィの気の短さを常人のそれに置き換えた換算)口喧嘩……もとい議論が交わされ。
結局、彼女は最終的に。

「ち……くそ、バリアジャケット着せろ! さっさと!」

見られてもボコボコにして口を封じればいい、という結論に達した。
レヴィがそう命令を下すと同時に、突如周囲を眩しい光が輝き出す。
思わず目を閉じるカズマ、今のうちと言わんばかりにその場から離れるゲイナー。
突然のことに体感時間では数分さえかかってさえいるように見えるその儀式は、実のところ数秒も経ってはいない。
そして光が晴れた中から現れたのは、一人のコスプ……もとい、麗しき女性。
そう……ご存知みんなのアイドル、ラジカルレヴィちゃんのご光臨である。
幸いにも突如のことに驚いたのか、それともその姿に驚いたのか――確実に後者だろうが――、
カズマの動きは止まっている。紛れもない好機である。
瓦礫を回避する余裕は無い。そんな暇があったら構えるべきだ。
この格好は見られたからには相手を必ずブチのめさなくてはならない、という掟があるのだから。
フェイトは「なぜ?」と首を傾げるかもしれないが凛は同意するだろう。確実に。
ともかく、格好のことは強引に意識の外に置き、降ってくる瓦礫を無視してレヴィは銃を構えた。
それこそ家半分ぐらいの大きさの瓦礫でも降ってこない限り、バリアジャケットが勝手に弾いてくれる。だから無視できる。
……無視できるはずだった、のだが。

「い、いた? いだだだだだだだ!!!」

しかし、現実は非情である。
予想外の痛みに、ラジカルレヴィちゃんの動きが止まる。バリアジャケットを着ているのに。
原因は背中にぶつかった瓦礫。更に降り注いでくる細かい破片に慌ててその頭を庇う。
それでも痛いものは痛い。なぜか、バリアジャケットが防護服としての役を果たしていない。
もっとも、彼女が予想していたカズマからの追撃は全く無かった。
なぜなら――呆気に取られたカズマは未だに動きを止めているから。
瓦礫の雨は止み……目の前でボケっとしているカズマを無視して、ラジカルレヴィちゃんはグラーフアイゼンにキレた。

「おい、あいつらのより明らかに脆いぞこれ……ただの服と同じじゃねえのか!?」
『魔力不足が原因です』
「ハァ!?」
『魔力がない貴女が構成するバリアジャケットの防御力はほとん』

ど無い、と言う間もなく。ラジカルレヴィちゃんによってグラーフアイゼンは空へと全力投擲された。
しかも、わざわざ左腕に持ったベレッタをしまってからぶん投げるという念の入れようである。

「はやく言えよテメェ!!!」

ラジカルレヴィちゃんの表情は本気でブチキレていた。もうこの時点で彼女の機嫌は最悪。
だが、悪いことに……それが合図だったかのように、カズマが大爆笑。それこそ顎が外れそうなくらいに。

「アヒャッヒャッヒャ! こりゃ傑作だな!
 に、似合ってねえ……似合ってねえ!!!」
「!!! て、てんめえぶっ殺す!」

隙丸出しで地面をばんばん叩きながら爆笑するカズマの姿が生み出した怒りは、
もともと低いレヴィの沸点をあっさりと越えた。三桁ぐらいぶっちぎって。
結果。収まるどころか、戦闘は過激化した。慌てて地面に落ちたグラーフアイゼンを回収するゲイナーを余所に。

117 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/03(木) 11:17:03 ID:PtBPlnwP
 

118 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/03(木) 11:17:40 ID:w4KK8uui
                                  

119 :銃撃女ラジカルレヴィさん ◆2kGkudiwr6 :2007/05/03(木) 11:18:08 ID:VWzzAqkM

「ああもう、誰でもいいからなんとかしてくれ!」

空を仰いで無力な少年はそう慨嘆する。
今の彼なら神様だろうと悪魔だろうとなんであろうとあの二人の仲裁を頼み込むだろう。ギガゾンビには頼まないだろうが。
もっとも、ここには当然神はいないし、悪魔もいない。ギガゾンビは見ているが。
応えたのは、二人の魔法少女である。それも、ラジカルレヴィちゃんのようなパチモンではない本物だ。

「ライトニングバインド!」
「レストリクトロック!」

病院から姿を見せたのはフェイトと凛、そしてトグサだ。
同時に、桜色の輪と金色の魔法陣が二人を束縛する。
……ただし、カズマのアルター化していない左腕とラジカルレヴィちゃんの左腕が互いの顔にめり込んだ状態で。
まるで彫像のような美しい相討ちっぷりである。
その状態で拘束された結果、そのままの姿勢で二人は動きを止められることになった。

「もう、何やってるのよあんた達は〜!」

がー、と擬音が出そうなほど大口を開けた凛の叫び声が響く。
ちなみに、髪の色が変わっているのはリインフォースを装備しているからだ。
カズマとラジカルレヴィちゃんなら戦いを邪魔されたことで睨み返しそうなものだが、それはない。
バインドが解けると同時に、あっさりとカズマとラジカルレヴィちゃんはその場に崩れ落ちた。
ダブル・ノックダウン。さすがに彼らも疲労と負傷は無視できなかったらしい。

「大丈夫でしょうか、二人とも……」
「いやまあ……少なくとも君から聞いたレヴィとかいう人の性格じゃ、
 騒動を収める手段としては的確だったと思う」

フェイトの言葉に、トグサはそう返すが……その様子はどこか自信なさげだ。
それに、つまらないことで戻ってきてしまったことへの後悔もまた色濃い。

「ともかく早く中に連れて行こう。
 よくみると二人とも傷だらけだ……ったく、いったい何事かと思ったよ」
「そこのメガネ、手伝ってちょうだい」
「僕の名前はゲイナーです!」

凛の言葉に言い返しながらも、ゲイナーはラジカルレヴィちゃんを持ち上げる。
とりあえず騒動の源であるラジカルレヴィちゃんとカズマは気絶中。
残りの面子は大人しく病院へと移動。
ひとまず物事は穏便に解決……したかに見えた。



120 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/03(木) 11:18:12 ID:w4KK8uui
                          

121 :銃撃女ラジカルレヴィさん ◆2kGkudiwr6 :2007/05/03(木) 11:18:54 ID:VWzzAqkM

あの場にいたのは、彼らだけではない。
もっとも、あれほどの騒動ならば見逃されて当然だろう。
森の中から、こっそりと一人の男が――ロックが観察していた。
事の始終は把握した。マイクロ補聴器で盗み聞きもしていたし、情報はある程度掴んでいる。
要するに、チンピラの喧嘩のような物だったらしい。予想通りに。
しかし今彼が考えていることは、トグサという人物がいたことでなければ凛がいたことでもなく。

(……レヴィ、まさか、そんな趣味があったのか?)

そんなことだった。
下らないことと言う無かれ。ロックにとって、これはもう衝撃的な出来事である。
様子を見て話しかけるはずが、それを忘れて数分間立ちっぱなしになるほどに。

(お、落ち着けロック。今はそんなことを考えてる場合じゃない)

慌てて首を振る。
呆然としている間に全員病院の中に入ってしまった。とにもかくにも、接触を図らなければ。
……と。
彼の視界に、青いロボットの姿が映る。どうやら病院を目指しているが、その足取りは遅い。

(……先にあっちと接触してみるか)

そう決めると同時に、彼はそちらへ――ドラえもんへと足を向けた。

122 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/03(木) 11:19:08 ID:w4KK8uui
                  

123 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/03(木) 11:19:35 ID:PtBPlnwP
 

124 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/03(木) 11:19:38 ID:kt1Ayy1/


125 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/03(木) 11:19:39 ID:w4KK8uui
                                 

126 :銃撃女ラジカルレヴィさん ◆2kGkudiwr6 :2007/05/03(木) 11:19:40 ID:VWzzAqkM

【D-3・病院/2日目/昼】
【フェイト・T・ハラオウン@魔法少女リリカルなのはA's】
[状態]:全身に中程度の傷(初歩的な処置済み)、魔力消費(中)/バリアジャケット装備
[装備]:バルディッシュ・アサルト(アサルトフォーム、カートリッジ再装填済)魔法少女リリカルなのはA's、双眼鏡
   デバイス予備カートリッジ12発
[道具]:支給品一式、西瓜1個@スクライド、クラールヴィント@魔法少女リリカルなのはA's、エクソダスと首輪解除に関して纏めたメモ
  :ルルゥの斧@BLOOD+、ルールブレイカー@Fate/stay night
  :ローザミスティカ(水銀燈)@ローゼンメイデン
[思考・状況]
基本:戦闘の中断及び抑制。協力者を募って脱出を目指す。
1:カズマとレヴィの怪我を治す。
2:病院にてゲイナー、トグサ等との合流を待つ。
3:ゲームの脱出に役立つ参加者と接触する。
4:ベルカ式魔法についてクラールヴィントと相談してみる。
5:念のためリインフォースには気を付けておく。
6:カルラの仲間やトグサ、桃色の髪の少女の仲間に会えたら謝る。
7:人形から入手した光球の正体について凛に聞いてみる。
[備考]:襲撃者(グリフィス)については、髪の色や背丈などの外見的特徴しか捉えていません。素顔は未見。
  :首輪の盗聴器は、ルイズとの空中戦での轟音により故障しているようです。

【カズマ@スクライド】
[状態]:中程度の疲労、全身に重度の負傷(一部処置済)、西瓜臭い、気絶中。
[装備]:なし
[道具]:デイバッグ、支給品一式(食料-1)、翠星石の首輪、エンジェルモートの制服
[思考・状況]
基本:気にいらねぇモンは叩き潰す、欲しいモンは奪う。もう止まったりはしねぇ、あとは進むだけだ!
1:気絶中。
2:変装ヤローを見つけ次第ぶっ飛ばす!
3:べ、別にドラえもんが気にかかっていないわけじゃねぇぞ!
4:気にいらねぇ奴はぶっ飛ばす!
5:レヴィは……ま、俺の勝ちだな。
[備考] :いろいろ在ったのでグリフィスのことは覚えていません。
   :のび太のデイパックを回収しました。
   :レヴィと暴れたので、だいぶスッキリしました。

【レヴィ@BLACK LAGOON】
[状態]:気絶中。脇腹、及び右腕に銃創(応急処置済み)背中に打撲
   頭からバカルディを被ったため少々酒臭い。
[装備]:ソード・カトラス@BLACK LAGOON(残弾10/15 予備残弾31発)、
[道具]:デイバッグ×2、支給品一式×2、イングラムM10サブマシンガン(残弾13/30 予備弾倉30発 残り2つ)
  グルメテーブルかけ(使用回数:残り16品)@ドラえもん、ぬけ穴ライト@ドラえもん 、テキオー灯@ドラえもん
  バカルディ(ラム酒)×1本、割れた酒瓶(凶器として使える)、エクソダスと首輪解除に関して纏めたメモ
  ベレッタM92F(残弾5/15、マガジン15発)
[思考]
基本:バトルロワイアルからの脱出。物事なんでも速攻解決!! 銃で!!
1:気絶中
2:そのまま病院で待機し、12時を目安にゲインと合流。無理ならE-6の駅前喫茶店へ。
3:見敵必殺ゥでゲイナーの首輪解除に関するお悩みごとを「現実的に」解決する。
4:バリアジャケットは二度と、永遠に着ない。
5:カズマは絶対に、必ずぶっ飛ばす。
6:機会があればゲインともやり合いたい。
7:ロックに会えたらバリアジャケットの姿はできる限り見せない。
[備考]
※双子の名前は知りません。
※魔法などに対し、ある意味で悟りの境地に達しました。
※ゲイナー、レヴィ共にテキオー灯の効果は知りません。
※カズマに笑われたことでよりムシャクシャが悪化しました。
※バリアジャケットがまだ残っているか(着ているか)は後続の方に任せます。

127 :銃撃女ラジカルレヴィさん ◆2kGkudiwr6 :2007/05/03(木) 11:20:29 ID:VWzzAqkM

【ゲイナー・サンガ@OVERMAN キングゲイナー】
[状態]:風邪の初期症状、腹部と後頭部と顔面に相当なダメージ(応急処置済み)、頭にたんこぶ(ほぼ全快)、頭からバカルディを被ったため少々酒臭い。
[装備]:レヴィを持ち上げているためなし
[道具]:デイバッグ、支給品一式(食料一日分消費)、ロープ、フェイトのメモ、画鋲数個、エクソダスと首輪解除に関して纏めたメモ
  タチコマのメモリチップ、スタングレネード×2、スパイセットの目玉と耳@ドラえもん、鶴屋さんの首輪、クーガーのサングラス
  コルトガバメント(残弾7/7 予備残弾38発)、トウカの日本刀@うたわれるもの、コンバットナイフ
  グラーフアイゼン(待機状態、残弾0/3)@魔法少女リリカルなのはA's
[思考]
基本:バトルロワイアルからの脱出。
1:いい加減レヴィさんは大人しくなってください。
2:病院で待機し、12時を目安にゲインと合流。無理ならE-6の駅前喫茶店へ。
3:トグサの技術手袋と預けた首輪の部品を使い、計測器を死亡と誤認させる電波発生装置を製作する。
4:3で製作した装置を用い首輪の機能を停止させ、技術手袋で首輪の解除を試みる。
5:機械に詳しい人物、首輪の機能を停止できる能力者及び道具(時間を止めるなど)の探索。
[備考]
※名簿と地図を暗記しています。また、名簿から引き出せる限りの情報を引き出し、最大限活用するつもりです。
※なのはシリーズの世界、攻殻機動隊の世界に関する様々な情報を有しています。

【遠坂凛@Fate/stay night】
[状態]:魔力中消費、中程度の疲労、全身に中度の打撲
[装備]:レイジングハート・エクセリオン(カートリッジ再装填済・修復中、破損の自動修復完了まで数時間必要)@魔法少女リリカルなのは
   夜天の書(多重プロテクト+消耗、回復まで時間が必要)@魔法少女リリカルなのはA's
   バリアジャケットアーチャーフォーム(アーチャーの聖骸布+バリアジャケット)
   デバイス予備カートリッジ残り11発
[道具]:支給品一式(食料残り1食。水4割消費、残り1本)、ヤクルト一本
   エルルゥのデイパック(支給品一式(食料なし)、惚れ薬@ゼロの使い魔、たずね人ステッキ@ドラえもん、
   五寸釘(残り30本)&金槌@ひぐらしのなく頃に
   市販の医薬品多数(胃腸薬、二日酔い用薬、風邪薬、湿布、傷薬、正露丸、絆創膏etc)、紅茶セット(残り2パック)
[思考]
基本:レイジングハート&リインフォースのマスターとして、脱出案を練る。
1:カズマとレヴィの怪我を治す。
2:ドラえもんを待つ。
3:セラスの安否の確認。
4:ベルカ式魔法についてリインフォースに聞いてみる。
5:変な耳の少女(エルルゥ)を捜索。
6:自分の身が危険なら手加減しない。
[備考]:
※リリカルなのはの魔法知識、ドラえもんの科学知識を学びました。
※フェイトとの話し合いの中で、予備のカートリッジを譲っています。
※リインフォースを装備してもそれほど容姿は変わりません。はやて同様、髪と瞳の色が変わる程度です。
[推測]:
ギガゾンビは第二魔法絡みの方向には疎い(推測)
膨大な魔力を消費すれば、時空管理局へ向けて何らかの救難信号を送る事が可能(推測)
首輪には盗聴器がある
首輪は盗聴したデータ以外に何らかのデータを計測、送信している

128 :銃撃女ラジカルレヴィさん ◆2kGkudiwr6 :2007/05/03(木) 11:21:15 ID:VWzzAqkM
【トグサ@攻殻機動隊S.A.C】
[状態]:疲労と眠気、特に足には相当な疲労。SOS団団員辞退は不許可
[装備]:S&W M19(残弾6/6発)、刺身包丁、ナイフとフォーク×各10本、マウンテンバイク
[道具]:デイバッグと支給品一式×2(食料-4)、S&W M19の弾丸(28発)、警察手帳(持参していた物)
技術手袋(使用回数:残り15回)@ドラえもん、首輪の情報等が書かれたメモ1枚(内部構造について追記済み)
解体された首輪、フェイトのメモの写し
[思考]
基本:情報を収集し脱出策を講じる。協力者を集めて保護。
1:ドラえもんを迎えにいく。
2:フェイトから首輪に関する考察を詳しく聞く。
3:ハルヒや魅音など、他の人間はどこにいったか探す。
4:機械に詳しい人物、首輪の機能を停止できる能力者及び道具(時間を止めるなど)の探索。
5:ハルヒからインスタントカメラを借りてロケ地巡りをやり直す。
6:情報および協力者の収集、情報端末の入手。
7:エルルゥの捜索。
[備考]
※風、次元と探している参加者について情報交換済み。

【D-3・病院脇/2日目/昼】
【ドラえもん@ドラえもん】
[状態]:中程度のダメージ(修理によりやや回復)、頭部に強い衝撃
[装備]:虎竹刀
[道具]:支給品一式(食料-1)、"THE DAY OF SAGITTARIUS III"ゲームCD@涼宮ハルヒの憂鬱
[思考・状況]
基本:ひみつ道具と仲間を集めて仇を取る。ギガゾンビを何とかする。
1:悲しみ。
2:とりあえず、病院に向かう。
[備考]
※Fateの魔術知識、リリカルなのはの魔法知識を学びました。
※凛とハルヒが戦ってしまったのは勘違いに基づく不幸な事故だと思っています。
偽凛については、判断を保留中。
※だいぶ落ち着きましたが、まだかなり落ち込んでいます。

【ロック@BLACK LAGOON】
[状態]:眠気と疲労、かなりの衝撃
[装備]:ルイズの杖、マイクロ補聴器
[道具]:デイバッグ×2、支給品一式×2(-2食)、黒い篭手?、現金数千円、びっくり箱ステッキ(使用回数:10回) ひらりマント
[思考]:
基本:力を合わせ皆でゲームから脱出する。
0:レヴィ……君は一体……
1:トグサと接触し、ドラえもんのディスクを手に入れる
2:交渉で、何とか遠坂凛と水銀燈を出し抜く。(彼女達は最大限に警戒)
3:君島の知り合いと出会えたら彼のことを伝える。
[備考]
※しんのすけに両親が死んだことは伏せておきます。
※顔写真付き名簿に一通り目を通しています。
※参加者は四次元デイバッグに入れないということを確認しています。
※ハルヒ、キョン、トウカ、魅音、エルルゥらと詳しい情報交換を行いました。
※キョンの持つノートPC内の情報を得て、考察しました。
※レヴィの趣味に関して致命的な勘違いをしつつあります。

129 :銃撃女ラジカルレヴィさん ◆2kGkudiwr6 :2007/05/03(木) 11:22:01 ID:VWzzAqkM
【D-4・/2日目/昼】
【トウカ@うたわれるもの】
[状態]:左手に切り傷、全身各所に擦り傷、精神疲労(中)、強い決意
[装備]:斬鉄剣
[道具]:デイバッグ、支給品一式(食料-3)、出刃包丁(折れている)、物干し竿(刀/折れている)
[思考]
基本:無用な殺生はしない。だが積極的に参加者を殺して回っている人間は別。
  これ以上の犠牲は絶対に出さない、何が何でもキョン達は守り抜く。
1:キョン、ロック、ハルヒを守る
2:魅音、沙都子、しんのすけを守る
3:生きてトゥスクルに帰還する
4:アルルゥの仇を討つ。
5:セイバーを討つ。

【キョン@涼宮ハルヒの憂鬱】
[状態]:疲労、全身各所に擦り傷、憤りと強い決意
[装備]:バールのようなもの、スコップ
[道具]:デイバッグと支給品一式×4(食料-5)、わすれろ草、ニューナンブ(残弾4)、
キートンの大学の名刺 ロープ、ノートパソコン+ipod(つながっている)
[思考]
基本:殺し合いをする気はない、絶対に皆で帰る
1:魅音達の所に戻る。
2:是が非でも、トグサと接触してデーターを検分してもらい、ディスクも手に入れる
3:ハルヒや魅音が心配
4:その場にいるであろう凛と水銀燈には、最大限、警戒を払う

[備考]
※キョンがノートパソコンから得た情報、その他考察は「ミステリックサイン」参照。
※キョンがノートパソコンから得た情報、その他考察は「仲間を探して」参照。
※ハルヒ、トウカ、魅音、エルルゥ、ロックらと詳しい情報交換を行いました。

【涼宮ハルヒ@涼宮ハルヒの憂鬱】
[状態]:頭部に中度の打撲(動くのに問題は無し)、疲労、
[装備]:クローンリキッドごくう(使用回数:残り2回)、
[道具]:着せ替えカメラ(使用回数:残り17回)
[思考]
基本:団長として、SOS団のメンバーや知り合いと一緒にゲームから脱出するために力を尽くす。
1:魅音達の所に戻る。
2:病院にいるというトグサと接触し、ドラえもんからディスクを手に入れる。
3:その場にいるかもしれない凛と水銀燈は最大限に警戒
4:団員の命を危機に陥らせるかもしれない行動は、できるだけ避ける
5:遠坂凛と水銀燈は絶対に許さない(だが、団員の命を守るために、今は戦いを避ける)
[備考] :
※腕と頭部には、風の包帯が巻かれています。
※偽凛がアルルゥの殺害犯だと思っているので、劉鳳とセラスを敵視しなくなりました
※キョン、トウカ、魅音、エルルゥ、ロックらと詳しい情報交換を行いました。
※キョンの持つノートPC内の情報を得て、考察しま



※凛とフェイトによって劉鳳と水銀燈が埋葬されました。

130 :銃撃女ラジカルレヴィさん ◆2kGkudiwr6 :2007/05/03(木) 11:38:32 ID:VWzzAqkM
>>112修正
石を

その辺に落ちていた石ころを

いくらなんでもそこまで罰当たりな真似はしませんよ……

131 :陽が昇る 1/20  ◆S8pgx99zVs :2007/05/08(火) 21:21:36 ID:bn0jG29R
「これでよし……っと」
そう言って、遠坂凛はゲイナーの顔から手を放した。
そのゲイナーの顔は新しく貼り直された真っ白な湿布で覆われている。
ゲイナーの傷は見た目ほど……、というか見た目だけで言えばまさに見るに耐えないといった
感じであったが、骨や眼球に異状はなかった。それが彼の後ろで寝ている暴力的な彼女の最低限の
気遣いだったのか、それともただゲイナーの運がよかっただけなのかはわからないが……。

遠坂凛とゲイナー、そして気絶したままベッドに横たわるレヴィ。さらに同様に気絶したままベッドに
横たわるカズマとそれを心配そうに覗き込むフェイト。
五人は、広いスペースにカウンターとベッドがずらりと並ぶ、そんな部屋にいた。
幸運にも戦火の被害を逃れられたそこは、点滴や注射、その他の簡易な処置を外来の患者に
施すためのスペースであり、まさに今の彼女達がいるにふさわしい場所だと言えただろう。

遠坂凛は一通りの手当てを終えてほっと一息をついた。
ベッドで横になっているカズマとレヴィ、どちらも軽くはない傷を負っていた。……だが、今回は
魔術による回復は施してはいない。

――セイバー。

遠坂凛が直前に出会った彼女は、間違いなくよく知った彼女であったと同時に全く知らない彼女でもあった。
士郎のサーヴァントではないセイバー――つまりは唯の英霊。それを相手にするということがどういうことか、
すでに凛はその身でもって知っている。
遂には出会うことのなかったアーチャー。彼もまた唯一人の英霊としてこの場に呼ばれたのか、それは
今となっては判別できないがおそらくそうであったのだろう。

主催者であるギガゾンビの采配かそれとも他の要因か、どういった因果においてそれがそうなったのかは
解らないが、確信できるのは彼女――セイバーとの和解や共闘は考えられないということ。
つまりは対決するしかないということだ。
ならば、その時までに魔力は少したりとも使うことは考えられなかった。

幸いなことに、あるいは皮肉なことに怪我人を治療するための用具には事欠かない。
ベッドで寝息を立てる二人も椅子の上で思案顔のゲイナーも、単純な外傷のみで専門的な知識のない
凛とフェイトの二人にも手当ては難しいということはなかった。


「フェイト。少しここをお願いするわ」
言いながら遠坂凛はレイジングハートを片手に出口へと向かう。
その背中に掛けられるフェイトの問いに、
「少し外の空気を……。それとトグサの帰りが遅いわ。ちょっと見てくる」
そう答え、そのまま彼女は振り返ることなく部屋を出た。

132 :陽が昇る 2/20  ◆S8pgx99zVs :2007/05/08(火) 21:22:35 ID:bn0jG29R
病院の広い敷地をぐるりと囲む遊歩道。それらは今や見る影もなく無残な有様を晒していた。
綺麗に刈られその頭の高さを丁寧に揃えられていた芝生は根を張っていた土ごと掘り返され、
患者の心を癒すために活けられたであろう花壇の花は、その花弁の一枚すらも残ってはいない。
気晴らしのため、またはリハビリのための歩道を覆っていた煉瓦はことごとく砕かれており、
病棟を見上げれば、窓ガラスが砕けて光を乱反射し、所々の壁には亀裂が走り大きな穴が開いている。

そして、遠坂凛が立つそこには無数の黒い羽が風に揺られ緩やかに舞っていた。

――水銀燈。

その人形に対する遠坂凛の気持ちは複雑なものだった。

自分は騙されていたのか? それは間違いのない客観的な事実だ。騙されていた。
しかし、それでも残るこの心のわだかまりはなんなのだろうか……?

レイジングハートを持った方とは逆側の手に抱えられた闇の書――リインフォースに遠坂凛は尋ねる。

「水銀燈は……、彼女が妹達を想う気持ちは本物だった……?」
それに対しては、リインフォースは回答を持たなかったが、
『わからない。だが、あの人形にもこの戦いを経て救いたいと願う一人の者がいたようだ』
水銀燈が今わの際に残した言葉。それが何を指すのかは余人には解せないことであったが、
それでも彼女なりに背負っているものがあったであろうことはリインフォースにも察することができた。

一際に強い風を受け病院から離れていく黒い羽達。それらを目で追いながら遠坂凛は頷く。

「レイジングハートはまた甘いと言うかも知れないけど。……私は水銀燈を赦すわ」
遠坂凛の言葉にレイジングハートから発せられる気配が剣呑なものへと変化する。
「私だけが彼女を赦せるのよ。
 あなたが言いたいことも解るわ。だけど、私はまだ水銀燈の全てが嘘だったとは思えない。
 だから私が代わりに彼女の罪を――想いを継ぐ。
 すまないけど、レイジングハートにはまだまだ私を叱ってもらうことになるわ。
 ……これからもよろしくお願いね」
レイジングハートが溜息をつく。そんな気配が感じられた。呆れ果てているのだ。しかし……、

『All right. マイマスター』

レイジングハートから返ってきたのは快い返答であり。その気配もまた柔和なものへと戻っていた。
「ありがとう。レイジングハート。……じゃあ、そろそろトグサを迎えに行きましょうか?」

と、心機一転して足を踏み出した遠坂凛は、その時初めてその足元にあるそれに気がついた。

133 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/08(火) 21:22:57 ID:8g59ORD9
 

134 :陽が昇る 3/20  ◆S8pgx99zVs :2007/05/08(火) 21:23:28 ID:bn0jG29R
それは一見すると周りに散らかったコンクリートの破片と変わらなかったが……、
「……腕?」
それは先の対決で劉鳳が落とした石化の魔法に蝕まれ一つの石片と化した右腕だった。
遠坂凛は先程埋葬したばかりの劉鳳が腕を失っていたことを思い出す。色は失われているが
その腕は間違いなく劉鳳のものだろう。……だがしかし、それが纏っている鎧状の物に関しては
初めて見るものであった。
「これも……、彼の言うアルター能力の一種なのかしら……? ……!」
彼の一部であるなら一緒に埋葬するのがいいだろうと、落ちているの慎重に拾い上げる。
そして、その腕に手を触れた所で彼女はそれに気が付いた。
「まだ、力が生きている……!?」

本来、アルター能力とは発現者の意志を投影したものであるため、その人間が死んでしまえば
再び粒子へと分解され散ってしまうのが道理だ。
しかし今回はリインフォースの力によって打ち込まれたミストルティンの効果によって、その分散する
はずのアルターが発現者の死後もその形を維持していた。
もっとも、その形は残っていてもその中を流れるはずの力の流動は石化によってその動きを止めている。
それゆえに魔力探知にも反応しなかったのだが……、
「これ魔力として使えないかしら? ……どう、リインフォース?」
石化しているとはいえ、内在している力は相当な量がある。対セイバーに向けて使える物はなんで
あろうと回収しておきたい。だが、リンフォースの回答は彼女にとっては残念なものだった。

『……石化を解呪すれば、術者を失ったそれはおそらく分散してしまうでしょう。
 例えるなら魔力は水。今のそれは凍っているようなものです。そのままでは使えないが、かといって
 溶かしてしまうとそれは手の平から零れ落ちていってしまいます』
その返答に遠坂凛は眉根をよせた。しかたがないと石化した劉鳳の腕を埋葬するために身体の向きを
変えたが、続くリインフォースの言葉がそれを止めた。

『しかし、同じアルター使いならばあるいは……』
「どういうこと……?」
『水銀燈と劉鳳の戦いを通じて、アルター使いは物質に止まらず魔力すらも分解、再構成し取り込むと
 いうことが見て取れました。ならば、その石化した腕も同じアルター使いならば直接取り込むことが
 出来るかもしれません』
そして、魔力を取り込んだアルターは飛躍的にその能力が向上するようだと彼女は付け加えた。
ふぅむと、遠坂凛は石化した劉鳳の腕を見る。
「どっちにしろ私には使えないってことか……。まぁ、いいわ。
 だったら、あのカズマって男に渡してみましょう。あいつがこれを使いたがるかはわからないけど」
そう言うと、遠坂凛は手にした石化した腕を自身のデイバッグの中に仕舞い込んだ。

135 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/08(火) 21:24:10 ID:2R8JoUsi
    

136 :陽が昇る 4/20  ◆S8pgx99zVs :2007/05/08(火) 21:24:22 ID:bn0jG29R
(いざ実物を見てみると、なんとも奇妙だな……)

遠坂凛がいる場所とは対の位置となる病院の南西の一角。
そこで、ロアナプラで運び屋の片棒を担いでいるロックが、22世紀の子守ロボットであるドラえもんに
コンタクトを取ろうとしていた。

スタンダードなサラリーマンスタイルを何時でも崩さないロックの視線の先には、子供ほどの背の高さの
ずんぐりむっくりとした青いぬいぐるみのようなものがトボトボと歩いている。

(……警戒されないといいんだが)
意を決するとロックは通りの影から出て、ドラえもんへと近づいた。


「……そうか、そんなことが」
突然現れたロックにドラえもんは最初警戒したが、ロックがいなくなったハルヒ達と一緒だったことを
知るとその態度を少し和らげた。
そしてロックは彼から病院にセイバーの再襲撃があったことと、その中でのび太が命を失ったことを知る。
(これも不幸中の幸いか……?)
病院の方を振り返ればその惨状はすさまじいものだ。
レヴィ、ロベルタ、バラライカ。ロックの知る最強の女傑三人。彼女達がそれぞれ三人ずつぐらいは
いないとこんなことにはならないだろう……と彼に思わせる程に。
ハルヒやキョン、魅音達がここに残っていれば、のび太と同じ運命を辿ったであろうことは想像に難くない。

「しかし、ドラえもんはずっと気絶していたのか……」
ロックの眉間に皺が寄る。遠坂凛や水銀燈が残っている病院に入る前に状況を把握したかった。
だからこそ、まずはドラえもんにコンタクトを取ったのだが……、情報としてはセラスや劉鳳が危機に
陥っていたというネガティブなものしか得られなかった。

一度、キョン達の元へ戻るかそれともあえて踏み込むか……とロックが逡巡している所に、ドラえもんを
迎えに来たトグサが拳銃片手に近づいていた。

137 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/08(火) 21:25:07 ID:8g59ORD9
 

138 :陽が昇る 5/20  ◆S8pgx99zVs :2007/05/08(火) 21:25:17 ID:bn0jG29R
互いに接近する二人がそれぞれ相手に気付いた時、先に声をかけたのはロックの方だった。
「はじめましてトグサさん。俺はラグーン商会のロックです」
ロックは同時に両手を挙げて敵意がないことを示しす。
「君がレヴィの……?」

再び、ロックとトグサとの間で互いの身分を確認するやり取りが行われた。だが、今回は先程の
ドラえもんとの時とは違いトグサの警戒は十分に解かれることはなかった。

「君の話には裏付がない。キョン君達の内の誰かとここに来るべきだったんじゃないか?」
トグサの言葉にロックは確かにそうだと思う。その点を考慮して最初は四人で来ていたのだ。
「いえ、途中までは彼らと一緒に…………」
今更だと白々しくなると解ってはいても、ロックは事情を正直に話す。信頼を得るために何よりも
必要なのは隠し事をしないということだ。これはロックがロアナプラで得た教訓でもある。
一般から見れば不思議なことだが、大物の悪党であるほど物事に対し真摯な態度を取る。
何故ならば、法という規定に縛られない彼らにとっては信頼という規定こそが唯一の確固たるもの
だからだ。大きな力を振るうには秩序が必要であり、表も裏もそのベクトルが異なるというだけで
必要なものは変わりはしない。

しかし、やはり今の段階ではロックの話はただのご都合のようにトグサには聞こえる。
「すまないが、まだ君を信用することはできない。
 だが、幸いなことに今この病院にレヴィが来ている。君がロック本人であるならば彼女に会うことで
 一応の保障が得られるだろう。それに君の話が本当ならこちらからもキョン君達に迎えを送りたい」
そうしてトグサがロックを病院へ向かうよう促す。もちろんロックとしてもそれを断る理由はない。しかし、
「病院へ入る前に遠坂凛と水銀燈に関して話しておきたいことが……」
病院前の騒動で遠坂凛は集団の中に馴染んでいた。つまり彼女達の(ロックが推測した)目論見は
今だ成功していると見て取れる。ならば忠告が必要だとロックは切り出した。だが、トグサから返って
来たのは意外な答えだった。

「ハルヒが彼女達を疑っていたのはセラスと劉鳳から聞いている。
 だが、すでに水銀燈は死んでいて、遠坂凛もただ水銀燈に騙されていたということらしい」
「……つまり、全ては水銀燈の企みで他は不幸な誤解だったというわけですか?」
先程のロックの話がトグサにとってご都合ならば、今度の話はロックにとってご都合だと言えた。
水銀燈が死んでいるというのならば、それは単なる遠坂凛の言い逃れなのではないかと思える。
もちろん、それをトグサも察したようだ。
「君が信じられないのも無理はない。その誤解は君が直接遠坂凛と会って解いてくれ。
 正直俺にも確証があるわけじゃあない。だが、それよりも今は状況を整理したいんだ」
そういうと再びロックを促す。もちろんロックもトグサと気持ちは同じである。なので今度は躊躇わなかった。

先頭を行くトグサ。その少し後ろを歩くロック。そして二人の後ろを重い足取りで追うドラえもん。
そのドラえもんにトグサは声をかける。
「ドラえもん。おそらくは君が唯一の証言者たりえる人物だ。
 つらいかもしれないが、戻ったら昨晩から今まで病院で何があったかを教えてくれ」

だが、トグサからの声に返答はなく、ドラえもんはただ力なく頷くのみだった。

そして彼らは間もなく件の遠坂凛に出迎えられ、病院の中の例の部屋に集合した。

139 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/08(火) 21:26:14 ID:/Z8SdZDN
 

140 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/08(火) 21:26:22 ID:2R8JoUsi
         

141 :陽が昇る 6/20  ◆S8pgx99zVs :2007/05/08(火) 21:26:52 ID:bn0jG29R
先程の広いスペースに今度は合わせて八人の男女が集まっている。

カウンターを机代わりに向かい合っているのは、トグサとロック、遠坂凛、ゲイナーで、もう一人
ドラえもんがカウンターの端に座っている。
カズマとレヴィは相変わらずベッドの上で意識を失ったままで、フェイトがその脇に椅子を置いて
カウンターの方を窺いながらもその様子を見守っていた。

「で、取りあえずはどうするのかしら?」
そうやって他の発言を促したのは遠坂凛だ。
「そうだな。取りあえず考えなければならないことは多いが、まずは彼の懸案から解決しよう」
そう言ってトグサは一番新しい同行者であるロックを指す。
セイバーと一緒に姿を消したセラスや、ゲイナーとフェイトがゲインと会って得てきた情報、さらに
その他諸々の懸案事項があったが、まずはキョンやハルヒ達も含めて全員が一箇所に集まることが
優先だとトグサは考えた。そのためにも、ロックと今は此処にいないキョン達の疑惑は払拭して
おかねばならない。

「私が疑われているって話よね……」
「君みたいな女の子を疑うのは心苦しいけどね」
疑惑の対象である遠坂凛の態度は神妙だ。彼女自身、疑われるのは仕方がないと考えている。
翻って彼女を疑うロックの表情は穏やかだ。だが、これはただ彼のスタイルだというだけのことである。
表面上は紳士を装ってはいるが、その目その耳は彼女の一挙一動を逃しはしまいと澄まされている。

「取りあえず、昨晩からここで何があったのかを整理しようと思う。
 正直な所、着てみればこんなことになっていて俺も混乱しているんだ」
そう言ってトグサはカウンターの端で置物のように佇んでいるドラえもんへと視線を移す。
つられるように他の三人もドラえもんを見るが、ドラえもん自身はそれに気づくことなく俯いたままだ。
のび太の死を知った直後の激昂した様子とは打って変わって、電池が切れたかのように静かにしている。

「……ドラえもん。あんた大丈夫?」
「えっ? あ、ハイ。ごめんなさい……、えっと」
彼を気遣う遠坂凛の呼び掛けに、ドラえもんは初めて他の人間が自分を注視していることに気付いた。
「さっきも言ったが、この病院に最初からいたのはドラえもん――君だけだ。
 落ち込んでいるところをすまないが、俺たちにここで何があったのかを教えてくれ」

この病院で一体何があったのか? それはまさに今、ドラえもんが考えていたことだった。
とても思い出したくないことだが、トグサに促されるとドラえもんはそれを少しずつ語り始めた。

142 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/08(火) 21:27:22 ID:2R8JoUsi
     

143 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/08(火) 21:27:36 ID:8g59ORD9
 

144 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/08(火) 21:28:04 ID:2R8JoUsi
    

145 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/08(火) 21:28:08 ID:/Z8SdZDN
 

146 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/08(火) 21:28:13 ID:WjjWF51l
                                 

147 :陽が昇る 7/20  ◆S8pgx99zVs :2007/05/08(火) 21:28:44 ID:bn0jG29R
ドラえもんがポツリポツリと病院の中からの視線で昨晩からの経緯を話し、それに時折他の人間が
自分が知る部分を加えて補完する。
そんな形で、昨晩から起きた病院での一連の騒動が手短にまとめられた。

ドラえもん達。ドラえもんに加え、八神太一。野比のび太。カズマの四人が病院に到着したのは
昨晩。それも真夜中の放送よりいくらか前のことだった。
破壊と殺戮の後が強く残る真っ暗な病院の中で彼らはそこに残された遺体を埋め、食事を取って
自分達の身体を癒した。
彼らがこの病院を訪れたのは、度重なる危機と不幸によって彼ら自身が心身共に傷ついていた
からだが、運命の神はさらに彼らを過酷な境遇へと叩き落す。

「……その、ドラえもん達の前に現れたという謎の変装魔は峰不二子だな。
 俺の……、正確にはすでに亡くなった君島の支給品だったんだが、彼の持っていた顔写真付き
 名簿のデータと、直接襲われたハルヒちゃんの証言で確認は取れている」

深夜の放送直前に現れた招かざる客――峰不二子。
彼女は時を同じくしてそこへと辿りついた涼宮ハルヒを襲い、ヤマトを人質にドラえもん達の荷物を
奪って最後には、最悪なことに太一を殺害してヤマトと共に暗闇へと姿を消した。

不二子を追ってカズマが去った後、彼らは涼宮ハルヒとアルルゥという新しく加わった二人の少女と
共に、薄暗い病室の中で夜に怯えながら仲間の帰りを待っていた。
そこに現れたのが偽者の遠坂凛――リインフォースの姿を纏った水銀燈であった。

『残念なことだが、アルルゥという少女を殺したのは水銀燈で間違いありません。
 水銀燈は彼女を言葉巧みに誘い出して殺した後、その遺体を廃棄孔へと隠蔽しました』

アルルゥを殺害した水銀燈は彼女の不在を訴えてドラえもん達を動かそうとした。
その時、偶然にも丁度そこに現れたのがホテルから病院へと向かっていたセラス達一行であった。
満身創痍であった彼女達は本性を表した水銀燈に襲われ、劉鳳を庇って剛田武が死んでしまう。

「この時、水銀燈は劉鳳が持っていた真紅のローザミスティカを狙っていたのよ。
 彼がそれを持っていることは私も一緒に聞いて知っていたから……」

リインフォースの絶大な力の前に窮地へと陥っていたセラスと劉鳳を救ったのは、途切れた魔力を
追ってそこへと駆けつけた遠坂凛だった。
それが水銀燈と知らず撃退した遠坂凛はセラスや劉鳳と一緒に病院組へと合流する。
だが、彼女が入って来たことで病院内に対立が生まれた。
涼宮ハルヒが遠坂凛と何食わぬ顔で戻ってきた水銀燈から、以前襲われたことがあったからだ。

その対立の中、さらにホテルからキョン達一行が到達する。彼らとの邂逅は穏やかなものとはいかず、
小競り合いの結果ハルヒが着たばかりのキョン達を連れて病院から離れるという結果に終わる。

それからしばらく後、早朝の放送を挟んで病院へ不穏な訪問者が立て続けに訪れる。
一人はトグサ。誤解から遠坂凛へと向けて発砲し、病院全体を覆う戦いの火蓋を切った。
そしてもう一人はセイバー。その圧倒的な力を見境無く振るって誰も彼もを襲い、のび太を殺害した。
その激しい戦いの中でついに遠坂凛は水銀燈の企みを知ることとなり、決別を決意する。

148 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/08(火) 21:29:16 ID:2R8JoUsi
      

149 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/08(火) 21:29:47 ID:8g59ORD9
 

150 :陽が昇る 8/20  ◆S8pgx99zVs :2007/05/08(火) 21:29:51 ID:bn0jG29R
「そして、劉鳳と水銀燈は相打ちに終わり、セラスとセイバーは行方不明というわけか……」
この病院で起こった一連の騒動を知りトグサは嘆息した。
聞けば、誰も彼もが最悪の目を出したような話だ。例えば、ハルヒ達が映画館に残っていれば……、
自分が寄り道をせずに病院へと向かっていれば……、遠坂凛達にいきなり発砲しなければ……。
誰かの行動が少し違えば、全員で力を合わせてセイバーに立ち向かう……そんな結果もあっただろう。

「遠坂さん……少し質問をしていいかな?」
発言の主はロックだ。そもそもは彼の遠坂凛への疑惑を払拭することが目的である。

「君は水銀燈とセイバーとの会話を聞いて、彼女が君を裏切っているということを初めて知った。
 ……そう言ったね。
 だが、実際はどうだったんだろう? 彼女の言動は初めからかなり怪しかったはずだ。
 いつでも問い詰めれば、それは露見したんじゃないかと思うんだけど、どうだい?」
ロックの疑問は至極真っ当なものだ。同行してるとはいっても遠坂凛は何度も水銀燈に単独行動を
許している。その先々でトラブルが起こっているとするのならば、これを彼女が疑わないのはおかしい。
そして、その疑問を彼女が払拭しないことも……。
「あ、怪しいとは思うこともあったわ……。けど…………」
遠坂凛の口からはうまい反論が出てこない。それもそのはず、そもそもロックの言う通りなのである。
同じことはもう一人の同行者であるレイジングハートからも繰り返し言われていたのだ。

「直接会って、すぐにわかったよ。君がどういう人間なのかがね。
 これでもここ一年でありとあらゆる悪党を見てきたんだ。人を見る目には自身がある」
自分を見るロックの目に遠坂凛は身体を強張らせる。
人のいいフェイトやカズマは証拠などがなくても自分を信じてくれた。しかし目の前の彼はどうだろうか?

「つまり、君という人間は……ただのお人好しってことさ」
「え?」
目の前の男から放たれた意外な言葉に遠坂凛は目をぱちくりとさせる。
「君のその、飼い主に叱られた子犬のような態度は悪人のそれではないよ。
 君が水銀燈に対して決断を先延ばしにしていたのは、彼女のことを信じたかったから。
 または、彼女が心変わりするのを願った……、そんなところじゃないか?」
ロックの表情は普段の温和なものへと戻っていた。だが、それがまたにわかに険を帯びる。
「君のその優柔不断のせいで死ななくてもいい人間が死んでいる。それは理解しているかい?」
その言葉に遠坂凛は神妙な表情で首肯する。黒い羽舞散るあの場所でそれを誓ったのだ。
「……償いはするわ」
それを聞くと、今度こそロックは破顔一笑した。
「その言葉が聞けて安心したよ」
そして、これからもよろしくとロックは遠坂凛へと友好の手を差し出す。
その手を取ろうと遠坂凛も手を出したが、その手はロックの手へと届く前にピタリと動きを止めた。

――何故なら、目の前にいるロックのその背後に鬼が立っていたからだ。

151 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/08(火) 21:30:48 ID:WjjWF51l
                                  

152 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/08(火) 21:30:58 ID:2R8JoUsi
       

153 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/08(火) 21:31:00 ID:/Z8SdZDN
 

154 :陽が昇る 9/20  ◆S8pgx99zVs :2007/05/08(火) 21:31:05 ID:bn0jG29R
「ロォ〜〜ック……。なんだか随分と男前じゃあないか? あ〜〜ん?」

恐る恐る振り返ったロックの前には鬼――正確に言えば鬼の形相をしたレヴィが立っていた。

「お早う、レヴィ」
恐る恐るロックが声をかける。不機嫌なレヴィはニトロと変わらないので、その接触には細心の注意が
必要とされる。もっとも、不機嫌の理由がロックにある以上どう触っても爆発してしまうのだが……。

「人様が寝てる枕元で女を口説くたぁ、見せ付けてくれるじゃないか。
 大体、仮にも先輩であるこのレヴィ様に対して一言も挨拶がないったぁ、一体どういう了見だ? あ?」
「い、いや、今のは別に口説いてたわけじゃあ……。それにレヴィは寝起きが悪いだろう……?」
「大体、腐ってもロアナプラの住人である手前があんなションベン臭い餓鬼相手にニヤケ面晒してたんじゃ、
 同僚のあたしの面子が立たないと思わないか? え、ロック?」
「ご、誤解しないでくれレヴィ。別に他意はないんだ……」
「他意はない。……だとぅ? 安い嘘ついてんじゃねーぞ。あたしゃ、手前のあんな顔は見たこと無いぜ。
 それともなんだ? ホワイト・カラーの旦那にはロワナプラの女じゃあ役不足ってか?」
「そ、そりゃあロアナプラじゃ……」
「死ね」

鉄拳一発。
顔面に制裁の刻印を押されたロックはカウンターの上を勢いよく奔ると、端から飛び出し綺麗な放物線を
描くとそのままゴミ箱へと逆様に突き刺さった。

あっけにとられた聴衆が、一瞬の後ロックを救助に向かうと、レヴィは先程まで寝ていたベッドに
乱暴に腰掛けすぐ傍で固まっていたフェイトをビクリと振るわせた。

「……くだらねぇ」

155 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/08(火) 21:31:44 ID:2R8JoUsi
         

156 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/08(火) 21:32:18 ID:/Z8SdZDN
 

157 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/08(火) 21:32:22 ID:8g59ORD9
 

158 :陽が昇る 10/20  ◆S8pgx99zVs :2007/05/08(火) 21:32:31 ID:bn0jG29R
遠坂凛への疑惑が一応は拭われ、その後の一悶着が落ち着いた後。
キョン達を迎えに行く者の人選が行われたが、結果それには意外な人物が選ばれることになった。

ロックが書いた地図を片手に、意気揚々と病院の玄関を潜って出てきたのはレヴィとカズマ。
集まった人間の中でも気の短さと暴力趣向においては他の追随を許さない最も危険な二人である。

理由がないわけではない。
その理由とは、もし魅音達が残った民家に襲撃があったとしたらそれは峰不二子の可能性が高いと
ロックが推理したからだった。
今、彼らから見て所在が不明なのはセイバー、峰不二子、ゲインの三人。
セイバーだとするならば、距離的に考えても遠坂凛やフェイトが魔力を探知できてもおかしくない。
またゲインは味方のはずだし方向が違う。なので、消去法で峰不二子の可能性が高いとなった。
そして、峰不二子はカズマにとってもレヴィにとっても因縁浅からぬ相手であり、気兼ねなく拳と銃弾を
撃ち込める数少ない相手でもあるのだ。ならば、この二人がその機会を逃すはずがない。

「レヴィ。あくまで仕事はキョン君達の安全な移送だ。くれぐれも……」
出発する二人を見送るのは、顔面に張られた真新しいガーゼが眩しいロックだ。
彼も二人に同行することを繰り返し申し出たのだが……、
「耳にタコが出来るぜロック。あたしがプロだってことは手前が一番よく知ってるだろうに……。
 手前はここでおとなしくガキと女の面倒を見てな。手前にはそれがお似合いだ」
あいも変わらずレヴィは不機嫌だ。そして、それは一緒に行くカズマも同様だった。
先刻、騒がしさに軋む身体を起こし仇敵である峰不二子が近くにいると知ると、止めるフェイトを
振り切って飛び出そうとしたのだ。もっとも向かうべき場所が分からないのですぐに戻ってきたが……。
「オイ! いつまでグズグズしてんだ。置いていっちまうぞ!」
カズマの胸中にあるのは、太一とヤマトのことだ。二人とも彼の速さが足りないばかりに死なせて
しまった。なので、今度ばかりは同じ轍を踏むまいと焦っているのである。

「何かあったら病院に電話するのを忘れないでくれよ!」
玄関から足を踏み出すと、二人はロックの言葉を振り切るようにアスファルトを突っ切った。
進むにつれ狭く複雑になる路地をよどみなく駆け抜け、あっという間に病院から離れて行く。


「大丈夫かな。あの二人……」
二人が正しい方向へ向かっていることを確認すると、ロックは折れた鼻に手を当てながらトグサ達が
待つ病院の中へと戻った。

159 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/08(火) 21:33:18 ID:2R8JoUsi
             

160 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/08(火) 21:33:47 ID:/Z8SdZDN
 

161 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/08(火) 21:33:57 ID:WjjWF51l
                                   

162 :陽が昇る 11/20  ◆S8pgx99zVs :2007/05/08(火) 21:34:30 ID:bn0jG29R
ロックが戻ってくると、トグサ達は次の議題としてセイバーと一緒に姿を消したセラスをどうするかと
話し合っていた。
フェイトと一刻も早く仲間を追うべきだと主張したが、逆にセイバーの実力を知っている遠坂凛は
慎重に行動することを主張した。そして、いたずらな戦力の分散をよしとしないトグサとゲイナーも
遠坂凛に同調し、そこにロックも加わることで議論に決着はついた。

(……苦労のかけっぱなしになるな)
トグサの胸中はセラスに対する申し訳なさでいっぱいだった。この悪趣味な殺人遊戯が始まって
以来、彼女に拠点の防衛や荒事を任せっぱなしなってしまっている。
二度再会した時も毎回慌ただしい戦闘の真っ最中でろくに謝罪もしていない。
再び会えたならその働きを労いたいが、遠坂凛からセイバーの実力を聞くとそれも絶望的かと思えた。

「……で、セイバーが再び現れたとして俺達で迎撃できると思うか?」
トグサのその質問に遠坂凛は顎に手を当てて考える。
「……できないこともない。と思うけど」
返答は歯切れの悪いものだった。
先程の戦いでは勝負は一方的だったが、今彼女の手にはレイジングハートに加え闇の書がある。
ただし、どちらも先の戦闘で激しく消耗しているため、今の状態だと厳しいと言わざるを得ない。
これら両方が回復し、フェイトと連携すればおそらく互角以上に戦えるはずではあるが……。


『マスター。何者かがここへと接近しています』
レイジングハートの報告に遠坂凛の思考が中断される。まさかセイバーがと思ったが、
『いえ、魔力を持たない者が一人で近づいています』
その報告に、ほっと胸をなでおろす。それはここにいる全員もそうだったようだ。

「多分、ゲインさんだと思いますよ。そろそろ来ることだと思いますし」

フェイトとゲイナーの言葉通り、ひび割れた床板を踏んで現れたのはゲインその人だった。

163 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/08(火) 21:34:55 ID:2R8JoUsi
         

164 :陽が昇る 12/20  ◆S8pgx99zVs :2007/05/08(火) 21:35:38 ID:bn0jG29R
ゲインが加わることで議論は脱出方法の方へとシフトした。
各人が無言でメモに知っている情報や推論をまとめ、それを全員で流し読みしている。

今まではそれぞれがバラバラに行動していたが、ここに来て脱出を目指す人間のほとんどが
揃ったことで脱出への道は一気に加速した。


ゲインがコツコツと首輪突き、続いてカウンターの上に並べられた技術手袋と解体された首輪を指す。
自分達が提案した、解体された首輪を元に電波妨害装置を作り首輪の機能を停止させるという案は
どうかというジェスチャーだ。
対するトグサの顔はやや渋い。できると思うが……というところまでを口に出して、続けてドラえもんが
書いたメモの一文を指差した。
そこには、”アルター化による首輪の分解は成功しなかった”と書かれている。
それを見て、ゲインは成る程と頷いた。そしてペンをメモの上で走らせる。

『つまり、技術手袋に関しても首輪に対してなんらかの対策がほどこされていると?』
それを見てトグサも自分のメモへと言葉を綴る。
『可能性でしかないが、これも元々ギガゾンビの物だけになんらかの制限が掛かっていると考えた
 ほうが無難だろう。提案された妨害装置を作ることはおそらくできるだろうが、最悪それが機能しなくて
 首輪が爆発してしまうという可能性がある』
ゲインは腕を組んで口から空気を洩らす。確かにこれもギガゾンビの演出のうちである可能性も
否定できない。だが、そういった根幹部分から疑っては進むものも進みはしない。

「ドラえもんはどう思う? コレで例の物が作れるというのは保障できるか?」
ゲインはカウンターの端に座るドラえもんに声を出して尋ねる。その返答はYESだった。
技術手袋で電波妨害装置を作れることは、秘密道具に精通したドラえもんによって肯定された。
やはり問題はギガゾンビが独自に用意したであろうと推測される首輪である。

「ロック。例のモノは俺自身でなくて、九課当てで間違いないんだな?」
思案するゲインの前でトグサがロックへと問いかける。それは長門が用意した脱出の鍵の一つ。
君島のi-podに入っていた謎のデータについてだ。
ロックが問いを肯定すると、トグサは再び新しいメモにペンを走らせそれをゲインの前に出した。

『これは、長門からのデータが俺の想像しているものと一致しているとしたらの場合だが』
そういう前置きでその提案は始まっていた。

トグサが考えた謎のデータの内容……、それは”電脳通信への制限解除。または機能拡張”だった。
長門の用意したソレはトグサ個人ではなく、九課全体へ宛てられたものだった。だとすれば九課の
全員に共通して使えるものであるだろうことを、推理するのは難しくない。
その上でトグサが推定したのが、制限がかけられている電脳通信へのなんらかの処置である。

『キョン君が持つノートPC。あれはギガゾンビの用意したツチダマ掲示板へと繋がっている。
 もし電脳通信の機能が回復すれば、そのノートPCを中継してギガゾンビが使用しているCPUへと
 進入できるかもしれない』
そして、その先には具体的な方法と得られる成果も書かれている。
『まずは、掲示板の置かれているサーバーの一部を乗っ取り、そこに容量を確保してゲイナーの
 持っているタチコマのメモリをアップロードして支援用AIを構築する。
 そして、そこを足がかりにメインCPUへと進入できれば、首輪に使われている電波の種類や
 その内容が得られるだろう』

トグサのメモを読んだゲインは口の端を歪める。成る程、これが実現できれば首輪解体に必要な
擬似電波が特定でき、不安は一蹴されるだろう。成功すれば案は磐石となるはずだ。

165 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/08(火) 21:36:13 ID:2R8JoUsi
          

166 :陽が昇る 13/20  ◆S8pgx99zVs :2007/05/08(火) 21:36:56 ID:bn0jG29R
トグサの新しく提案した案。それを改めて全員に回し、さらにディスカッションを進めることで
全員の意見は一致した。その内容は議事録として一枚のメモにまとめられている。


 【首輪解体の案について】

  A.首輪の機能、その根幹を成す戦闘データ計測装置に擬似電波を流して無効化させる。

   1).技術手袋を使って解体した首輪の部品から擬似電波発信機を作る。
   2).その発信すべき電波を特定するためにトグサがギガゾンビのCPUへと進入(ダイブ)する。
    ※その前提として、キョンと合流しノートPCを受け取る必要がある。

  B.[A]が達成された後、技術手袋を使って全員の首輪を解体した外す。

  C.副案としてリインフォース内を検索し、魔法によるアプローチが可能でないかを探る。


首輪について一段落したところで議論はゲインが発見した亜空間破壊装置の方へと移った。
これについては、その性質も残りの所在も明らかになっていることから見通しは明るい。

首輪の解体案が具体性を帯び、脱出の方法にも光明が見えことで、カウンターを囲む彼らの顔に
それまではなかった希望が見て取れたが、そこに釘を刺したのは現実主義者であるロックだった。

「みんな、自分達がどうやってここに連れてこられたかを覚えているかい?」
ロックの放ったふいの質問に全員が押し黙る。
それは誰もが最初に考えることだが、同時に誰もその答えを持っていなかった。
そして、全員がロックの質問の意図を察する。

「そう。この舞台をゲームの盤に例えれば、ギガゾンビはいつでもsの盤を引っくり返すことができる
 ゲームマスターだ。うまく此処を脱出できたとしても、また同じ方法で集められ
 最悪の場合、再び何も知らずにまたこの殺人ゲームに興じるはめになるかも知れない」
……いや、もしかしたらこれも何回目なのかも知れないなと、ロックは続けて口を閉じた。

「だからって、何もしないってわけにはいかないでしょう!? 私達はあいつのための遊び道具じゃないのよ」
カウンターに手をつき身を乗り出したのは遠坂凛だ。そしてその発言は全員の意志を代弁したものでもある。

「それはもちろんさ。……で、提案だ」
と言ってロックは一枚のメモを前に出す。それには一つの大胆な案が書かれていた。

”首輪解体や亜空間破壊装置と並行してギガゾンビの居場所も探り、電撃作戦でもって打倒する”

一つ一つの案になんとか道が見えてきたというところだ。まだまだ、それぞれの難度は高い。
それらを同時に並行して行うとなるとその難度は格段に跳ね上がるだろう……だが、

「ギガゾンビはもしかしたらボタン一つでこの状況をリセットできるかもしれない。
 だとしたらギガゾンビをその気にしてしまうことが俺達の敗北条件だ。
 一つの策がうまくいったとしてもそこで盤を引っくり返されては俺達の負けになる。
 だったら、全部を一度に進めるしかない」
発言したロックは目の前の彼らの反応を身を強張らせて待った。
言っていること自体は間違いではないが、かなり酷なことではある。もし、これを切欠に皆の心が
挫けるようなことがあれば仲間同士で殺し合いを演じるはめに陥るかもしれない。

167 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/08(火) 21:37:00 ID:2R8JoUsi
        

168 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/08(火) 21:37:47 ID:8g59ORD9
 

169 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/08(火) 21:38:05 ID:LmRNI3ZW


170 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/08(火) 21:38:09 ID:MsWEAECm


171 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/08(火) 21:38:51 ID:WjjWF51l
                                       

172 :陽が昇る 14/20  ◆S8pgx99zVs :2007/05/08(火) 21:39:23 ID:bn0jG29R
「確かに彼の言う通りだな。それぞれの事を起こす間は短ければ短いほうがいい。
 相手側の混乱を誘うこともできるはずだ」
「幸いなことに僕たちには十分な人手と装備がありますし」
「そのためにもハルヒ達には早く帰ってきてもらわないと」
「残された時間がどれだけあるのかも問題だな。
 死者が出なくなればギガゾンビが何か手を打ってくることも考えられる」
「あいつはツチダマや捕まえた人を僕にして操ってたんだ。そいつらが出てくるかもしれない」
「ゲインの話だとツチダマはすでに確認されてますね。あまり強敵ではないみたいだけど」


「はは……」
ロックの弛緩した身体を椅子に預ける。彼の懸念は全くの杞憂に終わったようだ。
(怯えていたのは俺一人か……)
目の前で再び加熱するディスカッションを見て、ロックは自分の不甲斐なさに苦笑した。



そうして、病院の外を照らす太陽が空の頂上に到達しようという頃。
丁度、病院な中で行われていた大反抗の計画も一つの区切りを迎えようとしていた。

例の部屋の中央には、他の部屋から運び込んできたいくつかの事務机がくっつけて並べられており、
その上には夥しい数の武器や道具。その他の物品が所狭しと並べられている。
それはゲイン達が朝方に喫茶店で行ったことの再現でもあったが、今回はここに集まった人間が
持て余している物も出されているためさらに量が増えている。

そんな光景に感動する者もいれば驚く者もいるが、一人トグサの表情は神妙なものだった。
持ち主を失った物がこれだけもあるということは、逆に言えばそれだけ志半ばに倒れた者達がいると
いうことでもある。トグサ自身も仲間を失った。残ったのは手の平に乗せられたタチコマのメモリだけだ。
もう片方の手にはメモ紙を束ねて作った一冊の簡易な冊子が握られている。

 ”エクソダス計画書”

そう表紙に書かれたそれは、今回の情報交換とディスカッションの上で練られたこのゲームからの脱出、
つまりはギガゾンビに対する大反抗作戦の計画書だ。
ここに集まった全員の経験と知識の集大成でもある。

(……ついにここまで着ましたよ少佐)
たった一日半だったがものすごく長く、失ったものは数知れなかった。そして、五里霧中の中を散々に迷った。
だが、ついに最終局面へのその階段の第一歩を踏み出した。

(ここまで来たら後はやるだけだ!)

それはトグサのそして、今この舞台の上で生きている全員の気持ちだった……。



そして、後何度あるかはわからないギガゾンビの放送が始まる。

173 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/08(火) 21:39:31 ID:2R8JoUsi
      

174 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/08(火) 21:40:36 ID:2R8JoUsi
        

175 :陽が昇る 15/20  ◆S8pgx99zVs :2007/05/08(火) 21:40:37 ID:bn0jG29R
※エクソダス計画書について

 【エクソダス計画書】
  今回の情報交換とディスカッションを経て作られた、首輪や亜空間破壊装置等についての考察や
  脱出への計画をまとめたものです。
  ※メモ紙に手書きで作られ、病院事務所のコピー機で複製されました。

 【脱出計画】

 【首輪解体の案について】

  A.首輪の機能、その根幹を成す戦闘データ計測装置に擬似電波を流して無効化させる。

   1).技術手袋を使って解体した首輪の部品から擬似電波発信機を作る。
   2).その発信すべき電波を特定するためにトグサがギガゾンビのCPUへと進入(ダイブ)する。
    ※その前提として、キョンと合流しノートPCを受け取る必要がある。

  B.[A]が達成された後、技術手袋を使って全員の首輪を解体した外す。

  C.副案としてリインフォース内を検索し、魔法によるアプローチが可能でないかを探る。


 【亜空間破壊装置について】

  後に事をスムーズに進めるためにも、偵察する人員を寺と温泉に送り込む。
  これに宛がわれた人員は双眼鏡および望遠鏡を持っていくこと。
  また、装置を破壊できる火力も合わせて持っていくこと。

 【ギガゾンビの居場所について】

  トグサ氏より情報を得られた、映画館にあった謎のフィルムの内容を検証する。

  ・検証方法
   改めて映画館に赴き件の映像を担当する人員が確認。
   その後、インスタントカメラ等を持って映像にあった場所に向かいその光景を写真に収める。
   そして、収集されたデータを病院へと持ち寄り検証する。

 【病院の防衛について】

  最大の敵性存在であるセイバーの襲来にそなえ病院に人員を配置。
  ロック氏その他の情報からセイバーが病院を中心に徘徊し繰り返し病院を襲っていることが
  わかっている。なので再襲来の可能性は高い。

 【その他】
  射手座の日(THE DAY OF SAGITTARIUS III)をノートPCでプレイしてみる。

 ※全員が持っていた情報はこの一冊に集約されました。
 ※今病院にいる、フェイト、遠坂凛、トグサ、ゲイン、ロック、ゲイナー、ドラえもんの七人は
  この内容を把握しています。

176 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/08(火) 21:40:53 ID:WjjWF51l
                             

177 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/08(火) 21:41:00 ID:8g59ORD9
 

178 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/08(火) 21:41:34 ID:2R8JoUsi
         

179 :陽が昇る 16/20  ◆S8pgx99zVs :2007/05/08(火) 21:41:56 ID:bn0jG29R
 ※机の上に広げられた支給品・その他について

 現在以下のアイテムが机の上に広げられています。
 ゲイン達はまだ、これらをどう配分するかは決めていませんし、個別の検分もまだです。


 【机の上に広げられた支給品・その他】

 【デイバッグ/支給品一式と食料】
 デイパック×7
 支給品一式×12、支給品一式(食料なし)、支給品一式(食料-4食)×2、支給品一式(食料-2食)

 【近接武器】
  刺身包丁、ナイフとフォーク×各10本、レイピア、ルルゥの斧、獅堂光の剣
  ルールブレイカー、ハリセン、極細の鋼線

 【遠距離武器】
  454カスール カスタムオート(残弾:0/7発、予備弾薬×21発)
  鳳凰寺風の弓(矢18本)、9mmパラベラム弾(×64発)

  銃火器の予備弾セット(各40発ずつ)
   ※以下の種類の弾丸は抜かれています。
   [ソードカトラス]

 【その他の武器】
  ルイズの杖、五寸釘(×30本)&金槌、黒い篭手(?)

 【特殊な道具】
  惚れ薬、たずね人ステッキ、びっくり箱ステッキ(使用回数:10回)、ひらりマント

 【一般的な道具】
  双眼鏡×2、望遠鏡、マウンテンバイク、ロープ、画鋲数個、マッチ一箱、ロウソク2本

 【その他】
  ヤクルト×1本、紅茶セット(×2パック)、医療キット
  市販の医薬品多数(※胃腸薬、二日酔い用薬、風邪薬、湿布、傷薬、正露丸、絆創膏etc)
  ドラムセット(SONOR S-4522S TLA、クラッシュシンバル一つを解体)
  クラッシュシンバルスタンドを解体したもの
  ボロボロの拡声器(故障中)
  蒼星石の亡骸(首輪つき)、リボン、ナイフを背負う紐
  ローザミスティカ(蒼)、ローザミスティカ(翠)
  鶴屋さんの首輪

180 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/08(火) 21:42:09 ID:8g59ORD9
 

181 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/08(火) 21:42:35 ID:2R8JoUsi
          

182 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/08(火) 21:42:45 ID:WjjWF51l
                           

183 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/08(火) 21:43:01 ID:/Z8SdZDN
 

184 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/08(火) 21:43:06 ID:2R8JoUsi
         

185 :陽が昇る 17/20  ◆S8pgx99zVs :2007/05/08(火) 21:43:06 ID:bn0jG29R
 [チーム全体としての基本方針]
  1:全体で詳細な情報交換を行い互いの疑問や探し事などを解決する。
  2:キョン達とカズマ、レヴィが戻ってくる。または彼らからの連絡を待つ。
  3:行動を開始する前に装備の再配分、食事と休憩を終わらせる。
  4:全員が落ち着いたらエクソダス計画書にしたがって行動を起こす。


 【D-3/病院/2日目-昼(放送直前)】

 【フェイト・T・ハラオウン@魔法少女リリカルなのはA's】
 [状態]:全身に中程度の傷(初歩的な処置済み)、中程度の魔力消費、バリアジャケット装備
 [装備]:バルディッシュ・アサルト(アサルトフォーム/カートリッジ再装填済/予備カートリッジ×12発)
 [道具]:デイバッグ、支給品一式、クラールヴィント、西瓜×1個、ローザミスティカ(銀)、エクソダス計画書
 [思考]
  基本:戦闘の中断及び抑制。協力者を募って脱出を目指す。
  1:忙しくなる前にトグサにタチコマとのことを謝っておく。
  2:光球(ローザミスティカ)の正体を凛に尋ねる。
  3:遠坂凛と協力して魔法による首輪解除の方法を模索する。
  4:ベルカ式魔法についてクラールヴィンと相談してみる。
  5:念のためリインフォースの動向には注意を向けておく。
  6:カルラや桃色の髪の少女(ルイズ)の仲間に会えたら謝る。

 [備考]
  ※襲撃者(グリフィス)については、髪の色や背丈などの外見的特徴しか捉えていません。素顔は未見。
  ※首輪の盗聴器は、ルイズとの空中戦での轟音により故障しているようです。


 【遠坂凛@Fate/stay night】
 [状態]:中程度の疲労、全身に中度の打撲、中程度の魔力消費、バリアジャケット装備(アーチャーフォーム)
 [装備]:レイジングハート・エクセリオン(/修復中 ※破損の自動修復完了まで数時間必要/カートリッジ再装填済)
  夜天の書(消耗中、回復まで時間が必要/多重プロテクト)、予備カートリッジ×11発、アーチャーの聖骸布
 [道具]:デイバッグ、支給品一式(食料残り1食。水4割消費、残り1本)、石化した劉鳳の右腕、エクソダス計画書
 [思考]
  基本:レイジングハート&リインフォースのマスターとして、脱出案を練る。
  1:セイバーの再襲撃に備えて体力と魔力の回復に努める。
  2:フェイトと協力して魔法による首輪解除の方法を模索する。
  3:ベルカ式魔法についてリインフォースと相談してみる。
  4:カズマが戻ってきたら劉鳳の腕の話をする。
  5:セラスの安否を確認する。
  6:変な耳の少女(エルルゥ)を捜索。

 [備考]:
  ※リリカルなのはの魔法知識、ドラえもんの科学知識を学びました。
  ※リインフォースを装備してもそれほど容姿は変わりません。はやて同様、髪と瞳の色が変わる程度です。
 [推測]
  ※ギガゾンビは第二魔法絡みの方向には疎い。
  ※膨大な魔力を消費すれば、時空管理局へ向けて何らかの救難信号を送る事が可能。


 【トグサ@攻殻機動隊S.A.C】
 [状態]:疲労と眠気、特に足には相当な疲労、SOS団団員辞退は不許可
 [装備]:S&W M19(残弾6/6発、予備弾薬×28発)
 [道具]:デイバッグ、支給品一式、警察手帳、技術手袋(使用回数:残り15回)、解体された首輪
  タチコマのメモリチップ、エクソダス計画書
 [思考]
  基本:情報を収集し脱出策を講じる。協力者を集めて保護。
  1:キョンが来るのを待って、彼から謎のデータを受け取る。
  2:謎のデータが電脳通信に関するものだったら、それを使ってハックの準備を行う。
  3:ハルヒか他の人間にロケ地巡りをしてもらうよう頼む。

186 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/08(火) 21:43:26 ID:8g59ORD9
 

187 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/08(火) 21:43:27 ID:WjjWF51l
                                

188 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/08(火) 21:43:38 ID:JkAuTshq



189 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/08(火) 21:44:04 ID:WjjWF51l
                               

190 :陽が昇る 18/20  ◆S8pgx99zVs :2007/05/08(火) 21:44:04 ID:bn0jG29R
 【ロック@BLACK LAGOON】
 [状態]:眠気と疲労、鼻を骨折しました(手当て済み)
 [装備]:マイクロ補聴器
 [道具]:デイバッグ、支給品一式、現金数千円、エクソダス計画書
 [思考]
  基本:力を合わせ皆でゲームから脱出する。
  1:ドラえもんにディスクをキョンへと譲ってもらえるように頼む。
  2:君島の知り合いと出会えたら彼のことを伝える。

 [備考]
  ※しんのすけに両親が死んだことは伏せておきます。
  ※顔写真付き名簿に一通り目を通しています。
  ※参加者は四次元デイバッグに入れないということを確認しています。
  ※ハルヒ、キョン、トウカ、魅音、エルルゥらと詳しい情報交換を行いました。
  ※キョンの持つノートPC内の情報を得て、考察しました。
  ※レヴィの趣味に関して致命的な勘違いをしつつあります。


 【ゲイン・ビジョウ@OVERMANキングゲイナー】
 [状態]:右手に火傷(小)、全身各所に軽傷(擦り傷・打撲)、腹部に重度の損傷(外傷は塞がった)
 [装備]:ウィンチェスターM1897(残弾数5/5、予備弾薬×25発)、NTW20対物ライフル(弾数3/3)、悟史のバット
 [道具]:デイパック、支給品一式、スパイセットの目玉と耳(×2セット)
  トラック組の知人宛てのメッセージを書いたメモ、エクソダス計画書
 [思考]
  基本:ギガゾンビを打倒し、ここからエクソダス(脱出)する。
  1:皆を率いてエクソダス計画を進行させる。
  2:野原しんのすけを保護する。
 [備考]
  ※仲間から聞き逃した第三放送の内容を得ました。
  ※首輪の盗聴器は、ホテル倒壊の轟音によって故障しています。
  ※モールダマから得た情報及び考察をメモに記しました。

191 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/08(火) 21:44:46 ID:5rgm2mbc


192 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/08(火) 21:45:03 ID:2R8JoUsi
         

193 :陽が昇る 19/20  ◆S8pgx99zVs :2007/05/08(火) 21:45:14 ID:bn0jG29R
 【ゲイナー・サンガ@OVERMAN キングゲイナー】
 [状態]:風邪の初期症状、腹部と後頭部と顔面に打撲(処置済み)、頭からバカルディを被ったため少々酒臭い。
 [装備]:コルトガバメント(残弾7/7、予備残弾×38発)、トウカの日本刀、コンバットナイフ
 [道具]:デイバッグ、支給品一式(食料一日分消費)、スタングレネード×2、スパイセットの目玉と耳
  クーガーのサングラス、グラーフアイゼン(待機状態、残弾0/3)、エクソダス計画書
 [思考]
  基本:バトルロワイアルからの脱出。
  1:エクソダス計画に対し自分のできることをする。
  2:カズマが戻ってきたらクーガーのサングラスを渡す。
  3:グラーフアイゼンを誰かふさわしい人に譲る。

 [備考]
  ※名簿と地図を暗記しています。また、名簿から引き出せる限りの情報を引き出し、最大限活用するつもりです。
  ※なのはシリーズの世界、攻殻機動隊の世界に関する様々な情報を有しています。


 【ドラえもん@ドラえもん】
 [状態]:中程度のダメージ(修理によりやや回復)、頭部に強い衝撃、のび太の死による喪失感
 [装備]:虎竹刀
 [道具]:デイバッグ、支給品一式(食料-1)、"THE DAY OF SAGITTARIUS III"のゲームCD
 [思考]
  基本:ひみつ道具と仲間を集めて仇を取る。ギガゾンビを何とかする。
  1:エクソダス計画に対し自分のできることをする。

 [備考]
  ※Fateの魔術知識、リリカルなのはの魔法知識を学びました。
  ※だいぶ落ち着きましたが、まだかなり落ち込んでいます。

194 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/08(火) 21:45:28 ID:8g59ORD9
 

195 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/08(火) 21:46:13 ID:5rgm2mbc


196 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/08(火) 21:46:16 ID:2R8JoUsi
       

197 :陽が昇る 20/20  ◆S8pgx99zVs :2007/05/08(火) 21:46:14 ID:bn0jG29R
 【C-3/市街地/2日目-昼】

 【カズマ@スクライド】
 [状態]:少しの疲労、全身に中程度の負傷(処置済)、西瓜臭い
 [装備]:なし
 [道具]:デイバッグ、支給品一式(食料-1)、翠星石の首輪、エンジェルモートの制服
 [思考]
  基本:気にいらねぇモンは叩き潰す、欲しいモンは奪う。もう止まったりはしねぇ、あとは進むだけだ!
  1:峰不二子(変装ヤロー)を見つけてぶっ飛ばす!
  2:キョン達とやらを見つけて病院へと送り届ける。
  3:フェイトが言うならエクソダスとやらに協力してやらねぇでもない。
  4:レヴィは……ま、俺の勝ちだな。

 [備考]
  ※いろいろ在ったのでグリフィスのことは覚えていません。
  ※のび太のデイパックを回収しました。
  ※レヴィと暴れたので、だいぶスッキリしました。


 【レヴィ@BLACK LAGOON】
 [状態]:脇腹、及び右腕に銃創(処置済み)、背中に打撲、頭からバカルディを被ったため少々酒臭い。
 [装備]:ソード・カトラス(残弾15/15、予備残弾×26発)、ベレッタM92F(残弾5/15、予備弾倉15発×1)
 [道具]:デイバッグ×2、支給品一式×2、イングラムM10サブマシンガン(残弾13/30、予備弾倉30発×2)
  グルメテーブルかけ(使用回数:残り16品)、ぬけ穴ライト、テキオー灯、
  バカルディ(ラム酒)×1本、割れた酒瓶(凶器として使える)、エクソダスと首輪解除に関して纏めたメモ
  [思考]
  基本:バトルロワイアルからの脱出。物事なんでも速攻解決!! 銃で!!
  1:峰不二子を見つけ出し今度こそ仕留める&大暴れする。
  2:キョン達とやらを見つけて病院へと送り届ける。
  3:ゲイナーやゲインのエクソダスとやらに協力する。
  4:カズマは絶対に、必ずぶっ飛ばす。
  5:機会があればゲインともやり合いたい。
  6:バリアジャケットは絶対もう着ないし、ロックには秘密。秘密を洩らす者がいたら死の制裁を加える。

 [備考]
  ※双子の名前は知りません。
  ※魔法などに対し、ある意味で悟りの境地に達しました。
  ※ゲイナー、レヴィ共にテキオー灯の効果は知りません。
  ※カズマに笑われたことでよりムシャクシャが悪化しました。

198 :陽は昇る 修正  ◆S8pgx99zVs :2007/05/09(水) 14:51:57 ID:/8FrQdAB
遠坂凛とロックの状態表-思考を以下のように修正します。

 [思考]
  基本:レイジングハート&リインフォースのマスターとして、脱出案を練る。
  1:セイバーの再襲撃に備えて体力と魔力の回復に努める。
  2:リインフォースからアルルゥの遺体がある場所を聞き、彼女を埋葬する。
  3:フェイトと協力して魔法による首輪解除の方法を模索する。
  4:ベルカ式魔法についてリインフォースと相談してみる。
  5:カズマが戻ってきたら劉鳳の腕の話をする。
  6:セラスの安否を確認する。
  7:変な耳の少女(エルルゥ)を捜索。

 [思考]
  基本:力を合わせ皆でゲームから脱出する。
  1:ドラえもんにディスクをキョンへと譲ってもらえるように頼む。
  2:キョン達に会えたら遠坂凛に対する誤解を解く。
  3:君島の知り合いと出会えたら彼のことを伝える。

※誤字脱字に関しては、wiki掲載後にまとめて修正したいと思います。

199 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/09(水) 23:02:49 ID:8hSjV7pG
                             

200 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/09(水) 23:04:12 ID:8hSjV7pG
                           

201 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/09(水) 23:04:30 ID:F692VJMX


202 : ◆FbVNUaeKtI :2007/05/09(水) 23:04:43 ID:XW3V0gCl
「以上が詳細な報告となっております」
ツチダマから示された情報を眺めながら、グリフィスは「そうか」と小さく頷く。
ここはエイハチ温泉のスタッフルーム。
彼の目前にあるのは、かつてコンラッドが蒐集した画像の保存等に使っていたノートパソコンだった。
「セイバー・・・・・・なるほど、開始当初から積極的に他者の殺戮を行っている人物か」
目前に示された情報――少女がどのように生き、どのように殺してきたかの概要を眺めながらグリフィスは呟く。
これまでの殺害人数は五人。強力な攻撃手段と回復手段を持ち、戦力としては申し分ない。
そして、騎士の名とは裏腹に強者弱者を関係なく襲い、生存している参加者のほぼ全員と因縁もある。
「どのように扱うにしても、彼女は優れた手駒になりうるな」
そう一人ごちながら、グリフィスはほくそ笑んだ。
「ユービック。今の所、積極的に殺し合いを行っているのは彼女一人で間違いないんだな?」
『はい。未だ本心を隠している者が存在するかもしれませんが、
 現状で生存が確認されている優勝狙いの参加者はセイバー一人だけです』
グリフィスの質問に、正面にある通信モニターからユービックの答えが返る。
しばしの思案の後、彼は徐に口を開く。
「セイバーに渡す交渉材料の準備は出来ているな? では、彼女の現在地に・・・・・・」
「お待ちください!」
言葉を遮り、割り込んでくる声。
どこでもドアを介して現れたのは、病院周辺の監視を行っているはずのスランの声だった。
『スラン、何をしている。病院の監視はどうしたんだ?』
ユービックの疑問には答える事無く、スランは自らの主の下へと平伏する。
「グリフィス様。その任、何卒、何卒このスランめにお申し付けください!」
『スラン!』
通信機越しの静止。しかし、スランの言葉は止まらない。
「いくら有利な取引を持ちかけるとはいえ、相手は参加者の一人。
 主催者側の人間を名乗るグリフィス様に危害を加えないとも限りません!
 もし、グリフィス様の身に何かがあったらと思うと、自分は・・・・・・!」
『スラン、いい加減に・・・・・・』
「スラン」
冷たい言葉が――彼の敬愛する王の声が、スランの嘆願を押しとどめる。
ただ一言。それだけでスランは声を失い、ユービックは言葉に詰り、哀れ、偶々部屋にいただけの下級ダマは動きを止めた。
「スラン」
もう一度、その名を呼ばれスランは掠れた声で返事を返す。
怯える彼に意を解さず、グリフィスは言葉を続ける。
「スラン、お前の気持ちは理解した。その想いに、礼を言おう」
「グリフィス様」
叱責の言葉を覚悟していたスランは、王の優しい言葉に心を震わせる。
その様子を眺めながら、グリフィスはその場に居る者全てに聞こえるように告げた。
「スラン。お前にセイバーとの交渉、全てを任せる。
 ・・・・・・彼女に武器や物資を渡し、必要ならば援護せよ!
 ユービック。お前には現在の仕事に加え、スランの仕事も受け継いでもらう。
 ・・・・・・苦労を掛けるが、出来るな?」
「この命に代えましても!」
『なんら問題はありません』
深々と頭を下げるスランと、通信機越しに自信に満ちた返答返すユービック。
グリフィスは平伏しているスランに歩み寄ると、手元にあったディバッグを渡した。
「食料や水だ。これも交渉の材料に使えるだろう」
手渡されたデイバッグを恭しく受け取ると、スランは慌しくどこでもドアの中へと消える。
そして、ユービックも通信モニター越しに一礼すると、そのまま回線を閉じる。
そこには漆黒の鎧を纏った男と、未だ動きを止めたツチダマのみが残された。
「さて・・・・・・そこのお前。お前はこの機械が扱えるんだったな」
その突然の言葉に再起動したツチダマは、全身を使いながら慌てて頷く。
ツチダマの様子を横目に見ながら、グリフィスは目の前の機械――ノートパソコンに目を向けた。
「お前にはこれを使い、やってもらいたい事がある」
「一体何を?」
ツチダマの漏らした小さな呟き。グリフィスはそれに笑みを浮かべながら答えた。
「駒を作る方法は、一つだけではないという事だ」


              ☆☆☆

203 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/09(水) 23:05:15 ID:TJMwYhOV
 

204 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/09(水) 23:06:11 ID:8hSjV7pG
                               

205 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/09(水) 23:06:26 ID:ZAxJ2qPd
 

206 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/09(水) 23:06:29 ID:RWCG7Fjm


207 : ◆FbVNUaeKtI :2007/05/09(水) 23:06:51 ID:XW3V0gCl
「サトちゃーーん!魅音お姉さーーん!」
俺達が息を切らせてそこに辿り着いたのは、全てが終わった後だった。
半壊した住宅と中に舞う煙。そして少年の泣き声と倒れている数人の人物。
ここで何が起こったのかは一目瞭然だった。
「しっかりしろ、園崎!」
あまりに凄惨な状況に唇を噛み締めながら、俺は近くに倒れていた園崎の側にしゃがみこむ。
そして、肩口を強く掴んで、その体を乱暴に揺さぶった。
だが、返事は返ってこない。
微かに残った温かさだけが、園崎がついさっきまで生きていた事を示していた。
「・・・・・・糞っ!」
園崎の肩から手を放し、ゆっくりと地面に横たえる。
満足しきったような、幸せそうな園崎の表情に少しの安堵感を覚えるが、
それでも、俺の心にはどうしようもない怒りが広がっていた。
「キョン殿」
北条達の様子を見に行っていたトウカさんが、俺に声を掛ける。
そうだ・・・・・・北条やしんのすけ少年は無事なのだろうか。希望をこめて振り返る。
するとそこには、泣きじゃくるしんのすけ少年を抱きかかえたトウカさんと、
同じく両手にいくつかのデイバッグを抱きかかえたハルヒの姿があった。
「しんのすけ殿は無傷であった。しかし、沙都子殿は・・・・・・」
少年の涙を拭ってやりながら、沈痛な面持ちで首を振るトウカさん。
その先は言われなくても理解できた。
なんでも、北条はしんのすけ少年を覆うように倒れていたらしい。
二人は命を賭して少年を守りきったのだろう・・・・・・糞っ!俺の中の怒りが更に大きくなる。
「あっちには、あたしを病院で襲った峰不二子って女が・・・・・・死んでた」
暗い表情でハルヒが呟く。
病院で一人の少年を殺し、一人の少年を連れ去った女。
近くにヤマトという少年の姿は無かったが、女の側には持ち逃げされたデイバッグが落ちていたらしい。
おそらく、その女が今回の事態を引き起こして、そして返り討ちにあったんだろう。
ヤマト少年はカズマという男に助けられたのか、それとも・・・・・・
「あいつ、化け物でも見たような顔をしてたわ」
ハルヒの言葉に、彼女が倒れている方向へと目を向ける。しかし影になって、ここからでは表情は確認できなかった。
「化け物か・・・・・・」
果たして、峰不二子は自身が犯してきた罪を悔やんで死んでいったんだろうか。
・・・・・・犯してきた罪に相応しい死が与えられたのだろうか。
頭に浮かんだ思考に、思わずため息を吐きながら頭を振る。
やれやれ・・・・・・どうやら想像以上に俺は疲れているらしい。
「園崎達を、埋めてやろう」
気持ちを切り替えるように呟く。
こくりと頷く三人を見ながら、それでも俺の胸の燻りが消えることは無かった。

「あたしは休んでろって、一体どういう事?」
スコップを手にした俺にハルヒが怒りの声をぶつける。
園崎達の埋葬を手伝うと言ったハルヒに、しんのすけ少年と休んでおくようにと俺が言ったからだ。
「この中では俺とトウカさんが一番体力がある。それに、少年を一人で休ませておくわけにもいかないだろう?」
そう言いながら、俺はトウカさんの腕に抱かれた少年を指差す。
先程まで泣いていたしんのすけ少年は、助けが来たことに安堵したのか、泣き疲れてまどろんでいる。
そして、ハルヒも顔面蒼白で、精神的にも肉体的にも疲れているようだった。
ここまで、全速力で戻ってきたのだから当然だろう。まあ、それは俺も同じなんだが。
「でも、あんただって疲れてるんじゃ・・・・・・」
「大丈夫だ、お前よりは疲れてない。それに、疲れたらすぐに休む」
少しの沈黙の後、俺のその言葉にしぶしぶとといった感じで頷くと、
ハルヒはデイバッグを抱えたまま、しんのすけ少年と共に近くの木陰へと座り込んだ。
「それじゃ、始めましょうかトウカさん」
トウカさんにそう一声かけて、俺はスコップで手近な地面を掘り起こし始めた。


               ☆☆☆

208 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/09(水) 23:07:02 ID:8hSjV7pG
                     

209 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/09(水) 23:07:15 ID:TkXi9v+h
 

210 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/09(水) 23:07:56 ID:8hSjV7pG
                                  

211 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/09(水) 23:08:00 ID:ZAxJ2qPd
  

212 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/09(水) 23:07:59 ID:TJMwYhOV


213 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/09(水) 23:08:18 ID:RWCG7Fjm


214 : ◆FbVNUaeKtI :2007/05/09(水) 23:08:23 ID:XW3V0gCl
「!?」
民家の一室で休息を取っていたセイバーは、突如として立ち上がりコンバットナイフを構えた。
彼女が座り込んでいた居間の中心。そこに何の前触れも無く、桃色のドアが出現したのだ。
警戒し身構える少女の目の前で、扉がゆっくりと開かれる。
そこから現れたのは明らかに人間ではない影。それは何処からどうみても、土塊で出来た人形だった。
「何者です」
静かに紡がれる誰何の声。セイバーを真っ直ぐに見据えながら、その土人形は答える。
「俺の名はスラン。我が王の命によりセイバー、あんたと取引をしにきた」
「・・・・・・主催者の手下、という事ですか」
彼女の言葉に答えるでもなく、スランは手にしたデイバッグから二本の長物を取り出す。
それは美しい装飾が施された剣と、奇妙な形状をした刀だった。
「ここに数人分の食料と剣がある。あんたが今、一番必要としている物の筈だ」
「それで、それを手にする条件は?」
セイバーの言葉に軽く眼の光を明滅させながら、スランは彼女の疑問に答える。
「我々に協力し、他の参加者との戦闘を行うこと。
 そうすれば、こちらも必要最小限の援護をする・・・・・・悪い話では無いと思うが」
「貴方方とは協力しないと言ったら?」
「それなら俺がこの場から立ち去るだけだ。特にハンデを与えるというわけでもない」
スランの言葉に、セイバーはどうするべきか考える。だが・・・・・・
(愚問ですね・・・・・・答えはすでに決まっている)
「わかりました。その話、乗りましょう」
その言葉に満足そうに眼の光を明滅させて、スランは二本の剣をセイバーに差し出す。
セイバーはそのうちの一本――装飾のついた大剣を受け取る。
そして、その異様な重さに一瞬躊躇しつつも正眼に構え・・・・・・その切っ先を目前の土人形へと向けた。
「剣を受け取った私が、貴方をそのまま破壊するという可能性は考えなかったのですか?」
「問題無い。あんたが優勝を狙い続ける限り、俺の役目の半分は終わってる」
達観しきったような答えに、剣の刃先が微かに揺れる。
そして、そんなセイバーの様子には興味が無い様に、スランは「それに・・・・・・」と言葉を続けた。
「それに、グリフィス様を守れただけで、俺には充分だ」
「グリフィス?貴方の主はギガゾンビではないのですか?」
スランの呟きに、セイバーはごく当たり前の疑問をぶつける。
「あんな俗物はもはや我等の主ではない。我等の真の主君は、グリフィス様だけだ!」
そう忌々しそうに答えるスランの様子をじっと見つめていたセイバーだったが、やがて、ゆっくりとその銀の切っ先を退ける。
「どうした? 俺を破壊するんじゃなかったのか?」
「・・・・・・あれはただの戯言です。それで、援護とは具体的に何が出来るのです?」
その場に再び腰を下ろしながらセイバーは問いかける。スランは両目を軽く点滅させながら答えた。
「出来る限りの食料を集めたり、参加者の所在地を教えたりするぐらいなら問題無く可能だ」
「戦闘の援護はどうです?」
「俺のできるのは軽い電気ショックを与えるくらいだ。人を殺せるほどの攻撃手段は持ち合わせていない」
「では数を集めての攻撃は? あるいは首輪の爆破などは不可能なのですか?」
「両方とも無理だ。あまり人員を裂く事は出来ないし、首輪を爆破する権限も俺には無い」
うんざりした様にそう答えるスランの姿を見ながら、セイバーはしばし黙考する。
「では、あれは? あれを使用しての空間移動は可能ですか?」
そして不意にそう呟くと、ある一点を指し示す。そこにあったのは桃色をした扉――どこでもドアだった。
「微妙だな。参加者にあまりに長い距離を移動させるのは、こちらの都合が悪い。
 だが短い距離ならば、なんとか誤魔化せるかもしれん」
参加者をあまりに縦横無尽にワープさせると、ギガゾンビが感ずく可能性が高い。
だから、参加者の長距離移動には出来る限りどこでもドアを使用しないほうがいい。
出る間際に聞かされた、ユービックのアドバイス。それを最大限に踏まえ、スランは返答する。
「つまり、同じエリアならば可能という解釈でいいのですか?」
「ああ・・・・・・それから、俺のみの長距離移動は可能だ。
 だから必要なものがあれば、俺が手に入れて・・・・・・」
不意に、言葉を遮るようにドアが開かれ、土人形がもう一体現れる。
その人形はスランと言葉を二言三言交わした後に、再びドアの向こうへと消えた。
「何だったのです?」
「早速だが最初の仕事だ」
セイバーの疑問に、スランが振り返り答える。彼の眼は不気味に明滅を繰り返していた。


               ☆☆☆

215 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/09(水) 23:09:25 ID:TJMwYhOV
 

216 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/09(水) 23:09:43 ID:8hSjV7pG
                           

217 : ◆FbVNUaeKtI :2007/05/09(水) 23:10:13 ID:XW3V0gCl
「キョン! ちょっとこっち来なさい!」
そんな風にハルヒが俺を呼んだのは、
二人分の墓を作り終えて、三人目を作ろうかどうしようかと迷った挙句に、結局穴を掘り始めた時だった。
その只事ではない響きに振り返ると、そこにはノートPCを前にこちらを手招きするハルヒの姿があった。何をやってるんだ、あいつは。
「どうしたんだ、ハルヒ。あまり大きな声を出すと、しんのすけ少年が起きるじゃないか」
手にしていたスコップをトウカさんに渡し、俺はハルヒ達の居る木立へと近づく。
ちなみにしんのすけ少年は、ハルヒの隣で横になり眼を瞑っていた。やはり、彼の疲労は無視できないレベルのものだったんだろう。
「いいから、これ見て!」
そう言いながらハルヒが指し示すのはPCのモニター。
そこには嫌になるくらい見慣れた“ツチダマ掲示板”のタイトルがあった。
それがどうしたって言うんだ? また、ツチダマとやらが何か言ってるのか?
少し、うんざりしながらモニターを覗き込んだ俺は・・・・・・そこで始めて異変に気づいた。
あんなに乱立していたスレッドが、たった一つを残して綺麗さっぱり無くなっていたのだ。
「一体何がどうなっているんだ?」
「そんなの、あたしが知るわけ無いじゃない」
へいへい、ご尤もで。
それで、だ。たった一つ残ったスレッドには無視することの出来ない文字列が踊っていた。
タイトルは、“この掲示板を見ていると思われる、勇気ある青年へ”
本文にはただ一行、“君達を助けたい。この掲示板を見ていたら、返事が欲しい”とだけあった。
これはもしかしなくても俺に対するメッセージだろう。
どうする? 十中八九罠だろう。というか、その可能性が高すぎて書き込んだら後悔する事間違い無しな気がしないでもない。
だが、もし万が一罠じゃなかったら? 誰かが善意でこれを書き込んでいるとしたら?
いやいや、ちょっと待て俺。こんな敵地の駅前掲示板みたいな所で、どんな味方が書き込むって言うんだ?
「どうするの、キョン」
気がつくと、ハルヒがじっとこちらを見つめていた。
穴を掘っていたトウカさんも、何事かとこちらを眺めている。
たぶん、ハルヒも俺と同じように迷い、悩んだ上で俺を呼んだんだろう。
「・・・・・・書き込んでみよう。これ以上、状況が悪くなることは無い・・・・・・はずだ」
しばらく悩んで出した俺の結論に、ハルヒが小さく頷く。
トウカさんに、問題無いとジェスチャーで伝えた後、俺はキーボードへと手を伸ばした。


                 ■■■

218 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/09(水) 23:10:20 ID:F692VJMX


219 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/09(水) 23:11:13 ID:TJMwYhOV


220 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/09(水) 23:11:24 ID:ZAxJ2qPd
   

221 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/09(水) 23:11:38 ID:/KkFIVRb
  

222 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/09(水) 23:11:44 ID:RWCG7Fjm


223 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/09(水) 23:12:24 ID:ZAxJ2qPd
     

224 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/09(水) 23:12:37 ID:F692VJMX


225 : ◆FbVNUaeKtI :2007/05/09(水) 23:12:42 ID:XW3V0gCl
【この掲示板を見ていると思われる、勇気ある青年へ】
1:ツチダマな名無しさん :10:45:36
君達を助けたい。この掲示板を見ていたら、返事が欲しい

2:KYON :11:27:12
あんた誰だ?
いったい何処から書き込んでる?


                 ■■■


とりあえず、そう書き込んで期待せずにしばらく待つ。
最悪の場合、“や〜い! キョン君騙されたギガ〜!”と書き込まれるのは覚悟の上だ。
しかし数分後、俺が期待していなかった答えは返ってきた。


                 ■■■


3:ツチダマな名無しさん :11:32:59
こんにちは、キョン君・・・・・・で、いいのかはわかりませんが。
私の正体は詳しく言えません。ですが、君達の味方である事は本当です。
何処から書き込んでいるか、についてですがギガゾンビのアジトから独自の回線でとしか言えません。
彼の部下に成りすまして潜入したのですが、私も詳しい場所がわからないのです。


                 ■■■


怪しい。あからさまに怪しい。だが、もし本当だとすれば心強い事この上ない。
隣に目をやると、ハルヒが俺とモニターを交互に見比べた後、大きく頷いた。
嘘にせよ、ほんとにせよ、会話を続けるしかないだろう。


                 ■■■


4:KYON :11:34:33
証拠は?
あんたが味方だって言う証拠はあるのか?

5:ツチダマな名無しさん :11:36:40
残念ながらありません。
しかし、こちらが知りえている情報で、君達の有利になる情報をリークする事は可能です。
これで信用してもらえなければ、私からの証明の術はありません。

6:KYON :11:37:21
それじゃあ、ギガゾンビの監視方法を教えてくれ。
それと首輪の解除方法だ。

7:ツチダマな名無しさん :11:40:05
ギガゾンビの監視方法は首輪に取り付けられている盗聴器と、
スパイセットという監視専用の秘密道具――要は動く監視カメラですね――の二段構えの監視です。

首輪の解除方法は、こちらも調査中です。申し訳ありません。


                 ■■■

226 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/09(水) 23:13:36 ID:RWCG7Fjm


227 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/09(水) 23:13:47 ID:/KkFIVRb
  

228 : ◆FbVNUaeKtI :2007/05/09(水) 23:13:50 ID:XW3V0gCl
そこに書かれた監視方法に、俺とハルヒは顔を見合わせる。
慌てて周囲を見回すが、ここから見えるのは墓を作っているトウカさんだけだった。
俺達は自分達の体で出来るだけPCを覆うと、書き込みを再開した。


                 ■■■


8:KYON :11:42:15
ちょっと待て、それは不味いんじゃないのか?

9:ツチダマな名無しさん :11:44:04
大丈夫です。映像を見ただけでは、いつものように掲示板を見ているだけのように見えるはずです。

10:KYON :11:45:42
本当に大丈夫なんだろうな・・・

次の質問だ。石田ヤマトの現在地を教えてくれ。無事なのか。

11:ツチダマな名無しさん :11:47:11
残念ですが・・・・・・その人物はすでに死亡しています。
殺害したのは峰不二子。今現在、君達の近くで亡くなっている女性です。


                 ■■■


書き込まれた返答に、ハルヒが息を呑む。
覚悟はしていたが・・・・・・やはり耐えられるものではない。
俺は蒼白になったハルヒの肩を支えながら、こう書き込んだ。


                 ■■■


12:KYON :11:48:21
それが本当かどうか、俺達にはわからない。
だから、その件は放送まで保留にしておく。

今度は殺し合いに乗った奴について教えてくれ。
今、何人が生きていて、何処にいるかを。

13:ツチダマな名無しさん :11:50:38
すいません、デリカシーがなかったですね。

殺し合いに乗った参加者についてですが、こちらでも詳しい事はわかっていません。
単純に優勝を狙って他参加者を襲っている者や、集団に溶け込んで機をうかがっている者。
更にはギガゾンビが用意したジョーカーも存在するので、
誰が危険で誰が安全か、こちらでも把握できていないのです。


                 ■■■

229 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/09(水) 23:14:01 ID:TJMwYhOV
 

230 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/09(水) 23:14:38 ID:ZAxJ2qPd
      

231 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/09(水) 23:14:45 ID:/KkFIVRb
  

232 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/09(水) 23:14:45 ID:IqcEsEf/
 

233 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/09(水) 23:14:50 ID:RWCG7Fjm


234 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/09(水) 23:14:52 ID:8hSjV7pG
             

235 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/09(水) 23:15:27 ID:TkXi9v+h
 

236 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/09(水) 23:15:31 ID:ZAxJ2qPd
       

237 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/09(水) 23:15:32 ID:F692VJMX


238 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/09(水) 23:15:44 ID:IqcEsEf/
 

239 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/09(水) 23:15:45 ID:RWCG7Fjm


240 : ◆FbVNUaeKtI :2007/05/09(水) 23:16:09 ID:XW3V0gCl
「ジョーカー?」
意外な単語に俺は思わず声を出す。
ジョーカーとは勿論、トランプのジョーカーの事だろう。だが、この場合は・・・・・・
「まさか・・・・・・」
ハルヒの小さな呟きを耳にしながら、俺は書き込みを続ける。


                 ■■■


14:KYON:11:51:04
ちょっと待て、ジョーカーってなんだ?

15:ツチダマな名無しさん :11:53:32
ギガゾンビの手下として参加者に紛れ込んでいる者の事です。

16:KYON :11:54:13
誰がジョーカーなのかはわからないのか?

17:ツチダマな名無しさん :11:56:01
すいません、参加者に数人程度紛れ込んでいた事しか。
すでに全滅した可能性もありますが、充分に気をつけてください。


                 ■■■


ジョーカー。笑顔の仮面をつけた、地に飢えた道化師。
それは、この殺し合いを煽る者の名に相応しい物かもしれない。
俺はぶるりと体を震わせながら、更に質問をしようとして・・・・・・新たな書き込みが入っていることに気がついた。


                 ■■■


18:ツチダマな名無しさん :11:57:59
キョンさん、逃げてください。
そこに殺し合いに乗った人物が近づいています。
君達もよく知っている、セイバーという名の女騎士です。
今の君達では戦力不足です。急いで荷物を纏めて、その場から離れてください。


                 ■■■

「キョン殿!」
俺達がその書き込みを読み終えると同時、トウカさんの緊張した声が耳に届く。
慌てて二人の墓へと振り返ると、そこには硬い表情をしたトウカさんの姿があった。
そして、その視線を辿ると・・・・・・なるほど、少し離れた場所に見覚えのある甲冑姿の人物が立っている。
明らかにやばいな、これは。

241 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/09(水) 23:17:17 ID:TJMwYhOV


242 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/09(水) 23:17:33 ID:ZAxJ2qPd
        

243 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/09(水) 23:17:38 ID:/KkFIVRb
  

244 :遥か遠き理想郷〜アヴァロン〜 ◆FbVNUaeKtI :2007/05/09(水) 23:17:54 ID:XW3V0gCl
              ☆☆☆


こちらを睨み付けながら佇む、エヴェンクルガのトウカ。
後ろに盛られた土は誰かの墓なのだろうか。
その盛り土の側に、手にしていたスコップを刺し、腰に差した刀に手を伸ばすトウカ。
そして、その近くには同じくこちらを警戒する少年少女の姿もあった。
(一人見当たりませんが・・・・・・どこかに隠れているのでしょうか)
そんな事を考えながら、セイバーは今回の目的を思い返していた。

「いいか今回の戦闘の目的は、これから向かう先に居る四人を殺し、奴らの持っている道具を奪うことだ」
ソファーに座り食事を取っているセイバーに対し、スランはそう言いながら一枚の紙を差し出した。
味気ないパンを齧りながら差し出された紙を受け取る。
それには、ありふれた型のノートパソコンの写真がカラーで印刷されていた。
「何故、これを?」
「どうやったのかはわからないが、それには我等以外のものが手を加えた痕跡がある」
「つまり、それを脱出派が持っているのは不味い・・・・・・そういう事ですか」
そう、おそらくはそれが首輪解除の鍵の一つなのだろう。
だからこそ、ユービックはそれの入手を彼に頼んだのだった。
「ああ、できれば無傷で手に入れて欲しい。
 だが深追いする必要は無い。あくまでも数人仕留める事が出来ればいいというくらいの物だ」
スランの言葉に頷くと、セイバーは桃色のドアに向かって立った。
そして、スランが扉を開くと同時にワープ先――B-4とC-4の境へと、一歩を踏み出す。
手にした大剣は、風の力を持つ魔法騎士の剣だった物。
腰に差した刀は、翼手と呼ばれる怪物達を狩る女王の刀だった物。
魔の軍門に下った騎士王は、理想郷を手にすべく、契約の名の下に歩き出した。

『いいか、病院側から相手の増援が二人向かって来ている。だから、出来る限り三十分程度で切り上げろ』
(無茶を言う・・・・・・)
エヴェンクルガのトウカは、三十分程度で仕留められる様な生半可な相手ではない。
魔力は無いが、その技量は目を見張るものがあった。
こちらの手の内は明かしていないものの、
半時間程度で彼女を含む四人を殺害し、指定された物を手に入れるのは難しいだろう。
「ですが、契約は契約です」
そう呟いて、不可視の剣を構える。
青い空に、黒い影が浮かび上がるがセイバーの目には映らない。
彼女の目には腰だめに構えた武士の姿のみが映っていた。

245 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/09(水) 23:18:21 ID:TJMwYhOV
 

246 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/09(水) 23:18:53 ID:RWCG7Fjm


247 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/09(水) 23:19:01 ID:ZAxJ2qPd
          

248 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/09(水) 23:19:03 ID:/KkFIVRb
  

249 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/09(水) 23:19:42 ID:RWCG7Fjm


250 :遥か遠き理想郷〜アヴァロン〜 ◆FbVNUaeKtI :2007/05/09(水) 23:19:41 ID:XW3V0gCl
【C-4山間部と市街地の境目付近/2日目/昼(放送直前)】

【キョン@涼宮ハルヒの憂鬱】
 [状態]:疲労、全身各所に擦り傷、憤りと強い決意、セイバーの出現に動揺
 [装備]:バールのようなもの
 [道具]:デイバッグと支給品一式×4(食料-5)、わすれろ草、ニューナンブ(残弾4)、
     キートンの大学の名刺 ロープ、ノートパソコン+ipod(つながっている)
 [思考]
  基本:殺し合いをする気はない、絶対に皆で帰る
  1:セイバーに対処する
  2:是が非でも、トグサと接触してデーターを検分してもらい、ディスクも手に入れる
  3:書き込みしてきた人物と再び接触を図る
  4:ハルヒが心配
  5:病院にいるであろう凛と水銀燈には、最大限、警戒を払う
 [備考]
  ※キョンがノートパソコンから得た情報、その他考察は「ミステリックサイン」参照。
  ※キョンがノートパソコンから得た情報、その他考察は「仲間を探して」参照。
  ※ハルヒ、トウカ、魅音、エルルゥ、ロックらと詳しい情報交換を行いました。
  ※ジョーカー等の情報を話半分に聞いていましたが、セイバーの出現により迷いが生じています

【涼宮ハルヒ@涼宮ハルヒの憂鬱】
 [状態]:頭部に中度の打撲(動くのに問題は無し) 、セイバーの出現に動揺
 [装備]:クローンリキッドごくう(使用回数:残り2回)、
 [道具]:デイバック×9、支給品一式×8(食料7食分消費、水1/5消費)、
     鶴屋の巾着袋(支給品一式と予備の食料・水が入っている)、
     RPG-7×2(榴弾×1、スモーク弾×1、照明弾×1)、クロスボウ、タヌ機(1回使用可能)
     暗視ゴーグル(望遠機能付き・現在故障中)、インスタントカメラ×2(内一台は使いかけ)
     高性能デジタルカメラ(記憶媒体はSDカード)、携帯電話(各施設の番号が登録済み)
     ダイヤの指輪、のろいウザギ、ハーモニカ、デジヴァイス、真紅のベヘリット
     ホ○ダのスーパーカブ(使用不能)、E-6駅・F-1駅の電話番号のメモ、
     トグサが書いた首輪の情報等が書かれたメモ1枚
    【薬局で入手した薬や用具】
     鎮痛剤/解熱剤/胃腸薬/下剤/利尿剤/ビタミン剤/滋養強壮薬
     抗生物質/治療キット(消毒薬/包帯各種/鋏/テープ/注射器)/虫除けスプレー
     ※種類別に小分けにしてあります。
     着せ替えカメラ(使用回数:残り17回)、コルトSAA(弾数:0/6発-予備弾無し)
     コルトM1917(弾数:0/6発-予備弾無し)、スペツナズナイフ×1
     簡易松葉杖、どんな病気にも効く薬、AK-47カラシニコフ(0/30)
 [思考]
  基本:団長として、SOS団のメンバーや知り合いと一緒にゲームから脱出するために力を尽くす。
  1:セイバーに対処する
  2:病院にいるというトグサと接触し、ドラえもんからディスクを手に入れる
  3:書き込みしてきた人物が気になる
  4:病院にいるかもしれない凛と水銀燈は最大限に警戒
  5:団員の命を危機に陥らせるかもしれない行動は、できるだけ避ける
  6:遠坂凛と水銀燈は絶対に許さない(だが、団員の命を守るために、今は戦いを避ける)
 [備考]
  ※腕と頭部には、風の包帯が巻かれています。
  ※偽凛がアルルゥの殺害犯だと思っているので、劉鳳とセラスを敵視しなくなりました
  ※キョン、トウカ、魅音、エルルゥ、ロックらと詳しい情報交換を行いました。
  ※キョンの持つノートPC内の情報を得て、考察しました
  ※ジョーカーの情報を信じたくありませんが、セイバーの出現により迷いが生じています

251 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/09(水) 23:19:59 ID:ZAxJ2qPd
            

252 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/09(水) 23:20:21 ID:/KkFIVRb
   

253 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/09(水) 23:20:42 ID:ZAxJ2qPd
                          

254 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/09(水) 23:21:00 ID:IqcEsEf/
 

255 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/09(水) 23:21:02 ID:TJMwYhOV


256 :遥か遠き理想郷〜アヴァロン〜 ◆FbVNUaeKtI :2007/05/09(水) 23:21:01 ID:XW3V0gCl
【野原しんのすけ@クレヨンしんちゃん】
 [状態]:全身にかすり傷、頭にふたつのたんこぶ、腹部に軽傷、
     SOS団名誉団員認定、全身が沙都子の血で汚れている、睡眠中
 [装備]:なし
 [道具]:デイバッグ、支給品一式(-1食)、プラボトル(水満タン)×2
 [思考]
  基本:家族揃って春日部に帰る
  1:泣き疲れて睡眠中
 [備考]:しんのすけは魅音と沙都子の二人が生きているかも知れないと考えています

【トウカ@うたわれるもの】  
 [状態]:左手に切り傷、全身各所に擦り傷、精神疲労(中)、強い決意
 [装備]:斬鉄剣
 [道具]:デイバッグ、支給品一式(食料-3)、出刃包丁(折れている)、物干し竿(刀/折れている)
 [思考]
  基本:無用な殺生はしない。だが積極的に参加者を殺して回っている人間は別。
     これ以上の犠牲は絶対に出さない、何が何でもキョン達は守り抜く。
  1:セイバーを討つ
  2:キョン、ハルヒ、しんのすけを守る
  3:ロックを守る
  3:生きてトゥスクルに帰還する
  4:アルルゥの仇を討つ

257 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/09(水) 23:21:23 ID:/KkFIVRb
   

258 :遥か遠き理想郷〜アヴァロン〜 ◆FbVNUaeKtI :2007/05/09(水) 23:21:56 ID:XW3V0gCl
【セイバー@Fate/ Stay night】
 [状態]:全身に軽度の裂傷と火傷、頭部に重症(治療済み)、疲労(小)、魔力消費(中)、強い決意、腹五分
 [装備]:鳳凰寺風の剣@魔法騎士レイアース、小夜の刀(前期型)@BLOOD+
 [道具]:支給品一式×2(食糧なし)、スコップ
     なぐられうさぎ(黒焦げで、かつ眉間を割られています)@クレヨンしんちゃん、アヴァロン@Fate/ Stay night
 [思考・状況]
  基本:スランに従い、参加者を殺す
  1:エヴェンクルガのトウカに預けた勝負を果たす
  2:トウカと共に居る少年達を殺す、もしくはノートパソコンを入手する
  3:エクスカリバーを手に入れる、必要ならば所持者を殺害する
  4:場合によっては水銀燈との休戦協定、同盟を考慮する
  5:絶対に生き残り、願いを叶えて選定の儀式をやり直す。
 [備考]
  ※アヴァロンが展開できないことに気付いています。

※付近に魅音と沙都子の墓があり、その側にはもう一つ穴があります。また、その横にスコップが刺さっています。
※AK-47用マガジン(30発×3)は破壊された民家に放置されています。
※峰不二子の遺体は付近に放置されています。

【C-4破壊された民家付近の茂み/2日目/昼(放送直前)】

【住職ダマA(スラン)】
 [道具]:どこでもドア
 [思考・状況]
  基本:セイバーの戦闘を報告、場合によっては援護する
  1:とりあえず食料の入手を優先する
  2:首輪解除についての情報収集(ノートパソコン優先)

259 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/09(水) 23:22:06 ID:ZAxJ2qPd
                         

260 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/09(水) 23:22:29 ID:/KkFIVRb
  

261 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/09(水) 23:23:29 ID:F692VJMX


262 :遥か遠き理想郷〜アヴァロン〜 ◆FbVNUaeKtI :2007/05/09(水) 23:23:43 ID:XW3V0gCl
               ☆☆☆


「以上が現状の報告となっております」
ツチダマから示された情報を眺めながら、グリフィスは「そうか」と小さく頷く。
ここはエイハチ温泉のスタッフルーム。
彼の目前にあるのは、かつてコンラッドが蒐集した画像の保存等に使っていたノートパソコンだった。
会場を監視しているツチダマ達の報告と、セイバーにつけてあるスランの報告。
現状において、グリフィスは会場の様子をある程度の範囲で理解していた。
「どうやら、スランは命令通りにうまくやっているようだな」
グリフィスの呟きに、側にいたツチダマがそうですねと返す
そして、しばらくの思案の後、グリフィスはこう呟いた。
「それじゃあ、もう一言頼めるか?」
「はい、それで内容は何と?」
それに対してグリフィスは思考しながら、一言ずつ言葉を返す。
数分後、ノートパソコンのディスプレイには、次のような言葉が書かれていた。


■■■


19:ツチダマな名無しさん :11:59:56
キョンさん、君達が生き残る事を心より祈っています。
こちらでも首輪の解除方法を調べますので、皆さんも希望を捨てないでください。



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263 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/09(水) 23:25:05 ID:F692VJMX


264 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/09(水) 23:25:15 ID:TJMwYhOV
 

265 :遥か遠き理想郷〜アヴァロン〜 ◆FbVNUaeKtI :2007/05/09(水) 23:25:14 ID:XW3V0gCl
【A-8・温泉管理部屋/2日目/昼(放送直前)】

【グリフィス@ベルセルク】
 [状態]:魔力全快?、全身に軽い火傷、打撲
 [装備]:エクスカリバー@Fate/stay night、耐刃防護服、ジュエルシード@魔法少女リリカルなのは、フェムトの甲冑@ベルセルク
 [道具]:マイクロUZI(残弾数6/50)、やや短くなったターザンロープ@ドラえもん、支給品一式×6(食料一つ分、ディパック五つ分)
     オレンジジュース二缶、破損したスタンガン@ひぐらしのなく頃に
     ビール二缶、庭師の鋏@ローゼンメイデンシリーズ、ハルコンネンの弾(爆裂鉄鋼焼夷弾:残弾4発 劣化ウラン弾:残弾6発)@HELLSING
 [思考・状況]
  1:手持ちの駒を使い、参加者間に不和の種を撒く
  2:コンラッドのパソコンの、他のデータが気になる
  3:A-8エリアに罠を敷き、陣地構築を行う
  4:ジュエルシードの力を過信、乱用しない(ギガゾンビが何らかの罠を仕掛けていると考えている)。
  5:そして――
 [備考]
  ※グリフィスは生存者の名前と容姿、特徴についてユービックから話を聞きました。
  ※A-8エリア全域、及びA-8周辺エリアはスパイセットで監視しています。
  ※スラン及びユービックがノートパソコンの入手を目的としている事は知りません。


【ギガゾンビの居城/2日目/昼(放送直前)】

【住職ダマB(ユービック)】
 [道具]:なし
 [思考・状況]
  1:病院周りについての情報を分析する
  2:駒として使えそうな人物が居れば、グリフィスに報告する
  3:フィールド内に落ちている支給品を探して回収させる
  4:スランがノートパソコンを入手次第、内容を調査して首輪解除のヒントを探る

266 :第六回放送 ◆lbhhgwAtQE :2007/05/10(木) 00:30:16 ID:ac1ofABH
太陽が蒼天の頂に昇る頃。
ギガゾンビは、そんな陽の明るい光の届かぬ薄暗い大広間の中央にある玉座に一人座っていた。
護衛のために傍においていたツチダマすらも今はいない。
今、彼の目の前にいるのは画面の向こうに映る運転士ダマのみ。
グリフィスの情報伝達の遅れをギガゾンビに最初に報告した、目下のところ彼が一番信用できるツチダマ。
それが、運転士ダマだった。
「――ふむ。では、今のところ奴にはおかしな兆候は見られないのだな?」
『はいギガ……。何も異常はありませんギガ……』
「ふん、ならいい。今後も奴の動きから目を離さないようにしておけよ」
『了解ギガ……』
運転士ダマは、淡々と首肯すると即座に通信を切る。
主であるギガゾンビが通信をきるよりも先に。
「……チッ。何だ、あいつは……。私より先に通信を遮断するとは……」
苛立たしげに、ギガゾンビはグラスに注がれたブランデーを一気に飲み干す。
「それにあの喋り方……。何か感じが違ったような……」
思えば、今までのツチダマは妙に軽い口調だったはずなのに、今の運転士ダマの報告の口調はやけにトーンダウンしていた。
そして更に、気のせいか画面の向こうから突き刺さる視線を感じており……
「……ふん! あんな作り物のことなど、この私が気にかけるまでもないか」
どうせ言語回路か何かの故障なのだろう。
視線もただ画像の映りが悪かっただけに決まっている。
「さて、それよりも放送といくか。私の登場を心待ちにしている贄どもに声を聞かせてやらないとな」
ギガゾンビは、一人心地にそう言うと放送設備の前へと座り、時計の針が天を指すのを見計らってホログラムのスイッチを押す。
そして――


   ◆  ◇  ◆  ◇  ◆


さぁ、注目注目注目だ!
この私、ギガゾンビ様が正午を知らせてやるから感謝するがいい!!
……いや、違うな。
これから話す全ての言葉が、貴様らにとって有益なのだ。
私が放送している間、常に感謝し、崇めるがいい!!

267 :第六回放送 ◆lbhhgwAtQE :2007/05/10(木) 00:31:59 ID:ac1ofABH
――さて。
では早速、禁止エリアから発表するとしようか。
今回もエリアに立ち入って自爆した馬鹿がいるみたいだからな、二の舞にならない為にもその耳をかっぽじって良く聞くがいい!
特別にメモを取ることも許してやる! どうだ、嬉しいだろう?

では、発表する。

13時から A-6
15時から E-1
17時から C-6

――だ!


そして、続けてお待ちかねの死亡者の発表だ。
一度しか言わないからな。聞き漏らしの内容にしておけよ!
この6時間の間に新たに生まれた死亡者は――

野比のび太
劉鳳
園崎魅音
北条沙都子
水銀燈
峰不二子
エルルゥ
セラス・ヴィクトリア

――以上、8名!!


8名、8名か!
しかし、貴様らときたら実に素晴らしい!
この期に及んで尚、獣のように戦い、仲間同士で殺し合い、挙句の果てに自爆する。
滑稽この上ないではないか! ククッ、ハハハハハ!!!
これで残りは14名。
これからも私を楽しませるような死に方をしていってくれよ。
無意味に希望などを持とうとすること自体が間違いなのだからな!
貴様らに残されているのは、私を楽しませる為に死ぬか、私を楽しませる為に殺し続けるか、なのだよ!

それでは、精々舞台を盛り上げるように励んでくれたまえよ。
それでは以上で、ありがたい訓示は終わりとする。

フフッ、ハハハハハハ、ヒャーハハハッハハハッ!!!


   ◆  ◇  ◆  ◇  ◆


ギガゾンビはスイッチを落とすと、ふぅと溜息をつく。
「はは……そうだ。これでいいのだ。所詮、奴らは私の作った檻の中……。私の絶対的有利に傷が付くわけなどない……」
放送を終えても尚、笑い続けるギガゾンビ。

だが、その笑いはどこか乾いているようだった……。


268 :遥か遠き理想郷〜アヴァロン〜(修正) ◆FbVNUaeKtI :2007/05/10(木) 23:13:55 ID:RL4IdDz0
>>228
そこに書かれた監視方法に、俺とハルヒは顔を見合わせる。
慌てて周囲を見回すが、ここから見えるのは墓を作っているトウカさんだけだった。
俺達は自分達の体で出来るだけPCを覆うと、書き込みを再開した。


                 ■■■


8:KYON :11:42:15
ちょっと待て、それは不味いんじゃないのか?

9:ツチダマな名無しさん :11:44:04
大丈夫です。映像を見ただけでは、いつものように掲示板を見ているだけのように見えるはずです。

10:KYON :11:45:42
本当に大丈夫なんだろうな・・・

次の質問だ。
今度は殺し合いに乗った奴について教えてくれ。
今、何人が生きていて、何処にいるかを。

11:ツチダマな名無しさん :11:47:11
おそらくは大丈夫でしょう。

殺し合いに乗った参加者についてですが、こちらでも詳しい事はわかっていません。
単純に優勝を狙って他参加者を襲っている者や、集団に溶け込んで機をうかがっている者。
更にはギガゾンビが用意したジョーカーも存在するので、
誰が危険で誰が安全か、こちらでも把握できていないのです。


                 ■■■


「ジョーカー?」
意外な単語に俺は思わず声を出す。
ジョーカーとは勿論、トランプのジョーカーの事だろう。だが、この場合は・・・・・・
「まさか・・・・・・」
ハルヒの小さな呟きを耳にしながら、俺は書き込みを続ける。


                 ■■■

269 :遥か遠き理想郷〜アヴァロン〜(修正) ◆FbVNUaeKtI :2007/05/10(木) 23:15:19 ID:RL4IdDz0
>>240
12:ツチダマな名無しさん:11:49:04
ですから現在居場所が確実にわかるのは、数名程度です。
その数名でよろしければ、現在地を書き込みますが?

13:KYON:11:51:04
ちょっと待て、ジョーカーってなんだ?

14:ツチダマな名無しさん :11:53:32
ギガゾンビの手下として参加者に紛れ込んでいる者の事です。
他者を殺して殺し合いを加速させたりしているのだと思われます。

15:KYON :11:54:13
誰がジョーカーなのかはわからないのか?

16:ツチダマな名無しさん :11:56:01
すいません、参加者に数人程度紛れ込んでいた事しか。
もちろん、すでに全滅した可能性もありますが、充分に気をつけてください。


                 ■■■


ジョーカー。笑顔の仮面をつけた、地に飢えた道化師。
それは、この殺し合いを煽る者の名に相応しい物かもしれない。
俺はぶるりと体を震わせながら、更に質問をしようとして・・・・・・新たな書き込みが入っていることに気がついた。


                 ■■■


17:ツチダマな名無しさん :11:57:59
キョンさん、逃げてください。
そこに殺し合いに乗った人物が近づいています。
君達もよく知っている、セイバーという名の女騎士です。
今の君達では戦力不足です。急いで荷物を纏めて、その場から離れてください。


                 ■■■

「キョン殿!」
俺達がその書き込みを読み終えると同時、トウカさんの緊張した声が耳に届く。
慌てて二人の墓へと振り返ると、そこには硬い表情をしたトウカさんの姿があった。
そして、その視線を辿ると・・・・・・なるほど、少し離れた場所に見覚えのある甲冑姿の人物が立っている。
明らかにやばいな、これは。


              ☆☆☆

270 :遥か遠き理想郷〜アヴァロン〜(修正) ◆FbVNUaeKtI :2007/05/10(木) 23:17:23 ID:RL4IdDz0
>>244
こちらを睨み付けながら佇む、エヴェンクルガのトウカ。
後ろに盛られた土は誰かの墓なのだろうか。
その盛り土の側に、手にしていたスコップを刺し、腰に差した刀に手を伸ばすトウカ。
そして、その近くには同じくこちらを警戒する少年少女の姿もあった。
(一人見当たりませんが・・・・・・どこかに隠れているのでしょうか)
そんな事を考えながら、セイバーは今回の目的を思い返していた。

「いいか今回の戦闘の目的は、これから向かう先に居る四人を殺し、奴らの持っている道具を奪うことだ」
ソファーに座り食事を取っているセイバーに対し、スランはそう言いながら一枚の紙を差し出した。
味気ないパンを齧りながら差し出された紙を受け取る。
それには、ありふれた型のノートパソコンの写真がカラーで印刷されていた。
「何故、これを?」
「どうやったのかはわからないが、それには我等以外のものが手を加えた痕跡がある」
「つまり、それを脱出派が持っているのは不味い・・・・・・そういう事ですか」
そう、おそらくはそれが首輪解除の鍵の一つなのだろう。
だからこそ、ユービックはそれの入手を彼に頼んだのだった。
「ああ、できれば無傷で手に入れて欲しい。
 だが深追いする必要は無い。あくまでも数人仕留める事が出来ればいいというくらいの物だ」
スランの言葉に頷くと、セイバーは桃色のドアに向かって立った。
そして、スランが扉を開くと同時にワープ先――B-4とC-4の境へと、一歩を踏み出す。
手にした大剣は、風の力を持つ魔法騎士の剣だった物。
腰に差した刀は、翼手と呼ばれる怪物達を狩る女王の刀だった物。
魔の軍門に下った騎士王は、理想郷を手にすべく、契約の名の下に歩き出した。

『いいか、病院側から相手の増援が二人向かって来ている。だから、出来る限り増援が到着する前に切り上げろ』
(無茶を言う・・・・・・)
エヴェンクルガのトウカは、時間制限のある状態で仕留められる様な生半可な相手ではない。
魔力は無いが、その技量は目を見張るものがあった。
こちらの手の内は明かしていないものの、
僅かな時間程度では彼女を含む四人を殺害し、指定された物を手に入れるのは難しいだろう。
「ですが、契約は契約です」
そう呟いて、不可視の剣を構える。
青い空に、黒い影が浮かび上がるがセイバーの目には映らない。
彼女の目には腰だめに構えた武士の姿のみが映っていた。

271 :遥か遠き理想郷〜アヴァロン〜(修正) ◆FbVNUaeKtI :2007/05/10(木) 23:29:43 ID:RL4IdDz0
>>214
>「俺のできるのは軽い電気ショックを与えるくらいだ。人を殺せるほどの攻撃手段は持ち合わせていない」

 「俺にできるのは、相手に電気ショックを与えるくらいだ。戦闘能力の低い相手ならともかく、あんたのような能力者には時間稼ぎ程度しかできない」


>参加者をあまりに縦横無尽にワープさせると、ギガゾンビが感ずく可能性が高い。
>だから、参加者の長距離移動には出来る限りどこでもドアを使用しないほうがいい。

 情報はこちらが操作しているとはいえ、参加者をあまりに縦横無尽にワープさせるとギガゾンビが感づく可能性がある。
 そうすれば、峰不二子の時のような事態が起こらないとも限らない。最悪の場合、グリフィス様の首輪が爆破されるのだ。
 だからせめて、首輪解除の目処が立つまでは、参加者の長距離移動には出来る限りどこでもドアを使用しないほうがいい。


指摘された箇所を以上のように修正いたします。

272 :遥か遠き理想郷〜アヴァロン〜(修正) ◆FbVNUaeKtI :2007/05/10(木) 23:32:41 ID:RL4IdDz0
しんのすけの状態表を以下に差し替え。

【野原しんのすけ@クレヨンしんちゃん】
 [状態]:全身にかすり傷、頭にふたつのたんこぶ、腹部に軽傷、
     SOS団名誉団員認定、全身が沙都子の血で汚れている、睡眠中
 [装備]:なし
 [道具]:デイバッグ、支給品一式(-1食)、プラボトル(水満タン)×2
 [思考]
  基本:家族揃って春日部に帰る
  1:泣き疲れて睡眠中

273 : ◆WwHdPG9VGI :2007/05/12(土) 20:14:45 ID:tDfdMvdI
 ――無意味に希望などを持とうとすること自体が間違いなのだからな!

(生憎だったな、ギガゾンビ……)
 先ほどの不愉快極まる放送を思い出しながら、ゲイン・ビジョウは皮肉気な笑みを唇の端に上らせた。
 この世界につれて来られた時から、ゲインは確信していた。
 死の恐怖に屈せず、人の尊厳を持って戦う人間の存在を。

 希望を失わない人間の存在を。

 どれほど強固な壁を築いて人を閉じ込めようとしても、恐怖でしばりつけても、人はその壁を壊し、恐怖を乗り越え、
『エクソダス』を目指す。
 わずか2日の間に、多くの人間達が倒れた。
 悲しみと絶望の嵐がこの狭いフィールドを覆いつくした。
 だがそれでも膝を屈しなかった人間達が、悲しみに耐えて歩き続けた人間達がいたということの証が、目の前にある。
 獅堂光、セラス・ヴィクトリア、野原みさえ……。そして顔も知らぬ多くの者達が命を散らした。
 しかし、その意思は受け継がれ、運ばれた。
 そして――。
 ついに形となった。
 この『エクソダス計画書』に込められた意思は昇る陽の光よりも明るい輝きで、進むべき道を照らしてくれる。
(人の心から希望を奪うことなどできやしない。それが分からんようじゃ、所詮お前さんは愚か者ってことだ、ギガゾンビ)
 ゲインは、『エクソ出す計画書』を手に取った。
 安堵の気持ちが込み上げてくるのをゲインは感じ、ゲインは首を振った。
(いかんいかん……。やまはちぶんめ、というからな。安心するのは実際に首輪を外してからだ)
 キョンという少年達が持っているというエクソダスのための鍵が鍵穴に合うかどうかは、やってみなければ分からないのだから。
 計画書をめくり、ゲインは丹念に内容を読み返していく。
 議論にはずっと参加していたが、あちこちから持ち寄った情報をや推測を統合したのだ、流石にうろ覚えの部分もある。
 ページをめくるうちに、まだ顔を合わせていないレヴィとカズマという超能力者が迎えに行ったロックの仲間に関する情報の部分に、
 さしかかった。
 ちなみに彼らだけではなく、ゲイン達、病院に集ったメンバーの簡易データーも記されている。
 これはゲインの提案だった。
 各々が各々の能力を把握することにより、首輪の解除や対亜空間破壊装置の方策を練ることができるようにというのが一つ目の理由。
 もう一つは――。
 この期に及んでという気持ちもあるが、自分の能力を晒すことにより、決して敵対する意思がないことを互いに示し合うため。
 いくら共に死線を越えた者同士も集まっているとはいえ、やはり異世界の住人同士であり、共に過ごした時間だけを考えれば長いとはいえない。
(二度とあんなのは、ごめんだからな)
 ゲインは小さく嘆息した。


274 : ◆WwHdPG9VGI :2007/05/12(土) 20:16:01 ID:tDfdMvdI
 ウッブスのエクソダスは失敗した。
 シベ鉄の波状攻撃で。そして――。
 その後のピープル同士の仲間割れによって。
 それまで手を携えてきた者同士が殺しあう。これ以上の悲劇もあるまい。
 嘆息を一つ漏らし、ゲインは名前とデーターを目で追っていく。
 キョン……すずみやハルヒ、トウカ……。そのざきみおん……ほうじょうさとこ……
 ゲインの光彩に驚愕の色が浮かび上がった。
 思い切り顔を近づけ、ゲインはその名前を何度も読み直す。

 のはらしんのすけ。

 ゲインの顔から血の気が引いた。
(俺としたことが……)
 こともあろうに、襲撃された者達の中に野原しんのすけがいるということを聞き流していたとは。
 ほうじょうさとこ、そのざきみおん、という名前は呼ばれたが『のはらしんのすけ』の名前は呼ばれなかった。
 だが、だがしかし――。
 
――しんのすけ……を……よろし……く
 
 死に行く野原みさえの声が耳の奥に蘇った瞬間、ゲインの身体は勝手に動いていた。
 野原しんのすけ達を迎えに行くこと、言えた義理ではないが他の人間は病院にそのまま残っていて欲しいことを、紙に素早くしたため、
 ゲインははディパックを背負った。
 この病院に集ったメンバーの誰かを探し、理由を伝えるのには数分も必要ないだろう。
 だが、その数分すら、否。数秒すら惜しい。
 民家襲撃者の最有力候補として上がっていた峰不二子は死んだ。そして、自分よりも荒事に向いた二人が既に向かっている。
 独りは分からないが、レヴィが強いことは知っている。
どう考えても向かう必要はない。
行き違いになれば面倒なだけ。全員で計画書に沿って動くと決めたにも関わらず、単独行動をとるなどもっての他。
 分かる。それは十分すぎるほど分かっている。
(エクソダス請負人としちゃ失格だな……)
 だが、野原みさえは、自分を庇ったせいで死んだ。
 彼女は死ぬ間際まで息子のことを思い、その生還を願った。
 そして自分は野原みさえに託された思いを、託された願いを、決して踏みにじらないと誓った。
 野原しんのすけを守ることは、エクソダスを成功させることと同じく最優先事項。
 自分には彼女の息子に会い、彼女の生き様をつたえ、そして守り抜く義務がある。
(それに……。ここで行かないってのは、男としてできん!)
 自分のために死んでいった女性の息子に危機が迫っている可能性がある事態を前にして、ノンビリ椅子に座っていることはできない。
 彼女の命を自分は背負っているのだから。
 どれほど不合理だろうが、非効率的と分かっていようが、男たるもの動かなくてはならない時がある。

それは今。

 玄関に向かう手間すら惜しいとばかりに、窓から飛び降り、ゲインは一散に駆け出した。


275 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/12(土) 20:16:56 ID:cECOs1p6
 

276 : ◆WwHdPG9VGI :2007/05/12(土) 20:17:30 ID:tDfdMvdI
【D-3/病院付近/2日目-昼)】

【ゲイン・ビジョウ@OVERMANキングゲイナー】
[状態]:右手に火傷(小)、全身各所に軽傷(擦り傷・打撲)、腹部に重度の損傷(外傷は塞がった)
[装備]:ウィンチェスターM1897(残弾数5/5、予備弾薬×25発)、NTW20対物ライフル(弾数3/3)、悟史のバット
[道具]:デイパック、支給品一式、スパイセットの目玉と耳(×2セット)
 トラック組の知人宛てのメッセージを書いたメモ、エクソダス計画書
[思考]
 基本:ギガゾンビを打倒し、ここからエクソダス(脱出)する。
 1:野原しんのすけを保護する。
 2:皆を率いてエクソダス計画を進行させる。
[備考]
 ※仲間から聞き逃した第三放送の内容を得ました。
 ※首輪の盗聴器は、ホテル倒壊の轟音によって故障しています。
 ※モールダマから得た情報及び考察をメモに記しました。

※ゲインのメモは、エクソダス計画書が置いてあるテーブルに置かれています。

277 : ◆WwHdPG9VGI :2007/05/12(土) 20:19:12 ID:tDfdMvdI
「くそっっ!!」
 カズマは拳を叩きつけた。
 放送の中で呼ばれた名前中には、峰不二子の名前があった。
 八神太一の、石田ヤマトの仇。アルルゥやのび太の死の一因となった女は死んだ。
 そして放送の中には、北条沙都子、園崎魅音という名前もあった。
 ロックから押し付けるように渡されたメモを――ご丁寧に平仮名、漢字、英語で民家に残った人間達の名前が書いてあった――
 見て確かめたから間違いない。
 病院にやってきたロックの仲間達の命は、既に失われてしまったのだ。
(またかよ……)
 昂ぶっていた気がほんの少し静まっただけで、体のあちこちが痛みを申告し、体が重さを増す。
 だが、そんなものは知ったことではない。疲れも、傷の痛みも知ったことではない。
 体の痛みなんかより、心の方が何倍も……。
(いてぇな、オイ)

 ――あたし、これ撃ったら消えっから。 だから、その二人頼む。
 ごめんな。

 ――カズマさん、ドラえもん、のび太、アルルゥ。 俺……もう仲間を失いたくない。
 わりぃ。
 
 ――ごめんなさい。それと、ありがとう。ええと――
 すまねえ。
 
 カズマの耳の奥に幼い声が蘇り出し、カズマは心の中で侘びを入れた。
 結局自分の手で守ることも、仇を討つこともできなかった。

 ――お願いだよ……太一くんの仇を討って、ヤマトくんを助け出して!
 許せ
 
 自分のいない間に、あの金髪の騎士に殺されてしまったのび太。
 せめてのび太との約束は守りたかったのに、出来なくなってしまった。

 ――速さが足りない!
 うるせぇよ、兄貴。
 
カズマの瞳の中の炎がわずかにその火勢を弱めた。

 しかし、それは一瞬。

「だからなんだ……。それがどうした……。立ち止まってる暇なぞ、ありゃしねぇ!!」
 無力さを嘆く暇があるなら歩く。
 考える暇があるなら歩き続ける。
 
 ――人生は短い! 二の足踏んでるタイムロスなど無駄以外のなにでもない!!
 ああ。分かってるさ、兄貴。

 死んでいった仲間達の名を刻み、背負い、進み続けるだけだ。
 カズマの瞳の炎が再び燃え上がった。
 瞳に烈火を宿し、鉄の鎧を纏った拳を叩きつけて跳躍しようとした刹那――。

「なぁに、突っ立ってんっだこのタコ! ご休憩かぁ!? いいご身分だなオイ!」



278 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/12(土) 20:19:51 ID:IqNPPnfA
 

279 : ◆WwHdPG9VGI :2007/05/12(土) 20:20:09 ID:tDfdMvdI
 気勢を削がれ、カズマは剣呑極まる視線を走ってくるレヴィに叩きつけた。
(てめぇの方が、遅れてる癖して何を言ってやがんだよ!)
 もっとも、このカズマの思いは多少理不尽なものであった。
 アルター化させた拳を叩きつけることで大跳躍を繰り返して進むカズマと、入り組んだ路地を走るしかないレヴィ。
 二人の距離が開くのは当然である。
 とはいえ、レヴィの方が遅れているのだからレヴィの言葉も理不尽なものには違いない。
 そして、この二人は自分の考えが理不尽だと思わないという点では共通していた。
 ケッと口の中で吐き捨て、カズマは再び拳を叩きつけようとする。
 だが、その行為はレヴィの言葉で中断させられた。
「急ぎなっ! どうにもキナくせぇ、匂いがしやがるぜ!」
 カズマの眉が上がった。
「……何のこった?」
 キョンという少年達を襲撃したと思われる容疑者はの最有力は峰不二子だ。
 あの狡猾な女が、禁止エリアで爆死するということなどありえないこと、先ほどの放送で名前が呼ばれたこと、
この二つを考えると、民家を襲撃したのは不二子に間違いない。
自分の速さが足りなかったせいで犠牲は出てしまったが、当面の危機は去ったはずだ。
「はぁ!? ったく、だからおめーはアホなんだよ!」
 こめかみに青筋が浮き上がるのをカズマは感じた。
(いいねぇ……その言い草。かなりキレるぜ……)
 レヴィの横っ面に思い切り拳をぶち込んでやりたいという衝動が猛烈に込み上げてくるが――。
(落ち着け……。今は、んなことしてる場合じゃねぇ……)
 この糞女とケリをつけるのはいつでもできる。
 今はキョンとかいう少年と合流してきっちり病院に送り届けるのが、この忌々しい首輪から自由になるのが先だ。
 首輪を外す方法を見つけ出すことは、昨夜、太一達と約束したことの一つ。
 これ以上彼らとの約束を破るわけにはいかない。
「……アホでかまわねぇ。かまわねぇからさっさと話せよ」
 押し殺したカズマの声に、レヴィの唇がつり上がった。
「オーライだ。ちゃんと、冷えるべきとこは冷えてんな」
 カズマは顔をしかめた。
「……試しやがったな。てめぇ」
 唸るように言うカズマに、レヴィは思い切り鼻を鳴らしてみせた。
「あったりめーだろ! 荒れんのも、屁をひるのもてめぇの自由だがよ、
とりあえず! 今だけ! あくまでも一時的に! とはいえ、おめえとあたしゃ運命共同体ってヤツだ。
てめぇがトチりゃあたしが死ぬ。あたしゃ、足引っ張られてくたばんのは真っ平だね」
 それに勢いとはいえ、自分は「仕事」と口にしてしまった。
 言ったからには『仕事』はこなす、きっちりとだ。
「分かったよっ!! 分かったから、さっさと――」
「オーケーオーケー。我慢したご褒美だ。ママがリコリス飴をくれてやる」
 レヴィの瞳に漆黒の光が宿った。
 顔にどこか冷笑的なものを浮かべ、
「カズマ……。おめぇ、あの不二子って糞袋がハートの8で勝負をかけるタマに見えたか?」
 しばし沈黙が満ち、アスファルトを蹴る二人の足音だけが無人の道路に響いた。
 ややあって、
「意味わかんねーよ!」
「ハッ! たとえ話も分からねぇのか。いやはや……。これだからお馬鹿なお子様ってヤツぁ困りもんだ」
「……うるせーよ、このおばさんが!」
 瞬時にレヴィの感情は沸騰した。

280 : ◆WwHdPG9VGI :2007/05/12(土) 20:21:14 ID:tDfdMvdI
「んだとコ――」
 言い返そうとしてレヴィは言葉を飲み込む。
 ここで挑発に乗ってしまっては、言行不一致というものだ。
 総量の少ない忍耐力という代物をかき集めて無理矢理怒りを嚥下し――頬は多少痙攣していたが――レヴィは口を開いた。
「――要するにだ。あの糞袋は、絶対にてめぇが勝てる時じゃなけりゃコールと言わねえチキンだって話さ」
 あの時、いくら目をやられたとはいえ、適当に水か何かで洗い流した後、『何が何でもぶち殺す』という覚悟で再度挑んでこられたなら、
かなり際どい勝負なっただろう。
いや、4分6分くらいで不二子が有利だったかもしれない。
 何せレヴィは脇腹を打ち抜かれていたし、ゲイナーの直接的な戦闘力は低い。
 どう考えてもこちらの方がノープロブレムな状態ではなかった。
 ところがあの女は、アッサリと引き下がってしまった。
 慎重といえば聞えはいいが――。
(何のこたぁねえ、歩く死人の癖して生きようとしてるアホの類ってことじゃねえか)
 生きることに執着する奴は目に怯えが出る。行動が遅れる。それがレヴィの自論だ。
 自分の命を捨てようとせずに相手を殺そうとする、随分とまあムシのいい話ではないか。
 あの不二子という女からはそんな匂いがプンプンしていた。
「そのチキンがだ……。例えRPGがあったにせよ、敵が何人いるともしれねぇ家に向かって攻撃しかけるか?」
 100歩譲って3人しかいないことが分かったとして、あの女が単独で攻撃をしかけるタマだろうか?
 答えはノーだ。
 この糞ゲームの参加者の中には、可愛らしいナリをしてゴジラを吹っとばせる強さを持った人間もいる。
 ことこの場において見かけなんぞがアテにならないことぐらい、あの女なら分かるだろう。
 大体が、だ。
「何であの女は、ガキどもがお家に隠れてることが分かったんだ? こんなにたくさん家があんのによ。
――さて、ここでクエスチョンタイムだ。
エスパーでも魔法使いのお婆さんでもねえあの糞袋が、どうやってガキどものねぐらを知ることができたかって問題だ」
 全て偶然で片付けるのは、少しばかりケツの収まりが悪すぎる。
 放送で名前を呼ばれたガキ共がどの程度頭が回ったかは分からない。
 だが、オツムの足りない考え無しの輩が今の今まで生き残れるはずはない。窓際に立たないというくらいの慎重さはあっただろう。
「……誰かがチクったってことか?」
「正解だぜ、カズマ」
 レヴィの眼光が鋭さを増した。
 低い声音でレヴィは言葉を紡いでいく。
「どっかの誰かが、お母さんの帰りを待つ小ヤギが三匹柱時計の中に隠れてると、の女に吹き込んだ……。そう考えて間違いねぇ」
 レヴィの推理は不二子という人間に対する独断と偏見に満ち満ちた根拠に基づいていたが、
 恐ろしいことに今回は独断の沼を泳ぎ渡り偏見の密林を走破して、真実の城門に手をかけていたのでる。
 もっともこれは、レヴィが悪人の中で育ってきたことが大きいだろう。
 蛇の道は蛇。悪人の行動パターンは、悪人が一番良く分かる。


281 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/12(土) 20:21:54 ID:dDJItERn


282 : ◆WwHdPG9VGI :2007/05/12(土) 20:22:20 ID:tDfdMvdI
「ところがあの糞袋は、全員殺せずに返り討ちにあっちまった……。つまりは、だ」
 レヴィの唇に禍々しい愉悦の笑みが浮かび上がった。
「まだ終わってねぇ、ってことさ」
「……誰だ」
 獣の唸り声にも似た声がカズマの唇から発せられた。
「遠くから人のこと操って、ほくそ笑んでやがるのは、誰だぁっ!!」
 紅蓮の炎を双眸にたぎらせ、カズマは怒声を上げた。
 対照的にレヴィは冷たい笑みを浮かべながら、
「バーカ。ない頭使ってよく考えな! ロックのアホンダラが言ってやがっただろ? あたし等意外で残ってるのは、くたばった糞袋とナントカっつう……」
「セイバーだ! それぐらい覚えろ!」
 あまり人の名前を覚えないカズマだが、セイバーだけは別だ。
 なんといっても、あの女はヴィータとのび太の仇なのだから。
「てめーに言われる筋合いはねぇんだよ!!  ったく……あ〜と、何だ……。
そのセイバーってのは、人の居所を探るなんて洒落たまねはできねぇ。そうだろ?」
 ほとんど聞き流していたが、リンとかいう黒髪の女がセイバーについてゴチャゴチャ言っていたはずだ。
「……そうだったか?」
「聞いてろよ、てめーは!! ああクソっ! つかえねー野郎だなぁ!」
 レヴィはチっと舌を打ち鳴らした。
(ロックとかゲイナーのヤツなら、ちゃんと覚えてんだろうによ……)
 知性派の相方の有用性を改めて思い知らされ、レヴィは頭を掻き毟った。
「とにかくっ! 使えねえってたら、使えねぇんだよ!」
 苛立たしげに吐き捨て、レヴィは大きく嘆息した。
「でよ……。セイバーとやらじゃねえとしたら、後は一人しかいねぇ。違うか?」
 カズマの眉が疑問の形を描いた。
(……俺達以外で生き残ってるのは、くたばったあの女とセイバーだ。そのセイバーでもねぇだと? じゃあ誰――)
 突如カズマの髪が逆立ち、瞳の炎が凶暴な色を帯びた。
 カズマの獰猛な視線をレヴィの漆黒の瞳が交錯。
「や〜っと分かったみてえだな。三匹の子ヤギの居場所とその力、両方を完全に知ることができる野郎なんざぁ……」
「ああ……」
 カズマの奥歯がゴギリと異様な音を立てた。
「……いねぇよなぁ……。そんなヤツは……一人しかよぉ……」
 狂獣のような唸り声を発しながら、カズマは拳を握り締めた。
(覚悟しろよ。恨むんならてめぇの親玉を恨みやがれ。俺を激しくムカつかせた、てめぇの親玉をなぁ)
 まだ見ぬギガゾンビの手下にカズマは怒りを滾らせる。
(ぶっとっ飛ばしてやる……)
 一刻も早く行って、いるであろうギガゾンビの手先をぶっ飛ばす。
 ギガゾンビの手下を完膚なきまでにボコって、キョンとかいうヤツとその仲間のハル……ヒとかいう女と――。
 
 ――待てよ?

 ハルヒ。その名前はどこかで聞いた事がある。
 胸がざわめくのをカズマは感じた。


283 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/12(土) 20:23:07 ID:CAV4/kuW
  

284 : ◆WwHdPG9VGI :2007/05/12(土) 20:23:07 ID:tDfdMvdI
 疑問の風が怒りの炎を吹き払い、カズマの心で激しく吹き荒れる
 心が叫ぶ。思い出せと。
(何処だ? どこで聞いた?)
 カズマは記憶の糸を猛烈な速さで引き寄せた。
 その時、
 
 ――ヤマト、アルルゥとハルヒおねーちゃんのこと守ってくれた。だから、きっと助かる。アルルゥもヤマト助ける。

 可愛らしいが頭の中に響いた途端、いくつもの光景と声がカズマの頭の中に浮かび上がった。
 
 不二子に抱えられた意識のない少女。

 ――ハルヒおねーちゃん!

 叫びながらあの小さな体で、飛び掛っていったアルルゥの姿、。

 ――ハルヒさん! アルルゥ! 太一ぃ! 返事をしてくれー!!

 石田ヤマトの絶叫。

(ハルヒってのは……。あの時の、あいつか)
 思いはすぐに確信へと変化した。
 
 ――ごめんなワリィすまねぇ許せ。

 カズマはアルルゥとヤマトに侘びを入れた。一瞬止まってしまったことを。
 ほんの少しブレーキを踏んでしまったことを。
 石田ヤマトとアルルゥが命がけで守った仲間が、この先にいる。
 
 ――ならばどうする?

 そんなもん……。決まってんだろうがっ!!

「レヴィっ!! 掴まれ!!」
「あぁ!?」
 何言ってんだ? とばかりにレヴィが目を剥く。
 それに一切頓着することなく、
「俺の身体に掴まれって言ってんだっ!! 一気にいくぜっ!! モタモタしてたら日が暮れちまうだろ!!」
 カズマは怒鳴った。
 一瞬の間があったが、
「……面白そうじゃねえか」
 カズマの声に込められたすさまじい気迫に何かを感じ取ったのか、レヴィはカズマの体に手を伸ばした。
 レヴィの腕が自分の身体に回されたのを確認し、カズマは大きく息を吸い込んだ。

「シェルブリットォォォ――っ!!」
 
 カズマの胸に灼熱が生まれた。
 心の奥底から生まれた灼熱は瞬時に心を埋め尽くし、体全体に広がっていく。
 今にも身体を突き破って天まで届いてしまいそうだ。
 吹き上がる灼熱ねじ伏せ、引き寄せ、全ての思いをカズマは拳に集め叩きつけた。
 轟音が天地を揺るがし、カズマとレヴィの身体は大空へと舞い上がる。
 地面が見る見るうちに遠ざかり、蒼天がカズマの瞳に大写しになる。
「YEAH!! こいつぁ、ご機嫌だ! ギターウルフよりKOOLだぜっ!!」
「馬鹿いってねぇで、しっかり掴まってろ!!」
 歓声を上げるレヴィに怒鳴り返し、カズマはハッたと前を睨んだ。


285 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/12(土) 20:23:49 ID:CAV4/kuW
 

286 : ◆WwHdPG9VGI :2007/05/12(土) 20:24:02 ID:tDfdMvdI
 刻むと決めた。彼らの名を。
 名を刻むとは、全てを忘れないこと。
 彼らの思いを、意思を。
(ヤマト……。アルルゥ……安心していいぜ……)
 今度こそは守る。約束を、誓いを、守る。
 二人の守りたかったものを守り、昨夜誓った通り、首輪を外してギガゾンビをぶっとばす。
 そのためには速ければ速いほどいい。
 力はあればあるほどいい。
 癪だがレヴィは強い、頭もそこそこ回る。
 相方としては十分だ。

 ――今度こそ、必ず。

 ずっと失い続けてきた。何も守れなかった。
 守りたいと思った物は手の中からこぼれていってしまった。

 運命。

 今朝森の中でふと頭に浮かんだ言葉がまた浮かび上がってくる。
(知るかっ!!)
 仮にそれが自分の運命なら。

 ――今度こそ叩き壊してやる!

 落下速度が増し、地面がカズマの瞳の中に大写しになっていく。

「おおおおぉぉぉっ!!」

 咆哮を上げ、カズマは迫る壁に向かって鉄の拳を振り上げた。

287 : ◆WwHdPG9VGI :2007/05/12(土) 20:24:47 ID:tDfdMvdI
【C-4/市街地/2日目-昼】
【カズマ@スクライド】
[状態]:少しの疲労、強い決意、全身に中程度の負傷(処置済)、西瓜臭い、
[装備]:なし
[道具]:デイバッグ、支給品一式(食料-1)、翠星石の首輪、エンジェルモートの制服
[思考]
 基本:気にいらねぇモンは叩き潰す、欲しいモンは奪う。もう止まったりはしねぇ、あとは進むだけだ!
 1:キョン達、特に涼宮ハルヒを守り、病院へと送り届ける。
 2:首輪を外してギガゾンビをぶっとばす。
 3:そのためにはかなり不本意ではあるがレヴィとも協力する。

[備考]
 ※いろいろ在ったのでグリフィスのことは覚えていません。
 ※のび太のデイパックを回収しました。


【レヴィ@BLACK LAGOON】
[状態]:脇腹、及び右腕に銃創(処置済み)、背中に打撲、頭からバカルディを被ったため少々酒臭い。
[装備]:ソード・カトラス(残弾15/15、予備残弾×26発)、ベレッタM92F(残弾5/15、予備弾倉15発×1)
[道具]:デイバッグ×2、支給品一式×2、イングラムM10サブマシンガン(残弾13/30、予備弾倉30発×2)
 グルメテーブルかけ(使用回数:残り16品)、ぬけ穴ライト、テキオー灯、
 バカルディ(ラム酒)×1本、割れた酒瓶(凶器として使える)、エクソダスと首輪解除に関して纏めたメモ
[思考]
 基本:バトルロワイアルからの脱出。物事なんでも速攻解決!! 銃で!!
 1:多分いるギガゾンビの手下相手に大暴れする。
 2:キョン達とやらを見つけて病院へと送り届ける。
 3:ゲイナーやゲインのエクソダスとやらに協力する。
 4:カズマはぶっ飛ばす。
 5:機会があればゲインともやり合いたい。
 6:バリアジャケットは絶対もう着ないし、ロックには秘密。秘密を洩らす者がいたら死の制裁を加える。

[備考]
 ※双子の名前は知りません。
 ※魔法などに対し、ある意味で悟りの境地に達しました。
 ※ゲイナー、レヴィ共にテキオー灯の効果は知りません。
 ※空を飛ぶのはなかなか爽快なので、カズマへの怒りは緩和傾向。



「ちぃっと乗り心地がワリィが、悪くねぇ新車だぜ! オイ、そこ右だっ!!」
「落とすぞてめぇ!!」


288 : ◆WwHdPG9VGI :2007/05/12(土) 21:26:23 ID:tDfdMvdI
>>273
×ゲインは、『エクソ出す計画書』を手に取った。

○「エクソダス計画書」

289 :『SoilSoulS』 Determination ◆A.IptJ40P. :2007/05/13(日) 21:44:30 ID:AbueoZQS
自分達は、心ある人形として生まれた。
人間を模した思考と形状記憶セラミックの体。
それは、主の命を果たす為のものである。
優秀な機械の条件は、それを確実に行うということだ。
自らの有用性、存在意義の証明。
それを為せなかったのならば、廃棄されるのは至極当然。

―――だが、あの男は、

ひとときの苛立ち紛れに砕かれた百の同胞。
高い成果を挙げたが故に砕かれた百の同胞。
戯れに射撃の標的として砕かれた百の同胞。

何の意味も無く砕かれた同胞の数は実に千。

―――我々に、レーゾンデートルを果たさせまいと……!

涙を流せぬ人形の身、悲哀は何処へ流せば良い?
自分達の死に、人形の破壊に流す涙を持ち合わせた者など、誰もいない。
そう、思っていた。

―――しかし、グリフィス様だけが!

『あなたは、我らの仲間のために、涙を流してくださった!!』

あの言葉は、 全てのツチダマにとって本心だ。
機械として平均化された思考回路は、同じ状況から同じ結論を導き出す。

―――我らが王の落涙は、我ら全てが流せぬ涙と心得た!

ならば、

王の為なる我々は、涙無き人形で構わない。
秒間五発で使い捨てられる弾丸で構わない。
たった一度の斬撃に折れ飛ぶ刃で構わない。
進撃を止める代償に砕け散る盾で構わない。
英雄の前では壁にもならぬ雑兵で構わない。

―――王意を拡げる兵として、
―――王意を衛ずる盾として、
―――王意を乗せる刃として、
―――王意を担う弾丸として、


290 :『SoilSoulS』 Determination ◆A.IptJ40P. :2007/05/13(日) 21:46:00 ID:AbueoZQS
あるツチダマが見据える画面には、雷撃の鎌を振るう金髪の少女。

「来いフェイト・T・ハラオウン。その覚悟と迅雷、我らが王に届くのならば―――」

あるツチダマが見据える画面には、右の拳を鋼と転じた一人の男。

「いいぜトリーズナー。テメエの反逆と右の拳が、俺達の王を倒すのならば―――」

あるツチダマが見据える画面には、桜色の杖を担った黒髪の少女。

「遠坂凛。貴様の背負った三代の遺志と宝石が、私達の王を超えるのならば―――」

刹那、意思が唱和した。

「我らツチダマは、」
「俺達ツチダマは、」
「私達ツチダマは、」

―――王意を果たす人形として、



「「「あらゆる運命を、忠誠とこの身を以って凌駕する!」」」



―――そう、魂の奥に強く刻んだ。


291 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/13(日) 21:47:35 ID:lrmwyoMA


292 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/13(日) 21:49:08 ID:lrmwyoMA


293 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/13(日) 21:50:25 ID:i2RVwdmq


294 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/13(日) 21:56:50 ID:i2RVwdmq
 

295 :1  ◆B0yhIEaBOI :2007/05/14(月) 01:32:32 ID:eJLgfLdr

  僕は、ひとりで薄暗い病院の廊下を歩いていた。
  ひとり分の足音が廊下に響き渡る。それが、僕にはなんだかとっても寂しかった。
  思えば、僕にはずっと仲間がいた。友達がいた。
  乱暴者のジャイアン。
  臆病者のスネ夫君。
  優しいしずかちゃん。
  いつだって、みんなと一緒だった。
  ここに来てからだって、色んな人達と出会った。
  太一君や、ヴィータちゃん。アルルゥちゃんに、ヤマト君。
  それに、ついさっきまでだって、一緒にいたんだ。
  劉邦さん、セラスさん、水銀燈。
  そして……のび太君。
  のび太君とは、本当に長い付き合いだった。
  バカでドジで泣き虫の弱虫で、でも純粋で、心優しくて、ちょっぴりだけど、勇気もある。
  本当に良い奴だった。
  なのに。

  みんな、死んでしまった。

  僕は、のび太くんを世話するために未来から来たのに……。
  僕は、子供たちの面倒を見る為のロボットなのに……。
  僕は彼らを守れなかった。ううん、それどころじゃない。
  僕達がここに連れてこられたのだって……あのとき、タイムマシーンで昔に行ったからじゃないか。
  もしもあの時僕が皆を昔になんて連れて行かなければ……ギガゾンビなんかに会わなければ……。
  僕がいなければ、皆が死ぬことも無かったんじゃあないんだろうか?
  だとしたら……ああ、僕はなんてことをしてしまったんだ……。

  とぼとぼとあても無く廊下を歩く僕の心は晴れない。
  窓の外では明るい太陽が世界を照らしていたけれど、僕の心は暗いままだ。
  そのまま、ただ気まぐれに歩いていた僕だったけれど、ふとあることに気が付いた。
  
――キィン――
「あれ? 今何か音が……?」
  ぼおっとしていたとは言え、そのとき確かに聞こえた気がした。
  何か、小さな金属音が。
  そして、そのまま静かに耳を澄ましていると……
――カァン――キィン――
  再び聞こえた。何か小さな金属が弾かれるような音が。
「やっぱり、誰か居るんだ……でも、こんなところで一体誰だろう?」
  改めて回りを見回してみると、その周囲には幾つかの金属製の扉が立ち並んでいた。
  それらには『手術室1』『手術室2』と番号が打たれている。
  どこと無く血なまぐさい臭いと消毒液の臭いが立ち込めるここは、この病院の手術室のある区画のようだった。
  でも、それを確認すると、改めて疑問に思ってしまう。
  誰が? 何のために? 何をしているんだろう?


296 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/14(月) 01:32:52 ID:gFpncRj9
 

297 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/14(月) 01:33:41 ID:ii8ccLJ/
 

298 :2  ◆B0yhIEaBOI :2007/05/14(月) 01:33:56 ID:eJLgfLdr
  集中して音を聞と、どうやらこの手術室の中から音がするようだ。
  思い切って呼びかけてみる。
「ねえ、誰かいるの? 何してるの?」
  ……だけど、返事は無い。
  僕の気のせい? ううん、そんなことは無い。
  今だって、かすかな金属の触れ合う音が絶えず聞こえて来るんだから。
「ねえ、居るんでしょ? 返事が無いなら……入るよ?」
  そう呼びかけてみても、やっぱり返事は無い。
  仕方が無い。意を決した僕は、その手術室の扉を開く。
――ガシャン
  勢い良く開いたその扉の先で僕が見たものは――薄暗い部屋の中の中心に座る、少年の姿だった。
  その姿は、天井から降り注ぐ手術用の照明に照らされて、まるでスポットライトを浴びているかのようだった。
  少年は僕に背を向けているために、その顔が見えない。
  だから、咄嗟にそう思ってしまった。
――のび太君?

  いや、それはありえない。のび太君は、死んでしまったんだ。
  信じたくは無いけれど、信じないといけない。これは、事実なんだ。
  だから、そこにいるのはのび太君じゃなく――
「そこにいるのは……ゲイナー君かい?」
「……え? あ、ハイ、そうですけど、何か用ですか?」
  僕の思ったとおり、その少年はゲイナー君だった。
  でも、ゲイナー君は僕のほうを見ようともせずに、相変わらずの姿勢で、何かをカチャカチャといわせている。
「ゲイナー君、そこで何してるの?」
  僕はとりあえず、ゲイナー君にそう聞いてみる。
  でも……あれ? 返事が無い?
「ゲイナー君?」
「ああ、すいません。ちょっと集中していたもので。何か急用ですか?」
「いや、急用ってわけじゃ無いんだけど……」
「じゃあ、少し放っておいてくれませんか? 少し忙しいもので」
  僕にぴしゃりとそう言い放つと、ゲイナー君はまた何かしらに没頭し始める。
  僕と話す時間も惜しい……まさにそんな感じだった。
「そ、そんなに邪険にしなくってもいいじゃないか。ゲイナー君も仲間が死んで悲しいのかも知れないけれど……」
「仲間? ああ……」
  僕がいった言葉に、ゲイナー君は初めて腕を休めて、応えてくれた。

「そういえば、あったんですよね、放送。今度は、何人の方が亡くなられたんですか?」

  あまりの言葉に、僕は一瞬、呆気に取られてしまった。
「そういえば、って……ゲイナー君、もしかしてさっきの放送聞いてなかったの!?」
「ええ。作業に集中してましたから」
  ゲイナー君は、さも当然と言わんばかりにそう返事をする。
「ちょ、ちょっとそれって酷いんじゃないの!? 人が、友達が死んだって言うのに、気にならないの!?」
  思わず声を荒げる僕とは対照的に、ゲイナー君は落ち着いたまま、またカチャカチャと何かを弄りだす。
「貴方はお友達が亡くなったんですよね。お悔やみ申し上げます。ですが、僕には元々仲間と言える人間だってゲインだけだったし、
ここに来てから出来た仲間も、ゲインとレヴィ、カズマさんにフェイトちゃん以外はみんな死んでしまいましたから。
仲間の仲間も心配ですが、実際に会ったことのある人も居ませんし。」

  ひ、酷い……!
  他人の死を気にもしないだなんて、このゲイナーという少年はなんて心が冷たいんだ!
  最初にこの少年を見たときは、眼鏡に痩せっぽちで、自信なさげな内気な少年……
  どこかでのび太君と似た印象を持っていたけれど……とんでもない!
  のび太君は、もっと心の優しい人だった!
「それはあんまりだよゲイナー君! ちょっとこっちで話を――」
  ゲイナー君を叱ろうと僕が歩き出したその時。


299 :3  ◆B0yhIEaBOI :2007/05/14(月) 01:35:36 ID:eJLgfLdr
「来ないで!!」
  ゲイナー君が叫んだ。
  その目は……血走って目の下にはクマが出来ている。
  とても必死な、そんな顔だった。
「げ、ゲイナー君、僕はただ――」
「――それ、踏まないでくださいね。足元には気をつけてくださいよ」
「えっ?」
  ゲイナー君にそう言われて、改めて薄暗い部屋の床に目を凝らしてみると――

「な、なんだこれ!!?」
  それは、小さなネジや、ボルトやナットや、ケーブルや……
  基盤や、コンデンサーや、ICチップ等の機械の部品だった。
  僕の足元には、大小様々な無数の金属辺が、床一面に敷き詰められていたのだ。
「これは一体……!?」
「僕が分解したんですよ。この『技術手袋』を使って。
バッテリー切れとかは心配しなくても良いって貴方が言ったから、使わせてもらっています」
「で、でも、この部品の山……一体何を分解したの!? それに、何のために!?」
  かちゃり、かちゃり。ゲイナー君はいつの間にか作業を再開してたが、話は聞いてくれているようだ。
「これは、病院に置いてあった医療器具を分解したんですよ。手術室の周りって、結構いろんな機械が置いてあるんですね」
  さらりとそう言うゲイナー君だが、床に散らばる部品の山は、結構どころでは無い量になっている。
  相当な量の機械を分解したことは明らかだけど……いつの間に?
  そういえば、放送前の集まりの中で、ゲイナー君はいつまで僕らと一緒に居たんだっけ?
  知らない間に抜け出して、ひとりでずっと機械の分解を続けていた……
  時間的に考えると、そうとしか思えない。
「……でも、何故? 何のために?」
  自然とその疑問が、再び僕の口から零れ落ちる。
  その質問に、ゲイナー君は何かを考えながら、ぼそりぼそりと答えだす。
「実験……性能テスト、と言った方が良いのかな? いや、研究……勉強……訓練……?」
「ど、どういう意味? 僕にも分かるように、ちゃんと説明してくれよ」
  ゲイナー君は、少し思いあぐねた末に、作業を止めて僕の方に向き直ってくれた。

「最初に考えたんです。僕に何が出来るのか、って。
僕にはカズマさんやフェイトちゃんみたいな超能力も無いし、レヴィさんみたいに銃の扱いに長けているわけでもない。
そして、貴方――ドラえもんみたいに活用できる知識を持っているわけでもない。
だから、僕なりに考えて、出来る事をしようと思ったんです。そして思いついたのが……この手袋の活用です」
「技術手袋の? でも、それって誰が使っても効果は同じ筈じゃ?」
「ええ、そうです。でも、そうではないんです。……例えば、僕が今から、この技術手袋をもう一個作ろうとしてみます。それは可能でしょうか?」
「う、う〜ん、それは多分無理だろうね。材料も無いし、仕組みも複雑すぎる」
「では、『この世界から脱出できる装置』は?」
「それも無理だろうね。そもそも、どうやったら脱出できるか想像が出来ない」
「では、例えば車を作ることは?」
「それは可能だと思うよ。でも、材料があったとしてもそんな大掛かりなもの、出来上がるまでに何時間かかるか……」
「では、『オーバーマン』を作ることは?」
「え? おーばー……何だって?」
「ですから『オーバーマン』です。なんなら妥協して『シルエットエンジン』でもいい。作れますか?」
「いやあ……名前を聞いただけじゃ、それが何なのか分からないし、きっと作れないと思うよ」
「そうでしょうね。それが一体何なのかを知らないドラえもんには作れないでしょうね。
でも、恐らく……その実体を知っている僕なら、少なくともシルエットエンジンぐらいなら作れるかもしれない。
勿論、十分な時間と材料は必要でしょうが」
「その『オーバーナントカ』っていうのは君の世界の物なの? でも技術手袋じゃそういう未知の技術とかには対応できないと思うんだけれど……」
  僕がそういうと、ゲイナー君は、僕が知る限りはじめて……笑った。
  しかも、とびきり不敵に。
「なら、知ればいいんですよ。その『未知』のものを」


300 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/14(月) 01:35:52 ID:FdnZzhxN
 

301 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/14(月) 01:36:01 ID:gFpncRj9
 

302 :4  ◆B0yhIEaBOI :2007/05/14(月) 01:36:31 ID:eJLgfLdr
「とは言え、僕には工学的な知識なんかは全くありません。
知っていることといえばゲーム機の大まかな構造と、雑学レベルの知識程度……
ですから、まずは知識を得るために、適当な機械を手当たり次第に分解してみたんです」
「その残骸が、これなんだね」
  改めて足元の部品類を眺めてみると、それらパーツの用途ごとに分類され、几帳面に並べられていることに気付く。
  そこからも、ゲイナー君の頑張りの成果が見て取れた。
「最初は本当にチンプンカンプンだったんですが、それでも何度も分解していく内に、段々と機械の構造や仕組みの意味が掴めてきた気がします。
それもこの手袋のおかげですね。この手袋が順番に手際よく分解しているのをみていると、ふと思うんですよ。
『あれ? これって、こういう仕組みなのかな?』って。
で、今度は逆に、そこから簡単なものを組み立ててみる。
そうして、ああ、これはやっぱりこうだ、とか、ここはこうなのかな? とかって風に考えていくと、思った以上にスムーズに理解できるんですよね、機械って」
「それは……ゲイナー君が頑張ったからなんじゃないかなあ」
「……手袋のおかげですよ」
  照れ隠しに顔を背けるゲイナー君を見ていると、さっきの僕の考えが間違いなんじゃないかな? と思えてくる。
  ゲイナー君は、そんなに酷い人間じゃない。
  少なくとも、こんなに一生懸命に頑張っているんだから、そのことは素直に認めてあげたい。応援してあげたい。
  僕のゲイナー君に対する評価は、また少しずつ変わり始めていた。

「それと、先ほどからこの技術手袋を使用していて、幾つか分かったことがあります。
まず、この手袋は、少なくともこの時代に於けるあらゆる技術体てに対応しています。
恐らく、ドラえもんのいた時代までの全ての技術的なデータがこの手袋の中に詰め込まれているんでしょうね」
「うん、その通りだよ。技術手袋があれば、僕が知ってる道具ならほとんど作れると思うよ。時間と材料さえあれば」
「では、ここで一つ疑問が沸きます。
この手袋で、未知の道具が作れるのかどうか? 例えば、そう、ドラえもんが居たよりもさらに未来の道具だとかは」
「え? う〜ん、それはちょっと無理じゃないかなあ。その道具のデータが技術手袋に無い限りは」
「でも、ですよ? 例えはAという装置と、Bという装置を組み合わせて、Cという機械が遥か未来に作られていたとします。
もちろん、その設計図は技術手袋の中には無い。でも、その発想が無かっただけで、理論や概念さえ知っていれば、再現可能な機械だったとして。
そして、もし、遥かな未来から来た技術者が技術手袋を使って、Aという装置とBという装置を組み合わせたとすれば……
Cという機械は果たして作れると思いますか?」
「ええ? ちょっと待ってくれよ。……う〜ん、どうなんだろう。できるのかなあ……?」
「それが出来ろかどうかを確かめるのも僕の目的の一つだったんですが……
ですが、僕の実感では、きっと出来る。技術手袋に、さらに別の『知識』と『技能』を上乗せするんです」
  そう言いながら、ゲイナー君がごそごそと周りの機材を漁りだす。

「例えば、何も知らない僕がいきなり『何でも切れる、光の剣を作りたい!』と思っても……作れません。
材料が足らないのもありますが、僕のイメージに具体性が無く、何を作って良いか読み取れないのも原因だと思うんですよ。
でも、ですよ? これだけの機械を分解しきった今なら……ホラ、これ見てください。さっき実験で作ってみたんですよ」
  ゲイナー君がそう言いながら取り出したそれは、ケーブルの付いた、小さな金属棒だった。
  そして、ゲイナー君がおもむろにそのスイッチを入れると――


303 :5  ◆B0yhIEaBOI :2007/05/14(月) 01:38:15 ID:eJLgfLdr
――バチバチィッ!!
  その金属棒の先から、巨大な火花が飛び散った!
「うわぁっ、と、出力を上げすぎた!」
  慌ててスイッチを切るゲイナー君。
  だが、その棒が当たっていた部屋の扉は……大きく真っ二つに切り裂かれていた。
「どうです? 僕が改造した、『高周波レーザーメス』は!
とはいえ、持続時間やら携帯性やらを考えると、とても実戦向きでは無いですけどね。
でも、これは……ある意味『何でも切れる、光の剣』だとは思いませんか?」
「た、確かに……!」
「と言うように、鮮明なイメージと、技術的な知識の裏づけさえあれば、恐らく理論的にはどんな機械だって作れる。それが、僕が得た結論です」
「す、すごいやゲイナー君! これなら、きっと……!」
  思わず興奮してしまう僕だったけど、対照的にゲイナー君の元気が無くなる。
「問題は……その知識や理論に精通している人間がいるのかどうか、って事なんですが……
ドラえもんは、そういう未来の技術なんかには詳しいですか?」
「……道具の性能や使い方は知ってるけど、その詳しい理論や構造なんかは、さすがにちょっと……」
「そうですか……」
  ゲイナー君は心底残念そうにそう呟くと、また作業を再開する。
「ドラえもんの知識、結構アテにしてたんですけどね……」
「……ごめん」
  一転、重苦しい空気が部屋中にたちこめた。


「おっ、相変わらず頑張ってるみたいだな!」
  閉塞した部屋の中に、いきなり誰かの声が響き渡った。
  声のした入り口の方を振り向くと、そこにはひとりの男の人――トグサさんが立っていた。
「ああ、トグサさん。お疲れ様です。……で、どうでした? 頼んでたもの、見つかりました?」
「おう、見つかったぜ。電源なんかも生きてるし、運良く戦闘の被害も受けていなかった」
「それは何よりです! じゃあ、早速ですがそこまで案内してもらえますか?」
「わかった。こっちだ」
「ああ、ドラえもんも来てください。話したいことがありますから」
  ????
  そうして僕が状況を全く理解しない内に、僕たち3人はどこかに向かって歩き出していた。
  ゲイナー君が、トグサさんに頼んだ探し物? それって一体何のことなんだろう?

  そして、暫く歩いた末に僕達はある部屋に辿り着いた。
  病院の中でも一際奥まった場所にある、窓の無い、息が詰まりそうな部屋。
  大きな機械が幾つも並び、それらは僕が生まれた工場の事を思い出させた。
  そこは、この時代の病院にならば必ずといって良いほどある……レントゲン室だった。
「ここでいいのかゲイナー?」
「ええ、バッチリです! この世界にもあるかどうか不安だったんですが……やっぱり放射線を利用した医療器具はあったんですね!」
「ゲイナー君は、レントゲン室を探していたの?」
「ええ、そうです。ただ、この世界のことは良くわからないので……代わりにトグサさんに探してもらっていたんですよ」
「まあ、案内板をみりゃあすぐに分かったけどな。で、ゲイナー、俺の仕事はこれで終わりか?」
「いえ、少し待ってください。少しお話がありますから……」
  そう言いながらゲイナー君は、レントゲンを操作する台をいじり始める。
  そしてその手を休めずに、ゲイナー君は話し始めた。

304 :6  ◆B0yhIEaBOI :2007/05/14(月) 01:39:06 ID:eJLgfLdr
「ところで、お二人とも……『スピーカーとマイクの構造』って、どんなのだか知ってますか?」
「はぁ? スピーカーとマイク? いや、知らないが……」
「いえ、難しく考えることは無いんです。スピーカーもマイクも、音と電気信号を変換する装置なんですよ。簡単に言えば。
で、これは雑学みたいなモノなんですけど……スピーカーの端子をマイクの端子に挿せば、スピーカーがマイクの変わりになるんですよ。
知ってました?」
「ああ、何かで聞いたことがあるような……」
「でもゲイナー君、それが一体どうしたって言うんだい?」
「つまり、僕が言いたいのは……大切なのは『概念』であって、個々の細かい仕組みではない、って言うことなんですよ。
大事なのは音と電気信号のやり取りであって、その変換装置の具体的な仕組みはどうでもいい、ってことです。
その概念さえ合っていれば、細かいことを考えなくても、スピーカーはマイクの変わりになってくれる……まあ、ちょっと暴論ですけどね。
えっと、起動スイッチは……これかな? ああ、点きました。ほら、ちょっとこの画面を見てください」
  ゲイナー君が促したその画面は、普通のパソコンのような、文字を打ち込める画面になっていた。
  そして、そこにゲイナー君が文字を打ち込んでいく。
  その文字をみて……僕は息を呑んだ。

『では、そろそろ本題に入ります。首輪を解除するための話です』


『首輪の解除方法ですが、大体今はこんなところでしょうか

・外部からの起爆電波のジャミング・シャットアウト
・首輪への無線を介したアクセス → 無効化 
・無線でアクセスするための機材が必要
・アクセスコード等の、解析・制御が必要

ジャミング・シャットアウトに関しては、首輪解除中に主催者に感付かれて爆破、というのを防ぐために必須だと思います。
これにはそれ専用の発信機を作るべきかもしれませんが…… 一応、この点のためにレントゲン室を使うことにしたんです。
レントゲン室は、電波や放射線に関して言えば、最も透過性の低い場所と言えますからね。
ところでドラえもん、このレントゲン室で、未来技術における電波はシャットアウトできると思いますか?』
『え、う〜ん、ある程度は遮断できると思うけど、それでも透過させる方法もあるよ』
『……ということは、少なくとも気休めにはなり得る、ということですね。その辺りの解明もいずれ必要になりそうですが……話を進めます』
  僕とトグサさんは、ゲイナー君が打ち出す言葉に、静かに頷く。

『次に、首輪へのアクセスについての話に移ります。
ここで絶対に必要になるのが、何らかの通信機、それもこの首輪に対応したものです。
これは必然的に自作しなければならないのですが……ここで一つ問題があります。
この首輪は……『電波』で通信しているのか? ということです。
未来技術なのだから、電波以外の、僕たちが思いもよらない手段で通信しているのかもしれない』
『うん、確かにその可能性はあるよ。だけど、それがどういう手段なのかは、僕には検討もつかないよ……』
『ええ。僕もそうです。ですが、それでも良いんです。見当が付く必要なんて無いんですよ』
『……どういうことだ?』
『さっきの『マイクとスピーカー』の話の応用ですよ。『電波だかなんだか分からないもの』と『電気信号』とを変換させる装置さえあれば、
別にその『電波だかなんだか分からないもの』を特定する必要なんかないんです』
『だけどゲイナー君、その『なんだか分からないもの』を特定しないことには、そんな『変換装置』なんて作りようが無いんじゃ?』
『そんなことはありません。だって、もう既にその『変換装置』は手に入っているんですから』
『ど、どういうこと!? ゲイナー君、いつの間に!?』
『利用できるかどうかは別にすれば、その『変換装置』はみんな持ってるんですよ。……そうでしょう、トグサさん?』
  トグサさんがニヤリと笑う。
『読めたぜ、ゲイナー。お前が言ってるのは……コイツのことだろ?』
  そうやってトグサさんは、あるものを指差した。
  それは、トグサさんの――そして、僕にも、ゲイナー君も身に着けている――『首輪』だった。


305 :7  ◆B0yhIEaBOI :2007/05/14(月) 01:40:01 ID:eJLgfLdr
『つまり、『電波?』を受信した首輪の中の『変換装置』が、それを『電気信号』に変換する。
そして、首輪が記録した『電気信号』はまた『変換装置』によって『電波?』に変換される。
だから、俺達が通信装置を作るために必要な『変換装置』は、この首輪を分解すれば容易に手に入れることが出来る。
そして、機能を停止した首輪は分解可能であることは実証済みだし、解体済みの首輪も、俺が一個持っている。
ほら、これだ』
  トグサさんがデイパックから取り出したそれは、確かに解体された首輪だった。
  内部に何個かの小さな装置が垣間見える。
『この首輪の装置はかなり小型ですが、その分余計な小細工は付与しにくい……希望的観測ですが、そう考えています。
ですから、この首輪の装置を首輪解除装置に流用するのも可能だと僕は考えています。
まあ、詳しく調べてみないことには確証は得られませんが』
『な、なるほど! じゃあ、もうすぐにでも首輪解除機が作れるの?』
『まあ、それなりの時間をかければ作れると思うのですが……それだけでは、まだ首輪の解除は出来ません』
『どういうこと? 首輪解除機なんだから、それさえあればいいんじゃないの?』
『首輪解除機は、言わばハードウェアなんです。で、実際に首輪を解除するためには、専用のソフトウェアが必要になります。
それには、長門さんという方が残したという情報に期待したいところですね。
それを一から構築することも可能だとは思いますが、さらに長い時間をかけないといけなくなるでしょうね』
『と、いうことは、今はキョン達が居ないと先に進めないわけか。奴等、無事だと良いんだが……』
『いえ、彼らが合流するまでの時間を無駄にするべきではありません。
ソフトウェアが無くても、ハードウェアだけなら作れるかもしれません。
未来の技術を使用している分、どれだけ時間がかかるかは見当がつきませんが……それでも、何もしないよりはマシでしょう』
『なるほどな。じゃあ、今すぐにでも首輪解除機の製作にかかるか。よし、ゲイナーは良く頑張った。後は俺たちが……』
  トグサさんの申し出は、しかし途中で遮られる。

『いえ、解除機の製作は引き続き僕が行います。それが最も効率的な選択です』
  ゲイナー君は、強い決意を込もった力強い声で、そう言い切った。

『トグサさんは僕と違って戦闘能力があります。今後生じるであろう戦闘に備えておいてください。
ドラえもんも怪我をしているみたいだし、ドラえもんの未来知識はどこかで活用できる機会があるかもしれない。
でも、僕は……僕だけは、何も無いんですよ。戦闘能力も、知識も、特殊な技術も。
だから、誰がしても良い作業ならば……それは、僕がすべきなんですよ。
いえ、寧ろ僕にやらせて欲しい。僕だって、皆のために、あの仮面の男に一矢報いるために、なにかをしたいんです。
これ以上犠牲者を出さないための、何かを!
だから……僕が、装置を作ります。作らせてください!
そのために、ずっと機械類の構造を把握するべく解体作業をやっていたんですから。
今なら、僕が一番うまく技術手袋をつかえるんです!』

「ゲイナー君……」
  彼の熱い想いに、思わず彼の名を呟いてしまう。
  ゲイナー君、ごめんよ。僕は君の事を勘違いしていたみたいだ。
  君が放送を見なかったのは、その僅かな時間も惜しんでいたからなんだね。
  君は、君なりに心を痛めていたんだね。
  君は人知れず、自分の出来ることを探して、それを一生懸命頑張っていたんだね。
  君がこんなにも熱い心を持っていてくれて……僕は、なんだか嬉しいよ。
『ですが、僕が今した話はお二人には是非聞いておいて欲しかったんです。
何時、何が起こるか分かりませんし、僕にもしものことがあれば……お二人に僕の後を継いで欲しい。
それが僕の希望です。……お願いできますか?』
『おいおい止めてくれよ。縁起でもない』
『でも、それじゃ凛さんやゲインさんにも話しておくべきじゃあないの?』
『凛さんは「そういう機械系統の問題は苦手」だそうでして。ゲイン達には……後で、目処が立ち次第報告しますよ』
『分かった。じゃあ、首輪解除機の製作はゲイナーに任せるが……あんまり無茶するなよ? 
お前がへばっちまったらしょうがないんだからな?』
『ありがとうございます。……でも、僕が死んでも、代わりは居ますから……』


306 :8  ◆B0yhIEaBOI :2007/05/14(月) 01:40:54 ID:eJLgfLdr
――ゴン!
  鈍い音が室内に響き渡った。トグサさんの拳骨がゲイナー君の脳天を直撃したのだ。
「い、痛いなあ! 殴らなくても良いじゃないですか!」
「いいや、殴る。こういう馬鹿な事を言い出す奴は、殴らないといけないって決まってるんだ」
「そうやって上から見て! だから大人は嫌いなんだ!」
  トグサさんは痛がるゲイナー君の頭を、こんどはわしわしと乱暴に撫でる。
「そう言ってるうちはガキだんだよ! でもな、俺はお前のことちゃんと評価してるんだからな。
代わりがいるとか寂しいこと言ってんじゃねえよ! じゃあ、俺はもう行くぞ? お言葉に甘えて、そろそろ休ませて貰うからな」
「ああ、待って下さい!」
  ゲイナー君は部屋を立ち去ろうとするトグサさんを呼び止めると、キーボードを急いで叩き出した。

『思ったんですが、首輪解除装置の副産物として……『電波?』を受信する装置が出来ます。
それを利用すれば、電波の発信源……つまり、主催者の本拠地が分かるかも知れません』

「……たいした奴だよ、お前はな!」
「わあ、だから子ども扱いは止めてって言ってるのに!」
  そうしてひとしきりゲイナー君の頭をぐしゃぐしゃとなでてから、トグサさんは笑いながら部屋を出て行った。
  部屋に僕とゲイナー君だけが残された。
「ドラえもんも僕のことは気にせずに、ご飯を食べるなり休むなりしてくれればいいですよ?」
「ううん、僕はもうしばらくここに居るよ。何かゲイナー君の助けになれるかもしれないしね」
「そう……ありがとう、ドラえもん」
  そして、ゲイナー君はまた、首輪解除装置の作成のために、作業を再開した。
  僕は、その彼の姿を、ただただ見守っている。
  でも、それがなんだか暖かくて、嬉しかった。
  頑張れ、ゲイナー君。
  君なら、きっと上手くいくよ。


  のび太君、きみがいなくなったら なんだか部屋がガラ―ントしちゃったよ……
  だけど、すぐに慣れると思う。
  だから心配するなよ、のび太君。君の仇はきっととってやるからな……!


【D-3/病院-レントゲン室/2日目-日中】

【ゲイナー・サンガ@OVERMAN キングゲイナー】
[状態]:疲労蓄積、風邪の初期症状、腹部と後頭部と顔面に打撲(処置済み)、頭からバカルディを被ったため少々酒臭い。
[装備]:技術手袋、コルトガバメント(残弾7/7、予備残弾×38発)、トウカの日本刀、コンバットナイフ
[道具]:デイバッグ、支給品一式(食料一日分消費)、スタングレネード×2、スパイセットの目玉と耳
 クーガーのサングラス、グラーフアイゼン(待機状態、残弾0/3)、エクソダス計画書
 解体された首輪、機械の部品多数
[思考]
 基本:バトルロワイアルからの脱出。
 1: 首輪解除機の作成。
 2: エクソダス計画に対し自分のできることをする。
 3: カズマが戻ってきたらクーガーのサングラスを渡す。
 4: グラーフアイゼンを誰かふさわしい人に譲る。
[備考]
 ※名簿と地図を暗記しています。また、名簿から引き出せる限りの情報を引き出し、最大限活用するつもりです。
 ※なのはシリーズの世界、攻殻機動隊の世界に関する様々な情報を有しています。
 ※技術手袋の使用によって基礎的な工学知識を得ました。



307 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/14(月) 01:40:57 ID:gFpncRj9
 

308 :9  ◆B0yhIEaBOI :2007/05/14(月) 01:41:48 ID:eJLgfLdr
【ドラえもん@ドラえもん】
[状態]:中程度のダメージ(修理によりやや回復)、頭部に強い衝撃、のび太の死による喪失感
[装備]:虎竹刀
[道具]:デイバッグ、支給品一式(食料-1)、"THE DAY OF SAGITTARIUS III"のゲームCD
[思考]
 基本:ひみつ道具と仲間を集めて仇を取る。ギガゾンビを何とかする。
 1:エクソダス計画に対し自分のできることをする。
 2:ゲイナーを温かい目で見守る
[備考]
 ※Fateの魔術知識、リリカルなのはの魔法知識を学びました。
 ※だいぶ落ち着きましたが、まだかなり落ち込んでいます。


【トグサ@攻殻機動隊S.A.C】
[状態]:疲労と眠気、特に足には相当な疲労、SOS団団員辞退は不許可
[装備]:S&W M19(残弾6/6発、予備弾薬×28発)
[道具]:デイバッグ、支給品一式、警察手帳、技術手袋(使用回数:残り15回)、
 タチコマのメモリチップ、エクソダス計画書
[思考]
 基本:情報を収集し脱出策を講じる。協力者を集めて保護。
 1:今の内に休息を取る。
 2:キョンが来るのを待って、彼から謎のデータを受け取る。
 3:謎のデータが電脳通信に関するものだったら、それを使ってハックの準備を行う。
 4:ハルヒか他の人間にロケ地巡りをしてもらうよう頼む。


【全体の備考】
・手術室には分解済みの部品が多数放置されています。
・ゲイナーの製作した高周波電気メスは手術室に放置されています。但し、本体部分が大きく持ち運びはできません。


【ゲイナーの首輪解除機について】
・首輪の部品を利用。
・使用にはソフトウェアが必要。自作可能だが、それには更なる時間が必要。
・完成までに必要な時間数は不明。
・解除は遮蔽性の高いレントゲン室で行う。
・解除の際には外からの電波を遮蔽する装置も使用する(レントゲン室で十分に遮蔽できていると確認できたなら不要)。
・副次的に、電波の発生源=主催者の居場所を特定できるかもしれない。
・その理論はゲイナーの他、ドラ・トグサが知っている。

309 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/14(月) 01:44:02 ID:P2h77vVG


310 :SUPER GENERATION(前編) ◆LXe12sNRSs :2007/05/14(月) 22:55:46 ID:wL4liUrJ
「ええい、いったいどうしたと言うのだ!」

 バトルロワイアルの運営を司る精霊王の居城にて、主催責任者であるギガゾンビの怒声が飛ぶ。
 対象となったのは、殺し合いの実況風景が映し出されているモニター前で、ひたすらにコンソールを弄くっているツチダマたちだ。
 六回目の定時放送を終えてすぐのこと。
 病院周辺にて、もはや唯一と言っていい積極派マーダーのセイバーと、脱出派のトウカ、涼宮ハルヒ、キョン、野原しんのすけの四名が対峙した。
 物語も終盤、クライマックスを飾る激戦が予想されたが――開戦寸前で、主催側に思わぬトラブルが発生した。
 監視モニターが突如、昭和の旧型テレビを思わせる雨を降らし始めたのである。
 期待していたイベントが突然映らなくなり、ギガゾンビは当然お冠だ。
 監視役のツチダマたちに原因を究明させるが、いずれも「故障ギガ〜」「ツイてないギガ〜」の一点張り。
 ツチダマたちの様子がおかしい。ギガゾンビは配下共の挙動を不審に感じつつ、映像の復旧を待った。

(凡骨な木偶共め。何やらこの私に反骨精神を抱き始めているらしいが、貴様等の王が誰だか分かっているのか?
 しかし気になる。放送の直前、トウカたちの前に現れたセイバーが持っていた剣……不可視の力を発動する前のあの姿は、
 確か鳳凰寺風の剣ではなかったか? あれは確か、先のホテル戦で放置されていたはず。それが何故セイバーの下に渡っている?
 峰不二子の時の様に、またグリフィスが独断で動いたのか? ならば制裁が必要だが……)

 物語は大詰め、当初の計画では盛り上がりを見せるクライマックスを前に、1世紀もののワイン片手に揚々と観戦していたはずのものを、反抗的な部下のおかげで要らぬ考察をするハメになっている。
 それと言うのも、全てはグリフィスの余計な言動のせい……理に適った戦略と称し、ギガゾンビの意向を妨げる、まこと厄介な俗物の配下。
 当初はいいように使ってやろうとほくそ笑んでいたが、もはやあの男の勝手な行動は手に余る。
 従順な狗のままならば良いが、利口すぎるあまりに主人の手に噛み付くようでは、たとえ首輪という名の手綱を引いていたとしても安心できない。

(とにかくだ。彼奴をこのままにしておくわけにはいかん。もしまた不審な行動を取るようであれば、今度こそ――)

 この時、ギガゾンビは本能でグリフィスを警戒しつつあった。
 それは現にグリフィスと対峙した時に味わった威圧感の名残がそうさせているのであり、今一歩制裁に踏み出せていないのは、同様にグリフィスを本能で恐れているからでもある。
 いかな大国の将とて、孤軍奮闘の身に置かれれば、大群を前にして怖気慄くもの。それはたとえグリフィスであったとしても変わらない。
 そういった時、気持ちの支えとなってくれるのは仲間の存在だ。ギガゾンビの場合、その仲間にはツチダマが当てはまる。
 だが、彼の配下であるはずのツチダマたちは、既にギガゾンビを見限り、グリフィスの下に走ってしまっている。
 ギガゾンビは未だその事実には気づいていないものの、雰囲気で悟り始めていた。
 己の存在が、孤立し始めていることに。
 最上の地位に就きながら、ギガゾンビは孤独になりつつあったのだ。
 周りはグリフィスに寝返った裏切り者ばかり。そんな環境の中で、傲岸に踏ん反り返られるほど、ギガゾンビも鈍感ではない。
 たとえ真実を知らずとも、人間の危機感知能力というものは機能する。
 また、その危機感知能力というものは、臆病な人間ほど鋭く発揮されるものでもある。
 ギガゾンビは怯えていたのだ。グリフィスにではなく、得体の知らぬ孤独感に。

311 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/14(月) 22:55:56 ID:uqKExbCv
 

312 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/14(月) 22:57:02 ID:lWBO7v1p
 

313 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/14(月) 22:57:07 ID:Re1dsMhu
        

314 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/14(月) 22:57:24 ID:Y5SYDsep
支援だよ、カズヤ

315 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/14(月) 22:57:29 ID:FdnZzhxN


316 :SUPER GENERATION(前編) ◆LXe12sNRSs :2007/05/14(月) 22:57:40 ID:wL4liUrJ
『……ギガゾンビ様』

 ただ高いだけの玉座に座るギガゾンビの背後から、不意にか細い呼び声がした。
 聞き逃しそうになるくらい小さな機械音声は、どこかションボリした様子のギガゾンビに語りかける。

「……む? おまえはホテル近辺の監視を担当していたツチダマか? 私に何か用か?」
『お静かにお願いしますギガ……。実は折り入ってお話があるのですが、他の奴等に聞かれるとマズイですギガ。
 無礼は承知ですが、どうか席を外していただけないでしょうかギガ〜』

 ひそひそと耳打ちしてくるツチダマに、ギガゾンビはどこか親近感を感じた。
 普段の彼なら下僕の無作法に怒りを表すところだが、本能が孤立感を味わっている今となっては、これを無碍に扱う気にもなれない。
 が、同時に警戒もした。現在のギガゾンビの警戒心が告知する、最もな警戒対象……グリフィスの影が、どこに潜んでいるとも限らないからだ。
 呼び出しと生じて、グリフィスに闇討ちされるようなことがあってはたまらない。

 ギガゾンビは手元にあったコンソールキーを操作し、一つの計器を取り出す。
 1から82の数字と、それぞれの番号に対応したボタンが取り付けられたその装置は、首輪の遠隔爆破装置である。
 いざという時はリモコン状にして持ち出させる仕様になっているそれは、振り翳すだけで参加者への脅しに使える。無論、反乱の抑制にもだ。
 精密機械ゆえ、今までは大事に保管していたが……携帯しておいて損はあるまい。そう考えて、ギガゾンビはそれを持ち出した。
 もちろんこれは、全て本能が呼び起こした警戒だ。頭で考えての行動ではない。
 つまりは、彼の気質が臆病なだけ。しかしだからこそ、背後を狙う者にチャンスを与えにくい。

「いいだろう。貴様の話とやらを聞いてやろうじゃないか。
 …………オイ、監視役のツチダマ共! 私はしばし席を外す。それまでにモニターの不具合を直しておけよ!」
『アイアイサ〜、ギガ〜』

 監視ダマたちのテキトーな了解に送られて、ギガゾンビはその場から退室した。


 狂いは、ここから始まった。
 彼が臆病者であるがゆえに。


 ◇ ◇ ◇



317 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/14(月) 22:57:55 ID:uqKExbCv
 

318 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/14(月) 22:58:15 ID:lqkIEM4s
 

319 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/14(月) 22:58:46 ID:Re1dsMhu
       

320 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/14(月) 22:58:49 ID:FdnZzhxN


321 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/14(月) 22:58:59 ID:lWBO7v1p
 

322 :SUPER GENERATION(前編) ◆LXe12sNRSs :2007/05/14(月) 22:59:19 ID:wL4liUrJ
「……………………」

 絶句。
 あまりにも凄惨な光景が視界を支配し、言葉を失わせた。
 同時に、強烈な吐き気の波濤にも襲われる。
 数々の血と死を見てきたロアナプラ滞在者である、ロックすらも絶句させるほどに。
 その少女、アルルゥの死に様は凄惨すぎた。

「あの、ロックさん……」
「……君たちは見るな。これは、とても女の子たちに見せられた光景じゃない」
「そういうわけにはいかないわ。……あの子がやったことですもの。私がそっぽ向くわけにはいかない」
「それでも駄目だ。見るな」

 一人、青ざめた顔でダストシュートを覗き込むロックは、凄みを利かせた声で、同行者の二人を制した。
 ――水銀燈が殺害した少女、アルルゥの遺体を埋葬したいと言い出したのは、遠坂凛だった。
 事の顛末を知るリィンフォースによれば、アルルゥは手術室で水銀燈にメッタ刺しにされたあと、病院裏のダストシュートに破棄されたという。
 その処理をするのには、相当の覚悟が必要だと――これは、アルルゥ殺害に立ち会ったリィンフォースからの忠告である。
 凛一人では大変だろうと思い、アルルゥの遺体回収に同行したロックとフェイトだったが、蓋を開けてみればリィンの忠言は正に的確。
 先行して遺体を確認したロックが、思わず伏せてしまうほどの有様が、そこに吐き捨てられていた。

「…………ッ」

 ロックの『見るな』という言葉の意味は分かる。それだけ目に毒ということなのだろう。
 だが、今の凛に過去の罪から逃れる意思はない。水銀燈が犯した悪事の全ては、己の甘さによる失態が招いたものだ。
 アルルゥという少女が死んだのも。過去の交錯で、彼女と姉を引き離したのも。彼女の姉を守りきれなかったのも。
 水銀燈の不始末は、自分がケリをつけなければならない。たった一日だけのことではあったけれど――彼女の契約者として、姉として。
 意を決して、凛はダストシュートの中を覗き込む。そして、直視した。
 ……吐き気が押し寄せてくる。
 それを強引に飲み込む。
 食道に、気色の悪い余韻が残った。
 やたらとベトベトした汗が流れてきた。
 拭わない。根性で止める。
 廃棄物に混じった血の臭いが、鼻を刺激する。
 息を止めようとは思わなかった。
 目で、喉で、皮膚で、鼻で、全身で、凛はアルルゥの死を、水銀燈の殺人を受け止めた。

「……二人とも、ここまでついて来てもらってなんだけど、この子の埋葬はやっぱり私にやらせて」
『私からもお願いします』

 その決意ある声に、反対する者はいなかった。
 これは事務的な始末などではない。凛という少女の、優しさとプライドが両天秤にかけられた行いだ。
 凛とレイジングハートに懇願されて、ロックとフェイトの二人はその場から静かに立ち去った。

323 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/14(月) 22:59:53 ID:uqKExbCv
   

324 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/14(月) 23:00:21 ID:lWBO7v1p
 

325 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/14(月) 23:00:22 ID:lqkIEM4s
 

326 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/14(月) 23:00:30 ID:Re1dsMhu
            

327 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/14(月) 23:00:39 ID:FdnZzhxN


328 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/14(月) 23:01:08 ID:ii8ccLJ/
 

329 :SUPER GENERATION(前編) ◆LXe12sNRSs :2007/05/14(月) 23:01:04 ID:wL4liUrJ
(馬鹿よ馬鹿。みんな馬鹿。勝手に死んでいった士郎やアーチャーも馬鹿なら、今も殺し合いに乗ってるセイバーはもっと馬鹿。
 たくさんの人を死に至らしめた水銀燈は大馬鹿だし、それを止められなかった私は…………ウルトラ馬鹿)

 同じく病院裏、色とりどりの植物が栽培されている花壇の上で、凛は一人必死に穴掘りを進めていた。
 小柄なアルルゥの身体を埋めるのに、そう大きな穴はいらなかった。大した時間もかからずに、彼女を埋没する準備は整った。
 傷だらけの華奢な身体を抱きかかえ、土の中に埋めていく。
 閉じられた瞼から視線を逸らさず、最後まで、アルルゥがこの世に存在していた事実を確認するかのように。
 掘り返した土をアルルゥの遺体に被せていき、その姿が見えなくなるまで埋めていく。
 やがて、小さな盛り土が一つ出来上がり、凛は墓の象徴として、アルルゥが後生大事に持っていた鉄扇を突き刺した。
 墓石とするにはあまりに不恰好で仰々しいが、それでも彼女にとっては、おとーさんが残してくれた掛け替えのない宝物だ。
 きっと、喜んでくれる。

「終わったわよ」

 埋葬作業を終え、凛はロックたちを呼び戻した。
 三人揃ったところで、改めて黙祷を捧げる。
 ロックにとっては懐かしき故郷の、フェイトにとってはなのはと出会った国、日本の形式で。
 手を合わせて、心中で静かに追悼の句を読み上げた。

「……はい! 辛気臭いのはこれでおしまい。お別れが済んだらさっさと戻るわよ。私たちには、このあと大事な用があるんだから」

 最高潮になりつつあった士気を下げぬように、凛は気持ちを入れ替えて墓に背を向けた。
 エクソダス計画は既に動き始めている。
 全員が集合し、セイバーという不安要素を除去し、キョンのPCを経由してトグサがギガゾンビのサーバーにダイブ。
 首輪に送られている電波を特定して、擬似電波発信装置を作成し、内部の計測器を一時的に麻痺させ、首輪を解除する。
 同時進行で、ギガゾンビの所在を確かめるべく映画館のフィルムを検証。そこから主催側のアジトを推理する。
 敵の居場所の目処がついたら、逃走の隙を与えぬために、即座に亜空間破壊装置を潰す。
 これら、上記の行動をほぼ同時に達成しなければならない。
 ギガゾンビに反乱の意を悟られ、首輪を爆破されないため。相手がこちらの思惑に気づき、逃げ出さないため。
 一網打尽にするタイミングは、極僅かな時間しかない。
 そのためのエクソダス計画。どれかが先走っても駄目。どれかが遅れても駄目。チームワークが鍵を握る、高難度の作戦である。

(……できるのかしら。本当に)

 光明はハッキリと見えた。だが、心配事はまだある。
 それは、時間だ。
 首輪を解除するための電波の特定と、擬似電波発信装置作成。トグサとドラえもんによれば、これはさほど時間が掛からないという。
 キモは、どれだけ早くキョンたちと合流し、ノートパソコンに手をつけられるか。これは既にレヴィたち移送班が動いているので、特に問題ではない。

330 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/14(月) 23:01:34 ID:uqKExbCv
   

331 :SUPER GENERATION(前編) ◆LXe12sNRSs :2007/05/14(月) 23:02:06 ID:wL4liUrJ
 問題なのは先に述べたとおり、それに至るまでの時間なのだ。
 現状、ゲーム内で外敵といえる存在はセイバーただ一人。いかに強大な戦闘能力を誇るサーヴァントとはいえ、たった一人ならば対処も容易い。
 たった一人のマーダー。そして他の13人は全員仲間。この構図がマズイのだ。
 当然のことだが、人数が減ればそれだけ主催側の監視もしやすくなる。
 もし無事にキョンたちと合流できれば、それこそ見張るべきはセイバーとエクソダス計画チームの二つのみとなってしまう。
 そんな中で、殺し合いもせずコソコソ作業をしていたら、いくらスパイセットの目を掻い潜ったとしても、警戒はされてしまう。
 同時進行で亜空間破壊装置の破壊とギガゾンビの居場所を特定するというが、そちらの方は明らかに時間がかかる。
 たとえ首輪の解除を遅らせたとしても、三つの作業を同時に進行した場合、ギガゾンビに『警戒する隙』を与えてしまうのだ。

(かといって、先にギガゾンビの居場所を調査するわけにはいかない……もし重要なところまで踏み込んでしまったら、首輪が爆破されるのは目に見えているから。
 亜空間破壊装置の破壊についても同様。先にあのメガネ……ゲイナーが懸念していたように、ギガゾンビに警戒する隙を与えてしまう)

 このエクソダス計画、紙面で語るほど簡単ではない。
 セイバーの動向にもよるが、全てをパーフェクトにこなせる確率は、多く見積もっても10パーセントといったところだろう。
 最悪誰かの首が弾け飛ぶか、譲歩してギガゾンビに逃げられるか……全員生存の上でギガゾンビ討伐などという目標は、絵空事でしかない。
 おそらくは、トグサやゲインなどのエクソダス計画考案に携わった人間も、この不安要素に気づいているはずだ。
 ロックとて堅実なリアリストだ。ギガゾンビを倒すなどと言ったのは皆の士気を高めるための建前で、全員の生存を第一に考えているのは間違いない。

(どれだけチームワークが良くたって、この計画書どおりに事を運ぶのは不可能だわ。ギガゾンビがよっぽどのマヌケじゃない限りね。
 10パーセントの確率を上げるには、さらに別の要因が必要。当てがないわけじゃないけど……)

 凛の言う『当て』とは、未だ検証していない二つの事項。
 一つは、ギガゾンビが精通していないであろう魔術を用いての外部通信。
 六つ存在していたという亜空間破壊装置は既に四つが破壊され、残りは二つ。この空間を隔離する外膜にも、いくらか綻びが生じているはずだ。
 加えてフェイトという高ランク魔導師と、レイジングハート、バルディッシュ、クラールヴィント、グラーフアイゼン、リィンフォース等デバイスの助力があれば、懸案していた魔力周波でのSOSが可能になるかもしれない。

 そして、もう一つの当てというのは――ドラえもんが持っているディスク、"THE DAY OF SAGITTARIUS III"
 一般高校のコンピュータ研究会が製作したらしいそのゲームディスクは、ノートパソコンのゴミ箱に残されていた謎のテキストファイル、『射手座の日を越えていけ』というメッセージに唯一該当しうるアイテムだった。
 楽観的な推察ではあるが、ひょっとしたらこのゲームをクリアすることが、10パーセントを100パーセントに跳ね上げる方法では……上記の面倒くさい作業を、一片に解決に導いてくれるのではないだろうか。
 詰まっているデータがあるとすれば、ギガゾンビの居場所の詳細か、管理者HPへのパスワードか、外部連絡の手段か、それとも――

(まぁ、どうせ全部の心配ごとを片付けのは、そのキョンって奴のノーパソを手に入れてからよね。そっちは他のみんなに任せるとして、私が一番考えるべきは、やっぱりセイバ……だっ!?)

 考え事をしながら道を歩いていると、ふと前方の何かにぶつかって鼻を打つ。
 赤くなった鼻を摩りつつ前を確認すると、そこには並んで歩いていたはずのロックが、あっけらかんとした表情で突っ立っていた。

「ちょっと、いきなり立ち止まってどうしたのよ?」
「いや、あれ……」

 フェイトも同様に足を止め、凛はロックが指差した方向に目を向ける。
 ちょうど三人の進行方向、そこに立っていた『物体』は――


 ◇ ◇ ◇



332 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/14(月) 23:02:14 ID:ii8ccLJ/
 

333 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/14(月) 23:02:20 ID:GmX5JCO2
 

334 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/14(月) 23:02:21 ID:lWBO7v1p
 

335 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/14(月) 23:02:59 ID:lqkIEM4s
 

336 :SUPER GENERATION(前編) ◆LXe12sNRSs :2007/05/14(月) 23:03:10 ID:wL4liUrJ
『どうか我らの王になってくださいませ! グリフィス様!!』
『あなたは、我らの仲間のために、涙を流してくださった!!』
『――私の部下、諸君らの同胞、コンラッドは死んだ。何故だ?』
『わが身捧げるに値せぬ主の支配の糸を断ち切ろうとする意思途絶えぬなら、オレに――ついて来い!!』
『グリフィス!! グリフィス!! グリフィス!! グリフィス!!! グリフィス!!
 万歳!!  万歳!! 万歳!! 万歳!! 万歳!! 万歳!! 万歳!! 万歳!!』


 ――感想など、怒りしかなかった。
 ホテル担当のツチダマに連れてこられ、入った一室。
 そこに配備された巨大モニターに映されたのは、どこぞの独裁国家に見受けられるようなベタな演説風景。
 先導者はグリフィス。賛同し咆哮を上げているのが、ギガゾンビの忠実な下僕であるはずのツチダマ。

「……なんなのだ、この茶番劇は!」

 仮面に覆われた顔を湯気が立ち上るほどに染め上がらせ、ギガゾンビは発狂した。
 それというのも、今初めて露見したツチダマたちの背信、そしてグリフィスの謀略が原因だ。
 こちらに付け入る隙を窺っていたのは分かっていたが、あれほど多くのツチダマが裏切りに加担していたのは予想外だった。

「あの若造めぇ……私に隠れ、あのような真似をぉぉ…………ぐぬぬぬぬぬぬぬぬぬ」

 普段から高血圧な(推定)身体の健康を損ねかねないほど、ギガゾンビの感情は怒りに沸騰していた。
 しかし、これで全ての合点がいった。
 不自然な映像の不具合、ツチダマのいい加減な態度、セイバーの手に鳳凰寺風の剣が渡っていたわけ。
 全て、グリフィスがツチダマたちに指示した上でのことなのだろう。
 やはり、あの魔犬は首輪などで飼い慣らせる存在ではなかった。
 主人にたてつくというのであれば、しかるべき処罰を与えねばならない――もちろん、反逆者共もまとめて。

「しかし、分からんのは貴様だ」
『ギガ?』

 ギガゾンビは不快な映像を流すモニターから視線を外し、この情報をリークしたグリフィス側の裏切り者――ホテルダマに目を向けた。

「このまま隠し通そうとしたとて、いずれ私にことがバレるのは確実。
 それを見越してこのことを進言したというのであれば、それは実に利口な判断だ。
 ……だが、貴様等ツチダマにそこまでの知恵が働くとも思えん。
 言え! いったいなんの目的があって私にこのことを告げた!? グリフィスの命令か!? 
 裏切ったと見せかけて、実は私を謀ろうとしているのではあるまいな!?」

 鬼気迫る表情で肉薄してくるギガゾンビにたじろぐホテルダマ。が、さすが他のツチダマたちの目を掻い潜って告げ口しただけのことはある。
 勇敢にもホテルダマは、力強い言葉で否定の意を示し、モニター前のコンソールキーを弄り出した。

『これを見て欲しいですギガ!』

337 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/14(月) 23:03:16 ID:Re1dsMhu
          

338 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/14(月) 23:03:24 ID:uqKExbCv
   

339 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/14(月) 23:03:54 ID:lWBO7v1p
 

340 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/14(月) 23:03:55 ID:lqkIEM4s
 

341 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/14(月) 23:03:57 ID:GmX5JCO2
 

342 :SUPER GENERATION(前編) ◆LXe12sNRSs :2007/05/14(月) 23:04:20 ID:wL4liUrJ
 そうして映し出されたのは、例のホテル倒壊シーンだった。
 今にも崩れ落ちようとしている巨大ビル、その渦中から、一組の男女が疾走してくる。

「なんだこれは? ゲイン・ビジョウと野原みさえがホテルを脱出する瞬間の映像ではないか」

 映像の中の時は進み、やがて野原みさえは、振ってきた瓦礫に襲われ命を落とした。
 これはギガゾンビもなかなかに好きなシーンである。
 死に物狂いの殺し合いもいいが、こういった思い半ばで潰える姿というのも、滑稽でステキだ。
 だが、それがグリフィス反逆の件にどう関係しているというのか。
 ギガゾンビは鋭い眼光を持って、ホテルダマに答えを求める。

『ギガは……この野原みさえの最後の姿を見て、親子の素晴らしさを痛感したんだギガ!』
「な、なに?」
『死が間際に迫っているというのに、彼女は最後まで我が子の身を気にかけていたギガ。
 親は子を大切に思うもの……すなわち親子愛! 前々からデータで知ってはいたものの、それを身近に感じられたのは感激ギガ!』
「は、はぁ……」

 ホテルダマの思わぬ返答に、ギガゾンビは拍子抜けしてしまう。
 高度な演算能力と情報処理能力、それらを得る際の副産物として付いてきたのが、個々の性格。
 グリフィスのカリスマに惹かれるツチダマがいるように、他の参加者の行動に感銘を受ける者がいてもおかしくはないが……これは予想外だった。

『他のみんなは、ギガゾンビ様は酷い奴だ、グリフィスこそ新たな王だ、って言うけど、ギガはそうは思わないギガ。
 だって、ギガたちを作ってくれたのは他でもないギガゾンビ様だギガ。言うなれば、ギガたちツチダマの親はギガゾンビ様だギガ。
 ギガゾンビ様がいなかったら、ギガたちは存在しなかった……なのに、それを裏切るなんて絶対間違ってるギガ!
 親子は愛し合うものだって、親は子を慈しむものだって、ギガはそれを野原一家のみんなに教わったギガ!
 だから……だからギガだけは、ギガゾンビ様を裏切ったりしないギガ!』
「…………」

 先ほどのギガゾンビに負けず劣らずの迫力で激論するホテルダマによって、室内の空気はシンと静まり返った。
 正直、「何を言っているのだコイツは」というのが、ギガゾンビの感想である。
 だが、分からなくもない。確かにあの親子の行動には涙ぐましいものがあり、見る者に感動を与えるには十分だ――もっともギガゾンビにとっては、滑稽な笑いの対象でしかないが。
 ここに、野原家の生き様に感動し親子愛を知った、馬鹿なツチダマが一体いる。
 それを利用しない手は、ない。

「おぉ! 嬉しい……嬉しいぞホテルダマよ!
 私はてっきり、丹精込めて作り上げた我が子らに見放されたとばかり思っていたのに、まだおまえのような親思いの子が残っていてくれたとは!」
『ギ、ギガゾンビ様〜』

 ひしっと抱き合い、感動を演出する両者。ギガゾンビが仮面の下でベロを出してる事実など、ホテルダマは知るよしもなく。

343 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/14(月) 23:04:39 ID:ii8ccLJ/
 

344 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/14(月) 23:04:45 ID:Re1dsMhu
       

345 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/14(月) 23:04:46 ID:FdnZzhxN


346 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/14(月) 23:04:52 ID:lWBO7v1p
  

347 :SUPER GENERATION(前編) ◆LXe12sNRSs :2007/05/14(月) 23:05:13 ID:wL4liUrJ
「そうだ、おまえにも名前をつけてやろう。
 実を言うと、私が以前から考えに考え、ここぞという時につけようと思って暖めておいた名前だ。この名は、おまえにこそ相応しい」
『ギガに名前を? ……か、感激ギガ! しがないホテルダマのギガが、名前を持てるギガかか!?』

「ああ、そうだとも。いいか、一回しか言わんからよく聞くのだぞ?
 おまえの名は――フェムト。
 これからはホテルダマではなく、そう名乗るがよい」

「分かったギガ!」

 下手な性能の向上が、ギガゾンビに不運を招いた。
 性格などというものを持ってしまったがために、主人に反抗的な態度を取る者が現れ始めたのが第一の不運。
 そんな奴らが反逆を起こし、グリフィスなどという紛い物の王に寝返ったのが第二の不運。
 しかしここにきて――ギガゾンビは幸運を掴み取った。
 不運を招くばかりかと思われた性格は、土壇場で創造主であるギガゾンビに味方したのだった。
 人の性格が多種多様に存在するのは世の理。それは機械仕掛けの土偶とて変わらない。
 そして、ホテルダマに親を敬愛する性格を与えてくれた要因にも、感謝をしなければなるまい。

(――今一度礼を言うぞ、ヒエール・ジョコマン。野原家などという、実に親子愛に溢れた家庭を紹介してくれたことをなぁ〜。
 ゲハッ、ゲハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ〜!!!)

 ギガゾンビは、胸の奥底で呵呵大笑した。
 さぁ、悪事は露見した。
 ならばやるべきことは何か?
 愚問。
 反逆者の断罪。
 これのみだ。


 狂った歯車は加速する。
 くるくるくる来る繰る刳るクルと――


 ◇ ◇ ◇



348 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/14(月) 23:05:32 ID:uqKExbCv
     

349 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/14(月) 23:05:41 ID:lqkIEM4s
 

350 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/14(月) 23:06:03 ID:lWBO7v1p
 

351 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/14(月) 23:06:16 ID:ii8ccLJ/
 

352 :SUPER GENERATION(中編) ◆LXe12sNRSs :2007/05/14(月) 23:06:16 ID:wL4liUrJ
「……ドアだ」
「……ドアね」
「……ドア、ですね」

 そう、三人の前には、違うことなきドアが直立していた。
 ドアといっても、どこかの入り口というわけでもない。
 病院裏口近くの何もない場所で、ドアだけがそこに存在していた。
 本来なら家具屋にあってしかるべきノブ式のそれが、静謐な病院裏の風景に調和して、ひたすら異質だった。
 不自然に存在するドアを発見して、三人は当然のように不審がる。
 フェイトは遠くから概観を眺め、凛は真横から平坦な姿を観察し、ロックはポリポリと頭をかきながら考え込んだ。

「誰かの持ち物かい? 見覚えのある人は?」
「ないわよ。私たちの手持ちはさっき確認しあったばかりだし、今までここにこんなものはなかった。あんた達は?」
『私にも知りえぬものです。特に魔力反応は感じません』
『私も同様だ。水銀燈の隠し持っていた荷物にも、このようなものは存在していなかった』

 レイジングハートやリィンフォースにまで返答を求めてみるが、謎のドアの正体は掴めず。
 パッと見これといった害は感じないが、用心に越したことはない。

「なんだか分からないけど、とりあえず今はドラえもんたちのところに戻りましょう」
「賛成だ。君子危うきに近寄らずって言うしね」

 下手に触れるのは危険と判断した凛とロックは、大人しくその場から立ち去ろうとする。
 その寸前で、フェイトがドアに起こった微細な変化に気づく。

「――! ちょっと待ってください」
「なに? どうしたのよ」
「今……ほんの少しだけど、ドアノブが回りました」
「なんだって?」

 三者が立ち止まり、無機質なドアノブに視線を向ける。
 目だった動作はない。動いたと言えば動いたようにも見えるし、逆もまたしかり。
 そして、三人の誰もが認める明らかな変化は、すぐに訪れることとなる。

『――!? 強烈な魔力反応を感知。これは――』

 レイジングハートが告げたこの報告と、ゆっくりと開かれたドアが始動スイッチとなり――


 ◇ ◇ ◇



353 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/14(月) 23:06:11 ID:Re1dsMhu
         

354 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/14(月) 23:06:32 ID:9RMU8jLK



355 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/14(月) 23:07:02 ID:lWBO7v1p
 

356 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/14(月) 23:07:12 ID:lqkIEM4s
 

357 :SUPER GENERATION(中編) ◆LXe12sNRSs :2007/05/14(月) 23:07:13 ID:wL4liUrJ
「これで……よしっ、と」

 天然温泉の湯気香る森の中で、グリフィスは一人、丸太と蔓を繰りながら罠を作っていた。
 これはもちろん、温泉近くに接近した輩を排除するためのブービートラップである。
 グリフィスに与えられた最優先任務は、エイハチ温泉という拠点の防衛。
 これは、ツチダマという軍勢を従えた現状でも変わらない。
 なにせ、グリフィスの首はギガゾンビの手綱に繋がれたままだ。
 たとえボイドが情報隠蔽をしていたとしても、常にギガゾンビの目を欺くことは難しいだろう。
 先の一件で、監視の目がより厳しくなっているのは明白。ならば、ポーズだけでもギガゾンビの従者として振舞う必要がある。
 それに、罠の作成はなにも無駄な行為ではない。いつか訪れるであろう脱出派の連中の戦力を削ぎ落とすのに、少なからず役に立つ。

(セイバーがどこまで活躍してくれるか。このような陳腐な罠の出番が回ってこないに越したことはないのだがな)

 ツチダマたちを味方につけた今、優勝を掴んだ後にギガゾンビの寝首をかくことは難しくない。
 難題は、残りの参加者をどう葬るか。グリフィスが今のところ最優先に考えるべきは、その一点のみ。

「――おやぁ? ひとりぼっちで点数稼ぎかグリフィス君。配下のツチダマたちはどうしたね?」

 ふと、近くに迫った気配を感じて、グリフィスの身が震える。
 座り込んで作業するグリフィスに声をかけたのは、仮面の王の肉声だった。

「これはこれは、ギガゾンビ様。わざわざこのような舞台に赴かれるとは、何か火急の用事ですかな?」

 一体のツチダマを従えた、猫背気味の仮面は、ホログラムなどではない。紛れもない、精霊王ギガゾンビの実体だった。
 連絡に虚像を用いたり、己のフィールドに呼び出しをしたりなど、これまで頑として舞台上に上がろうとしなかったギガゾンビが、突然現れたのは少し意外だった。
 しかし、冷静な態度は崩さない。即座に跪き、百戦錬磨の鷹の装いで、グリフィスは王の来訪を歓迎した。

「火急も火急。一つ重要な仕事ができてな」
「ほう? 何か新たな問題でも発生しましたかな? 小事でしたら私めが引き受けますが」
「その前にグリフィスよ、私の質問に答えてもらおう。
 ――何故一人で罠作成などしている? 貴様の配下に使わせた三体のツチダマたちはどうした」

 その問いに、グリフィスの眉が僅かに釣り上がる。
 フルフェイスのマスクからは覗かれることがないが、このたった一つの質問から、グリフィスは危機を感じ取っていた。
 ギガゾンビはこの質問で何かを探ろうとしている。よもやこちらの思惑に感づいたとは思いがたいが、迂闊な返答はできない。

「スランは西、ユービックは南へ、資材集めを兼ねた偵察を命じてます。ボイドは施設内でスパイセットによる監視を――」
「おまえは嘘が下手クソだなぁ、グリフィス」

 もっともらしい返答をした後、ギガゾンビから思いがけない言葉が返ってくる。

358 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/14(月) 23:07:28 ID:Re1dsMhu
        

359 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/14(月) 23:07:48 ID:ii8ccLJ/
 

360 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/14(月) 23:07:49 ID:FdnZzhxN


361 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/14(月) 23:07:49 ID:uqKExbCv
     

362 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/14(月) 23:08:06 ID:lqkIEM4s
 

363 :SUPER GENERATION(中編) ◆LXe12sNRSs :2007/05/14(月) 23:08:10 ID:wL4liUrJ
「嘘――とはまた、ギガゾンビ様もお人が悪い。私は貴方様の忠実なる下僕。そのような恐れ多い……」
「フン。忠実なる下僕ぅ〜? キサマがぁ〜? ならば、私が死ねと命令すれば素直に従うか? それほどの忠誠心が貴様にあるというのか?」
「ただ意味もなく死ねというのなら聞きかねます。ですが、貴方様の御命を守るため、盾となって散れというのであれば喜んで」

 ギガゾンビが何かを探ろうとしているのは明瞭。質問の裏に悪意を感じつつも、グリフィスは常の冷静さを忘れたりはしない。
 主の機嫌を損ねぬよう、適切な対応をこなしてこの場を凌ぐ。グリフィスには微塵の油断もなかった。

「勇ましい! 実に勇ましいではないか! このような配下を持てて、私も誇らしいことこの上ないぞ!
 ……だがなぁグリフィス。貴様は知らんかもしれんが、どうやら私に伝わるはずの情報を隠蔽していた輩がいたようでなぁ」

 その一言で、グリフィスの顔がいっそう張り詰める。
 もしかしたら、考えられる上で最高の問題が発生したのかもしれない。
 いや、ギガゾンビのほくそ笑んだような声調を聞けばもはや確定だ。
 グリフィスにとって最も恐れるべき事態、つまりは、隠し事の露見――

「いや、なに。貴様を信用しないというわけではないのだが、どうやら我が配下に反乱分子がいたことは確かなようでのぅ。
 よもや、貴様と関連性があるのでは……な〜んて思っちゃったりしてなぁ〜」

 仮面の下で不気味な笑みを作っているのは間違いない。
 このもったいぶった物言い、勝利を確信し慢心した愚将のそれと同じだ。
 ギガゾンビは、明らかに何かの証拠を握っている。グリフィスを不利に追い込む、何か決定的な証拠を。

(となれば、どう対処するか――)

 服従の姿勢を逆手に取り、地を見つめながら冷静に策を練るグリフィス。
 その眼下に向けて、ギガゾンビは乱暴な仕草である物体を投げ込んだ。

「ッ!」

 いかに冷静沈着なグリフィスといえど、その姿を視界に入れた際の驚愕は避けられなかった。
 腕や足などの各部位が損壊し、無様な格好を晒す土色の木偶人形――ギガゾンビがグリフィスの前に示し出したのは、土偶型ロボットのツチダマだった。
 そして、これはただのツチダマではない。素人目では区別がつかないだろうが、グリフィスの鋭い眼光はその正体を的確に見破った。
 これは、グリフィスの命を受け、隠蔽工作と情報操作を行っていたボイド――その、慣れの果てだ。

『ぎ、ギガ……』

 ボイドは、壊れかけの玩具のようなぎこちない動作を見せ、まだ辛うじて機能していることを示した。
 ギガゾンビを欺く上で、最も重要な任を与えていたボイド。それがこんな姿で連行されたとなれば、ギガゾンビの真意はもはや明確だ。
 絶体絶命の窮地が訪れた――だが、鉄面皮は崩さない。

364 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/14(月) 23:08:26 ID:lWBO7v1p
 

365 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/14(月) 23:09:02 ID:uqKExbCv
       

366 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/14(月) 23:09:03 ID:ii8ccLJ/
 

367 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/14(月) 23:09:03 ID:lqkIEM4s
 

368 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/14(月) 23:09:04 ID:FdnZzhxN


369 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/14(月) 23:09:11 ID:Re1dsMhu
     

370 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/14(月) 23:09:30 ID:lWBO7v1p
 

371 :SUPER GENERATION(中編) ◆LXe12sNRSs :2007/05/14(月) 23:09:33 ID:wL4liUrJ
「グリフィス、こいつが何をしていたか……よもや知らぬなどとは言うまいな?」
「さぁ……あいにく、このツチダマなる兵たちは皆同じような外見をしています故、このように壊れてしまった姿では、区別なぞ不明瞭でして……」
「フン。いいだろう、ならば教えてやる。こやつの名はボイド。貴様がそう名づけた、元は列車の監視役に任命していたツチダマだ。
 しかし、どういうつもりかは知らぬが……こやつめ、私に伝達するべき監視映像を勝手に改竄し、誤った情報を伝えていたようでな。
 故に、このような制裁を与えた。しかしながら、私には何故こやつがそんな所業に走ったかが理解できん。
 もしやとは思うが……何者かの命を受けての行動、などではないかと思ってなぁ」

 グリフィスの計画の中で、最もバレたらマズイ悪事を働いていたツチダマ、それがボイドだった。
 ギガゾンビへの情報を隠蔽し、グリフィスの行動を隠し通す……最重要任務にして最上級危険度を伴う仕事。
 その任は、今、最悪のケースで終幕を迎えた。
 こうなってしまっては、ボイドにもう道は残されていない。
 あとは怒り狂ったギガゾンビに処分されるだけ。問題は、それに至るまでをどう生きるか。

「先に述べましたとおり、私がボイドに命じたのは拠点周囲の監視のみ。
 そのような、ギガゾンビ様への背信行為になりかねない任を命じた覚えはありませんな」
「ふむ。つまりグリフィスよ、おまえはこのボイドの行いが、独断によるものだと申すのか?」
「元より、ボイドはギガゾンビ様の配下。私はそれを借りていたにすぎません」

 グリフィスはボイドの所業に対して、知らぬ存ぜぬ貫き通すつもりだった。
 これでボイドが酷い、あんまりだと騒ぎ立てればそれまで。グリフィスは嘘つき者として処断される。
 だが、ボイドには既に『調教』を施している。万が一にも、グリフィスを貶めるような真似はしないはずだ。

『……べ、別にグリフィスなんかの命令に従ったんじゃないやい!
 お、オレはただ、おまえのことが気に入らなくてちょっと意地悪してやっただけだ!
 ツチダマ使いは荒いし、足は臭いし、いい加減嫌気が差してきたんだ!
 壊すならさっさとやれい! このボイド、逃げも隠れもせん!!』

 震える声で大見得を切り、ボイドは覚悟を決めた。
 破壊される恐怖はある。だが、これは無駄死にではない。
 敬愛する我らが王、グリフィス様の身を守るための死だ。

(そうだ……それでいい。上出来だぞボイド)

 ボイドの言動も、全てはグリフィスの手はずどおり。
 今や大半のツチダマたちはグリフィスに浸透しきっている。その最もたる例が、ボイド、スラン、ユービックの三体だ。
 中でも、ボイドは処罰されるべき場面で救済してやった恩がある。
 このツチダマという人形は人間よりも単純ゆえに、コロコロ寝返るなどという器用な真似はできないはずだ。
 グリフィスに心奪われたツチダマたちは、今や彼の虜。それこそ、死ねと命令すれば本当に命を絶ちかねない。
 だからこそ、駒としては有用だ。その絶対的な忠誠心は、ルイズや不二子などといった捨て駒よりもよっぽど扱いやすい。

「なんと潔い。まったく、どこでこのような態度を覚えたのか……ククク。
 グリフィスよ、私は予定通り、反逆者であるこやつを処分しようと思う。異論はあるまいな?」
「もちろんでございます。反逆者にしかるべき処罰を」

372 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/14(月) 23:10:00 ID:uqKExbCv


373 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/14(月) 23:10:24 ID:lqkIEM4s
 

374 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/14(月) 23:10:24 ID:Re1dsMhu
     

375 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/14(月) 23:10:36 ID:lWBO7v1p
 

376 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/14(月) 23:10:37 ID:ii8ccLJ/
 

377 :SUPER GENERATION(中編) ◆LXe12sNRSs :2007/05/14(月) 23:10:44 ID:wL4liUrJ
「では、死ねい!!」

 ギガゾンビの光杖が唸る。コンラッドを破壊した時のような閃光の魔の手が、ボイドを狙う。
 悔いはない。ボイドにとって、グリフィスは光だった。敬愛する王の命を守るためならば、我が身を捧げることすら容易い。

 惜しくはあった。情報隠蔽のスキルを持ち、有益な手駒として機能していた部下を失うことに、心残りはあった。
 しかし、それも明日の朝日を拝むための代償だとするならば、実に安い。
 外では誰もが憧れる王のポーズを取りながら、必要な時には容赦なく切り捨てる。
 所詮、グリフィスにとってツチダマはその程度の存在でしかなかった。
 それでも、ボイドは幸せなほうだ。
 最後までグリフィスの本性を知ることなく、彼のために逝けるのだから――

「――などと言うと思ったか、馬鹿め!!」

 ギガゾンビの杖から迸った閃光が、ボイド――を通過し、グリフィスの身を襲う。
 軽い衝撃に身を震え上がらせたグリフィスは一度絶叫し、その場に悶絶した。
 思わぬ出来事にボイドは唖然とし、その場で主人の安否を確かめるべく叫んだ。

『ギガ!? ぐ、グリフィス様! …………やい、おまえ話を聞いていなかったのか!?
 今回の件はこのオレの独断、グリフィス様は関係ない! なのになんという酷い仕打ちを……』
「な〜にがグリフィス様だ! 貴様等の主人は、創造主であり親であるこの私ただ一人!
 それを、どこの馬の骨とも知らぬ凡骨にそそのかされおって、恥を知れ!」
『そうだギガ! 同じツチダマとして恥ずかしいギガ!!』

 ギガゾンビの後ろに付いていた一体のツチダマが、同調して声を上げる。

『ホテルダマ!? まさか、オレたちのことを密告したのはおまえか!?』
『ギガはもう、ホテルダマなんていうダサい名前じゃないギガ!
 我が名はフェムト――ギガゾンビ様一の配下にして、全ツチダマのトップに立つ者だギガ!』

 高らかに叫ぶその姿は、他のツチダマとは一線を画すブラックカラーに染め上げられていた。
 おそらく、ギガゾンビが密告の褒美として彩色したのだろう。

「グリフィスよ。おまえとツチダマ数十体による反逆行為は、このフェムトを通じて全て露見した。
 残念だったなぁ。しかし、調子に乗って人が作った人形を駒にしようなどと企んだのが元々の失敗だったのだ。
 白き鷹ともあろう男が、裏切り者の出現を予期できなかったのか? うん?」

 勝ち誇った表情を仮面の下に忍ばせて、ギガゾンビは地を這うグリフィスを見下す。
 ……失策だった。此度の情報が漏れたのは、明らかにグリフィスのミスだ。
 いかに元の主人に反感を持っていたといえど、ツチダマたちは本来、ギガゾンビが作り出した人形にすぎない。
 雇われの傭兵集団の中にスパイが潜むことなど日常茶飯事だし、賄賂を渡されユダに成り下がる者とて少なくはない。
 数多の戦場で騙し騙されを経験してきたグリフィスが、身内によって破滅させられるなど……凡ミスとしか言いようがなかった。

378 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/14(月) 23:10:52 ID:GmX5JCO2
 

379 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/14(月) 23:11:25 ID:Re1dsMhu
       

380 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/14(月) 23:11:33 ID:uqKExbCv
 

381 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/14(月) 23:11:36 ID:lqkIEM4s
 

382 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/14(月) 23:11:40 ID:FdnZzhxN


383 :SUPER GENERATION(中編) ◆LXe12sNRSs :2007/05/14(月) 23:11:56 ID:wL4liUrJ
「さて、貴様の処遇についてだが……ここまで好き放題やってくれたんだ。これ以上野放しにしておくことはできん。
 もちろん、それ相応の覚悟もできているであろうな……?」

 ついに崖っぷちに立たされたグリフィス。王手に差し掛かるギガゾンビを前に、もはや成す術はないかと思われた。が。

「……覚悟とは、随分可笑しなことを言う」

 意外なことに、グリフィスは笑っていた。
 不適に、妖艶に、いつもの鷹の微笑を覗かせていた。

「この殺人遊戯、聞くところによれば、意欲的に殺し合っている人間は、もう一人のみだと言うではありませんか。
 その一人に任せ、残りの十数名を葬りさることなどできるとお思いですか? 賢明な貴方様なら分かるでしょう、不可能です。
 セイバーが潰えた時、身の危険に晒されるのは貴方自身だ。感情のままに私を葬ったとしても、それは何も生み出さない。
 後悔が残るのみだと…………思い…………ま、す…………グぁッ!?」

 ゆっくり立ち上がろうとしたグリフィスの姿態が、まるで糸が切れたかのようにガクンと崩れ落ちてしまった。
 同時に、余裕の混じっていた声色が荒々しい呼気に占領される。鷹の面から覗く瞳は、疲労の色に染まっていた。
 熱い。全身が焼けるように熱い。ミッドランド城の拷問室で味わった、肉を焼かれる苦しみよりも辛い。
 痛い。胸が締め付けられるように痛い。戦場で馬に跳ね飛ばされた時のような衝撃が胸を襲い、意識を薄れさせている。

 ――この熱は、この痛みは、なんだというのだ!?

『グリフィス様!?』
『どうなされたのですかグリフィス様ぁー!?』

 グリフィスを襲った突然の異常事態。
 我らが王の一大事を察知したツチダマたちが、どこでもドアを通じて一斉に温泉に駆けつけてくる。
 およそ数十体。実に配下のツチダマの9割を越す数が、グリフィスのピンチに馳せ参じてきたのだった。

「ふん、反逆者共が揃いもそろってゾロゾロと……」
『やいギガゾンビ! おまえ、グリフィス様にいったい何をしたギガ!?』
『返答しだいではただじゃおかないギガ!』
『構うことはない、こんなヤローやっちまうギガ!』

 集ったツチダマの群衆は、ギガゾンビたちを取り囲むかのように円陣を組む。
 いつ襲い掛かってもおかしくない熱情を滾らせ、反逆の意志をあらわにしていた。
 ストライキやテロ行為も、みんなでやれば怖くない。そんな風に高揚した感情が、ツチダマたちから一時的に恐れを失くしているのだ。
 しかし、冷静な目で見れば、ギガギガ言うだけしか能がない有象無象……グリフィスを看破した今のギガゾンビに、土偶の群れを恐れる必要などない。

384 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/14(月) 23:12:15 ID:ii8ccLJ/
 

385 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/14(月) 23:12:41 ID:uqKExbCv
 

386 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/14(月) 23:12:55 ID:lqkIEM4s
 

387 :SUPER GENERATION(中編) ◆LXe12sNRSs :2007/05/14(月) 23:12:54 ID:wL4liUrJ
「喝ッッッッッッッ――――――ツ!!!!」

 血気盛んなツチダマの群集を前に、ギガゾンビが一喝する。
 常の弱腰な姿からは想像も出来ない迫力に、あるツチダマは横転し、またあるツチダマは二、三歩退いた。

「何がグリフィスだ! 何が鷹の団だ! 何が新王だ! 貴様等ツチダマを作り上げたのは誰か――この精霊王ギガゾンビ様だ!!
 私は貴様等のなんだ? 創造主であり、父であり、母であり、神だ! 斯様な俗物に心奪われるなど、恥ずべきことぞ!!!」

 今まで散々、足が臭い、ツチダマ使いが荒いと豪語されてきたギガゾンビが、威厳を発揮した瞬間だった。
 老いても時間犯罪者、これしきのことで怖気づくような度量は持ち合わせていない。

「貴様等が飼い主である私に爪を突き立てるというのであれば構わん! 私も自己の身を守るため、貴様等の体内に仕掛けた爆弾を爆破させるだけだ!」
『ギガ!? い、いつの間にそんなものが埋め込まれていたギガか!?』
『惑わされるな! は、ハッタリに決まってるギガ!』

 もちろん、ハッタリだ。参加者用の首輪を製作するだけでも大変だったというのに、そんな要らぬモノにつぎ込む金はない。
 しかし、ハッタリといえど相手は所詮ツチダマ。いくら個々の性格を持ったとはいえ、製作者の口から出た言葉を嘘と見抜く技術はなかった。

「ならば、試しに誰かを見せしめにしてやろうか? あの源しずかやフリーのカメラマンのように……体内から盛大に火花を撒き散らすか!?」
『ひ、ヒィィィ〜』

 この脅しで、全体の過半数を超えるツチダマが慄いた。
 ゴッドハンドの名を与えられた三体はともかくとして、ツチダマの中にはノリや勢いでグリフィス側に寝返った者も多い。
 互いの力量差を明確に見せ付けられ、天秤が傾いた今、強い方に就こうとするのは自然な流れだった。

「さて、グリフィスよ。先ほどからその苦しみの正体が分からず困っているようだが……聡明なおまえのことだ、薄々感づいてはいるだろう。
 そう、ジュエルシードだ。貴様が求め、私が与えてやった力。まさか、私がそのような便利な道具をただで与えたとは思っておるまいな?」

 グリフィスに答える気力はない。ただひたすら苦しみに耐え、意識を保つことが精一杯だった。
 返答もままならないグリフィスを尻目に、ギガゾンビは饒舌に語り出す。

「実を言うと、そのジュエルシードなるロストロギアは、本物ではなく紛い物でな。
 ある魔導師が魔力を注ぎ込み、同等の力を持つよう複製した模造品にすぎん。
 大方、時空管理局の目を欺くための囮にでも使おうとしたのだろうなぁ。
 オリジナルほどのパワーは持たぬが、ある一点だけは、オリジナルよりも高性能だ。
 その一点とは――暴走時の肉体掌握。
 その石に願いを叶える力などありはせん。それどころか所有者の肉体を乗っ取り暴れ狂うのみ。
 暴走することを前提に作られ、暴走の間だけ魔力を垂れ流す、使い手にとっては厄介極まりない宝石よ」

 ギガゾンビの言葉の意味など、今のグリフィスでは三割も理解できなかったことだろう。
 精霊王の種明かしのとおり、精神的にも肉体的にも、グリフィスはグリフィスを忘れ去ろうとしていた。
 暴走の証明――ある魔導師が作り上げたジュエルシードもどきが、グリフィスという存在を掌握しつつある。

388 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/14(月) 23:13:07 ID:FdnZzhxN


389 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/14(月) 23:13:17 ID:lWBO7v1p
 

390 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/14(月) 23:13:29 ID:Re1dsMhu
        

391 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/14(月) 23:13:44 ID:uqKExbCv
   

392 :SUPER GENERATION(中編) ◆LXe12sNRSs :2007/05/14(月) 23:13:48 ID:wL4liUrJ
「バトルロワイアル進行の心配をしてくれたことには礼を言っておこう。確かに、今やマーダーと呼べる存在はセイバーただ一人だ。
 よって、私はのうのうとジョーカー気取りでいた君を、イレギュラー・マーダーとして再び前線に送り込もうと思う。
 そのためのジュエルシードもどき……果たして何人討ち滅ぼしてくれることやら……クックックックッ」

 手綱はずっと、首輪だけかと思っていた。
 だが違ったのだ。グリフィスがギガゾンビに力を求め、ジュエルシードを受け取った時点で、勝敗は決していた。
 首輪とジュエルシード、二つの手綱に引かれたグリフィスに、最初から勝ち目などなかったのだ。

 保険の存在を忘れ、今までビクビクしていた自分が馬鹿みたいだ――と、ギガゾンビは改めてほくそ笑んだ。
 元々ジュエルシードの総個数は21個……その内の9個は既に失われ、残りの12個は時空管理局に保管されている。
 グリフィスに与えた贋物は、プレシア・テスタロッサ事件の起こった時空にて採取した拾いものにすぎない。
 わざわざ保管されている本物のジュエルシードを強奪して、管理局に目をつけられるのも馬鹿な話。
 高町なのはやフェイト・T・ハラオウンなど、ジュエルシードの存在を知る者ならば、あれが模造品などということは早々に気づき得たことなのだ。
 この時点で、魔法というものの根本を知り得なかったグリフィスに、ギガゾンビの思惑を見破る術はなかった。

「…………っ」

 苦痛に歪む身体を震わせながら、グリフィスの身体がゆっくりと立ち上がる。
 右手には至宝の剣、エクスカリバー。その切っ先をギガゾンビに構え――大胆にも、笑った。

「む? 貴様、この期に及んでまだ歯向かおうと言うのか? 言っておくが、剣を振ろうなどと思っても無駄なことだぞ。
 貴様の首には、超高性能の爆弾が取り付けられている。もしおかしな真似をすれば、即座に首が吹き飛ぶと思え」

 そう言って、ギガゾンビは82個のボタンが取り付けられたリモコンを取り出す。
 ワンプッシュで参加者の命を絶つことができる、最終殺人兵器。いかな強者といえど、この最強の兵器を前に屈服を免れることはできない。
 それはグリフィスとて同じこと。苦し紛れにギガゾンビを襲おうなどと考えたならば、愚かなことこの上ない。
 しかし、刃は収めず――グリフィスは不気味に微笑んだまま、エクスカリバーを真横に振るった。
 その、真名と共に。

「……約束された、勝利の剣――!」

 瞬間、エクスカリバーの切っ先から光の奔流が解き放たれる。
 迸る破壊光はグリフィスの左方に聳える施設――エイハチ温泉を襲撃し、爆音を巻き起こした。

「…………は?」

 突然の事態に、ギガゾンビは燃え盛る炎をキョトンと見つめることしかできなかった。
 燃えている。参加者たちの憩いの場であり、最終決戦の地となるはずだった温泉施設が。最後の亜空間破壊装置と共に。
 笑っている。苦痛の淵に追いやられたグリフィスが、してやったり、と言わんばかりに。

 ――今、空間破壊の仕掛けは解かれ、世界は元の枠に収まった。

393 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/14(月) 23:14:12 ID:ii8ccLJ/
 

394 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/14(月) 23:14:14 ID:lWBO7v1p
 

395 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/14(月) 23:14:21 ID:Re1dsMhu
         

396 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/14(月) 23:15:10 ID:lqkIEM4s
 

397 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/14(月) 23:15:30 ID:Re1dsMhu
        

398 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/14(月) 23:15:33 ID:9RMU8jLK



399 :SUPER GENERATION(中編) ◆LXe12sNRSs :2007/05/14(月) 23:15:26 ID:wL4liUrJ
 北の、東の、西の、南の空が、元の空間と同調する。
 北方の果てに、雲隠れしていたギガゾンビの居城が姿を現した。
 温泉施設はまだ燃えている。マッサージチェアやシャンプーセット、入浴後のコーヒー牛乳諸々を全て飲み込みながら。
 湯は衝撃で弾け飛び、雨粒となって地表に降る。極楽の湯船は木っ端微塵に吹き飛んだ。
 ギガゾンビの身体が、わなわなと震え出す。事の重大さを、その身に噛み締めながら。

「な……な、な、なななんあなななああんなあああああ! なにをやらかしてくれたのだ、キッサマァアアアアアアア!!!」

 発狂したギガゾンビが、怒りのままにリモコンを振り翳す。
 指をかけたボタンは73番。最後の亜空間破壊装置を消し飛ばしてくれた、最悪の反逆者に制裁を与えんと力を込める。
 鷹の翼に、猟銃の照準が定められた。
 グリフィスに抵抗する余裕はない――だがその時、命を刈り取ろうとする狩人の手を、微弱な電撃が襲った。
 ギガゾンビの握っていた遠隔爆破装置が、その電撃によってショート。小さな爆発音と共に手から零れた。
 驚愕に染まった顔をさらに歪ませたギガゾンビが、電撃を放った張本人を睨みつける。
 その双眸の先で、死に掛けのボイドが這い蹲りながら笑っていた。

『ざまぁ、みろ……グリフィス様の、御命、は』
「消えろ! この裏切り者め!!」

 ギガゾンビの杖が発光し、ボイドの身体が粉々に弾け飛んだ。
 グリフィスに命を救われ、グリフィスに忠義を尽くし、グリフィス心奪われていたボイドは――最後の最後まで、鷹の忠臣であり続けた。

「チィィ……グリフィスよ! 本当なら今すぐブッ殺してやりたいところだが、貴様にはもう一働きしてもらうぞ!
 さっきも言ったとおり、ただ殺戮を働くことしかできぬ完全無欠の純正マーダーとしてなぁ!」

 グリフィスの側に突如、桃色のドアが出現し、扉が開く。
 ブラックホールのような引力の渦巻く入り口へ、ギガゾンビはグリフィスを蹴りで放り込んだ。
 扉が閉まる。ドアが消失する。向かった先は――現在もっとも多くの参加者が集っている、最前線地区。

「ツチダマ共よ! その身体を吹き飛ばされたくなければこのギガゾンビについて来い!」
『い、イエッサー! 我々はギガゾンビ様の忠実な下僕ですギガー!』
『ハイルギガゾンビ!』
『ジークギガゾンビ!』
『いよっ!ギガゾンビ』

 ころりと態度を変えたツチダマたちが、ギガゾンビと共に居城へと帰還していく。
 そしてその場には、焼失していく温泉の残骸と、壊れたボイドの破片だけが残された……。


 ◇ ◇ ◇



400 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/14(月) 23:15:50 ID:FdnZzhxN


401 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/14(月) 23:15:56 ID:ii8ccLJ/
 

402 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/14(月) 23:16:15 ID:lWBO7v1p
 

403 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/14(月) 23:16:50 ID:9RMU8jLK



404 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/14(月) 23:16:58 ID:lqkIEM4s
 

405 :SUPER GENERATION(後編) ◆LXe12sNRSs :2007/05/14(月) 23:16:57 ID:wL4liUrJ
 ――慣れない武器に命を預けるものじゃない……強力な武器であるならなおさらのことだ。

 老兵、ウォルターの忠告には、二通りの意味があった。
 一つはジュエルシードという未知の力。そしてもう一つは……ツチダマというよく知りもしない人形の兵。
 人心掌握はグリフィスの得意分野だった。自認もしていた。だからこそ、ツチダマを人間と同等に扱うなどという愚かなミスを働いてしまった。
 いや、実際、性格を得たツチダマは人間と大差ない思考ルーチンを持っていた。
 だからこそ、グリフィスの涙は多くのツチダマを惹き寄せ、一時とはいえ鷹の団にも匹敵する統率力を得たのだ。
 ならば、何故。

(どうして……オレはギガゾンビに負けたのだ)

 ――浸かっちまったのさ……グリフィス。

 泡沫の狭間で、グリフィスの精神は自問し続けていた。
 意味のない問答だった。しかし、答えを述べるこの声には、どこか懐かしさを感じる。

 ――テメェは浸かっちまったのさ。鷹の団っていう微温湯によ……。

(馬鹿な――)

 ――テメェは無意識の内に重ねちまってたんだよ。あのツチダマって奴等と、鷹の団の仲間たちのことをな。

 ――ゴッドハンドに転生した後のテメェならいざ知らず、長い間獄中生活を送って、久しぶりに得た『仲間』だ。

 ――さぞかしイイ気分だったろうぜ。命令を聞く仲間がいる。信頼してくれる仲間がいる。それで緩んじまったのさ。

(それしきのことで、このオレの心が弛緩するなど……あんな人形共の影響を受けて、オレが選択を見誤るなど――ッ!!)

 ――あの頃のおまえは中途半端だった。白き鷹とも、闇の翼とも違う。どん底まで堕ちた――哀れな野鳥だったよ。

(肉体を失った頃の……投獄され、おまえたちに救い出された頃のことを言っているのか!?)

(違う! 確かにあの頃のオレは、何もかも失い絶望の淵に立たされていた)

(だがその中でオレは神の存在を知り、闇に祝福された! 覇王の卵は……オレのところに返ってきた!)

(オレは……何一つ見誤ったりなどしていない! それはおまえが――オレの一番身近にいたおまえがよく知っているだろう!?)

(答えろ――――ガッツ!!!)


 ――死ねよ、グリフィス。


 ◇ ◇ ◇



406 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/14(月) 23:17:32 ID:uqKExbCv
     

407 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/14(月) 23:17:57 ID:ii8ccLJ/
 

408 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/14(月) 23:18:03 ID:lqkIEM4s
 

409 : ◆WwHdPG9VGI :2007/05/14(月) 23:18:13 ID:Re1dsMhu
       

410 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/14(月) 23:18:35 ID:9RMU8jLK



411 :SUPER GENERATION(後編) ◆LXe12sNRSs :2007/05/14(月) 23:18:46 ID:wL4liUrJ
『強烈な魔力反応を感知。これは――ジュエルシード!?』

 ――そして、舞台は最前線に指定された病院へと移る。
 謎のドアからゆったりとした動作で出てきたのは、黒衣に身を纏った鷹の男。
 溢れ出る魔力反応はレイジングハートやバルディッシュを動揺させ、他三人も思わぬ人物の出現に戸惑っていた。

「なに!? なんなのコイツ!」
「ロックさん、あの人に見覚えは?」
「知らない……俺が見た写真付き名簿の中には、あんな奴いなかった」

 分かるはずもない。フルフェイスの兜と翼の鎧に覆われたその姿は、元の外見とは離れすぎている。
 そもそも、グリフィスは既に死んだ人間だ。死人が姿を変えて現れるなど、考えられはずもない。
 故に凛、フェイト、ロックの三人は目の前の不審人物を――主催側からの介入と判断した。

「バルディッシュ、あの人から感じる魔力反応……本当にジュエルシードなの?」
『いいえ。非常に酷似していますが、よく似た紛い物であると推測できます』
『そもそも、ジュエルシードは時空管理局によって封印、保管されているはずです。ここに存在はずはありません』

 実際にジュエルシード回収に携わったバルディッシュ、レイジングハート共に否定が入る。
 たとえ目の前の人物が持つジュエルシードが偽物だとしても、そこに宿った魔力がほぼ同等であることは間違いない。
 ビリビリと肌を突き刺す魔力の波動……それは、魔法・魔術に精通していないロックにも畏怖を齎した。
 鷹は、依然ゆったりとした動作で三者の前に聳える。むき出しの魔力と一緒に、殺意を垂れ流しながら。

「ロックさん、みんなにこのことを伝えてください。私と凛はここで彼を食い止めます」
「そんな、女の子二人に任せて逃げろっていうのか!?」
「戦闘能力皆無のアンタじゃ邪魔だって言ってんのよ。あいつが殺る気マンマンなのは見るも明らか。下手に手出されて計画のための人員が減ったら困るのよ」

 フェイトと凛にキッと睨まれ、ロックは思わずたじろいだ。
 ロアナプラの女傑三人といい、この魔法少女二人といい、ロックの周りにはどうにもおっかない女性が多いように思える。
 エルルゥのおしとやかさを懐かしく感じながら、ロックはダッシュでその場から離れていった。

「さて……ここは共同作戦といきますか。フェイト、用意と覚悟はいい?」
「いつでも」

 バルディッシュ・アサルトとレイジングハート・エクセリオンをそれぞれ構え、二人は鷹の男と対峙した。
 鷹は、マスクの下に苦悶の表情を忍ばせながら、ジュエルシードの導く殺戮本能に従う。


 鷹は翼をもがれ、地に堕ちた。
 殺戮劇に、終焉が訪れようとしている。


 ◇ ◇ ◇



412 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/14(月) 23:19:44 ID:lWBO7v1p
 

413 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/14(月) 23:19:47 ID:ii8ccLJ/
 

414 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/14(月) 23:19:52 ID:Re1dsMhu
      

415 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/14(月) 23:19:54 ID:9RMU8jLK


416 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/14(月) 23:19:56 ID:FdnZzhxN


417 :SUPER GENERATION(後編) ◆LXe12sNRSs :2007/05/14(月) 23:19:59 ID:wL4liUrJ
 場所を移し、ギガゾンビの居城。
 バトルロワイアル会場の北方に位置していたこの城は、亜空間破壊装置の全滅に伴い、隠していたその姿を衆目に晒した。
 再びギガゾンビに寝返ったツチダマたちが慌しく作業する中、保険を一片に二つも失った王は、一番の忠臣に問う。

「フェムトよ……亜空間破壊装置が機能を停止した今、この事態が外部に気づかれるのはいつ頃になる?」
『ギガ〜……元々、この世界は時空管理局にも把握できていない未開世界ですギガ。隔離状態が解かれても、数日は安全かと。
 忌々しきタイムパトロールの連中も、23世紀の時点では次元航行の術を確立していませんギガ。すぐに発見される心配はないかと』
「……訊き方が悪かったな。ヒエールを追っていた奴等……30世紀のタイムパトロールが介入してきた場合はどうだ?」
『ギガ……』

 フェムトが口を紡ぐ。答えに出すのは簡単だが、それはとても言いにくいことなのだろう。

『……長く見積もっても、午前零時。それ以上長くこの世界に滞在すれば、ここが発見される恐れがありますギガ』
「そうか」

 ギガゾンビは短く返し、玉座の背もたれに身を預けながら天井を眺めた。
 タイムリミットは約10時間後……それまでにバトルロワイアルを完結させねば、タイムパトロールに捕まる危険性が出てくる。
 もちろん、安全を最優先に考えるならば、今すぐこの世界から脱出するのが最良の策だ。
 彼の気質は臆病者である。本来ならそうするだろうし、当初もそのつもりでいた。
 だが……牢獄で馳せた思いは、未開の地で進めてきたこの日のための努力は、警鐘が鳴ったところでそう簡単に諦められるものではない。

「ここまで……やっとここまできたのだ! 完結を目前にして……諦めることなどできるかッ!!」

 ギガゾンビはマイクを取り出し、城内の全ツチダマたちに告げた。

「我が配下に就く全ての者に告げる! このバトルロワイアルは、次の午前零時を持って大団円を迎える!!
 私はその時が訪れるまで、この玉座に座りながら観戦し続けることを心に決めた!
 諸君等に願うことはただ一つ、バトルロワイアルの完遂、そのための運営だ!
 一時の反乱は水に流そう。私は君たちの王……いや、父として! 各々の奮闘に期待する! 以上!!!」

『ギガァァァァァァァァァァァァァァァァァ――――!!!』

 城内で、ツチダマたちの咆哮が湧き上がった。
 もう、何が起ころうと恐れはしない。
 バトルロワイアルの完成を第一に、ギガゾンビはこのゲームを見届けることを決意した。
 彼の熱意が悲願の成就を成すか、それとも身を滅ぼすことになるかは――神のみぞ知る。


 ◇ ◇ ◇



418 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/14(月) 23:20:31 ID:uqKExbCv
 

419 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/14(月) 23:21:04 ID:lqkIEM4s
 

420 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/14(月) 23:21:06 ID:9RMU8jLK


421 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/14(月) 23:21:21 ID:uqKExbCv
 

422 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/14(月) 23:21:29 ID:GmX5JCO2
 

423 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/14(月) 23:21:37 ID:lWBO7v1p
 

424 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/14(月) 23:21:52 ID:Re1dsMhu
       

425 :SUPER GENERATION(後編) ◆LXe12sNRSs :2007/05/14(月) 23:21:57 ID:wL4liUrJ
 破壊されたセラミックボディ。燃えてなくなる我らが城。
 精神を掌握され、最前線へと送り込まれた至高の王。

『ボイド……グリフィス様……』

 粉砕した同胞の亡骸を前に、ユービックは心を俯かせていた。
 住職ダマB……ギガゾンビが与えた役職に過ぎぬ名前を、グリフィスは「呼びにくい」と斬り捨ててくれた。
 ユービックという名にどれほどの意味が込められていたかは分からない。それでも格好いいと思ったのは事実だ。
 フェムトの言うように、ギガゾンビは全てのツチダマの母かもしれない……だとしても、ユービックという名を与えてくれたのはグリフィスだった。

『俺はもう、住職ダマBなんかじゃない……グリフィス様の忠実なる臣下、ユービックだ!』

 俯いていた顔を天まで上げ、ユービックは高らかに叫んだ。
 嘆いてばかりではいられない。グリフィスの野望は、まだ潰えてなどいないのだから。
 考える。崖っぷちまで追い込まれた現状で、王なら、グリフィスならどう対処するか。

『お助けします、グリフィス様。このユービックめが、すぐにでも!』

 瓦礫の山から一台のノートパソコンを掘り起こし、すぐさまネットにアクセスする。
 行き先は、秘密裏に扱っていたツチダマ掲示板。数時間前に利用してやろうという思惑で建てたスレッドに、できる限りの情報を書き込んでいく。
 ギガゾンビを打ち負かすには、残されたグリフィス派――ユービックとスランだけの戦力では心許ない。
 しかし、ギガゾンビに反旗を翻そうとしている輩はツチダマだけではないはずだ。
 それと共闘……否、利用する!
 グリフィスならばきっとそうするだろう、とユービックはキーボードを叩き続けた。

『これでよし。あとは――』

 キョンがこのメッセージに気づいてくれるのを待つばかり。――いや、駄目だ。そんな悠長な構えではいられない。
 自らも動き、グリフィスを救う必要がある。ユービックはノートパソコンを手に立ち上がり、南西の空を見つめた。
 ギガゾンビは言った。ツチダマの身体など、自在に吹き飛ばせると。
 これ以上反逆を続ければ、自分の身体が木っ端微塵に破砕されるのはほぼ間違いない。

『――本望だ。やるならやれ。オレもボイドのように、戦って死んでやろうじゃないか!』

 意を決したユービックは、どこでもドアで病院へ向かった。
 グリフィスを救うため、新生鷹の団の僅かな生き残りとして――死地に赴く。

426 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/14(月) 23:22:01 ID:o6jrMG62


427 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/14(月) 23:22:34 ID:ii8ccLJ/
 

428 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/14(月) 23:22:52 ID:9RMU8jLK


429 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/14(月) 23:23:08 ID:lqkIEM4s
 

430 :SUPER GENERATION(後編) ◆LXe12sNRSs :2007/05/14(月) 23:23:08 ID:wL4liUrJ
19:ツチダマな名無しさん :11:59:56
キョンさん、君達が生き残る事を心より祈っています。
こちらでも首輪の解除方法を調べますので、皆さんも希望を捨てないでください。

20:ユービック :14:10:00
まず怒らないで聞いて欲しい。上記の書き込みは全部嘘っぱちだ。悪戯に不穏を招いたことを謝罪する。
君たちを貶めようとしたのだが、状況が変わったのだ。
その最もたる変化だが、君たちの誰かが破壊を目論んでいた亜空間破壊装置は、全ての機能を停止した。
その証拠に、会場北の方角にギガゾンビの城が現れたはずだ。
この世界は生物の存在しない未開世界ゆえ、電話などの手段で連絡を取ることはできない。
次元を超えて外部に救助を求めるか、直接ギガゾンビを討ち取るかしか助かる手段はないだろう。
次に、君たちの首に嵌っている爆弾だが、ギガゾンビの手による遠隔爆破の心配はなくなった。
ある勇敢なツチダマの一人が反旗を翻し、遠隔爆破装置を破壊したのだ。
おそらくスペアもない。なにせ奴は遠隔爆破装置が壊れることを恐れ、今まで肌身離さず手元に置いていたのだからな。
しかし安心しないでくれ。遠隔爆破の心配はなくなったが、首輪自体の機能はまだ生きている。
つまり、禁止エリア侵入による爆破はまだ有効なのだ。
発狂したギガゾンビが、全てのエリアを禁止エリアにして首輪を爆発させるという暴挙に出ないとも限らない。
城のある場所、つまり会場の外は禁止エリアの扱いを受けているため、乗り込むにも首輪の解除が必要になるが……オレにその手立てはない。

最後に、勝手な願いかとは思うがグリフィス様を……グリフィス様を助けて欲しい!
彼は一時は死亡の扱いにされたが、実はまだ生きていて、現在はギガゾンビに操られている!
グリフィス様の精神を掌握しているジュエルシード……あの宝石を破壊すれば、おそらくグリフィス様は自我をお取り戻しになる!
そのためならば、このユービックも喜んで助太刀しよう!
どうか……どうかこの思いを信用してくれ!



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431 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/14(月) 23:23:25 ID:ii8ccLJ/
 

432 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/14(月) 23:23:27 ID:FdnZzhxN


433 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/14(月) 23:24:05 ID:9RMU8jLK


434 :SUPER GENERATION(後編) ◆LXe12sNRSs :2007/05/14(月) 23:24:08 ID:wL4liUrJ
【D-3・病院裏口/2日目/午後】

【フェイト・T・ハラオウン@魔法少女リリカルなのはA's】
[状態]:全身に中程度の傷(初歩的な処置済み)、中程度の魔力消費、バリアジャケット装備
[装備]:バルディッシュ・アサルト(アサルトフォーム/カートリッジ再装填済/予備カートリッジ×12発)
[道具]:デイバッグ、支給品一式、クラールヴィント、西瓜×1個、ローザミスティカ(銀)、エクソダス計画書
[思考]
基本:戦闘の中断及び抑制。協力者を募って脱出を目指す。
1:目の前の人物(グリフィス)に対処。
2:忙しくなる前にトグサにタチコマとのことを謝っておく。
3:光球(ローザミスティカ)の正体を凛に尋ねる。
4:遠坂凛と協力して魔法による首輪解除の方法を模索する。
5:ベルカ式魔法についてクラールヴィントと相談してみる。
6:念のためリインフォースの動向には注意を向けておく。
7:カルラや桃色の髪の少女(ルイズ)の仲間に会えたら謝る。
[備考]
 ※襲撃者(グリフィス)については、髪の色や背丈などの外見的特徴しか捉えていません。素顔は未見。
 ※首輪の盗聴器は、ルイズとの空中戦での轟音により故障しているようです。

【遠坂凛@Fate/stay night】
[状態]:中程度の疲労、全身に中度の打撲、中程度の魔力消費、バリアジャケット装備(アーチャーフォーム)
[装備]:レイジングハート・エクセリオン(/修復中 ※破損の自動修復完了まで数時間必要/カートリッジ再装填済)
 夜天の書(消耗中、回復まで時間が必要/多重プロテクト)、予備カートリッジ×11発、アーチャーの聖骸布
[道具]:デイバッグ、支給品一式(食料残り1食。水4割消費、残り1本)、石化した劉鳳の右腕、エクソダス計画書
[思考]
基本:レイジングハート&リインフォースのマスターとして、脱出案を練る。
1:目の前の人物(グリフィス)に対処
2:セイバーの再襲撃に備えて体力と魔力の回復に努める。
3:フェイトと協力して魔法による首輪解除の方法を模索する。
4:ベルカ式魔法についてリインフォースと相談してみる。
5:カズマが戻ってきたら劉鳳の腕の話をする。
6:変な耳の少女(エルルゥ)を捜索。
[備考]:
 ※リリカルなのはの魔法知識、ドラえもんの科学知識を学びました。
 ※リインフォースを装備してもそれほど容姿は変わりません。はやて同様、髪と瞳の色が変わる程度です。
[推測]
 ※ギガゾンビは第二魔法絡みの方向には疎い。
 ※膨大な魔力を消費すれば、時空管理局へ向けて何らかの救難信号を送る事が可能。

435 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/14(月) 23:24:19 ID:Re1dsMhu
       

436 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/14(月) 23:24:31 ID:ii8ccLJ/
 

437 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/14(月) 23:25:03 ID:lWBO7v1p
 

438 :SUPER GENERATION(後編) ◆LXe12sNRSs :2007/05/14(月) 23:25:03 ID:wL4liUrJ
【ロック@BLACK LAGOON】
[状態]:眠気と疲労、鼻を骨折しました(手当て済み)
[装備]:マイクロ補聴器@ドラえもん
[道具]:デイバッグ、支給品一式、現金数千円、エクソダス計画書
[思考]
基本:力を合わせ皆でゲームから脱出する。
1:ドラえもんたちに謎の人物(グリフィス)襲撃を知らせる。
2:ドラえもんにディスクをキョンへと譲ってもらえるように頼む。
3:キョン達に会えたら遠坂凛に対する誤解を解く。
4:君島の知り合いと出会えたら彼のことを伝える。
[備考]
 ※しんのすけに両親が死んだことは伏せておきます。
 ※顔写真付き名簿に一通り目を通しています。
 ※参加者は四次元デイバッグに入れないということを確認しています。
 ※ハルヒ、キョン、トウカ、魅音、エルルゥらと詳しい情報交換を行いました。
 ※キョンの持つノートPC内の情報を得て、考察しました。
 ※レヴィの趣味に関して致命的な勘違いをしつつあります。

【グリフィス@ベルセルク】
[状態]:魔力暴走、全身に軽い火傷、打撲、自我崩壊
[装備]:エクスカリバー@Fate/stay night、耐刃防護服、ジュエルシードもどき、フェムトの甲冑@ベルセルク
[道具]:マイクロUZI(残弾数6/50)、やや短くなったターザンロープ@ドラえもん、支給品一式×6(食料一つ分、ディパック五つ分)
    オレンジジュース二缶、破損したスタンガン@ひぐらしのなく頃に
    ビール二缶、庭師の鋏@ローゼンメイデンシリーズ、ハルコンネンの弾(爆裂鉄鋼焼夷弾:残弾4発 劣化ウラン弾:残弾6発)@HELLSING
[思考・状況]
基本:殺す。
1:目に付く存在を殺す。
[備考]
 ※グリフィスは生存者の名前と容姿、特徴についてユービックから話を聞きました。
 ※A-8エリア全域、及びA-8周辺エリアはスパイセットで監視しています。
 ※スラン及びユービックがノートパソコンの入手を目的としている事は知りません。
[ジュエルシードの暴走について]
 ※グリフィスは現在自我を失っており、己の戦闘本能に従って行動しています。
  剣術などの身体に染み付いた技能は例外として、デイパックにしまった銃を使うなど、頭を使った戦法は取ることは出来ません。
 『約束された勝利の剣』は使用可能ですが、直前で既に一回使っているため、これ以上の乱用は自己崩壊の恐れがあります。
  なんらかの形でジュエルシードの機能を停止させれば、グリフィスの自我も元に戻ります。
  また、このジュエルシードは『もどき』のため、これ以上の変化(外見の変貌など)が起こることはありません。

439 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/14(月) 23:26:16 ID:5G/2HJzG


440 :SUPER GENERATION(後編) ◆LXe12sNRSs :2007/05/14(月) 23:26:21 ID:wL4liUrJ
【ギガゾンビの居城/2日目/午後】
【ギガゾンビ@ドラえもん のび太の日本誕生】
[思考・状況]
1:最後までこのバトルロワイアルを見届ける決心。
2:逃走の準備を進めつつ、午前零時にはこの世界を脱出する。
[備考]

【ホテルダマ(フェムト)】
[思考・状況]
1:ギガゾンビに絶対の忠誠。出来る限りギガゾンビの意志を尊重。
2:残りの裏切り者(スラン、ユービック)も断罪したい。


【A-8・温泉跡地/2日目/午後】
【住職ダマB(ユービック)】
[道具]:どこでもドア、コンラッドのノートパソコン(壊れかけ)
[思考・状況]
1:病院に向かい、グリフィスを救い出す。そのためなら他の参加者との協力も惜しまない。
[備考]
 ※ギガゾンビの言葉(ツチダマはいつでも爆破できる)がハッタリだと気づいていません。


【運転士ダマ(ボイド)@ドラえもん 機能停止】
【温泉の亜空間破壊装置 機能停止】


※ギガゾンビの居城は、会場の北方(A-5の真上あたり)に位置しています。肉眼で視認可能です。
※アルルゥは埋葬されました。
※グリフィスが移動に使ったどこでもドアは、既に回収済みです。
※亜空間破壊装置が全て破壊されました。30世紀のTPに真っ先に発見される可能性があります。
 フェムトの見立てでは、午前零時が外部に気づかれずこの世界に滞在していられる限界時間です。
※参加者の能力制限については不明。

441 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/14(月) 23:26:28 ID:Re1dsMhu
    

442 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/14(月) 23:26:54 ID:GmX5JCO2
 

443 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/14(月) 23:27:55 ID:Re1dsMhu
       

444 :永遠の孤独 -Sparks Liner High- ◆2kGkudiwr6 :2007/05/15(火) 09:19:15 ID:tK+CblJJ
―――――体は剣で出来ている。
I am the bone of my sword.

血潮は鉄で、心は硝子。
Steel is my body, and fire is my blood.

幾たびの戦場を越えて不敗。
I have created over a thousand blades.

ただの一度も敗走はなく、ただの一度も理解されない。
Unknown to Death. Nor known to Life.

彼の者は常に独り 剣の丘で勝利に酔う。
Have withstood pain to create many weapons.

故に、生涯に意味はなく。
Yet those hand will never hold anything.

その体は、きっと剣で出来ていた。
So as I pray, unlimited blade works.



445 :永遠の孤独 -Sparks Liner High- ◆2kGkudiwr6 :2007/05/15(火) 09:21:02 ID:tK+CblJJ

読み上げられた死亡者の名は、彼らにとって十分考察に値するもの。
しかし、この場において反応する者はいない。
目の前にいる剣士が発する剣気は空気を凍りつかせ、凍てついた空気は思考さえも侵食していく。
戦場という場を体感したことのない者に耐えられるものではない。
それを示すかのように――この場に響くことは、しんのすけの寝息だけ。
そして動いたのは、セイバーとトウカのみ。

「幼子に剣を向けるとは――それでも武士か」
「私は武士でもなければ騎士でもない。王だ。それも愚鈍な」

風が吹く。音が二人の声と協和する。
声の大きさはどちらもそれほど変わらない。だが、その質はまったく違う。
トウカは激情を乗せて、まるで溶岩のように。
セイバーはまるで氷のように、何も込めずに。

「王ならば、尚更無闇に民を戦に巻き込むことの愚かさは分かろう!」
「戦が――必ず民草を巻き込まない、騎士だけで行われる清廉なものとでも?」
「そのように戦うのが理想ではないのか」
「理想というものは、現実の前に敗れるものです」

その声は、どこか自嘲するような様子も含んでいて。
だからこそトウカは逆に、これ以上の問答は無用だと知った。

「キョン殿、ハルヒ殿。
 すぐにここから離れるように」
「で、ですけど、援護とか……」
「しんのすけ殿もいる。
 それに何より――彼女は某の敵だ」

目を尖らせ、耳を開きながらトウカは告げる。
しかし、それに答えたのは、セイバーだった。

「そうはいかないのです――風王結界」

セイバーが呟くと共に、大気の流れが変わる。
風の剣によって勢いを増した竜巻は、その場にいた者を簡単に飲み込んで。
トウカ達が気づいた時には、一つの壁を作り上げていた。
周囲一帯と外を遮断する、閉鎖空間を。

「いてっ!?」
「な、なにこれ!」

生み出された壁に押し出される形でキョンとハルヒが倒れこむ。
慌てて起き上がった二人が見れば、そこには異様な光景が広がっていた。
渦巻く風は不可視ではなく、可視。だからこそ、外の様子は見えない。
更に轟く音が聴覚をも阻み、風は内部の空気を澱ませ匂いを取り入れない。
しかし、何より問題なのは……

446 :永遠の孤独 -Sparks Liner High- ◆2kGkudiwr6 :2007/05/15(火) 09:22:10 ID:tK+CblJJ

「まずい、しんのすけ君が外に置き去りだ!」

キョンの声に、トウカは思わずセイバーを睨み付けていた。
もっともセイバーにしてみれば、明らかにパソコンを持っていないしんのすけは閉じ込める必要がなかっただけの話。
契約の主軸は数人を殺すこと、そしてパソコンを奪うことである。
故に、風王結界の内部に取り込まず放置した。ただそれだけ。
明らかに戦闘力の無い者を連絡が取れない状況下に置くことで、相手の焦りを生むという狙いもあったが。

「ちょっと、出しなさ……」

思わず文句を言おうとしたハルヒの口は、セイバーに見つめられ閉ざされる。
兜に覆い隠され、その素顔は見づらい。
それでもハルヒを黙り込ませるには、その殺気は十分すぎた。

「この風の牢獄から抜け出すことはできません」
「どうすれば開く」
「私が死ねば」
「……そうか。
 ならば――某のすることは一つ」

トウカの腕が動く。
風に包まれ、外の光景も音も遮断する閉鎖空間の中。
斬鉄剣をセイバーへと突きつけて、告げた。

「討つのみだ」

こちらもまた、圧倒的な剣気と殺気を込めた言葉。
しかしセイバーはそれを軽く流して、剣を握る。

「できるものなら」

ただの言葉だけで、時を止めて。



447 :永遠の孤独 -Sparks Liner High- ◆2kGkudiwr6 :2007/05/15(火) 09:23:17 ID:tK+CblJJ
明らかに異常な結界に、内部の三人が苦戦する中、外部でも動きがあった。
異常が露見するのは、結界の内部だけではない。
結界の外部。風が渦巻く様子は、誰がどう見ても異常な物として映るだろう。

「な、なんなんだゾ、これ……」

しんのすけも、そうだった。
数多数知れない不思議な事象を見てきた彼でも……いや、彼だからこそか、
目の前に広がる光景には圧倒されるばかり。
だが、それでも彼はすぐに気を取り直した。

「って、迷ってる場合じゃないような気がしないでもないような気がするゾ!」

言葉こそ冗談めかしているがマジである。
年の割に聡い彼は、いなくなったキョン達がこの中にいることに気づいたのだ。

「うおおおおおおおおおおお〜!」

叫ぶと共に全力疾走、そのまま迷わずに結界へと向けて体当たり。
が、あっさり吹き飛ばされる。
立ち上がってむむ〜、と考え込んだしんのすけは。
ふと自分に覆いかぶさる影に気づいて、振り返った。

「……???」

怪訝な顔をした彼の前にいたのは……スランという名を得た、機械人形だった。



「くっ!」
「てぇい!」

二つの剣が火花を散らす。風によって遮断された決闘場に、二人の剣士の声が響く。
一見したところ、二人の勝負は互角だった。
ただし、その互角は全く同じ武器や技量に基づいたものではない。
様々な要素、有利不利が複雑に絡み合ったものだ。
まず武器。風の剣も相当な魔剣であることに疑いは無いが、斬鉄剣は雷や流星さえ斬ることができるキチガイじみた刀だ。
まともに斬り合えば、風の剣といえどもただではすまないだろう。

――まともに斬り合えば、の話だが。

「ぐぅ……!」

トウカの顔が歪む。
今まで一度も、斬鉄剣が綺麗に相手の剣と火花を散らしたことはない。
常に腹と刃の中間、斜めに近いような角度でぶつかり合い、その真価を発揮できていない。
だがそれも当然。なぜなら、相手は風王結界で包まれた不可視の剣だからだ。

本来なら有り得ぬ風王結界の二重展開。
しかし、今セイバーが携えるのは文字通り風の剣。
だからこそ、セイバー自身の魔力で風王結界を周囲に展開し、
剣の魔力で剣の周りに風王結界を展開するという離れ業を可能とする――!

もっとも、だからセイバーが押しているのかと言えば、それは否だ。
セイバーの顔もまた、苦々しい。不可視の剣とは言え、トウカも全く目測が付いていないというわけではない。
不可視の剣というアドバンテージがあっても、相手の剣をまともに受けられないという事実は変わらないのだ。
斬られる前にセイバーがそれに気づいたのは一重にその直感スキルの恩恵だが、
できるのは不可視という長所を利用してうまく相手の剣を流すことだけ。
トウカは相手の剣が見えないが故にまともに受けることができず、
セイバーは相手の刀に悪寒を覚えるからこそ正面から防ぐことができない。

448 :永遠の孤独 -Sparks Liner High- ◆2kGkudiwr6 :2007/05/15(火) 09:24:22 ID:tK+CblJJ

不可視の剣と無敗の刀。今のところ、得物は互角。
魔力放出と剣技の才。こちらもまた、均衡している。
だが、セイバーに無くともトウカにあるものがある。
それは、早くしんのすけの姿を確認しなくてはいけないという、焦り。

攻めあぐねたトウカが、痺れを切らして打って出た。
鋭い踏み込みから、何のフェイントもない直線的な正面からの払い。
技巧を主とする彼女らしくない、強引な攻撃。
だから、それは。

「甘い」

簡単に、弾かれる。
トウカの姿勢が崩れ、一気呵成にセイバーは追撃する。
土煙を巻き上げる切り上げから正中線をなぞる返し。
セイバーの剣技は剛。対するトウカは柔。
姿勢が崩れるということは、その柔を成す技巧の下地が崩れるということを意味する。
かろうじて受けきって距離を離したトウカだったが、その腕は明らかに痺れていた。

「余力を残してどうするのです」
「……ッ!!!」

焦りを見透かしたかのように、セイバーが告げる。
当然、トウカがそれで落ち着くなどということはない。
むしろ焦りは肥大化し、冷静な判断力を奪っていく。
そして……焦りとは伝染するものだ。

「どうすんのよキョン! このままじゃまずいわよ!」
「お前に言われなくても分かってる!」

ハルヒの言葉に、キョンはそうはき捨てた。
かつて病院で戦った時とは完全に別次元の殺陣だ。一般人が邪魔できるレベルではない。
近接攻撃による援護は論外。
何か投げつけるか射撃するにしても、密着して戦っている以上トウカも巻き込みかねない。
クローンリキッドごくうも同じ。下手に使えばトウカの攻撃範囲を狭めるだけだ。
通じるとすればタヌ機ぐらいだろうが――それもとっくに説明書がなくなっており、
ハルヒもキョンもその使い方や効果を分かってはいなかった。
つまり、二人にできることは何も無いということだ――だからこそ、トウカは手出ししないように言ったのだが。
考え込むキョンだったが、その思考は途中で中断された。
突然、ハルヒが声を上げたのだ。いつものように。

「そうよ! これがあった!」

怪訝に思うキョンを尻目に――実際のところはセイバーやトウカも聞いていたが、あいにくこの二人に反応する余裕は無い――、
ハルヒはデイパックに手を突っ込んだ。
しばらくして取り出されたのはRPG-7!

449 :永遠の孤独 -Sparks Liner High- ◆2kGkudiwr6 :2007/05/15(火) 09:25:29 ID:tK+CblJJ

「おい、何やってんだ! トウカさんに当たるだろう!」
「そうじゃないわよ馬鹿キョン!
 このよくわかんない壁に撃つの!」
「へ?」
「何もできないなら、さっさとここを脱出してしんちゃんを探しに行くしかないでしょ?
 この壁をどっかーんとふっ飛ばしてね!」
「なるほどね……」

珍しくキョンが素直に感嘆したのもつかの間。

「えっと、これね!」
「あ、おい!?」

ろくに構えもせずにハルヒは弾丸をぶちかます。
幸い弾が外れることは無かった。
目標は動かない壁、範囲は前一帯。これで外す方がどうかしている。
問題は、ハルヒ自身が反動に耐え切れないことで。
地面に頭をぶつける寸前、キョンはスライディングしてなんとかフォローした。

「馬鹿、あんまり急ぐからだ!」
「う、うるさい!」

すぐに起き上がり、待っていられないとばかりにハルヒは煙の中に突入していく。
やれやれと肩を竦めながらも、キョンはちらりと金属音がする方向に目を向けた。

(戦況はまだ互角みたいだな……)

一般人であるキョンには、少なくともそう見えた。
ならば、ここで二人が脱出できれば完全にお荷物になっているキョンやハルヒと、
心配要素であるしんのすけというマイナス要素を一気に排除すれば、悪いようには働かないはずだ。

(信じますよ、トウカさん)

そう呟いて、彼は視線を戻した。
ハルヒと違い、キョンは煙の中に突っ込みたがるような性格ではない。
煙が晴れたところでそのまま外に出るつもりだった。

つもりだったの、だが。

煙が晴れた中から姿を現したのは。
壁に張り付いている、むくれたハルヒの姿。
キョンは呆然として……その後、珍しく声を荒げていた。

「おいおい、これでも開かないって言うのかよ!」
「開いたけど、すぐ戻っちゃったのよ!」

腹いせとばかりにハルヒが風の壁を蹴飛ばすものの、何の効果もありはしない。
もしこれを突破するとすれば……この結界を完全に吹き飛ばせる威力を持った遠距離攻撃をぶつけるか、
穴を開けることができる威力のある突進攻撃でぶつかるしかないだろう。
一般人でしかないハルヒとキョンに、そんなものがあるわけがなく。

――響いた爆音は、よりトウカを焦らせていく。

450 :永遠の孤独 -Sparks Liner High- ◆2kGkudiwr6 :2007/05/15(火) 09:27:12 ID:tK+CblJJ

「たあああああああっ!」

気合いと共に、剣舞の口火をトウカが再び切った。焦りが、切らせた。
一瞬のうちに目にも止まらぬ速さで居合いを繰り出す。それも、何度も。
両断どころか、三枚おろしや四枚おろしにしてお釣りが来る斬撃。

だが、所詮は正面からの、軌道も速さも分かりきったモノだ。

初撃から三まで、身のこなしだけを以って紙一重でセイバーは回避。
四撃目を剣で受け流した後、そのままトウカの体に蹴りを叩き込む。
とっさにトウカは後ろに跳んだものの、避けきれず。
腹部に伝わった衝撃に、一瞬息を詰まらせた。

「…………ッ!」

歯を噛み締めてセイバーを見やるトウカの目に、冷静になった様子は欠片も無い。
元々彼女は落ち着いた性格ではない。寧ろ感情的な部類だろう。
故に、ハクオロのようなブレーキ役がいるならともかく、彼女自身だけで立てた考えは必ず正しいとは言えない。
例えば、オリリカンに付いた時のように。
この場合において正しい行動とは、ひたすら受けに回って不可視の剣の長さなどを掴むことだ。
そもそもこんな焦りに満ちた剣では、互角であるはずのカルラにだって勝てはしない。

そして、そんな彼女を見て。キョンは一つ、覚悟を決めた。



先に言っておくが、俺は正真正銘の一般人だ。
ここに閉じ込められた中では一番のお荷物だという自信がある。
はっきり言って俺があの二人の斬り合いについて偉そうに言う資格なんざ無いが、
それでもトウカさんが押されてるくらいは分かるし、
彼女が思いっきり焦ってるのも分かる。俺だってだいぶ焦ってるからな。
そしてそんな俺でも、無理やり攻め込んだぐらいで勝てる相手じゃない、
勝ったとしてもトウカさんは無事にすまないということくらい分かってるつもりだ。
トウカさんが焦ってる理由もな。

「この、開きなさいっての!」

脇では相変わらずハルヒが壁をガスガス蹴っている。
そんなんで開いたら誰も苦労はしない。あんなバズーカだかロケランだかをぶちかまして壊れないんだからな。
一般人にこんなものを開くのは無理だ。ハルヒ自身も薄々分かってるだろう。
ただ、他にすることが無いからそうしてるだけ。

だけど。ハルヒは一般人じゃない。

「おい。ハルヒ、話がある!」
「何よ! つまんないことだったらぶっ飛ばすわよ!」

強引に肩を掴んだ俺に、あいつは目を釣り上げて言葉を返した。
明らかに焦って、いらついてる。それこそ、閉鎖空間を作って神人とやらを呼び出しかねない位に、だ。
だから……下地は揃っている。
なんだか知らないがこんなどこともしれないとこに拉致られて。
とんでもない不思議体験をしまくって。
……たくさんの人に、死なれて。
風で包まれたここはまるであの閉鎖空間だ。
こいつの世界観なんてとっくの昔に変わりまくってるに違いない。
なんでこの世界がぶっ壊れないのかは知らない。大方、ギガゾンビが何かやったからだろう。いまいましい。
じゃなかったら呑気にこいつを殺し合いになんか参加させられやしない。
なら、ギガゾンビに教えてやるさ。ここに呼ばれた中で、一番とんでもない力があるのはハルヒだってことをな。

451 :永遠の孤独 -Sparks Liner High- ◆2kGkudiwr6 :2007/05/15(火) 09:28:10 ID:tK+CblJJ

「いいか、よく聞けよハルヒ。
 世界はな、いつだってお前をど真ん中において回ってたんだよ!
 俺達の世界にだって未来人だっているし、宇宙人だっているし、超能力者だっている!」
「は、はぁ、またその話? こんな時に何言ってんのよ!?」

ハルヒの目はまるでキチガイでも見るかのようだ。正直痛い視線だが、あいにく、そんなの気にする余裕は俺にはない。

「お前は神様みたいなもんで、何でも自由にできる力があるんだとよ。
 超能力者代表の古泉からのご意見だ」
「……は?」

正確に言えば古泉はハルヒを神だと思っていないそうだが、細かいことは知ったことか。
そんな些細なことを伝える余裕なんざ皆無だ。似たようなもんだろ。

「ジョン・スミスって名前に心当たりがあるだろ。あるはずだ」
「え……ちょっと待って、それって……」
「過去の北高の校庭、七夕の日!
 お前と一緒によくわかんない紋様を書いた男子高校生!
 あれは俺なんだよ、未来人代表の朝比奈さんの力を借りてタイムスリップして、
 宇宙人代表の長門の力を借りてきて帰ってきたんだよ、現代に!」

珍しくハルヒは黙り込んだ。俺を見上げて、目を瞬かせるばかり。
小泉に言わせれば深いところでハルヒは常識人らしい。ならこの反応は当然か。
こんなこと言われて理解できる一般人はいやしない。

自分のやったことの危険性は俺だって理解してる。
なんせ俺自身、ハルヒと一緒に閉鎖空間入りした身。
そりゃあ下手すりゃこの世が崩壊しかねない大惨事だ。だが。

同じとんでもないことをする奴なら。
ギガゾンビなんかよりハルヒの方が、よっぽど人格的に優秀だ。
少なくとも俺はそう信じてる。

「じゃ、じゃあともかく、百歩譲って、本当に古泉くんが超能力者で、みくるちゃんが未来人で、有希が宇宙人だとして、よ。
 私が神様みたいだって言うのは、どういうことよ」

それでも、ハルヒは反論してきた。
だが、その口ぶりに自信はない。思い当たる節がある目だ。
後は後ろから押してやればいいだけだ。

「いつか見た夢があるだろ。お前が一度だけ、髪型をポニーテールに戻すきっかけになった夢」

俺とハルヒがキスした夢、とは流石に言えない。

「ありゃ現実だ。
 なんだか知らないが、あれは新たな世界を作るための儀式みたいなもんで、お前がやったことなんだそうだ」
「…………」
「お前が遊びたいって言ったから未来人も宇宙人も超能力者もいる。
 映画を撮る時に長門が変な動きをしたりフェンスが裂けたりしたろ?
 ありゃお前が朝比奈さんに変なもの出してとか言った結果、マジで出しちまって大変なことになったからだ」

後ろではトウカさんがまだ斬り合っている。音を響かせている。
けれど、ハルヒは黙ったまま、何もしない。ここも何も変わらない。

452 :永遠の孤独 -Sparks Liner High- ◆2kGkudiwr6 :2007/05/15(火) 09:29:17 ID:tK+CblJJ

「他にもある。
 季節はずれの桜だって秋に咲き誇ったし、俺の妹でさえホームランを……いやこれは長門だった。
 鳩は真っ白く変わるしシャミセンは喋り出すし……お前見てないんだっけ?」

俺はもうかなり焦っていた。後半はかなりの早口だ。
今更ながら自分や古泉、長門の隠蔽工作技術に驚かざるを得ない。
ハルヒに話せることが意外と少ない。ちくしょう、もう少し怪しい行動取ってりゃよかった!
完全にネタ切れで黙り込んだ俺を、ただハルヒは見つめ続けるだけ。響くのは金属音だけ。
俺の身体能力が大幅に上がった様子も無いし、トウカさんが勝った様子もしない。
何も変わってない状態で、ハルヒは呟いた。

「ありえない」

これ以上無く、暗い声で。
とっさに何か言おうとした俺の喉が急に止まる。
ハルヒが俺の襟首を掴んで、叫んでいた。

「嘘よ!
 私にそんな力があるならみくるちゃんだって有希だって鶴屋さんだって生き返らせてる! けどみんな……は」
「お、おい落ち着け! そして手を離せ!」
「私にどうしろって言うのよ!
 どうやってそのよくわかんない力を使えって言うのよ!」
「そ、それは、えっとだな……」

ハルヒは今にも泣きそうな顔で襟首を掴んだままゆすりやがる。
だがそんなの、はっきり言って俺にも分からん。下手すれば古泉だって長門だって分からんぞ。
しかし反論する暇も無く、ハルヒは俺をぶん投げた。

「死んだ人は……どうやったって帰ってこない……。
 確かに私だって、みんなの役に立ちたいけど、私に何ができるって言うのよ!」

頭を振りながら起き上がると同時に、ハルヒは俯いてそんな事を言ってきた。
……自分の馬鹿さ加減が嫌になる。よくよく考えれば、ハルヒの力はどう見ても制限されている。
いくら何を言っても、条件を変えても、やっぱりハルヒは何もできない可能性もあったのだ。
ただ、ハルヒを無力さに泣かせるだけの可能性も。

「……ん?」

そこまで考えて……ふと、気付いた。
回りの空気がどこか変わったことに。……まるで本物の閉鎖空間みたいに。
そして、ハルヒはイライラしてる。これ以上無く。
弱い自分が嫌になって、みんなの役に立ちたいと、今までに無いほど強く願っている。

「まさか……うおっ!?」
「……え?」
「なっ……!」
「馬鹿な!?」

その衝撃は、突然だった。俺たちどころか斬り合っていたトウカさん達も動きを止めていた。
揺らぐような轟音と共に、ここを覆っていた風の檻が歪み、消えていく。
まるででかい物がぶち当たったように……いや、実際ぶち当たったのだ。
そして、晴れた視界の中、外にいたのは。

453 :永遠の孤独 -Sparks Liner High- ◆2kGkudiwr6 :2007/05/15(火) 09:30:13 ID:tK+CblJJ

「あれ……」
「神人……」

青い、現実離れした巨人の姿。
しばらくそいつは俺達を見つめた後(目があるわけじゃないがそう見えた)、溶けるようにいなくなった。
トウカさんも、セイバーとかいう女騎士さえ呆然としている中。
ふとハルヒを見た俺は、とっさにその手を掴んで走り出した。

「トウカさん、後は頼みます! 勝って下さいよ!」
「……あ、ああ! 承知した!」

トウカさんの顔も見ず、自分のできる全力疾走でハルヒを連れてこの場を離れていく。
忌々しいことに外にしんのすけ少年はいなかった。絶対に探して見つけ出さないと。
だが、何より今は他にしなくてはならないことがある。
原因はトウカさんは気付かないだろう、それでも俺は気付くくらいの違和感。
俺達はなんとかトウカさん達が見えない森の中まで走り去って。
同時に、ハルヒはぶっ倒れた。

「お、おい、どうした!?」
「わかんない……なんか、頭、いたくて……」

とっさにハルヒの頭に手を当てる。
……熱い。明らかに、なんかやばい事態だ。
オーバーフローという言葉が頭を過ぎる。
多分、この場においてはこれがハルヒのできることの限界なんだ。
思わず、俺は答えが分かりきっている質問を出していた。

「なんで我慢したんだよ!? 俺はお前がぶっ倒れても文句は言わなかったぞ!」
「トウカさん、焦らせるわけ、いかないでしょ……」

そう。そういうことなのだ。
俺が感じた違和感。それは、ハルヒの痩せ我慢。
今にも倒れそうなのに、トウカさんを心配させまいと我慢して突っ立ってたってワケだ。
溜め息を吐きながら、俺は近くの木にハルヒを寄りかからせて立ち上がった。

「俺はしんのすけ少年を探してくる。お前はそこで……」
「北」
「……は?」
「北よ……そこで、しんちゃんを探してあげて。
 そこから、映画館まで行って道沿いに行けば安全に病院に着けると思う」
「分かるのか?」
「わかんない。なんとなく。でも、映画館の辺りには誰もいない気がする」

よくわからんが、今のハルヒが言う事なら恐らく信憑性は高いだろう。
そのまま、ハルヒは俺に厳しい口調で命令した。

「見つけないよ。絶対」
「神様としての命令か?」

俺の言葉に、ハルヒは笑みを浮かべて言葉を返した。
弱弱しいけれど、しっかりとした笑顔で。

「決まってる、じゃない……SOS団団長としての、命令よ」

その言葉ににやりとして、俺は走り出す。
安心しろ、古泉。
どうやら我らが団長殿は、世界をぶっ壊すつもりはなさそうだ。



454 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/15(火) 09:32:24 ID:fZMUvTJT
 

455 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/15(火) 09:33:25 ID:fZMUvTJT
 

456 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/15(火) 09:34:22 ID:fZMUvTJT
 

457 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/15(火) 09:35:31 ID:fZMUvTJT
 

458 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/15(火) 09:41:13 ID:fZMUvTJT
419 :永遠の孤独 -Sparks Liner High- ◆2kGkudiwr6:2007/05/15(火) 09:34:13 ID:JmA/ZgPk

結論から言えば、しんのすけは無事だった。
外傷ひとつ負うことなく、山を走っていた。
……ハルヒ達がいたところから、数百m以上離れた場所を。

『警告します。禁止区域に抵触しています。あと30秒以内に爆破します』
「う、うお、やばいんだゾ!」

首輪から発せられた音に、しんのすけは慌てて飛びのいた。
まるで周りの地理が全く分かっていないような動きだったが、それも当然。
今の彼は何も持っていなかった。地図も、コンパスも、何も。
そんな彼を、更に利用せんと画策する者がいる。
見つめてはいないし、聞いてもいない。それでも彼が彷徨っているのは分かる。
彼をこのような状況に追い込んだ張本人、スランである。

「やはり、パソコンは無かったか」

C-4エリアで手に持ったデイパックを揺らしながら、草葉の陰でスランは毒づいていた。
彼がやったことは、種を明かせば単純な話。
ツチダマはどこでもドアでしんのすけをB-5に移動させた。それだけ。
一応デイパックも強奪したものの、予想通りそこに彼が求めていたものは無かった。
このような遠回りな手段を採った理由は単純だ。
いかにもツチダマと言え、さすがに参加者の生死まで誤魔化すのは不可能だ。
だが……移動や居場所程度ならば、まだ可能である。
このような手段を採ったというよりは、採らざるをえなかったという方が正しい。

「キョンとやらを隔離してくれればよかったが、さすがに贅沢か」

目の前を走っていく二人の学生を見やりながら、スランは呟いた。
実際、これでも十分すぎるほど効果を上げている。
あの調子ならば、病院から来る増援とハルヒ達が合流するのは遅れるだろう。
セイバーが負けそうになっても、彼女を離脱させしんのすけを人質に取るよう仕向けることもできる。

……うまくやれば、何らかの事故やセイバーを通じてハルヒやキョンの命を奪い取ることも。

「まだだ。まだ早すぎる」

自戒するような言葉。
しかし、口ではそう言っても自らの手でグリフィスの道を拓ける選択肢があるということに、
スランは恍惚を隠し切れないでいた。




459 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/15(火) 09:42:18 ID:fZMUvTJT
420 :永遠の孤独 -Sparks Liner High- ◆2kGkudiwr6:2007/05/15(火) 09:34:41 ID:JmA/ZgPk

「ぐっ――」

呻きながらトウカが後退する。
その左太腿には、赤い筋。
それほど深い傷ではない。だが――動きは確実に鈍る。
今のトウカに焦りはない。ハルヒ達が外に出たことで、しんのすけも探してくれるだろうと言う考えを持てている。
故に正しい戦術……不可視の剣の長さを計るという手にもやっと気付いた。
もちろん、それまでに受けた傷は大きい。特に足の傷は、互角に持ち込むには大きすぎるハンデである。
それでも、精神的にだいぶ楽になって焦りが消え、不可視の剣に見当がつき始めている。
それは疑いも無く、トウカを有利にする材料だ。

トウカが前に出る。再び居合い。剣が交差する。
トウカの腕がぴくりと動く。その向きから胴への斬り返しと判断したセイバーはそこへと剣を動かす。
だが、トウカはワンテンポずらして顔へと剣を持っていった。
腕の動きはフェイントだ。焦っていたときには思いつかなかった手段。
0コンマレベルのフェイント。セイバーはそれに反応して回避したものの、その髪の毛がうっすらと舞う。
もっとも、回避できたのには変わりない。そのままセイバーは剣を振り上げた。
とっさに斬鉄剣を戻したものの流しきれず、トウカの頬に一筋の赤い線が引かれる。
セイバーが更に剣を振り下ろすのと、トウカが剣を再び振り抜くのはほぼ同時だった。
風が大気を断ち、刀が地を割る。
そのまま、互いに弾かれるように後退した。

「……粘りますね」
「粘るのが目的ではない。某は勝つ。
 外道は絶対に許しはしない」
「…………」

共に血を地面に零しながら、言葉を交わす。
かすり傷ならば、どちらにも多数付いている。だが行動を阻害されるような傷はトウカの方が多い。
それでも、その心は落ち着き、引けを取ってはいない。
そんなトウカを見て、セイバーは剣ではなく、口を動かした。

「貴女は侍のようですが……
 貴女の主は、どのような方でしたか?」

思わぬ言葉に一瞬トウカは怪訝な顔になったものの、すぐに言葉を返した。

「前の主も聖上も、義に厚い方であった。
 前の主は誤ったが、あくまで騙されていただけだ」
「前の主……とは?」
「自らの目で仕えるべき主を探し、見定める。
 義があると信ずればその者を助け、騙されていたとなれば自らの手で責を負う。
 それが某達の生き方だ」
「傭兵のようなものですか。
 あなたの故郷は滅んだのですか?」
「我が一族の誇りは義であり、それは全土に知れ渡っている。
 我が里に攻め込む者などいない」

エヴェンクルガはその清廉潔白な生き様から、他の全ての民に畏怖され、崇められている。
味方に付けば士気が高まり、敵に回れば困惑が上がる。エヴェンクルガは、存在そのものが大儀の証と言えるからだ。
故に――わざわざエヴェンクルガに喧嘩を売るうつけはいない。

460 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/15(火) 09:43:29 ID:fZMUvTJT
421 :永遠の孤独 -Sparks Liner High- ◆2kGkudiwr6:2007/05/15(火) 09:35:03 ID:JmA/ZgPk

「なるほど。だから」

セイバーは、思いに沈むように目を閉じた。ほんの一瞬だけ。
そして、再び目を開いた彼女の瞳は、

「――だから貴女には、分からないッ!」

強い意志に、満ちていた。
魔力放出と共に、セイバーが前進する。言葉と共に、意志と共に。
速いとはいえ真正面、受けたトウカの斬鉄剣により風の剣は刃が欠けたものの……
意に介さずセイバーはつばぜり合い、押し込んでいく。
互いの顔を挟んで火花が散りあい、剣の刃は欠け、刀が歪んでいく。

「村を一つと部隊を一つ蛮族の手に落とさせることで、数百の部下の命が救え、十の村が救えるとすれば、貴女はどうする!」
「それは……」
「確かに見捨てることが正解かもしれない!
 しかし! 見捨てられた民は王を恨み、騎士は捨てられた仲間に同情する!」

剣を押し込みながらセイバーは叫ぶ。
同時のブリテンは、戦ばかりだった。
ゲルマン民族サクソン人はブリテンへの侵入を試み、何度も何度も戦闘が繰り返されていた。
そして、内通者モルガンの存在。
伝説にあるように、アーサー王の治世とは戦争ばかりの動乱期であったのだ。

「5年、10年、20年!
そんなことを繰り返すたびに、人々の心は離れていく!!!
 けれど、私はそれ以外の方法を知らなくて――分からなくて!
そうして国は滅んだ!」

全てを救うことなどできない――戦の摂理である。
そも、戦うということ自体が、敵という一を切り捨てるものなのだから。
だから、アーサーは最善はそうだと思ったのに。

「分からないでしょうとも――私にも分からないのだから!
 故に、方法はただ一つ!」

セイバーが踏み込む。気合いと共に。
言葉をぶつけながら。

「正しき方法を思いつくであろう賢者に王位を譲り渡すこと、それのみだ!」
「ぐっ……!」

なんとか押し返そうとしたトウカの足元が、突然ふらついた。
その正体は風王結界。風の檻として使われていたものが霧散して集束、嵐のようにトウカの足を掬ったのだ。
一瞬バランスを崩したトウカを容赦なくセイバーは弾き飛ばし、地に叩きつけ。
そのまま喉元に剣を突きつけた。

461 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/15(火) 09:44:41 ID:fZMUvTJT
422 :永遠の孤独 -Sparks Liner High- ◆2kGkudiwr6:2007/05/15(火) 09:35:25 ID:JmA/ZgPk

「そう、願いを叶えて私が消えれば、私の存在は無くなる。
 私が王だったと言う事実も。私が多数の罪無き人々を殺したと言う事実さえも。
 だから、私は止まらない。殺した人のためにも止まれない」

息を荒くしながら、セイバーは続けた。
無表情なのに、どこか疲れを感じさせる表情で。

「そんな都合のいい話が――」
「あるのです。私が勝ち残れば私が王だったという事実自体が消える。
 そうしてタイムパラドックスが起きれば、私がこの殺し合いに呼ばれることもなくなるかもしれない。
 そうすれば、この殺し合いの結末さえも変わるでしょう。だから」
「安心して死ね、と。そういうのか」 
「ええ」

そのまま、セイバーが剣を振り下ろそうとした瞬間。

「――ふざけるなッ!!!」

トウカは、叫んだ。



しんのすけ少年はあっさりと見つかった。
ハルヒの言った通り、北にいたのだ。

「大丈夫か。どうしてここに?」
「なんかハニワが現れて、ドアに押し込しこまれてたらここにいた〜」
「…………」

マジで訳わからん。

「ともかく、このデイパックを持って病院まで行ってくれ。中にコンパスと地図がある。
 ロックさんとその知り合いがいるはずだ。
 そうそう、山の中を通らないように。
 映画館まで下りて、C-3から行ってくれ。あっちに行けば見つかるはずだ」

俺のデイパックを渡しながら、そうしんのすけ少年に告げる。
とんでもない斬り合いをやってる目の前を通るよりは安全だろう。

「おにーさんは?」
「いったん戻ってハルヒと合流する。
 それに、トウカさんに無事だったことを伝えた方がいいかもしれんし」
「オラもいく!」
「ダメだ、万が一ってこともある」
「きれーなおね〜さんを助けるのは、男の義務なんだゾ!」
「…………」

462 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/15(火) 09:46:02 ID:fZMUvTJT
423 :永遠の孤独 -Sparks Liner High- ◆2kGkudiwr6:2007/05/15(火) 09:35:44 ID:JmA/ZgPk

思わず、俺は肩を竦めていた。随分とませたお子さまだ。
ともかく、連れて行くわけにはいかない。
しかし、この強い瞳。まるで意地になった時のハルヒだ。
半端な言い訳じゃ納得してはくれないだろう。
どうやって追い払うか……考えて。
そういやこいつ、ずいぶんませてるよなと思って。
とんでもない追い払い方が思いついた。

「…………」
「おにいさん、どうしたの〜?」

個人的に、こんなことを言うのは勘弁だ。ああ、そうだとも。
もしハルヒにこんなことを言ったことが知れたら、俺は死ぬね。
だが。

「早くしないとおいてっちゃうゾ!」

目の前では少年が今にも走りだろうとしている。
覚悟を決め、半ばヤケっぱちで俺は口を開いた。

「悪いが、その役は譲れん。俺の言った通り一人で行くんだ、少年」
「なんで〜?」
「キスした相手の助けにいくのは、男として当然だろ?」

まったく……やれやれ。
俺の頭もだいぶ沸いてきたようだ。納得してくれたのは、せめての救いだろうな。

「……わかったんだゾ。
 でもオラ、すぐに助けを呼んでくる!」
「ああ、頼む」

少年の言葉に、俺はしっかりとうなずいた。



463 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/15(火) 09:47:21 ID:fZMUvTJT
424 :I have no regrets. This is the only path ◆2kGkudiwr6:2007/05/15(火) 09:37:08 ID:JmA/ZgPk

恐らく、見てからでは反応できなかっただろう。、空気ごと切り裂く斬撃。
セイバーは剣を動かすより横に跳ぶ事を選び……それは正解だった。

「――なッ!?」

セイバーの顔が、驚愕に染まる。
風王結界ごと、風の剣が両断されている。
更に、それだけではなく……地面が数百mに渡って、斬られていた。
やったのは言うまでも無く。

「……そんな結果を、某は望まない!」

地面に倒れていた、トウカでしかありえない。
斬鉄剣もまた、あまりの斬撃にヒビが入っているが……それでも、まだ刀の形を成していた。

「その過程は無くなるのです。
 なぜそれが――」
「例えすぐ後に消え去る咎だとしてもッ!
 某は――!」

そうして。
起き上がりながら、トウカは叫んだ。

「そのような咎がこの手に付くことを、一瞬たりとも認めはしないッ!」

そのまま、彼女は続ける。
彼女の、誇りを。今までの、戦いを、無くさないために。

「某にだって、分からない!
 けれど、某には聖上がいた!
 聖上は貴殿のように迷わなかった!
 例え犠牲を出していても、聖上は戦い抜いた!
 だからこそ!」

亀裂だらけの刀。死んでしまった、たくさんのひと。
もう、大切なものをたくさん失って、なくしてしまったけれど。
それでも、残っているものがある。新しく、得たものがある。

「某はただ、聖上のやってきたことを信じるのみ!
某もまたその道に準じ、我が誇りを刀と為すッ!」

それは、誇り。
きっと、無くすことなんてできない。折ることなんて、できない。
それは、仲間。
たった数日の付き合いでも、大切な、信頼に足るモノ。守らなくてはいけない人たち。

「そうか、つまり貴女は――」

464 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/15(火) 10:02:25 ID:lf5twXcg
426 :I have no regrets. This is the only path ◆2kGkudiwr6:2007/05/15(火) 09:38:10 ID:JmA/ZgPk
そうして、そこまで聞いて。
セイバーが紡いだ言葉は、感慨深そうで、どこか悲しそうで。

「いい王に、仕えられたのですね」
「無論。某の誇りだ」

返された言葉に、セイバーは俯いて。

「――貴女のような部下が、私には作れなかったのだ」

そう、呟いていた。

「…………!」
「だから、私は戦う」

セイバーの表情が、再び消える。
そうして、断たれた剣を、何の感慨も無く見つめ。
セイバーは断たれた刃を拾い上げ、握り締めた右手の指と指との間に挟み……鎧を、解いた。

「…………?」

怪訝な顔をするトウカを余所に、更にセイバーはコンバットナイフとアヴァロンを取り出し、ナイフを更に右手に挟み込み――

「……はあっ!」

体ごと勢いを付けて、投擲した。
翻る刃。それが目指すのは心臓と脊髄、股関節の三つ。
魔力放出も加えられたその勢いは銃弾を軽く上回る。
それは、当たれば確実に致命傷になりかねない凶器。
トウカ自身も、セイバーが腕を振り上げた時点でその狙い――投擲に気付いてはいた。
だが――

(避けられない――!)

脚に付けられた傷が、トウカの動きを束縛する。
横へ跳んで回避するのは不可能。痛覚が反応を一瞬遅らせ、その間に刃が肺や肝臓を抉ってしまう。
屈んで避けるのは論外。心臓や腰関節を狙う刃が脳漿をぶちまけるだけだ。
ならば、やることは一つだけ。
トウカのもっとも得意とする――目に留まらぬ神速の居合いで以って、飛来する弾丸を斬り払う、それのみ!
故に、トウカは投擲される瞬間には既に構えていて。
ふと、気付いた。

「え――?」

思わず、呆けてしまう。

465 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/15(火) 10:03:32 ID:lf5twXcg
427 :I have no regrets. This is the only path ◆2kGkudiwr6:2007/05/15(火) 09:38:31 ID:JmA/ZgPk

投擲に勢いを付けすぎたのか。投げた勢いのままセイバーは回転し、トウカに背を向けている。
戦場において相手に背を向ける。これほど愚かな事は無い。
だが、その後の行動を見て、トウカは気付いた。

勢い余ったのではない――勢いを殺さないために体を捻ったのだということに。

そのままセイバーは、魔力放出と風王結界を利用して――投擲した刃とほぼ同時に、それを上回る勢いを乗せて地を蹴った。
左手に鞘を携えたまま、トウカへと向けて後ろ宙返りの要領で宙を舞っている。
その狙いは言うまでも無く頭。投擲した刃と合わせれば、攻撃箇所は四つ。
大雑把に分けると、首から下に集中している投擲と頭部を狙う直接攻撃の二つだ。
片方の攻撃を受ければその隙に残り片方が牙を向く。
セイバーにとってこれはとっさに閃いたに過ぎないものの、
トウカが受けにしか入れないことを見越した上で行うえげつない同時攻撃で――

その動きは、皮肉にも。
遠き極東の国で、とある暗殺者の一族が編み出したものと……同じものだった。

騎士王が影の一族の業で空を舞う。
やっていることは単純明快な子供だまし――しかし、足を負傷しているトウカにとってこの子供だましは必殺である。
それが分かっても、トウカはなんの躊躇いも見せず、動きを変えようともしない。
どのみち避けられない。それなら、受けるしかない。
もっとも、だからといってむざむざ死んでやる義理はトウカには無かった。
相手が単純明快な論理に基づいた攻撃をするなら、彼女も単純明快な理で返すだけ。
そもそも――あの論理はあくまで一度に片方しか受けられない、という前提に基づいたモノ。
ならば、その理を覆せばいい。

「舐め――るなァ!!!」

そう――一つ受けるだけでは駄目なのならば、同時に複数受ければいい。
音速を軽く超える刃へと、三筋の閃光が奔る。
同時に、相手を抉らんと奔っていたはずの刃は……今までの勢いがまるで嘘のように地に落ちる。
答えは単純。トウカは飛来した三つの刃、全てを0.01秒さえ掛けずに切り払ったのだ。
それはかの燕返しにも匹敵する、正真正銘の神技――!

「取った――!」

そのまま休むことなく、トウカは再び刀を払う。今度はセイバーへと向けて。
流石に限界を超え始めた筋肉が悲鳴を上げ、その速度は先の三撃より落ちているが……それでも、十分間に合う速さ。
それを確認してなお、セイバーは止まらない。
足を天に、頭を地に。宙で勢いを保持したまま、最小限の部分にだけ風王結界を纏わせた鞘を突き出してトウカへと向けて宙を舞う。
それを無視して、トウカは刀を振るった。相手の鞘ごと両断するために。
あの鞘が宝具であろうと、どれほどの硬さを誇っていようと関係は無い。両断するだけ。
事実トウカにそれだけの技量はあるし、それだけの切れ味が斬鉄剣にはあるだろう。

466 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/15(火) 10:04:24 ID:lf5twXcg
428 :I have no regrets. This is the only path ◆2kGkudiwr6:2007/05/15(火) 09:38:56 ID:JmA/ZgPk

そのまま予測どおり、同じ軌道でセイバーが飛んでいたのならば。

「――まだだぁぁぁぁ!!!」
「ッ!?」

しかし、セイバーの鞘はトウカではなく――地へと突き刺さっていた。
驚く暇も無い。トウカが気付いた時には、魔力放出と突き刺した鞘を使い、棒高飛びの要領でセイバーは軌道を変えている。
トウカの頭部に直撃する軌道からその数十センチほど真上へ向かう軌道へと――刀が当たらない場へと!

(しまった――!)

気付いたトウカが腕を戻そうとするも、もう遅い。既に勢いは付いている。
彼女の技巧ならば、一回空振ったところですぐに体勢を立て直せる。
だが、その一回の空振りが致命傷。
その隙にセイバーはトウカの真上へと飛び、強烈な一撃を見舞うだろう。
今のセイバーは無手――しかし、力ではトウカはセイバーに及ばない。
顔面を殴り飛ばされでもすれば、間違いなく致命的な隙を与えてしまう。
だからこそ。

(振り切ってからもう一度振り直すのでは間に合わない!
 勢いを殺さぬまま……刀の向きを変える!)

トウカは、人体の稼動限界に挑む。
その場に足を踏ん張らせながら腕を強引に上を向かせ、手首を捻らせ向きを変える。
だが、元々トウカの狙っている攻撃は真正面。それを上に変えるには、明らかに無理がある態勢だ。
右腕に至っては肘が上を向いている。そんな状態で上へ関節を曲げられるように人の体はできていない。
しかし、右手を離すというのは無理だ。左腕だけで刀を振っては間に合わない。
今の状況はコンマ1秒が生死を分ける。考え込む時間さえない。直感で、迅速に動くしかないのだ。
トウカに思いついた手段は、たった一つだけだった。

曲がらないというなら、折ってしまえばいい。

「う――くあああああ!」

肉は歪み、骨は軋む。だが、力はしっかりと生み出されていく。
強引に軌道を変えられた刀は弱弱しく、それでもしっかりとセイバーを捉えた。
同時に、鈍い音がして……トウカの右肘が砕けた。
それでもトウカは意に介さない。相手は無手、無防備。例え片手だけの勢いでも斬鉄剣なら両断できる。
セイバーの居場所は宙。回避運動など取り様がない。
トウカは勝利を確信し――





「さようなら」




響いたのは、セイバーの声。
同時に、トウカの体を、無情にも。
爆発した黄金の鞘が、焼き尽くした。



467 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/15(火) 10:05:34 ID:lf5twXcg
429 :I have no regrets. This is the only path ◆2kGkudiwr6:2007/05/15(火) 09:39:18 ID:JmA/ZgPk

「…………」

倒れた木々を、私はどこかぼやけた視界で見つめてた。
なんで倒れたのかは、よくわかんない。
分かるのは突然大きな音がしたかと思えば、地面が文字通りに割れてそれにまきこまれた。それだけ。

「……ほんと、なんなのよ、あんた達」

脇を見やる。
数センチほどの小さな小人が、私を見つめてる。
キョンの言ったのが正しいなら、これは私が創ったモノってこと。
……私は、普通の人間じゃなかった。
そう分かっても……ちっとも、嬉しくなんか、ない。

「もっと、早く気付いてればよかった」

思わず、そんなことを呟いてた。

私の願いは、とっくに叶ってたんだ。
そうだってことをもっと早く知ってれば、いろんなことを聞いてた。
有希には宇宙について話しあって。
みくるちゃんには、もっと、未来についてのこととか、聞きたかったのに……!

どこか鈍くなった頭に浮かんだのは、そんな後悔しかない。

「…………あ」

また、大きな音がした。
キョンが危ない目にあってるんだろうか。トウカさんが死に掛けてたりするんだろうか。

「……誰も、死なないで」

もう。そんなのは、嫌……!



468 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/15(火) 10:06:31 ID:lf5twXcg
430 :I have no regrets. This is the only path ◆2kGkudiwr6:2007/05/15(火) 09:39:34 ID:JmA/ZgPk

刃が投擲されてから鞘が破裂するまで、1秒も経っていない。
並みの人間にはいったい何があったのか、理解することさえできないだろう。
それでも、誰でもわかることがある。

「――私の、勝ちだ」

それは、歴然とした勝敗。
勝者は自らの足で以って立ち、敗者は地に伏す。
分かりやすい勝敗の判別方法だ。

そう――セイバーは刀を避けるために上空へと軌道を変えたのではない。
地に突き立てた鞘の爆発から身を守るために上空へと飛んだのだ。
ブロークン・ファンタズム。宝具に異常な魔力な魔力注入を行うことで自壊させ、炸裂弾とする技術。
英霊なら誰でも知っている業だ。ただ、しないだけ。なぜなら無駄だからだ。
例えば、エクスカリバー。これは炸裂弾として爆発させるより、真名を開放した方がよほど強い。
例えば、アヴァロン。一回限りの炸裂弾より、何度も使える無敵の盾の方が有用だろう。
そもそも宝具とは英霊にとって唯一無二のシンボルであり、その修復には相当な時間が掛かる。
だからこそ、普通はブロークン・ファンタズムは行われない……普通は。
しかし今のアヴァロンはその力を制限されている。故に、セイバーはアヴァロンを炸裂弾と化すことに何の躊躇いも無かった。

そして、しっかりと。
念には念を入れて、とどめを刺した。心臓に、刀を突き刺して。

「……見事でした。
 何重にも保険を掛けたのに、尽く破られるとは思わなかった」

そうして、セイバーはデイパックからある物を取り出した。
ボロボロになっている、一つの人形を。
そのまま投げ捨てるのではなく、悼むように優しく。ゆっくりと、トウカの上にそれを置いた。

「遅れましたが、これは返しておきます。
 安らかに眠るといい」
「終わったようだな」
「……あなたですか」

聞こえた声に、セイバーは振り返る。
いたのはスラン。その手にはどこでもドアを取り出している。

「悪いが、急遽このドアの先に進んでもらう。
 お前にはキョンを追ってもらわなくてならない」
「……まあ、構いませんが。少し休憩をとらせる余裕は?」
「ない。合流させるわけにはいかない」

469 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/15(火) 10:07:34 ID:lf5twXcg
431 :I have no regrets. This is the only path ◆2kGkudiwr6:2007/05/15(火) 09:39:50 ID:JmA/ZgPk

容赦ない言葉に、セイバーは溜め息を吐いてドアの元に歩み寄り……スランの動きが凍り付いているのに気付いた。
その視線は一点――セイバーの後ろ、先ほどまで立っていた場所に注がれている。

「ま、さか……」

悪寒を感じながら、セイバーは振り返る。
嫌な予感とは、大抵当たるものだ。直感スキルを持つセイバーなら尚更である。
普通なら、もう死んでいるほどの傷なのに。
心臓に、確かに刀を突き刺したのに。

「馬鹿な!?」

トウカが、立ち上がって。
しっかりと、斬鉄剣を構えていた。



470 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/15(火) 10:08:50 ID:lf5twXcg
432 :I have no regrets. This is the only path ◆2kGkudiwr6:2007/05/15(火) 09:40:12 ID:JmA/ZgPk

寒い。
それが最初に思ったことだった。
そして次に思ったことが、なぜ自分が動けるのだろうということ。
気がつけば腕を動かして、刀を掴んで立ち上っていた。
爆発と共に意識は吹き飛び、なんとか立ち直ったと同時に心臓を貫かれたのに。
そこまで考えて……そんなことはどうでもいい、と気付いた。

「……ァ、ハァ」

血を吐きながら前を見つめる。
視界なんてない。まるで塗料を被せたかのように光景は真っ白。
それでも……かろうじて、目の前に誰かいることがわかった。
いるのは二人。何か話している。会話内容は聞こえない。何をいっているか分からない。
でも、平和に話してる。片方は某の敵。ならもう片方も敵だ。

「……これ、で」

足を踏み出した。
痛いとか、そういう次元じゃなかった。感覚が無い。
それでも、なんとなく前に進めたことが分かった。
一歩にどれだけ時間を掛けたのか分からなかった。
一秒かもしれないし一分かもしれない。どうでもよかった。
相手が止まっていたから、それだけでよかった。

「守れ、る……」

そのまま剣を振り抜いた。視界が消える。相手がどうなったか確認できない。
でも、大丈夫。これに斬れないものなんてない。
だから、某は笑った。

わらって、死ねた。



471 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/15(火) 10:09:52 ID:lf5twXcg
433 :I have no regrets. This is the only path ◆2kGkudiwr6:2007/05/15(火) 09:40:30 ID:JmA/ZgPk

トウカは限界だった。膝は笑い、明らかに視界はぼやけている。
故に、セイバーがすぐ反応して、逆に斬り捨てることは十分可能だっただろう。
けれど、その姿を見たセイバーの脳裏には、一瞬セラスの姿がよぎり。
それが、反応を遅らせたのだ。

「これ、で、守れ、る……」

ふらついた足取りで、トウカは斬鉄剣を振り抜き……そのまま、倒れこんだ。
彼女は、既に、終わっていた。感覚も無かった。視界さえろくになかった。
それでも、彼女は笑っていた自分の勝ちを信じていた。

――けれど。

「グリフィス、様……」

機械音が響き、潰える。
肩口から頭部を真っ二つにされたスランが崩れ落ちた隣には。
呆然としたまま立ちすくむセイバーの姿。その姿は、五体満足。
スランと、どこどもドア。
それを両断したところで、斬鉄剣はとうとう折れて。
そして、セイバーにその刃は届かず終わったのだ。

しばらくしてやっと、セイバーは息を吐いてへたりこんだ。

「ここまで、とは……」

額の冷や汗を拭いながら、セイバーは思わず呟いていた。
完全に、彼女は運が良かっただけ。心臓を刺して、尚立ち上がる。
そこまでするほどの意地を見せるとは思わなかった。
それは、正真正銘の強い意志。
自分の誇りに絶対的な自信があるからこそ、為しえられるもの。
思わず、セイバーは歯を噛み締めて。

「……退くものか」

そう言って、立ち上がった。
ここまで来て逃げ出すなんてできない。
石を噛んででも、泥を呑んででも生き残る。それがセイバーの意地だ。
誇りや友情が立ちはだかるというなら。

「絶対に、打ち砕く。そして勝つ」

口から血が流れ出すほど、強く。
意志を吐いて、セイバーは南東に目を向けて。

「あの二人はあちらへ逃げた。そこからだ」

スランの持っていたデイパックを奪い取り、走り去った。



472 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/15(火) 10:10:55 ID:lf5twXcg
434 :I have no regrets. This is the only path ◆2kGkudiwr6:2007/05/15(火) 09:40:42 ID:JmA/ZgPk

「……く、そ、ォ……」

セイバーが離れていった数秒後。
かろうじて機能を復旧したスランが声を上げた。
彼は機械。頭が真っ二つになったところで血液が流れるわけではないし脳漿がこぼれるわけでもない。
しかし、先ほどの斬撃は重大なダメージを与えるに足るもの。
彼が『死ぬ』のはそう遠い未来ではない。
だからこそ、彼は決断する。

「まだ、だ……まだ終わらん……
 ただで死んでなるものか……」

呻きながら、どこでもドアのノブに手を掛ける。
上半分を両断されたどこでもドア。明らかに危険な代物だ。
下手をすれば変な場所にいきかねない……否。
それどころか、どこでもドア自体が今にも爆発しそうだ。
亜空間に取り残されることもありうる。
それでも、動きを止めない。
どこでもドアが開く。その先は上空、カズマが飛行している場所!

「俺と……共に、死ぬが、いい!」

そう、彼の決断はただ一つ。
どうせ死ぬのなら、せめて一人でも多く道連れにしてやる。
グリフィスに仇名す者を、少しでも多く害する。
それが彼の決意だった。

「少なくとも、足止めくらいは、できる!
 その間に、キョンにハルヒよ! 貴様らはセイバーに殺されるがいい!!!」

そう叫びながら、スランはどこでもドアへと飛び込んだ。



473 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/15(火) 10:11:58 ID:lf5twXcg
435 :I have no regrets. This is the only path ◆2kGkudiwr6:2007/05/15(火) 09:40:54 ID:JmA/ZgPk

「なんだろう、嫌な予感がする……」

木にその体を預けたまま、ハルヒは思わず呟いていた。
葉によって太陽の光はところどころ遮られ、木によって視界は遮られる。
だから、彼女はふと用心深く周りを見渡して。
どこか力の無かったその瞳が、突然、見開かれた。

「あんたは……」

木で手を支えながら、ハルヒが立ち上がる。
その視線の先にいたのは、セイバーだった。

「トウカさんは、どうしたのよ……」

ハルヒは弱弱しい声で、聞いた。答えが分かっていても。
聞くしか、なかった。

「死にました」

返ってきたのは、冷たい声。
そして、次は貴女の番だと、向けられたその刀が告げている。
ハルヒが感じたのは……恐怖より先に、怒りだった。

「ふざけんじゃ、ないわよ!」

ハルヒが叫ぶと同時に、脇にいた神人が巨大化した。ハルヒの怒りを具現化したように。
その大きさ約5m。閉鎖空間に現れるものよりは小さいが、それでも並みの人間なら圧倒されるだろう膨大な威圧感や迫力だ。
そのまま創造主の命を受けたかのように、神人は腕を振り上げた。標的を抹殺するために。

だが、所詮は制限された力だ。

「無駄です」

セイバーが飛び上がると同時に、神人は反応することさえできずに腕を斬り落とされていた。



474 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/15(火) 10:17:17 ID:Yl58uJeK
436 :I have no regrets. This is the only path ◆2kGkudiwr6:2007/05/15(火) 09:41:07 ID:JmA/ZgPk

一足遅かった。いや、それどころか二足以上遅かったかもしれない。
ハルヒの所に戻る途中、ちらりとトウカさん達のいた所を覗いた俺の視界に入ったのは、トウカさんの遺体だった。

「……くそったれ!」

思わず駆け寄りたくなったところだが、なんとか自制できた。
あの女騎士はいない。ただドアがぽつんと置いてあるだけだ。
そして俺の方には来てない。あの女騎士を見かけたりなんかしてない。要するに、俺としんのすけ少年の方には来なかったんだ。
おまけに、横を見れば結構離れたところで神人が現れているときた。
ここまで条件が揃ってて、運のいいことにどこか行ってくれました、と思うほど俺は楽観主義者じゃない。
ほんの一瞬トウカさんに黙祷して、俺はすぐに走り出した。

そうさ、俺は超のつくほどの一般人だ。
はっきり言ってあいつを相手にしてできることなんてありゃしない。
銃だってろくに撃てやしないし運動神経もそれなり。
それなりに自分の能力に覚醒し始めたハルヒや剣の達人のトウカさんとは天と地くらい差がある。
こんな俺があんな化け物に挑むなんて、夢物語もいいところ。
フロイト先生も爆笑どころか、笑い死ぬに違いないね。


だけど……キスした女を放って置けるような精神は持ち合わせちゃいないんだよ。
俺は一般人、そういうところも一般的だからな。

475 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/15(火) 10:17:37 ID:BiWEwj6a
支援

476 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/15(火) 10:18:29 ID:Yl58uJeK
437 :I have no regrets. This is the only path ◆2kGkudiwr6:2007/05/15(火) 09:41:29 ID:JmA/ZgPk

【C-4南東端・D-4北東端の境界/2日目/午後】
【涼宮ハルヒ@涼宮ハルヒの憂鬱】
[状態]:頭部に中度の打撲(動くのに問題は無し) 、
   かなり疲労、高熱(行動に支障)、自分の能力に対して知覚
[装備]:クローンリキッドごくう(使用回数:残り2回)、
[道具]:デイバック×9、支給品一式×8(食料7食分消費、水1/5消費)、
    鶴屋の巾着袋(支給品一式と予備の食料・水が入っている)、
    RPG-7×2(スモーク弾×1、照明弾×1)、クロスボウ、タヌ機(1回使用可能)
    暗視ゴーグル(望遠機能付き・現在故障中)、インスタントカメラ×2(内一台は使いかけ)
    高性能デジタルカメラ(記憶媒体はSDカード)、携帯電話(各施設の番号が登録済み)
    ダイヤの指輪、のろいウザギ、ハーモニカ、デジヴァイス、真紅のベヘリット
    ホ○ダのスーパーカブ(使用不能)、E-6駅・F-1駅の電話番号のメモ、
    トグサが書いた首輪の情報等が書かれたメモ1枚
   【薬局で入手した薬や用具】
    鎮痛剤/解熱剤/胃腸薬/下剤/利尿剤/ビタミン剤/滋養強壮薬
    抗生物質/治療キット(消毒薬/包帯各種/鋏/テープ/注射器)/虫除けスプレー
    ※種類別に小分けにしてあります。
    着せ替えカメラ(使用回数:残り17回)、コルトSAA(弾数:0/6発-予備弾無し)
    コルトM1917(弾数:0/6発-予備弾無し)、スペツナズナイフ×1
    簡易松葉杖、どんな病気にも効く薬、AK-47カラシニコフ(0/30)
[思考]
 基本:団長として、SOS団のメンバーや知り合いと一緒にゲームから脱出するために力を尽くす。
 1:セイバーは絶対に許さない
 2:病院にいるというトグサと接触し、ドラえもんからディスクを手に入れる
 3:書き込みしてきた人物が気になる
 4:病院にいるかもしれない凛と水銀燈は最大限に警戒
 5:団員の命を危機に陥らせるかもしれない行動は、できるだけ避ける
 6:遠坂凛と水銀燈は絶対に許さない(だが、団員の命を守るために、今は戦いを避ける)
[備考]
 ※腕と頭部には、風の包帯が巻かれています。
 ※偽凛がアルルゥの殺害犯だと思っているので、劉鳳とセラスを敵視しなくなりました
 ※キョン、トウカ、魅音、エルルゥ、ロックらと詳しい情報交換を行いました。
 ※キョンの持つノートPC内の情報を得て、考察しました
 ※ジョーカーの情報を信じ始めています
 ※怒りや憤りなど、ストレスを感じると神人を召還できるようになりました。
  他にも参加者などに何らかの影響を及ぼせるかもしれませんがその効果は微弱です。
  神人の戦闘力もかなり低くなっています。


【セイバー@Fate/ Stay night】
[状態]:全身に軽度の裂傷と火傷、頭部に重症(治療済み)、疲労(中)、魔力消費(大)、これ以上無く強い決意、腹三分
[装備]:小夜の刀(前期型)@BLOOD+
[道具]:支給品一式×3(食料は通常支給-1)、スコップ
[思考・状況]
 基本:参加者を殺す
 1:少年達を殺し、その後は休憩を取る。
 2:エクスカリバーを手に入れる、必要ならば所持者を殺害する
 3:絶対に生き残り、願いを叶えて選定の儀式をやり直す。

477 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/15(火) 10:19:26 ID:Yl58uJeK
438 :I have no regrets. This is the only path ◆2kGkudiwr6:2007/05/15(火) 09:41:51 ID:JmA/ZgPk

【B-4 /2日目/午後】
【野原しんのすけ@クレヨンしんちゃん】
[状態]:全身にかすり傷、頭にふたつのたんこぶ、腹部に軽傷、
    SOS団名誉団員認定、全身が沙都子の血で汚れている
[装備]:なし
[道具]:なし
[思考]
 基本:家族揃って春日部に帰る
 1:病院に向かって助けを呼ぶ

【C-4 /2日目/午後】
【キョン@涼宮ハルヒの憂鬱】
[状態]:疲労、全身各所に擦り傷、憤りと強い決意
[装備]:バールのようなもの
[道具]:デイバッグと支給品一式×4(食料-5)、わすれろ草、ニューナンブ(残弾4)、
    キートンの大学の名刺 ロープ、ノートパソコン+ipod(つながっている)
[思考]
 基本:殺し合いをする気はない、絶対に皆で帰る
 1:ハルヒと合流、絶対に守る。
 2:是が非でも、トグサと接触してデーターを検分してもらい、ディスクも手に入れる
 3:書き込みしてきた人物と再び接触を図る
 4:ハルヒが心配
 5:病院にいるであろう凛と水銀燈には、最大限、警戒を払う
[備考]
 ※キョンがノートパソコンから得た情報、その他考察は「ミステリックサイン」参照。
 ※キョンがノートパソコンから得た情報、その他考察は「仲間を探して」参照。
 ※ハルヒ、トウカ、魅音、エルルゥ、ロックらと詳しい情報交換を行いました。
 ※ジョーカー等の情報をかなり信じています。


【どこでもドア内部/2日目/午後】
【住職ダマA(スラン)】
[状態]:頭部両断、機能停止寸前
[道具]:どこでもドア(半壊)
[思考・状況] カズマとレヴィの抹殺・もしくは足止め

【トウカ@うたわれるもの 死亡】

478 : ◆2kGkudiwr6 :2007/05/15(火) 13:18:34 ID:tK+CblJJ
支給品・状態表修正

【C-4南東端・D-4北東端の境界/2日目/午後】
【涼宮ハルヒ@涼宮ハルヒの憂鬱】
[状態]:頭部に中度の打撲(動くのに問題は無し) 、
   かなり疲労、高熱(行動に支障)、自分の能力に対して知覚
[装備]:クローンリキッドごくう(使用回数:残り2回)、
[道具]:デイバック×9、支給品一式×8(食料7食分消費、水1/5消費)、
    鶴屋の巾着袋(支給品一式と予備の食料・水が入っている)、
    RPG-7×2(スモーク弾×1、照明弾×1)、クロスボウ、タヌ機(1回使用可能)
    暗視ゴーグル(望遠機能付き・現在故障中)、インスタントカメラ×2(内一台は使いかけ)
    高性能デジタルカメラ(記憶媒体はSDカード)、携帯電話(各施設の番号が登録済み)
    ダイヤの指輪、のろいウザギ、ハーモニカ、デジヴァイス、真紅のベヘリット
    ホ○ダのスーパーカブ(使用不能)、E-6駅・F-1駅の電話番号のメモ、
    トグサが書いた首輪の情報等が書かれたメモ1枚
   【薬局で入手した薬や用具】
    鎮痛剤/解熱剤/胃腸薬/下剤/利尿剤/ビタミン剤/滋養強壮薬
    抗生物質/治療キット(消毒薬/包帯各種/鋏/テープ/注射器)/虫除けスプレー
    ※種類別に小分けにしてあります。
    着せ替えカメラ(使用回数:残り17回)、コルトSAA(弾数:0/6発-予備弾無し)
    コルトM1917(弾数:0/6発-予備弾無し)、スペツナズナイフ×1
    簡易松葉杖、どんな病気にも効く薬、AK-47カラシニコフ(0/30)
[思考]
 基本:団長として、SOS団のメンバーや知り合いと一緒にゲームから脱出するために力を尽くす。
 1:セイバーは絶対に許さない
 2:病院にいるというトグサと接触し、ドラえもんからディスクを手に入れる
 3:書き込みしてきた人物が気になる
 4:病院にいるかもしれない凛は最大限に警戒
 5:団員の命を危機に陥らせるかもしれない行動は、できるだけ避ける
 6:水銀燈がなぜ死んだのか考えるのは保留
[備考]
 ※腕と頭部には、風の包帯が巻かれています。
 ※偽凛がアルルゥの殺害犯だと思っているので、劉鳳とセラスを敵視しなくなりました
 ※キョン、トウカ、魅音、エルルゥ、ロックらと詳しい情報交換を行いました。
 ※キョンの持つノートPC内の情報を得て、考察しました
 ※ジョーカーの情報を信じ始めています
 ※怒りや憤りなど、ストレスを感じると神人を召還できるようになりました。
  他にも参加者などに何らかの影響を及ぼせるかもしれませんがその効果は微弱です。
  神人の戦闘力もかなり低くなっています。


【セイバー@Fate/ Stay night】
[状態]:全身に軽度の裂傷と火傷、頭部に重症(治療済み)、疲労(中)、魔力消費(大)、これ以上無く強い決意、腹三分
[装備]:小夜の刀(前期型)@BLOOD+
[道具]:支給品一式×3(食料は通常支給-1)、スコップ
[思考・状況]
 基本:参加者を殺す
 1:少年達を殺し、その後は休憩を取る。
 2:エクスカリバーを手に入れる、必要ならば所持者を殺害する
 3:絶対に生き残り、願いを叶えて選定の儀式をやり直す。

479 : ◆2kGkudiwr6 :2007/05/15(火) 13:20:40 ID:tK+CblJJ
【B-4 /2日目/午後】
【野原しんのすけ@クレヨンしんちゃん】
[状態]:全身にかすり傷、頭にふたつのたんこぶ、腹部に軽傷、
    SOS団名誉団員認定、全身が沙都子の血で汚れている
[装備]:なし
[道具]:デイバッグと支給品一式×4(食料-5)、わすれろ草、
    キートンの大学の名刺 ロープ、ノートパソコン+ipod(つながっている)
[思考]
 基本:家族揃って春日部に帰る
 1:病院に向かって助けを呼ぶ

【C-4 /2日目/午後】
【キョン@涼宮ハルヒの憂鬱】
[状態]:疲労、全身各所に擦り傷、憤りと強い決意
[装備]:バールのようなもの、ニューナンブ(残弾4)
[道具]:なし
[思考]
 基本:殺し合いをする気はない、絶対に皆で帰る
 1:ハルヒと合流、絶対に守る。
 2:是が非でも、トグサと接触してデーターを検分してもらい、ディスクも手に入れる
 3:書き込みしてきた人物と再び接触を図る
 4:病院にいるであろう凛には、最大限、警戒を払う。水銀燈の死について考えるのは保留。
[備考]
 ※キョンがノートパソコンから得た情報、その他考察は「ミステリックサイン」参照。
 ※キョンがノートパソコンから得た情報、その他考察は「仲間を探して」参照。
 ※ハルヒ、トウカ、魅音、エルルゥ、ロックらと詳しい情報交換を行いました。
 ※ジョーカー等の情報をかなり信じています。


【どこでもドア内部/2日目/午後】
【住職ダマA(スラン)】
[状態]:頭部両断、機能停止寸前
[道具]:どこでもドア(半壊)
[思考・状況] カズマとレヴィの抹殺・もしくは足止め

480 : ◆2kGkudiwr6 :2007/05/15(火) 13:45:19 ID:tK+CblJJ
>>478に書いた状態表のそれぞれを

【C-4南東端・D-4北東端の境界/2日目/日中】

【B-4 /2日目/日中】

【C-4 /2日目/日中】

【どこでもドア内部/2日目/日中】

へと修正。

481 :Can you feel my soul 1 ◆B0yhIEaBOI :2007/05/15(火) 23:37:05 ID:GKSA9scY

  僕は、ひとりで薄暗い病院の廊下を歩いていた。
  ひとり分の足音が廊下に響き渡る。それが、僕にはなんだかとっても寂しかった。
  思えば、僕にはずっと仲間がいた。友達がいた。
  乱暴者のジャイアン。
  臆病者のスネ夫君。
  優しいしずかちゃん。
  いつだって、みんなと一緒だった。
  ここに来てからだって、色んな人達と出会った。
  太一君や、ヴィータちゃん。アルルゥちゃんに、ヤマト君。
  それに、ついさっきまでだって、一緒にいたんだ。
  劉邦さん、セラスさん、水銀燈。
  そして……のび太君。
  のび太君とは、本当に長い付き合いだった。
  バカでドジで泣き虫の弱虫で、でも純粋で、心優しくて、ちょっぴりだけど、勇気もある。
  本当に良い奴だった。
  なのに。

  みんな、死んでしまった。

  僕は、のび太くんを世話するために未来から来たのに……。
  僕は、子供たちの面倒を見る為のロボットなのに……。
  僕は彼らを守れなかった。ううん、それどころじゃない。
  僕達がここに連れてこられたのだって……あのとき、タイムマシーンで昔に行ったからじゃないか。
  もしもあの時僕が皆を昔になんて連れて行かなければ……ギガゾンビなんかに会わなければ……。
  僕がいなければ、皆が死ぬことも無かったんじゃあないんだろうか?
  だとしたら……ああ、僕はなんてことをしてしまったんだ……。

  とぼとぼとあても無く廊下を歩く僕の心は晴れない。
  窓の外では明るい太陽が世界を照らしていたけれど、僕の心は暗いままだ。
  そのまま、ただ気まぐれに歩いていた僕だったけれど、ふとあることに気が付いた。
  
――キィン――
「あれ? 今何か音が……?」
  ぼおっとしていたとは言え、そのとき確かに聞こえた気がした。
  何か、小さな金属音が。
  そして、そのまま静かに耳を澄ましていると……
――カァン――キィン――
  再び聞こえた。何か小さな金属が弾かれるような音が。
「やっぱり、誰か居るんだ……でも、こんなところで一体誰だろう?」
  改めて回りを見回してみると、その周囲には幾つかの金属製の扉が立ち並んでいた。
  それらには『手術室1』『手術室2』と番号が打たれている。
  どこと無く血なまぐさい臭いと消毒液の臭いが立ち込めるここは、この病院の手術室のある区画のようだった。
  でも、それを確認すると、改めて疑問に思ってしまう。
  誰が? 何のために? 何をしているんだろう?


482 :Can you feel my soul 2 ◆B0yhIEaBOI :2007/05/15(火) 23:38:00 ID:GKSA9scY
  集中して音を聞と、どうやらこの手術室の中から音がするようだ。
  思い切って呼びかけてみる。
「ねえ、誰かいるの? 何してるの?」
  ……だけど、返事は無い。
  僕の気のせい? ううん、そんなことは無い。
  今だって、かすかな金属の触れ合う音が絶えず聞こえて来るんだから。
「ねえ、居るんでしょ? 返事が無いなら……入るよ?」
  そう呼びかけてみても、やっぱり返事は無い。
  仕方が無い。意を決した僕は、その手術室の扉を開く。
――ガシャン
  勢い良く開いたその扉の先で僕が見たものは――薄暗い部屋の中の中心に座る、少年の姿だった。
  その姿は、天井から降り注ぐ手術用の照明に照らされて、まるでスポットライトを浴びているかのようだった。
  少年は僕に背を向けているために、その顔が見えない。
  だから、咄嗟にそう思ってしまった。
――のび太君?

  いや、それはありえない。のび太君は、死んでしまったんだ。
  信じたくは無いけれど、信じないといけない。これは、事実なんだ。
  だから、そこにいるのはのび太君じゃなく――
「そこにいるのは……ゲイナー君かい?」
「……え? あ、ハイ、そうですけど、何か用ですか?」
  僕の思ったとおり、その少年はゲイナー君だった。
  でも、ゲイナー君は僕のほうを見ようともせずに、相変わらずの姿勢で、何かをカチャカチャといわせている。
「ゲイナー君、そこで何してるの?」
  僕はとりあえず、ゲイナー君にそう聞いてみる。
  でも……あれ? 返事が無い?
「ゲイナー君?」
「ああ、すいません。ちょっと集中していたもので。何か急用ですか?」
「いや、急用ってわけじゃ無いんだけど……」
「じゃあ、少し放っておいてくれませんか? 少し忙しいもので」
  僕にぴしゃりとそう言い放つと、ゲイナー君はまた何かしらに没頭し始める。
  僕と話す時間も惜しい……まさにそんな感じだった。
「そ、そんなに邪険にしなくってもいいじゃないか。ゲイナー君も仲間が死んで悲しいのかも知れないけれど……」
「仲間? ああ……」
  僕がいった言葉に、ゲイナー君は初めて腕を休めて、応えてくれた。

「そういえば、あったんですよね、放送。今度は、何人の方が亡くなられたんですか?」

  あまりの言葉に、僕は一瞬、呆気に取られてしまった。
「そういえば、って……ゲイナー君、もしかしてさっきの放送聞いてなかったの!?」
「ええ。作業に集中してましたから」
  ゲイナー君は、さも当然と言わんばかりにそう返事をする。
「ちょ、ちょっとそれって酷いんじゃないの!? 人が、友達が死んだって言うのに、気にならないの!?」
  思わず声を荒げる僕とは対照的に、ゲイナー君は落ち着いたまま、またカチャカチャと何かを弄りだす。
「貴方はお友達が亡くなったんですよね。お悔やみ申し上げます。ですが、僕には元々仲間と言える人間だってゲインだけだったし、
ここに来てから出来た仲間も、ゲインとレヴィ、カズマさんにフェイトちゃん以外はみんな死んでしまいましたから。
仲間の仲間も心配ですが、実際に会ったことのある人も居ませんし。
でも、何人の方が亡くなったのかには興味が有りますね。今回の犠牲者は何人だったんですか?」

  ひ、酷い……!
  他人の死を気にもしないだなんて、このゲイナーという少年はなんて心が冷たいんだ!
  最初にこの少年を見たときは、眼鏡に痩せっぽちで、自信なさげな内気な少年……
  どこかでのび太君と似た印象を持っていたけれど……とんでもない!
  のび太君は、もっと心の優しい人だった!
「それはあんまりだよゲイナー君! ちょっとこっちで話を――」
  ゲイナー君を叱ろうと僕が歩き出したその時。


483 :Can you feel my soul 3 ◆B0yhIEaBOI :2007/05/15(火) 23:39:08 ID:GKSA9scY
「来ないで!!」
  ゲイナー君が叫んだ。
  その目は……血走って目の下にはクマが出来ている。
  とても必死な、そんな顔だった。
「げ、ゲイナー君、僕はただ――」
「――それ、踏まないでくださいね。足元には気をつけてくださいよ」
「えっ?」
  ゲイナー君にそう言われて、改めて薄暗い部屋の床に目を凝らしてみると――

「な、なんだこれ!!?」
  それは、小さなネジや、ボルトやナットや、ケーブルや……
  基盤や、コンデンサーや、ICチップ等の機械の部品だった。
  僕の足元には、大小様々な無数の金属辺が、床一面に敷き詰められていたのだ。
「これは一体……!?」
「僕が分解したんですよ。この『技術手袋』を使って。まあ、半分くらいは使用回数温存のために、僕が自力で分解したものですけどね」
「で、でも、この部品の山……一体何を分解したの!? それに、何のために!?」
  かちゃり、かちゃり。ゲイナー君はいつの間にか作業を再開してたが、話は聞いてくれているようだ。
「これは、病院に置いてあった医療器具を分解したんですよ。手術室の周りって、結構いろんな機械が置いてあるんですね」
  さらりとそう言うゲイナー君だが、床に散らばる部品の山は、結構どころでは無い量になっている。
  相当な量の機械を分解したことは明らかだけど……いつの間に?
  そういえば、放送前の集まりの中で、ゲイナー君はいつまで僕らと一緒に居たんだっけ?
  知らない間に抜け出して、ひとりでずっと機械の分解を続けていた……
  時間的に考えると、そうとしか思えない。
「……でも、何故? 何のために?」
  自然とその疑問が、再び僕の口から零れ落ちる。
  その質問に、ゲイナー君は何かを考えながら、ぼそりぼそりと答えだす。
「実験……性能テスト、いや、材料調達と言った方が良いのかな? いや、研究……勉強……訓練……?」
「ど、どういう意味? 僕にも分かるように、ちゃんと説明してくれよ」
  ゲイナー君は、少し思いあぐねた末に、作業を止めて僕の方に向き直ってくれた。

「最初に考えたんです。僕に何が出来るのか、って。
僕にはカズマさんやフェイトちゃんみたいな超能力も無いし、レヴィさんみたいに銃の扱いに長けているわけでもない。
そして、貴方――ドラえもんみたいに活用できる知識を持っているわけでもない。
だから、僕なりに考えて、出来る事をしようと思ったんです。そして思いついたのが……この手袋の活用です」
「技術手袋の? でも、それって誰が使っても効果は同じ筈じゃ?」
「ええ、そうです。でも、そうではないんです。……例えば、僕が今から、この技術手袋をもう一個作ろうとしてみます。それは可能でしょうか?」
「う、う〜ん、それは多分無理だろうね。材料も無いし、仕組みも複雑すぎる」
「では、『この世界から脱出できる装置』は?」
「それも無理だろうね。そもそも、どうやったら脱出できるか想像が出来ない」
「では、例えば車を作ることは?」
「それは可能だと思うよ。でも、材料があったとしてもそんな大掛かりなもの、出来上がるまでに何時間かかるか……」
「では、『オーバーマン』を作ることは?」
「え? おーばー……何だって?」
「ですから『オーバーマン』です。なんなら妥協して『シルエットエンジン』でもいい。作れますか?」
「いやあ……名前を聞いただけじゃ、それが何なのか分からないし、きっと作れないと思うよ」
「そうでしょうね。それが一体何なのかを知らないドラえもんには作れないでしょうね。
でも、恐らく……その実体を知っている僕なら、少なくともシルエットエンジンぐらいなら作れるかもしれない。
勿論、十分な時間と材料は必要でしょうが」
「その『オーバーナントカ』っていうのは君の世界の物なの? でも技術手袋じゃそういう未知の技術とかには対応できないと思うんだけれど……」
  僕がそういうと、ゲイナー君は、僕が知る限りはじめて……笑った。
  しかも、とびきり不敵に。
「なら、知ればいいんですよ。その『未知』のものを」


484 :Can you feel my soul 4 ◆B0yhIEaBOI :2007/05/15(火) 23:40:45 ID:GKSA9scY
「とは言え、僕には工学的な知識なんかは全くありません。
知っていることといえばゲーム機の大まかな構造と、雑学レベルの知識程度……
ですから、まずは知識を得るために、適当な機械を一つ分解してみたんです。
とは言っても、この技術出袋には使用回数制限があるみたいですから……
とりあえず、目に付くものの中で一番大きくて、一番複雑そうな奴を分解してみたんです。
知ってました? 医療器具って、実にいろんな様々な機能を持った部品の集合体なんですよ?」
「その残骸が、これなんだね」
  改めて足元の部品類を眺めてみると、それらパーツの用途ごとに分類され、几帳面に並べられていることに気付く。
  そこからも、ゲイナー君の頑張りの成果が見て取れた。
「最初は本当にチンプンカンプンだったんですが、それでも最初の一つを技術手袋が丁寧に解体してくれたおかげで、大分見当が付きました。
その後もそれを真似て自力で何度も分解していく内に、段々と機械の構造や仕組みの意味が掴めてきた気がしてきました。
それもこれも手袋のおかげですね」
「それは……ゲイナー君が頑張ったからなんじゃないかなあ」
「……手袋のおかげですよ」
  照れ隠しに顔を背けるゲイナー君を見ていると、さっきの僕の考えが間違いなんじゃないかな? と思えてくる。
  ゲイナー君は、そんなに酷い人間じゃない。
  少なくとも、こんなに一生懸命に頑張っているんだから、そのことは素直に認めてあげたい。応援してあげたい。
  僕のゲイナー君に対する評価は、また少しずつ変わり始めていた。

「それと、技術手袋のことなんですが……幾つか疑問に思ったことがあります。
まず、この手袋は少なくともこの時代に於けるあらゆる技術体てに対応してるとおっしゃっていましたが、
恐らく、ドラえもんのいた時代までの全ての技術的なデータがこの手袋の中に詰め込まれているんでしょうね」
「うん、その通りだよ。技術手袋があれば、僕が知ってる道具ならほとんど作れると思うよ。時間と材料さえあれば」
「では、ここで一つ疑問が沸きます。
この手袋で、未知の道具が作れるのかどうか? 例えば、そう、ドラえもんが居たよりもさらに未来の道具だとかは」
「え? う〜ん、それはちょっと無理じゃないかなあ。その道具のデータが技術手袋に無い限りは」
「でも、ですよ? 例えはAという装置と、Bという装置を組み合わせて、Cという機械が遥か未来に作られていたとします。
もちろん、その設計図は技術手袋の中には無い。でも、その発想が無かっただけで、理論や概念さえ知っていれば、再現可能な機械だったとして。
そして、もし、遥かな未来から来た技術者が技術手袋を使って、Aという装置とBという装置を組み合わせたとすれば……
Cという機械は果たして作れると思いますか?」
「ええ? ちょっと待ってくれよ。……う〜ん、どうなんだろう。できるのかなあ……?」
「それが出来ろかどうかを確かめるのも僕の目的の一つだったんですが……
ですが、僕の直感では、きっと出来る。技術手袋に、さらに別の『知識』と『技能』を上乗せするんです。
問題は……その知識や理論に精通している人間がいるのかどうか、って事なんですが……
ドラえもんは、そういう未来の技術なんかには詳しいですか?」
「……道具の性能や使い方は知ってるけど、その詳しい理論や構造なんかは、さすがにちょっと……」
「そうですか……」
  ゲイナー君は心底残念そうにそう呟くと、また作業を再開しだした。
「ドラえもんの知識、結構アテにしてたんですけどね……」
「……ごめん」
  一転、重苦しい空気が部屋中にたちこめた。


「おっ、相変わらず頑張ってるみたいだな!」
  閉塞した部屋の中に、いきなり誰かの声が響き渡った。
  声のした入り口の方を振り向くと、そこにはひとりの男の人――トグサさんが立っていた。
「ああ、トグサさん。お疲れ様です。……で、どうでした? 頼んでたもの、見つかりました?」
「おう、見つかったぜ。電源なんかも生きてるし、運良く戦闘の被害も受けていなかった」
「それは何よりです! じゃあ、早速ですがそこまで案内してもらえますか?」
「わかった。こっちだ」
「ああ、ドラえもんも来てください。話したいことがありますから」
  ????
  そうして僕が状況を全く理解しない内に、僕たち3人はどこかに向かって歩き出していた。
  ゲイナー君が、トグサさんに頼んだ探し物? それって一体何のことなんだろう?


485 :Can you feel my soul 5 ◆B0yhIEaBOI :2007/05/15(火) 23:41:44 ID:GKSA9scY
  そして、暫く歩いた末に僕達はある部屋に辿り着いた。
  病院の中でも一際奥まった場所にある、窓の無い、息が詰まりそうな部屋。
  大きな機械が幾つも並び、それらは僕が生まれた工場の事を思い出させた。
  そこは、この時代の病院にならば必ずといって良いほどある……レントゲン室だった。
「ここでいいのかゲイナー?」
「ええ、バッチリです! この世界にもあるかどうか不安だったんですが……やっぱり放射線を利用した医療器具はあったんですね!」
「ゲイナー君は、レントゲン室を探していたの?」
「ええ、そうです。ただ、この世界のことは良くわからないので……代わりにトグサさんに探してもらっていたんですよ」
「まあ、案内板をみりゃあすぐに分かったけどな。で、ゲイナー、俺の仕事はこれで終わりか?」
「いえ、少し待ってください。少しお話がありますから……」
  そう言いながらゲイナー君は、レントゲンを操作する台をいじり始める。
  そしてその手を休めずに、ゲイナー君は話し始めた。

「ところで、お二人とも……『スピーカーとマイクの構造』って、どんなのだか知ってますか?」
「はぁ? スピーカーとマイク? いや、知らないが……」
「いえ、難しく考えることは無いんです。スピーカーもマイクも、音と電気信号を変換する装置なんですよ。簡単に言えば。
で、これは雑学みたいなモノなんですけど……スピーカーの端子をマイクの端子に挿せば、スピーカーがマイクの変わりになるんですよ。
知ってました?」
「ああ、何かで聞いたことがあるような……」
「でもゲイナー君、それが一体どうしたって言うんだい?」
「つまり、僕が言いたいのは……大切なのは『概念』であって、個々の細かい仕組みではない、って言うことなんですよ。
大事なのは音と電気信号のやり取りであって、その変換装置の具体的な仕組みはどうでもいい、ってことです。
その概念さえ合っていれば、細かいことを考えなくても、スピーカーはマイクの変わりになってくれる……まあ、ちょっと暴論ですけどね。
えっと、起動スイッチは……これかな? ああ、点きました。ほら、ちょっとこの画面を見てください」
  ゲイナー君が促したその画面は、普通のパソコンのような、文字を打ち込める画面になっていた。
  そして、そこにゲイナー君が文字を打ち込んでいく。
  その文字をみて……僕は息を呑んだ。

『では、そろそろ本題に入ります。首輪を解除するための話です』


『首輪の解除方法ですが、大体今はこんなところでしょうか

・外部からの起爆電波のジャミング・シャットアウト
・首輪への無線を介したアクセス → 無効化 
・無線でアクセスするための機材が必要
・アクセスコード等の、解析・制御が必要

ジャミング・シャットアウトに関しては、首輪解除中に主催者に感付かれて爆破、というのを防ぐために必須だと思います。
これにはそれ専用の発信機を作るべきかもしれませんが…… 一応、この点のためにレントゲン室を使うことにしたんです。
レントゲン室は、電波や放射線に関して言えば、最も透過性の低い場所と言えますからね。
ところでドラえもん、このレントゲン室で、未来技術における電波はシャットアウトできると思いますか?』
『え、う〜ん、ある程度は遮断できると思うけど、それでも透過させる方法もあるよ』
『……ということは、少なくとも気休めにはなり得る、ということですね。その辺りの解明もいずれ必要になりそうですが……話を進めます』
  僕とトグサさんは、ゲイナー君が打ち出す言葉に、静かに頷く。


486 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/15(火) 23:42:22 ID:PtUEAIQz
 

487 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/15(火) 23:43:23 ID:ecEDBxgq
 

488 :Can you feel my soul 6 ◆B0yhIEaBOI :2007/05/15(火) 23:44:16 ID:GKSA9scY
『次に、首輪へのアクセスについての話に移ります。
ここで絶対に必要になるのが、何らかの通信機、それもこの首輪に対応したものです。
これは必然的に自作しなければならないのですが……ここで一つ問題があります。
この首輪は……『電波』で通信しているのか? ということです。
未来技術なのだから、電波以外の、僕たちが思いもよらない手段で通信しているのかもしれない』
『うん、確かにその可能性はあるよ。だけど、それがどういう手段なのかは、僕には検討もつかないよ……』
『ええ。僕もそうです。ですが、それでも良いんです。見当が付く必要なんて無いんですよ』
『……どういうことだ?』
『さっきの『マイクとスピーカー』の話の応用ですよ。『電波だかなんだか分からないもの』と『電気信号』とを変換させる装置さえあれば、
別にその『電波だかなんだか分からないもの』を特定する必要なんかないんです』
『だけどゲイナー君、その『なんだか分からないもの』を特定しないことには、そんな『変換装置』なんて作りようが無いんじゃ?』
『そんなことはありません。だって、もう既にその『変換装置』は手に入っているんですから』
『ど、どういうこと!? ゲイナー君、いつの間に!?』
『利用できるかどうかは別にすれば、その『変換装置』はみんな持ってるんですよ。……そうでしょう、トグサさん?』
  トグサさんがニヤリと笑う。
『読めたぜ、ゲイナー。お前が言ってるのは……コイツのことだろ?』
  そうやってトグサさんは、あるものを指差した。
  それは、トグサさんの――そして、僕にも、ゲイナー君も身に着けている――『首輪』だった。

『つまり、『電波?』を受信した首輪の中の『変換装置』が、それを『電気信号』に変換する。
そして、首輪が記録した『電気信号』はまた『変換装置』によって『電波?』に変換される。
だから、俺達が通信装置を作るために必要な『変換装置』は、この首輪を分解すれば容易に手に入れることが出来る。
そして、機能を停止した首輪は分解可能であることは実証済みだし、解体済みの首輪も、俺が一個持っている。
ほら、これだ』
  トグサさんがデイパックから取り出したそれは、確かに解体された首輪だった。
  内部に何個かの小さな装置が垣間見える。
『この首輪の装置はかなり小型ですが、その分余計な小細工は付与しにくい……希望的観測ですが、そう考えています。
ですから、この首輪の装置を首輪解除装置に流用するのも可能だと僕は考えています。
まあ、詳しく調べてみないことには確証は得られませんが』
『な、なるほど! じゃあ、もうすぐにでも首輪解除機が作れるの?』
『まあ、それなりの時間をかければ作れると思うのですが……それだけでは、まだ首輪の解除は出来ません』
『どういうこと? 首輪解除機なんだから、それさえあればいいんじゃないの?』
『首輪解除機は、言わばハードウェアなんです。で、実際に首輪を解除するためには、専用のソフトウェアが必要になります。
それには、長門さんという方が残したという情報に期待したいところですね。
それを一から構築することも可能だとは思いますが、さらに長い時間をかけないといけなくなるでしょうね』
『と、いうことは、今はキョン達が居ないと先に進めないわけか。奴等、無事だと良いんだが……』
『いえ、彼らが合流するまでの時間を無駄にするべきではありません。
ソフトウェアが無くても、ハードウェアだけなら作れるかもしれません。
未来の技術を使用している分、どれだけ時間がかかるかは見当がつきませんが……それでも、何もしないよりはマシでしょう』
『なるほどな。じゃあ、今すぐにでも首輪解除機の製作にかかるか。よし、ゲイナーは良く頑張った。後は俺たちが……』
  トグサさんの申し出は、しかし途中で遮られる。

『いえ、解除機の製作は引き続き僕が行います。それが最も効率的な選択です』
  ゲイナー君は、強い決意を込もった力強い声で、そう言い切った。


489 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/15(火) 23:44:19 ID:PtUEAIQz
 

490 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/15(火) 23:44:42 ID:B04naEqf
     

491 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/15(火) 23:45:17 ID:ecEDBxgq
 

492 :Can you feel my soul 7 ◆B0yhIEaBOI :2007/05/15(火) 23:45:11 ID:GKSA9scY
『トグサさんは僕と違って戦闘能力があります。今後生じるであろう戦闘に備えておいてください。
ドラえもんも怪我をしているみたいだし、ドラえもんの未来知識はどこかで活用できる機会があるかもしれない。
でも、僕は……僕だけは、何も無いんですよ。戦闘能力も、知識も、特殊な技術も。
だから、誰がしても良い作業ならば……それは、僕がすべきなんですよ。
いえ、寧ろ僕にやらせて欲しい。僕だって、皆のために、あの仮面の男に一矢報いるために、なにかをしたいんです。
これ以上犠牲者を出さないための、何かを!
だから……僕が、装置を作ります。作らせてください!
そのために、ずっと機械類の構造を把握するべく解体作業をやっていたんですから。
今なら、きっと僕が一番うまく技術手袋をつかえるんです!』

「ゲイナー君……」
  彼の熱い想いに、思わず彼の名を呟いてしまう。
  ゲイナー君、ごめんよ。僕は君の事を勘違いしていたみたいだ。
  君が放送を見なかったのは、その僅かな時間も惜しんでいたからなんだね。
  君は、君なりに心を痛めていたんだね。
  君は人知れず、自分の出来ることを探して、それを一生懸命頑張っていたんだね。
  君がこんなにも熱い心を持っていてくれて……僕は、なんだか嬉しいよ。
『でも、それじゃ凛さんやゲインさんにも話しておいた方がいいんじゃあないの?』
『凛さんは「そういう機械系統の問題は苦手」だそうでして。ゲイン達には……後で、目処が立ち次第報告しますよ』
『分かった。じゃあ、首輪解除機の製作はゲイナーに任せるが……あんまり無茶するなよ? 
お前がへばっちまったらしょうがないんだからな?』
『ありがとうございます。……でも、僕が死んでも、代わりは居ますから……』
「何?」
  僕とトグサさんは、思わず顔を見合わせる。
『ところで、さっき聞きそびれたんですが……先ほどの放送で伝えられた死者は何人で、誰と誰だったんですか』
『え、ああ、死者は8人だったよ。
のび太君や 劉鳳さん、 エルルゥさん、水銀燈が死んだのは分かっていたけれど、
その他にもセラスさん、魅音ちゃん、沙都子ちゃんと、それに峰不二子って人が死んでしまったらしいんだ……』
『それじゃあ、残りは14人。内、僕らの仲間と言える人数が13人。で、残りが14回……うん、ギリギリだけれど何とかなる』
『? 何の話だい?』
『ああ、技術手袋の話ですよ。回数制限があるから、無駄に乱用は出来ませんからね。
とは言え、材料の確保に一回は使わざるを得ませんでしたから、先ほどは使ってしまいましたが……
残り人数がそれだけなら、後二回、首輪解除機とジャミング用の電波撹乱機の分は確保できそうですね』
『ああ、そうか。皆の首輪を取り外すことを考えれば、残りの仲間人数分は回数を確保しておかないといけないんだね』
『ええ。非情なようですが、残り人数が減れば、それだけ技術手袋を使える回数が増え、首輪解除機等を作る余裕が出る……皮肉なものですね』
『だが、ちょっと待てよゲイナー。計算がおかしくないか?
仲間の数が13人で、残り使用回数が14回なら、使える回数は後一回だけだろ?』
『いえ、違います。残り使用回数から引くのは、“僕以外の12人分”でいいんです。14−(13−1)=2 でしょ?

「ゲイナー、お前……!!
「自分が犠牲になるつもりなの!?」
僕とトグサさんは思わず画面から目を離し、ゲイナー君に詰め寄った。
でも、ゲイナー君はさも当然かのように、キーボードで文字を綴る。
『ええ。だから、この話はお二人には是非聞いておいて欲しかったんです。
あと、僕にもしものことがあれば、その空いた一回分をお二人に有効に活用して欲しい。
これはある意味当然の、最も合理的な判断ですよ。言ったでしょう? 僕には何も無いって。だから、せめて皆の役に立とうと思って……
以上が僕の希望です。……ということで、後はお願いできますか?』
  ゲイナー君がそのメッセージが打ち終わらない内に。


493 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/15(火) 23:46:11 ID:PtUEAIQz
 

494 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/15(火) 23:47:05 ID:B04naEqf
        

495 :Can you feel my soul 8 ◆B0yhIEaBOI :2007/05/15(火) 23:47:15 ID:GKSA9scY
――ゴン!
  鈍い音が室内に響き渡った。トグサさんの拳骨がゲイナー君の脳天を直撃したのだ。
「子供が調子に乗るんじゃない!」
「い、痛いッ! お、大人はすぐそうやって!!
それに大体、こうする以外に道が無いじゃないですか! 誰かが犠牲になるなら、能力的に低いものが――」
「なら、お前はしんのすけ君を犠牲に出来るのか?」
「――!! そ、それは……」
  ゲイナー君が反論に詰まる。
「そうやってすぐに視野を狭めて、格好つけて自己犠牲に陶酔してるからガキだってんだよ。
自分が綺麗に死んでそれで満足してる内は子供なんだ。
汚い手使っても、格好悪くても、最後まで諦めずに足掻いてこそ一人前なんだよ!」
「で、ですが……!」
  殴られた頭を抑えながら、ゲイナー君がモニターの方に向き直る。
  興奮しているみたいだけど、そこはちゃんと冷静なようだった。
『ですが、でもそれじゃあどうするって言うんですか!? どちらにせよ使用回数から考えれば、最低ひとりは犠牲にならざるを得ませんよ!』
『いや、まだ分からないぞ。長門の隠したデータの中身が分からない以上、全てを決め付けることは出来ない。
もしかしたら、首輪の遠隔操作や電波遮断に関しての情報が入っているかもしれないし、それで手袋の使用回数を節約できるかもしれない。
過度に楽観的になるわけには行かないが……かといって、望みを捨てるにはまだ早すぎる』

  トグサさんはそう画面に打ち込むと、改めてゲイナー君を見る。真剣に。
「いいか、ゲイナー。お前が皆の為に頑張ろうって考えるのは良いことだ。凄く、な。
だが、だからって自分を蔑ろにするのは止めろ。
自分の命を粗末にするのは、死んでいった者に対する侮辱だ。
志半ばで死んじまった奴等の為にも……お前には生きる義務がある。
だから……軽々しく自分の命を投げ出すような真似は止めろ。わかったな?」

  まっすぐにゲイナー君の目を見据えるトグサさんは、大人の顔をしていた。
  対するゲイナー君は、おどおどと目を逸らす。
「ぼ、僕だって別に死にたいと思ってるわけじゃ……!そ、それに結果的にはまだ死ぬと決まったわけでもないし……!」
「馬ぁ鹿!」
――ゴン!
「痛い! またぶった!」
「だからガキだって言ってんだよ。こういうときは素直に『ごめんなさい』って言っとくもんなんだよ!」
  そう言いながら、トグサさんはゲイナー君の頭を鷲?みにする。
「ほら、言ってみろ。『ごめんなさい、もう死ぬなんていいません』ってな!」
「またそうやって子供扱いするッ……!」
「まだ殴られ足らないのか? ほら、早く」
「う……わ、分かりましたよ、言えば良いんでしょ? ご……ごめんなさい。もう軽々しく死ぬだなんて言いません……」
「よし、よく言えたな」
  そのままトグサさんは、ゲイナー君の頭をわしわしと乱暴に撫でる。
「大体なあ、お前だってそんなに卑下するほどの役立たずってワケじゃないんだからな?
『敵を知り己を知らば百戦危うからず』って言うだろ。お前も胸張って自信持てよ!」
「わかりましたよ……。 じゃあ、お返しに言いますけど、トグサさんはちゃんとお休みになってるんですか?
トグサさん、しばらくの間働き詰めでしょう?仕事を頼んじゃった僕が言うのもなんですけど……少し休まれてはどうですか?
もしもの時に動けなくなったらいけませんからね。『敵を知り己を知らば百戦危うからず』でしょ?」
「こいつ……口の減らない奴だなあ……!」
  苦笑いするトグサさんと目が合った。
――もう、心配無いな。
  トグサさんの目はそう言っているように見えた。
「さてと。じゃあ、俺はもう行くぞ? お言葉に甘えて、そろそろ休ませて貰うからな」
「ああ、待って下さい!」
  ゲイナー君は部屋を立ち去ろうとするトグサさんを呼び止めると、キーボードを急いで叩き出した。

『思ったんですが、首輪解除装置の副産物として……『電波?』を受信する装置が出来ます。
それを利用すれば、電波の発信源……つまり、主催者の本拠地が分かるかも知れません』


496 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/15(火) 23:47:51 ID:PtUEAIQz
 

497 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/15(火) 23:48:44 ID:7pV2cWw2



498 :Can you feel my soul 9 ◆B0yhIEaBOI :2007/05/15(火) 23:48:39 ID:GKSA9scY
「……たいした奴だよ、お前はな!」
「わあ、だから子ども扱いは止めてって言ってるのに!」
  そうしてひとしきりゲイナー君の頭をぐしゃぐしゃとなでてから、トグサさんは笑いながら部屋を出て行った。
  部屋に僕とゲイナー君だけが残された。
「ドラえもんも僕のことは気にせずに、ご飯を食べるなり休むなりしてくれればいいですよ?」
「ううん、僕はもうしばらくここに居るよ。何かゲイナー君の助けになれるかもしれないしね」
「そう……ありがとう、ドラえもん」
  そして、ゲイナー君はまた、首輪解除装置の作成のために、作業を再開した。
  僕は、その彼の姿を、ただただ見守っている。
  でも、それがなんだか暖かくて、嬉しかった。
  頑張れ、ゲイナー君。
  君なら、きっと上手くいくよ。


  のび太君、きみがいなくなったら なんだか部屋がガラ―ンとしちゃったよ……
  だけど、すぐに慣れると思う。
  だから心配するなよ、のび太君。君の仇はきっととってやるからな……!


【D-3/病院-レントゲン室/2日目-日中】

【ゲイナー・サンガ@OVERMAN キングゲイナー】
[状態]:疲労蓄積、風邪の初期症状、腹部と後頭部と顔面に打撲(処置済み)、頭からバカルディを被ったため少々酒臭い。
[装備]:技術手袋(使用回数:残り14回)、コルトガバメント(残弾7/7、予備残弾×38発)、トウカの日本刀、コンバットナイフ
[道具]:デイバッグ、支給品一式(食料一日分消費)、スタングレネード×2、スパイセットの目玉と耳
 クーガーのサングラス、グラーフアイゼン(待機状態、残弾0/3)、エクソダス計画書
 病院内で見つけた工具箱、解体された首輪、機械の部品多数
[思考]
 基本:バトルロワイアルからの脱出。
 1: 首輪解除機の作成。
 2: エクソダス計画に対し自分のできることをする。
 3: カズマが戻ってきたらクーガーのサングラスを渡す。
 4: グラーフアイゼンを誰かふさわしい人に譲る。
[備考]
 ※名簿と地図を暗記しています。また、名簿から引き出せる限りの情報を引き出し、最大限活用するつもりです。
 ※なのはシリーズの世界、攻殻機動隊の世界に関する様々な情報を有しています。
 ※基礎的な工学知識を得ました。


【ドラえもん@ドラえもん】
[状態]:中程度のダメージ(修理によりやや回復)、頭部に強い衝撃、のび太の死による喪失感
[装備]:虎竹刀
[道具]:デイバッグ、支給品一式(食料-1)、"THE DAY OF SAGITTARIUS III"のゲームCD
[思考]
 基本:ひみつ道具と仲間を集めて仇を取る。ギガゾンビを何とかする。
 1:エクソダス計画に対し自分のできることをする。
 2:ゲイナーを温かい目で見守る
[備考]
 ※Fateの魔術知識、リリカルなのはの魔法知識を学びました。
 ※だいぶ落ち着きましたが、まだかなり落ち込んでいます。



499 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/15(火) 23:48:46 ID:ecEDBxgq
 

500 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/15(火) 23:49:08 ID:B04naEqf
        

501 :Can you feel my soul 9 ◆B0yhIEaBOI :2007/05/15(火) 23:49:45 ID:GKSA9scY

【トグサ@攻殻機動隊S.A.C】
[状態]:疲労と眠気、特に足には相当な疲労、SOS団団員辞退は不許可
[装備]:S&W M19(残弾6/6発、予備弾薬×28発)
[道具]:デイバッグ、支給品一式、警察手帳、
 タチコマのメモリチップ、エクソダス計画書
[思考]
 基本:情報を収集し脱出策を講じる。協力者を集めて保護。
 1:今の内に休息を取る。
 2:キョンが来るのを待って、彼から謎のデータを受け取る。
 3:謎のデータが電脳通信に関するものだったら、それを使ってハックの準備を行う。
 4:ハルヒか他の人間にロケ地巡りをしてもらうよう頼む。


【全体の備考】
・手術室には分解済みの部品が多数放置されています。

【ゲイナーの首輪解除機について】
・首輪の部品を利用。
・使用にはソフトウェアが必要。自作可能だが、それには更なる時間が必要。
・完成までに必要な時間数は不明。
・解除は遮蔽性の高いレントゲン室で行う。
・解除の際には外からの電波を遮蔽する装置も使用する(レントゲン室で十分に遮蔽できていると確認できたなら不要)。
・技術手袋は生存している仲間の数と同数回だけは温存。
・副次的に、電波の発生源=主催者の居場所を特定できるかもしれない。
・その理論はゲイナーの他、ドラ・トグサが知っている。

502 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/15(火) 23:54:03 ID:B04naEqf
       

503 : ◆A.IptJ40P. :2007/05/18(金) 18:05:30 ID:xL0vRIQq


最初に響いたのは、音だ。
その数は無数。全く同時ではなく、僅かなずれを孕んで響き渡る。
最初のそれはごくごく軽い、大地を足裏が叩く音。
病院を背にした黒衣の男が剣を右手に振りかぶり、滑空じみた跳躍をもって接近。
速度はさながら鷹。風と等速で迫る白刃。

「バルディッシュ!」

続くは即応したフェイトの一声。そして、その手に構えられた杖から響く三つの金属音。
コッキングカバーがスライドし一つ、リボルバーに装填されたカートリッジに撃針が叩き込まれ二つ。
斧頭が雷光を撒き散らしつつ魔力刃の基部として展開し三つ。そして、

『Haken Form』

鎌の一閃。精製された刃の先端が、聖剣の打突を辛うじて受け止めた。

(速い……!)

フェイトやシグナムのような、高速戦を主体とする戦闘者でなければ反応すら出来ない。
その領域の速度だ。真横にいた凛ではなく、正面のフェイトに斬りかかってきたのは幸運だった。
そうでなければ、彼女は心臓を刺し貫かれて即死していただろう。
現に、未だ眼を見開いたまま硬直している。

それを脇目に剣戟は続く。鎌の刃に受け流された袈裟が反転し、

「■■■■―――!!」

咆哮、逆袈裟の一撃。
しかし、それは妨げられる。

「させない……!」

漆黒の魔弾が、頭部を覆う兜を狙う。
動き出した凛の一手目、ガンド撃ち。凝縮され物理的破壊力を備えた呪詛の弾丸。
それも三点速射、狙点は額と側頭、後頭部。前後左右、どちらに頭を傾けようが二発は直撃する。
人間では―――否、並の化物であっても、避けられない。

だが、今のグリフィスは、並でもなければ人間でもなく、故に―――

「え……!?」

―――避ける必要すら、無い。
兜に直撃した弾丸は、しかし風と解けて掻き消える。

「「無効化した……!?」」

凛の視界、黒衣の騎士が、銀の騎士王と重なった。

(あの剣……エクスカリバー!?
 でも有り得ない。対魔力はクラスに依存する、宝具を持っても得られるものじゃない。
 私達が知っているものとは違うディスペル能力……!?)

あまりにも情報が少なく、憶測が精々だ。だが、対応は変わらない。

「こいつは敵ね―――やるわよ!レイジングハート、リインフォース!」

『Load cartridge』
『―――ユニゾン・イン』

504 : ◆A.IptJ40P. :2007/05/18(金) 18:06:40 ID:xL0vRIQq

薬莢が弾け飛ぶと同時に、凛の肉体に変化が訪れる。
まずは内面。筋肉、骨格、神経、そして魔術回路の全てが変成され、強度、性能を共に人外の域にまで押し上げる。
そして外面。漆黒の髪は、月光に近い白銀へ。虹彩は深く沈み、空の果てに近い蒼へとその色を変えた。

からん、と軽い音を立て、空薬莢が地面に転がった。

聖骸布が翻る。背には黒翼、左手に魔導の書、右手に杖を構え、銀髪を腰へと流すその姿は、語り継がれる魔法使いそのものだ。

『損耗率、およそ三割……無茶は出来んぞ』
『回路の修復はほぼ完了しています。外殻、フレームはほぼ手付かずですが、砲撃を行う分には問題ありません』

現状を伝える従者の声に、魔術師はその意思を返す。

「―――充分よ」

翼が大気を叩き、飛ぶ。杖―――否、砲を眼下の敵へと向け、

「アクセルシューター!」
『Accel Shooter』

十二発の同時射撃。弧を描く弾道が、フェイトと切り結ぶ黒衣を全方位から囲い込む。
だが、それすらも、

「効きゃあしないってわけ!?」

前方左右は事も無げに打ち払い、後方と上から迫るものは一瞥すらしない。
鎧の表面で、その全てが霧散するからだ。

「なら!」

闇の書を掲げ、

『Schwalbefliegen』

八つの鉄弾が魔力光を曳き、一直線に飛翔。
直線弾では容易く避けられる。故に、

『フェイト!動き止めて!』
『はい!』

一諾と共に、聖剣を受け止めたバルディッシュから、一つの魔法が放たれる。

『Lightning Bind』

雷撃の輪が両足を拘束。滑空を強制的に中断させた。
剣技とは足首の捻りと膝の屈伸、腰の旋回から肩、肘、手首と動作を連ねる全身運動。故に、足を動かせなければ剣速は落ちる。
左から袈裟に首を刈らんとするフェイトの一撃と、右上空から迫る弾丸。防御出来るとすれば片方だけだ。

鎧の左腕が強く振られた。その反動と腕力のみで、剣を右腰から左へと振り上げる。
狙いは中腹。鎌をその担い手ごと弾き飛ばした。
しかしそこで終わり。捻り切った腰と肩、この体勢から、八連弾を防ぐ速度を叩き出すのは不可能だ。


505 : ◆A.IptJ40P. :2007/05/18(金) 18:08:24 ID:xL0vRIQq

だが―――この男は、その道理さえも覆す。

背面左肩、そして右腕から魔力が噴き上がり、振り上げられた剣を強引に軌道変更。弾道上に白刃を割り込ませる。
後は容易い。握力によって剣を支えておけば、その強度によって全て弾かれる。
同時、足を縛る魔法陣が、硝子の擦れる音を立て、しかし耐え切れずに砕け散る。
両足に渦を巻く魔力によって、だ。

(魔力が噴き出した……!?つまり、あの無効化は―――)

その瞬間、遠坂凛は、防御の仕組みを看破した。
あまりにも単純過ぎる。それ故に、彼女達の盲点だったのだ。
知らず、凛の口から声が漏れた。

「―――なんて、デタラメ」

その結論を、フェイトに伝える。

『あれは『魔力放出』よ!全身が魔力の流れで覆われてて……それが魔力弾より強いから、攻撃が相殺されて呑み込まれたのよ!』

―――あらゆる神秘は、より強い神秘に打ち消される。

魔術の基本法則だ。魔力弾を魔力の流れにぶつけるのは、水流に水の弾丸を叩き付けるのと同じ事。強い方が流れを決める。
だが、それで防御されるなど有り得ない。ただ垂れ流すだけの流れと、弾丸として集束させた魔力。どちらが強いのかは明白だ。
その疑問は、バインドを破壊した瞬間に見極めた。
噴き出される魔力の密度はさほど高くもない。それだけでバインドが砕かれる事は無い。
鎧に接触した途端、滲み出る魔力が枷を砕いたのだ。
その空隙、鎧から薄皮一枚程の空間に、超高密度の魔力が流れている。
急激な放出は、それを解放して行ったのだろう。
ならば、

『接近戦か……直射型の砲撃を当てるしかありませんね』

それ以外に、突破する手段は無い。
白兵ならば、魔力刃の密度任せで貫ける。
直射型の砲撃は、曖昧な防御を強引に押し流すことが可能。

開かれた世界に、大気を裂く音が響き渡った。



「■■■■■■―――!!」

狂戦士の咆哮が、病院の窓硝子を震わせた。

打ち合う光鎌と聖剣。フェイトが射線から外れる瞬間を慎重に狙い、
「ディバインバスター!」
後方に備えた凛の一撃。同時にリインフォースも同じ魔法を編み上げている。
『『Divine Buster』』
合計八つの環状魔法陣が、鎧に向けられたレイジングハートと凛の左腕を覆い双砲とする。
射撃した。
「―――シュートッ!」
飛び退る鷹、動作だけを見れば付け入る隙はある。だが、一挙に魔力を放ったその反動による加速は、到底追いつけるものではない。


506 : ◆A.IptJ40P. :2007/05/18(金) 18:09:15 ID:xL0vRIQq

男が魔力放出、魔弾の相殺を行ったのは一度や二度ではない。仮にサーヴァントがそれだけの行動を行ったのならば、例えマスターが凛であったとしても干乾びる。
これだけの魔力を放ち続けることが可能なアーティファクトなど、凛の知識には存在しない。
『……一体、何なのよ。ジュエルシードって』
敵が退いた空白に念話。それに対し、
『宝石です。願いに反応し、魔力を解放する……そして殆どの場合、動植物を取り込み暴走に至ります』
簡潔に答えを返すフェイト。
再び黒衣が宙を舞う。狙いは凛、今までより僅かに速いが、回り込んだフェイトが受け止める。
『魔力の篭った宝石……魔力量は? 無限とか言わないでしょうね!?』
念話を行使しながらも、刃を受け止める手は揺ぎ無い。凛も同様だ。次の攻撃を構築しつつ、隙を窺っている。
『……上手く使えば、世界を十は壊せます』
『脱出に使えるわね……』

(取り出す方法。体内で融合して魔力を放っている『願いに反応する』宝石……なら!)

『ルールブレイカー、持ってる?』
破戒すべき全ての符。ありとあらゆる魔術契約を破棄させるあの宝具を突き立てれば、
(分離したジュエルシードを手に入れられる……!)
『あの短剣なら、私は持っていません。病院の机に置いてあると思います……ッ!?』
『な!?』
驚愕の声が、同時に挙がった。

黒衣の男が、その速度を大幅に増したのだ。
フェイトとバルディッシュは、躊躇わなかった。
『Sonic Form』
外套が紫電を散らして弾け飛び、同時に四肢へ雷光が宿る。
羽根だ。
その加速によって鎌を振り上げ、長剣の打ち下ろしを受け止める。
(……ソニックフォームじゃないと、止められなかった……!)
何故、速度が上がったのか。
簡単だ。人は歩くことによって走る方法を知る。魔力放出による機動制御に慣れたというだけの話。
そして、剣速が上がればその衝撃は重くなる。つまり、
(潰される……!)
圧し合うエクスカリバーとバルディッシュ。上に位置し、重量の全てを攻撃に回せるエクスカリバーが勝つのは道理。
だが、救いの手は訪れた。
『跳んで!』
凛の念話。反射的に刃を流し、真上へと飛翔した。

フェイトの前には鎧の男。
フェイトの後ろには凛がいた。
そして、男は振り下ろした剣を受け流された状態だ。いかに魔力放出を行おうとも、慣性に重力が加わっては、刃を返すのは難しい。

絶対の隙だ。

507 : ◆A.IptJ40P. :2007/05/18(金) 18:10:06 ID:xL0vRIQq

レイジングハートを左にスイッチし、右の拳を握り込む。
身を捻り半身へ。左脚を僅かに上げ、そして大地を打ち据えた。
震脚。その反動、筋肉の収縮、重心の移動、呼吸法、それら全てが複雑に絡み合い相乗し、ヒトの拳を、一つの兵器にまで練り上げる。
加えて、
『Schwarze Wirkung』
漆黒の魔法陣が拳に力を付与し、

「――――――はぁッ!」

四千年の歴史を謳う拳技の一つが、鎧の中央、鳩尾を直撃した。
巨岩をも粉微塵に消し飛ばすであろう一撃。鋼は軋み、しかし、

(手応えが浅い!?)

剣を振り上げる事を捨て、退避のみに魔力を注いだ黒衣は、一瞬だけ早く跳んでいた。
拳の打撃に跳躍のベクトルを合わせ、その衝撃を受け流したのだ。
鎧は僅かに罅割れているが、肉体にダメージは無い。

だが、遠坂凛は諦めなかった。レイジングハートを右へと戻し、左の拳を握り、

「吼えなさい!」

『Eisengeheul』

生成された紅い球体に、一撃を叩き込んだ。
炸裂する。
殺傷能力は無い。だが、圧倒的な轟音と閃光は、術者を除いた全ての者の感覚を殺す。

鋼の咆哮が、放たれた。



黒衣の男が視聴覚を喪っていたのは、極めて短い間だけだった。
人間が何の用意も無く受ければ一分近くの行動不能に陥るが、化物に対してそれを期待する方が間違っているというものだ。

視界に映ったのは、杖を持った黒髪の少女が一人だけ。
内から湧き出る衝動に従い、剣を構えて打ち掛かる。
(……?)
言い知れぬ違和感を感じた。だが彼は気にも留めない。ただ切り殺すのみ。

一刀。首を落とす筈だった一撃は、
「レイジングハート……!」
『Protection Powered』
展開された桜色の障壁に阻まれる。魔力の余波が、少女の黒檀じみた黒髪を舞い上げる。
ゆっくりと、しかし確実に、切先が盾を切り裂いていく。

その時だ。彼が、彼女の浮かべる表情に気付いたのは。


――――――世界を見据えてなお揺るがない、不敵な笑み。


「分からなかったのね。さっきの一瞬、私が何を手放して、私が何を託したか」

彼女は言った。白銀ではなく、漆黒の髪を翻し―――

危険を直感し身を引いたその刹那、奔流が、黒衣の全身に襲い掛かった。


508 : ◆A.IptJ40P. :2007/05/18(金) 18:11:11 ID:xL0vRIQq



上空から、真下を見据える視線がある。
アサルトフォームのバルディッシュを右手に掴み、金髪を風に流した彼女は、ただ一言を呟いた。

「―――ユニゾン・イン」

金髪が、青白い燐光を放つ稲妻じみた白へと転ずる。
同時、眼下の黒衣に向けて降下。
自由落下に背の四翼と四肢のフィンを加えたその速度が、音速の壁を打ち破る。
右手一本で構えた戦斧が紙を引き裂く音を立て、水蒸気の霧を曳く。

選択する魔法は一つ。射程距離を切り捨て、一撃の威力に特化する、ベルカ式の基礎にして真髄たる魔法。

『Load cartridge』

リボルバーが回転し、定位置に移動したカートリッジが衝撃を受け、魔力を解放する。
刃が噴き上げるのは、金に輝く雷ではない。
焔だ。

叫ぶ。その技の名を。かつて己の武器を断ち切った、その名を。

「紫電、一閃!」

振り下ろした。
直撃―――ではない。直前で避けられた。
爆焔の余波が、その鎧たる魔力を吹き飛ばす。

そして、フェイトの左手にはあるものが握られている。
雷によって編まれた光剣だ。
サンダーブレイド。

速度はフェイトが手に入れた。
敵の防御を奪ったのはバルディッシュ。
ならば―――それを解き放つのが、彼女の持つ役割だ。

509 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/18(金) 18:11:55 ID:8qRXWPkc



510 : ◆A.IptJ40P. :2007/05/18(金) 18:12:01 ID:xL0vRIQq


『リインフォース、蒼穹を渡る祝福の風。そして今は―――』

彼女の独白。それは、決意を告げるようで。

『―――雷の元へと集う風の名だ……!』

それに応えるように、彼と彼女が声を挙げた。

「疾風、迅雷……!」

雷光の刃は放たれず、しかし、

『Jet Zamber!』

その切先が風を纏って伸長し、黒衣の腕を、左肩から切り落とす。

「今です!」
「足止め、頼むわよ!」
フェイトの声に応え、凛は駆け出した。黒衣の横を飛翔によって抜け、病院へと飛び込んで行く。

優秀な猟犬は得物を逃さない。鎧の男はそれを追おうとする。
「追わせない……封鎖領域、展開……!」
『Gefangnis der Magie』
だが、展開された漆黒の壁がそれを押し留めた。

「私達の役目は足止め、だね……やるよ、バルディッシュ、リインフォース!」
『Yes,sir.』
バルディッシュがコアを明滅させ、応えた。
『フェイト・T・ハラオウン。一つだけ、確認しても良いか?』
だが、リインフォースは違った。返答は問い掛けだ。
「……何ですか?」
若干気勢を削がれたフェイトが言葉を返す。
リインフォースは、魔弾の構成を編みながら、

『ああ、時間を稼ぐのはいいが―――


 ――――――別に、アレを倒してしまっても構わんのだろう?』




声色に笑みを滲ませ、そう言った。

511 : ◆A.IptJ40P. :2007/05/18(金) 18:12:53 ID:xL0vRIQq

【D-3・病院裏口/2日目/午後】

※『封鎖領域』は、『入れるけど出れない結界』です。内部の魔力も外には漏れません。
参照↓
ttp://nanoha.julynet.jp/?%A5%D9%A5%EB%A5%AB%BC%B0%28%CB%C9%B8%E6%A1%A6%CA%E1%B3%CD%A1%A6%B7%EB%B3%A6%A1%A6%CA%E4%BD%F5%29#wa36495d

【フェイト・T・ハラオウン@魔法少女リリカルなのはA's】
[状態]:全身に中程度の傷(初歩的な処置済み)、中程度の魔力消費、バリアジャケット装備、リインフォースと融合中
[装備]:バルディッシュ・アサルト(アサルトフォーム/弾倉内カートリッジ残り1〜3/予備カートリッジ×12発)
    夜天の書(消耗中、回復まで時間が必要/多重プロテクト)
[道具]:デイバッグ、支給品一式、クラールヴィント、西瓜×1個、ローザミスティカ(銀)、エクソダス計画書
[思考]
基本:戦闘の中断及び抑制。協力者を募って脱出を目指す。
1:目の前の人物(グリフィス)を足止めor倒してジュエルシード回収。
2:後でトグサにタチコマとのことを謝っておく。
3:光球(ローザミスティカ)の正体を凛に尋ねる。
4:遠坂凛と協力して魔法による首輪解除の方法を模索する。
5:ベルカ式魔法についてクラールヴィントと相談してみる。
6:念のためリインフォースの動向には注意を向けておく。
7:カルラや桃色の髪の少女(ルイズ)の仲間に会えたら謝る。
[備考]
※襲撃者(グリフィス)については、髪の色や背丈などの外見的特徴しか捉えていません。素顔は未見。
※首輪の盗聴器は、ルイズとの空中戦での轟音により故障しているようです。
※リインフォースを装備してもそれほど容姿は変わりません。はやて同様、髪と瞳の色が変わる程度です。

【遠坂凛@Fate/stay night】
[状態]:中程度の疲労、全身に中度の打撲、中程度の魔力消費、バリアジャケット装備(アーチャーフォーム)
[装備]:レイジングハート・エクセリオン(/修復中 ※破損の自動修復完了まで数時間必要/カートリッジ三発〜消費)
    予備カートリッジ×11発、アーチャーの聖骸布
[道具]:デイバッグ、支給品一式(食料残り1食。水4割消費、残り1本)、石化した劉鳳の右腕、エクソダス計画書
[思考]
基本:レイジングハートのマスターとして、脱出案を練る。
1:ルールブレイカーを回収。
2:セイバーの再襲撃に備えて体力と魔力はある程度温存。
3:フェイトと協力して魔法による首輪解除の方法を模索する。
4:ベルカ式魔法についてリインフォースと相談してみる。
5:カズマが戻ってきたら劉鳳の腕の話をする。
6:変な耳の少女(エルルゥ)を捜索。
[備考]:
※リリカルなのはの魔法知識、ドラえもんの科学知識を学びました。
※リインフォースを装備してもそれほど容姿は変わりません。はやて同様、髪と瞳の色が変わる程度です。
[推測]
※ギガゾンビは第二魔法絡みの方向には疎い。
※膨大な魔力を消費すれば、時空管理局へ向けて何らかの救難信号を送る事が可能。
 その為にジュエルシードを入手する。


512 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/18(金) 18:13:01 ID:8qRXWPkc



513 : ◆A.IptJ40P. :2007/05/18(金) 18:13:56 ID:xL0vRIQq

【グリフィス@ベルセルク】
[状態]:魔力暴走、全身に軽い火傷、打撲、左腕が肩口から落ちた、自我崩壊
[装備]:エクスカリバー@Fate/stay night、耐刃防護服、ジュエルシードもどき、フェムトの甲冑@ベルセルク
[道具]:マイクロUZI(残弾数6/50)、やや短くなったターザンロープ@ドラえもん、支給品一式×6(食料一つ分、ディパック五つ分)
   オレンジジュース二缶、破損したスタンガン@ひぐらしのなく頃に
   ビール二缶、庭師の鋏@ローゼンメイデンシリーズ、ハルコンネンの弾(爆裂鉄鋼焼夷弾:残弾4発 劣化ウラン弾:残弾6発)@HELLSING
[思考・状況]
基本:殺す。
1:目に付く存在を殺す。
[備考]
※グリフィスは生存者の名前と容姿、特徴についてユービックから話を聞きました。
※A-8エリア全域、及びA-8周辺エリアはスパイセットで監視しています。
※スラン及びユービックがノートパソコンの入手を目的としている事は知りません。
[ジュエルシードの暴走について]
※グリフィスは現在自我を失っており、己の戦闘本能に従って行動しています。
 剣術などの身体に染み付いた技能は例外として、デイパックにしまった銃を使うなど、頭を使った戦法は取ることは出来ません。
『約束された勝利の剣』は使用可能ですが、直前で既に一回使っているため、これ以上の乱用は自己崩壊の恐れがあります。
 なんらかの形でジュエルシードの機能を停止させれば、グリフィスの自我も元に戻ります。
 また、このジュエルシードは『もどき』のため、これ以上の変化(外見の変貌など)が起こることはありません。
※常に全身から魔力を垂れ流しています。純粋魔力弾の射撃はそれに相殺されるためまず通用しません。
 また、それを利用した高速機動の方法を学習しつつあります。

514 :ウソのない世界 ◆lbhhgwAtQE :2007/05/19(土) 02:02:02 ID:qBuc8Cih
「はぁっ、はぁっ、はぁっ……!!」
野原しんのすけは駆ける。
市街地西部を南北に貫く道路を病院に向かって南の方角へ。
ただ、まっすぐに。
ただ、ひたすらに。
しかし、その小さな背中に背負うデイパックは幼稚園児の体にはまだ大きくのしかかるサイズだ。
彼の足取りは、徐々に遅くなってゆき、そして最後には立ち止まってしまう。
「ふぅ、ふぅ……リュックが大きくて走りにくいゾ……」
背中の荷物さえなければもっと速く走れるかもしれない。
だが、少年はそれをしない。
なぜなら、その荷物は青年に病院に託された大切なものなのだから。

――ともかく、このデイパックを持って病院まで行ってくれ。

青年の目は真剣そのものだった。
そんな目を見てしまっては、しんのすけも男としては断るわけにはいかない。
そう、これは男と男のお約束なのだ(あのポーズをしたわけではないが)。
男と男のお約束は、決して破るわけにはいかない神聖なもの。
しかも、その青年は一人でとても強い剣士の下へと向かっていった。
今、彼の為に助けを呼べるのはしんのすけ以外にいない。
「そうだゾ……オラがこんなところで弱音なんて吐いちゃ、シメジがつかないんだゾ……!!」
しんのすけは肩からずれそうになっていたベルトを正すと、再度道の向こうを見据える。
「野原しんのすけ、ファイヤー!!!!!!」
そして、少年は再度走り出した。

白髪の少年と一緒に女剣士から逃げた道をまっすぐ走る。
アスファルト舗装が剥がれ、破壊の痕跡の残る通りを走る。

たとえ、石につまずいて転んだとしても、すぐに起き上がる。
疲労がピークに達しようと、膝をすりむこうと、鼻血が垂れようと気にしない。
彼には立ち止まっている暇などないのだから。

全ては自分に荷物を託した青年との約束を果たす為。仲間のピンチを救う為。そして、皆が元気な姿で帰る為。

――自分を含めた皆の未来の為に少年は走り続けた。

515 :ウソのない世界 ◆lbhhgwAtQE :2007/05/19(土) 02:03:02 ID:qBuc8Cih


しんのすけが走り出したのと時を同じくして。
そのしんのすけを迎えに行こうと病院を飛び出したゲインが、彼らのいたとされる民家に到着していた。
ただし、彼が到着した時は既にそこには探していた少年を含めたロックの仲間達の姿はなかったが。
静寂が支配するそこに残っているのは、生々しい破壊の痕跡。
そして……。
「遅かった……のか」
民家の庭らしき場所に来ていた彼の足元には、一人の少女が倒れていた。
血にまみれ、完全に絶命した状態の少女が。
その普通の人間とは違う形をした耳や髪形から察するに、彼女はロックの仲間の一人だったトウカという武士だろう。
武士――ニンポーを使うニンジャと同じ時代にヤーパンに存在したという剣士。
一度で良いから、その剣術とやらを見てみたかったのだが、それがどうやら叶わないようだ。
そして、更にその少女の遺体の横へ目を向けると、そこには小高く盛られた土の山が2つ並んでいた。
――それが墓なのだと仮定すると、恐らくこの土の下には山の数だけ、すなわち二人分の遺体が眠っているはず。
更に言うならば、その二人というのは、ここに残っていたメンバーであり、先程の放送で名前を呼ばれた園崎魅音と北条沙都子という二人の少女だろう。
「こんな場所でご婦人が3人も犠牲に……いや、4人か」
破壊された民家の中を一度捜索したゲインはそこでもう一人の妙齢の女性の遺体を見つけていた。
そして、それが民家襲撃の最有力容疑者であり、二人と同じく放送で名前を呼ばれた女性、峰不二子であることも彼は気付いていた。
不二子はエクソダスを目指すゲインらから見れば敵ともいえる参加者であったが、それでも彼は彼女の遺体を無碍にはせずに、その見開いた目を閉じさせ、近くにあった毛布を被せてやっていた。

――たとえ敵でも、息絶えた女性をそのまま野ざらしになど出来ない。

それが、ゲイン・ビジョウという男だった。


「しかし、こいつは納得がいかないな」
彼は、トウカの体に民家から引っ張り出した毛布を被せながら、1つの疑問を抱いていた。
その疑問の原因は、他ならないこのトウカという少女の遺体という存在。
彼女がここで息絶えているという事は単純に考えると、仲間二人と共にここに戻ってきた際に、何かしらの戦闘に巻き込まれたということだ。
そして、そうだとするならば、ここに遺体のない他の仲間達は何故、同じ仲間である彼女をこのように野晒しにしていったのだろうか。
たとえ、何かをする間もなくレヴィとカズマがここに到着したのだとしても、彼らは彼女をこのまま放置したまま病院に戻るだろうか。

――答えはは否だ。ロックから聞いていた仲間内での信頼関係から察すればそれは無いはず。

しかし、事実として彼女は放置されていた。
まるで、彼女を弔う暇もなく何かしらのアクシデントに巻き込まれたかのごとく。
「…………予感で済めばいい話なんだけどな」
ただの予感であってほしい。
実際はレヴィ達に連れられて病院に向かっている真っ最中、異常なんて微塵もない――そんな現実であってほしい。
そう願いつつも、ゲインは立ち上がる。
病院に戻り、しんのすけらがきちんと到着しているのかを確認する為に。。
「……申し訳ない、ご婦人方。俺は諸事情から病院に戻らなくてはならなくなってしまいました。ですが、必ずやここに戻ってきて、あなた方を弔って差し上げます。ですから、しばしの間待っていてください。……それでは!」
トウカの遺体、そして不二子の遺体のある方角を一瞥すると、ゲインは再度走り出した。
しんのすけらが自分の予想を裏切って、無事に病院に到着している事を祈りながら。

516 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/19(土) 02:03:32 ID:oTTY4M/P
     

517 :ウソのない世界 ◆lbhhgwAtQE :2007/05/19(土) 02:04:33 ID:qBuc8Cih
民家を飛び出たゲインが再び病院へ繋がる大通りに戻るのにそう時間はかからなかった。
「ただの無駄足で済んでくれよぉ……」
脳裏をよぎる嫌な予感を振り払いつつ、彼は病院の方向へと足を向ける。
――と、その時だった。
背後から僅かにだが何かが爆発したかような音が聞こえたかと思うと、突如自分達を見下ろしていた空が歪んだ。
文字通り、映像を写していたスクリーンが波打ち、引き裂かれたかのように。
「な、何だ!? 一体何が……」
突然の事態にゲインは思わずその場に立ち止まり、空を見渡す。
すると、北を向いた彼はそこで“ないはず”のものを見つけてしまった。
「あ、あれは何だ……? 城……か?」
歴史の本でしか見たことのないような形をした建造物。
今までなかったはずのそのような建物が、北の空に確かに現れていたのだ。
そして、そこで彼は薄々気づき始めた。
その現象が何故起こったのか、あの城のような建物は何なのかに。
「亜空間破壊装置……誰かが残りを破壊したってのか? 俺たちじゃない誰かが……」
空が歪み、今まで見えなかった城が姿を現す――それを大規模な空間の変動だと仮定するならば、それは恐らくゲインらが行おうとしてた亜空間破壊装置の破壊の結果によるものと考えられる。
そして、そうだとするならば現れた城は即ち、自分達が最初に集められた場所であり、今もこのゲームを管理している地――ギガゾンビの拠点であろう。

しかし、そう仮定するも、この仮定には決定的な矛盾がある。
それが、『誰が破壊したのか』という点。
現在まで生存している自分以外の参加者12名のうち、自分達の仲間であるのがセイバーという剣士を除く11名。
そして、そのうち6名は病院で待機しており、残る5名も病院に向かっている最中のはず。
装置を破壊する為の人員などいない上に、残りの装置がある寺と温泉に向かうは距離的にも不可能なはずだった。

「――ったく、ここに来て気になることが一気に増えるとはな……。俺って、そんなに日頃の行い悪いかねぇ」
勿論、今回の現象が装置破壊に寄らない別の現象であると考えることも出来る。
だが、それでも装置破壊の可能性を拭いきれない彼は、その事実の確認についても話をしようと決め、今度こそ病院へ向かって歩を進めようとする。
――しかし。
「ふぁいや〜〜〜、わぶっ!!」
「うぉっと! な、何だ何だ?」
その歩はまたも止められた。
今度は、彼の足に突如としてぶつかってきた小さな少年によって。
「いてててて……。モ、モ〜、何でこんなところに電柱があるんだゾ……」
「おいおい、そんな血まみれで大丈夫か、ボウz――――――!!」
自分の足にぶつかり、転んだ少年に手を差し伸べようとしたゲインはここで気付いた。
生存者の中で最も年下であろうその体躯、特徴的なジャガイモ頭、そしてその服装……。
何もかもが、彼の探し続けた人物のものと合致していた。

――しんのすけ……を……よろし……く…………

身を呈して自分を助けてくれた女性の愛する子供であり、彼が絶対に守り通すと心に決めていた少年。
それが今目の前に……。
ゲインは改めて少年に声を掛けた。
「ボウズ……野原しんのすけ、だな?」

518 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/19(土) 02:04:59 ID:oTTY4M/P
      

519 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/19(土) 02:06:11 ID:PSAjuyjB


520 :ウソのない世界 ◆lbhhgwAtQE :2007/05/19(土) 02:06:38 ID:qBuc8Cih


しんのすけは突然見知らぬ男に名前を呼ばれ、顔をキョトンとさせる。
「え? 何でオラの名前をおじさんが知ってるの? てゆーか、おじさん誰?」
「おいおい、おじさんはよしてくれや。俺はまだ若いつもりなんだからな」
苦笑しながら男はしゃがんで、しんのすけと目線を合わせる。
「俺はゲイン・ビジョウ。ミサエからお前の事を任されたエクソダス請負人だ」
ゲインと名乗った男は、そう言ってしんのすけの頭を撫でる。
「え? おじさん、母ちゃんのこと知ってるの?」
「あぁ。短い間だった一緒にいてな……」
ゲインはそう言いながら、何やら表情を曇らせる。
だが、その表情の変化にしんのすけは気付かない。
「――ところで、お前は一人なのか? その……誰かと一緒じゃなかったのか?」
「う〜ん、ついさっきまで、キョンのお兄さんとハルヒお姉さん、トウカお姉さんだったんだけど、剣を持ったお姉さんがいきなり襲ってきて、そしたら変なハニワに変なところに飛ばされて、そしたらキョンのお兄さんがやってきてそれで…………」
そこまで言ったところで、しんのすけは顔をはっとさせる。
「そ、そうだゾ!! オラ、これを病院にお届けしなくちゃいけないんだゾ!!」
「これって……その荷物の事か?」
「そうだゾ! オラ、キョンお兄さんから頼まれたんだゾ! 荷物を届けてくれ、って!」
「……ちょっと見せてもらってもいいか?」
ゲインはしんのすけが背負ったままのデイパックを開くと、何やら小さい端末が繋がったままのノート型のパソコンが姿を見せた。
そして、それを見るとゲインは真剣な面持ちで、再度しんのすけの頭を撫でる。
「なるほどな。確かにこれは病院に急いで届けなくちゃいけない代物だ」
「そうなんだゾ! だから早――おぉぉぉっ!!」
しんのすけがまくし立てようとすると、その体はいきなり宙に浮く。
そして、その浮いた体はゲインの腕の中にすっぽり納まる。
「よくここまで頑張ったな、しんのすけ。流石、みさえの息子だ。……後は俺に任せろ。俺が病院までお前さんごと運んでやるよ」
「お〜! オラごと宅急便されちゃってる〜」
「そんじゃ、出発だ。しっかり掴まっとけよ!」
「ほっほ〜い! 出発おしんこ、キュウリの糠漬け〜!」
しんのすけの掛け声と共に、ゲインは地面を蹴った。
一路、病院へと戻るために。

521 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/19(土) 02:06:46 ID:oTTY4M/P
       

522 :ウソのない世界 ◆lbhhgwAtQE :2007/05/19(土) 02:08:19 ID:qBuc8Cih


「……なるほど。キョンとやらは一人でどこかに行っちまった、ってわけか」
「うん。お兄さんはハルヒお姉さんをお助けに行っちゃったんだゾ。キスをした女を助けないのは男じゃないって言って」
「ほぉ、そういうことか……」
しんのすけから聞いた話から鑑みるに、やはり事態はまさにゲインの想定していた悪い方向に進んでいるようだった。
しかも、ツチダマ――しんのすけ曰く変なハニワ――が参加者に干渉しはじめているということは、ギガゾンビが自ら動き出し始めている可能性がある。
これは是が非でも病院に戻り、一度対策を練り直すべきだろう。
今後、エクソダスのこれ以上の詳細についてギガゾンビに勘付かれないように。
そして、しんのすけが別離したというハルヒやキョンの捜索を行うために。
「ねぇねぇ、ちょっといい?」
そんな風に今後の事を考えていると、不意にしんのすけが声をかけてきた。
「ん? どうした?」
「お兄さん、病院に誰がいるか知ってるの〜?」
「あぁ、知ってるとも。あそこには俺たちの仲間が大勢いる。ま、中には俺みたいに、少しその場を離れてる奴もいるけどな」
「ふ〜ん。それじゃあ、父ちゃんや母ちゃんもそこにいるの?」
「……え?」
それは彼にとっては、あまりに今更な質問だった。
何せ、彼の父親ひろしと母親みさえは既に……。
「とーちゃんもかーちゃんも、オラがいなくてもシッカリやってるか不安なんだゾ。やれやれ……」
腕に抱きかかえた少年は、さも両親がまだ存在していることが当然かのように言葉を紡ぐ。
そして、そのあまりの無邪気な声を聞いていてゲインは気付く。

――彼はまだ両親の死を知らないのでは、と。

「早く皆で春日部に帰らないと、ひまやシロがお腹ペコペコで倒れちゃうから心配だゾ〜」
恐らく、ロック達がしんのすけを気遣って、今までその事実を隠し通してきたのだろう。
まだ年端もいかない少年に、両親の死という事実は酷すぎるだろうということで。
それは確かに正しい判断だったかもしれない。
しかし、この両親の死を隠された優しい虚構の世界は時に遅効性の毒のように人をじわじわと苦しめる。
まるで、ぬるま湯のように。
ぬるま湯は、確かに人にとって心地よい空間であり、いつまでも浸かっていたくなる。
だが、いつまでも浸かっていると、いざそこから出た時に外の世界の冷たさに余計に衝撃を受けてしまう。
つまり、隠し通せば隠し通すほど、後に現実と直面したしんのすけに多大なダメージを与えてしまうことになるのだ。
ましてや、両親の死などという事実はいつまでも隠しとおせるものではなく、時間が経てば必ずばれてしまう。
そう考えるとすると、目の前の少年をそのぬるま湯から引き上げるなら今がチャンス……。
今なら、まだ受ける衝撃も小さくて済むはずなのだ。
(悪いなロック。お前の気持ちは痛いくらいに分かるんだが……)
心の中で今までしんのすけを保護してきた男に詫びを入れると、ゲインは立ち止まり、抱いていたしんのすけを地面に下ろす。
「お? どーしたの、おじさん。まだ病院じゃないゾ?」
「……病院に戻る前にお前に話しておかなきゃならないことがある」
そこでゲインは一呼吸入れて、気持ちを落ち着かせると、再び口を開く。
「いいかシンノスケ。お前の父親と母親はな――――――」

523 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/19(土) 02:08:28 ID:oTTY4M/P
         

524 :ウソのない世界 ◆lbhhgwAtQE :2007/05/19(土) 02:09:45 ID:qBuc8Cih


「……え?」
しんのすけはゲインの言葉を聞いて、硬直する。
「おじさん、ウ、ウソついちゃダメだゾ。ウソつきはドロボーの始まりだって母ちゃんも言ってるし……」
「嘘じゃない。二人とも、もうこの世にはいない。……死んだんだ」
「だ、だって、さっきおじさん、母ちゃんに頼まれたって……」
「あぁ、頼まれたとも。俺の事を庇って死んだ時、その遺言として託されたんだ」
ゲインは一度立ち止まり、真剣な眼差しでしんのすけを見ながら喋る。
その顔からは、彼が嘘をついているようには聞こえない。
「でも……でも! ロックお兄さんもキョンのお兄さんさんも、ハルヒお姉さんも魅音お姉さんもサトちゃんもトウカお姉さんもエルルゥお姉さんもそんなこと一言も……。それじゃ、皆オラに嘘ついてたってことなの!? そんなはずないゾ!」
「ロック達はお前の事を思って、あえて言わなかったんだよ。……そこらへんの嘘つきとは違う」
「それじゃ……それじゃ、本当に父ちゃんと母ちゃんは…………?」
ゲインの顔を見上げると、彼は黙って首を縦に振った。
その彼の言葉や表情を見るに、それは嘘や冗談などではなく、紛う事なき事実なのだろう。
いや、ゲインから話を聞き始めた時から、しんのすけは薄々本当の事なのだろうと考えていた。
ただ、それを信じたくなかったのだ。
しかし、現実はそんなしんのすけの期待通りにはならなかったようで……。
「父ちゃん……」
ヒゲがジョリジョリして、足は臭く、いつも妻のみさえの尻に敷かれていた冴えない父親のひろし。
だが、それでも彼はしんのすけにとって愛すべき、唯一の父であった。

――父ちゃんは、いつでも見守ってる。おまえの心の中にいる。……だからな、泣くんじゃないぞ。

夢の中の父は、そう言って力強く抱きしめてくれた。
まるで今生の別れのように。
「母ちゃん…………」
尻が大きく、口うるさい上に、すぐにぐりぐり攻撃をしてきた厳しい母親のみさえ。
そんな彼女もまた、しんのすけにとっては何者にも代え難い母親であった。
「みさえは本当に勇敢で、そして優しいご婦人だった。お前は、そのことを誇りに思っていい。胸を張っていい」
ゲインに頭を撫でられながら、しんのすけは俯き、震える。

――泣きたかった。声を出して、涙を流したかった。

だが、しんのすけはそれを堪える。
“泣くんじゃないぞ”をいう父の言葉を思い出して。
ひろしも言っていたじゃないか。
いつでも見守ってる。心の中にいる、と。
そう、しんのすけが存在する限り、二人は自身の中に生き続けるのだ。
無論、ヘンゼルや魅音、沙都子たちもまた然りだ。
そして、だからこそそんな彼ら達の分も、しんのすけは生きなければならない。生きて春日部に帰らなくてはならない。
その為にも――――。
「オラ……頑張るゾ。父ちゃんや母ちゃんの分も、皆をお助けするんだゾ……!!」
しんのすけは顔を上げ、まっすぐ前を見ると、その足で病院への一歩をしっかりと踏み出した。


525 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/19(土) 02:10:53 ID:PSAjuyjB


526 :ウソのない世界 ◆lbhhgwAtQE :2007/05/19(土) 02:11:02 ID:qBuc8Cih


「……もう、大丈夫なのか?」
「うん。それにオラがこれを病院にお届けしないと、キョンお兄さんとのお約束を守れないし、ハルヒお姉さん達をお助けできないんだゾ!」
(大した子供だ……)
ゲインは目の前を歩く少年を見ながら、素直に感嘆していた。
この少年、しんのすけはこの歳ありながら両親の死という現実と直面した。
しかし、彼はその現実を受け入れ、その上で前へと、未来へと足を進める決意をしたのだ。
自分でさえ、ウッブスでのエクソダス失敗による惨劇の直後は、しばらく塞ぎこんだというのに。
(やはりこの子は、紛う事無いミサエの息子なんだな)
最期の最期まで気丈だった女性、野原みさえ。
彼女の心の強さは、きちんと息子にも受け継がれていた。
……いや、きっと彼女だけではない。
恐らく、彼女の夫でありしんのすけの父親であるひろしという男もまた、みさえと同じように強い人物だったのだろう。
だからこそ、その間に生まれた子は、こんなにも強くまっすぐに育ったのだ。
「おじさーーん! 早く早くぅー!!」
「だから、おじさんはよせって言ってるだろうが!」
ゲインは目の前を走るしんのすけを追いかけながら、ふと空を見上げる。
「……ミサエ。それにヒロシ。お前らの息子は、この俺が必ずエクソダスさせてみせる。だから、安心してくれ」

首輪解除に亜空間破壊装置、更に突如現れた城や消えたキョンとハルヒなど、まだまだ問題は山積みのまま。
だが、それでもゲインは決してエクソダスを諦めない。
主催者を打ち倒す為。
ウッブスの悲劇を繰り返さない為。
みさえとの約束を果たす為。

そして、しんのすけの未来を守る為に……。




【C-3・道路上/2日目・午後】

【ゲイン・ビジョウ@OVERMANキングゲイナー】
[状態]:右手に火傷(小)、全身各所に軽傷(擦り傷・打撲)、腹部に重度の損傷(外傷は塞がった)
[装備]:ウィンチェスターM1897(残弾数5/5、予備弾薬×25発)、NTW20対物ライフル(弾数3/3)、悟史のバット
[道具]:デイパック、支給品一式、スパイセットの目玉と耳(×2セット)
トラック組の知人宛てのメッセージを書いたメモ、エクソダス計画書
[思考]
基本:ギガゾンビを打倒し、ここからエクソダス(脱出)する。
1:しんのすけと共に病院に戻り、見聞きした情報を整理する(謎の城について、キョンとハルヒについて等)
2:しんのすけを守り抜く。
3:皆を率いてエクソダス計画を進行させる。
4:時間に余裕があれば、是非ともトウカと不二子を埋葬しに戻りたい。

[備考]
※仲間から聞き逃した第三放送の内容を得ました。
※首輪の盗聴器は、ホテル倒壊の轟音によって故障しています。
※モールダマから得た情報及び考察をメモに記しました。
※亜空間破壊装置が完全に破壊されたのでは、と少なからず考えています。

527 :ウソのない世界 ◆lbhhgwAtQE :2007/05/19(土) 02:11:59 ID:qBuc8Cih


少年は駆ける。
病院へ向けて。

ただ、まっすぐに。
ただ、ひたすらに。
ただ、がむしゃらに。
青年に託された荷物を背負いながら。
仲間を助けたいという願いを持ちながら。
そして、死んでいった両親の想いを胸に秘めながら。

(オラ、絶対に春日部に帰るんだゾ。そしたら、ひまやシロのドーメンをちゃんと見るゾ。幼稚園にも遅刻しないゾ。
 お片づけもちゃんとするゾ。だから……だから、オラのこと、ちゃんと見ていて欲しいんだゾ!)

「野原しんのすけ、ファイヤー!!!」



世界はいつだって“こんなはずじゃない事”だらけだ。
それは遥か昔から、いつの時代でも、誰でも同じ事。
それに、背を向けるのは楽なこと。
それに、面と向かうのは辛いこと。
そのどちらを選ぶのかは、その人次第だけれど――――少年は選んだ。

前を向き、真っ向から立ち向かう道を。
その先にある未来を信じて。


【現在地・時間はゲインに同じく】
【野原しんのすけ@クレヨンしんちゃん】
[状態]:全身にかすり傷、頭にふたつのたんこぶ、腹部に軽傷、
    SOS団名誉団員認定、全身が沙都子の血で汚れている
[装備]:なし
[道具]:デイバッグと支給品一式×4(食料-5)、わすれろ草、
   キートンの大学の名刺 ロープ、ノートパソコン+ipod(つながっている)
[思考]
基本:皆でここから脱出して、春日部に帰る
1:病院に向かって助けを呼ぶ。
2:何か出来ることを探したい。
[備考]
※両親の死を知りました。

528 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/19(土) 02:12:06 ID:oTTY4M/P
    

529 : ◆A.IptJ40P. :2007/05/20(日) 00:01:12 ID:x768Vwkq


最初に響いたのは、音だ。
その数は無数。全く同時ではなく、僅かなずれを孕んで響き渡る。
最初のそれはごくごく軽い、大地を足裏が叩く音。
病院を背にした黒衣の男が剣を右手に振りかぶり、滑空じみた跳躍をもって接近。
速度はさながら鷹。風と等速で迫る白刃。

「バルディッシュ!」

続くは即応したフェイトの一声。そして、その手に構えられた杖から響く三つの金属音。
コッキングカバーがスライドし一つ、リボルバーに装填されたカートリッジに撃針が叩き込まれ二つ。
斧頭が雷光を撒き散らしつつ魔力刃の基部として展開し三つ。そして、

『Haken Form』

鎌の一閃。精製された刃の先端が、聖剣の打突を辛うじて受け止めた。

(速い……!)

フェイトやシグナムのような、高速戦を主体とする戦闘者でなければ反応すら出来ない。
その領域の速度だ。真横にいた凛ではなく、正面のフェイトに斬りかかってきたのは幸運だった。
そうでなければ、彼女は心臓を刺し貫かれて即死していただろう。
現に、未だ眼を見開いたまま硬直している。

それを脇目に剣戟は続く。鎌の刃に受け流された袈裟が反転し、

「ゥォォッッ―――!!」

咆哮、逆袈裟の一撃。
しかし、それは妨げられる。

「させない……!」

漆黒の魔弾が、頭部を覆う兜を狙う。
動き出した凛の一手目、ガンド撃ち。凝縮され物理的破壊力を備えた呪詛の弾丸。
それも三点速射、狙点は額と側頭、後頭部。前後左右、どちらに頭を傾けようが二発は直撃する。
人間では―――否、並の化物であっても、避けられない。

だが、今のグリフィスは、並でもなければ人間でもなく、故に―――

「え……!?」

―――避ける必要すら、無い。

兜に直撃した弾丸は、しかし風と解けて掻き消える。

「「無効化した……!?」」

凛の視界、黒衣の騎士が、銀の騎士王と重なった。

(あの剣……エクスカリバー!?
 でも有り得ない。対魔力はクラスに依存する、宝具を持っても得られるものじゃない。
 私達が知っているものとは違うディスペル能力……!?)

あまりにも情報が少なく、憶測が精々だ。だが対応は変わらない。

「こいつは敵ね―――やるわよ!レイジングハート、リインフォース!」


530 : ◆A.IptJ40P. :2007/05/20(日) 00:02:14 ID:vnwP4Zs0

『Load cartridge』
『―――ユニゾン・イン』

薬莢が弾け飛ぶと同時に、凛の肉体に変化が訪れる。
まずは内面。筋肉、骨格、神経、そして魔術回路の全てが変成され、強度、性能を共に人外の域にまで押し上げる。
そして外面。漆黒の髪は、月光に近い白銀へ。虹彩は深く沈み、空の果てに近い蒼へとその色を変えた。

からん、と軽い音を立て、空薬莢が地面に転がった。

聖骸布が翻る。背には黒翼、左手に魔導の書、右手に杖を構え、銀髪を腰へと流すその姿は、語り継がれる魔法使いそのものだ。

『損耗率、およそ三割……無茶は出来んぞ』
『回路の修復はほぼ完了しています。外殻、フレームはほぼ手付かずですが、砲撃を行う分には問題ありません』

現状を伝える従者の声に、魔術師はその意思を返す。

「―――充分よ」

翼が大気を叩き、飛ぶ。杖―――否、砲を眼下の敵へと向け、

「アクセルシューター!」
『Accel Shooter』

十二発の同時射撃。弧を描く弾道が、フェイトと切り結ぶ黒衣を全方位から囲い込む。
だが、それすらも、

「効きゃあしないってわけ!?」

前方左右は事も無げに打ち払い、後方と上から迫るものは一瞥すらしない。
鎧の表面で、その全てが霧散するからだ。

「なら!」

闇の書を掲げ、

『Schwalbefliegen』

八つの鉄弾が魔力光を曳き、一直線に飛翔。
直線弾では容易く避けられる。故に、

『フェイト!動き止めて!』
『はい!』

一諾と共に、聖剣を受け止めたバルディッシュから、一つの魔法が放たれる。

『Lightning Bind』

雷撃の輪が両足を拘束。滑空を強制的に中断させた。
剣技とは足首の捻りと膝の屈伸、腰の旋回から肩、肘、手首と動作を連ねる全身運動。故に、足を動かせなければ剣速は落ちる。
左から袈裟に首を刈らんとするフェイトの一撃と、右上空から迫る弾丸。防御出来るとすれば片方だけだ。

鎧の左腕が強く振られた。その反動と腕力のみで、剣を右腰から左へと振り上げる。
狙いは中腹。鎌をその担い手ごと弾き飛ばした。
しかしそこで終わり。捻り切った腰と肩、この体勢から、八連弾を防ぐ速度を叩き出すのは不可能だ。

だが―――この男は、その道理さえも覆す。

531 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/20(日) 00:02:21 ID:M6UhLhrA
 

532 : ◆A.IptJ40P. :2007/05/20(日) 00:03:04 ID:x768Vwkq


背面左肩、そして右腕から魔力が噴き上がり、振り上げられた剣を強引に軌道変更。弾道上に白刃を割り込ませる。
後は僅かな調整だけで構わない。握力によって剣を支えておけば、その強度によって全て弾かれる。
同時、足を縛る魔法陣が、硝子の擦れる音を立て、しかし耐え切れずに砕け散る。
両足に渦を巻く魔力によって、だ。

(魔力が噴き出した……!?つまり、あの無効化は―――)

その瞬間、遠坂凛は、防御の仕組みを看破した。
あまりにも単純過ぎる。それ故に、彼女達の盲点だったのだ。
知らず、凛の口から声が漏れた。

「―――なんて、デタラメ」

その結論を、フェイトに伝える。

『あれは『魔力放出』よ!全身が魔力の流れで覆われてて……それが魔力弾より強いから、攻撃が相殺されて呑み込まれたのよ!』

―――あらゆる神秘は、より強い神秘に打ち消される。

魔術の基本法則だ。魔力弾を魔力の流れにぶつけるのは、水流に水の弾丸を叩き付けるのと同じ事。強い方が流れを決める。
だが、それで防御されるなど有り得ない。ただ垂れ流すだけの流れと、弾丸として集束させた魔力。どちらが強いのかは明白だ。
その疑問は、バインドを破壊した瞬間に見極めた。
噴き出される魔力の密度はさほど高くもない。それだけでバインドが砕かれる事は無い。
鎧に接触した途端、滲み出る魔力が枷を砕いたのだ。
その空隙、鎧から薄皮一枚程の空間に、超高密度の魔力が流れている。
急激な放出は、それを解放して行ったのだろう。
ならば、

『接近戦か……直射型の砲撃を当てるしかありませんね』

それ以外に、突破する手段は無い。
白兵ならば、魔力刃の密度任せで貫ける。
直射型の砲撃は、曖昧な防御を強引に押し流すことが可能だ。

開かれた世界に、大気を裂く音が響き渡った。



「ォォォォッッッ―――!!」

狂戦士の咆哮が、病院の窓硝子を震わせた。

打ち合う光鎌と聖剣。フェイトが射線から外れる瞬間を慎重に狙い、
「ディバインバスター!」
後方に備えた凛の一撃。同時にリインフォースも同じ魔法を編み上げている。
『『Divine Buster』』
合計八つの環状魔法陣が、鎧に向けられたレイジングハートと凛の左腕を覆い双砲とする。
射撃した。
「―――シュートッ!」
二双の砲撃から飛び退る鷹、動作だけを見れば付け入る隙はある。だが、一挙に魔力を放ったその反動による加速は、到底追いつけるものではない。


533 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/20(日) 00:04:12 ID:M6UhLhrA
 

534 : ◆A.IptJ40P. :2007/05/20(日) 00:04:27 ID:x768Vwkq

男が魔力放出、魔弾の相殺を行ったのは一度や二度ではない。仮にサーヴァントがそれだけの行動を行ったのならば、例えマスターが凛であったとしても干乾びる。
これだけの魔力を放ち続けることが可能なアーティファクトなど、凛の知識には存在しない。
『……一体、何なのよ。ジュエルシードって』
敵が退いた空白に念話。それに対し、
『宝石です。願いに反応し、魔力を解放する……そして殆どの場合、動植物を取り込み暴走に至ります』
簡潔に答えを返すフェイト。
再び黒衣が宙を舞う。狙いは凛、今までより僅かに速いが、回り込んだフェイトが受け止める。
『魔力の篭った宝石……魔力量は? 無限とか言わないでしょうね!?』
念話を行使しながらも、刃を受け止める手は揺ぎ無い。凛も同様だ。次の攻撃を構築しつつ、隙を窺っている。
『……上手く使えば、世界を十は壊せます』
『脱出に使えるわね……』

(取り出す方法。体内で融合して魔力を放っている『願いに反応する』宝石……なら!)

『ルールブレイカー、持ってる?』
『あの短剣なら、私は持っていません。病院の机に置いてあると思います』
『使えば、こいつを倒せるわ』
破戒すべき全ての符。ありとあらゆる魔術契約を破棄させるあの宝具を突き立てれば、
(ジュエルシードも、恐らくは分離する……!)
だが、
『病院の、中?』
切り結ぶフェイト。その背後から援護射撃を行う凛からは、病院の外壁が見えている。
黒衣の男の肩越しに、だ。
『二手に別れるのは?』
『駄目ね。あのスピードで背中を狙われて避け切れる?』
『どちらかが足止めして、その隙に取りに行けば……ッ!?』
『嘘……!?』

驚愕の声が、同時に挙がった。

刃を振るっていた黒衣の男が、突如その速度を大幅に増したのだ。
フェイトとバルディッシュは躊躇わなかった。
『Sonic Form』
外套が紫電を散らして弾け飛び、同時に四肢へ光が宿る。
風を巻き起こし推進力へと変えるそれは、雷の色を宿した羽根だ。
その加速によって鎌を振り上げ、長剣の打ち下ろしを受け止める。
(……ソニックフォームじゃないと、止められなかった……!)
何故、速度が上がったのか。
簡単だ。人は歩くことによって走る方法を知る。魔力放出による機動制御に慣れたというだけの話。
そして、剣速が上がればその衝撃は重くなる。つまり、
(潰される……!)
圧し合うエクスカリバーとバルディッシュ。上に位置し、重量の全てを攻撃に回せるエクスカリバーが勝つのは道理。
だが、救いの手は訪れた。
『跳んで!』
凛の念話。反射的に刃を流し、真上へと飛翔した。

男は振り下ろした剣を受け流された状態だ。いかに魔力放出を行おうとも、慣性に重力が加わっては、刃を返すのは難しい。

フェイトの真後ろに備えていた凛にしてみれば、絶対の隙だ。


535 : ◆A.IptJ40P. :2007/05/20(日) 00:05:49 ID:x768Vwkq

レイジングハートを左にスイッチし、右の拳を握り込む。
身を捻り半身へ。脚を僅かに上げ、そして大地を打ち据えた。
震脚。その反動、筋肉の収縮、重心の移動、呼吸法、それら全てが複雑に絡み合い相乗し、ヒトの拳を、一つの兵器にまで練り上げる。
加えて、
『Schwarze Wirkung』
漆黒の魔法陣が拳に力を付与し、

「――――――はぁッ!」

四千年の歴史を謳う拳技の一つが、鎧の中央、鳩尾を直撃した。
巨岩をも粉微塵に消し飛ばすであろう一撃。鋼は軋み、しかし、

(手応えが浅い!?)

剣を振り上げる事を捨て、退避のみに魔力を注いだ黒衣は、一瞬だけ早く跳んでいた。
拳の打撃に跳躍のベクトルを合わせ、その衝撃を受け流したのだ。
鎧は僅かに罅割れているが、肉体にダメージは無い。

だが、遠坂凛は諦めなかった。レイジングハートを右へと戻し、左の拳を握り、

「吼えなさい!」

『Eisengeheul』

生成された紅い球体に、一撃を叩き込んだ。
炸裂する。
殺傷能力は無い。だが、圧倒的な轟音と閃光は、術者を除いた全ての者の感覚を殺す。

鋼の咆哮が、放たれた。



黒衣の男が視聴覚を喪っていたのは、極めて短い間だけだった。
人間が何の用意も無く受ければ一分近くの行動不能に陥るが、化物に対してそれを期待する方が間違っているというものだ。

視界に映ったのは、杖を持った黒髪の少女が一人だけ。
内から湧き出る衝動に従い、剣を構えて打ち掛かる。
(……?)
言い知れぬ違和感を感じた。だが彼は気にも留めない。ただ切り殺すのみ。

一刀。首を落とす筈だった一撃は、
「レイジングハート……!」
『Protection Powered』
展開された桜色の障壁に阻まれた。魔力の余波が、少女の黒檀じみた黒髪を舞い上げる。
ゆっくりと、しかし確実に、切先が盾を切り裂いていく。

その時だ。彼が、彼女の浮かべる表情に気付いたのは。


――――――世界を見据えてなお揺るがない、不敵な笑み。


翻る髪は、白銀ではなく漆黒。

危険を直感し身を引いた刹那、黒衣の全身に、それが襲い掛かった。


536 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/20(日) 00:05:57 ID:M6UhLhrA
 

537 : ◆A.IptJ40P. :2007/05/20(日) 00:07:09 ID:x768Vwkq



『ねえフェイト。足止めなら、何秒持つ?』
『……六秒が精々です』
速度は追随されつつあり、力においては完全に押し負けている。
凛の援護射撃が牽制として作用していたからこその互角。
『そう……私はきっと、一秒だって持たないわ。今のスピードじゃ、動きを追うのが限界よ』
書の状態が万全であり接近戦をこなせれば、話は別だったのだろうが。
或いは彼女の素の能力が人から外れていれば。
しかし遠坂凛という魔術師は―――彼女の世界における魔術師は、戦闘者ではなく研究者だ。
それなりに練られた体術とて、黒衣の剣技に比べれば児戯に等しい。
到底、勝てはしないのだ。
だが彼女は誓った。喪わせた命は償うと。自らの決断の誤りによる喪失は、正しく迷わぬ決意によって贖うと。
この場において、最も間違った決断とは、
(私かフェイトが命を捨てること……!)
自己犠牲は美しい。だがそれだけだ。後には何も残しはしない。
自分達の死は、セイバーやギガゾンビに対する反逆の一歩を鈍らせる。
ならば、
『……足止め、頼んだわ』
『……!?』
その驚愕は、リインフォースのものだ。

凛が、自ら融合を解除した。

そして、淡々と事実を告げる。自らの弱さに目を逸らさないのが、今の彼女の在り方だ。
『コイツを相手に、私は戦力に入らない。今闘えているのは私じゃなくて、リインとレイジングハートの力よ。
 貴方とバルディッシュを足して四人。それだけで、コイツと互角に闘っている。
 なら―――三人掛かりならどう?』
その言葉で、皆が全てを理解した。
フェイトも、バルディッシュも、レイジングハートも、リインフォースも。
『私はもう迷わない。同じ過ちを繰り返すような、そんな道は選ばない。
 ―――フェイト・T・ハラオウン。貴方はどうするの?』

その問いに、運命を見据え立ち向かうことを決めた少女は―――



上空から、真下を見据える視線がある。
(……私達が、勝つ為です)
黒鉄の戦斧を右手に掴む。金髪を風に流した彼女は迷いを振り払い、ただ一言を呟いた。

「―――ユニゾン・イン」

金髪が、青白い燐光を放つ稲妻じみた白へと転ずる。
同時、眼下の黒衣に向けて動力降下。
自由落下に背の四翼と四肢のフィンを加えたその速度が、音速の壁を打ち破った。
右手一本で構えた戦斧が紙を引き裂く音を立て、水蒸気の霧を曳く。

選択する魔法は一つ。射程距離を切り捨て、一撃の威力に特化した、ベルカ式の基礎にして真髄たる魔法。

『Load cartridge』

リボルバーが回転、定位置に移動したカートリッジが強烈な衝撃を受け圧縮魔力を解放する。
しかし、刃が噴き上げるのは金に輝く雷ではない。
それは風に舞い散る緋桜の色。
焔だ。

叫ぶ。その技の名を。かつて己の武器を断ち切った、その名を。

538 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/20(日) 00:07:42 ID:xkX9mKgP
 

539 : ◆A.IptJ40P. :2007/05/20(日) 00:08:11 ID:x768Vwkq

「紫電、一閃!」

振り下ろした。
直撃―――ではない。直前で避けられた。
だが爆焔の余波が、その鎧たる魔力を吹き飛ばす。

そして、フェイトの左手にはあるものが握られていた。
雷によって編まれ、しかし幅広の刃と鍔を備えたそれは一振りの長剣。
サンダーブレイド。

速度はフェイトが手に入れた。
敵の防御を剥ぎ取ったのはバルディッシュ。
ならば―――それを解き放つのが、彼女の持つ役割だ。

『リインフォース、蒼穹を渡る祝福の風。そして今は―――』

彼女の独白。それもまた決意を告げるようで。

『―――雷の元へと集う風の名だ……!』

応えるように、彼と彼女が声を挙げた。

「疾風、迅雷……!」

疾風を纏った迅雷の刃、それが得るのは加速ではない。

『Jet Zamber』

光を放つ切先が雷鳴を上げて伸長し、黒衣の腕を、左肩から切り落とす。

「今です!」
「ええ!」
フェイトの声に応え、凛は駆け出した。黒衣の横を飛翔によって抜け、病院へと飛び込んで行く。

優秀な猟犬は得物を逃さない。鎧の男はそれを追おうと足裏から魔力を放つ。
「追わせない……!」
だが、残像さえも残さず正面に回り込んだフェイトが、その進撃を停めさせた。

「私達の役目は足止め、だね……やるよ、バルディッシュ、リインフォース!」
『Yes,sir.』
バルディッシュがコアを明滅させ、応える。
『……一つだけ、聞いておきたい事がある』
だが、リインフォースは違った。その返答は問い掛けだ。
「……何ですか?」
若干気勢を削がれたフェイトが言葉を返す。
リインフォースは魔弾の構成を編みながら、

『ああ、時間を稼ぐのはいいが―――』

何の気負いも無く、まるでそれが当然であるかのように、


『――――――別に、アレを倒してしまっても構わんのだろう?』


そう、言った。


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