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【ジョジョ】ゼロの奇妙な使い魔【召喚72人目】

1 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/12(月) 07:50:44 ID:s3q4kI99
携帯でご覧の方は携帯ビューアのorz もしくは携帯用2chブラウザiMona をご利用ください
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【iMona】http://imona.net/
     _      ここは「ゼロの使い魔」と「ジョジョの奇妙な冒険」のクロスSSスレよ。
    〃 ` ヽ     他にも避難所にしか掲載されてないSSとかもあるから一度見てみなさい 
    l lf小从} l /    投下中は空気読んで支援しなさいよ 荒らしはスルーだかんね
   ノハ{*゚ヮ゚ノハ/     職人さんは荒らし防止にトリップを付けてよね
  ((/} )犬({つ'      次スレは900か950を踏んだ人が立てること
   / '"/_jl〉` j      480KBを超えた場合も立てるのよ。 わかった?
   ヽ_/ィヘ_)〜′

【ジョジョ】ゼロの奇妙な使い魔【召喚71人目】
http://anime2.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1193590003/

●まとめサイト                               ,〜'´  ̄ヽ
http://www22.atwiki.jp/familiar_spirit/pages/1.html         ミハ^^ヽヽ(   | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
●避難所.                           ____. -' ヽル::::д)ζ <批判は避難所だ!君の意見を聞こうッ


http://jbbs.livedoor.jp/otaku/9292/     =='、 ̄ニ|::... . . . . ...::::: :: ::〉:::.:ヽ     |____________

_____
●ジョジョの奇妙なAA集               ' ´   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄`!:::::::::::.. :i
ttp://jojoaa.web.fc2.com/                         `y::::::. ::ト、
●ジョジョスレUPローダ                            〉::::::::. .::`ヽ
ttp://vblave.hp.infoseek.co.jp/                        ハ:::::::: ..:λ:i
●アニメAA保管庫 ゼロの使い魔ページ                /:::::::::: .:/::::i´
ttp://aa.tamanegi.org/anime/zero-tsukaima/
*******************************************************
*スレ運営について意見のある方は運営議論スレへどうぞ    . *
*http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/9292/1184936505/ *
*******************************************************

2 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/12(月) 07:51:56 ID:s3q4kI99
第一部+第二部
ジョナサン 卿 ブラフォード シュトロハイム シーザー スケコマシーザー
究極生命体カーズ様 ワムウ様 スト様 石仮面+ブルりん+吸血馬

第三部
承太郎 法皇花京院 一巡花京院+平賀才人 メロン花京院
ジョセフ アブドゥル ポルナレフ イギー 
DIO様 ンドゥール ペットショップ ヴァニラ・アイス ホル・ホース
ダービー兄 ミドラー デーボ エンヤ婆 アヌビス神 ボインゴ 

第四部
東方仗助 仗助+トニオさん 広瀬康一 アンリエッタの康一 虹村億泰 ミキタカ+etc 間田
シンデレラ カトレアのトニオさん 岸辺露伴 静(アクトン・ベイビー)+露伴
デッドマン吉良 猫草 キラー・クイーン 

第五部
ブチャラティ ポルナレフ+ココ・ジャンボ(亀ナレフ) アバ茶 ナラ・アバ・ブチャ組
ルイズトリッシュ マルコトリッシュ ナンテコッタ・フーゴ アバ+才人 ジョルノ  ミスタ
ディアボロとドッピオ プロシュートの兄貴 リゾット ローリングストーン 偉大兄貴
ギアッチョ メローネ 俺TUEEEディアボロ ペッシ ホルマジオ スクアーロ
暗殺チーム全員 紫煙+緑日 ブラック・サバス セッコ 亀ナレフ+ジョルノ イルーゾォ


第六部
引力徐倫 星を見た徐倫 F・F アナスイ ウェザー エルメェス エンポリオ ヘビー・ウェザー
プッチ神父 帽子 ホワイトスネイク 白蛇ホワイトスネイク

SBR
ジャイロ+才人 ジョニィ マイク・O
リンゴォ マウンテン・ティム Dio

バオー+その他
橋沢育郎 バオー犬 味見コンビ(露伴+ブチャ) 決闘ギーシュ タバサの奇妙なダンジョン

3 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/12(月) 07:52:57 ID:s3q4kI99
・スレッドが1000に満たなくとも、480kbをオーバーした場合には新スレを。
・行数は最大で60行。 一行につき全角で128文字まで。
・4096Byts、全角だと2048文字分。
・専用ブラウザなら文字数、行数を管理してくれるので目安がつけやすいかも。

4 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/12(月) 09:38:51 ID:jkKi4jXG
>>1
最高に『乙』ってやつだぁぁぁぁぁ!!

前スレのへタレな暗殺者にワロタww
ドクオみたいな性格なんだな、イルーゾォwww

5 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/12(月) 11:20:47 ID:nnqT7nUw
\\   First kiss か ら 始 ま る ふ た り の 恋 の              //
  \\   H I S T R Y Y Y Y Y Y Y Y Y Y Y Y Y Y Y !    //
   \\       こ の 運 命 に 魔 法 か け た             //
     \\ 君 が 突 然 あ ら わ れ た ァ ァ ―――z___  ッ! //
       ,,,,,,,      ,,,,,,,      ,,,,,,,      ,,,,,,,      ,,,,,,,      ,,,,,,,
      |!i!ii|∩.    |!i!ii| ∩.   |!i!ii| ∩.   |!i!ii| ∩.    |!i!ii| ∩.   |!i!ii| ∩.
     ( ゚∀゚)彡  ( ゚∀゚)彡  (;゚∀゚)彡  (;゚∀゚)彡  ( ゚∀゚)彡  ( ゚∀゚)彡 >>1乙!>>1乙!
     (  ⊂彡.  ,,,,(  ⊂彡.  ,,,(  ⊂彡.   (  ⊂彡.   ,,,(  ⊂彡.  ,,,(  ⊂彡   ,,,,,,,
  ,,-''´  ̄ヽ    |!i!ii| ∩.    |!i!ii| ∩.    ,、 、      |!i!ii| ∩.    |!i!ii|∩.    |!i!ii| ∩.
  ミハ^^ヽヽ(∩. ( ゚∀゚)彡  (;゚Д゚)彡   ,ヘハ@ヘ∩.  ( ゚∀゚)彡  ( ゚∀゚)彡  ( ゚∀゚)彡
  ル ゚∀゚)ζ彡   (  ⊂彡.   (  ⊂彡.   ゞ ゚∀゚)彡  (  ⊂彡.   (  ⊂彡.   (  ⊂彡.
  (  ⊂彡゛    |   |     |   |     ( ノ::⊂彡.  |   |     |   |     |   |
   |   |      し ⌒J.    し ⌒J.   │  │   し ⌒J.    し ⌒J.    し ⌒J
   し ⌒J.                     し ⌒J.

6 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/12(月) 11:29:59 ID:6eKF4uWD
            H  /y'
        /ヽ  H  /y'                  
         /`  }_ ヽTァr-,、       /7に仁二仁二仁ィ7
        /   |こ=y7 ̄`ヽ>、   /7        //
      /   } ,,{ペ.f!{    ,ノソ  ノ丿       xく/
     ./ヽ  ,j} jf}气`ハ、  ,H  />'      /> '′
    |{ハ}} ,,ィリ州|い{,mヾコエ>゙ /7      /7′
     |ルjム=.' iif !ケy ,==ミ、_,/>'     ノ7′         ;′
     k<.9ノリ jリ|ひ!((.・>.)!┴'゙      「 }          /|
    __|77ァ''´   |Y,ィ`ァ'-ヘ         ゝ`仁二仁二仁二シ
  _r'「{|,;if|'   j; ビ了父ィソ ,/y  
 /_,>ィ|,fリ     |,八八/^′/y'zZ   こ、これは>>1乙じゃなくて
 |__/ム|イ    ,イ}|ゾY^ンYメYイ ⌒ヽ   血管針なんだから
  ,.く::7ト,    州こ^ニ^/⌒ヾィ´    勘違いしないでよね!
/;゙ `>| W! _,,ィ化儿>'⌒ヾ/.:: /;l
f.::::,ィl{{リヾ比"  jf|}y' `ヾ//.:::: /;f}}
 / ,ノ| f|\V"l; |7 `ミ/^!/.::::: /,,,,,,
f{G/| {{V,ハ wリト~ミ八/.:::::: /,;;;;;;;;

7 :仮面のルイズ:2007/11/12(月) 11:37:31 ID:nnqT7nUw
少し時間はさかのぼる。

ワルドは母の眠る廟の前に跪き、祈りを捧げていた。

母に再会することはできたが、完全には蘇ることなく、リッシュモンへの怨嗟を上げながら土に還ってしまった。

本人に生き返ろうとする意志がなければ、生命への強い渇望が無ければ蘇ることはできないとルイズに言われたが、それを信用するなら「母は生き返ることを望まなかった」のだろう。

ルドは母が安らかに眠れるように祈り、そして、リッシュモンへ必ず復讐すると誓った。

ゆっくりと立ち上がり後ろを振り向くと、手ぬぐい程度の布きれを腰と胸に巻き付けたルイズが、濡れた髪の毛をかき上げているところだった。

「行こうか、ルイズ」
「ええ」
ルイズは返事をしつつ塀に近寄り、両手を使ってよじのぼると、周囲を見渡した。
人気がないのを確認すると、塀から降りてワルドを背中に乗せて呟く。

「ガリア寄りの森を通ってトリスタニアに行くわ。ヴァリエール家に見つかりたくないから……しっかり掴まってなさいよ」
ルイズがそう呟くと、ワルドは片腕に強い力を入れてルイズにしがみつく。

「ふっ!」
腹に力を入れ、地面を強く蹴るのではなく、体の関節を順番に動かして地面との反発力を生む。
いくつもの関節の反動が繋がり、体が一本のバネのようになる。
墓所の石畳を砕くことなく、ルイズは高く跳躍した。

何十基も並ぶ墓石を飛び越えたルイズは、そのまま風のように走り、森の中へと入っていった。

まさに風のようだと、ワルドは思った。
ルイズの背中は小さい、本当にか細くて、今にも折れてしまいそう。
しかしそれは大きな間違いだ、濃密な蜂蜜のごとく、ほんの少しの体積に例えようのない甘露が詰まっている。

ルイズの小さな体には、巨体を誇った吸血馬の力が宿っているのだ。

黒毛と栗毛とも表現できぬ不思議な色つやを持った吸血馬、その骨がルイズの意識に反応して、色素を失った毛を触手のように伸ばしていく。

足に埋め込んだ吸血馬の骨は、鋼の糸のような毛をルイズの足に張り巡らしていく。

それは皮下脂肪にまで伸び、複雑に絡み、ルイズの筋力を増幅させていく。

足の裏に伸びた毛はルイズの神経と繋がり、地面の感触を微細に伝えつつ、皮膚に蹄のような強度を与えていく。

ルイズの下半身は細く、シルエットは少女のものであった。

しかし間近で見れば、皮下脂肪が極限まで減らされた筋肉質がくっきりと浮き出て見えただろう。

吸血馬は、死して尚ルイズの力となっていた。


8 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/12(月) 11:41:18 ID:6eKF4uWD
支援っ

9 :仮面のルイズ:2007/11/12(月) 11:41:32 ID:nnqT7nUw
しばらくの間森の中を駆けていると、ふと足下の感触が変化していることに気づいた。
獣道か、それとも猟師の通る山道なのか、地面の感触が他と異なっている。

ルイズは速度を落とし、周囲の匂いを確かめつつ歩く。

「は…ぶはっ」

背負われていたワルドが、首を横に向けてクシャミをした。
ルイズはその場で止まると、ワルドを背中から降ろす。

「大丈夫?…あ、濡れた体で風を受けていたんだから当然よね…ごめんなさい」
「気にしないでくれ、僕の鍛え方が足りないだけだ」
「だからといって放っておけないでしょ」

空を見上げると既に雲は引いており、木々の切れ目から夕焼けの明かりが差し込んでいる。
間もなく夜になってしまうだろう。

「人の通った跡があるわ…この先に街は無いと思うから、たぶん猟師の使う小屋でもあるんでしょう。そこで休めたら休みましょう」
「人がいるんじゃないか?」
「…その時はまた考えるわよ」
やれやれ、と肩をすくめるワルドを見て、ルイズは少しだけ恥ずかしそうに頬を染めた。
そそくさと足を進めるルイズを、嬉しそうに後を追うワルド。
ふと自分とワルドの関係を考えると、これはこれで悪くないのではないか、という気がした。


しばらく歩みを進めるうちに空は暗くなっていた、まだ雲が残っているのか月明かりが届かず、森の中は泳ぐような暗闇に包まれていた。
「ルイズ」
ワルドがついに歩みを止め、ルイズに声をかけた。
振り返ると、ワルドは定まらぬ視線のまま、手を前に出して何かを掴もうとしているようだった。

ふと、ワルドと自分の身体能力差を考える。
「…ごめんなさい、この闇じゃ何も見えないわよね」
ルイズはワルドの手を取って、ゆっくりと暗い闇の中を歩き出した。

「杖があれば」
ワルドの呟きは、杖のないメイジの弱さを現している気がした。
しかしワルドは風のスクエア、魔法を行使できなくとも、風の流れ、音、匂いには人一倍敏感だった。
杖を使って光を出さずとも、夜の森を通り抜けることはできるが、ルイズのようにすいすいと歩けるほどではない。
その証拠に、暗闇の中にある木の枝を避けて歩けるのだ、何かかがここにある…という違和感が風の乱れを伴うらしい。

しばらくして、不意にルイズが立ち止まった。
がたがたと戸板の動く音が聞こえてきたので、目の前に小屋があるのだろう。
「足下と頭に気をつけて」
ルイズはワルドから手を離して、小屋の中へと入っていく、ワルドは慎重に足を進め、敷居をまたいで小屋の中に入り込んだ。
「今、火をおこすわ…何コレ、湿ってるじゃない」
カラン、カランと音がする。ワルドは薪か何かのぶつかる音だと判断したが、次に聞こえてきたシュウウウウウという音は何の音なのか解らなかった。

ルイズの手に持った薪は、少し湿っていたが、吸血と同じ要領で水分を抜き取ることでカラカラに乾燥した。
薪を両方の手に一本ずつ持ち、圧力をかけて胸の前でゴシゴシとこすり合わせる。
二分ほど勢いよくこすり合わせていると、ついには摩擦熱で焦げる匂いが立ちこめてきた。
手に持った薪を広げると、所々が赤くくすぶっており、夜目に慣れたワルドの眼にハッキリと映った。
片方の薪を地面に置くと、もう一個の薪を両手で挟み込み、今度は渾身の力を込めて握り、すり潰す。
粉状になった木片が燻った木の上に落ちると、じわりじわりと火が燃え移り、ついには火種となって燃え始めた。

「凄いな」
「猟師の知恵らしいわよ。昔本で見たの。実際にやったのは初めてだけど」
ようやく、ルイズの表情が見えるようになった。
ルイズの表情は、子供の頃と変わらぬ無邪気な笑みだった。


10 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/12(月) 11:44:10 ID:3GTrmI2t
支援だ!

11 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/12(月) 11:44:18 ID:b59LmSnP
支援しよう!!

12 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/12(月) 11:44:40 ID:8JoKVbXQ
博識仮面支援

13 :仮面のルイズ:2007/11/12(月) 11:46:17 ID:nnqT7nUw
「ワルド、あなたって火は起こせる?」
「ああ、杖を持ち、ウル・カーノと唱えれば」
「でも杖が無ければ何もできないでしょう、私には杖が無くても火を起こせるわ、先住魔法じゃないわよ」
「…確かに、杖がなければメイジは非力だ」

「貴族が君臨を許されるのは、魔法を使えるからじゃないと思うの……杖はメイジの埃であり弱点よ。杖に頼りすぎて、杖に甘えて…いつか大事なことを忘れる気がするの」
「大事なことか。僕はそれを間違えていたのかな」
「私には解らないわ。……私自身、吸血鬼の力と虚無の魔法、これをどう使えばいいのかよく解らないもの」

少しの間、ルイズとワルドの間に沈黙が流れた。
猟師が仮の宿に使う小屋なのか、雨風をしのぐだけに機能を限定された小屋に、火の匂いが充満している。
火のついた薪からパチパチと弾ける音が聞こえ、それが不思議と心地よかった。

「ねえ、ワルド」
「うん?」
「お母様に、酷いことしちゃった…」
ルイズが何を言いたいのか、よく解らない。ワルドは首をかしげた。
「…もっと沢山血を注げば、体全部、生き返ったかも…」
「ルイズ…」

ワルドは椅子から立ち上がると、足で椅子を押してルイズの隣に座った。
「いいんだ。僕は、もっと穏やかな母に再会できると思っていたが、それは大きな間違いだと気づいたんだ…リッシュモンに辱められて命を絶ったというのなら、僕にはそれを止めることはできない」
「どうして?だって、お母様に生きていて欲しいと思ったから、生命の神秘を、虚無を、『聖地』を目指そうとしたんでしょう?」
ルイズがワルドの顔をのぞき込む。
ワルドの表情は、憑き物が落ちたかのように穏やかで、寂しそうな笑みだった。

「母は生前、苦しんでいる姿なんて僕に見せなかったよ、いや、気づいていなかったんだ。
僕は…母の胸中に気づかず、ただ甘えていたんだよ。
母さんが生き返ったとして、その後どうしたものか、辱めは消えることはないんだ、復讐をしても意味はない」

ルイズは、ワルドの言葉に驚き、目を大きく見開いた。
復讐を自ら否定したのだ、ならば、なぜルイズと行動を共にしているのか、疑問がわき起こる。
「けじめだ。これは男としてのけじめなんだ。父を殺し、母を自殺に追いやったリッシュモンを決して許しはしない。けれども殺したところで、優しかった母は、辱めを受ける前の母は帰ってこない」
「ワルド、あなた」
「聞いてくれルイズ、僕は救われた気がしたんだ、君がリッシュモンを殺すと誘ってくれたときに、僕はもう母の無念を忘れてしまった!」
「!」
「僕が死罪を免れないのは理解している、だがそんなことはどうでもいい。僕はただ、リッシュモンと自分にケジメをつけたい。……それを決心させてくれたのは、君のおかげだよ、ルイズ」

ルイズは、たまらなくなってワルドから目をそらした。
「やめてよ」
心なしかルイズの声は震えていた、二人を照らす炎のゆらめきか、肩が小刻みに震えて見えた。
「馬鹿じゃないの、死にたがっているだけじゃない…私はあなたを利用したいだけよ、だからお母様を生き返らせようとしたのよ。私は…そんな女よ」

そっと、ルイズの肩を抱いて、ワルドが呟く。
「なあ、ルイズ、僕はクロムウェルが死者を蘇らせたのを目の当たりにした。
生前と変わらぬ姿で蘇った彼らは、生前の誇りも忠誠心もどこかに置き忘れて来たのか、クロムウェルに忠実に従っていたよ。
始祖ブリミルのお導きが僕らの運命なら、我々は皆運命の奴隷じゃないか。
もしクロムウェルに母を蘇らせてくれと頼んでいたら、僕は母を運命とクロムウェルの奴隷にしてしまうところだった………。
母の本音を聞かせてくれたのは、僕を大人にしてくれたのは、君だよ、ルイズ」

ルイズは、膝の上で強く自分の手を握った。
怖くて怖くて、体が震えた。
人から信頼されることが、人から礼を言われることが、人の人生に関わることがこれほどまでに責任感の伴う恐ろしいことだとは思ってもいなかった。
ワルドの心境の変化は、多くの貴族が顧みることのない『立場に伴う責任』の重さを、ルイズに十分過ぎる程感じさせていた。
アンリエッタはこの重圧に耐えているのだろうか?
そんな疑問が頭をよぎったが、それを考えると深みにはまってしまいそうで、ルイズはただ静かに震えていた。




14 :仮面のルイズ:2007/11/12(月) 11:48:07 ID:nnqT7nUw
「!」
不意に、何かが割れるような音が聞こえ、ルイズは顔を上げた。
「ルイズ?」
「あ…何かが割れる音がしたわ…足音も…こっちに近づいてくる」

ワルドも耳を澄ましていると、しばらくして誰かがこちらに向かって走ってくるような足音が聞こえてきた。
ドン!と音を立てて扉が勢いよく開かれ、無精髭を生やした30代半ばの男性が小屋に飛び込んできた。
警戒しようとするワルドをルイズが手で制し、焚き火に倒れ込み層になる男をもう片方の手で押さえた。
「はぁつ、ひい!ああ」
「ちょっと、どうしたの?」
パニックに陥っている男をルイズがなだめつつ、ワルドが扉から外の様子をうかがう。
流れる風に違和感はないはずだが、男の様子も相まって何か嫌な予感がした。

男を椅子に座らせてなだめていたルイズは、男がある程度落ち着いたと判断して、ワルドに外の様子を聞いた。
「外の様子はどう?」
「特に何も見えない、風にも違和感を感じない…」
「何も見えない…ですって?」
ルイズはワルドを押しのけて外の様子を見た、小刻みに鼻をふるわせ、空気の臭いをかぐ。

ルイズの目つきが変わった。
「さっき私が聞いた音はガラスの割れる音よ、たぶんカンテラの音。あの男には油の臭がしたから間違いはないと思うわ。でも…外の空気に油の臭いは感じられない…火が燃え移った様子もないわよ」
「何者かに追われていたと?」
「メイジに追われるような風体には見えないわよ、傭兵、物取りにしては人間の臭いがしないわ…臭いがなさ過ぎる」
「風下に回ったか」
「おそらくね。……もう、厄介ごとばかり増える、やんなっちゃうわよ」

ずしん、と、地響きにも似た振動が足に伝わってきた。
「今の音は」
ワルドが呟く、どうやらワルドにも聞こえていたようだ。

「あ、ああ、ばけものが!ばけものが、追ってきたんだ!ああ!」
男は顔中から噴出する汗を押さえ込むかのように、頭を抱えがたがたと震えだした。
「落ち着いて、化け物って何?貴方は何に追われていたの、教えてちょうだい」
「半分、半分の牛の頭が!」

ルイズとワルドは、牛と聞いてギョッとした。
牛のような化け物といえば、一つしか思い当たらない。

ここから逃げようと考えたルイズはワルドを見る、ワルドも同じ気持ちだったのか、視線を交差させただけで二人は頷いた。

次の瞬間、ずしん、と大きな振動が伝わった。
同時に、ルイズは男とワルドを掴んで小屋の外に飛び出し、地面に転がった。


15 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/12(月) 11:48:23 ID:8JoKVbXQ
支援を止めるんじゃあ無いっ!!

16 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/12(月) 11:48:35 ID:3GTrmI2t
支援!

17 :仮面のルイズ:2007/11/12(月) 11:49:13 ID:nnqT7nUw
「ブゴオオオオオオオ!」
ルイズの失敗魔法のような爆音と共に、小屋は木片となって吹き飛んだ。
一瞬早く飛び出していたルイズとワルドは体勢を立て直していたが、男は腰が抜けてしまったのか、立ち上がることも出来ずに地面にへたり込んだまま動かなくなってしまった。
一撃の下に小屋を吹き飛ばした存在を、二人は冷や汗を流しつつ見上げていた。
身の丈4メイル近い赤黒い巨体と、牛のような頭を持った亜人、ミノタウロスがルイズを見下ろしていた。
「グフゥーーーッ!グフッ!」
涎や鼻水をだらだらと垂らしながら、荒い呼吸を繰り返しているミノタウロス、頭の右半分は抉られたかのように欠けており、右目も潰れているようだった。

「なるほど。あの傷では凶暴にもなるな」
ワルドが髭を撫でながら呟く、メイジの生命線たる杖を所持していないのに、余裕すら感じられる笑みを浮かべている。
「囮になろう」
そう言ってミノタウロスの前に出ようとするワルドを、ルイズが制した。
ミノタウロスの左目は、はっきりとルイズの姿を写していた。
「逃がしてくれそうにもないわね」
ルイズが呟くと、ミノタウロスは確かにその唇をゆがめて、笑った。ふりな

ぶふっ、と鼻息を鳴らした次の瞬間、ミノタウロスの左腕がルイズを殴った。
「フンッ!」
ルイズは右腕を縦にしてミノタウロスの腕を防ごうとしたが、ミノタウロスに殴られた瞬間、ルイズの体は軽々と宙を舞った。
バキバキバキバキと音を立てて、ルイズの衝突した幾本もの木々が倒れていく。
大人の胴よりも太い木の幹を、八本ほど倒したところでルイズの体が止まる。
全身を叩きつけられつつ、ルイズは空中で体勢を変え、木を蹴ってより高い空を舞った。
「WRYYYYYYYYYYYYYYY!」
ルイズの手刀がミノタウロスの頭部を狙うが、ミノタウロスは素早く身をかがめると腕を頭の前でクロスさせてルイズの手刀を防いだ。

べろん、とミノタウロスの皮が裂けて肉が露出するが、圧倒的な体格の違いのせいか、ルイズの一撃は致命傷を与えるには至らない。
ルイズはミノタウロスの攻撃を避けつつ、反撃の機会を伺うが、ほとんど理性を失っているミノタウロスの攻撃はがむしゃらで隙がない。
ルイズの力を持ってしても、ダメージを与えることはできるが致命傷を与えられないのだ。
「くうううっ」
ミノタウロスの巨大な腕と、鋭い爪を防ぐので精一杯。
その間にも焚き火の火が小屋の破片に燃え移り、森は少しずつ火に包まれていった。

「KUAAAAAAAA!」
じりじりと、ルイズが押されていく。
ミノタウロスの爪がルイズの首を狙い、避け損ねたルイズは、髪の毛を切られてしまう。
ピンク色の髪の毛が宙を舞うのを見て、ワルドが思わず叫んだ。
「ルイズ!」
「離れてなさい!」
「違う!火に包まれるぞ!」
ワルドの叫びを聞いて、ルイズははじめて周囲が燃えているのに気づいた。
夜目が利きすぎるから気づかなかったのか、戦いに集中していて気づかなかったのか、そのどちらかと問われたら間違いなく後者と答えるだろう。

ミノタウロスは強敵だ、再生能力が強く、皮膚は硬く筋肉も強い、そして何よりそのスピードとパワーが吸血馬を思わせるほど強い。
これでは血を吸う暇も、肉腫を埋め込む暇もない。
それなのに心のどこかが喜んでいる、強敵に出会えて、自分の全力を出し切って戦える相手がいて、嬉しい、嬉しいと喜んでいる。

ルイズの体と心が、震えた。

「おああああああアアアアァァァアああああアァアああ!!」

18 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/12(月) 11:49:56 ID:6eKF4uWD
んっ

19 :仮面のルイズ:2007/11/12(月) 11:51:27 ID:nnqT7nUw
ルイズの叫びは、吸血馬に届いた。

柔らかい女性の体つきが、鍛え抜かれた女戦士と見まがう程の体つきに変わっていく。
体の細さはそのままだが、体内の筋肉繊維と皮下脂肪に、吸血馬の毛が絡みつき、筋肉が浮き上がる。
腕と足に埋め込んだ吸血馬の骨は、ルイズの体に吸血馬の力と、鋼のような硬度を生み出す。

ミノタウロスの腕から血が弾ける。

ルイズの腕、吸血馬の骨を埋め込んだ手首から、銀色のタテガミが生えていた。
毛は剣を形作り、ルイズの腕から剣が横に伸びた形になる。
ルイズは踊るようにミノタウロスの強靱な皮膚を切り裂き、筋肉を断ち切り、骨を粉砕していく。

燃えさかる炎に照らされたルイズ。
両腕から生えた剣が、光を反射して銀色に輝く。
ワルドは逃げることも忘れて、ルイズに見とれていた。
「!」
はっと気を取り直したワルドが、近くに落ちている木片を手に取り、先端を火であぶる。
槍のように細長く砕けた木片に火をつけると、ミノタウロスの視線がルイズに集中しているのを確認してから、その左目に向けて槍のように投げつけた。
残った目を攻撃されるのは嫌なのか、ミノタウロスは身を反らせば避けられそうな木片を過剰に怖がり、手で顔を隠しつつワルドに向き直った。
「ガアアッ!!」
人間を軽くミンチにする豪腕と爪がワルドを襲う、だが、ワルドは『閃光』の二つ名の通り、紙一重でその攻撃を避けると、炎の渦巻く火の中に飛び込んだ。

ミノタウロスは燃えさかる木々を薙ぎ倒すと、怒りにまかせて鼻息を荒げ、グオオオオと雄叫びを上げた。
その隙を見逃すルイズではない、ルイズは両腕を高く掲げ、手首から生えた剣を腕と平行に伸ばした。
後ろを向いたミノタウロス、その心臓めがけて、腕を向けると、全身の筋肉をバネのようにしならせて地面を蹴った。
ルイズの脚力を吸収しきれなかった地面が、クレーターのようにへこむ。
「AAAAAAAーーーーーッ!!」
ルイズの体はまるで大砲の砲弾のような勢いでミノタウロスの胸にぶち当たり、腕から生えた剣はミノタウロスの心臓を貫通し、先端が胸へと飛び出ていた。
ズキュンッ、ズキュンッ、ズキュンッ と音を立てて一気にミノタウロスの血を吸い取る。
ミノタウロスは背中に張り付いた何者かを払おうとして、自分から火の中に倒れ込んだが、ミノタウロスの血を吸い続けるルイズは体を焼かれても瞬時に再生してしまう。
ミノタウロスは乾いていく体を火の中に投げ込んだことで、炎に焼かれながら寒さに震え、もがいた。

炎の中から、ワルドが飛び出す。
風系統のスクエアである彼は、風の流れから温度の低い場所を探してそこを通り抜け、炎に身を隠しつつ移動していたのだ。
服の所々は焦げていたが、髪の毛にも髭にも焦げた後が見あたらないのは彼のダンディズムか、ポリシーだろうか。

20 :仮面のルイズ:2007/11/12(月) 11:52:27 ID:nnqT7nUw
「ルイズ!」
ワルドが叫ぶ、炎の中に落ちたルイズを探そうと辺りを見回す。
すると、炎の中で何かがゆらりと動くのが見えた。
炎の揺らめきではなく、明らかに人間の形がゆらめいている。

腕から生えた剣を、ミノタウロスの体に突き立てたルイズが、空に向けて吼えていた。

「WRYYYYYYYYYYYYYYーーーーーーーー!!」

血を吸い尽くしたルイズは、ミノタウロスの体を、挽肉にするかのようにずたずたに切断し、火の中に投げ込む。
ミノタウロスの再生能力は非常に強く、日で焼いただけでは蘇る可能性があるのだと、昔教わった覚えがあるのだ。
五体を32分割した後、ルイズは地面を蹴って高く跳躍し、ワルドの眼前へと着地した。
「ふっ、ふぅう…ワルド、逃げるわよ」
「ああ」
布きれが焼け落ち、全裸になったルイズと、ワルドの二人が森の奥に向けて駆け出そうとする。
が、その前にルイズは、地面に倒れ気絶している男を背中に乗せた。
「どうするんだ、その男を」
「放っておく訳にはいかないでしょう」
「そうかい?」
「そうよ」
「そうかな」
「そうよ」

二人は大火事を背にして、その場から走り去った。







翌朝、ルイズは森から出て、街道沿いの村にたどり着いていた。
地理的にはガリア寄りの、この村では、大火事を確認しに行った男達が帰ってくるところだった。

ルイズは村に入る前に、背負っていた男の記憶を確かめることにした。
茂みの中で、ルイズは男の頭に肉腫を埋め込む。
びくんと体を硬直させ、男は目を覚ました…が、目は虚ろであり、意識は覚醒していない。
「あなたの村はどこ」
「げるまにあの こっきょうぞいの」
ルイズは男にいくつかの質問をした、どこの出身か、どこの村の出か、なぜミノタウロスに追われていたのか……
森の中で頭に傷を負ったミノタウロスに仲間が殺され、必死で逃げてきたらしい。
逃げている最中に、明かりのついた小屋を見つけたので、助けを求めて駆け込んだのだとか。


ルイズは暗示をかけるように、肉腫を操りながら男に言い聞かせた。
自分の顔に大きく傷を付けると、中途半端に皮膚を再生し、火傷痕を再現する。
「あなたが見たのは、顔に火傷を負った短髪の女。名前は知らない、そうね?」
「ああ、うん、やけど、かみのけ、みじかい」
「ミノタウロスに小屋を襲われた後、貴方は一人でここまで逃げてきた…」
「お、おれは、ひとりで、ここまで、にげてきた」

男がルイズの言葉をたどたどしく復唱する。
それを確認してから、ルイズは肉腫を男の頭から抜き取った。
ふっ、と男の意識が無くなると、ルイズとワルドの二人は村から盗んだボロ布を身にまとって、街道へと歩き出した。
傷跡を治してしまえば、もう別人。ルイズはそう考えていた。

しばらくしてから男は村人に発見された、服の焦げ後から火事に巻き込まれた男だと判断し、事情を聞くためにも手厚く介抱された。

21 :仮面のルイズ:2007/11/12(月) 11:54:10 ID:nnqT7nUw
街道は、意外にも人の通りが少なかった。
二人は昨晩の話をしつつ、街道を歩く。
「それにしても…綺麗だった」
「あら、何が?」
「君の戦いぶりさ、腕の剣と、一糸まとわぬ体が炎に照らされて輝いていた……あんなのは初めて見たよ」
「やめてよ、恥ずかしいわ」
思い返してみると、ワルドに全裸を見られたのは一度や二度ではない。
今だってボロ布のマントの下には、申し訳程度の腰布しか巻かれていないのだ。
急に顔から火が出るような気がした。

「あの剣は何だい?突然、腕から生えたような気がしたが」
「あの子が…吸血馬が力を貸してくれたのよ。色が抜けて銀色になったけど、たぶんあの子のタテガミね」
「死して尚、主人のためにか…僕とは大違いだな」
「本当に大違いよ。でも……」

ルイズは、何かを言いかけたが、結局口をつぐんだ。
肉腫の力で吸血馬を洗脳していたことに、後悔しているが、だからといって今更何を言えば良いのか解らなかった。

「ルイズ、折角だから、名前を付けたらどうだ」
「名前?」
「ああ、東方から伝わった書物によれば、腕から剣を出す術に名前があったんだ…確か、リスキニハーデンとか……」
「私のこの”剣”にも、名前を付けろって?ふふ…デルフが拗ねるわね」
「そうだ……”光のモード”というのはどうかな。炎にきらめいて、美しかったから思いついたんだが」
「名前なんてどうでも良いわよ。でも、ワルドって意外と子供っぽいのね。名前一つ決めるのがそんなに楽しい?」
「何を言ってるんだ、僕を大人にしてくれたのが君なら、僕を子供扱いしてくれるのも君だけだよ、ルイズ」

ワルドの笑みに、ルイズははにかみで答えた。

ふと思う…人間は死を覚悟できるからこそ輝かしい。
ウェールズを守ろうとしたアルビオンの衛士達がそうだったように。
人間は、もしかしたら、いずれ死んでしまうからこそ美しいのではないだろうか。

22 :仮面のルイズ:2007/11/12(月) 11:55:11 ID:nnqT7nUw
焼けこげた森の中では、近隣から派遣された部隊が消火活動を続けていた。
火の勢いは強く、簡単には消すことは出来ない。
地方のメイジ達だけでは簡単には対処できぬほどの大火だった。
だが、たまたま近隣貴族の領地を視察していた一人のメイジが、この火事を消し止めた。
十人を超えるメイジでも消せなかった火事を、いとも簡単に消した女性の名を、カリーナ・デジレという。

ラ・ヴァリエール家に帰ろうとする馬車の窓から、鎮火した森を見つめていたカリーナは、従者の一人が扉をノックしているのに気づいた。

「奥様、お耳に入れたいことがございます」

「申しなさい」

「火事は、怪我を負い正気を失ったミノタウロスが山小屋を襲撃したことで起こったようです。生き残った者は、ミノタウロスと戦った人物が二人いたと話しております」

「……」

「ピンク色の頭髪、年の頃は20、顔立ちは幼さを残し、顔に大きな火傷のある女性。それと元貴族らしき20代後半の男性の二人だったと……」

そこで従者の言葉が止まる。
カリーナは、何か言いにくいことがあるのかと察した。

「……続けなさい、言いにくいことでもかまいません」

「はっ! …元貴族らしき男は、その女性を『ルイズ』と呼んでいたそうです…」

「下がりなさい」

「はっ」


がたごとと揺れる馬車の中で、カリーナは、無意識のうちに杖を握りしめていた。




To Be Continued→

23 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/12(月) 11:56:28 ID:6eKF4uWD
C

24 :仮面のルイズ:2007/11/12(月) 11:56:48 ID:nnqT7nUw
投下したッ!
朝方は新スレを立てるのを確認せずに寝てしまった…ごめん。

25 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/12(月) 11:57:40 ID:6eKF4uWD
投下乙!
バオー・リスキニハーデン・セイバー・フェノメノンやら輝彩滑刀の流法やら
ルイズはどこまですごくなるんだwww
てかミノさんこえーな

26 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/12(月) 12:05:11 ID:8JoKVbXQ
投下乙です。カリンさんがどう動くか・・・・続きを座して待ちます。勿論正座で。

27 :仮面の人:2007/11/12(月) 12:16:39 ID:nnqT7nUw
念のため補足すると、輝彩滑刀は当然本家より弱いです。見た目だけ輝彩滑刀。
ミノさんは開発中のヨルムンガンドにでもやられたと思ってください。

28 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/12(月) 12:19:18 ID:E4gAEdrC
乙!

29 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/12(月) 12:38:11 ID:qmEFIpWe
仮面さんGJ!

>僕を大人にしてくれたのは君だよ、ルイズ
ワルド……もしかして童t(wry

30 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/12(月) 12:40:23 ID:3GTrmI2t
GJ!
ルイズが吸血鬼の本能に従い闇に堕ちるかと見えたけど、持ち直した感じですね
仮面さんは、この辺の見せ方が絶妙で目が離せない、
続きをワクテカしながら待ってます、俺も正座でな。

誤変換?
ルイズは右腕を縦にして→盾
日で焼いただけでは→火

31 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/12(月) 15:55:26 ID:bgTCC//V
GJ!
ミノさんのザ・モンスターぶりはもの凄いな((;゚Д゚)ガクガクブルブル
ルイズとワルドがいい感じだけど、確認の仕方が悪かったのかバレちゃったし
穏やかさもつかの間に運命の悪戯に飲み込まれていくんだろうなぁ…

32 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/12(月) 18:22:32 ID:kJJUsNGA
ジィィィイィィジェェェェイイイイイイイ!

33 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/12(月) 19:19:45 ID:0xPP36s4
ルイズ…このままの勢いだとアルティメット化も近いか?w

34 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/12(月) 19:21:51 ID:h/XHaF9a
虚無生命体(ゼロ・シィング)の誕生だァーーッ!

35 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/12(月) 19:24:58 ID:5Xsggryl
翼を生やして空を飛んだり、体から別の動物を創ったりする日も近い?

36 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/12(月) 21:15:24 ID:HV7sLimg
GJッ!
やはり仮面ルイズはいい…。つるぺたなくせに妖艶という言葉がピッタリな雰囲気があるぜ。
そしてママン登場。裏切り者のワルドを連れたルイズに対してどう対応するか。

37 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/12(月) 21:30:08 ID:NkHHGdLf
            , -―  ――-、
             /に    (ニ==\
         //')      に二) (ヽ   うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!
         〃____,r^)__,r、(ニユ|  仮面の人GJ!
         i!   ● / /●  ヾヽヽ,!    そして>>1乙!!!
          ヽニ⊃,// ⊂⊃}:}ソi   第五部完ッ!
        /⌒ヽ__ ヘ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄~/⌒ヽ
      \ /:::::  >,、 __, イァ/   /
.          \     |三/ []「/__ /
         `ヽ「ミヾr‐ 、[]「ヾ三/

38 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/12(月) 21:49:30 ID:N9cb+2cV
>>37
しぇっこさんが間違えるに言ってるッ!?

39 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/12(月) 21:52:46 ID:C6WnVoiz
          ,r_.ェ-_、_
          /::と Z つ:::`ヽ、
         /::::::::::::(._フ" ):::::::::ヽ
       ':::::::/:::::::::`'''´::::::::::::tタ',
       l:::::::f:::(((ぅ:::l::::i:::l::::::l:::l:::',          >>37
       l:::::::i:::::::l:_:_:|_:_凵⊥l-|:l::|          …おいおい
      ',:::::::!::::::|で6ラ')ノィ5ラ川
       ヽ::::i::::::l  ''"'( ::{;i::::j::リ`二ヽ-、   __  じゃあ誰がこの作品の主人公になるんだ?
       {ヽ::l::::::l     、.ノ::://ニ二:.eヽ ヽ‐=' O)  
       ハ \:::::l  ∈=':〃ニニニ::.’i }e、ヽ ̄  まさかおめえじゃねえよな、しぇっこさん
      ム e,\ヽドェ.、二ノ=-‐'`iニFl |  e、\  
     /ヾ〉  e、`r― - = 二⌒i lニF|e|、_e、      
   /e、 ヾ〉 e、  \ _/ (r \| |-F|’| \ e、
  /  e、  ヾ〉  e、 //"   \rぅ|eF|el   \
 {e、\  e、ヾ>、/ l |l  \_.ノ´l’E|’!
  \._ `ミ>、/ ,イ[|l ll 、ヽ、.ノ, ,' 〃| l
   ヽ ,e´//e' rタ´e' `7''`r'' // (()j l
    \ /´{ rタ'´e' e'/ e、∨/ e、 ¨ l

40 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/12(月) 21:56:24 ID:EogoNpfo
ワルドも立ち直り、そのことでルイズを良い道へ戻した……理想のカップルだ。
祝福をしてもいいですか(感涙)?

41 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/12(月) 22:17:28 ID:jF7urczH
          ,r_.ェ-_、_
          /::と Z つ:::`ヽ、
         /::::::::::::(._フ" ):::::::::ヽ
       ':::::::/:::::::::`'''´::::::::::::tタ',
       l:::::::f:::(((ぅ:::l::::i:::l::::::l:::l:::',          >>39
       l:::::::i:::::::l:_:_:|_:_凵⊥l-|:l::|          吐き気をもよおす事言ってんじゃあねーぞッ!オレっ!
      ',:::::::!::::::|で6ラ')ノィ5ラ川
       ヽ::::i::::::l  ''"'( ::{;i::::j::リ`二ヽ-、   __  しぇっこさんが主人公で何がいけねぇんだ!!!
       {ヽ::l::::::l     、.ノ::://ニ二:.eヽ ヽ‐=' O)  
       ハ \:::::l  ∈=':〃ニニニ::.’i }e、ヽ ̄   それから>>1乙&仮面GJだっ!
      ム e,\ヽドェ.、二ノ=-‐'`iニFl |  e、\
     /ヾ〉  e、`r― - = 二⌒i lニF|e|、_e、
   /e、 ヾ〉 e、  \ _/ (r \| |-F|’| \ e、
  /  e、  ヾ〉  e、 //"   \rぅ|eF|el   \
 {e、\  e、ヾ>、/ l |l  \_.ノ´l’E|’!
  \._ `ミ>、/ ,イ[|l ll 、ヽ、.ノ, ,' 〃| l
   ヽ ,e´//e' rタ´e' `7''`r'' // (()j l
    \ /´{ rタ'´e' e'/ e、∨/ e、 ¨ l

42 :ヘビー・ゼロ ◆a97Bny7H1c :2007/11/12(月) 22:25:26 ID:CS64dD9Y
惚れ薬偏前半投下だ!

43 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/12(月) 22:26:26 ID:1cqX35sh
本格的に柱の男化してきたなあ。
そのうち本気で赤石でてきたりして。

44 :ヘビー・ゼロ ◆a97Bny7H1c :2007/11/12(月) 22:27:09 ID:CS64dD9Y
第三十話 『惚【だいめいわく】』

 トリステインの王宮の謁見の間には絶えず人が出入りする。特にアンリエッタが戴冠式を終えて女王となってからは、国内外の客が挨拶に来て、アンリエッタ自身もそれに答えねばならず、彼女は一日の大半をそこで過ごしているのではないかとさえ思わせるほどだった。
 何かしらの訴え、要求、あるいはただのご機嫌伺い。戦時と言うことも手伝い問題は山積みである。
「・・・でありますので、貧民街の浮浪者たちの救済処置としては――――」
 今もこうして傍らのマザリーニが実務で補佐してくれてはいるが、いかんせん緊張しっぱなしで肩の凝る仕事ではある。
「―――いか、陛下!聞いておられるのですか?」
「聞いているわ。ここ最近の浮浪者の増加とそれに伴う治安の悪化。救済処置として王宮が経営する農場への就職、でしょう」
「それに伴う利点は?」
「浮浪者の減少と社会不安の根絶」
「戦のための兵糧確保もですよ、アンリエッタ女王陛下」
 マザリーニとは対になる位置にいたウェールズがアンリエッタの答えに訂正を入れる。
 ウェールズもまた、アンリエッタには欠かせない存在であった。内外を問わずやってくる客の目当てのもう一つがウェールズであり、今勢いに乗るウェールズに今のうちから恩を売っておけばアルビオン奪回の暁には旨い汁が吸えるとスポンサーが後を絶たない。
アンリエッタはそう言った欲丸出しの客を快く思ってはいないが、マザリーニに「なに、『へそくり』はいくつあっても困りませぬよ」と言われて渋々目を瞑っている。
「この措置はあなたが言い出したものでしょうに。やれやれ、戴冠式も無事に終わって一安心かと思いましたが、まだまだこの老いぼれの教育が必要なようですなあ。これでは私もいつ隠居できるかわかりませぬ」
 そのマザリーニにそう言われ、アンリエッタは拗ねたように唇を尖らせた。
「ふんだ。心配なさらなくともしっかりご隠居させて差し上げますわよ。老後の生活も心配しなくていい国を作って見せますから」
「口だけは頼もしい限りですな」
「あなたって本当、毒舌家ね。ズバズバものを言うんですもの」
「あなたが幼い頃より横着でしたので私が口を酸っぱくしておったからでしょうな」
「まあ、口が酸っぱくなりすぎて毒を持つだなんて初めて聞いたわ!」
 三人で笑っていると、部屋の外に控えた呼び出しの声が。
「入りなさい」
 アンリエッタの一声から一拍置いて豪奢な扉が開かれる。そして中に幾人かの人影が入ってきた。
 マンティコア・ヒポグリフ両隊長を先頭にしてルイズ、ウェザー、アニエス、ギーシュ、キュルケ、タバサの八人だ。やってきた八人は女王陛下であるアンリエッタに礼を取る。
「ようこそ、王宮へ。さっそくだけれど本題に入ります。キュルケ・アウグスタ・フレデリカ・フォン・アンハルツ・ツェルプストー、タバサ、ギーシュ・ド・グラモンの三名はこの度のタルブ村での先頭における功績を認め、シュバリエの称号を授与します」
「ほ、本当ですか!」
「ええ、もちろんです。元々あなた方は『土くれ』討伐の際にシュバリエを与えるかどうか考えられていましたが、戦地にて敵と戦い村人を救った働きを加えれば申し分ありません」
 ガッツポーズするギーシュ、髪をかき上げるキュルケ、直立するタバサ。三者三様だが喜んではいるのだろう。一応。
「授与の詳しい内容については追って学園長を経由させますわ」
 そう言ってアンリエッタは今度は隊長達の方を向いた。
「では、調査の報告をお願いします」
 両隊長は恭しく前に進み出て話し出す。まずはマンティコア隊。
「犯人の使用していた銃はやはり新型のモノでした。街の技術士に何とか復元させましたが、飛距離も精度も装填時間も、我々のモノとは比べ物にならない程です。ただ試作型なのか威力に拘りすぎて耐久力がなく、一発で粉々です。復元はもう不可能かと・・・」
「アルビオンの技術でもないようだしね。あちらにはよっぽど腕のいい技術者がいると見える。ただ、素材などから何かわかるかもしれない、保管しておいてくれ」
 ウェールズの指示に敬礼で答えてさがると、次はヒポグリフ隊。
「火薬の出所も鋭意調査中でありますが、調査の副産物でここ最近の治安悪化の裏が少し見えましたな。なにやら薬臭そうですが・・・。それと、隊員の取り調べは、あまり大仰に進めては隊内の不信感が高まってしまいなかなか・・・・・・」
「こちらも似たようなものですわ。大臣達は良くも悪くも底を見せませんから・・・・・・」
 事態は一刻を争うが、なかなか好転してはくれそうにない。と、そこでウェールズがウェザーを呼んだ。

45 :ヘビー・ゼロ ◆a97Bny7H1c :2007/11/12(月) 22:29:10 ID:CS64dD9Y
「ウェザー、君はあの凱旋パレードの事件の時、ただ一人狙撃に気付いていた。ほぼ真上から降ってくる銃弾にだ。こう言っては何だが、あの場には僕や彼ら衛士隊もいたにもかかわらず誰も気付けなかった。もしかして君の力と関係があるんじゃないのか?
 それに君たちもウェザーの友達なら知っているだろう?今後こういったことに対処するには事前知識が必要になるだろうし、もしよければ・・・話してはくれないか?」
 すでにスタンドの話を聞いているルイズ達は心配そうにウェザーを見つめ、知らない隊長達は怪訝そうに見ている。そんな視線を浴びながら、少しの間を空けてウェザーは答えた。
「・・・・・・いいだろう」
 そしてウェザーは話し出した。
「――――と言うわけだ。わかったか?」
「ううむ・・・『スタンド』とは・・・俄には信じられんな」
 案の定隊長やマザリーニは疑いの目を向けている。
「とは言ってもなあ・・・・・・」
 体験して貰えば話は早いが、そういうわけにもいかない。どうするかと考えているところに声がかかった。
「ふふふ・・・面白い!ならばこの私が相手をしてやろう!陛下!どうか陛下の御前での決闘をお許しいただきたい!」
 そう言ったのはヒポグリフ隊隊長である。やおらマントを剥ぎ、体中に力を入れて服を破いてしまった。
「す、凄い筋肉だ・・・」
 ギーシュがそうこぼすのも頷ける。筋骨隆々の体はボディービルダー顔負けな程である。
「アイツ・・・・・・古式にのっとった決闘の装束・・・ヤツは間違いなく本気だな。決して今・・・ヤツはこの闘いを楽しんだり甘く見たりしてはいない!」
 マンティコア隊の隊長がニヤリと言う。
「いくぞ!」
「いや、くるな。誰も頼んでない」
「う〜〜ううう、あんまりだ・・・・・・H E E E E Y Y Y Y!あァァァんまりだァァアァ!AHYYY、AHYYYAHY、WHOOOOOOOHHHHHHHH!」
「お前もう帰れよ!」
 いきなり大男が泣きじゃくりだして引きぎみの一同だったが、気を取り直してウェザーが水差しを用意させた。
「よく見ておけよ」
 そう言うといきなり水差しをひっくり返した。一同があっと息を呑むが、中身の水はいつの間にか生みだしておいた雲に吸い込まれ零れることはなかった。そして今度は空になった水差しを雲の下に置き、雨を降らして水差しを満たす。
 さらには拳をかるく振るい風を起こし、遠くのマザリーニの丸帽を飛ばしてみせる。おおぉー、と感嘆の声が漏れた。
「ざっとこんなもんか。スタンドの本体で打撃や天候操作も可能だが、さすがにここじゃできないからな」
「いや、十分だよ。どうかね、隊長?」
 腕を組んで神妙な顔をしていた隊長達もこれには頷かざるを得なかった。
「本当に魔法とも先住魔法とも違うな・・・・・・我々では感知出来ないのでは如何ともしがたいが」
 スタンドはスタンド使いにしか見えない以上は対策の立てようもない。行動はどうしても後手に回らざるをえないのだ。
「・・・・・・まあ、スタンドという概念が解っただけでも収穫と言えるさ。当面の問題は軍の調整と編成か。ああ、そうだアニエス。アンリエッタ女王陛下から通達があるそうだよ」
「ハッ!何でありましょうか」
 アニエスがアンリエッタの正面で敬礼をする。
「タルブでの活躍は聞いていますよ。よく働いてくれました」
「いえ、私などは微力でしか報いることができません」
「謙遜はいりません。あなたの実力は多くの者が認めるところですよ」
 その言葉にウェールズと両隊長が頷く。
「勿体なき御言葉でございます」
「その実力と功績を認め、あなたにシュバリエの称号を与え、この度新設することになったわたくしの近衛兵隊、『銃士隊』の隊長に任命します」
「私が・・・・・・陛下の?」
「そうです。現在は二隊ですが魔法衛士隊と銃士隊。その二つがわたくしの直轄となります。軍の主導は衛士隊がとり、銃士隊は小回りの利く部隊として様々な事態に対応してもらうでしょう」
「ですが、私などが・・・」
 嬉しい報せのはずが、アニエスの歯切れは悪かった。

46 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/12(月) 22:29:23 ID:/GkL7WxN
支援

47 :ヘビー・ゼロ ◆a97Bny7H1c :2007/11/12(月) 22:31:01 ID:CS64dD9Y
「君を推薦したのは僕だよアニエス」
 アニエスの心中を察したようにウェールズが声をかける。
「今回の戦闘で君たち平民の力は証明された。魔法がなくとも戦えるんだとね。君が抜ける穴は大きそうだが、なに、あれ以来軍への志願者が増えている。だからこれはお願いだ。僕が手の届かない所でアンリエッタを守ってくれ」
「お、お願いだなどと・・・そんな勿体ない!」
「では受けて下さるかしら?」
「ハッ!この不肖アニエス、銃士隊長の任、確かに拝命いたしました!」
 アニエスが再び敬礼すると室内に拍手がおこった。他人のことであっても喜ばしいことにかわりはない。そしてそれも収まったとき、ギーシュが挙手をして注目を集める。
「えーと・・・・・・一区切りついたみたいだから、そろそろいいかな?」
 そして咳払いを一つして息を深く吸うと、
「何でこの状況でウェザーとアニエスは手を繋いでいるんだァーーッ!熱々なのはともかく理由を言えーッ!」
 全力で捲し立ててゼイゼイと肩で息をしている。
「女王陛下の手前話しには割り込まなかったけど明らかにおかしいじゃないか!なぜ誰もツッコまないんだ!」
「「「「「「「いや、誰かがツッコムかなって・・・・・・」」」」」」」
「おいー!なんだこの他力本願はッ!他人を頼るなー!もっとアクティブに行こうよ!流される人生なんてつまらないよ!」
 さらに息を荒くするギーシュにタバサが親指を立てて見せた。よくやった、と。
「うるせーッ!!」
「あんま叫ぶと血圧上がって血管切れるぞ」
 ある意味で職務に徹しているギーシュをウェザーが諫めた。
「だいたいウェザーもウェザーだ。いい大人がこんなところで手を繋ぐなんて・・・」
「繋いでねーよ」
「へ?」
「よく見ろ」
 言われた通りにウェザーとアニエスの繋がっている部分を見ると・・・
「ゲェー!アニエスがウェザーの手を物凄い力で握りしめている!」
 血管が浮き出るほどの力で握られたウェザーの手は指の先が変色していた。
「こ、このアマだてに剣なんぞ振ってやがるから握力が尋常じゃないんですけど・・・」
 脂汗を垂らしながら悲鳴をあげるウェザー。しかし悲鳴の理由はそれだけではないようだった。
    ┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨
 背中をチリチリと焦がすような圧力。首筋に刃を突きつけられたような危機感。えもいわれぬ圧倒的な絶望感。そう、

    ル イ ズ だ

 ウェザーとアニエスを文字通りに視線で殺さんばかりの勢いで睨んでいた。
 しかも今のアニエスはウェザーしか眼中にないらしく周りの視線を華麗なまでにスルーしているから、結果ウェザーがルイズの異様に熱烈な視線を一身に受けるはめになってしまっている。
 非常にマズイ。ウェザーは静かに焦り出していた。
 今のルイズは話しかけた瞬間に爆発するのは確実。そう、コーラを飲んだらゲップをするくらい確実!セイロガンを飲んだら息が臭くなるくらい確実!
 かといってアニエスの手を振り払うこともできない。力ずくでは自分が悪者になってしまい、後味が悪すぎる。
 俺はどうすれば・・・
 その時、頭の中に声が響いた。
 何?この修羅場から抜け出したい?それは修羅場を楽しまないからだよ。逆に考えるんだ。『やったね!俺モテモテじゃん!』と考えるんだ・・・
 ありがとう名も知らぬ紳士。全く役に立たねーよクソッタレ!ん?待てよ、どうするもなにもアニエスに頼んで放してもらえばいいんじゃん!善は急げだ。

48 :ヘビー・ゼロ ◆a97Bny7H1c :2007/11/12(月) 22:32:45 ID:CS64dD9Y
「あー・・・もしよかったら手、放してくれないかな〜なんて・・・ははは・・・」
 ウェザーは何とか言いくるめようとアニエスに向き合った。身長の関係で少し見下ろす形になる。そして目が合った瞬間、
「繋いでいたいんだ・・・ダメか?」
 ズキュゥゥン
 アニエスに下から見上げられたウェザーの胸に衝撃が走った。
 ここで離したらもの凄い罪悪感に襲われそうだ。雨に打たれる捨て犬を見つけたら拾うだろう?誰だってそうする。俺だってそうする。
「あ、あれは『潤上眼』!」
「知っているのかウェールズ様!」
「う・・・うむ」
 『潤上眼』。それは古来より護りの固い宮中には男の間者を送り込むのは困難であり、ゆえに女の間者が衛兵や皇室の気を緩めるために生まれた房中術。
 その潤んだ瞳で下から甘えるように見上げられて耐え抜いた男はいないという雄の本能に訴える技であり、『魅了』と違い探知魔法に反応しないことから歴史上数多の場面で使われたという。
 ちなみに今日いい意味で使われている『純情』は、元々この『潤上』が由来であり、「表面上素直そうに見せているが腹の中はドス黒い」という皮肉であることはあまり知られていない。
 ミン=メイ著『女たちの処世術』より抜粋
「うおーい!無いよそんな本も事実も!何書房出版ですか!?」
「いえ・・・多分彼女は本当に純粋な状態・・・そう、無意識だわ」
「僕の話を聞けよ!」
「ま・・・まさか『無我の境地』!」
「知っているのかウェールズ様!」
「そのパターンはもういいっつーのッ!」
 話が進まないことにギーシュがついにキレた。
 いい加減にしろと説教するギーシュを余所に、ウェザーは何とか理性を保っていた。
 こうなった以上はこいつらの友人であり上司であるアンリエッタに収集してもらうしかない。
 死中に活を見い出したウェザーは玉座に座る女王を見上げた。だがその目は冷たく、あるものを想起させる。
(あ、あのヤローまるで火サスの情事の果ての修羅場を見るかのような冷たい視線で見つめやがった!『・・・かわいそうだけど、明日の朝には家政婦さんに死体として見つけられる運命なのね』って感じの!)
「サスペンスならふなはs・・・」
「タバサ!僕の説教中に余所事を話すことは許可しないィィィィィ!」
 味方はもういないかと諦めかけていたウェザーだったが、ようやくアンリエッタが口を開いた。
「さて、楽しいお話はここまでです」
 全然楽しくねーよ!と心中で叫んだ者が二名。
「調査に関しては我々が進めますので皆さんは学生としてしっかり学んでください」
 一同は隊長たちに先導されて謁見の間から出ようとしたが、
「ルイズは残りなさい。そう、ウェザーさんも一緒に」
 二人だけが呼び止められた。ルイズを呼び止めたと言うことは恐らく『あの光』の事だろうとウェザーはなんとなく気づいていたが、当然他の者たちでは気づきようもない。
「いったい何の話しだい?」
 案の定ギーシュが尋ねてきた。ここは適当にあしらえば大丈夫だろうと、ウェザーが答える。
「さあな。なんにせよ女王陛下の命令なんだ、お前らは先に帰ってな」
 だが予想に反してギーシュは引かなかった。
「いや・・・本当は薄々わかっているよ。タルブでの事だろう?君たちだって功労者のはずなのに、シュバリエの受賞がないのもその事と何か関係があるんじゃないかって・・・」
「・・・わかってるなら―――」
「わかっているからこそだよ!僕たちは――」

49 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/12(月) 22:33:58 ID:/GkL7WxN
支援

50 :ヘビー・ゼロ ◆a97Bny7H1c :2007/11/12(月) 22:35:29 ID:CS64dD9Y
「その辺にしときなさいなギーシュ」
 キュルケが静かにギーシュを抑える。
「いいじゃない、別に。秘密なんて誰にでもあるでしょ?友達だって言うなら、言ってくれるまで待つものよ。まして男は待たされる生き物でしょ」
 そう言われてはギーシュも鼻白んでしまうほかない。
「それがどんな内容でも、受け止めてあげるわよ、あたしは」
 そしてほんの少しだけルイズを見て、
「友達だもの」
 ギーシュを引っ張るように出ていった。扉の閉まる音が聞こえた。
「いいお友達をお持ちね」
「別に・・・あんなのは友達って言うか・・・なんて言うか・・・」
 ルイズはそっぽを向いてもごもごと何か言っているが、その頬の赤みはまるで隠せていないのであった。そんなルイズを微笑ましく思いながら、アンリエッタは玉座を下りてルイズと同じ高さに立つ。
「そ、それでいったいどういったお話しでしょうか、姫さ・・・陛下」
「無理して陛下だなんて言わなくてもいいのよ。ただでさえなれない呼び名で毎日毎日挨拶されてるんですもの」
「ですが・・・」
 ルイズはちらりとマザリーニの方を見たが、目が合ってしまい慌ててそらしてしまった。そんなルイズにアンリエッタが耳打ちをする。
「大丈夫よ。老化が早いのか、最近耳が遠くなってるみたいだから」
「聞こえてますぞ陛下」
 刺々しさの混じる声音でマザリーニが言うと、アンリエッタは水を被った猫のようにビクリとしてしまった。
「・・・まあ、精神的な休息も陛下の勤めの内ですからな。その方が落ち着けるというのであればしょうがありませぬ」
 話しに聞いていた枢機卿の印象とあまりに違うために、ルイズは少し面食らったが、本人でさえ自分の変化に少なからず戸惑いを持ってはいた。
「では改めて姫さま、お話しの方を」
「そうね。ではまず、この国を救ってくれてありがとう、と言うのが筋かしら」
 やはりなと言うのがウェザーの正直な感想だった。あの光が何かは解らなくとも、謎の飛行物体が戦場を飛んでいれば目立つだろう。
 少なくともウェールズ辺りは自分の存在にかなり初期から察していただろうし、そうなればルイズもセットであろう事は容易に想像が付く。もっとも、光の正体についてはウェザーも理解し切れていないのだが。
「城下では奇跡の光だなんだと騒いでいるみたいですけれど、わたくしは奇跡など信じていません。先ほどのウェザーさんの能力を鑑みてもあの空にいたのはあなた達でしょう?そしてわたくしはあの光の正体に心当たりがあります」
 アンリエッタに見つめられたルイズは隠し通せないと悟ったのか、最初から話す気だったのか、始祖の祈祷書のことについて話し出した。
「・・・・・・なるほど。やはり『虚無』でしたか・・・」
「始祖ブリミルがその三人の子に国を作らせ、それぞれに指輪と秘宝を残し、それらは今の王家に伝えられていると聞いていたが・・・その始祖の祈祷書と『水のルビー』が鍵だったとは」
 王家であるアンリエッタとウェールズでさえお伽話程度にしか思っていなかったことが現実として今目の前に立っている。神妙な顔つきの一同にウェザーが疑問を投げた。
「でもそれって、誰が開いても読めるワケじゃないんだろ?そう言うのって普通はお前達王族の役目なんじゃないのか?」
「ラ・ヴァリエール公爵家の祖は王の庶子。トリステイン王家の血を引いているのならば資格は十二分でしょう。
 それになにより、ウェザーさんのその左手の印は『ガンダールヴ』ですね?かつて始祖ブリミルの『盾』となった使い魔の印。あなたの起こす風は、立ち向かう者にとってはまさしく盾となって立ち塞がるでしょう」
「では・・・・・・わたしは本当に『虚無』の・・・」
 ルイズは息を呑み、アンリエッタはそれに頷いた。
「これであなた方に勲章恩賞の類を授けることが出来ない理由が理解いただけたかしら?」
 しかし事態の大きさにテンパってしまっているルイズは顔中に『?』が張り付いているのが丸わかりだった。しかたなくウェザーが補足してやる。
「伝説の『虚無』が出たなんてスキャンダルは話がでかすぎて旨くねえってことだ。あの威力は敵にしてみればいの一番に無くしたい兵器だろうよ。だが、さらに頭を捻れば逆に手に入れようと考えるのは容易い」
「ああ、その通りだ。それに内部の人間でさえ私欲に使う可能性は十分にある。ただでさえ巨大な力だ。個人・・・いや、一国でさえその力は持て余すだろう程の・・・」


51 :ヘビー・ゼロ ◆a97Bny7H1c :2007/11/12(月) 22:37:08 ID:CS64dD9Y
「だから『虚無』の事は忘れなさい。標的になるのはわたくしだけで十分。女王になって、少し欲張りになったのかしらね。守りたいと思うものが増えてしまったわ」
 そう言ったアンリエッタの肩にウェールズが手をそえて笑った。なんとも頼もしいツートップである。
「なら・・・ならばこそ、わたしの『虚無』を捧げたいと存じます!わたしはいつも守られて来ました!家に肩書きに規則に・・・そして友に!いつか誰かを守れる明日を目指して努力もしてきたつもりです!
 力のなさを嘲笑され歯痒く思う日々・・・けれどわたしはやっと力を、守れる力を手にしました!だから・・・姫さま!明日は今ですッ!」
 ルイズの目を見てなお、拒むことができるものはこの部屋も、どこにもいないだろう。アンリエッタはルイズの腕を取ると、優しく握った。
「ありがとう、わたくしの一番の親友・・・でもね、あなたは昔からわたくしを守っていてくれていたのよ」
 手を離されてルイズはその手に何かを握らされていたことに気付いた。開いてみれば、それは輝くルビーの付いた指輪。それも、
「『風のルビー』!そんな、これは姫さま達の大切な・・・」
「王家に伝わる指輪が『虚無』の鍵なら、それはあなたが持っているべき物。ささやかだけれど、これを恩賞の代わりとして受け取って、ルイズ」
 それでもまだ渋るルイズにウェザーが横から口を出す。
「いいじゃねーか、もらっとけもらっとけ。どうせこいつらはそのうち別の指輪をつけるんだからよ」
 そう言って左手の薬指を立ててみせる。
「もう!もっと言い方ってものがあるでしょう!」
 ウェザーの背を小突くが、しっかりと指輪は受け取っていた。
「では最後にあなたをわたくし直属の女官とし、許可証を発行します。魔法衛士隊、銃士隊でも解決できない事件が出た場合には極秘裏にあなたたちに相談いたします。そう言ったケースは稀でしょうけれど、件のスタンド使いなどは対策が無に等しいので」
 アンリエッタが紙に何かをしたためると、書面に花押を押してよこした。それは許可証であり、女王の権利を行使する権利書でもある。女王のお墨付きを貰ったに等しいのだ。しかしとうのルイズは、受け取った許可証に視線を落としたままである。
「・・・・・・あの、姫さま・・・このことは・・・」
「それと、あなたが本当に信を置く者にのみ、援助を許可します」
 ルイズがみなまで言う前にアンリエッタが口を開いた。驚いて視線を上げたルイズをアンリエッタは微笑んで見ていた。
「さあ、あまり遅くなってもまずいでしょうから、今日はここまでにしましょう。『虚無』の使い手とは言え、一学生であることに変わりはありませんからね」

 ルイズは思いっきり頭を下げて礼をし、ウェザーと部屋の外に出ていった。並んで歩く二人は色々と話をして意見を交換したりと穏やかな雰囲気が続いていたが、王宮の門を出るところでアニエスと出くわした。
「な、おまっ・・・まさか待ってたのか?」
「ああ、そうだが?いつ終わるかもわからなかったしな」
 さも当然だろうとばかりに話しているが、正直勘弁願いたかった。いや、女が寄ってくる分には問題ない。問題ないのだが、ルイズのいるこの状況は勘弁して欲しかった。この局面を逃げ切れなかったらやばそうなのは直感で理解できている。
 チラリとルイズを見たが、漆黒のオーラを放っているため正視も出来ない。そして案の定アニエスはルイズなど眼中にないらしくウェザーの腕を掴ん出来た。必然的に胸が当たるが、アニエスに他意はない。
「ウェザー、少し私に付き合ってくれないか?」
「いや・・・あ、ホラお前、例の銃士隊で忙しいんじゃないのか?」
「ああ、それなら陛下が『これからはもっと忙しくなるでしょうから編成が完了する間だけ休養につかいなさい』と」
 女王陛下が裏で暗躍してるんじゃないのか?タイミング良すぎないか?
「いや、でもほら・・・俺ってルイズの使い魔だし・・・なあ、ルイズ?」
「別に。いいわよ好きにしても。帰るだけなら一人で十分だから」
 助け船をルイズに求めたが、生憎とルイズ港は只今大時化で船が出せませんとばかりにスッパリ断られる。
「よし、許しも出たところでさっそく行こうじゃないかウェザー!」
 引きずられるウェザーは最後にルイズに助けを請う視線を送ったが、養豚場の豚を見る目で返されて撃沈した。しかしそこに再び紳士が光臨した。
 何?この女から解放されたい?それは悪い方にばかり考えるからだよ。逆に考えるんだ。『労せずして美人ゲットだぜ!』と考えるんだ・・・
 もうそれでいいや・・・・・・

52 :ヘビー・ゼロ ◆a97Bny7H1c :2007/11/12(月) 22:38:15 ID:CS64dD9Y

「やあ、ウェザーじゃないか」
「・・・・・・よお、ギーシュ・・・」
 王宮に出向いた翌朝、学園でギーシュはウェザーと出くわした。しかしその様子はどうにも憔悴しきっている。
「朝帰りかい?うらやましいね、この色男!」
 ギーシュがふざけて囃し立てるがウェザーの反応は鈍く、溜め息を吐くだけだ。
「とは言え、肩のキスマークくらいは隠しておかないとまたぞろルイズに噛みつかれるよ」
「・・・・・・・・・」
 するとウェザーはいきなりその場で上着を脱ぎだした。止める間もなく半裸になると、その体中に赤い斑点がついていることに気が付いた。
「全身にキスマーク・・・・・・い、いや違う!こ、これは痣だ!体中に痣が出来ている!一体どんなプレイをしたんだ君たちはァーッ!」
「プレイじゃねえ・・・『デート』という名を借りて『特訓』という皮を被った『拷問』だ。あの女が行きたいところがあるからって付いていったら山を登らされて、わけのわからん内に木剣渡されて、『私の特訓に付き合ってくれ(はあと)』だぞ!」
「そ、それは・・・木剣で『突き合う』と男女として『つき合う』をかけた彼女なりの告白なんじゃないかな?」
「無理してオチつけなくていいぞ。さすがに俺も剣は素人だからな、めった打ちだよ。しかもそのあと山中走らされて、滝に打たれて、崖から落とされかけて・・・崖の上から見下ろしていたアイツの顔は何か楽しそうだし・・・誇張抜きに死ぬかと思ったぜ・・・」
「う〜ん、彼女はもしかしたらピクニックのつもりだったんじゃないかなあ?」
「ピクニックね・・・確かに、アイツの手料理は食えたよ」
「おお!それはよかっ・・・」
「その山で捕ってきたイノシシやらヘビやらの丸焼きをな。オール現地直送の山の幸だ」
「わ、ワイルドな食卓だねえ・・・」
「しかも一晩山で野宿ときた。このままじゃ確実に殺られる。だから殺される前に逃げてきたんだよ」
 今にも泣き出しそうなウェザーにギーシュは同情を禁じ得なかった。なにか声をかけてあげようかとも思ったその時、遠くから声が聞こえてきた。
「・・・ザー・・・ェザー!おーい、ウェザー!」
 その声が耳に届いた瞬間にウェザーが硬直した。それだけであの声の主が誰か解ろうというものだ。
「俺はそこの草むらに隠れるから、お前はアニエスに俺がどこか訊かれたら適当にあしらってくれ。いいな」
「まあ、それくらいは協力しよう」
 言うやいなや飛ぶようにしてウェザーは草むらに潜り込んだ。しばらくしない内にアニエスがギーシュのもとへやってくる。
「ああ、君は確かウェザーと一緒にいた・・・」
「ギーシュ、ギーシュ・ド・グラモン。以後お見知り置きを、シュバリエのアニエスさん」
 気取ってみせるギーシュの顔をアニエスは一見ただ見ているだけだが、その実はおかしな挙動はないかと探っているのだ。しかしギーシュはもともと浮気性だったので、こと演技に関してはいささかの自信がある。
「それで、ミスタ・グラモン」
「ギーシュで構わないよ」
「そうか、ではギーシュ。君はウェザーを見なかったか?こちらに行ったと他の生徒にきいたものでな」
「さあ?見てませんよ、まったく。影も形も見あたらない」
 ギーシュの演技は完璧だった。しかし、数多の女を騙せし妙技だがこの時ギーシュは唯一つの読み違えをしていた。この日のアニエスが正気でも曖昧でもなく、平民であろうと貴族であろうと間合いに入った人間には脅迫してでも吐かせる魔人へと変貌を遂げたこと。
「ふむ・・・訊き方が悪かったか?」
 そう言うと腰から小銃を取りだしギーシュの眉間とキスさせた。
「ウェザーはどこにいるのかな?かな?」
「そこにいます」
 即答したギーシュが指差した垣根がビクリと揺れた。そこへアニエスが満面の笑みを浮かべながらにじり寄る。
「オンドゥルルラギッタンディスカー!」
 ウェザーが叫びながら飛び出し、脱兎のごとく逃げ出した。
「ギーシュテメー覚えてやがれ!オレァ、クサムヲムッコロス!」
「あ、待って!」
 アニエスは竜巻の如く後を追って走り去っていった。あとに残されたのは静寂とギーシュだけ。
「すまないウェザー。けれど、今の彼女は人なのかい・・・・・・?」
 人か魔かアニエス・シュバリエ・ド・ミラン!恋心か、それ以外か!Sか、それ以上か!

53 :ヘビー・ゼロ ◆a97Bny7H1c :2007/11/12(月) 22:39:53 ID:CS64dD9Y

 ウェザーは必死に逃げ、隠れた。しかしそれでもアニエスは追いかけ、いたるところに現れる。
 中庭でも。
「ウェザー!」
「ぎゃー!」
 廊下でも。
「ウ・ェ・ザ・ア」
「ぐわー!」
 物置でも。
「ウェザウェザ」
「変なアダ名つけんな!」
 広場でも。
「ジャーン、ジャーン!」
「げぇ、アニエス!」
 トイレでも。
「ウホッ!イイ男!」
「アッー!」
 見つかるたびに逃げ続け、何度目かの鬼ごっこでようやくウェザーはアニエスを振り切れたのだった。

「へえー。それはよかったですねえ」
 逃げ込んだ先は厨房。隅のスペースにへたり込みながら事の顛末をシエスタに愚痴ったところ、今の返事が返ってきたのだ。
「いいですねー。アツアツですねー。ウェザーさんも隅におけませんねー」
 しかしなぜか棒読みだった。しかも作業中らしく背中を向けたまま声だけ聞こえる。
「アニエスさんでしたっけ?」
 シャーコ
「ちょっと男っぽい感じしますけど、美人ですよね」
 シャーコ シャーコ
「そんな人といい年して鬼ごっこですか?」
 シャーコ シャーコ シャーコ
「見せつけてくれますねー」
 シャーコ シャーコ シャーコ シャーコ
「・・・よし」
 作業の手を止めた。しかしその異様な雰囲気に思わず生唾を飲んでしまった。
「あ、あの・・・シエスタ・・・さん?」
 ウェザーの呼び掛けに体を少しだけ向けてくれた。ただし、その手によく研がれた包丁を光らせながらだが。
「所でこの包丁を見て、どう思います?」
「す、すごく・・・鋭いです」
 口調は柔らかくなったが目がまったく笑っていないシエスタ。包丁を揺らしながらにじり寄る。
「すいませんけど今準備で忙しいんです」
「あ、ああ・・・じゃあ何か手伝おうか?」
「ありがとうございます。ではそこのゴミを捨ててきてください。ちなみに帰ってこなくていいので」
「・・・はい」
 シエスタの迫力にウェザーはただ頷くしかなかった。


54 :ヘビー・ゼロ ◆a97Bny7H1c :2007/11/12(月) 22:41:40 ID:CS64dD9Y

 唯一とも言えるオアシスから追い出されてゴミ置き場に向かうウェザーは三歩歩くたびにため息を漏らしている。
 タバサとキュルケはどこかに行ってしまった。ギーシュには裏切られた。シエスタは不機嫌だし、ルイズはもっと不機嫌だ。今この学園の中に安息の地はないのかと嘆いているうちにゴミ置き場に到着してしまった。
 「戻ってくるな」と言われている以上、ほとぼりが冷めるまでは外れで隠れていようと決め、ゴミをおこうとした。と、ゴミ置き場に相応しくない日に輝く物が目に入って思わず取り上げてみる。
「これは・・・」
 その時、ザリッ、という足音が背後でし、ウェザーは思わず緊張した。
 中庭も廊下も物置も広場もトイレでも見つかった・・・・・・つ、次はどこに隠れればいい?ヤツはどこから来るんだ?
「俺のそばにちかよるなぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ―――ッ!」
 思わず思考がヘタレの方向に向いてしまったウェザーが見たものは金髪ではなく桃髪だった。
「なんだ、ルイズか・・・」
「何だとはずいぶんね。あ、あ、朝帰りの使い魔さん」
「はあ?別にお前の思ってるようなことは何もなかったよ。むしろ俺の生還を褒め称えろ。で、お前はこんなところで何の用だ」
 と、ルイズの手に杖が握られているのを見て気付く。
「魔法の練習よ。わたしのは他の誰かに見られたらまずいでしょ」
 それはそうだろう。一目で『虚無』だと気付けるとは思えないが、それでも人目を避けるに越したことはない。
真面目にやってるんだな、と娘の成長を見る親のような気分だったウェザーだが、魔法と聞いて少し気になった。そしてそれをルイズに聞いてみる。
「なあ、魔法に人の心を操る魔法って、有るか?」
「あるわね。例えば―――そう、『魅了』とか・・・」
 言い終わる前にウェザーは駆け出していた。

 あちらこちらを走り回ったウェザーだったが、ついにある扉の前で止まった。ゼーゼーと息をしながら追いついたルイズが声をかける。
「も、モンモランシーの部屋?」
 言うやいなやウェザーは扉を蹴り破る勢いで蹴飛ばした。中には驚き顔のギーシュと―――背を向けたモンモランシーが。
「ウェザー?な、何の用だね!ノックもしないでレディーの部屋に勝手に上がり込むなんて!」
「用?決まっているだろうギーシュ。今から今回のアニエスに惚れ薬をの飲ませた犯人を摘発するのさ」
「惚れ薬?禁制の?」
 ギーシュをどかして押し入り、一点を指差す。その先には、
「犯人は・・・・・・お前だ」
 モンモランシーがいた。しかし彼女はまったく動じてはいないようだ。
「何を世迷い言を・・・よりにもよって私が犯人だなんて。あなた達だって知っているでしょう?私は一度もあの人とは接触していないのよ・・・。私が現場に追いついたときにはすでにその状態だったわ」
 その状態とは今まさにウェザーにくっついている状態のことだろう。何だか悔しい。
「だからお前にはアニエスに惚れ薬を飲ませることはできない・・・それはそうだ。なぜならお前が飲ませたかった相手はアニエスではないのだから」
「な、なんだってー!」
「そもそもお前のシナリオでは話がここまででかくなることはなかったはずなんだ。シナリオに必要な物は『飲ませたい相手』と『飲ませる状況』が揃っていれば事は足りた。
 お前はその二つ名の通り香水を作って街や学校で売り捌いているようだが・・・さっきその学生から借り受けた物だ」
 そう言って香水の小瓶を取り出す。わたしも見たことがあるそれは、確かにモンモランシーがよく使っている小瓶だ。
「聞いた話だとお前は自分の作る物にポリシーでも持っているのか、特注の小瓶を使っているらしいじゃないか」
「・・・・・・・・・」
「た、確かにそれは彼女が街の職人に作らせている物だけれど・・・」
 黙りこくるモンモランシーの代わりにギーシュが答える。彼女は背を向けたままこちらを見ようともしない。

55 :ヘビー・ゼロ ◆a97Bny7H1c :2007/11/12(月) 22:44:33 ID:CS64dD9Y
「そうか・・・。そして・・・さっき厨房のゴミ箱を探ったら、ホラ、同じ瓶が出てきたぜ?中に少し液体が残っているが、検査すれば惚れ薬だとわかるはずだ」
 モンモランシーを除く全員がウェザーの手元に注目する。
「手順はこうだろう。ギーシュとデートをしていたお前は飲み物を二つ用意し、まずは自分の容器の方に惚れ薬をいれた。そして二人きりになれる場所に誘い込み・・・飲み物に文句でも付けて入れ替えてしまう」
「じゃ、じゃあ彼女はまさか・・・ぼくに惚れ薬を飲ませようとしたのか?」
「効果は下手したら一年以上続くぞ」
 う・・・、と喜びかけていたギーシュは黙ってしまった。
「いたって簡単な手順だ。頭を捻らなくても考えつく。事態は何事もなく運ぶかと思われた・・・・・・が、そんなタイミングで事件は起きた。アンリエッタ王女暗殺未遂事件だ。
 あの時ギーシュはすでに入れ替えられた飲み物を持ったまま事件に絡み、そして結果としてアニエスが飲んでしまった」
 確かにアニエスがおかしくなったのはあれを飲んでからだ。
「まあ、交通事故のような物だったとは言え、ご禁制の薬を作った・・・」
「・・・もういい」
 初めてモンモランシーが口を開いた。
「ほう・・・もういいってことは、認めるんだな?あっさりと自分の罪を」
「モンモランシー・・・なぜそんなことを・・・・・・。ぼくは常々君の永久の奉仕者だと言っているじゃないか!」
「ふん・・・別にあなたじゃなくてもかまわなかったのよ。おつきあいなんて暇つぶしでしょ?でもね、だからって目の前で浮気されたら溜まったもんじゃないわよ」
 モンモランシーはそう言いながらもグラスにワインを注いでいく。こんな状況だというのに、まるで国賓の客がいるパーティーのように上品な仕草でだ。
「・・・なぜあっさり自白したのかわかるかしら?私には確実にあなた達全員から逃げる自信があるからよ!!」
 そう言うとモンモランシーはワイングラスを手に取り――――
「数え切れない魔法・薬物を精密なバランスで配合し超高級なワインで寝かすこと七日七晩!!探知魔法では決して露見せず、なおかつ全ての魔法・薬物の効果も数倍!鼻から飲むことでさらに数倍!!」
 なんと鼻から流し込んだのだ。モンモランシーの瞳孔は完全に開き身体に変化が現れる。
「これが・・・長年にわたる研究の結果辿り着いた・・・私の究極の秘薬!!」
 これではまるで・・・・・・
「ドーピングロマネコンティだ・・・・・・さぁ諸君、私が逃げられるのを止められるのかな・・・?」

56 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/12(月) 22:46:09 ID:nnqT7nUw
支援だ!

57 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/12(月) 22:47:21 ID:N0hpZ1ho
はっちゃけすぎだw支援!!

58 :ヘビー・ゼロ ◆a97Bny7H1c :2007/11/12(月) 22:47:55 ID:CS64dD9Y


「化け物じゃねーかッ!」
 そう叫んで跳ね起きた。・・・跳ね起きた?
「やあおはようウェザー。ずいぶんうなされてたけれど悪い夢でも見てたのかい?」
 夢・・・・・・そうだ、夢だ。俺は眠っていたんだとようやく思い出した。それはそうだ。所々にありもしない事実が述べられているのだから当然か。
 落ち着いてきたところで事態を整理しておくと、モンモランシーの部屋に押し入ったところからが夢だ。モンモランシーを問いつめれば特に抵抗もなく白状し、謝罪したのだ。
 禁制の薬を作ったこともギーシュの必死の説得もあり、アニエスを元に戻せれば今回ばかりは目を瞑ると言うことになった。二人にとってもいい薬になるだろう。
 しかし解除薬の調合に必要な『あるもの』は市場では手に入らず、こうして大きな幌馬車に乗って採りに行く途中なワケである。
「あー・・・まったく嫌な夢だったぜー。モンモランシーが『フゥ〜・・・フゥ〜・・・クワッ』とか言いながら俺達をクシカツする夢だった・・・・・・」
「何それ・・・全然内容がわからないよ」
「ちなみにギーシュだけはゴシカァンされてたな」
「何かレベル上がってるし!なんでぼくだけ!」
「さあ。浮気でもばれたんじゃねえの?」
「え?う〜んキャシーとのことかな・・・それともスザンヌ・・・」
「へぇ・・・あなた私の他にもそんなにお付き合いしてる女性がいたのね・・・」
 いつの間にかギーシュの後に立っていたモンモランシーがギーシュの頭を掴んでいた。ギーシュはもうこれでもかと言うほどに汗を流して真っ青になってしまっている。
「い、いやあ・・・これは違うんだよ・・・」
「私が何のためにあの薬を使ったのかおわかりかしら?」
 次の瞬間にはギーシュは頭を床に叩き付けていた。もちろん聞こえてきた音はゴシカァン、だ。
「おお、正夢。取り敢えず裏切ってくれた分は返すぜ」
 そして再びゴロリと横になったが、頭に何か柔らかい感触があった。何だろうと目を開けると、逆さのアニエスが視界に入った。逆さのアニエスと柔らかい何か。
「・・・アニエスさんはいったい何をしてるのかな?」
「膝枕だ」
 キッパリという様は凛々しいが、そんな真顔で言われても困る。何が困るって、結局ルイズの不機嫌オーラをウェザー自身が全て受けとめなきゃならないことがだ。
 痴話喧嘩真っ最中のバカップルに不自然にべったりな騎士と不機嫌なご主人様。この一行では徐倫の父でなくともついついこうこぼしてしまう。
「・・・やれやれだぜ」

     To Be Continued…


59 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/12(月) 22:51:10 ID:O3BxC12h
ヘビーの人乙です。
ギーシュがツッコミ役ってなにげに珍しいかも。

60 :ヘビー・ゼロ ◆a97Bny7H1c :2007/11/12(月) 22:51:18 ID:CS64dD9Y
以上投下完了!
DCSネタやるためだけに題名をネウロっぽくしたという暴挙は反省している。
この後はしばらくバトルばっかりになりそうだから今のうちかと思ったんだ・・・
あ、あとフレイムって「きゅるきゅる」以外喋ってないよね?語らせたいのに話し口調が分からない

61 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/12(月) 23:01:16 ID:3E3FzGwV
乙【グッドジョブ】

62 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/12(月) 23:08:58 ID:lfPmP8lC
GJ【最高の仕事だったよウォルター、ウェザーが災難過ぎ、つかDCSもといDRCってwwww】

63 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/12(月) 23:24:38 ID:XP0lRdKy
>>60
タバサの冒険2にフレイムの台詞有り。参照。

64 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/12(月) 23:38:49 ID:jeYyezld
『ユリイカ2007年 11月臨時増刊号』(2007年11月12日 発売)
総特集*荒木飛呂彦 鋼鉄の魂は走りつづける
http://www.seidosha.co.jp/index.php?%B9%D3%CC%DA%C8%F4%CF%A4%C9%A7




65 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/12(月) 23:40:19 ID:6eKF4uWD
>>64
これは地雷注意

66 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/12(月) 23:50:37 ID:EogoNpfo
まあ、ギーシュ、ガンバ。
あと作者さまGJ!!

67 :使い魔は引き籠り:2007/11/13(火) 00:02:25 ID:wiaM9GxS
「ふあ・・・・っくし!」  うわっ寒ィッ

鏡の世界には温度が無い。
生物が居ないのは勿論、暖炉が燃えていようと、それは『鏡に映った炎』であり
手を触れても火傷する事は無い。
鏡の中の物を触れないのと一緒で、炎に当たった爪が跳ね返されるばかりで
手を突っ込む事さえ出来ないのだ。
だから鏡の世界は寒い。寒いから、寝るときには毛布なんかが必需品だ。

「あァ・・・・?」

勝手に『跳ね除いた』掛け布団を手繰り寄せようとして拒まれて、自分が『中』に居ると判った。
それにしても見慣れない部屋だ、ここは――――
ぼんやりと眺めていると、掛け布団は更に遠くへ飛び、
天蓋つきのベッドから箪笥へむかって、誰かが歩いていくようだった。
途中椅子やゴミ箱なんかにガツンガツンとぶつかっている。

(思い出した・・・オレは変な小娘に『連れて来られて』・・・・そいつ部屋だ。)

部屋の主はだいぶ朝に弱いようだ。・・・・でも、オレだって弱い。

(『サモン・サーヴァント』とかの話は詳しく聞きたいし、
此処が何処なのかも知りたい――――陸伝いに帰れればいいんだが。
でも、今『鏡の世界』から出て行ったら物凄く、面倒くさいんじゃないか?)

引き出しが勝手に開き、衣服がふわりと宙に浮かんで消えた(身に着けたんだろう。
生き物が『自分の一部』と判断したものは『精神エネルギー』となり、許可しない限りこちらには現れない)
あの小娘、なんだってオレに「ご主人様と呼びなさい!」なんて言っていたかは知らないが、
オレを見下しているところがある。後、スタンド名の『サーヴァント』って所に物凄く嫌な予感がする。

(嫌だな・・・オレはまだ眠たい・・・・)
「『マン・イン・ザ・ミラー』?」

ベッドの近くにマン・イン・ザ・ミラーが浮き出した。
いきなり訳のわからないところに連れて来られても、知らないやつに囲まれても。
こいつと『鏡の世界』がある限り、オレは大丈夫だ!安心していられる。
なあ?マン・イン・ザ・ミラー。お前は間違いなく最良のスタンドだ。
そりゃあパワーは強くないかもしれない。昔ちょっとした諍いで鏡の中に引き込んだプロシュートの野郎は
マン・イン・ザ・ミラーに殴られても怯む事無く殴り返してきた。オレを。
(あれは悔しかった。だがオレはあれで大切な事を学んだ!俺より強そうなやつは、腕と足を許可しちゃいけない。頭突きにも注意だ)
だからスタンドだけで強い相手を殺すのはちょっとした骨だし、鏡の外ではたいしたことは出来ない。

68 :使い魔は引き籠り:2007/11/13(火) 00:05:40 ID:zqjS9oQ0
でもオレはお前を信頼してるぞ。
お前はオレに安全をくれるし、従順だし、鏡の中なら何だって出来る。
唯一文句があるとするならば喋らない事だが
(鳴くだけでもいいのに。メローネのスタンドくらい喋ったらもっといいが、生意気なのは嫌だ)
オレの言う事はちゃんと判ってるみたいだから、それだけでいいさ。

「だから、『マン・イン・ザ・ミラー』――――掛け布団を直してくれよ。
もう一度寝る。後二時間くらいしたら起こしてくれ」

言うが早いかマン・イン・ザ・ミラーはひょいと掛け布団を摘みあげる(オレでは動かせないからな。)
ありがとう、マン・イン・ザ・ミラー・・・・ああ〜、温かいなあ。きっと凄く高いベッドだぜ!

文句の一つも言わない『マン・イン・ザ・ミラー』、ルイズがそれを見ることが出来たなら、きっと言うだろう。
「私も、あんな使い魔が欲しい。」




二時間きっかりかどうかは知らないが、マン・イン・ザ・ミラーに揺すり起こされて、オレはやっと目が覚めた。
今が何時なのかはよく判らない。でも、腹が減ったな・・・・
あのルイズとか言うやつに聞く事も色々あるし。ついでに、食事できる場所があるかも聞いてみようか。
ここがイタリアじゃないんなら、オレは無一文だしな。

(オレの目的は『一刻も早く帰る』から、『確実に帰る』にスイッチしていた。
快眠によりすっきりした脳味噌は一転、酷く楽観的になっていて
『心配しなくてもあいつ等はそうそう死なないし、万一帰るのが遅れても事情を話せば糾弾されまい』と判断したためだ)

いつ帰れるか判らないんなら、衣食住。住は大丈夫だが、それ以外が問題だ。
鏡の中の食い物は食えない、服だって着られない。結構制約が多いんだ。
場合によっては簡単な仕事を見つける必要があるかも・・・・・室内で、一人で出来る奴がいい。

慣れた動作で鏡を潜って、外の世界へ出る。軟らかい照明と温度、生きた世界だ。
(でもオレは、かえって落ち着かない。)

とりあえずルイズの部屋から出て、廊下をうろつく。昨日と違って全然人が居ない。
『居すぎる』よりはオレ向きだが、一人も居ないんじゃ道も判らないじゃないか。
だが、ずいぶんファンタジーでメルヘンな建物だし、人探しついでに探索も悪くないかもしれないな。

そして結構重要なのが、鏡の位置の確認。見つけたら場所を覚える。外せそうなら持ち歩く事。


69 :使い魔は引き籠り:2007/11/13(火) 00:08:05 ID:zqjS9oQ0
・・・・無いぞ。
鏡が無いぞ、全ッ然無い!
トイレには辛うじてあったが、それ以外には全く無い。
いや、全くといってもまだ行っていない場所はまだまだある。この建物は以上に広い上、至るところが施錠されていた。
それに、そもそも一般的な建物にはそうそう鏡などかかってないだろう。(あるなら個人の生活スペースだ)
でも、こんなに古風でデザイン性溢れた建物なんだし、その辺にかかってたっていいだろう!廊下とかに!
インテリアとか、そういうのは無いのか?わざわざ古風に建築するんなら、機能性なんて考えなくてもいいじゃないか。
コレは予想外に不便だな。『マン・イン・ザ・ミラー』は鏡があればこその最良、なければ何も出来ないといってもいい。
だから『仕事』の再には事前に鏡を設置して・・・・しかし、この場合はどうしたものだろう?設置するにも、何処から調達すればいい?

何かあったらとりあえず便所に駆け込む、なんて格好悪い真似したくない。
ルイズの部屋の、箪笥の横の鏡。あれ、割って持ち歩いてしまおうか?
それとも適当なガキでも捕まえて、手鏡を――――

「おや、君はたしか、ミス・ヴァリエールの使い魔の。」
「は?(使い魔?)」
「こんなところで何をしているんだね、新学期の始めの授業は使い魔も出るしきたりなんだ。
ミス・ヴァリエールからはぐれてしまったかな?そこの角を左だよ」
「・・・・どうも。」

昨日オレの手をじろじろ見ていたハゲだ。つうか、今も見ている。
何なんだ?気持ち悪いな。まあ別に、ハゲはうつる病気って訳じゃない。オレの髪は強い方だし――――
「ちょっと、左手を良く見せてもらってもいいかな?」
「!」

また反射的にぶん殴ってしまった。『許可』しないうちに触れるから悪い!
まあ、強く出れそうな奴には強く出るのがオレ流だ。フハハハハ、とか笑ってな。最高に「ハイ!」って奴だ。
昨日ぐっすり眠ったら、ずいぶん気持ちが落ち着いたからな。今のオレは悲観的じゃない、暗殺者のイルーゾォ。
暗殺者は強い。オレはもっと強い。オレのスタンドは最良だ!自信に溢れたオレは、顎を上げて歩く。
そういえば昨日、あの娘っ子にずいぶん舐めた態度をとられたっけ。
次にあったら『質問』・・・・いや『尋問』ついでに、「大人のお兄さんを怒らせると怖いんだぞ」って教えてやら無いといけないな。
「暗殺者を怒らせると」の方がビビるか?・・・・いや、ひけらかすものじゃないし、ビビらせ過ぎても可哀想か・・・・

角を曲がって左、ドアノブに手を掛ける寸前に、
派手な爆音がしてドアごと吹っ飛んできた。
直撃を食らって(泣くほど痛かったが、もちろん泣いてないぜ)一瞬意識を失う―――――


「え?罰掃除ですか?そんな・・・・・・もう、イルーゾォは何処なのよーっ?!」


―――――何か考えるより先に、全速力で便所の鏡に飛び込んだ。

70 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/13(火) 00:08:55 ID:nzFltQNA
支援ッ!

71 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/13(火) 00:10:05 ID:hs6FRoMi
支援
おいッ!手伝ってやれよ地味ーゾォww

72 :使い魔は引き籠り:2007/11/13(火) 00:11:32 ID:zqjS9oQ0
二話投下終わり。
ネタがあるうちはこまめに投下して行こうと思う。
前スレでマンミラの考察付き合ってくれた人ありがとうございます!

イルーゾォの職業が完全に鏡警備員です。
ゼロ使なのに『魔法』も『ヒロイン』も無し・・・・まさかだろ・・・・
とりあえず萌えはマンミラで補給。

73 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/13(火) 00:12:18 ID:p3i6/Y+e
マンミラ良い奴だなあ

74 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/13(火) 00:12:59 ID:nzFltQNA
支援!
ところでマンミラって水面でも向こう側に入れるのかな?

75 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/13(火) 00:16:11 ID:h18vcCLm
鏡じゃないと駄目なのか
物が映ればいいのかわからんな

76 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/13(火) 00:16:53 ID:hs6FRoMi
GJ!
やっぱ地味ーゾォはヘタレかwww

77 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/13(火) 00:24:45 ID:4YT3GAsf
鏡警備員ってwww
もう便所の鏡割っちまえよwww

78 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/13(火) 00:28:08 ID:4YT3GAsf
おかしいな、sageたはずなんだか
もしや新手のスタンド攻撃か?!

それにしても
>マン・イン・ザ・ミラーに殴られても怯む事無く殴り返してきた。

兄貴はやっぱりスゲーや!

79 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/13(火) 01:09:52 ID:+Vo6BFKk
GJ!

マン・イン・ザ・ミラーを「最強」でなく「最良」のスタンドと呼ぶところにイルーゾォのスタンドへの信頼が溢れてるな。
しかしこのイルーゾォ、頭の中のイメージ図では常に半泣きなんだが、どうしたもんだろうか。

80 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/13(火) 01:24:05 ID:REoiLTNS
>半泣き
それでいいんじゃないかな。

81 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/13(火) 02:06:20 ID:LPg/UZbf
そりゃウィルスでぐちゃぐちゃにされればヘタレにもなるわなw

82 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/13(火) 02:57:36 ID:/2t2PAXZ
精神的な外傷はでかいだろうなあw

83 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/13(火) 03:10:00 ID:17MwQHmr
このイルゾォーやギアッチョ、メローネを使っていたリーダーにマジで惚れそう。

84 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/13(火) 12:23:01 ID:KfDtR8xW
リゾットはきっと神経性胃炎

85 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/13(火) 14:46:40 ID:JgPGAYF8
リゾットが(胃炎が悪化して)血を吐く
部下が(メタリカくらって)刃物吐く
可愛いスタンド(メタリカとかマンミラとか)おろおろする

みたいなのが浮かんできた

86 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/13(火) 14:56:54 ID:6beE45uG
>>85
西條八十のトミノの地獄とはまたマニアックなwww
あ、ぐぐっちゃいかんよ知らない人は

87 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/13(火) 16:53:32 ID:5njLZq5r
前スレがサバスで埋まった

88 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/13(火) 18:43:20 ID:/cDGSx/l
いまさら遅いか150万突破ァw
地味に突破してたよ


89 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/13(火) 19:58:20 ID:s/1q8M0R
ウェザー乙!
アニエスさんかわいいよかわいいよアニエスさん
いろいろと大変だなウェザー


引きこもりGJ!
情けなさ逆に魅力だ
しかも兄貴を高く評価してるのが信頼の現れみたいで尚更いい

90 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/13(火) 20:50:31 ID:17MwQHmr
リゾット、プロシュート、ホルマジオがルイズの理不尽に付合えたのは、ギアッチョ、
メローネ、イルゾォーに鍛えられ並の理不尽に対する耐性が出来ていたからか。

91 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/13(火) 21:05:57 ID:XtUb+oub
イルーゾォはそんな理不尽じゃない気がする
むしろホルマジオの方がなんとなく常にイラついてそう

92 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/13(火) 21:06:31 ID:1hkuKf+9
イルーゾォってそんなに理不尽…?

93 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/13(火) 21:13:01 ID:i875vKyL
鏡の世界に篭って出ない頑固さが理不尽なんだよ


94 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/13(火) 21:40:27 ID:9GX4HiJv
むしろブチャチームの方が致命的に理不尽
アバ茶→威張り屋
ド低能→クサレ脳ミソ
ワキガ→4恐怖症
Airman→プッツン野郎

ブチャラティの胃に穴あくだろ…これ…

95 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/13(火) 21:41:57 ID:vGCylgSX
ホルマジオは常に「しょぉぉぉおがねぇぇなぁぁぁ」で、放置

96 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/13(火) 21:57:17 ID:nzFltQNA
>>94
イルゾォ「あの〜ウイルス何回やっても避けれない♪

97 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/13(火) 22:04:30 ID:17MwQHmr
>>94
ブチャラティのスタンドは殺傷力が高すぎて身内に使えないメタリカとは違って、
怪我させずにバラバラにしたり黙らせたり(口にチャック)とか出来るだろ。


98 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/13(火) 22:30:32 ID:UC3gQu6w
>>94
コブラ部隊も真っ青な変人っぷりだな

99 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/13(火) 22:38:03 ID:59LKuHlk
>>94
大丈夫
穴が開いてもチャックでおk

100 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/13(火) 22:39:02 ID:P0EeZFwW
初期ブチャも結構変人だと思う

101 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/13(火) 22:44:21 ID:KfDtR8xW
胃袋の穴をジッパーでふさいだ!
とか普通にやってそうだ

102 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/13(火) 23:10:13 ID:APA5oVk+
サーレー編を書いても構いませんねッ!


103 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/13(火) 23:13:44 ID:17MwQHmr
許可する――――ッ

104 :使い魔は引き籠り:2007/11/13(火) 23:14:58 ID:zqjS9oQ0
鏡の世界は左右対称で、生き物は『許可』しないかぎり一匹たりとも存在しないが、それ以外は非常に忠実に外の世界を再現する。
爆発音についでルイズの声(なんか怒ったような調子で俺を呼んでいた)、少なからず危険を感じたオレは
とりあえず鏡の中から『外』の様子を推測してみる事にした。(ビビってるんじゃない、慎重なんだ。)

生き物(主に人間だな)が映らなくとも、その気配を探るのは割りと簡単な事だ。
人が歩く時、そいつが特に気を使わなければ、荷物は空中を移動し、絨毯は撓み、ドアはひとりでに開く。
(鏡の世界になれていない奴が見ると、相当に気持ちの悪い光景だ)
もっと注意してみれば埃の舞い上がる様子だとか。どれぐらいの人数がどちらへ移動するか、大体ならばわかるのだ。

無残に吹っ飛ばされたドアから、大人数が出て行く感じがある。
ふうん、授業だとか言ってたかな、あのハゲ。ここは学校なのだろうか。
慎重に『教室』と思われる部屋を覗き込む。確かに大学なんかの講義室に似ている・・・・が、
机や椅子は派手に吹っ飛び、窓ガラスは割れ、酷い有様だ。やはり爆発か?

爆発だとしたら、鏡の中でも危険だな。
『物体』はこちらの世界でも変わらず動く。
ラリッた野郎がナイフを振り回したり銃を乱射したりすれば、それらは俺に当たるんだ。

勿論半端なモンならマン・イン・ザ・ミラーで叩き落とせる。パワーは無いが、鏡の中はコイツの世界だ。
オレはどんなに頑張ったってティッシュボックス一つ動かせはしない。が、
正反対に『マン・イン・ザ・ミラー』は、全てを動かす権利を持っている。
(『許可』して引き込んだものはその限りじゃあないんだが。『鏡に映ったもの』だけが、マン・イン・ザ・ミラーの自由になる。)
だが爆発ってのは突然だし、思いもしないもんがスッ飛んで来るじゃあないか。
咄嗟に破片を防いでも、衝撃で後ろから本棚なんか倒れてきたら笑えもしないし
大体弾が出るモノは銃の形をしているが、爆発するものは爆弾の形をしていない方が多いだろ。心構えが出来ない。
『マン・イン・ザ・ミラー』はそんなに素早い動きは出来ないからな・・・・
『熱風』なんかが無い分やっぱり『こっちの世界』の方が安全なんだが、それでも危険なのに間違いは無かった。

恐る恐る周囲の状況を探る・・・・オレを守れよ、『マン・イン・ザ・ミラー』・・・・何が爆発したんだ・・・・?
「おっと。」
足元で何かが動く・・・・塵取り?塵取りと箒だ。無駄の多い動きでガラス片を集めている。


――――『罰掃除ですか?そんな・・・・』

『こっち側』へ引っ込む前に聞いた言葉を思い出す。
という事は、ここにルイズが居るって事か?掃除を?
(罰掃除・・・・って事は、この爆発はルイズのせいなのか。)
それなら原因なんか探す必要も無い。爆発物は『ルイズ』だ!『ルイズのスタンド』だッ!


105 :使い魔は引き籠り:2007/11/13(火) 23:17:12 ID:zqjS9oQ0
スタンド使いを前にして大切な事は、『よく考える事』だ。
スタンドって言うのは考えれば考えるほど色んな事が出来て、色んな事が出来ない。
自分は何をすべきか、相手は何が出来るのか、考える事が『大切』――――

ルイズのスタンドは(『なんとか・サーヴァント』ってやつ)動物を連れてくるって言っていたな。
爆発なんて、言っていなかった。隠していたのだろうか?
昨日の会話を思い出し、推測し、結論を出すべきだ・・・・『爆発する』『それを隠していた』事を踏まえて・・・・

――――あたしは猫とか梟とか、出来たらドラゴンとかが良かったの!
    動物を呼び出してどうするんだ?大体何に使うんだ
    動物のがマシよッ!アンタみたいに口答えしないでしょ

――――『サモン・サーヴァント』は召還するだけで、帰すなんて出来ないわ

――――それに出来たってね、帰しやしないわ。あんたは私の使い魔だもの。あたしの――――


あ、あたしの・・・・何だって・・・・これは、これはッ!
恐ろしい仮説が成り立つッ!『サモン・サーヴァント』・・・・不自然な所の!説明がつくッ!
『それに出来たってね、帰しやしないわ・・・・あんたはあたしの――――爆弾だもの。』
こ、こういうことじゃあ、ないのかッ?!

『何処かから生き物を呼び出し、そいつを爆弾に変える』もしくは『爆弾を取り付ける』・・・・凶悪な能力だ。
呼び出された動物が勝手にうろつくのを利用して、離れたところでドカン!か?
『動物がいい』のは『口答えしないから』。確かに人間だと面倒くさい。説明が無いのもうなづける。
こんにちは、イルーゾォ。早速だけどあなた、もうじき爆発するから――――なんて言われたら、俺はすぐさまあいつを殺すだろう。
だとすれば、どうする?オレはもうルイズのスタンド攻撃を受けている!『まだ爆発していない』ことは確かだが・・・・いつだ?

『爆弾をとりつける』ってんなら、オレはもう安心だ。『マン・イン・ザ・ミラー』はオレしか許可しなかった・・・・
知らず知らずのうちに取り付けられた『爆弾のスタンド』は、鏡の外に置き去りにされたはずだ。
だが、もうひとつ可能性がある。『オレ自身が、爆弾になっている』、十分にありうる!(スタンド能力ってのは、理屈なんかお構いなしだからな。)
鏡を通り抜ける時、違和感が無かった。無い、『それこそ違和感』だッ。後者のほうが、後者のほうが可能性が高いんじゃあないか?
その場合、ヤバい。物凄くヤバい。いつ爆発するかさっぱりわからないぞ・・・・どうする?オレは?何かきっかけがある筈だ・・・・
(怖がってる時間は無い!冷静に考えるんだ、イルーゾォ・・・・おまえは暗殺者だ!)


106 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/13(火) 23:17:54 ID:p3i6/Y+e
イルーゾォ涙目支援

107 :使い魔は引き籠り:2007/11/13(火) 23:18:15 ID:zqjS9oQ0
そうだ、さっきルイズの奴。なんて言った?
イルーゾォは何処なのよ、だ。居なくなったオレの事を気にしていた。そりゃあ爆弾なんだから、危険なものだから気にはするだろう。
だが、その危険なものがさっき、ルイズの近くで爆発していた!
でかい爆発なら本体も危険。遠距離がいい。『爆弾の動物』を遠くまで歩かせて、爆発させるのが。それが何故だ?
無理矢理になるが・・・・一つ可能性をあげるならば、『爆発は近くでしか起きない』だ。
勿論そんなのはおかしい。近くで物が爆発するスタンドなんて危険で仕方ないからな。
しかしそこで、『イルーゾォは何処』、だ。仮に『近くで爆発する』なら、近くに居ないオレの事を気にする必要があるか?

そう、そうだ・・・爆発は『近く』じゃない、『見えるところ』で起こる!
ルイズが視認する限りッ!ルイズが、『爆弾に変えた生き物』は『爆発させることが出来る』!!



こ、これで間違いないはずだ、『サモン・サーヴァント』の能力・・・・仮説は間違ってないはずだッ
(注:根本から間違っています)

う、うあああああああ・・・・『ルイズにサモン・サーヴァントについて聞こう』だなんて・・・・俺は恐ろしい事を考えていた。
そんなもん聞いたら十中八九、消し飛ばされる!危ない、危ないところだったぞ・・・・
しかし、逆に考えると、俺の『マン・イン・ザ・ミラー』の能力ならルイズから隠れきる事が出来る。
ありがとう、『マン・イン・ザ・ミラー』。お前のお陰でオレは大丈夫だ!

しかしそんな危険なスタンド使いの『爆発』にビビらず、しかも『罰掃除』なんか言いつける奴が居るって事は、
どうやらこの学校、スタンド使いだらけらしい。(なんて事だ!)
スタンド使いだらけのギャング組織だってあるし、スタンド使いだらけの学校があっても不思議じゃあないな。
って事は勿論、幹部に当たる『教師』も、ボスの『校長』も、まとめて殆どスタンド使いで、ルイズよりも『格上』・・・・ッ!
畜生!どうすればいい・・・・味方は居るのか?オレは、オレはどうやって帰ったらいいんだ!
唯一つ確かなのは、『鏡の中は安全』・・・・それだけ!

オレは『此処からでちゃあならない』!めったな事が無い限りッ!

108 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/13(火) 23:19:14 ID:YbQmJwDF
考えてみたらルイズの爆発って、キラークイーンと猫草の空気爆弾に近いんだよな的支援

109 :使い魔は引き籠り:2007/11/13(火) 23:20:48 ID:zqjS9oQ0
三話投下完了。
ひきこもり は そとにでなくていいりゆう を おもいついた!
見えないキラークイーンもどきと戦う鏡警備員。ルイズはもう半日もイルーゾォに会ってない。

>>102 イ「>>102のサーレー編を許可するゥゥゥゥッ!」

110 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/13(火) 23:21:49 ID:APA5oVk+
サンクス!!がんばって書く!!


111 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/13(火) 23:24:17 ID:v9TMCsj5
待ってたぜェ〜〜〜〜サ〜〜〜〜レェ〜〜〜〜。

112 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/13(火) 23:24:42 ID:M5WAw5zy
GJ!
得た情報から導き出した『答え』は間違いじゃないんだが、なんだかキバヤシ並の
トンデモ推理になってるなwww


113 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/13(火) 23:26:17 ID:P0EeZFwW
GJ
イルーゾォの仮説に吹いたww
>>102
wktk

114 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/13(火) 23:26:43 ID:2q6T1Ohj
イルーゾォwwwww
楽しすぎるぞぉwww

115 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/13(火) 23:26:59 ID:dNkJaWiB
投下乙
しかしイルーゾォはお腹が減ってしまった!ってなるぞw

116 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/13(火) 23:28:36 ID:EzYSGUGN
イルーゾォの人!投下はともかく投下の予告を言え!

117 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/13(火) 23:30:33 ID:YbQmJwDF
GJ!!
地味ーゾォの勘違いっぷりに笑わせてもらってんだぜ。
>>110
『クラフトワークで固定する』、『動けない敵をルイズが爆殺する』
…つまりルイズ最強伝説が始まるって事ですか?

118 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/13(火) 23:31:31 ID:1hkuKf+9
ちょwwwwキバヤシwwwww

119 :使い魔は引き籠り:2007/11/13(火) 23:33:46 ID:zqjS9oQ0
キバヤシwwwwwwww

>>116
すっかり忘れてた。以後気をつけるようにします。

スタンド使い同士の戦闘ってこんな勢いで読み合いやってるけど、
誤答珍回答率は少ないよな。皆頭いいなあ。

120 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/13(火) 23:40:34 ID:+Vo6BFKk
イルーゾォ、お前……。
他の五部キャラに比べてなんてチキンなんだ。

121 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/13(火) 23:40:35 ID:17MwQHmr
イルゾォーの暴走っぷりGJ
・暗殺チームの謎
このイルゾォーのパッショーネ入団
ギアッチョの暗殺チーム配属
パッショーネの人事には謎が多い。

122 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/13(火) 23:57:22 ID:+Vo6BFKk
ジョルノとかミスタの入団の仕方を見ると、チームメンバーが拾ってくるんじゃないの?
少なくともペッシはプロシュートが連れて来たと確信してる。

123 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/14(水) 00:07:04 ID:FT+Smmcd
ペッシは
こいつを使えるようにしてくれ
って感じで押し付けられたんじゃないかとおも

124 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/14(水) 00:56:34 ID:3OiBDIK9
そういや仕事である以上は経費がどーたらとか計算してるんだよなきっと。
メローネが私物のパソコンで変態的なタイピング速度で計算しながらリゾットがそれを見てやりくりする様を想像した


125 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/14(水) 01:00:00 ID:s4zzpghl
イルーゾォ乙!
これだけ慎重なのはむしろ生き延びるために必須なんだよと弁護してみる
逃走経路の確保は遂行の手段より大事だったりするんだぜ?たぶん

>>123
ペッシの能力は使いこなせばかなり暗殺向きなんじゃないかと思っていたりする。
証拠を残さず遠距離から人間一人をブン投げるほどのパワーがあるんだし。
そこにかけて暗殺チーム入りとか。使えなけりゃ次が居るさとかで

126 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/14(水) 01:10:33 ID:Ay8Byg+u
>>125
ペッシの能力はかなり強いよな
防御できない、射程もそこそこある
糸に対する攻撃は反射、罠のように設置もできる
すごいぜペッシ!

127 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/14(水) 01:13:47 ID:dedOO49V
ああ!馬鹿とハサミは使いようだよな!!

128 :名無しさん@お腹いっぱい:2007/11/14(水) 01:33:05 ID:bFcWnWuk
時よ止まれッ!!!

129 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/14(水) 01:36:06 ID:G1kRUTIp
             ___,,,,,..... -一ァ
         / ̄;;;´;;、;;;ヾ;;;, -──--、,!
.        /'´|;;;;,、;;;;;;;;;;/      ,!
.         /:.:.:.レ´:.ヾ;;;;;;i   断  だ ,!
       /:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:ヾ;i  る  が ,!
.      /:.;.イ:.:.:.:.:.:.:.:.:.:..ヽ       ,!
.       /レ' ;|:.:.:.:.:.:.:,:ィ:.:.:.:〉 __,.,!
     /-、ヽ,:|:.:.:,/ /:.:.://.:,:ィ:.:.:.,!
      /'ヽ、ヾi ゙´.:   /__;:;:-'"´ ,;|:.:.:.,!
.    /ゝ-`';:/ .:〈ニ=-=ニ二 ̄ヽレ',!
   /::::;;;;;/  ' ,, ニ`ー-,、__\〉ィ,!
.   /;:::::/ ::.    ::.,,\_ゞ;'> 〈;,!
  /i!:::::iヾ-'、::..       '';~ ,;:'/,!
. /;;;i!fi´l_、,.`        .: ,;:'  ,!
/;;;;;i' ('ー、ヽ      ..: ,;:''   ,!
ヽ、jゝ、`ヾ:、゙、   ,..:'.:'"    .: ,!
   ``ヽ.、_ ¨`  ,:'      (_r:,!
       ``ヽ.、..    ノr;ソ~,!
             ``ヾ、 / 7,!
                 ``ヽ,!

130 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/14(水) 01:36:17 ID:ir591R/5
だが動き出す

131 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/14(水) 01:37:39 ID:v9UtNH33
俺、ペッシは街でボオられてるところを、たまたま助ける形になった兄貴に惚れてギャング入りしたんだと信じてる。

132 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/14(水) 02:18:15 ID:oXa4QNV0
ギアッチョは誰が拾ったんだ。能力的にも性格的にも暗殺には徹底的に向かない。
能力的に直接的な荒事はブチャラティチームの役割、ギアッチョはブチャラティチームに…
ギアッチョとフーゴが同じチームだと、予備の消化器官をせっせと作るジョルノと礼を言っ
て受け取るブチャラティになるな。

133 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/14(水) 03:14:16 ID:QQ2tLOSo
ふと思ったが最終的にあの能力で名前が黄金体験って趣味よすぎだよな

134 :名無しさん@お腹いっぱい:2007/11/14(水) 04:37:57 ID:bFcWnWuk
時よとっまーれ!!!

135 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/14(水) 09:27:49 ID:gy+iAyHY
時よまっがーれ!!!

136 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/14(水) 10:18:52 ID:4GXye0lA
ゲイズミ自重

137 ::2007/11/14(水) 11:38:27 ID:6oTvO3st
一冊まるごと『ジョジョの奇妙な冒険』荒木氏の雑誌
http://news.ameba.jp/hl/2007/11/8537.html

138 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/14(水) 12:41:33 ID:nJ9yFxHk
>>137
トト神による9・11事件予知、話には聞いてたけど記事は初めて見たわ

139 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/14(水) 14:02:37 ID:3OiBDIK9
>>132
赤いシャーベットにして海にでもまけばわからないので暗殺自体は出来なくもない
そして切れる二人を見ない振りしながら
「ブチャラティ、今日の胃袋です」
「ああ、助かるよ」


140 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/14(水) 15:22:04 ID:f34oUSRF
ジッパーがあるから胃の付け替えは自分でできるな

141 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/14(水) 16:47:08 ID:tpvQxkb/
>「ブチャラティ、今日の胃袋です」
>「ああ、助かるよ」

こんなん思いついたw

トリッシュ「ブチャラティ! 新しい胃袋よ!!」
ブチャラティ「元気百倍といったところかな… アリーヴェデルチ!!」
ディアボロ「バイバイキーン!(キラーン)」

142 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/14(水) 18:30:14 ID:0C56Uwi2
そういえば、チョコパンマンってコロネだったなw

143 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/14(水) 20:06:59 ID:KP3EukN/
マイディッグイズベリービッグ!

144 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/14(水) 21:48:03 ID:3HROzOgZ
かびるんるん=チョコラータ かwww

145 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/14(水) 23:37:55 ID:oXa4QNV0
ギアッチョ、フーゴを部下に持つブチャラティだったらルイズに召還された後、
元の世界に帰りたいと思うかな。出来れば帰るけど帰れなくても良いやと考え
そう。

146 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/14(水) 23:51:05 ID:FuAnA0s5
未練はあるだろうが ブチャラティは過去にとらわれるより未来に生きる漢だと思われ
黄金の精神を持つ故に そんな気がするぜ。

147 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/14(水) 23:58:53 ID:QoX7vX8N
なぜ展開が毎度読まれるんだ…。
誰かがクラックしてるのか…?


投下はまだまだ先…。

148 :使い魔は引き籠り:2007/11/15(木) 00:24:14 ID:rOBGVIiV
今日も引き籠りを不法投棄させていただきます。
やっとゼロ使っぽくなってきた・・・・

149 :使い魔は引き籠り:2007/11/15(木) 00:25:19 ID:rOBGVIiV
時を同じくして場面は変わる。

「またミスヴァリエールのようですよ、オールドオスマン。ミス・シェヴルーズの『土』の授業中、錬金を失敗して爆発を起こしたようです。」

イルーゾォが即座に尻尾を巻いて逃げ出した爆発について、取り乱す事もなく冷静に報告する女性。
ミス・ロングビル、と名乗っている。
ルイズの級友(もっとも、お互いに意地を張って友人だと認めようとはしないが)の、褐色肌の少女キュルケ程ではないが
引き締まった身体は『出る所が出ていて』、知的な印象を与えるシンプルな眼鏡と相俟って随分に魅力的な女性だ。
彼女はこの学校で働く事になってから、まだ日が浅い。
それでも十分に慣れる程、『ゼロのルイズ』の『爆発』に関する噂は溢れていて、彼女の耳にも入ってきていた。
いや、それどころではない。
生徒同士噂をする場面にルイズが居合わせ、『サイレント』の魔法で黙らせようとして危うく爆殺しかけたのを目撃したことすらあった。

珍しい女生徒だ、と彼女は思う。
貴族であるのは当然、由緒正しい家柄の生まれでありながら、魔法の成功率は『ゼロ』、
どの魔法を唱えようと、起こる事象は全て『爆発』。
そんなケースは聞いた事が無い。本当にただの落ち零れなのだろうか――――
――――ん?スタンド?それは何です?

「それから、ミス・ヴァリエールについてもう一つ。」
「ほう?」
「彼女の使い魔が逃げ出した、と報告があります。」
「逃げ出す?ミス・ヴァリエールは、コントラクト・サーヴァントも満足に出来んかったんかの?」
「いいえ、確かに成功したと聞いたのですが・・・・」

もっとも、何の魔力も持たない平民を召喚したのを成功と呼べるならば、だが。
しかしコントラクト・サーヴァントの方は確かに成功した筈だった。
変わったルーンだが、左手にそれを確認した。と、なんとか言うハゲた教師が言っていたのだ。

「契約した使い魔が主人から逃げ出すなど、有り得るのでしょうか。」
「普通なら有り得ん。有り得んが・・・・そうじゃ、彼女の使い魔は平民じゃったかの?
人間相手のコントラクト・サーヴァントについては、前例を知らんな。」
「彼女でなくとも御しきれない可能性があるわけですね?ですが」

問題は、『逃げ出した』だけでは無いのだ。


150 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/15(木) 00:25:46 ID:2hR8Wp0M
速筆速筆ゥ!
待ってました!

151 :使い魔は引き籠り:2007/11/15(木) 00:26:50 ID:rOBGVIiV
「見つからないと?」
「はい。彼女は捜索に役立つような魔法も使えませんから、見兼ねた教員が何人か捜索したのですが、『何処にも居ない』のです。」
「ふぅむ・・・・」

それはおかしな話だった。
気配を、姿を消す等の魔法など使えない平民が、比較的上位のメイジである教職員から隠れきる?そんなことが本当に可能だろうか。
オールドオスマンは手元の鏡を手に取った。装飾を施されたそれは、剣と魔法の世界にありがちな
任意の場所を映し出す遠見の鏡だ。

「ミスヴァリエールの使い魔、ミスヴァリエールの使い魔・・・・と。なんじゃ、普通に居るではないか!」
「え?」

その鏡には、教室から教室へと移動する生徒とは逆方向へ。辺りを見回しながら歩くイルーゾォがしっかり映って居た。
(イルーゾォ本人が知ったら驚くだろう。普通なら絶対に感知されないというのに。『この道具が鏡であるがゆえに』!映ってしまったのだ!)
「そんな、彼は・・・・!」
イルーゾォは、彼を捜索して居る筈の教職員や、ルイズ本人とまでもスルリとすれ違う。
「まあ見るからに、地味な青年じゃからのう。」
「そんな筈がありますかッ!」

鏡を囲んで見合わせる二人の背中に、ひかえめなノック音が届いた。



授業終り、教室前、廊下。
鏡の中のイルーゾォは、ドアからゾロゾロと流れ出る鞄の群れ(衣服はともかく、本や鞄を『自分の一部』と定義する人間はそういない。)から、
今朝ルイズの部屋にあったそれを見つける。
大人しく授業をうけていると言う事は、少なくとも今は自分を探しては居ないようだ。
パンナコッタ・フーゴの、躾のなってない下品なスタンド。『感染すれば最期』だなんて無茶苦茶な能力だったが、
当面の『敵』であるルイズの能力は『視界に入れば最期』・・・・無茶苦茶度合いがグンと上がっている。
前に『溶けた』ように、爆発して『消し飛ぶ』・・・・想像するだに恐ろしく、胃がきゅうとなった。
きゅう、ぎゅ、ぐうぅぅぅぅぅ・・・・・

(そう言えば、腹減ったなァ)


ここへ来てから、何も食ってない。ついでに言えば水だって飲んでいない。
マン・イン・ザ・ミラーをちらりと見るが、そう言う事柄に対して何も出来ないスタンドである事は、自分が一番よく知っている。
心なしか、マン・イン・ザ・ミラーが申し訳無さそうな顔をしたように見えて
(実際には帽子っぽいものと、眼鏡っぽいものと、嘴っぽいものは全然動かず表情なんてわからないのだが。)
咄嗟、「大丈夫だ。」と口をついて出た。

ルイズの鞄はふわふわと大食堂の扉に吸い込まれて行く。昼食の時間なのだ。

「大丈夫、耐えりゃあいいだけだ。オレは暗殺者なんだ。」
自分に言ったのか、マン・イン・ザ・ミラーに言ったのかは自分でもわからなかった・・・・もっとも、同じ事なのかも知れないが。


152 :使い魔は引き籠り:2007/11/15(木) 00:28:03 ID:rOBGVIiV
そして一方、ルイズ。

ついさっきまで、私は怒り狂っていた。あの使い魔の奴!平民の癖に!地味顔!空気!変な髪形!
召還してみれば平民だし、中々起きないし、起きればバカにしたような事ばっかり喋って、終いには操り人形の糸が切れたみたいに動かなくなって。
放っておくのもなんだから部屋に連れ帰ってみたら、一方的に会話を切り上げてどこかへ消えてしまった。
信じらんない!使い魔って言うのは一度契約したら、主人に絶対服従のはずなのに。
先生方に「使い魔を探すのを手伝ってください」って頼む時、どれだけ恥ずかしかったと思う?
きっと先生や、立ち聞きしていた生徒はみんな「『ゼロのルイズ』って奴は、使い魔すら扱えないのか?」って思ったわ。
中には隠しもせずに笑った奴だっていた。風邪っぴきの奴、いつか見てなさい・・・・!

でも、今は怒ってない。アイツの顔を見たら怒りは帰ってくるかもしれないけど、少なくとも今はね。

なんでかっていうと、アイツ、イルーゾォ。昨日のお昼過ぎに呼び出したでしょう?それで、すぐ居なくなって、夕御飯は食べてない。
そして朝の私は腹を立ててたから、いかにも「これは罰よ!」って感じの粗末な朝食を用意させた。
食堂の場所は教えてなかったけど、幾らなんでもお腹が減ったら出てくるだろうって思ったもの。

でも、それでもアイツは出てこなかった。そして今も。

アイツは食べ物なんか持って居なかった。あんまりぼけーっとしてるから勝手に持ち物チェックをさせてもらったの。主人だし当然の権利でしょ?
見慣れない変な服とズボンのポケットには、小ぶりのナイフと手鏡がいくつか入っているだけ。
地味顔の癖にナルシストなのかしら?(ちょっと気持ち悪い)因みにそれらは、私が預かってる。
ナイフは危ないから部屋に置いて、鏡はポケットの中にある・・・・か、返すタイミングなんて無かったのよ!
とにかく大事なのは、イルーゾォは今絶対にお腹を空かせてるって事。学校の何処でも「食べ物がなくなった!」なんて騒ぎは起こってないし。
それでも・・・・それでもアイツは姿を見せない。一度も。

――――帰ってきたら身の回りの世話をしてもらうから!
――――嫌だね

心配と自信喪失で、最高に美味しいはずの昼食は砂の味がした。
確かに一日御飯を食べないくらいじゃ死にゃあしないわ。でも、食べられるんなら食べたっていいじゃない。
そんなに、そんなに嫌なのかな。私が・・・・『ゼロのルイズだから?』


「ねえ、タバサ?ちょっと頼みがあるの。一緒に・・・・キュルケは別で。一緒に来てくれる?」

153 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/15(木) 00:31:10 ID:2hR8Wp0M
ツンデレツンデレェ!
支援!

154 :使い魔は引き籠り:2007/11/15(木) 00:31:12 ID:rOBGVIiV
四話投下終了。小出しでゴメン。長く書くのが苦手・・・・
鏡警備員を一人で放っておくと一生メタルギアイルーゾォを続けそうなので視点を変えてみた。
読み辛かったらすみません。
ルイズはもう半日以上イルーゾォに会っていない上、第一デレ期をスルーされました。

後皆様!『エピタフ』は『許可しない』ィィィィィィ!ギクッとするから!

155 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/15(木) 00:33:49 ID:mRgS8N7u
投下乙。
このルイズは既にタバサと知り合いなのか。

MIMと遠見の鏡が影響しあうってのはなるほど、と思いましたよ。
ルイズも自分の遠見の鏡を用意しないとこれからこの鏡警備委員を捕まえられないかもしれませんねwww

156 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/15(木) 00:41:19 ID:+FZ4ZNQq
ウサギとルイズは長い間一人にしていると寂しさで死んでしまう。
だが、誤解して怯え切ったイルーゾォはルイズの前に出そうに無いな。

157 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/15(木) 00:50:54 ID:+vqIKC3g
>>154
>メタルギアイルーズォ
やっべ無茶苦茶やりてーwwww
段ボールの替わりが鏡ってかwww
どこで売ってますか?

158 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/15(木) 01:01:46 ID:Q+0Y4VPb
引きこもりの方GJそして乙でした!
そしてタバサ登場ということは……おっと、エピタフは許可されてませんでしたな

159 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/15(木) 01:27:21 ID:ghV77a5e
サーレー編投下します。
下手かもしれないしサーレーのキャラについてはほとんどオリジナルだから
かなり作品として間違っているかもしれないorz
前振りも長すぎる・・・。

160 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/15(木) 01:28:04 ID:2hR8Wp0M
原作まんまよりオリジナル多目のほうが楽しいんだぜ?

161 :CRAFT OF ZERO ゼロの技工士:2007/11/15(木) 01:28:32 ID:ghV77a5e
カプリ島
ここ観光客が賑わい、美しい風景と海が広がるのどかな島には不釣合いな男たちがこの島にいた。
山頂で金を取りに行っている6人組みとはまた別に不釣合いだった。
なぜなら二人とも血まみれで、一人は全身傷だらけで、もう一人は明らかに致命傷の銃によると思われる傷が有った。
この男たちの名はサーレーとマリオ ズッケェロ。
この二人はスタンドという超能力使いでさらにギャングである。
この二人はこの島にある先日自殺したポルポという幹部の遺産の回収のためにこの島にやって来た。
ブチャラティという男が遺産の在処を知っているのがわかったまでは良かった。
しかし、一時はブチャラティの仲間を人質に取ったものの、ブチャラティの機転により破れ、ズッケェロは拷問を受けた。
先にカプリ島で待っていたサーレーも奇襲をうけ、今の今まで縛られていた。
意識を取り戻した二人はお互いのスタンドで縄を切り、今現在逃げる途中である。
「これからどうする?ズッケェロ。俺たちもうパッショーネに居られねえぜ?」
「世界の果てをしらねェように未来のことなんてしらねえ。」
(このバカは・・・。
後先考えないから負けたんだろうが・・・。)
明らかに自分のことを棚に上げているサーレーなのであった。
この二人、一見正反対のように見えるが一つだけ意外な共通点がある。
後先考えずに一つのことに突貫する。
良い意味でも悪い意味でも二人はそうであった。
目的のためにはどんな策でも練れるがその作戦もどこか行き当たりばったり。
しかし、この奇妙な共通点はこの二人の奇妙な友情も同時に作り出していた。
だから正反対の二人が一緒に居るのかもしれない。
しかし、それも今日までだった。


162 :CRAFT OF ZERO ゼロの技工士:2007/11/15(木) 01:30:55 ID:ghV77a5e
異変に最初に気がついたのはズッケェロだった。
「おい、あそこで何か光ってねえか?」
サーレーがズッケェロの指した方向を見る。
そこには円形の鏡があった。
しかし、どこか不自然だ。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
何故こんな人っ子一人いない道路にこんな物があるのか。
有り得ない。
サーレーはそう思うと鏡に一歩、また一歩と近ずいていった。
(まさか、スタンド攻撃か?)
サーレーはいやな予感がしていた。
(まさかブチャラティの仲間が俺たちを始末しに来たのか!?)
しかし彼には全てを“固定”する強力なスタンド『クラフトワーク』が付いている。
(まさかまた負けるわけがナイよな。)
この慢心が悲劇を招いた。その慢心でミスタに負けたというのに同じ間違いを繰り返した。
サーレーはクラフトワークを出しながら鏡に近ずく。
あと20メートルという所でいきなり鏡がサーレーに向かって猛スピードで突っ込んできた。
「何いぃイイ!!クラフトワーク!!」
固定して止めようとするが止まらない。
仕舞いにはクラフトワークから飲み込まれていった。
「何だとオオオ!?」
「サーレー逃げるんだよオオオ!!」
サーレーはすでに脱出を試みている。ズッケェロに言われなくてもそんな事分かっている。
じきに鏡はサーレーの体の3分の二を取り込んでしまった。
サーレーは改めて思った。
(俺は馬鹿だ・・・。こんなのに無策で突貫するなんて・・・。)
サーレーは諦め抗う力を緩めた。
もう悟ったのだ自分は死ぬのだと。
「ズッケェロ、家族のことは頼んだ!」
サーレーはそう言うと鏡の中に消え去った。
「サアアアレエエエエエ!!!」
ズッケェロの悲鳴がカプリ島に響いた。



163 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/15(木) 01:31:19 ID:rOBGVIiV
『支援』するゥゥゥゥ!

164 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/15(木) 01:31:23 ID:Yb0qDsS1
空腹に耐え忍ぶ、これは戦場に出るより辛いかも知れぬ…
イルーゾォの人乙
小出しでもこのペースなら十分ハイペースだと感じる

165 :CRAFT OF ZERO ゼロの技工士:2007/11/15(木) 01:36:27 ID:ghV77a5e
ドッカアン!
馬鹿でかい音と共にサーレーは盛大に尻餅を付いた。
「痛ェ!」
(うん?痛いだと?)
「は!俺はいきてんのか!?」
「あんた・・・誰?」
サーレーの目の前には桃色のブロンドの少女がいた。



これで序章は終わりです。前振りも長く文章もいまいちジョジョっぽくもゼロ魔ぽくもなく駄作で申し訳ないです。
1週間ほど開くと思いますがまた続きを少しずつ書いていきたいと思っています。続きはもう少しマシになっていると良いな。orz




166 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/15(木) 01:49:58 ID:2hR8Wp0M
サーレー投下乙
よし、俺も久々に投下しよう

167 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/15(木) 01:52:36 ID:qxjcYLrw
サーレー乙!だが…出来ればsageて貰えれば嬉しい
そして支援!

168 :はたらくあくま 1/3:2007/11/15(木) 01:52:45 ID:2hR8Wp0M
19 静かな猛り、静かな滾り

今日も抜けるような快晴だ。夜の残り香を含む春風が吹き込んでくる。まぶしい朝日が入ってくる。壁に空いた大穴から、この宝物庫の中に。
他の建物と同じ石造りの室内を、オールド・オスマンが一人歩く。後ろでは学院の主だった教職員が、一様に緊張感を浮かべた表情で見守っている。付き従おうとした一人が手振りで制され、全員が入り口に固まっている。
無言のまま検分を進める。盗まれた物は他にはないようだ。
壁以外の被害は少ない。足跡の土と、杖が一本。壁に彫られた短い文章。内心の憤りを胸のうちに隠す。

『破壊の杖、確かに領収しました。土くれのフーケ』 選りによってそれを盗むか。無意味に二度繰り返し読み、嘆くように大きく息を吐く。

宝物庫に収められた杖にも、様々な種類がある。
一振りで一面を凍らせるほどの冷気を放つものや、差し向けられた相手を石に変えるもの、一回叩くと七つのコブができるようなものまでそれぞれが異なる魔法がこめられてある。
ほとんどのものはオスマンにとって無用の長物であり、学院の名前に付く箔の一枚としか認識していない。だが、あれは別だ。
入り口に向き直る。ほぼ真後ろの穴からの逆光で、教師達はオスマンの表情を読み取れない。
「ま、」軽い声を出す。気負いを見せずに続ける。「たまには虫干しもいいもんじゃて」 泣き笑いのような顔で安堵する教師陣。
倉庫内に入ることを許し、経緯を聞く。別室に待機させているという生徒を手近な衛兵に呼びにやらせる。その間中、穏やかな態度を保ち続けることは意外なことに難しかった。
教師達のつるし上げにも似た議論に背を向け、衛兵の駆けていった廊下を眺める。
眉間の皺が深くなる。眼窩が窪み、影の中に落ちこみ見えなくなる。詳しい話を聴かねばならない。そして対策だ。取り返さねば。絶対に。なんとしても。


朝日が窓から入り込み、廊下を照らしだしてもデーボの目は覚めなかった。依然壁に背をかけうずくまり、規則正しい寝息を繰り返す。
小さな人影が男に歩み寄る。片手に長剣を持ち、怒りに身を戦慄かせている。

「あんたはぁっ!」 弛緩してなお堅い腹に、可憐な脚が獰猛な速度で襲い掛かる。
「ご主人様をっ! ほっ、ぽっ、てるとっ! 思ったらっ!」 台詞に合わせ、リズミカルに爪先をゲシゲシとぶつける。
「なんでっ! 人形に囲まれてっ! スヤスヤ眠ってんのよおおっ!?」  トドメとばかりに振り上げた右足首を掴まれる。崩しかけたバランスを片足で取りつつ、使い魔を睨みつけるルイズ。
「なんだ、どうした」 足を掴んだまま周りを見回す。明るい。朝か。おれは部屋の前で寝ていた。つまり
「朝帰りか」 色気のありそうな話だが、昨夜の轟音がそれをかき消す。どこでどんな暴虐を繰り広げたのか、ルイズの服は土埃で薄汚れている。
「そうよ! 徹夜よ! 一睡もしてないわよ! なのになんであんたはグッスリ寝てるわけ!?」 別行動を取ったからだろう。それを咎める気か。四六時中、後ろに張り付けというのか? 他の使い魔だってそんなことはしていない。
「うるっさいわね! ここに来いと呼んだら飛んで来るのが使い魔でしょ! 罰として昼ご飯抜き!」 正々堂々と理不尽な要求を突きつけるルイズ。判断基準が狂っている、昼飯抜きで済むのは僥倖なのか。

169 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/15(木) 01:54:06 ID:qxjcYLrw
支援支援

170 :はたらくあくま 2/3:2007/11/15(木) 01:54:22 ID:2hR8Wp0M
昼食?
ルイズの足を放し、頭を掻き掻き立ち上がる。振り返って窓の外を見る。やはり朝だが、正確な時間はわからない。腹時計は電池切れだ。針が12時で止まっている。
「朝飯は終わったか」 ルイズに聞く。目の前の膨れっ面が嫌な笑いに変わる。
「これからよ、行きましょう。これ持ってね」 剣を投げて寄こされる。嫌な予感。いや、確信。
くるりと背を向け歩き出すルイズ。一度立ち止まり、振り返る。
「詳しい話はそれに聞きなさい。早くしなさいよ」 詳しいどころか、何の話もない。剣を鞘から抜く。
「ま、話せばけっこう長い話になるんだが――。とりあえず行こうぜ。道すがら話してやるよ」 気楽に言い放つ剣。なんの道すがらだ。
「お前が入り用なのか」 それでも逆らわず、重い足取りで主人の後を追う使い魔。
「場合によっちゃな。――それより」 声の調子を帰る剣。なんだと答える男。
「デルフリンガーさまだ。覚えときな」 男は無言で剣をしまう。
 
向かった先はやはり食堂などではなく、幌なしの荷馬車が用意された中庭であった。


森に向かって平原を進む馬車の中。岩塊だかパンだか判らないものにかじりつく使い魔を尻目に、ルイズはサンドイッチを口に運ぶ。徹夜明けの体はだるく、意志と食欲を鈍らせる。ゆっくりと咀嚼しながら、院長の言葉を思い出す。
メイジたる自分よりも、その使い魔に期待を寄せるかのような言い草。居並ぶ教師の一人が、くすりと笑いを漏らしたのが聴こえた。盗賊を追いかけることも出来ない教師が。
よし。怒りが闘志を呼び、体に活力をもたらす。もちろん精神力にもだ。軽んじられたままではいられない。土くれのフーケ。捕縛し、真の実力を満天下に示すのだ。
使い魔を見れば、食事を済ませて剣と何やら話している。キュルケはミス・ロングビルにしきりにちょっかいを出している。もうひとりの青髪の少女――タバサと呼ばれていた。そして、信じられないことにシュヴァリエの称号持ちとも――も本を読んでいる。
ボヤボヤしているのは自分だけだ。あわてて残りのサンドイッチを詰め込み、革袋に入った水を呷る。馬車は森へと入ってゆく。


学院から目と鼻の先にある森が、こんなに深いとは意外だ。元の世界の常識に、未だに捕らわれている。
ルイズとキュルケは何やら言い合っている。それを仲裁している御者。女性だ。もう一人の小さい少女は本を読んでいる。
デーボは剣――デルフリンガー。剣の名だと気付いたのはあれから少し後だ――と会話しながら、周囲の植生を見回す。鬱蒼と茂って陽光もろくに通さずにはいるが、異形のものは見当たらない。
「そん時、中庭に地響きが――。なにキョロキョロしてんだよ。暗くてビビッたか?」 手元の剣が言う。デーボは首を振る。
「いや。もっとろくでもない草木が生えてるかと思ったが、そうでもない」 人食い草の一つでも生えてるかと思っていた。流石に空想が過ぎたか。
「なんだ、ろくでもないって。人食い草でも生えてると思ったか?」 まったくの図星。男は嫌そうな顔をする。それを見た剣は軽く笑う。
「なんだよ、当たりかよ。 そりゃ昔はいたけどよ」 剣は語る。人を喰らうだけでなく、火球を吐き出すヤツ、飛び跳ねるヤツ。鉄みてーに硬いやつ。いろんなのがいたさ。
「もう何千年も前の話よ。そんなアブねーもんを人間が野放しにするか?」 全部焼き払ったよ。少なくともここいらのはな。種は西風に乗って飛んでってるけどよ。
「そういうのは絶滅寸前だ。まあ差っぴいてもここは陰気だけどな」 そう言って剣は話を締めくくる。で、どこまで話したっけ。
「中庭に地響きだ」 デーボが接ぎ穂を足す。そうそう、ゴーレムが出たんだよ。三十メイルはあったぜ。それがパンチ一発で壁をぶち抜いてさ――。
森を進む荷馬車。さらに暗く、さらに深くなってゆく。道が雑草にまみれだす。一行は徒歩で目的地へ向かう。

171 :はたらくあくま 3/3:2007/11/15(木) 01:55:28 ID:2hR8Wp0M
森が急に開けた。無軌道に広がる枝葉も空を隠し切れず、日差しが差し込んでいる。静謐な雰囲気を湛えてはいるが、その中心にあるのは廃屋となった炭焼き小屋だ。
一行は茂みに身を隠し、遠巻きに小屋を見守っている。人の潜んでいる気配はない。中庭ほどもある空き地のはずれからもそれは伺える。完全に打ち捨てられているように見える。
「わたくしの聞いた情報だと、あの中にいるという話です」 だが、御者――ロングビルというらしい――は自信をもって小屋を指差す。
五人は作戦会議を開く。といっても一人は眺めるだけ。一人は突撃を提案して却下された。キュルケとタバサが意見を出し、ロングビルがそれを修正する形で進む。
役立たずの主従を置き去りに、奇襲を加えることが決まる。一人が囮になりフーケをおびき寄せる。小屋から出たところを集中砲火で仕留める。
確信の持てない情報では、この程度が限界だろう。策を練りすぎれば柔軟性が失われる。少人数の作戦など単純なほうが良い。
偵察と囮を兼ねて、デーボが小屋に向かう。剣を持ち直し、背を丸めて歩き出す。無音。草を踏む音もしない。滑るように近づいてゆく。
「なんだか楽しそうじゃねーか、え?」 剣が小さく囁く。黙ってろ。更に小さな、軽い舌打ちのような返答。
だが、確かにそうだ。掃除洗濯に比べれば遥かにましというもの。習い性とはいえ、こういうことは好きだ。
小屋に辿り着き、破れた窓から中を覗く。

小屋は一部屋しかないようだった。真ん中に埃の積もったテーブル。上に横倒しの酒瓶。転がった椅子。暖炉は崩れて用を成さない。部屋の隅に積みあがった薪。その隣に木のチェスト。
床にも埃が積もっている。人の足跡。少ない。一、二往復程度。仮の宿ですらない。だが、ここには確かに誰かがいた。
今もいるのか?魔法を使って隠れているか?デーボには判別できない。残りの人間を呼ぶ。隠れていた全員が近寄ってくる。
タバサが扉に杖を振る。なにか呟き、無造作に扉を開け中に入る。キュルケが続く。
「私が外を見張ってるから、あんた中に入んなさいよ」 言い捨て、小屋に背を向けるルイズ。デーボも小屋の中へ背を曲げて入る。

中にはやはり誰もいない。痕跡を探す三人。狭い小屋だ。それはすぐに見つかった。タバサがチェストを開け、取り出す。
「破壊の杖」 持ち上げて皆に見せる。あっけないわね! キュルケが呆れたように叫ぶ。
このあっけなさ。今度こそ嫌な予感だ。罠だ。餌だ。そしてそれはなんだ。破壊の杖?なぜここにこんなものがある。
外で悲鳴が上がる。轟音と共に小屋の屋根が吹き飛ぶ。青空を背景に、巨大な土くれが立っていた。

172 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/15(木) 01:56:18 ID:qxjcYLrw
支援を!貴方に!

173 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/15(木) 01:58:16 ID:qxjcYLrw
乙!
ついにフーケ戦か…ゴーレム操られてフーケ終了ww
ところで偏在は人形の範疇に入るのかね?


174 :はたらくあくま:2007/11/15(木) 01:59:15 ID:2hR8Wp0M
久しぶりに投下しました
とりあえず全体の話の流れを「こんなふうにしたいなー」てのが決まったので再度開始です。
原作に無い部分はその伏線か小ネタかどっちかです

175 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/15(木) 02:02:45 ID:+FZ4ZNQq
ひょっとしたら暗殺チームの役割は要人暗殺じゃないのかもしれない。
暗殺チームで暗殺に向いた能力はメタリカ、リトルフィート、ビーチボーイ。
対スタンドに向いているのはグレイフルデッド、マン・イン・ザ・ミラー、
ホワイトアルバム。暗殺チームが組織から抜けたスタンド使いを消すための
チームなら戦力の充実ぶりが頷ける。引篭りは暗殺も対スタンド戦も出来る
万能型か。メローネのスタンドは戦闘より情報収集、情報運搬向きだな。

サーレーの人乙!

176 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/15(木) 02:03:18 ID:2hR8Wp0M
>>173
そんなコーラを飲んでゲップするようなことをエピタフしなくてもw

177 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/15(木) 08:28:44 ID:Q+0Y4VPb
サーレーの方デーボの方GJそして乙でしたー!
どちらも続きが楽しみです!

178 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/15(木) 09:31:04 ID:HfhXstC/
>>175
敵対する組織、言うことを聞かない危ないスタンド使い、
組織を裏切った人とかを殺したりもするだろうね


179 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/15(木) 10:42:34 ID:Fh1fzl0z
マン・イン・ザ・ミラーってどの辺まで鏡として使うことができるんだ?
ハングドマンは人の目でも鏡として扱えてたがそれよりは限定されてそうな気がするけど
光を反射するものであればいいなら黒く見える物質以外すべて光を反射してるわけだがさすがにそれはないだろうし


180 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/15(木) 11:03:44 ID:kbGEBZQ4
>>179
黒くても鏡になるものはある
なんかの儀式で使われるやつで黒曜石?あのガラスみたいな黒い石。あれを磨いた鏡は中々綺麗だった
スクライング・ミラーだったかな
仮面ライダー龍騎では変身に必要なのは鏡のように反射すればセーフだったな
こぼれたミネラルウォーターで変身する奴もいたし
お盆に水を張った鏡なんてものもあるから意外と適用範囲は広いかもしれない

181 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/15(木) 11:21:02 ID:mpeBnUT6
その辺がありなら自分の目を鏡として使うだけで視界に移るものすべて引き込めそうだが
いくらなんでも鬼過ぎじゃね?

182 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/15(木) 11:26:54 ID:EF5t6HCd
ハングドマンは目に映るもOKだし
特定条件下でなら鬼なのもスタンドならありだと思うがな
まあ、最終的には話の都合次第ってことになるのでは

183 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/15(木) 12:18:12 ID:Q+0Y4VPb
イルーゾォ短編が投下された時の過去ログを見たら

鏡じゃなくて反射するなら何でもいいんじゃね?
→ほら、例えば今見てるモニターに、映ってない?
→ぎゃあああ!
という流れのレスがあったな
うっかり夜中に見てビビったりしたものです

184 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/15(木) 12:45:01 ID:sm/sVaSO
それなんて貞子?

185 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/15(木) 13:47:44 ID:Vo8Kh0R6
そういえば由花子って召喚できないかな。
と思ったけど、う〜んあるいみどのジョジョキャラよりも危険だともいえるしな〜。
暗殺チームとか他の危険人物にある慎重さが無くて、元の世界というか、康一に対する未練がメチャメチャ有りそうだし。
使い魔になっても粗末な朝食みただけで、ルイズの○○○を引き裂いて内臓を引きずりだしそうだし…
それ以前に床で寝ろって言った時点でルイズの寿命は終わってるか?

うん、アンジェロと由花子は召喚しちゃいけないんだw

186 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/15(木) 14:36:36 ID:jH2tMM1/
うっかりルイズの事気に入って
「決めたわ! あなたが一人前に魔法を使えるようになるまで私が特訓してあげる!」

→ ルイズ\(^o^)/

187 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/15(木) 14:44:14 ID:jXOPH09k
ルイズ「間違いない…この人は『女の子』が好き」

…うん、スカーレット大統領夫人を召喚してもルイズ\(^o^)/になりそうだな
ルーシー辺りなら結構普通に仲良くなれそうな気がする。バトル物にはならないだろうけど

188 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/15(木) 15:05:08 ID:t4arEJiq
スージーQとかほんとにただの召使でしかないな

189 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/15(木) 17:07:29 ID:QBjDCbjF
リサリサ先生かエリナおばあちゃんを召喚すればいいよ、

190 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/15(木) 18:18:16 ID:7zK4Mm17
>>186
問題を外すと消しゴムという事だなッ!

しかし…筆というかキーボードが中々進まない…


191 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/15(木) 18:30:13 ID:McEJl29g
スルメイカ…じゃなくてメタリカ…でもない、ユリイカ買ってきたぜ
お前らも忘れないように気をつけるんだぞ

192 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/15(木) 18:30:55 ID:1K2jDn3G
>>191
買うなよ・・・

193 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/15(木) 18:46:19 ID:fWkMKsOw
寒い日に部屋を暖かくして食うカキ氷って美味いよな。
カキ氷の肴にツンドラでも見たい気分だぜ…

194 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/15(木) 19:58:37 ID:8nRFMr/u
筆が進まぬ人間がここにもう一人。一段落ついたから
ちょっと休憩するだけのつもりが気付けば前回投下から2週間・・・
一旦詰まると止まりまくるのは何とかしないとなぁ。

195 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/15(木) 20:07:39 ID:jz4V+jAP
真冬に外でアイスを食うのもなかなか良いぜ

196 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/15(木) 20:14:46 ID:fWkMKsOw
>>194
待ってます…いつまでも待ってます…
>>195
流石に外で食ったら寒すぎるんじゃないか?

197 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/15(木) 20:24:56 ID:6lsDmEJD
筆が進んでも話が進まない人がちょっと八時半から投下しますけど構いませんねッ!?

198 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/15(木) 20:26:22 ID:rOBGVIiV
投下してください・・・・待ってます、ボス・・・・(支援の準備をして)

199 :ゼロいぬっ!:2007/11/15(木) 20:32:00 ID:6lsDmEJD

ニューカッスル城のホールでは既にパーティの準備を終え、
主賓である皇太子を今か今かと待ち侘びていた。
貴族達は皆一様に着飾り、その顔から笑顔が尽きる事はない。
出された料理もこの日の為に取っておかれたのだろう、最高級の食材とワインが振舞われていた。
明日の死を覚悟し、彼等は今を精一杯楽しもうとしているのだ。
彼の目にはそれが“生きる事の放棄”に見えたのかもしれない。
彼等だって生きたい、生きたいはず。
だけど、それが叶わないからこうして覚悟を決めたのだ。
それは決して諦めじゃないと思う。
でも彼等を見ていると辛くなるのはどうしてなんだろうか…?

「あ…え…う、ウェールズ皇太子殿下のおなぁぁりぃぃーー!!」
ホールの入り口に立っていた人が上擦りながら声を上げる。
遅れて来た皇太子の登場にホール中が歓声に湧き上がった。
だが彼を目にした瞬間。その声はどよめきへと変わっていった。

彼が身に纏っているのは貴族の礼服ではなく軍服。
手には丸めた地図を持ち、その後ろには犬を引き連れている。
宴にはそぐわぬ異様な姿に貴族達も困惑を示し、
これは皇太子による新手の冗談かと周りに問いかける者までいた。
ウェールズの父である国王ジェームズ一世も目を剥き、杖を持つ手を震わせる。
当然ルイズにも何が起きたのかなど分からない。
しかしウェールズの目からは先程までの“死の覚悟”とは別の意思、より一層強い覚悟を感じ取れる。

「皆の者、すまないがパーティは中止……いや、延期してもらいたい!
しばしの間、我等がこの手に勝利を収めるまで!」

誰もが死を受け入れて明日の決戦に備えて英気を養おうとする中、
突然の皇太子の発言は貴族達を混乱させるばかりだった。
それにも構わずウェールズは説明を始めた。

まずはクロムウェルが率いる貴族派の多くは彼に操られているという事実。
それにジェームズ一世の眉が顰められる。
忠臣の反逆が信じられないのも仕方がない。
だが既に解決した事柄を掘り返してどうなるというのか?
それにそれだけの人間を操る事など如何なるメイジでも不可能。
息子の演説を止めさせようとした直後、彼の耳に驚くべき名が届いた。
『アンドバリの指輪』湖の精霊から奪われクロムウェルの手にあるという秘宝。
彼はその名を知っていた、そしてその力も…。
なんという因縁だろう、かつて冒した過ちの報いが来たというのか。
頭を抱えるように俯く王の肩にバリーがそっと手を添える。
彼だけが国王の苦悩を理解していた。
王は全てに平等たる天秤などではない、心を持った人間なのだ。
己の感情を殺し厳正なる裁きを下す、
それがどれほどジェームズ一世の心を苦しめたか。
だが、今は過去を悔やむ時ではない。
ウェールズ皇太子が言う様に勝利の可能性があるのなら一歩でも前へ進むべきなのだ…!

200 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/15(木) 20:35:11 ID:LQwj2qpE
このSSを支援するッ!!

201 :ゼロいぬっ!:2007/11/15(木) 20:35:13 ID:6lsDmEJD

貴族派はクロムウェルの意のままに動く操り人形。
ここに連中の弱点が存在する。
操り手がいなくなれば人形はただの木偶と化す。
五万の軍など相手にする必要はない、ただ一人クロムウェルを討てば終わるのだ!
術者が死ぬ事で洗脳が解けるかどうかは定かではない。
だが、命令を下す者がいなくなれば兵は動けない。
例え何も起きずとも敵の総大将を討てば戦局は必ず変わる!
後はどうやってクロムウェルの下に辿り着くか、
その為の策を示す為に料理を除けてテーブルに地図を広げる。

「まずは夜影に紛れて『イーグル』号を出航させ迂回しつつ敵の警戒網を縫って接近させる」
その時には海賊船の偽装が役に立つ。
黒く塗り潰した船体は夜の闇に上手く溶け込んでくれるだろう。
しかし、それでも普通なら敵に気付かれずに近づくなど至難の業。
…だが今の私達には心強い助っ人がいる。
そう。人の悪意、敵意を感じ取れるミス・ヴァリエールの使い魔だ。
ウェールズは彼をレーダー代わりにして敵の目の隙間を探そうというのだ。
この段階ではクロムウェルのいる『レキシントン』には向かわない。
隙を突いたとしても艦隊の一斉砲撃を浴びれば『イーグル』号とて助からない。
そこで連中の目を引きつける囮が必要となるのだ。

「続けてニューカッスルから砲撃を行う…いかにも決戦を仕掛けてきたように見せてね」
地図の上に置かれた駒を動かしながらウェールズは説明を続ける。
それを見る限り城内は完全にもぬけの殻。
兵力は『イーグル』号が大半、残りが城門といった感じだ。
とてもではないが、その人数で城を守りきれるとは思えない。

「どの道、防ぎきれないだろうから…ある程度撃ち合ったら連中を中に誘い込むんだ」
「恐れながら殿下。それでは残された者が皆殺しにあってしまいますが…」
「いや、そうはさせない。連中が突破してきた所で城門を爆破して敵を中と外に分断する。
そこで反撃に転じ、取り残されて混乱する城内の敵を一掃する!」
ダンッと地図上の城門を拳で叩き、ウェールズは部下の心配を一蹴する。
普段の彼では考えられない熱の篭った言葉に部下は驚きを隠せない。
いつの間にかウェールズの周りには貴族達が集まっていた。
それも口々にこの作戦が上手くいくかどうかを話し合う。
可能性は低い、だが勝ち目があるとすればウェールズの言う策だけだ。

「その混乱に乗じ、非戦闘員を乗せた『マリー・ガラント』号を脱出させ、
『イーグル』号は一気に敵艦隊の中を突っ切り『レキシントン』に接舷し乗り込む!
その後は敵の妨害に一切構わずクロムウェルの首級を上げる!」

202 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/15(木) 20:36:08 ID:rDed1x2L
支援

203 :ゼロいぬっ!:2007/11/15(木) 20:37:56 ID:6lsDmEJD

『イーグル』号による急襲作戦。
それを提案するウェールズの声がホールに響き渡る。
死を受け入れた者には悪足掻きに見えるかもしれない。
だが見っとも無くとも情けなくともいい。
どんなに不恰好だろうと勝たなくてはならない。
ウェールズは討ち死にさえも覚悟していた。
だが自分達が戦おうとしているのは敵ではない。
操られた人間と金で雇われた傭兵、使い捨ての駒なのだ。
それと傷付けあった所で『本当の敵』には痛くも痒くもない。
互いに潰しあうその姿を愉しげに空から見下ろすだろう。

決して許してはならない!
連中の思い通りになどさせてたまるか!
この戦い、必ず勝たなければならないのだ!

「……………」
皇太子の熱弁が終わりホールに沈黙が訪れる。
恐らくは死を決意するのにも相当の覚悟が要った筈だ。
今度はそれを捨てて戦えという。
一様に俯いて答えを出せずにいる中、一人の若者がウェールズに歩み寄る。
そして彼は周囲の面前で賛同の意を表明した。

「私は殿下に賛成致します。
戦う前から勝機を捨てるなどアルビオン騎士の名折れ!
この身命、喜んで皇太子殿下に捧げましょう!」
若さ故か血気に逸る男が一番に名乗りを上げた。
恐らくは彼の部下だろうか、彼の背後からも口々に同意の声が上がる。
それに遅れじと次々と貴族達が男の後に続く。

しかし、それも半分まで。
残りの者達、特に年配者達は王の動向を気にして動けずにいた。
篭城しての決戦を指示したのはジェームズ一世だ。
ウェールズの策に乗るという事は王命に背く事になる。
ましてや一度出した命令を早々に変える事など王の沽券に関わる。
ちらちらと自分の顔を窺う貴族達に応える様に王は不自由な足で立ち上がった。

204 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/15(木) 20:38:35 ID:rOBGVIiV
支援支援ッ!

205 :ゼロいぬっ!:2007/11/15(木) 20:39:52 ID:6lsDmEJD

「王命は絶対である…!」
そして口にしたのは完全な否定を意味する言葉。
説得も不可能、決して曲がる事はない。
その一言に参加を決意した者達が沈痛に俯く。
ウェールズも自らの唇を口惜しさに噛み締めた。
彼等を見下ろしながらジェームズ一世は続ける。

「だが新たに王が立つならば、それに従うが道理」
「え?」
不意にウェールズの口より唖然とした声が漏れる。
他の貴族達も意を掴めずに戸惑うばかり。
だが、それを気に留めず国王は更に言葉を重ねる。

「今より我ジェームズ一世は王の座より退位し、その後継は我が息子ウェールズとする!
これは最後の王命である! 以後はウェールズの命に従いアルビオンを守る礎となれ!」

言い終えて全身の力が抜けたジェームズ一世をバリーが支える。
古き時代が終わった、国王であった彼はそう確信した。
今、アルビオンには新しい風が吹いている。
彼等の妨げにならないように自分達は静かに道を空けるのだ。
それは傍に立つ老メイジも同じだった。
かつて若かりし頃の自分と陛下が駆け抜けた日々。
それを今度は離れた場所から見ている。
若き王の前に集う勇敢な騎士達。
なんという輝かしいばかりの生命の息吹か。
それで確信した。アルビオンは滅びたりはしない。
たとえ一人だろうと生き残った者達へと受け継がれる。

「ウェールズ国王陛下万歳!」
突然のウェールズの即位にざわめく貴族達の中、誰かが声を上げた。
それで気付いたのか、次々と皆が祝辞を述べる。
興奮に沸き返る貴族達に返礼をしながらウェールズは父へと向き直る。

「国…いえ、父上」
思わず口走りそうになった言葉を飲み込みながら、
ウェールズは父に感謝を示そうとした。
彼が身を引かなければ皆は二つに分かれていただろう。
だが、それを察してウェールズの言葉を遮った。
内部崩壊を恐れたのではない。
ましてや息子の事を考えてした事ではない。
これが正しいと信じて彼は国王の座を譲ったのだ。
その判断は間違っていない。
決して後悔しない選択だったと今こそ胸を張って言える。

206 :ゼロいぬっ!:2007/11/15(木) 20:42:18 ID:6lsDmEJD

「ニューカッスルの守りは任せて貰おう。
罠と分かったとしても余が居れば食いつかずにおれんだろう。
なに、バリーも傍にいる。それにおまえの足手纏いになりたくはない。
老いたりといえどまだまだ倅の世話にはならんよ」
ニカリと笑う父親にウェールズも笑みを返す。
それは彼が初めて見た父の笑顔だった。
ずっと重責を負い『国王』として振舞い続けた、父親の本当の姿だった。
意固地な人だ、最後の最後になってやっと素直になるなんて…。
いや、最後にはならない。絶対にさせない。
彼が振り返った先には頼れる仲間の姿。

一人の貴族がワインクーラーを引っ手繰る。
そして氷水の入った中身を頭から浴びる。
ぶっかけられた冷水が痛いぐらいに頭を冷やす。
「っぷあ! いい感じだ、酔いが一気に吹き飛んだぜ!」
「お、俺にも頼む!」
「ああ、心臓が止まらねえように気をつけろよ!」
「水だ! 水が足りんぞ! ジャンジャン持って来い!」
体に残った酒を抜こうとする者達の横で、老メイジは指示を飛ばす。
「よいか! 今から指定する場所に火の秘薬を仕掛けるのだ!
竜騎士隊は乗船の前に自分の竜の翼を暖めておけ!」
先程までの静けさとは打って変わった熱狂振りにルイズの目が丸くなる。
粗野で下品で貴族としての振る舞いが全然感じられない。
でも彼女の眼には、彼等がずっと人間らしく映った。

例え僅かな可能性だったとして生き残る事を放棄しない。
その生き足掻く姿こそが生命の有り様なのだ。

ウェールズを中心に慌しく動き回る人々。
その眼に込められた力を見回しながらデルフは彼に語り掛けた。

「風向きが変わったな。知ってるか相棒?
番狂わせってのはな、こういう時に起きるもんなんだぜ」


207 :ゼロいぬっ!:2007/11/15(木) 20:44:39 ID:6lsDmEJD
投下したッ!!
原作に出てこない部分って書くのに勇気がいる。
仮面さんは凄いなあと思わずにはいられない。

208 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/15(木) 20:46:16 ID:LQwj2qpE
> 番狂わせってのはな、こういう時に起きるもんなんだぜ

それでもわんこなら、わんこならなんとかしてくれる支援!


209 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/15(木) 20:47:34 ID:LQwj2qpE
GJ!まさに先が気になってドキドキワクワク!

210 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/15(木) 20:49:41 ID:kbGEBZQ4
今日のわんこGJ!
>>196
真冬の雪が降るなかどうしてもアイスが食べたくて学校に行く途中傘も差さずに歩きながらアイス食って見てる方が寒いから勘弁してくださいと言われた俺参上

211 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/15(木) 20:52:57 ID:rOBGVIiV
いぬっ!さんGJ!
作者さん達には総じて敬意を表するッ!よくそこまで書けるものだ

212 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/15(木) 21:24:40 ID:rcEK5Bpb
わんこGJ!
ウェールズ達格好良い!ジェームズ国王様も良い!
皆兆・サイコー!
>>210
ところでそれは見知らぬ他人にかい?

213 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/15(木) 21:26:53 ID:Q+0Y4VPb
わんこGJ
コタツで食うアイスは美味いよな
むしろ、暖房で溶けてグチャグチャになったのも好きだ


214 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/15(木) 21:46:48 ID:vVX/YlCm
それなんて美坂栞

215 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/15(木) 21:50:19 ID:jz4V+jAP
>>196
寒さで軽く死を覚悟しながら食べるのが良いのだよ
その後に暖かい飲み物を飲むとなおさら良い

216 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/15(木) 23:28:10 ID:fWkMKsOw
>>215
『死を覚悟しながら食べる』…!?
負けた…完全敗北だよ…

217 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/15(木) 23:33:52 ID:uxX4c5KS
今サーレー編を書いているけれどクラフトワークACT2か何か出して空間の固定なんかやっちまったら
まずいよなぁ・・・。


218 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/15(木) 23:37:21 ID:FeaxSUy6
能力の応用ならいいけど新しい能力は駄目だろうね

219 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/15(木) 23:43:21 ID:H624bA6g
>>217
クラフトワークなんて面白い能力なら幾らだって活躍出来るエピソードが書けるさ!
ところで、その、すまないんだがメール欄にsageと書き込んではくれないか?

220 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/15(木) 23:46:38 ID:uxX4c5KS
す、すみませんでしたァ!

221 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/15(木) 23:47:14 ID:6EJMm/0d
空間が駄目なら空気を固定すればいいじゃない
クラフトワーク・ジェントリー・ウィープス!

……無理があるか

222 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/15(木) 23:50:03 ID:FV7czqJU
水滴を固定してキャッチザレインボー

223 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/15(木) 23:52:27 ID:rOBGVIiV
ふれたモノを固定させるんだから、空気の壁ぐらいは作れそうだ

・・・・ていうか敵のスタンド能力ってあんま解説ないし
ある程度個人の解釈で『出来る事』と『出来ない事』を分けないとですね。
で、ですよね?

224 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/15(木) 23:54:23 ID:FV7czqJU
空気の壁ってもう世界ですらかてねーぞそれw
わざわざ小石固定して歩いてた意味もなくなるし

225 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/15(木) 23:55:44 ID:9xWjvSib
>>224
空気固定→見えない→踏み外す→\(^o^)/

226 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/15(木) 23:56:34 ID:fWkMKsOw
ルイズの失敗魔法で爆発を起こす→しかしクラフトワークで爆発のエネルギーを固定→好きなタイミングで爆発出来る
=これなんてキラークイーン?


227 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/16(金) 00:02:09 ID:Vo8Kh0R6
>>226
弾丸トントンって言ってみりゃその理屈なんだよな

時にサーレーはエアハンマーやニードルを止められるのだろうか?

228 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/16(金) 00:04:48 ID:VehMnyAt
自分から振っておいてなんだが、気体は「モノ」として認識しにくいから固定は厳しいんじゃないか?
逆に認識できればエアハンマーも固定できそうな気がするけど

229 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/16(金) 00:07:31 ID:1jn+bdU1
>>227
「固定」はできなくても、素で弾丸防げるスタンドだしダメージいかないと思うな

230 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/16(金) 00:07:31 ID:7IhujByJ
なんか固定することについて考えてたんだけど
固定したものって地球と一緒に動いてるよな
本当に固定されてたら自転や公転のせいですごい勢いでどっか吹っ飛んでいくと思うんだ

231 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/16(金) 00:09:35 ID:aI0WRQw1
ってか風とかは止めれないとか制約ないとほぼ確実に認識できるワなんとかさんとか敵にならんな
ギーシュとフーケは論外だし

232 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/16(金) 00:10:40 ID:aI0WRQw1
>>230
トラックの上だってのに色々と止まってたし
なんか基準にたいして相対的に止まってる説が有力

233 :使い魔は引き籠り:2007/11/16(金) 00:11:13 ID:z9dtakhC
>>230
サーレーは天動説派


冗談は放っておいて、今日も投下させて頂く。
流れぶった切ってゴメンよ。

234 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/16(金) 00:12:49 ID:3waVSGjc
>>230
物体と相対的に固定してるんだとおも
ミスタをトラックに対して固定したし

235 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/16(金) 00:13:40 ID:loDM8RVP
>>233
かまーん

236 :使い魔は引き籠り:2007/11/16(金) 00:14:26 ID:z9dtakhC
「頼みがあるの・・・・あのね・・・・判っちゃってると思うけど」
「『使い魔』」
「そう。」

もう私が声をかけた時点で推して計れるほど、『ルイズの使い魔行方不明事件』は広まってるって訳。
ああ、頼んでて恥ずかしくなってくる・・・・
自分でも探した。先生方にも探していただいた。それでも見つからないから、もうこれしかないの。
そう、だから『人海戦術』。
知り合いだろうがそうでなかろうが、片っ端から協力を頼んで(例外はある)
極端に言えば、大人数で『全ての部屋を同時に探す』・・・・これなら見つからないはずは無い。
まあ実際には、『見かけたら教えてね』程度のことなんだけど。

「力になれる?」
「十分、十分過ぎるわタバサ。ありがとう!」
「いい。友達の、友達。」
「・・・・っき、キュルケは友達じゃないわッ!」

ななな何を言い出すやら!確かにね、今は一人でも多くの協力者が欲しいけど・・・・でも!
キュルケになんか絶対に頼まない!マリコルヌやギーシュに頼んでも、キュルケにだけは!

「頼むべき」
「い、嫌よ。何てバカにされるかわかったもんじゃないもの。」
「口だけ。協力する」
「タバサは絶対にキュルケを買いかぶり過ぎ・・・・ごめん。友達に、そんな事言うものじゃないわよね」

タバサは何も言わない。
ああ、唯でさえ恥ずかしいお願いしてるのに。私ったらこれ以上、自分を貶めるの?私って奴は何処までバカなのよ!
沈みこんだ気分が更に沈んだところで、タバサの手がとんと肩に置かれる。
「大丈夫。見つかる、きっと。」
・・・・慰められた。せめてしゃきっとするの!頑張るのよルイズ、メイジなんだから。



『鏡から出ない』と決めてから更に十数時間。日はとっぷりと暮れ、食堂からぞろぞろと出てきたガキどもはとっくにベッドの中で丸くなっている。
そしてオレは、早くも根負けしそうだった。
畜生・・・・腹が減ったし、喉も渇いた!さっきはハッキリと『耐えられない事じゃない!』と思ったのに!
『空腹』と『命の危険』じゃあ重みが違う。生きるのに必要な食事を、『生きる事』と比べるのは馬鹿らしいじゃないか。
しかし、甘かったッ。空腹と渇きでさっぱり眠れないし、気のせいか体温まで下がってきた。(飢えはまだしも、渇きはヤバいんだ。)
生きる為の『三大欲求』の二つが完璧にまいっている。あれ?三つか?女の子は好きだが、今はそんな場合じゃないもんな。


237 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/16(金) 00:15:02 ID:0wWjqy/M
鏡の人支援

238 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/16(金) 00:15:44 ID:K/KEIeAG
支援ンッ!!!


239 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/16(金) 00:16:12 ID:3waVSGjc
支援

240 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/16(金) 00:17:22 ID:loDM8RVP
シエンスタ

241 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/16(金) 00:17:54 ID:VehMnyAt
支援!

242 :使い魔は引き籠り:2007/11/16(金) 00:17:57 ID:z9dtakhC
こ・・・・これは。死ぬんじゃないか?オレは。『ルイズに見つからなくても』・・・・鏡の中で『あの女』に怯えてブルブル震えながら、餓死するッ!
それだけは嫌だ、嫌だ惨め過ぎるだろおおおォォォォォ!そんな事は!許されない『暗殺者として』ェッ!
しっかりしろ、しっかりするんだイルーゾォ。そうだぜ、お前は暗殺者なんだ。
最良と自負するスタンド『マン・イン・ザ・ミラー』を持って、何故こんなにもブルってる?おかしいだろう。
『殺されるくらいなら、殺っちまえ』・・・・これが暗殺者ってもんだろう!違うか?!『そういう風に考えるべき』じゃないのかッ!!

二度と忘れるな!『マン・イン・ザ・ミラー』は最良のスタンドッ!このイルーゾォが決断すれば、『マン・イン・ザ・ミラー』はそれに応える!
オレが失敗する事があろうとも、『マン・イン・ザ・ミラー』は失敗しない。だから、オレの気の持ちようなんだ!
怯えるは、止めだッ!オレは逃げる。オレは隠れる。だがオレは怯えはしない!
虎視眈々と『勝利』を狙う、そのために潜むのだ・・・・『マン・イン・ザ・ミラー』はそういうスタンドなのだッ!


実際にはそう『決断』したのはもう一時間も前のことで、今のオレはルイズの部屋のベッドの上(ホームポジションだ)でへばっている。
一時間前、空きっ腹抱えて何をしたかって言うと、こうだ。

まず普通なら「なんだよ、覚悟したんならルイズを鏡の中に引き込めよ、さっさと殺れよ」って思うかも知れないが、オレは違う。
これは言わばマン・イン・ザ・ミラーの能力の『癖』の部分で、今まで相手をビビらせられるって事にしか考えが行かなかったが
マン・イン・ザ・ミラーで相手を引き込む時、『相手には鏡の中のオレが見える』んだ。
(ただ外を覗くだけなら安全なんだけどな。何故かは判らない・・・・引き込む瞬間、相手とオレは何かを共有するのかもしれない)
ルイズのスタンドは、オレを見るだけで『爆発』させる可能性がある。
「あっ!イルーゾォだ。手間取らせやがって、死ねッ!」・・・・そしてドカン。オレの姿が見えたなら、オレはもうお終いだ!
オレはこれが凄ェこわ・・・・・・・・・・凄く警戒している。『ああ、やっぱり爆発した』じゃ遅いんだ。
だからルイズを引き込むなら『寝込み』だ。卑怯とかそんな事は言ってられないんだ。命のやり取りだからな!

そう思ってルイズの部屋でベッドが動くのを待って――――ルイズが帰ってこない――――ちょっと考えれば判る事だった。アイツ、オレを探してるんだから。

気を取り直して。
今回ばかりは持久戦はマズいから、オレは方針を変える。相手が目を瞑らないなら、『完全な死角からの攻撃』を。
そのためには、まず一つの鏡は、『覗く』ためだけに使う。そしてルイズが完全にそっぽを向いた時、『もう一つの鏡で、引き込み』そして!
「はっ!ルイズめ。手間取らせやがって、死ねッ!」・・・・スタンドと引き離しちまえばただのメスガキ、負ける気はしない!

で、繰り返すが『マン・イン・ザ・ミラー』には鏡が必需品だ・・・・調達しないと・・・・
だが安易にその辺のを割っちまうのは良くない。ルイズがオレを探している以上、音を立てるわけには行かないんだ。
だから『手鏡を探す』ッ!

オレの性格上、気分が落ち込んでる時は嫌な事にばっかり気がつく。
まず行動を起こしてはじめに、ルイズの部屋でオレのナイフを見つけた。(何で無いんだろうと思ってたんだ!いつの間に奪われた?)いつも使ってた奴だ。
幸運にも箪笥の隣の鏡に映る位置だったんですぐさま許可する。・・・・が、此処でまず一つ嫌な事だ。
『一緒に持っていた』筈の鏡がねえ・・・・どう言うことだ?普通に考えて、ナイフより鏡を隠す理由が見つからない。
そうだ。オレのスタンドが『鏡に関連する能力』だって気づかれたんだ!オレは洗面所で『消えた』し、鏡鏡って喋っちまっていた。

(まさかイルーゾォは、ルイズが魔法の練習に使って消し飛ばしたとは思わない。
「『万が一』失敗した時に、無くなっても困らないものを使おう。無くなっても私は困らない、って物を――――」)

243 :使い魔は引き籠り:2007/11/16(金) 00:19:30 ID:z9dtakhC
もう一つの『頭の痛くなる事』は、せっかく『覚悟』で剣のように硬く鋭くなっていたオレの気持ちを、どっかのウイルスよろしくグズグズにしてくれた。
『この学校、手鏡なんてもんは存在しないんじゃないのか?』――――こうだ。
探して探して見つからないから泣き言を言ってるんじゃあないぜ。理由がある。
オレは何度目か適当なガキの部屋に入り(『マン・イン・ザ・ミラー』、ドアを開けてくれ・・・・ありがとう、頼りにしてるぜ。)手鏡を探し、
そいつが偶然にも外へ出て行った折、水だけでも飲もうと洗面台の鏡を潜った。
だが、さあ喉を潤そうって時にそのガキは返ってきやがった。(早すぎるだろ)どうにか鉢合わせはしない、入り口でまごまごやっていやがる――――

「貴族様、寝巻きのボタンを掛け違えてございます。」
「あれっ?本当?」
「只今直して差し上げますから――――はい――――それではおやすみなさいませ。」

おい、ありえるか?『貴族様』だ。こんな会話って、マジに存在したのか?
そういえばルイズがそんな事を言ってた気がする。オレは全然取り合わなかったが・・・・だってありえないだろ・・・・?
それでだ。  『この学校、手鏡なんてもんは存在しないんじゃないか?』
手鏡ってのは普通身だしなみのチェックに使うものだ。(オレはこの認識がだいぶ甘くなっているが)
それが旧時代の遺産のメイドだの貴族だのだと話は全然別で、
身だしなみのチェックってのはメイドがやって、自分じゃあやらない。自分を見る必要がなければ、手鏡は要らない・・・・

も、勿論ゼロって訳じゃないだろう。『手鏡』って概念が無いわけじゃない(はずだ)から、ある事にはあるかも知れない。
でも、『いらない物』を持つ奴は少ないぞ。ぐっと減る・・・・見つけられるか?そいつを直ぐに。この空きっ腹で。



(出ちゃおう、かな・・・・)
(ルイズは部屋に帰ってない・・・・鉢合わせなければ、大丈夫かもな?)
(いや、こういう諦めの上での行動は『よくない』ぞイルーゾォ。)
(でも、何か食わなけりゃ死んじまうよ)
(直ぐには死なねえさ。大丈夫。三日は持つ)
(我慢しろよオレ。我慢しろよイルーゾォ。お前は暗殺者だぜ?)
(水分もったいないから泣くなよ。)
(暗殺者だろ・・・・しゃきっとしろよ!頑張るんだイルーゾォ、暗殺者なんだから・・・・・・)





(暗殺者なんだから、闇にまぎれて足音を立てずに歩くくらい。出来るよな!)
オレは外へ出た。

こんなに外の世界に希望を持つのは初めてだ!大丈夫、気配を殺す。ちょっとやそっとじゃ見つからない。
さし当たって何か食い物。食い物。食い物。そんで鏡・・・・・・

「きゃあっ!」


気配を殺していたがゆえに、ぼーっと歩いていたオレに思いっきり女がぶつかった。・・・・オレって奴は何処までバカなんだ!

244 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/16(金) 00:22:29 ID:wn5ep+Zz
相変わらず涙目なイルーゾォ支援

245 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/16(金) 00:22:32 ID:VehMnyAt
SIEN

246 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/16(金) 00:23:27 ID:loDM8RVP
がんばれイルーゾォw

247 :使い魔は引き籠り:2007/11/16(金) 00:24:18 ID:z9dtakhC
五話終了。詰め込んだら、ちょっぴり長め。
引き籠りを躁鬱気味に書くのが面白い。ヘタレ過ぎるとイライラするからなあ。

「ルイズはもうタバサと知り合いか」って言ってる人が居たけど、
ルイズは名前を知っている人に片っ端から声をかけてる・・・・んだと思う。描写不足でした。

慎重なのにいざとなると無駄に行動的なのはイルーゾォの短所だと思う
フーゴ引きこむ→アバ引き込む→鍵みっけ→ジョルの引き込む、で誰もトドメさして無かったりとか。

248 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/16(金) 00:24:26 ID:aI0WRQw1
イルーゾォ投下のペース速すぎてちょっと心配だ
まあ最序盤はこんなもんだろうか

249 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/16(金) 00:24:47 ID:dWxiV1Ma
シエスタぴ〜んち?

250 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/16(金) 00:27:01 ID:VehMnyAt
イルーゾォの人GJ!
次の展開wktkして待ってます

>>226
クラフトワークが固定したモノのそれまでの運動エネルギーはゼロになる
じゃなきゃ1発目の弾丸のエネルギーが解放されてサーレーは脳漿ブチ撒けて死んでるはず
弾丸トントンの狙いも正確じゃなくなるしね

251 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/16(金) 00:27:03 ID:3waVSGjc
なんというヘタレw
しかしいつか活躍するのかと思うとwktkが止まらない

252 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/16(金) 00:27:16 ID:loDM8RVP
おちゅかれー

253 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/16(金) 00:30:06 ID:K/KEIeAG
イルーゾォの人乙!
>>250の人ありがとう!
参考になった!!


254 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/16(金) 00:31:53 ID:aI0WRQw1
新作ラッシュだし、明日こそ本気出して投下する。たぶん。

255 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/16(金) 00:39:37 ID:wdYv7nd9
イルーゾォの方GJそして乙っした
イルーゾォの勘違いは何処まで続くのか……

256 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/16(金) 00:55:33 ID:0wWjqy/M
>>254ッ!明日って今さ!

257 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/16(金) 02:18:10 ID:QVEivNCQ
>>256
某国の10年後と同じで明日はいつになっても明日だぜ。

258 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/16(金) 07:44:56 ID:nc6XScoC
クラフトワークの能力、固定や運動に干渉出来ることを考えると
関節全てを固定!サーレー自らの関節固定で剛体術ry人体の運動に干渉出来るなら内臓を停止で無傷の死体を作れることに
拡大解釈しすぎましたスミマセンでした

259 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/16(金) 07:47:45 ID:XzwrOntW
>>258
>内臓を停止で無傷の死体を作れることに
兄貴の直触りより酷いwwww

260 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/16(金) 07:58:57 ID:f1fvIM4z
石油が枯渇するまで後〜年というのもあまり減らないな

261 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/16(金) 08:02:38 ID:ZJS4WYqn
クラフトワークって
相手の口と鼻を、閉じて、固定するだけで殺せるよな。
暗殺むきじゃね?

262 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/16(金) 08:24:10 ID:wuJhaRoZ
何事も使い方次第ってのはアレだ。
ルイズが人様の服に錬金かけたら苦もなく爆殺できるかも、みたいなもんだ。

263 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/16(金) 08:24:18 ID:jxMAK5/V
ジョジョキャラはその部分破壊したり穴あけたりして回避しそう。

264 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/16(金) 08:39:53 ID:v8Y/21fV
>>263もろジャイロの鉄球の最終奥義だよね

265 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/16(金) 08:45:43 ID:gN+/TGXB
クラフト・ワークは、
『固定できるのは固体だけ、液体・気体は無理』
『軸になるのは本体、本体から観て固定されている様に見える形になる』
とまった弾丸がトラックについてきたのはその時サーレーさんが乗っていたから。
だったはず、
どデカイファンブック開く気になれないので、確かそのはずどまりだけど、
上は自信ある。

266 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/16(金) 09:16:02 ID:QmA3BGk8
あとミスタの手とか運転手を固定したみたいに、直触りじゃなくても「固定したモノ」に触れた部分を固定する能力もあるんだぜ

267 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/16(金) 09:25:25 ID:SDuD/LRN
こんな時間でごめん
30分ぐらいに投下します。

268 :はたらくあくま 1/3:2007/11/16(金) 09:29:49 ID:SDuD/LRN
20 勇気と恐怖、保身と矜持

ひどく冷静に、デーボはそれを見上げた。
「ゴーレム!」 キュルケが叫ぶ。あれがそうか。30メイル、予想より大きい。いや、今は仰ぎ見る形になっているから、実際はもう少し割り引くべきか。
タバサが真っ先に反応する。破壊の杖を小脇に抱え、もう片方の手で身長より大きな杖を振る。呪文を唱える。竜巻が部屋中の家具と埃を巻き上げながらゴーレムに挑む。
昨晩は肩に黒いローブを纏った人間がいたらしい。今は影も形もない。胴体上部、胸板にぶつかる竜巻。四散する。ゴーレムはその大質量を微塵も揺るがさない。
人形には違いない。だが、これだけの大きさだ。他人の意思が介在してもいる。操れるだろうか? キュルケが胸に差し込んでいた杖を引き抜く。素早い詠唱。杖から炎が伸び、ゴーレムを包む。
軽くのけぞるゴーレム。効いたのか? 違う。巨大な膝が小屋よりも高く持ち上がり、足の裏がよく見えた。
「退却」 タバサが呟く。言われるまでもなく、小屋の中の全員が駆け出す。全員が出たところを見計らったように、ゴーレムの足が沈む。
解体される廃屋。土煙が立ち昇る。
後ろも見ずに散る二人。デーボは一人に追いつき、声をかける。
「よこせ」 右手に自分の大きな杖を、左手に破壊の杖を持ち、走りづらそうにしていたタバサは素直に頷く。破壊の杖が手渡される。
それを手に持ち、デーボは走りながら考える。路地裏で手に入るSNSとは訳が違う。何故こんなものがここにある?
そして、何故おれはこれの使い方を知っている? 手に取った途端に、用法が頭の中に流れ込んできた。NAM戦はガキのころに終わってる。中東にミサイルを射掛けた時には、母国をとっくに脱出していた。
答えは出ない。出るはずもない。左手の甲、ルーンの輝きが増した。


混乱しつつも、ルイズは現状の把握に勤める。三人が小屋に入って、ミス・ロングビルが偵察に出かけた。そうしたらすぐにあのゴーレムが現れた。足音一つ響かせずに。
間違いない。奇襲を掛けられたのはこっちだ。偽の情報を流し、小屋におびき寄せて叩き潰すつもりだ。この分ではミス・ロングビルも危ない。もしくは、もう。
逃げずに罠を張った理由は? ここで叩いておけば、追撃の手と心が鈍るからだ。ここに隠れた理由は? 簡単だ。森に紛れれば相手からは見えない。ゴーレムは委細構わずに攻撃すればいい。
自分達が標的なのか? 読み誤りだ。王宮の衛士隊が差し向けられると考えていた筈だ。事実、院長以外のほとんど全員がその考えだった。
鶴の一声がなければ、自分達の出番はなかったろう。そしてこの地形。兵隊が集まれば集まるほど被害も増すだろう。それが狙いだったに違いない。
では何故、今自分達が襲われているのか。問題はそこだ。小屋の中から響いた声。破壊の杖はそこにあった。確実に追っ手をおびき寄せるつもりだったのだろう。だが、やって来たのは自分達だ。
そうだ。何もかもが上手くいく筈がない。誰だってそうだ。このゴーレムもだ。自分の誇りが、貴族としての誇りが駄目になるかならないかだ、やってみる価値はある。
ゴーレムは散り散りになった三者を眺め、どれを追うべきか迷っているように首を傾げている。
ルイズはゴーレムの背に向けて、気合のこもった詠唱を始めた。

269 :はたらくあくま 2/3:2007/11/16(金) 09:31:12 ID:SDuD/LRN
これは武器だ。強力な武器だ。スタンドで喉笛を切り裂くよりよっぽど簡単で、大きな破壊力がある。それが今、自分の手の中にある。
これはチャンスだ。得がたいチャンスだ。周りに人は少ない。そしてそれらは混乱している。今こそ逃亡すべき時だ。人形はもったいないが、代わりにこれを手に入れた。使い方も知っている。
おれに掛けられた魔法の効果か、それともこれがこのなりで魔法仕掛けなのか。気色悪いがありがたい。デーボは叢に走りこむ。ゴーレムを操れるか、だ? そんな必要はなくなった。今すぐ脱出だ。
聞きなれた爆音が空き地から響いた。足を止め、後ろを振り返る。まさか。

果たして、ルイズはゴーレムの背に魔法を浴びせていた。失敗の爆発、土がはじける。ゴーレムが気付き、振り返る。たった一人で相対している。如来に喧嘩を売る猿のような無謀。
いや、予想できたことだった。最初に志願したのはあいつだったと聞いた。何か思うところがあったのか。やらなければならない理由があったのか。
どうでもいい。知ったことじゃない。今は自分のことで手一杯だ。ではなぜ目を逸らせない?なぜ一歩も遠ざかれない?
デーボはその場に硬直した。心臓が異常な速度で脈打つ。顔にまで汗が浮き出る。
「おい」 手に持った剣が言う。誰にでもわかることを言うにふさわしい、平坦な口調。
「あの娘っ子、死ぬぞ。」 いつものおれなら平静に答えただろう。そうだろうな、と。今はどうだ。聞いたと同時に足が地面を蹴りつける。両手にそれぞれの得物を掴んだまま、デーボは全力で駆け出す。

ルイズの唱えたファイヤーボールは失敗した。いつもの爆発がゴーレムを振り返らせる。パーツのない顔が、30メイルの高みからこちらを見下ろしている。しばらく考えるように固まった後、やおら足をあげた。
踏み潰すつもりだ。ひるみつつも再度呪文を唱える。間に合え、間に合って。そして成功を。

誰が言ったか、こんな諺がある。『必要のない奇跡は起きない』。ルイズの魔法はゴーレムの胸に小さな爆発を起こすに留まった。
ゴーレムは足を下ろす。死にゆく人間の錯覚か、やけにゆっくりと足の裏がせまってくる。めり込んだ小さな石までが見える。人生の最期にみる景色が、こんなにもつまらないなんて。
日の光が遮られ、全身が足の下に入る。瞬間、何も考えられなくなった。ルイズは目を閉じなかった。動けなかった。

すっかり観念したルイズ。かなりの速度で近づく足音。それも自分の死を告げる効果音にしか聞こえない。故に、何かの体当たりを受けて視界が回転した時はひどく驚いた。何が起こった? 状況判断が出来ない。
最初に認識したのは色と温度だ。浅黒く、温かい何かが体に巻きついている。本能的嫌悪感。振りほどこうとするが、その何物かは力強い。体当たりの勢いそのままに地面を転がる。痛くない。
ようやく誰かに抱きかかえられているのだと判った。意外なような、そうでないような人物。ルイズを放すと背を向け、ゴーレムに向きなおる。広い背中が頼もしく見える。錯覚だ。そうに違いない。
先ほどまで自分がいた場所に、ゴーレムの足がめりこんでいる。なにか、台座と柱のようだ。ルイズの使い魔は叩きつけるように斬りかかる。鈍い音を立て、土が抉られる。

270 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/16(金) 09:31:47 ID:QmA3BGk8
支援だッ!

271 :はたらくあくま 3/3:2007/11/16(金) 09:36:31 ID:SDuD/LRN
それが何にしろ、自分のやったことが無駄足となるのは腹立たしい。斬りつけた足がうごめく。接した地面から土が流動し、傷口を塞ぐ。ものの数秒で元通りだ。
完治したゴーレムは土の拳を放つ。体重を乗せ、デーボは剣の腹でゴーレムの指先を打ち返す。土が弾け、指先を失ったゴーレムは手を引く。再び体がうごめく。
「土を切っても意味ねーぞ」 剣が言う。そうだろうな。さっきまでの狂おしい焦燥は消えた。ここは引くべきだ。後ろに立つ主人にそう言う。
「いやよ」 予想外の答え。思わず振り向く。ルイズは下を向いて震えていた。折れそうなほど杖を握り締めている。

「盗賊に、目の前で、盗まれて。また、ひっかかって、罠に、ひっかかって」 言葉が上手く出てこない。それでもなんとか続けようとするる。
「それで、ゴーレムに、殺されかけて、助けられて、それで、逃げ、逃げて――」 それではまったく無力ではないか。そう言いたいが、もう言葉にならない。ルイズは泣き出す。

デーボには何も伝わらない。ゴーレムに殺されかけたのが許せないらしい。が、なんで泣く? 逃げないならどうするんだ。無駄足か。
「おい、来るぞ」 剣が言う。これだけ短い言葉でも伝わるというのに。
敵の目の前で背を見せた自分を罵る。くそ、柄にもないことはするもんじゃない。おかげでこんな相手とやりあう羽目だ。
泣き声を背に、攻撃を受け止めようと向きなおる。ゴーレムが再び殴りかかる。デーボも再び体重を掛け――。あまり良い選択ではなかった。
まずい。握られた拳が金属光沢を放つ。杖を手放し、剣を腕に沿わせ受け止めようとする。これも良い選択とは言えなかった。
身長の半分ほどもある鋼鉄の一撃を受け、デーボは3メートルほど吹っ飛ぶ。
インパクトの瞬間に組成を変えた。完全にこちらを見ている。視界に入る所にいる。どこだ。体を吹っ飛ばされながらも脳は考える。
もちろん痛みのままに悪態をつくことも忘れない。無駄足どころじゃない。藪蛇もいいところだ。

後に残るは、泣くことを忘れ呆然と立つルイズ。その傍らに破壊の杖が転がる。M72対戦車ロケットランチャーが、66o成形炸薬弾をその身に備える。

272 :はたらくあくま:2007/11/16(金) 09:37:49 ID:SDuD/LRN
投下しました。話すすまねー
もう「デーボがんばる」で済ませ(ry

273 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/16(金) 09:37:58 ID:y5b1Bsmt
支援します

274 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/16(金) 09:41:18 ID:SDuD/LRN
>>273
短くてゴメン

275 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/16(金) 09:51:32 ID:y5b1Bsmt
GJでした

276 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/16(金) 10:18:40 ID:dWxiV1Ma
吹っ飛ばされた
痛てぇ
痛てぇよぉ
こんなに痛てぇのは許せねぇよなぁ
ゲハ ゲハハハハハ


スーパーデーボさんタイム到来?

277 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/16(金) 11:25:55 ID:3oFdT6Ks
イルーゾォさん、鏡の中へ食べ物のみを引き込む、ってのは無理なのかな…?
死んでる物体は無理だとしても、取れたてキャベツとかならいけそうな気がする

278 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/16(金) 11:57:39 ID:mqwItSkg
鏡の中で菜食主義に目覚めるイルーゾォさん。
つまり…肉が美味しくなる。

279 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/16(金) 12:03:55 ID:yvcoPOL3
出来るけど、見つけられなかったんじゃね?
鏡と食べ物が同時に無いと駄目だし

280 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/16(金) 12:56:27 ID:v8Y/21fV
>>278君はミスタかねwww

281 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/16(金) 12:57:18 ID:QVEivNCQ
肉の調達(フクロウ、マルコメ、カエル)は?

282 :名無しさん@お腹いっぱい:2007/11/16(金) 14:42:07 ID:VUF2qS4I
>>281
マルコメ食うのかwww
おまいさんはイル蔵をなんだと思っとるのかね。

283 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/16(金) 14:44:24 ID:WOYvZ6Hs

かゆ うま



284 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/16(金) 14:46:56 ID:/7XO700d
GJ!デーボ格好いいよデーボ

285 :173:2007/11/16(金) 18:09:49 ID:c/957qFB
            , -―  ――-、
             /に    (ニ==\  
         //')      に二) (ヽ >>176
         〃____,r^)__,r、(ニユ|  ………………。
         i!   ◯ / /◯  ヾヽヽ,!
          ヽニ⊃,// ⊂⊃}:}ソi
           ヘ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄~`=ーノ
           /⌒l,、 __, イー-<
.          /lilili/ |三/^ oOo,ヽ
          |三 lキヾr-、[] 「! (ニ }


            , -―  ――┛┗
             /に    (ニニ┓┏ 
         //')  u   に二) (ヽ  わかってるよオオオォォォッ!! 
         〃____,r^)__,r、(ニユ|  あんまエピタフしすぎると作者さん困るだろうから
         i!  ●`' ./ /´●uヾヽヽ,!  このくらいなら問題ないかナーって事を言ったとか
          ヽニ⊃,// ⊂⊃}:}ソi.  そんなカンジだよッ!たぶん!
        /⌒ヽ__ ヘ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄~/⌒ヽ   
      \ /:::::  >,、 __, イァ/   /
.          \     |三/ []「/__ /   
         `ヽ「ミヾr‐ 、[]「ヾ三/ 

286 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/16(金) 19:24:00 ID:nc6XScoC
承太郎がスタプラで心臓握って心停止状態にしてたんだからスタンドって内臓を直接触れるんじゃ?

287 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/16(金) 19:30:01 ID:4o7x2nDY
すり抜け可能ってことはスタンドで直接脳みそに攻撃することも可能ってことか・・・



鬼畜すぎる

288 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/16(金) 19:33:39 ID:kKd/OOXA
>286-287
すり抜けて内臓にさわれるのは自分のスタンドだからじゃね?

でなきゃラヴァーズとかハイエロファントグリーンの存在意義が・・・(w

289 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/16(金) 19:34:48 ID:wQrnOpQp
あれは承太郎ならではの技というか、自分の体だからできたと言うべきか…
チャリオッツとハイエロファントが小さくなって体の中に入っていくのとは訳が違うのかも

290 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/16(金) 19:43:38 ID:jkQ107Ur
>>288-289
ジョセフ蘇生…

291 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/16(金) 19:45:28 ID:2czN7dN3
花京院がいうにはある程度薄い壁ならすり抜けられるらしいんだよな、スタンド

292 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/16(金) 19:45:52 ID:nc6XScoC
スタンド能力は謎だらけってことなんだね兄貴?!

293 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/16(金) 19:46:29 ID:XzwrOntW
スタプラの機械のような正確さだからこそできるのであって他の人がやると心臓が完熟トマトのようにつb(ry

294 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/16(金) 20:55:55 ID:13RTLZhb
>>290
恐らくその時に死人と化していたため『物体』という認識だったんじゃないかな?
多分

295 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/16(金) 21:04:24 ID:ssLJxe9k
ふと、このVSゴーレムで思ったんだが
誇りの為に死が確定した行動を行うのなら
誇りの為に自殺、とか思い浮かんだりはしたのかね。
相当馬鹿にされて生きてきたわけだろ、ルイズは。
幼少時には姉もからかっただろうし、両親の失望もあったろうし
平民である使用人からの嘲笑もあっただろう。
そして入学してからは同年代の家の爵位的にも格下の子供達に常に馬鹿にされ
部屋の近いキュルケとは毎日のように喧嘩し、その度に"ゼロ"と…

自殺しそうなくらいに暗い眼をした虐められっ娘が
親兄弟以上に頼れる自分を救ってくれる
最高の使い魔を期待しながら、そんな自分を心の中で嘲笑いながら召喚を行い
黄金の精神を持った人間を召喚し〜〜なプロットがメモ帳に溜まっていくwww
ただ黄金精神化は見飽きたので超依存で勧めたいだが、ジョジョキャラだと
立ち直らせ発破かけるような人間しか思いつかないから困った。

296 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/16(金) 21:20:21 ID:c4bO/3y3
>>284
だかちょっと待ってほしい。
裏切って逃げようとしたけどやっぱやめたらブン殴られて涙目
むしろ原作の才人よりかっこわるいのではないだろうか。

297 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/16(金) 21:27:27 ID:f1fvIM4z
>>295
なにその俺にとっての神シチュ

298 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/16(金) 21:31:01 ID:pUrH/cjG
>>295
お前大事な奴を忘れてるぞ
俺を召還させれば万事解決だ、さあ早く書け

299 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/16(金) 21:37:34 ID:4C2mqBwM
>>295
心に傷やコンプレックスをもつ悪役スタンド使いを召喚し
そのままズルズルと共依存に陥っていくという電波を受信したッ

300 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/16(金) 21:37:52 ID:z9dtakhC
暗いルイズを冷たく突き放しつつも、俺の言う事さえきいていればいいと
引っ張っていってくれる形兆を連想

301 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/16(金) 21:47:15 ID:lorovlNJ
お前らーっ、俺がこれから投稿しようと思ってた短編SSの内容を見るんじゃねェーッ!
内容はルイズじゃなくて「イザベラさま、はじめてのつかいましょうかん」だがな…

ただ、短編とは言えかなりのボリュームになっちゃったのと、肝心のイザベラ様の扱いが
あまりにもヒドい物になってしまったせいで、こっちじゃなくて避難所に投稿することにしたよ
まだ校正が終わってないので、終わり次第向こうに載せて来る。すまないがもう少し待っててくれ

302 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/16(金) 21:54:22 ID:13RTLZhb
>>301
期待
でも「見るんじゃねェーッ!」よりも「エピタフるんじゃねェーッ!」の方がいいんじゃね?

303 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/16(金) 21:54:28 ID:c4bO/3y3
イザベラ素晴らしいよね
タバサの冒険一巻のあの屈託のある笑顔を見て
「あ、ヒロインだ」言葉ではなく心で理解したね

304 :偉大なる使い魔:2007/11/16(金) 22:12:49 ID:qEdsxnTY
投下していい?

305 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/16(金) 22:14:11 ID:wQrnOpQp
カモンカモーン!!!

306 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/16(金) 22:14:32 ID:n2wgH27Q
投下すると思っ(ry
OKだっ!

307 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/16(金) 22:16:01 ID:wdYv7nd9
兄貴支援ッ!

308 :偉大なる使い魔:2007/11/16(金) 22:20:43 ID:qEdsxnTY
わたしたちは、痩せた空賊の男に部屋から連れ出された。
甲板の上の部屋に通されると、ガラの悪い空賊たちがニヤニヤと笑っていた。
立派な部屋に豪華なテーブル、一番の上座に派手な男が座っていた。
どうやら、こいつが頭のようね、杖をいじってる所をみるとメイジなのか。
水晶の付いた良い杖ね・・・。
わたしたちを連れてきた男が、わたしをつついた。
「おい、お前たち、頭の前だ挨拶しろ」
わたしは、頭を睨んでやったが、頭はにやっと笑った。
「気の強い女は好きだぜ。ガキでもな。さてと、名乗りな。」
「大使としての扱いを要求するわ」
誰が、こんな奴等に恐がってやるもんですか。
「馬鹿かお前?空賊を相手に何を言っているのやら」
頭は静かに、わたしの言葉を跳ね除けた。
「・・・王党派と言ったな?」
頭がわたしの瞳を覗きこんでくる。
「そうよ」
「目的はなんだ?あいつら、明日にでも殺されちまうのによ」
頭の台詞に焦りが募る。
そうなる前に、ウェールズ様に会わないといけないのに。
「あなたたちには関係ないわ」
「貴族派につく気はないか?あいつら、メイジを欲しがってる。
たんまり礼金も弾んでくれるだろうよ」
こいつ等、そんなにお金が欲しいの?
「わたしは、大使だって言ってんでしょ」
「『大使』・・・それだ、そこが良いんだよ」
頭は杖を、わたしに向け囁いた。


309 :偉大なる使い魔:2007/11/16(金) 22:23:21 ID:qEdsxnTY
「何を言ってるの?」
「大使なら労せずに、ウェールズ皇太子に会えるだろう・・・
そこで、斬るなり焼くなり好きにできる。『大使』なら簡単に出来るだろう?」
「この外道!死んでもイヤよ」
わたしの言葉をまったく気にしない頭。
「もう一度言う。貴族派につく気はないかね?」
まだ言うか・・・わたしの肩にプロシュートの手が置かれた。
「つかねえって言ってんだろ」
「貴様はなんだ?」
頭がじろりとプロシュートをにらんだ、人を射すくめるのに、なれた眼ね。
プロシュートは真っ向から睨み返す、こちらは視線だけで人が殺せそうな眼だ。
「使い魔さ」
「使い魔?」
「そうだ」
頭は笑った。大声で笑った。
「トリステインの貴族は、気ばかり強くって、どうしようもないな。
まあ、どこぞの国の恥知らずどもより、何百倍もマシだがね」
頭は立ち上がり黒髪を剥ぎ取り、たくわえたヒゲを毟り取った。
変装してたのね、そこに立っているのは凛々しい金髪の若者だった。
「アルビオン王国皇太子、ウェールズ・テューダーだ」
まさか空賊の頭がウェールズ様だったなんて。

わたしは手紙を返して貰うために、城に向かう。
途中、貴族派に邪魔されること無く無事に手紙を手に取ることができた。
一番困難だと思っていたウェールズ様との接触・・・
思いもよらぬ形で出会い、簡単に手紙も返して貰った。
後は手紙を姫さまに届けるだけね・・・なんだか拍子抜だわ。

だから、この時。まさかあんな事に成るなんて夢にも思わなかった。


310 :偉大なる使い魔:2007/11/16(金) 22:25:01 ID:qEdsxnTY
今日は、ここまで。
明日17日22時から約30行×14回を投下します。


311 :名無しさん@お腹いっぱい:2007/11/16(金) 22:28:43 ID:VUF2qS4I
>>310
今回は短い・・・と思ってたら明日の投下がエライことにwww
あとGJ!

312 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/16(金) 22:30:01 ID:z9dtakhC
兄貴乙!GJです!
明日も楽しみにしてる

313 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/16(金) 22:31:12 ID:wdYv7nd9
兄貴GJ!
明日が楽しみだ!

314 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/16(金) 22:32:07 ID:wQrnOpQp
兄貴GJ!
とうとう来たか…

315 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 00:05:48 ID:ljY3MsB/
星屑や静かのような露伴はもういないのか・・・

316 :使い魔は引き籠り:2007/11/17(土) 00:13:48 ID:yFKdOAz5
暗チ続きで今日も不法投棄行きます。

317 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 00:15:11 ID:h3ks/B0z
暗チと聞いて暗黒チーズ?などと考える俺は多分睡眠が足りてない支援

318 :使い魔は引き籠り:2007/11/17(土) 00:16:21 ID:yFKdOAz5
まただ!またやりやがったんだ、オレはッ!
『マン・イン・ザ・ミラー』はいつだって最良なのに、それでもしくじるのは『オレが臆病だから』だッ
ジリジリ迫る焦躁に耐えきれず、逃げ出しやがった!
「耐えてみせる」と誓ったオレの覚悟は偽物だったんだ!畜生、畜生!


「もしかして、イルーゾォさん・・・ですか?」


オレは頭の芯がスーッと冷えて行くのを感じた。
名前が知られてる。ルイズには仲間が居た・・・・だが、だから何だ?
もう考える必要は無いだろう。この女に『見られた』、ならば『始末する。』それだけ。
女がスタンド使いだろうと何だろうと、この距離で首をカッ切るんじゃあ関係ない。
手慣れた作業だ。何十回と繰り返してる。『仕事』でとどめを刺すのはマン・イン・ザ・ミラーじゃあない、オレの役目・・・・

その瞬間はいつも、オレの瞳はきょろきょろするのをやめて、汗はスッと引き、心臓は静かに一定のリズムを刻む。
多分此所へ来てから、今が一番落ち着いている。
この行為は『呼吸』と同じだから。他人の命を摘み採ることは、オレにはどうしたって必要な事だからだ。
それに、『自分がやった殺人』に怯えるなんて、救いようのない腰ヌケ野郎のする事だぜ。そうだろ?
だから静かに、ナイフを取り出して・・・・一度で終わらす。『喉』だ、声も上げさせないッ!


「探してました、イルーゾォさん。早くッ!『こっちへ逃げるんです!』」


なッ・・・・?!
女は間髪入れずに『ナイフを取り出す』オレの手を掴む、ナイフごと!
当然手はサックリ切れて、女は痛みに顔を歪ませた。しかし『手は離さずに』、毟ろ力を込めて引っ張っている!
どういう事だ?何が起こった?別に殺しちまうなら今でもいいが、『逃げて』っていうのは何なんだ?!

オレは女に、物陰に連れ込まれてやった。他に人の気配はしなかったからだ。それに女は、でかい声を出そうとはしない。
「お、お前。オレを探していると・・・・」
「はい、探していました。イルーゾォさんを、『助けたくて』」

懐疑心を丸出しにしたオレを真直ぐに見つめて、彼女は言い直す。

「あなたの力になりたくて。」

319 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 00:18:31 ID:h3ks/B0z
支援

320 :使い魔は引き籠り:2007/11/17(土) 00:18:41 ID:yFKdOAz5
彼女はまず、私は平民です。と言った。『ルイズ達貴族とは違う』のだと。貴族だとか平民だとか、オレには良く分からないが
彼女は使用人そのものの衣服に身を包んで(そう、さっき「貴族様、ボタンを――――」って言っていたメイドと同じ服だ)
なんていうか、格差とか差別とか、そう言ったものを感じさせた。
それから、そう。自分は平民だからこそ、あなたを助けるんですよ、と念押しまでする。
確かにオレは貴族になった覚えはない。すると、平民って事になるのか?オレは?

オレはまだ、この女を信用しちゃあ居ない。一言一言搾り出す女の首筋を、『いつでも殺せるんだ』と思いながら冷めた目で見下ろしてる。

「平民は貴族に逆らってはいけません。これは当たり前の事で、私達も不満こそあれど、疑った事はありませんでした。」
「・・・・何故?不満なら抗えばいいじゃあないか。」(『オレ達』は、そうした。)
「出来ません!貴族の皆様のような『力』は私達にはありませんもの。何をしたって敵わないんです。
それにですね、出来たって、しません。私は此処の貴族様達のこと、好きですから。」

ふうん、これはつまり、『貴族』ってのは総じてスタンド使いで、『平民』はそうじゃあないと見ていい訳だな?
(でもオレは『平民』・・・・つまり貴族どもは全員、『生まれつき』だ。そういう奴も居るって聞いた。)
考えた事も無い・・・・イタリアじゃあ、こそこそしなきゃいけないのはスタンド使いの方だ。
鏡の中には世界がある!なんて言おうもんなら、間違なく頭の病院を勧められる。
だがどうやら此処は(何処だかは分からないが)逆らしい。スタンドの存在が認められ、スタンドの使えない一般人は家畜。
『そういう判断』をする選民気取りの下衆野郎はたまに居たが、国ぐるみで『そう』なのか・・・・
(オレ達のチームにそんな奴は居なかった。スタンド使いであろうと無かろうと、重要なのは『殺すかどうか』だ。)

オレは「人は皆平等であるべきだ!」なんて主張するほど聖人君子ではない。むしろ人間の『差』について、肯定的ですらある。
何故ならオレのスタンド『マン・イン・ザ・ミラー』は、そのあり方自体が『オレ』と『他人』を圧倒的に差別するからだ。
それだけじゃあない。オレのチームにはリーダーが居るし、オレの組織にはボスが居る。その『差』をなくしたら、組織は成り立たない。

だが。
『差』ってのは・・・・その・・・・どう言えばいい?下の奴が、上の奴を、尊敬できなくちゃあいけないと思うんだ。
自分より力が強いだとか頭がいいだとかって奴を『尊敬』するのが下の奴で――――
『尊敬できない』ならば、そこで『上の奴を乗り越える』義務が発生する。オレは、そう思っている。(黙って妬むだけの奴は根暗だ)
だからオレはリスクだらけの謀反に賛同した!『覚悟』をし、『死』まで体験したのはボスを尊敬できなかったからだ!
そしてそれとは反対に――――オレ達のチームが無事にボスを消し(今頃もう終わってるかもしれないな?)組織がオレ達の手に落ちて。
そんで、そんで何があっても絶対に・・・・リーダーのリゾットだけは、俺の『上』に居るべきだ。

321 :使い魔は引き籠り:2007/11/17(土) 00:19:46 ID:yFKdOAz5


「じゃあお前にとって『貴族』ってのは、やっぱりお前の上に居るべきなんだろう」
「え?は、はい。」
「じゃあ余計に判らないな。何でオレを助けたいんだ?裏切りか?」
「ち、違いますッ!そんな、裏切りだなんてそんな・・・・私はただ・・・・・」

女は目を伏せる。何と無くだが、彼女は嘘をついてはいない気がする。
彼女はオレと同じで、『格差』を肯定していて覆す気は無く、しかし――――


「あんまり酷すぎると思ったんです。いきなり呼び出して、有無を言わさず動物扱いなんて・・・・幾らなんでもおかしいです!
家族や友人が、居たんでしょう?そこに、そこに帰りたいって思うのは当然だと思います。
だからミス・ヴァリエールが『使い魔が逃げ出した』って言っていたのを聞いて、イルーゾォさんが『拒絶』を選択したのを知って・・・・
力になるべきだって思ったんです。同じ『平民』の、私が。他に誰が居るって言うんですか?」


小さく震える彼女から、『覚悟』を感じた。
逃がすわけでも、匿うわけでもなく『力になる』と言う漠然とした協力。ただそれだけでも・・・・
自分の無力を自覚するこのメイドは、強大な敵と戦う程の、強い『覚悟』をして行動に移した。

嬉しい?頼もしい?そんなんじゃない『温かい何か』が心臓の辺りからあふれ出して、全身を包む。
冷静に考えればメイドの娘の一人。スタンド使いでも何でもないただの女が一人味方についたところで、弾除け位にしかならないだろう。
それでもオレは!言うなればすぐ近くにチームの奴らが控えていて、『何も心配する事は無いんだぜ』と笑っているような、
そんな『安定感』みたいな物をひしひしと感じた。

鏡の世界には、いつだって『マン・イン・ザ・ミラー』がオレの側に居た。だから鏡の中はオレの世界だった。安心した。
そして今、外の世界に一人の味方が出来た。まだ名前も知らない女だ。
『鏡の外』は、敵しか居ないわけじゃない。
危険なばかりの場所じゃない。
此処へ来て初めて、初めて・・・・『外の世界』も、オレの世界になったんだ!


イタリアに帰って、仲間に「何してたんだ?」って聞かれたら、オレは迷わず答える。「天使に会ってきた。」
あいつ等は思う様オレを笑うだろうな。お前はスタンドからしてメルヘン趣味なんだよ、頭オカしいんじゃねーか?って。
それでも言うよ、オレは。だって間違いなく、『オレには天使に見えたんだから。』


「ど、どうしたんですかイルーゾォさん?!俯いて・・・・具合が悪いんですか?」
「なんでもない!ちょっと、アレだ。くらっとしただけだ。脱水症状で――――アンタ、名前は?」

天使の名は、シエスタと言った。

322 :使い魔は引き籠り:2007/11/17(土) 00:21:31 ID:yFKdOAz5
投下終了。
暗黒チーズに思いを馳せる鏡警備員。
シエスタ が なかまになった!コマンド?
=ア シチュー

323 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 00:21:33 ID:h3ks/B0z
支援

324 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 00:23:48 ID:alNxg7P1
食事のときなんか一番危ないんだから
もちろんシエスタを引き込んで中で料理をさせて二人っきりになるんだろ?

325 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 00:25:37 ID:wKr1W2Ya
GJ!鏡警備員・居る蔵に味方がッ!
あと前後の暗黒チィーズ吹いたw

326 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 00:30:34 ID:SmjR1KIV
乙!
何処を如何読んでもシエスタルート一直線だぜ!
まぁ一向に問題ないけどねっ!

しかしシエスタ凄い覚悟だなww
ここまでイルーゾォを落ち着かせるとは
神父の「覚悟は(ryもあながち間違って無かったのかも

327 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 00:31:24 ID:h3ks/B0z
乙!
さて主人ほっぽって女の子と話し込んでる様をルイズが見つけようものならマジで切れちゃう五秒前でもおかしくはないわけですが。
頑張れイルーゾォ
そういえばイカスミを使った黒いチーズなんてのも存在したなあ
リゾット・ネエロのネエロはイカスミのネエロだっけ
うーむメローネ(メロン)といいプロシュート(生ハム)といリゾット・ネエロ(イカスミ雑炊?)といい美味しそうでいかん
腹が減る

328 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 00:39:13 ID:wKr1W2Ya
一番美味しそうな名前の奴は誰だろうな?
俺は生ハム兄貴を推薦するが

329 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 00:42:44 ID:yFKdOAz5
イルーゾォだけなんだよな、食えない男。
甘党の自分は窒息死の人をプッシュ

330 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 00:52:40 ID:kOJ4EAFo
いや、リーダーも中々…
ペッシも魚料理なんだよな
いかん…遅いが飯にしよう。
>>326
ええ、うちも一直線です

331 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 00:58:41 ID:SmjR1KIV
>>330
「うちも」とは嬉しい事いってくれるじゃない
さぁ早く投下をして下さい!

332 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 01:02:28 ID:alNxg7P1
シエスタって乗馬できたっけ
料理も世話もなんでもしてくれるシエスタはイルーゾォにやるからルイズは俺が貰いますね

333 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 01:05:14 ID:kOJ4EAFo
>>331
実家からの逃走にどうやって絡ませるかちとねぇ…
グレフル使ったら大惨事だしどうしたもんか

334 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 01:06:57 ID:LorD7ZxI
>>332
SSでシエスタに乗馬させた俺涙目www

335 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 01:09:33 ID:x8Ql5hwU
>>332
お前とは決闘をしなくてはならないようだ

336 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 01:10:38 ID:ZA+uf4I9
アニメ一期でタルブに行く時乗ってなかったけ?

337 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 01:13:12 ID:alNxg7P1
>>335
私の妄想力は53万です
この妄想力でアルビオン艦隊タルブ奇襲までプロットできてるのに
やる気がないせいかまだまだかかりそうだから困る
いやあ今回のプンゲとディアボロが面白くてね!ハハハ!

338 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 01:13:52 ID:h3ks/B0z
>>332
ミューズは俺がいただいていきますね


339 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 01:15:51 ID:wKr1W2Ya
じゃあ俺はタバサを…

340 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 01:16:42 ID:DIZcbom0
俺…このSSが書きあがったら、エレオノール姉さまと結婚するんだ…

341 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 01:18:01 ID:BmJjWs9m
小説なんて生まれて一回も書いた事も無ければ書き方も知らないが、
妄想だけが頭の中で渦巻いてるって状態にあるのは俺だけか?

342 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 01:21:47 ID:7QTQec0C
シエスタの祖先の墓の一つに(烏賊墨雑炊か生ハム兄貴の)イタリア語で書かれた墓標が有りそう。

343 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 01:22:07 ID:SmjR1KIV
>>341
大丈夫、俺も一緒だ。

皆が他の相手ばっかりだから
俺がちぃ姉さまの看病するね

344 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 01:29:37 ID:9SIKId7X
みんな忘れてるんで一年生のケティを貰っていきますね。

時に誰か逆に考えちゃって三部の家出少女がルイズだったらって書いてくれないかな〜って言ってみたりして……ハハ

345 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 01:32:49 ID:alNxg7P1
むしろ承太郎に取り付いた悪霊がルイズで

346 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 01:41:00 ID:7QTQec0C
吉良吉影のスタンドがルイズだろ。

347 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 03:37:58 ID:ruACNuiX
こうか


吉影「おいィ――ッ!『ルイズ』ッ!テメーなんでまた手まで爆破しちまうんだよッ!」

ルイズ「う、うるさいわね!私だってやりたくてやってるわけじゃ…」

吉影「それならもうちょっと学習しろォッ!精密動作性いくつだおまえはッ!」

ルイズ「うるさいうるさいうるさい!ホラそんな騒いでたら見つかっちゃうわよ!」

吉影「俺は叫んでても声量は落としてるだろがァァァ!お前のが万倍五月蝿いんだよ!」

ルイズ「私は普通の人には見えないでしょ!?」

吉影「だ!か!ら!見えるヤツがこれからも現れねーとは限らねーだろうがッ!こないだの『重ちー』とかいうガキみたいにッ!」

ルイズ「そんなのそうそういないわよ!大体なんで他の女の手なんか…切り取られるのは嫌だけど見たりするだけなら…ブツブツ」

吉影「ん?何か文句があるのか?」

ルイズ「ななななななななんでもないわよ!バカ!」



康一「(……なんであいつら今まで捕まらなかったんだろうか)」

承り「(近距離型のスタンド…パワーは高いが精密動作性は低くツンデレ気味。おれと同じタイプのスタンドだな)」

仗助「(ビックリするくらい冷静ッスね承太郎さん)」

承り「(…自分のスタンドで慣れてるんでな)」

シャナ「(ほら!見つけたんだから躊躇してないで行くわよ!)」


348 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 03:42:17 ID:oIROZk53
>>347
承りwww

349 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 03:57:11 ID:y1NTP9qr
ハンバーグ頭は神楽だな

350 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 04:01:08 ID:ruURmygo
吉影「ルイズ・クイーン!」

351 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 06:47:35 ID:eyG9KEX2
これは斬新だなw
しかしツンデレ気味のスタープラチナって何だ。

352 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 06:51:05 ID:oBxY7Sdx
クイーン・ルイズ
スター・トモガラ?シャナプラチナ?ダサいが言い易いっちゃあ言い易いw

353 :アンリエッタ+康一 ◆3D2JBRgybs :2007/11/17(土) 08:40:42 ID:v99JabKI
45分から短いですが投下します

354 :アンリエッタ+康一 ◆3D2JBRgybs :2007/11/17(土) 08:45:27 ID:v99JabKI
マザリーニは舞踏会の会場を駆け足で去った。
その内では思考が静かに、激しく渦巻き、新しく見つけた可能性を客観的に考察している。
そして考察が深まれば深まるほどに、自分の考えの正しさが立証されてゆく。
広間を出て、廊下を駆けるときでも思考は止まらない。

そんなバタバタと、慌しく駆ける彼の背中に声が掛かった。
「マザリーニさーんッ!」
ハッとして振り向くと、そこには敬愛する姫殿下の使い魔が自分を追いかけて走る姿。
「コーイチ殿!」

康一は多少息を切らして、マザリーニの元に駆け寄ってきた。
「コーイチ殿、何故ここに?それにアニエス殿はどうされました?」
康一がどうして同行しているはずのアニエスを連れずに自分の元に来たのか。
そもそも突発的な行動をしている自分の居場所を見つけられたのかを尋ねるマザリーニ。

少し息を落ち着かせた康一は答えた。
「いやぁ、何か僕の能力でそこらへん見回ってたら、マザリーニさんがスゴイ勢いで広間から飛び出て行くのを見ちゃって。
それで何かあったんじゃあないかと思って、アニエスさんに言ったら『ここはいいから、お前は様子を見にいってみろ』、
なんて言われたんでマザリーニさんを追いかけて来たんです」

なるほど。確かに広間の警備に当たっている彼が、自分の酷く慌てた姿を捉えたなら、追いかけてくるのは必然だろう。
アニエスも自らは広間の方に残り、康一を様子見に向かわせたのは悪くない判断だ。
ここまで考えたマザリーニは、まずどう答えるべきなのかと思う。
しかし今は時間が惜しい。ここは言葉より行動が第一。
「申し訳ありませぬが、コーイチ殿。今から資料庫へ向かわねばなりません。一緒に来ていただけますか?」

マザリーニの強い意思を感じさせる瞳。
普段の状況なら若干の迷いを持つであろう康一だが、その瞳にある力強さを感じ取って躊躇いも迷いも無く即決。
「じゃあ、行きながら何があったのか教えてくださいね」
康一の判断の早さに少々の満足感を得つつ、マザリーニは再び廊下を走る。
それ追随して康一も走り出し、並走。二人は城の奥深くの資料庫を目指す。

355 :アンリエッタ+康一 ◆3D2JBRgybs :2007/11/17(土) 08:50:37 ID:v99JabKI


「一体なんだったのかしら?」
エレオノールは広間と廊下を繋ぐ扉を見つめながら呟いた。
先ほど酷く慌てた様子のマザリーニが広間から出て行ったのを、彼女はジッと見送っていたのだ。
一国の宰相があれほど慌てるような事態とは一体なんであろう?

聡明なエレオノールはどんな事であれ、それは相当な事態であるだろうと察した。
あのヤリ手の宰相の行動が、それをまざまざと物語っている。
フトして、エレオノールは思いついたように広間を見渡す。

ダンスをしている者、食事をしている者、集まって歓談している者達。
それぞれ自分達の方に目が向いてしまっていて、誰も廊下などに目を向けてはいない。
つまりこの場にいる、ほぼ全員がマザリーニが出て行った事に気付いていない。
もしくは気付いてはいるが、その事を気にも留めていないという事になる。

もちろん自分はたまたまマザリーニの行動に気が付いただけで、他の者が何をしていようが構わないが、
この舞踏会に集まる主だった貴族たちが誰一人それに気付かないとは、色々な意味でさすがに如何なものだろうかと思った。
どうしたものだろう。何かこの国にとって不都合な事態が起きたのかもしれぬ。そう考えた時、彼女の心は決まる。
エレオノールは国に忠義を尽くす者の一員としての行動を取った。

まず手に持ったワイングラスのワインを優雅に飲み干す。
そして彼女は歩き出し、途中進路にいた給仕にワイングラスを預けて更に進む。
行き先は、先ほどマザリーニが出て行った広間の外の廊下。
何事も無いやもしれない。だが、何かがあるのかもしれない。

ならば行かねば貴族の誇りを汚すこととなるだろう。それだけは何があろうと許せる事ではない。
彼女の人生が根底に築いてしまった、一方的ともいえる心がそれを欲する。
エレオノールはその心の欲するままに従い行動する。
それが自分の貴族の在り方であるが故に。

356 :アンリエッタ+康一 ◆3D2JBRgybs :2007/11/17(土) 08:52:17 ID:v99JabKI


マザリーニと康一、そしてエレオノールの行動と時を同じくして一つ、城の地下で動きがあった。
城の地下。それはワインの貯蔵庫だったり、物置として使われる事が多い。
動きがあったのはその物置の中の一つ。但し置いている物の内容は、人である。

城の獄に繋がれた犯罪者は物として扱われる。
それは重大な事件を起こした犯罪者ばかりが集められるからだ。
そして現在、この牢獄に収監されているのは三つ。
先日に康一達と対峙して敗れ、ブチ込まれたメイジの三人だ。

当然ながら城の地下にある牢獄ともなると警備も厳重。
たとえメイジだろうと、杖なくして脱出する事は到底不可能だ。
つまり逆に言い換えると、メイジに杖さえあれば牢破りは可能という事になる。
それが中からでも、外からでさえも。

とりあえず牢破りは、あっさりとしすぎるほど簡単に済んだ。
見張りの衛士は「眠りの雲」で眠りに落ちて、その衛士が持っていた牢獄の鍵は楽に奪われる。
中からの魔法の攻撃はあり得ない、とタカをくくっていたツケがこれだ、とは言わない。
さすがの衛士も中からではなく、外から牢破りが現われるとは思いもしなかっただろう。

外。つまり城の内部に牢破りが現われたという意味である。
そんな尊大なマネができるのは、よほどのバカか、よほどの名うて。
そして今回は後者の方であったらしい。それほど手並みは鮮やかだった。
ところで、牢破りの目的とは一体なんだろうか?

それは罪人がよほど大切なのか、よほど牢破りにとって不都合な状況になる可能性があるという事。
つまり尋問を受けた罪人が何かを吐けば、その言葉から牢破りに繋がる可能性が出てくる事になる。
その不都合を打ち消す為に牢破りをした者は、力ずくで状況を打破する。
つまるところ、罪人の暗殺。しかし今回の牢破りは暗殺が目的ではなかった。

もちろん別に情けをかけようって訳じゃあない。
状況はもっと悪い方に動き始めている。もう、止めることは出来ない。
これが今から起こる、苦しい夜の本当の幕開けだった。

357 :アンリエッタ+康一 ◆3D2JBRgybs :2007/11/17(土) 08:56:46 ID:v99JabKI
投下完了、ほんとに短くて申し訳ありませんが今回はここまでです
そして一週間程かけてこの短さは、レンタルしてきたアニメを通して見ていたせい
正直もうちょっとペース配分考えて書けばよかったと後悔してます…
本気で仮面ルイズやいぬっの方のスピードとか質には憧れます

358 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 10:35:42 ID:P++rQZmw
まずはGJ!
これからイイ感じにエレ姉がスタンドVS魔法のバトルに巻き込まれそうでwktkですよ!

359 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 13:01:52 ID:wKr1W2Ya
アン康一GJっしたー!
誰だ!?牢破りって!
>>347
ちょwwwwww
でも性質あってるよな
シャナは封絶=世界と空間を切り離す=時を止める
ルイズは爆発で

360 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 13:08:19 ID:VIjvDO68
GJ!ヤバい佳境へIN!

361 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 14:17:36 ID:nRAtJh1F
シャナあまり知らない俺にとっては承りよりアヴドゥルさんのほうがと思ってしまう

362 :風と虚無と使い魔 ◆/4V68E5Ojg :2007/11/17(土) 14:45:30 ID:qDIBG4Tv
ある日の食堂

兄貴ィ〜〜 もう駄目だァ〜〜
まだわかんねーのかバンビーノのバンビ!
いいかッ!俺が怒ってるのはてめーの心の弱さなんだバンビ!
そりゃあ確かにイキナリ「接客」にぶっ飛ばされたんだ
衝撃を受けるのが当然だ!最高のイタリア料理人になるために来たんだからな!

だが!オレたちの食堂の他のヤツならッ!
あともうちょっとで、コックに食らいつけるって「情熱」を決して解除したりはしねえッ!
たとえ腕を飛ばされようが、脚をもがれようともなッ!

わかったよ、プロシュート兄ィ!!
兄貴の覚悟が!「言葉」でなく「心」で理解できた!

野上さんと会った時は、兄貴ッ!
すでに接客は始まっているんだね!


ワムウ投下します

363 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 14:47:27 ID:qDIBG4Tv
「諸君、私は料理が好きだ…むにゃむにゃ…」
「おい、起きろ」

へんじがない。ただのねむいひとのようだ。

「おい、起きろ」
二回目のコール。しかしやはり、返事は無い。

無言で管から作った空気の渦を、枕もとに飛ばす。
ルイズはその衝撃で目を覚まし、ワムウを睨みつける。

「あんた!あれほどいったでしょ!また枕一つダメにして!」
無残な枕だったものをワムウにぶつける。

「朝早く起こせといったのはお前だろう、シエスタと出かけるんじゃなかったのか?」
「そうよ!何でそれを早く言わないのよ、さっさと着替えさせなさ…あんたに期待したら服がいくつあっても
足りなかったわね……ああ、もうあんたは出かける準備しときなさい」

昨夜に服を片付けさせようとして引きちぎられていたルイズはワムウの家事能力について大分理解してきていた。

「俺も行くのか?」
「ああ、あんたは昨日の夕食のときいつのまにか居なくなってたわね。あの超絶的ダイナマイト一食爆発的雑味えぐ味ゼロ的
格別デザート的天使的至高快感的今世紀最大的料理人のマルトーさんの料理を楽しまなかったなんて始祖ブリミルから天罰が
下ってもおかしくないわ。今思い出してもヨダレずびっ!だわ!歯が飛び出たりしたときはびっくりしたけど」
昨日の回想に浸り始めるルイズ。
ワムウは無視して質問を続ける。

「だからなぜ俺もいくんだ?お前らは湖に行くんだろう?危険があるにしても俺を頼るな」
「違うわよ、昨日シエスタに急な用事が入って街に行かなくちゃいけなくなったから、一緒にいくことにしたの。
あんたも私の使い魔になった以上、この辺の地理とか常識をしっておいてもいいでしょ?」
「別に地理や常識などに興味は無いが、こちらの世界の武器は気になるな。戦闘はやはり魔法主体なのか?」
「前線に出てくるメイジなんて数が知れてるから、武器くらいあるわよ。むしろ魔法で武器を強化しているからあんたの
ところのなんかよりたぶんずっと強力よ!あんたんとこに錆びない剣だの喋るグラブなんてなかったでしょ?」

ワムウは少し考え、承諾した。

「わかったなら荷物でもまとめときなさい、使い魔なんだから荷物もちくらいしなさいよ、それくらいできるでしょ?」
ルイズは財布となにかがいくつか入っているカバンを指差した。

 * * *

「あら、待たせちゃった?」
既に三頭、馬が校門の外につながれていた。
「い、いえ、そんな滅相も無い!」

待たせたという言葉に過剰反応するシエスタを見てフフフと笑う。

「でもいいんですか?私だって馬車なら操れますよ?わざわざ一人一頭乗馬でいかれるなんて…」
「たった3人で街行くだけなのに馬車なんか一々出してどうするのよ、これでも私乗馬は特技なのよ?
心配するならこいつが馬に乗れるかどうかの方を心配したほうがいいわ、あんた乗馬経験あるってほんとのほんとよね?」
「ああ、何度かな。もっとも、普通の馬ではないが」
「そんなことだろうと思ったわ。とりあえずあんたでも乗れそうな一番でかい馬を頼んだけど…シエスタ、私の馬はどれ?」
「えーと、ルイズさんの馬はそこのヴァルキリーっていう馬で、私の馬はその鹿毛の馬で名前はストライクイーグル
だそうです。ワタライ牧場生産って書いてありますけど…シズナイってどこだか知ってます?」
「うーん、聞いたこと無いわね」
「そうですか、私も聞いたことないと思ったらどうやら東方生まれらしくて…ちょっと怖いです」
「大丈夫よ、馬に東も西もないわよ。それで、ワムウのは?」
「えーと、もうすぐ来るみたいで……あ、来ました!」

364 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 14:48:28 ID:qDIBG4Tv
ズシン、ズシンと重々しいを立てて、巨大な黒い馬がやってきた。
「…ほんとに、これ馬?」
ルイズがポカンと口をあけて馬を連れてきた人に尋ねる。
「ええ、気性が荒すぎてこの世話をできるのはあっし一人だけなんで止めたんですが…」
御者は語尾を濁す。

ワムウが前に出て、馬に近寄る。
「あ、あんたもかなりでかいですなあ」

そして、ワムウは首に手を当てる。
唸っていた馬が急に静まる。

「あれ?大人しくなったわ?」
「この馬でいい、出発するぞ」
ワムウは巨馬にまたがり、馬は歩み始めた。
「ちょ、ちょっと!待ちなさいよ!ほら、シエスタも乗って乗って!」

 * * *

虚無の曜日。なにげなく外を見ていたキュルケがワムウとルイズと一人のメイドが出かけようとしているのを見つける。
キュルケは部屋を飛び出した。

鍵のかかっている部屋を無理やり『アンロック』であける。
部屋の主にサイレントをかけられるが、相手も根負けしてサイレントを解く。

「タバサ、今から出かけるわよ!早く支度をしてシルフィードを呼び出して!」
「虚無の曜日」
反論の意を示されるが、そんなことは知ったことではない。

「あんたにとって虚無の曜日はどういう物かわかってるけど緊急事態よ!エマージェンシーよ!スクランブルよ!」
しかしタバサは首を振る。

「あのゼロのルイズの使い魔とルイズとメイドが出かけたのよ!たぶん誰もいない森の中で二人を丸呑みするに
違いないわ!早く追いかけないと!」
「ルイズが、心配?」
「ち、違うわよ!学院から人死にが出るのが嫌なだけよ!あんたのシルフィードじゃなきゃ追いつかないんだから!」
しょうがないか、と言わんばかりにうなずき、窓の外に向かって口笛を鳴らす。

 * * *

「へー、シエスタはタルブの村の出身なんだ、どんなところなの?」
「自然に囲まれてて、すごい綺麗なところですよ。田舎って言われればそれまでですけどね」
シエスタはえへへと笑う。
「そんなところなんだ、一度いってみたいわね。どれくらいの距離なの?」
「馬で数日くらいかかると思いますよ、だからあんまり頻繁に帰れなくて送金とかは街で頼まないといけなくて…
今日もそれの手続きが急に入ってしまって……」
「その年で家計を支えてるんだ、やっぱりすごいわねシエスタは。私には考えられないわ」
「そんな、貴族と平民では生活も変わりますから、それが当然ですよ。ルイズさん達は将来立派な貴族になるために
ここで学んでいるんですから。それを私たちが支えられるっていうのは私にとっても嬉しいですよ…あ、街が見えてきましたよ!」

町の入り口にある馬停所に馬を止め、シエスタは少し時間がかかるということで少しの間別行動ということにした。

「ルイズさんは寄るところあります?」
「そうねえ、特に無いけど……そういえばワムウが武器を見たいって言ってたわね、そこの武器屋で待ってるわ」
「はい、わかりました。大体15分もあればいけると思います」

といってシエスタは街の中心部に歩き出した。

「さ、ワムウ行くわよ」
ルイズは武器屋の扉を開ける。

365 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 14:49:32 ID:qDIBG4Tv
「いらっしゃいませ……おやおや、貴族様ですか、いったいなんの御用で?」
髭を生やした三十後半から四十歳台くらいの店主が声をかけてくる。客はいないようだ。

「こいつが武器に興味があるらしくて」
「おや、そうですか。色々と揃えておりますよ、もちろん冷やかしでも構いませんよ。どんな武器をご所望で?」
「そうだな、こちらの世界の武器をあまり知らんからな、オードソックスな奴を見せてくれ」
「オードソックスな武器ですか、コレクションを披露できなくて残念ですな。世界の妖しげな武器を集めるのが趣味の一つでしてね、
こうして趣味が高じて武器屋をやっているわけですが……」
「どんな武器があるのよ?」
ルイズが口を挟む。
「人心を操る剣はもちろん、刃物付帽子、妖怪を封じていた槍、三方向に攻撃する妖刀……珍しいところでは正義の算盤や
八岐大蛇の尾から取り出した剣、こんにゃく以外ならなんでも切れる剣などなんでもありますよ……お値段は張りますがね」
「いくらくらいなのよ?」
「ピンキリですが、私のコレクションは端金じゃ売れませんな。正義の算盤なら五千エキューというところでしょうか」
「高すぎるわよ!何年遊んで暮らせるのよそれ!」
「もちろん買われなくても結構です…コレクションを売るとしたらそれくらいは必要、という例えですよ」

店の棚を物色しているワムウが手を止める。
「これは…剣はあまり詳しくないが素晴らしいな」
「お客さん、お目が高い。それは東方のニッポーネというあの技術立国で作られた名剣でございます…それを作った
剣職人はあの有名なホンダソウイチロウでして…コレクションではありませんが名剣には間違いないですな」
「いくらだ?」
「三千エキューですな、新金貨なら四千五百で」
「エキューというと、この金貨か?」
「ええ、それが三千枚です」
「ちょっとワムウ、あんた、何に手出してるのよ!いっとくけど私は剣に五百エキュー以上払う気はないわよ」
「俺の金を使う。なにぶん臨時収入があったんでな、だがさすがに三千はない」
「ふむ、それは残念ですな……ですがお客様はわかってらっしゃる…普通の人間とはオーラが違うようですし……
そうですな、私の趣味の一つはコレクションと言いましたがね…私はギャンブルにも目が無くてね、どうです?
その剣を賭けて私とギャンブルでもいかがでしょうか?」

その提案にルイズがそんなの認められない、とばかりに
「ギャンブルなんて無理よ!負けたとき三千エキュー払え、なんていわれても私は嫌よ!」
反論するが
「負けたときに金はいりません…私は生まれついての『賭け師(ギャンブラー)』!私はあなた達のような『魂』を
集めるのがコレクションで…もっとも『魂』を集めると言うのは比喩のような物だと思って構いません…
ギャンブルは精神と精神の戦い!いわばギャンブラーは戦士!勝利したときには相手の魂を得るといっても過言ではありません
さあ!あなたがギャンブルを受けると言うのならば!『魂を賭ける』とおっしゃってください」
「いいだろう、魂を賭けよう」
ワムウは即答する。

「グッド!お名前はなんといいます?…おっと、名前を尋ねるならばこちらから名乗らなければ…私の名前は
『ダニエル・J・ダービー』と申します……」
「ワムウだ」
「ワムウ様ですか、いいお名前ですな」

鈴の音が鳴り、外の風が入ってくる。
「あっ、シエスタ、用事は終わったの…ってなんでキュルケ達までいるのよ!」
「あんたが食われるかどうか見物に来たのよ!でもあんたアホじゃないの?その使い魔のために武器屋に
寄るなんて盗人に追い銭どころか強盗に拳銃よ!なに考えてるのよ!」
「別に買うわけじゃないつもりだったけど……なんか変なことに巻き込まれそうでね」

店主がキュルケに話し掛けてくる。
「いらっしゃいませ……その通り、少々取り込み中でね、注文をするなら後にしていただけますかな?」
キュルケは怪訝な顔をする。

「なにをする気なのよ?」
ルイズが説明をする。

366 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 14:50:27 ID:iqlWxTaG
 

367 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 14:50:32 ID:qDIBG4Tv
「ギャンブルだって…勝ったらそこのホンダなんとかの剣を貰えるんだって」
それを聞いてキュルケは顔を変える。

「ホンダって…あのホンダ?ゲルマニアでもあんな剣は作れないわよ!店主、私もそれに乗せなさい!」
「いいでしょう…しかし2人というのは中途半端ですな……せっかくですから、5人乗りませんかね?
聞けばその男性は使い魔とおっしゃる……使い魔と主人は一心同体…乗るならば『魂を賭ける』とコールしてください」
「仕方ないわね、私も乗るわよ『魂を賭けるわ』」
「ルイズさんが乗ると言うなら私も…『魂を賭けます』」
「私も『魂を賭けるわ』、タバサはどうするの?」
「ギャンブルなら少しは慣れてる…『魂を賭ける』」
「グッド!5人揃いましたな!では、準備してくるので少々お待ちを…」

ダービーは中に去っていく。

キュルケが尋ねる。
「ギャンブルって、何するのよ」
「知らないわよ」
「はあ?何するかもわからないのに受けたの?バカじゃないの?」
「あんたも同じでしょ」

いがみ合っている間に、ダービーが戻ってくる。
「お待たせしました…四人ならば麻雀やトランプなどもいいですが…説明がまどろっこしいのは避けたいところです…
そこで、こんなものを用意しました」

ダービーが持ってきたのはテーブルと、12枚のカード。
「名づけるならば…『限定ジャンケン』!」

「なによ、その限定ジャンケンって。ジャンケンは知ってるけど」
「その通り、普通のジャンケンを知っていれば誰でもわかるゲームです…しかし少し説明の時間を頂こう。
この6枚のカードをどうぞ」

それらには『グー』『チョキ』『パー』とその絵柄が書かれていた。同じカードが二枚ずつある。
「ご存知の通り、このカードでジャンケンをして頂きます…カードの数と内訳は私も貴方達も同じです…
これで、『5回』ジャンケンをしていただきます」
「普通のジャンケンとはどう違うのよ?」
「一度使ったカードはもう二度と使えません…ですから最終的に一枚だけ余る、ということです」
「余ったカードはどうするの?」
「カードを余らせるというのは、最後のジャンケンで両者残り1枚、勝ち負けがわかっているという状況を避けるため
です。やる前から勝負が決まっている勝負ほど興が削がれるものはありませんからな」

そしてチップを十枚、袋から出してくる。
「これを五枚、貴方達に渡します…一枚が魂一つと考えてください……私のチップも五枚、ただし私の魂が一枚、
残りの四枚があの剣の分です。終わった時にこの剣のチップが一枚でもそちらにあれば潔く渡しましょう」

受け取ったチップには一人一人の似顔絵が描かれていた。

「説明が長くなりましたな…では始めましょう。最初は誰です?」
「俺が行かせて貰おう」
ワムウがテーブルの前に立つ。
「グッド!あなたの出すカードが決まったら裏にしてテーブルに置いてください…両方が置いたら一斉にめくります。
私は……そうですな、最初は武器屋ですからな、刃物を意味するチョキにすることにしましょう」
ダービーが揺さぶってくる。

が、ワムウはポーカーフェイスを崩さない。
「そうか、では俺はこれでいこう」
ワムウはカードを伏せ、自分のチップを横に置く。それに応じてダービーも裏のカードとチップを置く。
「では…オープン!」

368 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 14:51:44 ID:qDIBG4Tv
ダービーが出したのは……『パー』。
それに対して、ワムウが出したのは……『グー』!

「MOOWWWWW!!貴様、騙したな!」
「言ったでしょう、ギャンブルとは戦い、戦場で後ろから刺されたと言っても文句をいえる相手はいませんよ」
「そうよワムウ、あんた単純すぎるのよ!あんなの信じるほうがバカなのよ!次は私がやるわ!」
「グッド!では次は今勝ちましたし…ゲンのいい『パー』にしましょうか…」

ルイズは不適に笑う。
「フフ、ワムウには通じたかもしれないけれど、私には通用しないわよ?」
そうして笑みを残しながら裏のカードとチップを置く。
「そうですか…そんな相手と戦えるとはギャンブラー冥利につきますな、では私はワムウを賭けましょう」
同じくチップとカードをテーブルに置く。
「では……オープン!」

ルイズが出したのは…またもや『グー』

それに対してダービーは………
『パー』!

「ニ勝目とは幸先がいいですな……では『ルイズ』も頂きましょう」
「そ、そんな…」
愕然とするルイズにワムウが文句を言う。
「お前はひねくれすぎている」

「二連敗しているというのにずいぶんと余裕ですな、皆様。魂を賭けていると言うのに…」
ダービーはニヤリと笑い、続ける…
「私、一つ嘘を言っていましてね…『魂』を集めると言うのは比喩のような物だと言いましたが…
実は比喩ではありません…生まれながらの能力で…私は『オシリス神』と呼んでいますが…
私の能力は『負けを認めた相手の魂を文字通り奪い取る』!そのチップはいわばあなたの魂そのものなんですよ!
もし、あなた達が負けたら…私のコレクションとなってもらいます」

ダービーはアタッシュケースを開ける。
そこには顔のついたコインが並んでいた。
「これはリチミエミエ…四暗刻のミエと自称していましたが大した事はなかった…これはヤマサキカズオと言ってね…
隣にいたリエコというのは敵ではありませんでしたが、このカズオは実に強かった!実際負けそうになりましたからね…
さて、このコレクションにメイジと使い魔が増えると言うのも実にいい!では続けましょうか…」

負けても特にデメリットはない、と思っていた彼らの空気が凍りつく。
「ちょっと!騙したの!」
「そんな人聞きの悪い、あなたたちは『魂を賭ける』と言ったはずです。負けても何も失わないなんてギャンブルではない!」
「そんなに言うなら次は私が…」

369 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 14:51:49 ID:ekB6Xyly
グッド!!な支援

370 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 14:52:44 ID:qDIBG4Tv
キュルケが行こうとするが、それを制してタバサが前に出る。
「キュルケは熱くなってる。熱くなったら負け」
「ほう、なかなか歯ごたえのありそうな相手がでてきましたな」
「ダービー、あなたは嘘をもう一つついている」
タバサは杖を振る。ダービーの後ろの壁が凍りつく。

「イカサマは認めない」
「ほう、なんのことやら…」
ダービーは表情を崩さない。
タバサは自分たちのカードを見せる。
「グーとチョキの右上の角に切り込みが入っている。グーは1つ、チョキは2つ」
ダービーはニヤリと笑う。
「よく気づきましたな、ここからが本当の勝負と言うわけですな」

ルイズが喚く。
「ちょっと!イカサマしてたなんんて卑怯よ!」
「なにをおっしゃる…イカサマを見抜けなかったのは見抜けない人間の敗北なのです…
私はね、賭けとは人間関係と同じ……騙し合いの関係と考えています。泣いた人間の敗北なのですよ」

イカサマを見破られたと言うのにその態度は変わらない。
そして新品のカードの入った箱を取り出す。
「これは見ればわかるようにまだ未開封、あなた達が開けて調べてもらって構いません。なんなら魔法でも」
といってタバサにそれを渡そうとする。
しかしそれを受け取らない。
「別に調べない。ただイカサマをしていたんだから次からは貴方から先にカードを出してもらう…
それと、私たちが魂を取り返せなかったらもう一戦受けてもらう」
「グッド!では再開しましょうか!」

現在のタバサのカード チョキ チョキ パー パー
現在のダービーのカード グー グー チョキ チョキ

 * * *

こんな小娘にイカサマがバレるとは思っていなかったが…なかなか面白くなってきた!
二勝先行した以上チョキを二回出しグーを出せばこちらの勝利は確定している…が、
こいつらの魂を剥げるだけ剥ぐのも面白い!残り三戦、全勝するのも悪くは無い!
さすがに前のバカどもと違い、こちらのカードがチョキを出せば負けないくらいはわかっているはず…
その裏をかいて!ここは『グー』を出す!

「ふふ、私は『ワムウ』を賭けましょう、セット…」
「セット」
両者のカードが揃う。

「では…オープン!」

371 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 14:53:48 ID:qDIBG4Tv

タバサのカードは……
『パー』!


「一勝」
「ほう、なかなかやりますな、しかし私がまだ一勝残っている…そちらが全て取り返すのは難しいのでは?」
「次につなげる」
「ふふ、それもいいでしょう」


あそこでパーを出すとはなかなか図太い…図太いがギャンブルには繊細さ、臆病さも必要…
次何がくるかわからん…様子見にここは『チョキ』!図太すぎるならばここで落ちる!

「今度はルイズを賭けましょう……ではセット!」
「セット」
タバサもカードを置く。

「オープン!」
カードが開かれる。


タバサのカードはチョキ。あいこである。

「一勝一分け」
「次でラストですな、そちらのカードはチョキとパー、こちらはグーとチョキ…なかなか面白くなってまいりましたな」


ここでチョキを出してくると読んでくるとは…こいつ、ギャンブルに慣れているな……だが、それならばむしろ
読みやすい…下手な勝負に出てくる素人より、勝負の理由のある経験者のほうが読みやすい…
次につなげると言っていた以上、ここで奴は負けるわけにはいかんだろう……
ここは!勝負に出る!

「もう一度『ルイズ』を賭ける!セット!」
「セット」


全員が緊張する。

372 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 14:54:49 ID:qDIBG4Tv

「オープン!」


ダービーは『グー』!

それに対しタバサは………

『パー』!


「二勝二敗。引き分け」
「ここでパーを出してくるとは、なかなかのギャンブラー…気に入った!あの剣はあげれんが…そうだな、
健闘賞というところか、ワムウでしたな、この剣を二百エキューでお譲りしましょう」

そういって錆びた剣を棚から出してくる。
「なによ、このボロ剣」
「てめえダービー!なにが残念賞だ!そこの娘っ子もなにがボロ剣だ!誰がお前らなんかに使われてやるもんかい!」

ルイズが少し驚く。
「これってインテリジェンスソード?」
「そのとおりです…少々珍しいので集めたのですが、雰囲気が妖刀魔剣からは遠いものでしてね、お譲りいたしましょう」

ワムウは剣を握る。
「おどれーた。てめー使い手か。前言撤回だ、俺を使いやがれ」
「譲ると言うんだから貰っておこう、二百エキューだったな」

ワムウは金貨をテーブルに置く。
「まいどありがとうございます、どうぞごひいきに…ギャンブルはいつでもお受けしますよ」
「もう勘弁よ」
ルイズ達は出て行った。


「…それにしてもタバサ、あんた結構図太いわね」
キュルケが呆れたように言う。
「見抜けない人間の敗北。自分で言っていた」
「ま、さすが雪風のタバサよね」

イカサマを見破ったときに出した氷。
ただの氷ではなく光を反射しやすくした氷だった。
その氷を鏡にしてダービーのカードを覗き込んでいたのだ!
渡されたカードを確かめなかった理由もその氷が溶ける前に勝負を終わらせたかったからだ。

「黒い壁だったからやりやすかった」

ルイズが背を伸ばす。
「あーもう疲れちゃったわ。シエスタ、こんなことに巻き込ませてごめんね。どっか行くところある?」
「そうですね…お昼にでもしませんか?」
「あら、いいわね」
「あたしがいい店知ってるわよ」
キュルケが口を挟む。

今日のトリステインは平和であった。

373 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 14:55:58 ID:qDIBG4Tv
投下終了。
ワムウー!倍値、倍値!

374 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 15:01:44 ID:xQ3XhIcJ
カイジww
つーか何でダービーがいるんだww

375 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 15:04:18 ID:qDIBG4Tv
>>374
あれはたまたまダービーと同じ名前で似た顔で同じスタンドを持ってるだけの人で
もちろんトリステイン生まれです
そういうことにしておいてください

ってか途中から鳥外れてた まあいいや

376 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 15:13:40 ID:ekB6Xyly
GJ!!
ダービー何気にぼったくってるwww

377 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 15:16:40 ID:l59QoGdS
おお、なんというじゃじゃ馬グルーミンUP・・・・・・

378 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 15:17:51 ID:H3IMzEFv
GJ!妖刀カマイタチやら草薙剣やら斬鉄剣やら自重wwww

379 :ゼロいぬっ!:2007/11/17(土) 15:26:46 ID:FnMsHq+w
GJ! かなりシリアスに入ってしまった身としてはギャグが眩しく映る。
とりあえず区切りのいい所まで書けたので35分から投下して構いませんねッ!?

380 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 15:27:27 ID:qDIBG4Tv
ようこそ…投下の世界へ…

381 :ゼロいぬっ!:2007/11/17(土) 15:35:51 ID:FnMsHq+w

ニューカッスル城の客室では一人の男性が軟禁されていた。
彼は『マリー・ガラント』号の船長であり、船と共にここまで曳航されて来たのだ。
海賊の正体が王党派と知り、安堵と共に別の恐怖が込み上げる。
彼が取引していたのは優勢であった貴族派の連中だ。
だが別に彼等の味方ではないし、王党派が有利だったらそっちに売るつもりだった。
それでも理由がどうあろうと王党派にとっては完全な利敵行為だ。
他の交易船が易々と来れないよう脅す為に、
見せしめとして皆殺しにされ首を晒されるかもしれない。
惨状を想像して震える彼の前に一人の青年が現れた。
最初は貴族でもない使い走りか何かだと思っていた船長に、彼は自ら名乗ってみせた。
“アルビオン王国国王ウェールズ・テューダーだ”と。

「……………」
船長の目が驚愕に見開かれる。
一介の捕虜に過ぎない自分に国王自ら出向くなど考えられない。
だが現にこうしてウェールズはそこにいた。
そして非戦闘員の脱出船として『マリー・ガラント』号を使わせて欲しいと、
彼に提案を持ちかけてきたのだ。
それも脅迫ではなく対等な商談として。
「積荷の硫黄の代金と我が臣民の移送費は後日必ず支払う。
それまではこれを担保として預かって貰いたい」
そう言って差し出したのはアルビオンに伝わる国宝『風のルビー』。
城の内装を見ればどれほど窮しているか一目で判る。
だが、それでも彼等は国宝を売り払おうとはしなかった。
王家の誇りを守る為だったのかもしれない。
しかし今それさえも手放そうとしている。
臣下の家族や友人を逃がす為だけに…。
「たとえ我々が敗れても他の国に持っていけば相応の値が付く筈だ。
もしそうなったら…出来ればトリステイン王国に届けて欲しい」
若き王の心意気に胸打たれるも事は命懸け。
下手をすれば貴族派の艦隊に撃沈されるかもしれない。
自分一人ならともかく船員全てを巻き込む事は出来ない。
ハッとそこで船長は気付いた。
「…私以外の船員は今、どうなっている?」
「ああ、別室で待って貰っているよ。
もしかしたらアルビオン王国最後の客人になるかもしれないからね、
我々に出来る最高の待遇で持て成すつもりさ」
「……………」
捕虜にまで客人の待遇をするというのか。
自分達さえ満足食っていけるかどうか判らないのに。
ウェールズの立ち振る舞いに船長は己を恥じた。
船員の命を優先すると言っておきながら、
多くの人間を殺めると知ってて自分は貴族派に売り捌いていたのだ。
その中には無論ウェ−ルズにとって大切な家臣もいただろう。
だが彼はそれを咎める事無く自分に頼み事をしてきた。

過去はやり直す事は出来ない。
だが罪を償う事は出来る…いや、出来ると信じたい。
自分が冒した過ち、それを正す機会は今この場においてのみ。
人を殺める秘薬ではない、人の命を運ぶのだ。
それがウェールズ達への…そして自分が死なせた者達への贖罪。
「…その依頼、お引き受け致します」
承諾の言葉はまるで懺悔のようにさえ聞こえた。

382 :ゼロいぬっ!:2007/11/17(土) 15:38:29 ID:FnMsHq+w

客室の前でルイズ達はウェールズが出てくるのを待っていた。
船長との話が終わり次第、彼女達がどうするかを話し合う為だ。
それほど時間も経たない内にウェールズは部屋から出てきた。
交渉が決裂したのかと心配するルイズに彼は笑みで応える。
「話は付いたよ。君達は『マリー・ガラント』号で先に脱出してくれ。
ミス・ヴァリエールの使い魔は突入前に直属の竜騎士隊に送らせる。
上手くいったら今度は王宮のホールで再会しよう」
冗談めかして言うウェールズの言葉にアニエスは安堵した。
王党派の士気の高さも彼女の使い魔の実力も知っている。
だが、それだけでは何万という兵力の差は埋まらない。
ウェールズの策は成功する確率は1%にも満たない。
もし『マリー・ガラント』号の協力が得られなかった場合、
脱出する事さえ儘ならなかっただろう。
一番重要なのは『手紙』を持ち帰る事だ。
ここで戦っても何の意味もない、無駄死にだ。
しかしアニエスの思惑とは裏腹にルイズが声を上げる。
「皇太子殿下…いえ、ウェールズ陛下! 私も作戦に参加させてください!」

突然の彼女の発言に一同は驚きを隠せなかった。
ルイズの眼は真剣で、そこから彼女の覚悟が伝わってくる。
「いきなり何を言い出す! 任務はどうするつもりだ!?」
「そんなのアニエスが届ければいいじゃない!
私は戦うわ、貴族は決して敵に背を見せたりしないんだから!」

制止しようとするアニエスを振り解き、彼女は更に気炎を吐く。
その頑なな態度に苛立ちを覚えるアニエスを手で制し、
ウェールズは諭すように彼女に語り掛けた。
「残念だがそれは受け入れられない。
もし我々が敗れた時、次に危険に晒されるのはトリステインだ。
その時の為に連中の脅威を伝える者が生き残らなくてはならない。
それに君はアンリエッタの親友だ。彼女が悲しむ姿は見たくない」
「そうです! 私も陛下と同じです!
陛下を失えば姫殿下は必ずや嘆き悲しみます!
そんな姿など私も見たくはありません!」
ルイズの反論にウェールズも言葉が詰まる。
彼女の言葉には裏表がない、剥きだしの感情そのものだ。
どのような言葉を用いようとも説得など出来る筈がない。
ましてや彼女の使い魔の力を借りているのだ。
彼女の参戦を拒否する事は難しい。
頭を悩ませるウェールズにワルドが救いの手を差し伸べた。
「ご安心を。僕も戦場に赴き彼女を守りましょう。
僕のグリフォンならば何かあった時も即座に退避出来るでしょう」
「おお! ワルド子爵、君も加わってくれるのか?」
「勿論ですとも。これは貴族の名誉を守る戦い。
ここで背を見せる者は貴族とは呼べません…そうだろう、ルイズ?」
「…ワルド様」
ウェールズと会話しながら私に視線を向け同意を求める。
自分の我侭とも思える行動をワルドは認めてくれた。
思わず背を向けて潤みそうなった瞳を必死に隠し通す。
そして振り向いた先で私の使い魔が心配そうに見つめていた。

383 :ゼロいぬっ!:2007/11/17(土) 15:40:38 ID:FnMsHq+w

「べ、別にアンタの為じゃないわよ!
使い魔が戦っているのに、私が逃げたら格好付かないじゃない!」
口から出たのは本心とは違う言葉。
つくづく素直になれない自分に呆れ返る。
一人で戦う事がどんなに寂しい事なのかをルイズは知っている。
それは彼と出会う前のルイズであり、そして親友と呼べる者が出来る前のタバサだ。
彼を一人残して戦場を立ち去る事など出来ない。
「それに、貴方が私を守ってくれるんでしょう?」
「……ああ。主を守るのが使い魔の務めだからな」
代弁するようなデルフの答えにルイズの表情に笑みが戻る。
だが、それでデルフがついた嘘だった。
彼は何も口にしなかった…いや、出来なかったのだ。
その厚意が嬉しくて断る事が出来なかった。
ルイズが加わる事に拒否を示すべきだと分かっていながら…。

彼は自分に一つの枷を掛けている。
それは無意味に命を奪わない事。
生きる為でもなく自分を守る為でもない。
かつて決闘で無意識の内に自分が冒そうとした過ち。
それを彼は心の底から恐れているのだ。

そんな彼が戦争に加わる事自体矛盾している。
だがウェールズの提案通りにいけば彼は戦わなくて済む。
ましてや敵は人を操り殺し合いをさせる奴なのだ。
自由と命、その両方を弄ぶ。それは彼にとって最も許せない行為。
それにウェールズはいい人だった。
生きる事を決意した彼の目は輝いていて、
戦闘自体には参加しないという彼の条件も快く呑んでくれた。
彼を助ければきっとルイズは喜ぶ。
その喜ぶ顔が見たかったのかもしれない。

だけど彼女を守りながら戦う事になれば人殺しは避けられない。
森で襲ってきた連中とは質も数も違いすぎる。
一人なら矢も弾も避けれるがルイズには無理だ。
手加減していてはルイズの身に危険が及ぶだろう。
だからといって割り切れるものではない。
何よりも彼女にそんな自分の姿を見せたくない。

384 :ゼロいぬっ!:2007/11/17(土) 15:42:06 ID:FnMsHq+w
人を殺せば何かが終わる。
自分が怪物に変貌していくような恐怖。
恐らくは、その罪を一生悔いる事になるだろう。
後悔のない選択をしなければならないと分かっている。
だけど、彼には何が正しいかなど判別が付かない。
それでも誰かを殺さなければならない時には自分がやろう。
ルイズには…彼女にだけは罪を背負わせたりしない。
それが彼女に呼ばれた使い魔としての務めだと思っている。

彼が悲壮な決意を胸に秘める。
その刹那、背筋が凍るような殺気が走った。
振り向いた先には壁を背にしたワルドがいた。
腕を組みながらも手は杖に掛かり、いつでも抜ける状態にある。
その視界にルイズ達とウェールズを収めたまま微動だにしない。
いくら広いといっても廊下。戦場としては狭すぎる。
ここで戦えばルイズ達を巻き込むのは目に見えていた。
ワルドが顎で付いて来いと示す。
ルイズ達から引き離すのは彼にとっても望む所。
翻る外套の背を彼が追いかける。


背後から感じる使い魔の殺気を受けながらワルドは歩く。
なるべく人の多い場所を選び襲って来れないように仕向ける。
自分でも危険な橋だと自覚している。
だが、この機を逃せば二度とガンダールヴを捕らえる事は叶わない。
それどころか『レコンキスタ』の壊滅さえも有り得るのだ。

ウェールズは彼の実力を知るまい。
奴の存在は何もかも焼き尽くす爆弾だ。
もし接舷されたら…いや、竜に乗せて投下でもされたならば、
『レキシントン』であろうと巨大な棺に変わるだろう…!

そして、それだけでは終わらない。
奴の体を食い破り世界中に幼虫が広がれば聖地の奪還どころではない。
人もエルフも全ての生物は破滅の刻を迎える。
文字通り、数多の残骸を遺して世界は“虚無”となるだろう。
だが、そんな化け物さえも利用する我々はどこに向かおうと言うのか…?
早いか遅いかの違いで我々も破滅に向かって歩んでいるのではないか。
上の方針に反発するワルドはそう思わずにはいられなかった。

385 :ゼロいぬっ!:2007/11/17(土) 15:43:10 ID:FnMsHq+w

城の中庭を抜けて彼が辿り着いたのは巨大な地下空洞だった。
先導するワルドの背を追いながら辺りに視線を向ける。
ただの穴ではない、石で造られたそれは人工的なトンネルだった。
「ここはニューカッスル城に繋がる水道だよ。
普段は水が流れていて中庭の噴水などにも使われている。
そして、いざという時には篭城できるように水を溜め込んでおける。
実に理に適った代物だと思わないか?」
周囲に声を響かせながらワルドは語る。
しかし彼の言う事が本当ならここには水が流れている筈だ。
それなのに足元には水溜りが出来る程度の水さえもない。
その疑問を承知した上で彼は続ける。
「既に貴族派が上流を抑えて水を塞き止めたんだよ。
もっとも既に水の貯蓄は十分だったし、水のメイジもいる。
王党派にとってはただの嫌がらせにすぎないんだろうけどね」

かつんと石床を叩く靴音が止まる。
それに合わせて彼も足を止めた。
二人の間に緊張感を伴った静寂が訪れる。
そしてワルドは最後の疑問の問いを口にした。

「水圧に耐えれるように建造された内壁に固定化の魔法。
いくら僕達が暴れようとここが崩壊する心配はない」

彼は既に杖を抜いていた。
背を見せながら詠唱を終え、振り返りざまにエア・カッターを放つ。
だが殺気を感じ取れる彼には不意打ちなど無意味。
即座に身を翻し、風の刃を避ける。
それを当然のように受け止めながらワルドは告げた。

「さあ決着を付けようじゃないかガンダールヴ!
お互いの命運、世界の行く末、そしてルイズを賭けて!」


386 :ゼロいぬっ!:2007/11/17(土) 15:44:45 ID:FnMsHq+w
以上、投下したッ!!
次回は、バオー対ワルド・二戦目!

387 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 15:46:36 ID:Q8fZR82u
>>347
確かに同じタイプのスタンドだw
時もちゃんと止めれるなw

388 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 15:53:04 ID:Q8fZR82u
                            
         ,. -‐'''''""¨¨¨ヽ
         (.___,,,... -ァァフ|          あ…ありのまま 今 起こった事を話すぜ!
          |i i|    }! }} //|
         |l、{   j} /,,ィ//|       『>>347にレスしたら康一、ワムウ、犬が投下されていた』
        |リ u' }  ,ノ _,!V,ハ |
       /´fト、_{ル{,ィ'eラ , タ人        な… 何を言ってるのか わからねーと思うが
     /'   ヾ|宀| {´,)⌒`/ |<ヽトiゝ        おれも何をされたのかわからなかった…
    ,゙  / )ヽ iLレ  u' | | ヾlトハ〉
     |/_/  ハ !ニ⊇ '/:}  V:::::ヽ        頭がどうにかなりそうだった…
    // 二二二7'T'' /u' __ /:::::::/`ヽ
   /'´r ー---ァ‐゙T´ '"´ /::::/-‐  \    遅レスだとか>>347はちょうど12時間前だとか
   / //   广¨´  /'   /:::::/´ ̄`ヽ ⌒ヽ    そんなチャチなもんじゃあ 断じてねえ
  ノ ' /  ノ:::::`ー-、___/::::://       ヽ  }
_/`丶 /:::::::::::::::::::::::::: ̄`ー-{:::...       イ  もっと単純なリロードミスの片鱗を味わったぜ…

389 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 15:55:25 ID:qDIBG4Tv
いくらなんでもリロードおせーよw

390 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 16:24:56 ID:oBxY7Sdx
>>388はレスる瞬間に時が止まったんだろう

391 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 18:33:13 ID:4iMtVsmz

明日にしようかなと思ってたんだが、久しぶりにポルナレフのAAを見たような気がするから19時から投下しようと思う。

私に19時から投下させていただきたいんですが、構いませんね?

392 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 18:35:20 ID:P++rQZmw
キャモオォーーン!!

393 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 18:40:38 ID:qDIBG4Tv
19時…時計が指したらそれが『合図』になる

394 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 18:53:32 ID:P++rQZmw
なんか避難所に書き込めない

395 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 19:02:41 ID:4iMtVsmz


予告どおり投下させていただきます。


あ、ありのまま今起こったことを話すぜ!

ある日私は亀をマジシャンズレッドに運ばせて散歩していた。
とてもいい日和だった…日の光は燦々と降り注ぎ、海が近いと聞いてからどこか、微かに潮の香りを孕んでいるように感じられる風が吹き、木々が擦れあう音をBGMに、舎弟にしたオーク共が運んでくる果物を平らげていた。

だが…よりによってそこをガキどもに見つかり私は逃げた。
捕まったら玩具にされるのは目に見えていたし、部屋まで見つかったらどーなることか考えたくもない。
だがその時、私はまた見覚えのある鏡のようなものが正面に現れ、私は勢いを殺せず入り込んじまった…余所見運転は良くないってことだな。

……な、何をいってるのかワカラネーと思うが、私にも何がおきたのか分からなかった。
偶然とかジョルノ謀ったなとかそんなちゃちなもんじゃねー…もっと恐ろしい運命のいたずらを味わったぜ!

いつまでもそんな事を言っている場合でもない。
混乱する頭のまま私は亀の中からマジシャンズレッドを出した。周囲を警戒させる為だ。

どういうことかは理解している。私はこの魔法を知っている!
二度目だからな。
ジョルノがテファから聞き出し、あれがサモンサーヴァントという魔法である事は知っている。
使い魔を召喚する魔法を使い、テファは友達を作りたかったらしい。
ジョルノが言うにはマチルダお姉さんがテファの護衛になる生物が召喚されればいいと考えて教えたようだと言っていたが…が、そんな理由で召喚する奴が何人もいるとは思えない。

恐らく、今回は文字通り使い魔を作る目的のはず…必ず近くに私と亀を召喚した野郎がいるはずだ。
周囲は騒がしかった。周りには数十人の人間…皆ローブやらマントを着て杖を持っているところからするに、コイツら全員がメイジか。
リアクションからするとジョルノがスタンドが見える人間がこの世界にもいるかもしれないと危惧していたが、どうもここにはスタンドが見える奴は一人もいないようだが…

この世界の人間が使う魔法は杖が必須だとも聞いている。
だから私の近くにいて杖を持ってる奴が召喚した奴ってことになるんだがこれじゃあ見分けが付かん…!

私は愕然とした。
皆もってるじゃねぇか!!と。

だが判断しないことには始まらない判断する為、私は周りの奴らの会話を聞き取る。
どーやらこいつらにとって亀が召還された事はかなり意外だったようだ。
そして周囲にいる連中の視線の先には、微かに杖を持った手を震わせている子供がいた。

コイツか。
可愛らしい顔をしているが、背丈と控え目に言って包容力0な体格からして、多分ジョルノより年は下だろう。
もう一度周囲を伺い、周りの連中の態度から判断するに、やはり召喚したのはコイツだな。

そう結論した私には二つの考えがあった。

一つはこのまま使い魔になる。
もう一つはある一族の伝統に習って逃げる。

娘が何か唱えながら近づいてくる。
このままキスして契約完了するつもりなんだろう。
あまり時間はない…

私が選ぶべき道は…私と亀だけが心地よく感じる道。

急激に曲がりまくり、だが遮るものは何もない、そんな道だ。

そこには光が見えるはずだ。光の中へ…だがしかし、光が見えない時はどーすりゃいいんだ?

396 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 19:05:41 ID:ruURmygo
支援

397 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 19:05:56 ID:qDIBG4Tv
シェンソフト

398 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 19:12:58 ID:7AwDWkVf
支援支援支援支援支援支援

399 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 19:14:53 ID:4iMtVsmz
私には光なんて見えなかった。
ただ草が生い茂る草原が見え、遠くに塔等の建物が見え…
空を仰げば太陽は輝いているが、何の慰めにもならない…む、ピンクか。
『SUKIYAKI』の歌詞の通り、人は上を向いて歩かなきゃあならないって事を言葉じゃあなく視界で理解したぜ!

い、いや…違う!私はロリコンではない…!

何がかはとりあえず置いておくとして、もう迷っている時間はなくなったようだ。
仕方ない。せっかくだからジョースターさんを見習って逃げさせてもらおうかと、一瞬考えた。

だがその時!

ナイスガイな私は三つ目の道を思いついた。

「マジシャンズレッド!」

叫んで呼び出すのは鳥頭な我が相棒。
俺を何度も助けてくれた男、アヴドゥルが俺に力を貸してくれているのだ。

私は急いでマジシャンズレッドに周囲を見させながら手元に戻す。
マジシャンズレッドが戻り、手を凝視するその間に娘は私が入っている亀を持ち上げた。

何をしようとしているのかわかっている。
娘の唇が亀に近づいてきた。
このままキスされては不味いぜ!
だがスタンドとは出来て当然と思う精神力…!
私は娘がキスする瞬間、! 
素早くぺらぺらにしたマジシャンズレッドの指を、娘と亀の間に挟んだ!

そして亀にはすまねぇが、周りの使い魔どもに刻み込まれたタトゥーのパーツを適当に組み合わせたものを、亀の左前足に焼き印する…!

やばい、ちょっとミスったか?

控え目に言うと頭が眩し過ぎる男が横からきて亀を覗き込んだ。
正確には今私が刻み込んだタトゥーをだ。男はニッコリと微笑んだ。
緊張していた娘の顔にも笑顔が広がっていく。

「おめでとう、ミス・ヴァリエール。こちらは一度で成功したようですね…ふむ、珍しいルーンだ。それに甲羅に鍵、か…ふむ珍しい」

400 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 19:18:03 ID:yFKdOAz5
支援支援

401 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 19:21:11 ID:4iMtVsmz
やれやれ、どやらうまく行ったようだな。

「いいから下ろしてくれ」

亀の中でガッツポーズをとった私はそのまま好奇心でハゲ達に鍵を触られる前に抗議する。

「「亀がしゃべった!?」」

おっと、契約しても亀は喋れないのか。
一部の生き物だと人間の言葉を喋れるようになると聞いてたんだがな。
どう言い訳するか考えてみても、理由が思いつかない。

そうだっ! 逆に考えるんだ。
私が理由を考える必要はない。考えるのはコイツラに押し付けてしまえばいいと考えるんだ!

「ご主人様、あんたが契約したからじゃないか」

まぁ多分、これで誤魔化せるだろう。ここに呼ばれてからの自分の機転に惚れ惚れしながら私は二人が次にどうするかを見る。
ミス・ヴァリエールとか呼ばれた娘はハゲを見上げた。

「先生、そうなんでしょうか?」

自分の知識では確証が持てないのだろう。
ハゲを見上げるその視線からは疑問に答えが出ないのが見て取れる。
それに引き換えハゲの方は堂々としたもので、全く戸惑った様子は無かった。

「さあ? 私の知る限り契約した亀が喋ったという事例はありませんが…こうして喋っている以上そうなんでしょうな」
「そんな適当な…」

ナイスだぜハゲ。お前は色々な意味で輝いてる。
私の口には出せないエールを受けたハゲの視線が一瞬凄みを帯びた。
こ、この視線はまさか…気付いたのか!?

「誰かが私をハゲなどと言う極めて不遜な! 私達には相応しくない非!貴族的な呼び方をしたような気がしたが、気のせいかな?」

ハゲが何かブツブツ言いながら亀とミス・ヴァリエールを観察している。
ミス・ヴァリエールも目を伏せ、決してハゲとは目をあわそうとはしない。
他の者もだ。私は戦々恐々としながら、息を潜めてそれを眺めていた。

「…君が使い魔を提供してくれるというなら調べようもあるが、どうしますか?」
「おい娘! コイツ私を解剖する気だぞ!」
「娘じゃないわ! ご主人様って呼びなさい!…すいません。コルベール先生、提供する事はできませんわ」

偉そうにわめいた後、取り繕いながら娘はハゲ・コルベール・センセイに断りを入れた。
これ以上にないほどうまく行っている気がする…まさかこれがちょっと前にジャポネーゼの一部で流行ったというずっと俺のターン!?

冗談は兎も角、ジョルノが見つけてくれるまで、なんとか誤魔化し通さないとな。
しかし向こうは戦争が始まっちまってるし、土地勘もない。
逃げても私もやはり土地勘は0! 
しかもメイジ100人とかに追われちまうかもしれない…暫くは使い魔の振りして過ごすしか、ないのか?
前途多難に私はちょっと落ち込んだ。

眠る前にフランス語版『鼻をなくした象さん』を読んだら、ぐっすり眠れた。

*

402 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 19:24:54 ID:7AwDWkVf
支援!支援!
全く予想外の展開

403 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 19:26:36 ID:4iMtVsmz
*

その頃のアルビオンでは、戦争の情報などを手に村へ戻ってきたジョルノが亀がいなくなった事を聞いていた。
説明をするにつれ微かに表情を変化させるジョルノに、子供は震えていた。
コロネを怒らせるとどうなるか既に経験済みの態度だった…ジョルノはそんな彼らの上を視線で撫でつけちょっと威圧する。
実に楽しそうにテファには見えたという…勿論、ジョルノの心なんて全く読めないので多分自分の妄想とテファは思うようにした。

「亀がいなくなった?」

珍しくその声は戸惑っているような印象がして、テファは子供達がしでかしたことに余計に申し訳ない気持に陥る。
ジョルノは、亀を大事にしていたんだと気付いたような気がした。

「うん、子供達が言うには、亀が空を飛んで鏡の中に入って行ったって…ごめんなさい」
「何がです?」

不思議そうにするジョルノにテファはオーガを従えて宴を繰り広げていた亀を子供達が追い掛け回した事が事件の発端らしい事を説明する。
話を聞いたジョルノは爽やかな笑みを浮かべていた。
見ればその追い掛け回した当人達らしい子供達が不安そうにしている。
何をされるのかわからない得体の知れない恐怖に身を縮こませているようにジョルノには見えた。

「別に怒ってはいませんよ。どちらかというとその亀が悪いようですからね」

子供らの顔に笑顔が浮かんできたのを見てテファが言う。

「でももう生き物を追いかけ回したりしちゃダメよ?」
「「「はーい」」」

威勢良く返事を返し子供らは二人から離れていく。
残された二人は亀の事を思った。

テファが思い出すのは風呂を炊いてくれた亀。
ちょっとした火が欲しい時用意してくれた亀。
ジョルノが大事に世話して一人分の食事を用意していた亀…テファはジョルノに尋ねた。

「探しに行かないと…ジョルノ、何か思い当たる場所はある?」

ジョルノが思い出す亀…亀の中でアニメばかり見てる亀ナレフ。
テファの着替えを覗き、マチルダのスカートの中を覗いていたエロナレフ。
今度はオーク達と一緒に宴を開いていたらしい。
それで子供に見つかって追い掛け回されて…多分召喚されちまったんだろう。
ジョルノは一度瞬きをして考えてからこう答えた。

「日が暮れてお腹が空いたら帰ってくるんじゃないですか?」
「そ、そうかしら?」
「はい。それより戦争が始まったのは知ってますね?」

ジョルノはそんなことどうでもいいと話を変えた。
テファはいつになく真剣な表情にドキリとしながら、頷いた。
戦争が始まったという話は、マチルダに頼まれいつもこの村に物資を運んだりしてくれる元貴族らしい男達から聞き及んでいた。
詳しい事情は分からないが、王党派が苦戦を強いられ徐々に追い込まれているらしい…

「う、うん」
「そろそろ戦火が近づいてきたから僕はこの国から脱出します」

404 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 19:30:43 ID:LorD7ZxI
しえn

405 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 19:32:14 ID:4iMtVsmz
ジョルノの耳にはもう少し詳しい情報が流れ込んでいた。
王党派の今後予定している作戦の端々、戦力、逃げようとしたり隠し持っている財産を動かしている者。
それらから今後どう動いていくか、王が今どこにいるかもある程度想像がついていた。
レコンキスタの情報も同じく入っていた。
彼らがどのように動いていくか。彼らが祭り上げるクロムウェルの能力、それにより生き返ったように見える死者の兵隊。
クロムウェルに影のように付き従う秘書の存在…ジョルノは今のままでは王党派の命脈は長くないだろうと考えていた。
急ぐ必要があった。

「え?」

一瞬何を言われたか分からなかったテファにジョルノは無駄なことは嫌いなんですがと言いながらもう一度言う。

「ロマリアに良い孤児院が見つかりました。貴方方さえ良ければ僕が責任を持ってそちらに連れて行きます…どうします?」

ジョルノは手を差し出した。
戸惑った様子を見せてから、テファはジョルノの手を握った。
握ったジョルノの手は少年の手のように柔らかく、しかし力強くテファの手を包んだ。
これから村の外、母を殺害した兵士のような人、エルフを敵としてみている貴族や宗教家達、見知らぬ土地へ行くということ、
外は戦争中で危険が迫っているとジョルノやマチルダの使いの者が判断した事…子供達は、そして自分はどうなるのか不安材料しかテファには思い浮かばなかった。

だが、使い魔として召喚し、使い魔になることは拒否したジョルノの手を握るテファに不安はなかった。
奇妙な安心感が胸を一杯にしていた。
理由はよくわからなかったが…スッと、詳しい事を説明するジョルノの言葉は胸に、雨粒が乾いた大地に染み込むように安堵感を与えてくれていた。

それが潤いを与える恵みか、土を流し大地の姿を変えてしまうものかは考えられなかった。
雨の中で微笑むのも、懸念を抱き険しい表情を見せるのもテファの自由で、先を予想して警鐘を鳴らすものはいなかった。
数日後には、その村から人の姿は消えていた。


以上です。
途中でちょっと間が空いてすまない。
やっと一巻に入れました。
まぁ予想外だと嬉しいかなぁ…先の事を言うとポルに笑われそうですが、ギーシュ戦とかも皆さんの予想外にできる気がしてきてます。
小道具はともかく、他のジョジョキャラを出すべきか出さないべきか…それが問題なんです。

406 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 19:47:49 ID:m630kK9x
GJでした!
意外ッ!それはルイズによる再召喚ッ!

407 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 19:59:01 ID:MvBFOHZ6
GJ!
この展開は予想できなかった

408 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 20:37:13 ID:J7B9jFmM
い…今までのはプロローグだったというのか!?
GJです、ポルナレフのこの状態はどうなるんだろう。首だけで見られちゃうかな

409 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 20:56:17 ID:MPJewGbg
タバ茶フラグが立ったw

410 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 21:39:54 ID:wKr1W2Ya
GJ!
ルイズの召喚に巻き込まれたァァァァッ!?
ルーンはガンダールヴになっちゃってるかもしんないな、亀
>>409
ナレフ幽霊だもんな

411 :ゼロいぬっ!:2007/11/17(土) 21:55:37 ID:FnMsHq+w
一日に二回投下ってマズイかな?

412 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 21:56:58 ID:qDIBG4Tv
いいんじゃあないか

413 :ゼロいぬっ!:2007/11/17(土) 21:59:13 ID:FnMsHq+w
それじゃあ5分から投下しますが構いませんねッ!?

414 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 21:59:25 ID:wKr1W2Ya
許可する!
投下を許可するんだよォ―――!

415 :偉大いなる使い魔:2007/11/17(土) 22:04:23 ID:2HaLw5su
じゃあ、ゼロいぬっ!さんの後に投下します。


416 :ゼロいぬっ!:2007/11/17(土) 22:05:27 ID:FnMsHq+w

空洞内に吹き荒れる嵐。
それは怒涛のように押し寄せて彼を切り裂き、打ちつけ、巻き上げる。
巨大といっても縦横無尽に広がっている訳ではない。
奥行きと高さは相応の物があるが幅は道幅程度しかない。
故に、左右への回避には限界がある。
その地の利を理解した上でワルドはここを戦場に選んだ。

迫り来るバオーをエア・カッターが迎撃する。
それはラ・ロシェールでの戦いの焼き直しだった。
いくら近付こうとも接近さえ出来ない。
バオーの脚力も跳躍力もここでは満足に生かせない。
今のままでは剣士が銃に挑む事に等しい。

深く切り刻まれた足で必死に石床を掴む。
一度でも膝を屈すればそこで終わる。
足を止めた瞬間、風の刃と槌に自分の体は引き裂かれる。
策を練ってくれるデルフも今度ばかりは助言のしようがない。
限定された状況では打てる策も限られてくる。
この場所に誘い込まれた時点で圧倒的な不利へと追い込まれていたのだ。
自らの過信が招いた窮地に彼は苦戦を強いられる。

せめて飛び道具、『シューティング・ビースス・スティンガー』とは別の何か。
それさえあればワルドの喉下に肉薄できるのだが…。
「大丈夫か相棒!?」
心配するデルフに頷きで返しながら閃く。
打開する為の策、勝利への布石を。

「っ……!」
バオーを見据えながらワルドは舌打ちする。
これまでに幾度、魔法を叩き込んだだろうか。
今のエア・カッターにしてもそうだ。
確実に動脈を断ち切り出血多量で仕留められる傷だった。
それがまるで皮膚についた切り傷のように塞がってしまう。
何という馬鹿げた生命力だ…!
このままでは逆にこちらが精神力を使い果たしてしまう。
優位に立ちながらも焦るワルドが詠唱を始める。
それは彼が今までに使ってこなかった魔法。
刹那。ワルドの周辺の空気が弾けた。
目が眩まんばかりの稲光を発し雷が駆け巡る…!
『ライトニング・クラウド』
風系統の上位に位置する強力な魔法。
直撃すればバオーといえども只ではすまない。

417 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 22:05:29 ID:qDIBG4Tv
>>415
いが多いぞ

418 :ゼロいぬっ!:2007/11/17(土) 22:06:52 ID:FnMsHq+w
「やべぇ! 避けろ相棒!」
デルフの叫びを聞きながら彼は雷光に立ち向かう。
目前の脅威を前に、自分の首と胴を極限まで捻り上げる。
そして反動を付けて彼は咥えたデルフリンガーを放った…!
バオーの圧倒的な筋力が生み出す投擲は砲弾のそれに等しい。
凄まじい速度と回転でワルドに迫る大剣。
雷と剣。両者が激突し周囲に光と放電を撒き散らす。

「くっ…!」
それに視界を奪われないように外套で防ぐ。
その直後、即座に追撃してくるだろう彼の姿を探す。
そして視界の端に疾走する影を見つけエア・カッターを放つ。
同時に詠唱するのは再び『ライトニング・クラウド』だった。
トンネルの端に追い込まれた彼の逃げ場は逆方向しかない。
そこに続け様に魔法を放てば必ず命中する。
もう奴には投擲できる武器はない。
勝利は確定していたのだ、この場所に誘い込んだ時点で!
「チェックメイトだ! ガンダールヴ!」
確信と共に放たれたエア・カッターは予想通り避けられた。
しかし、そこから先はワルドの想像を超えていた。
彼が避けたのは逃げ場のない壁の方向。

目の前で繰り広げられる光景に言葉を失う。
蒼い獣が疾駆するのは壁。
バオーの脚力の前では重力さえも無意味。
迫り来る怪物の姿に驚愕しつつもワルドは杖を振るった。
放たれた雷をバオーは全力を以って振り切る。
壁から天井を伝い、そして逆側の壁へと駆け抜ける。
まるでループを描くようにして彼はワルドの背後を取った。
そして壁を蹴って弾丸のように襲い来る。

「……!」
咄嗟にエア・ニードルを帯びた杖を振り向き様に振るう。
それに対峙するのはセイバー・フェノメノン。
一瞬の交錯の後、彼は石床の上に舞い降りた。
まるで時間が止まってしまったかのような刹那の沈黙。
ワルドは微動だにせず、背後の彼へ視線を向けようとしない。
それに対する彼は緩やかに歩み始めた。
敵であるワルドに向かってではなく、投げ捨てたデルフの下へと。
散々な扱いを詫びる彼をデルフは怒る様子も見せずに許す。
「いいって、いいって。俺はおまえの剣なんだ。
そんな事、気にせずに無茶してくれて構わないぜ」
デルフの返答に彼が少し困った表情を浮かべる。
彼にとってデルフは剣ではなく大切な戦友なのだ。
そう言われると逆にどうしようもなくなってしまう。
「それよりも……終わったのか?」
デルフの問いに頷きで返す。
振り返った先には未だに動きを見せぬワルドの姿。

419 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 22:07:54 ID:lKJitXpQ
SIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEENNNNNNNNNNNNNNNNN!!!

420 :ゼロいぬっ!:2007/11/17(土) 22:08:20 ID:FnMsHq+w
杖に走る一本の線。
それに沿うように杖は二つに分かたれた。
セイバー・フェノメノンは確実に標的を切り裂いていた。
あまりにも鋭い斬撃は切断された事実さえも気付かせなかった。
そのまま繋げば元通りになるのではないかとさえ思わせる断面。
「はっ…はは、あははははははッ!!」
それを見下ろしながらワルドは笑った。
狂ったように声を上げて笑った。
ワルドは世界有数のメイジとして賞賛を受けていた。
それが全力で挑んだにも拘らず手加減されたのだ。
命を奪わず、杖だけを壊して無力化する。
そんな馬鹿げた真似をされて彼の誇りが無事で済む筈がない。

漆黒の意思がワルドの内で渦巻く。
憎悪に満ちた視線で見据えるのは蒼い怪物。
未だに元の姿に戻らないのは僕の敵意を感じてか。
つくづく不愉快で恐ろしい怪物だ。

「やめときな、もう勝負は付いた」
「いや、まだ決着は付いていない」
デルフの言葉を否定しワルドは杖を捨てた。
まさか相棒を相手に肉弾戦を挑むつもりかとデルフが正気を疑う。
しかし飛び掛ってくる様子も無くワルドは壁に背を預けた。
杖があったとしても精神力の浪費が激しい。
見た限り、まともな魔法も使えて二、三回か。

「出来れば互いに万全の状態で雌雄を決したかったが…もはやそれも叶うまい」
「はん! 今更負け惜しみか、何度やってもテメェ如きじゃ…」
そこまで口にしてデルフは止まった。
スクエアのメイジがこの程度の魔法を使ったぐらいで、ここまで疲弊するものか?
明らかにワルドは本来の実力を発揮できていない。
ならば何故、不調を押してまで相棒に勝負を挑んだのか?
貴族派のスパイだというなら今仕掛ける意味は無い。
その疑念に囚われるデルフを横目に見ながら彼は何かを感じた。
遠くから凄まじい勢いで迫ってくる圧力の塊……生物ではない別の何か。

421 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 22:09:18 ID:2iIwo/dk
紫煙!

422 :ゼロいぬっ!:2007/11/17(土) 22:10:11 ID:FnMsHq+w

「…気付いたようだな。そろそろ聞こえてくる頃だろう」
言うが早いか地鳴りのように空洞内に響き渡る轟音。
それは音程を変えながら徐々にボリュームを上げていく。
「な…なんだこりゃあ!!?」
何が起きているか分からずとも異常なのは分かる。
デルフが彼の口元で異変に震え上がる。
余裕めいたワルドの顔に、ふと彼は思い出した。
ここに来た時に話していた事を。

『ここはニューカッスル城に繋がる水道だよ。
普段は水が流れていて中庭の噴水などにも使われている。
そして、いざという時には篭城できるように水を溜め込んでおける』

その事実から連想される事態は唯一つ。
青ざめていく彼の顔を眺めながらワルドは告げる。
「そのまさかだ。塞き止めていた水を解放したのさ」
「馬鹿な! テメェも一緒に心中する気か!?」
デルフの言葉にもワルドは笑みを崩さない。
それは死を覚悟した者とは違う。
自分だけは助かると確信している者のだ。

不意に彼はワルドの足元に視線を落とした。
そこには何も無かった。
切り落とされた筈の杖は消え失せていた。
咄嗟に彼は全神経を触角に集中させた。
ワルドから感じる生命とは違う、歪な臭い。
彼はそれを前に見ていた。
まさか、これは…!

「そう、偏在だ。ここに釘付けにする為の囮さ」
「……っ!」
返事を聞くが早いか、彼はその場から走り去った。
偽物に構っている余裕など無い。
一秒でも早くここから抜け出さなくては!
彼は気付いた、これは『水槽』だと!
かつて白衣の男達がしたように自分を閉じ込めるつもりなのだ!

…出口までの距離が遠い。
戦いながらワルドは奥へと引き込んでいたのだ。
全て計算した上で仕掛けたなら間に合う道理はない。
だが『バオー』は生命が危機に瀕した瞬間、最大の力を発揮する!
ワルドの予測を超えた脚力で彼は走り続けた。

423 :ゼロいぬっ!:2007/11/17(土) 22:11:48 ID:FnMsHq+w
背後に迫り来る水の壁。
それを見ながら彼は既視感に襲われた。
ただの錯覚ではない、強いトラウマを持った何か。
だが思い起こす暇など有りはしない。
眼前には最初に潜った巨大な水門。
あそこを通り抜ければ外に出られる。
外から入り込む城の明かりが希望の光にさえ思える。
だが、その光に突如として影が差した。
明かりを背にして立つのは他ならぬワルドだった。
無言で彼は杖を振りかざす。
その直後、吹き荒れた嵐が彼の体を弾き飛ばした。
足の止まった彼の前で閉じていく水門。

「ここが貴様の棺桶だッ! 
僕はルイズを! 聖地を! 全てを手に入れる!
貴様は全てを失い、永遠に水底に沈んでいろッ!」

向こう側からワルドの雄叫びが聞こえてくる。
だが、その声も水門が閉ざされる轟音に掻き消された。
遮る扉を破壊しようと彼が爪を立てる。

瞬間。彼は思い出した。
自分が感じた既視感、その正体を…!
今まで何故、忘れていたのか。
無意識の内に忘れようとしていたのか。
狭く冷たい世界から飛び出した、あの日の事を。
そして彼の眼に映る光景が変貌した。
迫り来る水が炎に、水門が隔壁に変わっていく。
“おまえがこの先へ行く事はない”
そう告げるかのように冷たい金属が道を閉ざす。

「相棒! どうした相棒!? 諦めるな、水門を破っちまえ!」
デルフの声も耳には届かない。
あの日、通った道もどこにも繋がっていなかった。
自分の世界はあの部屋で終わっていたのだ。
実感した生さえも幻。
全ては束の間の夢に過ぎなかった。
何も得られず、何も成す事も出来ずにここで果てるのだ。

押し寄せる濁流に飲み込まれ消えゆく意識の中、
彼は自分の終焉を静かに受け入れた。


424 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 22:13:07 ID:LorD7ZxI
S・H・I・E・N!

425 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 22:13:57 ID:6rfJdpKN
しえん

426 :ゼロいぬっ!:2007/11/17(土) 22:14:01 ID:FnMsHq+w
以上、投下したッ!
昼過ぎに投下した時、何の反応も無くて寂しかったので続きを頑張ってみた。

427 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 22:17:16 ID:qDIBG4Tv
あの時間はみんなプリン食ってたからね

428 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 22:18:13 ID:J7B9jFmM
支援いたす

429 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 22:19:30 ID:2iIwo/dk
GJだよォォ〜〜〜〜!!
そしてスルーしちゃってゴメンよォォ〜〜〜〜〜ッ

430 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 22:23:51 ID:wKr1W2Ya
犬GJ!
ゴメン、居なかった時!
あとバオー犬逃げろー!

431 :偉大なる使い魔:2007/11/17(土) 22:26:31 ID:2HaLw5su
今までの投下は、今日の為の前フリだ!

投下!

>>415 よく気がつきましたね。

ゼロいぬ!さんGJ

432 :偉大なる使い魔:2007/11/17(土) 22:28:52 ID:2HaLw5su
朝早くワルドに起され促されるままついていくと、礼拝堂でわたしの結婚式が
始められようとしていた。
ここに居るのは、わたしとワルド、ウェールズ様とプロシュートだけだった。
何故、今こんなのとになっているのか、わたしには分からなかった。
ワルドは、この旅が終われば僕を好きになると言った。
結婚しようとも言った。
だけど、何故、今?こんな時に?こんな場所で結婚式を?
分からない、分からない。
不安になりプロシュートを見るが、彼は部屋の隅で黙ってグラスを傾けていた。
どうして何も言ってくれないの?
「緊張しているのかい?仕方が無い。初めてのときは、ことがなんであれ
緊張するものだからね」
ウェールズ様は、にっこりと笑って後を続けた。
「まあ、これは儀礼に過ぎぬが、儀礼にはそれをするだけの意味がある。
では繰り返そう。汝は始祖ブリミルの名において、このものを敬い、愛し、
そして夫と・・・・・」
こんな気持ちで結婚なんて出来るワケないじゃない。
わたしはウェールズ様の言葉の途中で首を振った。
「新婦?」
「ルイズ?」
ウェールズ様とワルドが怪訝な顔でわたしの顔を覗き込む。
「どうしたね、ルイズ。気分でも悪いのかい?」
「違うの。ごめんなさい・・・」
「日が悪いのなら、改めて・・・」
「そうじゃないの、そうじゃないの。ごめんなさい、ワルド、わたし、
あなたとは結婚できない」
わたしの言葉にウェールズ様は首をかしげた。
「新婦は、この結婚を望まぬか?」
「そのとおりでございます。お二方には、大変失礼をいたすことになりますが、
わたくしはこの結婚を望みません」


433 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 22:29:42 ID:yFKdOAz5
支援するぜ兄貴ィー!

434 :偉大なる使い魔:2007/11/17(土) 22:31:00 ID:2HaLw5su
ワルドの顔に、さっと朱みがさした。ウェールズ様は困ったように首をかしげ、
残念そうにワルドに告げた。
「子爵、誠にお気の毒だが、花嫁が望まぬ式をこれ以上続けるわけにはいかぬ」
しかし、ワルドはウェールズに見向きもせずに、わたしの手を取った。
「・・・緊張しているんだ。そうだろルイズ。きみが僕との結婚を拒むわけがない」
「ごめんなさい。ワルド。憧れだったのよ。もしかしたら、恋だったかもしれない。
でも、今は違うわ」
ワルドは、わたしの肩をつかんだ。その目がつりあがる。表情がいつもの
優しいものでなく、どこか冷たい、トカゲか何かを思わせた。
熱っぽい口調でワルドは叫んだ。
「世界だルイズ僕は世界を手に入れる!そのためにきみが必要なんだ!」
豹変したワルドに怯えながら、わたしは首を振った。
「・・・わたし、世界なんかいらないもの」
ワルドは両手を広げると、わたしに詰め寄った。
「僕にはきみが必要なんだ!きみの能力が!きみの『虚無』が!」
そのワルドの剣幕に、わたしは恐くなった。優しかったワルドがこんな顔をして
叫ぶように話すなんて夢にも思わなかった。
わたしは知らず知らずのうちに、ワルドから身を引いた。
「ルイズ、いつか言ったことを忘れたか!きみは始祖ブリミルに劣らぬ、優秀な
メイジに成長するだろう!きみは気づいていないだけだ!その才能に!」
「ワルド、あなた・・・」
この人は、わたしの知っているワルドじゃない。何が彼を、こんな物言いをする
人物に変えたのだろう?
ワルドの剣幕を見たウェールズ様が、間に入ってとりなそうとした。
「子爵・・・、きみはフラれたのだ。いさぎよく・・・」
が、ワルドはその手を撥ね除ける。
「黙っておれ!」
ウェールズ様はワルドの言葉に驚き、立ち尽くした。



435 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 22:31:13 ID:2fS7Tquu
支援だ支援!

436 :偉大なる使い魔:2007/11/17(土) 22:32:20 ID:2HaLw5su
ワルドは、わたしの手を握った。
「ルイズ!きみの才能が僕には必要なんだ!」
「わたしは、そんな才能のあるメイジじゃないわ」
「だから何度も言っている!自分で気づいていないだけなんだよルイズ!」
痛い。振りほどこうとしたが物凄い力で握られて振りほどくことができない。
「そんな結婚死んでもいやよ。あなた、わたしをちっとも愛してないじゃない。
わかったわ、あなたが愛しているのは、あなたがわたしにあるという、
在りもしない魔法の才能だけ。ひどいわ。そんな理由で結婚しようだなんて。
こんな侮辱はないわ!」
ウェールズ様がワルドの肩に手を置いて、引き離そうとした。
しかし、今度はワルドに突き飛ばされた。
突き飛ばされたウェールズ様の顔に赤みが走る。立ち上がると、杖をぬいた。
「うぬ、なんたる無礼!なんたる侮辱!子爵、今すぐにラ・ヴァリエール嬢から
手を離したまえ!さもなくば、我が魔法の刃がきみを切り裂くぞ!」
ワルドは二つ名の閃光のように素早く杖を引き抜き、呪文の詠唱を完成させた。
そのまま風のように身を翻らせ、ウェールズ様の胸を青白く光る杖で貫いた。
「ウェールズ、貴様ごとき無能なメイジが僕を切り裂くと?笑わせるな!
滅びの道しか残されておらぬ哀れな王族よ、そこで犬の様に這い蹲り、
己の無力さを呪うがいい」
「き、貴様・・・、レコンキスタか?」
ウェールズ様の口から、どっと鮮血が溢れる。
「よく気が付いたな、偉いぞウェールズ」
ワルドは冷たい感情のない声で言った。
「ウェールズ様!」
わたしはワルドの手を引き剥がしウェールズ様を抱え起こした。
「・・・ラ・ヴァリエール嬢・・・アンリエッタに・・・この指輪を」
ウェールズ様は震える指先で自分の指輪をわたしの手の平にそっと置いた。
「あと・・・アンリエッタに・・・」
言い終わらない内にウェールズ様の手がダラリと垂れた。



437 :偉大なる使い魔:2007/11/17(土) 22:34:07 ID:2HaLw5su
「しっかりしてください!ウェールズ様!」
ウェールズ様の体から生命の鼓動が消えた。 
わたしは、たまらずワルドに怒鳴った。
「貴族派!あなた、アルビオンの貴族派だったのね!裏切り者ッ!」
「裏切り者か・・・ルイズ、視野を広げて見ると、裏切っているのは実は君達の
方かもしれないよ」
わたしの怒鳴り声にも、どこ吹く風のワルドがとんでもない事を言い出した。
「何言ってるの?」
「始祖ブリミルの悲願、聖地の奪還を疎かにし、ブリミルの恩恵である魔法の
力を貴族同士で領土を奪い合うためだけに使う事こそが、始祖ブリミルに
対する裏切りだとは思わないか?ルイズ」
「なら、その考えを陛下に言えばいいじゃない!」
「言ってどうする、ハルケギニア全土のメイジの意志を一つにまとめる事に
何年かかると思っている。いや、不可能といってもいい。そのために革命が
必要なのだよ」
「昔は、そんな風じゃなかったわ。何があなたを変えたの?ワルド!」
「月日と、数奇な運命のめぐり合わせだ。今ここで語る気にはならぬ
話せば長くなるからな」
もはや目の前の男は、わたしの知ってるワルドじゃない!
「助けて・・・助けてプロシュート!」
ザッ ザッ ザッ ザッ ザッ ザッ ピタリ
プロシュートはわたしの隣に来ると手に持ってたグラスの氷水を
わたしの頭にぶっかけた!
「冷たッ!なにすんのよ!」
「頭を冷やせルイズ。要するにワルドは敵だってワケだ。後はワルドを
倒し手紙を持って帰る。それだけだろ?」
「えらく簡単に言ってくれるわね。ワルドはスクエアのメイジなのよ」
「知ったことか、お前は自分の身を守る事だけを考えてろ」
いつの間にか出現したグレイトフル・デッドがワルドに向かって大きな手を
繰り出した。しかし、その大きな手はワルドの杖で防がれてしまった!



438 :偉大なる使い魔:2007/11/17(土) 22:36:25 ID:2HaLw5su

「見えているの!?」
わたしの疑問にワルドは余裕の態度で解説した。
「見えている訳ではない、風の動きを読んだのさ。土くれの情報『見えない力』
と言ったな。動きが速過ぎる為見えないと思っていたのだが、そのままの意味
で『見えない力』であったか」
今までプロシュートが圧倒的だったのは、他のメイジにはグレイトフル・デッドが
見えていなかったからだ。
「ど、どうするのよプロシュート」
しかし、プロシュートに全く焦った様子は無かった。
「慌てるなルイズ。俺は見えて当たり前のヤツ等と殺し合ってきたんだぜ。
見えて対等であって、決して不利じゃねえ!」
グレイトフル・デッドの拳をワルドは飛びながらかわした。
それから杖を振り、呪文を発した。プロシュートはグレイトフル・デッドで防ごうと
するがウィンド・ブレイクは脇をすり抜け彼だけを襲う。プロシュートは剣を素早く
構え受け止めようとするが壁にぶち当たり、プロシュートは呻き声をあげる。
怪我した左腕が痛むのか、プロシュートの動きにいつものキレが感じられない。
「どうした?お前のお前の力を見せてみろ、偉大なる使い魔ガンダールヴ」
残忍な笑みを浮かべて、ワルドが嘯く。
そんなとき、デルフリンガーが叫んだ。
「思い出した!」
プロシュートも突然のデルフリンガーの言葉にとまどってる様だ。
「なんだよてめえ、こんなときに!」
「そうか・・・ガンダールヴか!」
「なんのことだ!」
「いやぁ、俺は昔、お前に握られてたぜ。ガンダールヴ。でも忘れてた。
なにせ、今から六千年も昔の話だ」
「寝言、言ってんじゃねえ!」
デルフリンガーに返答しながらプロシュートはワルドの魔法をかわしていく。
「嬉しいねえ!そうこなくっちゃいけねえ俺もこんな格好してる場合じゃねえ」
叫ぶなり、デルフリンガーの刀身が光り出す。


439 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 22:36:56 ID:LorD7ZxI
ザ・グレイトフル支援

440 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 22:37:37 ID:2fS7Tquu
支援せざるを得ない!

441 :偉大なる使い魔:2007/11/17(土) 22:38:45 ID:2HaLw5su

プロシュートは呆気に取られてデルフリンガーを見つめていた。
「デルフ?」
再びワルドはウィンド・ブレイクを唱えた。
光に気を取られていたプロシュートは避けずにデルフリンガーを構えた。
「無駄だ!剣では避けられないと、わかっただろうが!」
ワルドが叫んだ。が、しかし、プロシュートを吹き飛ばす風が、デルフリンガーの
刀身に吸い込まれていく。
そして・・・。
デルフリンガーは今まさに砥がれたかのように、光り輝いていた。
「デルフ?お前・・・」
「これが、ほんとの俺の姿さ!相棒!いやぁ、てんで忘れてた!そういや
飽き飽きしてたときに、テメエの体を変えたんだった!なにせ、面白いことは
ありゃしねえし、つまらん連中ばっかりだったからな」
「早く言いやがれ!」
「しかたねえだろ。忘れてたんだから。でも安心しな相棒。ちゃちな魔法は
全部、俺が吸い込んでやるよ!この『ガンダールヴ』の左腕、
デルフリンガーさまがな!」
興味深そうに、ワルドはプロシュートの握った剣を見つめた。
「なるほど・・・。やはりただの剣ではなかったようだ。この私の『ライトニング・
クラウド』を軽減させたときに、気づくべきだったな」
それでも、ワルドは余裕の態度を失わない。
杖を構えると、薄く笑った。
「さて、ではこちらも本気を出そう。何故、風の魔法が最強と呼ばれるのか、
その所以を教育いたそう」
プロシュートは剣とスタンドで襲うが、ワルドは軽業師のように剣戟を
かわしながら、呪文を唱える。
「ユビキタス・デル・ウィンデ・・・」
呪文が完成すると、ワルドの体はいきなり分身した。
四体の分身、本体と合わせて、五体のワルドがプロシュートを取り囲んだ。
「分身か・・・ギトーはコレを見せようとしてたのか」


442 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 22:38:51 ID:B4E/rS5o
支援

443 :偉大なる使い魔:2007/11/17(土) 22:40:09 ID:2HaLw5su
NG
プロシュート「惜しい!ピストルズまで、あと一体」  
   ルイズ「何言ってるの?」


444 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 22:40:54 ID:d4TwiYVg
ちょwwwwwww

445 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 22:41:38 ID:fWyuYAeF
兄貴ィ!支援するぜ!

446 :偉大なる使い魔:2007/11/17(土) 22:43:32 ID:2HaLw5su

「ただの『分身』ではない。風のユビキタス(偏在)・・・。風は偏在する。風の
吹くところ、何処となくさ迷い現れ、その距離は意思の力に比例する」
ワルド達は懐から真っ白な仮面を取り出すと、顔につけた。
あの、桟橋で襲ってきた仮面のメイジはワルドだったの!
「まるでスタンドだな。最強の所以は分かった・・・だとしたら、どうして『虚無』に
拘るんだ、『風』が最強なんだろ?」
プロシュートの問に、フッとワルドは自嘲的な笑いを浮かべた。
「確かに系統魔法で『風』は最強だ・・・だが視野を広げて見ると、認めたくは
無いがエルフの使う先住魔法は我らの力を遥かに凌駕する。その強力なエル
フ共を打ち破る為にルイズの『虚無』が必要なのだよ!」
ワルドの目に以前、宿で見た妖しい光が灯る、ワルドの本当の目的が判った。
ワルドが在るという、わたしの虚無の力がエルフを倒す為に必要だったのね。
「自分じゃエルフを倒せない、だからルイズの力に頼ろうってのか。恥ずかしく
無いのかテメーはよぉ」
「目的のためには、手段を選んでおれぬのでね」
言い終わると、ワルドは呪文を唱え、杖を青白く光らせた。
『エア・ニードル』、さきほど、ウェールズ様の胸を貫いた呪文だ。
「杖自体が魔法の渦の中心だ。その剣で吸い込むことはできぬ!」
五体のワルドがプロシュートを襲う。
その攻撃をプロシュート自身とグレイト・フルデッドが防ぐが、五対二・・・はっきり
言って分が悪い。反撃できずに防戦一方だ。
ワルドは楽しそうに笑った。
「平民にしてはやるではないか。さあ見せてみろ、お前の力はこんなものでは
ないのだろう?」
じりじりとワルド達はプロシュートににじり寄った。

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ

「もう、スデに『見せている!』、気づいてないのか?」
まさかっ!まさか・・・プロシュートは!・・・


447 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 22:45:10 ID:MPJewGbg
支援、老化は怖い

448 :偉大なる使い魔:2007/11/17(土) 22:46:06 ID:2HaLw5su

「なに!?こっ、これは・・・」
ワルドの仮面に隠されていない口元に深い皺が刻まれていた。
あの長い髪にも分かりづらいが白髪が見え隠れしている。
グレイトフル・デッドの無差別老化攻撃!
わたしは慌てて自分の髪を手ですき、観察してみる。
艶のある桃色のブロンド・・・指先も皺が無かった。
顔は鏡がなかったので確認できなかったが、手触りでは違和感が無かった。

こいつら!早くも気づいていやがったんですよ!兄貴の『グレイトフル・デッド』は
体を冷やせば老化が遅れるっって事をよォーッ。

!!突然聞こえた男の声。だから、プロシュートはわたしに氷水をかけたのね。
わたしの体を冷やすために。
「こ、これはっ!?この疲労感は!」
ワルドの言葉に始めて焦りが出てきた。
「どうしたワルド、任務の疲れで肩コリでも出て来たか?」
プロシュートはデルフリンガーとグレイトフル・デッドでワルドに攻撃した。
ワルドにも先ほどの動きが見られなかった。
「うおおおおおおおぉ、そんな馬鹿な!神の左手ガンダールヴ、その『能力』は
あらゆる武器を使いこなす事と超人的な運動能力の二つのはず・・・・
この力は一体・・・!?」
「この力は俺自身のスタンド能力だ」
プロシュートがグレイトフル・デッドの拳をワルドに振るう。
「『スタンド』?先住魔法か!?」
「おいおいワルドさんよー、俺が何から何まで親切に教えると思うのか?」
「おのれ土くれ!なにか隠しているとは思ったが、この事だったとは!!」
フーケ・・・ワルドに老化現象は話さなかったのね。いや、思い出したくも
話したくもなかったのか。
このままだとプロシュート押し勝つだろう・・・
なんだか心のモヤモヤが晴れない、わたしは何をやっているんだろう。
フーケの時も、今の戦いもプロシュートに任せっきりにしている。
たしかに使い魔は主人の身を守る。だけど主人は何もしないって事じゃない。
わたしは、この任務で成長すると誓った。だけど今わたしは何もしていない・・・
これじゃ何も変わらないわ。 
わたしは杖を掲げ呪文を詠唱する。


449 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 22:47:05 ID:yFKdOAz5
NG自重するな支援www

450 :偉大なる使い魔:2007/11/17(土) 22:48:56 ID:2HaLw5su

「なにやってる!ルイズ」
プロシュートの叱責が飛ぶが、わたしは止めない。
ファイアーボールを唱え杖を振る。一体のワルドが表面で爆発する。
ぼこん!と激しい音がして、そのワルドは消滅した。
「え?消えた?わたしの魔法で?」
残った四体のワルドが一斉にグルリとわたしの方を向いた。
こっ恐い・・・。
「ファイアーボールの一発で僕の偏在が消し飛ぶ訳が無い。君は土くれの
ゴーレムの腕を吹き飛ばしたそうじゃないか、しかも再生するはずの腕を
そのままにして」
ワルドの言葉に熱がこもる。
「追い詰められ、命を懸けると本当の力がわかる。なるほど、そこの使い魔の
言うとおりだ。まだ自分の系統に目覚めてもいないのに、この威力!
覚醒すればどれ程の力になるのか楽しみだ、実に楽しみだぞ僕のルイズ!」
ワルドが目を輝かせ、わたしに杖を向ける。
「逃げろ!」
プロシュートが叫ぶがワルドの風で、わたしは壁に叩き付けられた。
「「カ八ッ」」
わたしは衝撃でしばらく体が動かなかったがワルドは何もせず、ただプロ
シュートの様子を眺めていた。
おもむろにワルドが口を開いた。
「今、僕の魔法が、かすりでもしたか?」
何を言ってるのワルド?
プロシュートの方を見ると険しい表情で汗をダラダラとかいていた!?


451 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 22:51:47 ID:6rfJdpKN
しえn

452 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 22:52:23 ID:5yp6/Uk/
支援

453 :偉大なる使い魔:2007/11/17(土) 22:53:11 ID:2HaLw5su

プロシュートが叫ぶ。
「逃げろッ!ルイズ!」
わたしには何が何やらさっぱり分からなかった。
「主人の危機を知らせる能力か?ルイズのダメージが使い魔に伝わったのか」
ワルドの攻撃の質が変わった!プロシュートだけを狙う攻撃から、わたしにも風
を当てようと杖をこちらに向けてきた。

ズドドドドドドド

「うおっ、うおぉおおおおお」
プロシュートはわたしを庇う様にワルドの前に立ちはだかる。
「プッ、プロシュート!!」
「オレにかまうなッ!逃げろッ!」
「え!!え!?」
「早くにげろーッ!」
わたしのダメージがプロシュートのダメージになるですって?
思い出した!!そういえば召喚した時にプロシュートが言っていた。
それを今の今まで忘れていたわ!何てこと、何てことなの。
まさか、こんな事になるなんて!
一体のワルドがエア・ハンマーを、わたしにぶつける。
「「カハッ」」
攻撃を受けていないプロシュートも息をもらす。
「隙だらけだぞガンダールヴ」
三対のワルドの杖がプロシュートを引き裂いた。
「プロシュート!!」
プロシュートが床に倒れる、その体はピクリとも動かない。
出血がみるみる内に床に広がっていく。

わたしは立派なメイジになるとか、認められたいとか・・・空回りして。
プロシュートの足を引っ張って、最低のマヌケだわ。




454 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 22:56:05 ID:fWyuYAeF
ルイズを庇う兄貴かっこいいぜ支援

455 :偉大なる使い魔:2007/11/17(土) 22:56:51 ID:2HaLw5su

ワルドの顔から皺が消えた・・・
余裕を取り戻したワルドが、にこやかな口元で声を高らかにあげた。
「さてルイズ、今一度問おう。僕と一緒に来てくれるかい?」
「絶対に嫌よ!」
YESと答えると思ってんの、この男は?
「さて、どうしたものか。かけがえのない『虚無』を殺してしまう訳にもいかぬ。
無理矢理に連れて帰っても協力を得られない・・・薬でも使うか?いや・・・
魔法の使えぬ人形にしては意味が無い・・・そうか、その手があったか。」
ワルドは、ニタァと笑うと舐める様な視線をわたしに向けた。
「君に惚れ薬を使う」
「ワルド、あなた何を考えているの。惚れ薬の売買、所持、使用は重罪よ!」
「革命を考えている者に、その様な忠告は無意味だとは思わないのかい?」
「あなた最低ね!」
「最後に自分の考えで話せる言葉は、それでいいのかい僕のルイズ?」
いいわけないでしょ。なにが惚れ薬よ!冗談じゃないわ!
「フフフ、いいぞ『聖地』が見えてきた!ヤル気がムンムンと湧いてくるじゃ
ないか!ええ、おい!」
ワルド、自分の世界に酔ってる?
四対のワルドがゆっくりと、わたしを囲もうと動き出す。
「フフ、すぐ済むよ」
にっこりと笑うワルドはもう、ただ気持ちが悪いとしか言い様がない。
「近づかないで!」
ファイアーボールを唱える。
しかし、ワルドにぶつからず、全く別の場所が爆発するだけだ。
続けてもう一度唱えるが、これも当たらずワルドの歩みは止まらない。
「威力は申し分ないがコントロールは、まだまだの様だな」
歩み寄って来るワルドの足が急に止まった。
「ば・・・ばかな!こ・・・この疲労感・・・ま・・・また始まったぞ!」



456 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 22:59:06 ID:bOJAITwm
支援

457 :偉大なる使い魔:2007/11/17(土) 23:01:10 ID:2HaLw5su

「終わってないぞ!!まさか・・・まさか!あいつ!」
ワルドが苦しんでる?でも・・・プロシュートはもう・・・
わたしはプロシュートに視線を向ける。

「グレイト・・・フル・デッド・・・」

プロシュートの血溜の中にグレイトフル・デッドが立っていた。
その表面が古い土壁の様にボロボロと崩れていく・・・・・・
まるでプロシュートの傷を表わすかのように・・・
「プロシュートォォォォォ」



「本当に・・・あなた・・・ううっ・・・そのとおりだったのね。
腕や脚の一本や二本、失おうとも、わたしを守ると言った事は!!
プ・・・プロシュート、あんなボロボロの重症じゃあ・・・・・・
も・・・もう・・・あなたは助からないッ!
息をひきとるのも時間の問題ね。
だのに、あなたは自分のグレイトフル・デッドを解除しない。
わかったわプロシュート!!
あなたの覚悟が『言葉』でなく『心』で理解できたわ!」


458 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 23:02:17 ID:X3DTBHfQ
う、嘘だろ兄貴!支援

459 :偉大なる使い魔:2007/11/17(土) 23:03:05 ID:2HaLw5su
ワルドがプロシュートに息の根を止めようと襲い掛かる。
「この死にぞこないが!」
そうはさせない!!
「ファイアーボール」
プロシュートに迫ったワルドが吹き飛んだ。
「むっ!!ルイズのコントロールが良くなった!?」
残った三対のワルドが、わたしを取り囲もうと動き出す。
わたしは急いでプロシュートを守るように立った。
「嬢ちゃん、俺を使え!」
足元から、デルフリンガーが声をあげる。
わたしは、言われるままデルフリンガーを両手で構える・・・重い。
杖と剣を纏めて持っているので、振るいにくい!
剣を構えたとたんにウィンドブレイクが迫ってきた。
だがそれはデルフリンガーによって吸収されていく。
「くっ、インテリジェンスソードか!直接ルイズを気絶させねばならぬようだな」
目の前のワルドが、わたしに杖を構える。
「ファイアーボール」
ワルドが音を立てて消し飛んだ。これも偏在か・・・だが、あと二体!!
消し飛んだワルドから、二体のワルドが間合いを取る。
「せ・・・正確すぎる、僕の動きが正確に読まれてしまっている。
しかも一撃で偏在を吹き飛ばされる『パワー』もすごい!
老化の使い魔さえ倒せば、もう僕の勝利かと思ってた・・・
だが甘くみていた、この戦いの中で本当にやっかいなのは
『老化させる能力』の使い魔の方ではなかった
真に恐ろしいのは・・・!!この『虚無』のルイズの方だった!」
今まで、外していたのが嘘のように、狙い通りに魔法が当たる。
不思議な感覚、これがリズムが生まれるってやつなの?

「栄光は・・・・・・おまえに・・・ある・・・ぞ・・・・・・
・・・やれ      やるんだ・・・   ルイズ    オレは・・・
  おまえを   見守って・・・  いるぜ・・・   やれ・・・     」


460 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 23:03:27 ID:yFKdOAz5
あ、兄貴ィー!?支援

461 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 23:04:42 ID:fWyuYAeF
ちょっ…!息引き取っちゃうのかよ!?兄貴ィー!!

462 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 23:05:45 ID:6rfJdpKN
兄貴ィィィィィ!

463 :偉大なる使い魔:2007/11/17(土) 23:06:03 ID:2HaLw5su

「ルイズ、君の『面がまえ』・・・今まで、こんな『目』をしているメイジではなかった
まるで『十年』も修羅場を、くぐり抜けて来たような・・・スゴ味と・・・
冷静さを感じる目だ・・・たったの数分で、こんなにも変わるものか・・・
君に小細工は通用しない!!」
二体のワルドがわたしに突っ込んできた。
「ファイアーボール」
わたしは前を走るワルドに魔法をぶつけた。
ワルドが爆発し消し飛ぶが、後ろのワルドは構わずに突っ込んでくる。
偏在を盾にしたのか。これで残るのは本体のみ!
「もらったよ、僕のルイズ」
呪文が間に合わない!単純な力押しできたか!!
ワルドが杖を構える。やっぱり、わたしじゃ勝てないというの?
憎憎しげにワルドを睨む。その後ろには、いつの間にかグレイトフル・デッドが
その大きな腕を振り下ろしていた。
ワルドの左腕が飛んだ。
「なにー!?」

「グレイト・・・フル・デッド・・・」

激昂したワルドが杖を振り上げた。
「この使い魔がッ!!」
ありがとうプロシュート。このチャンス、無駄にはしないわ。
「隙だらけよ!ワルドッ」
プロシュートに一撃を加えた屈辱の台詞をそのまま言い返す。
「しまっ・・・」
「ファイアーボール」
「ぐはッ!!」
ワルドの表面で爆発が起こり、煤だらけで倒れた。

倒した・・わたしが『スクエア』のワルドに勝った!!



464 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 23:06:06 ID:B4E/rS5o
兄貴――ッ!!!

465 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 23:07:05 ID:yFKdOAz5
兄貴ィィィィィ!!気をしっかり持って!

466 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 23:07:26 ID:5fzy3nDM
名せりふktkr

467 :偉大なる使い魔:2007/11/17(土) 23:07:48 ID:2HaLw5su
14回投下した!

兄貴の生死は次週に投下する!

468 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 23:09:36 ID:fWyuYAeF
兄貴の名台詞を聞くとどうしても泣きそうになってしまう
次週が楽しみだ!GJ!

469 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 23:10:02 ID:yFKdOAz5
ザ・グレイトフル乙!正座して次週まで待ってる

470 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 23:10:35 ID:B4E/rS5o
GJ
超期待

471 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 23:11:23 ID:FnMsHq+w
GJ!
兄貴は助かるのだろうか。
それとルイズがペッシの台詞を吐いた瞬間、 
ワルドの首が踏み折られて終わるのかと変な期待したw

472 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 23:11:38 ID:X3DTBHfQ
偉大な兄貴GJッ!
来週までソルジェラコンビが行方不明になった時の
暗殺チームのような心持で待機します


473 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 23:13:31 ID:2fS7Tquu
超期待だッ!
これは次週までwktkしっぱなしだ!

それは兎も角、予定していたネタがジョルノ+ポルナレフさんと一部かぶっちゃったよ!
俺の遅筆が悪いわけだが。

474 :サブ・ゼロ ◆oviEMgpce6 :2007/11/17(土) 23:14:16 ID:Pch2DVjp
GJ!
まさかルイズが勝つとは・・・そして生きろ兄貴ッ!

そしてオレも久々に25分から投下したいと思う!

475 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 23:15:01 ID:wKr1W2Ya
GJでしたーッ!
兄貴の『ルイズを守るという意志』!僕は敬意を表するッ!

476 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 23:15:19 ID:5fzy3nDM
GJ!
覚悟ルイズカッコいい。
ワルドもちゃんと動機がしっかり描かれてるな

477 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 23:15:31 ID:JkGkCgkr
GJ!
ルイズにペッシが乗り移ってらww
次週を楽しみに……あれ?次週ってあと……

478 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 23:15:33 ID:qDIBG4Tv
GJ!
兄貴、死亡確認!

479 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 23:15:55 ID:fWyuYAeF
>>473
被ったっていいじゃあないか

>>474
そしてサブゼロ待ってたあああ!支援したいんですがかまいませんねッ!

480 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 23:16:23 ID:wKr1W2Ya
>>474
Ω ΩΩ<な、なんだってー!
今日は凄い日だ…いやマジにそう思うよ支援

481 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 23:16:34 ID:qDIBG4Tv
サブゼロさんも来るのか!
ほんと週末は地獄だぜ!ファーハハァー!

482 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 23:17:09 ID:YK6GEQc7
兄貴GJ!!!!!



次週ってことは・・・



なあんだ、あと45分待てばいいってことだね!兄貴!!!

483 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 23:17:29 ID:Sp3fdF/U
GJ!

来週ってあと43分後さッ!!

484 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 23:18:12 ID:ekB6Xyly
偉大さんGJ!!
兄貴が死ぬなんてありえない…と良いな…
&新ジャンル『ツンドラ』を支援するッ!!!

485 :サブ・ゼロの使い魔(1/5):2007/11/17(土) 23:25:41 ID:Pch2DVjp
すっかり慣れた、しかしこの場にそぐわぬどこか甘い香りが鼻腔を
くすぐり――ギアッチョの意識はゆっくりと眠りの海から浮かび上がる。
「・・・・・・ああ?」
開ききらない瞳で仰向けのまま左右を探ったギアッチョの、それが
最初の言葉だった。


第三章 その先にあるもの


ゆるゆると上体を起こして、ギアッチョはいささかぼんやりした
視線を下に向ける。視界に入ったものは、見間違えようも無くルイズの
ベッドだった。そしてその持ち主は――
「・・・・・・」
ギアッチョの隣で、すやすやと寝息を立てている。
「ここにブッ倒れて・・・そのままっつーわけか」
「我ながら情けねーな」と呟いて、ギアッチョは小さく溜息をついた。
何とか途中で気力が切れずに済んだが、もしもガキ共の前で倒れて
いたらと考えると心底自分が腹立たしくなる。
「少々かったりぃが・・・鍛え直すとするか」
立ち上がろうと身体に力を入れるが、上着の裾が何かに引っ張られて
ギアッチョは再び腰を下ろす。何事かとそちらを見れば、ルイズの
小さな手が服の端を掴んでいた。引きはがそうと服を引っ張るが、
一体どんな夢を見ているものか、ルイズは頑なに手を離そうとしない。
「・・・おい」
声をかけてみるが、少女が眼を覚ます様子はない。
「・・・クソガキ、起き――」
頭を掴んで揺さぶろうと伸ばした手を、ギアッチョはピタリと止めた。
考えてみれば一日以上寝ていなかったのだ。自分と違って、ルイズは
そういうことに慣れてはいないだろう。そう考えると、無理矢理起こして
しまうことも少々躊躇われる。
「・・・チッ」
まあいい、特に急ぐ理由もない。相変わらずの凶相で一つ舌打ちして、
ギアッチョは再びベッドに背を預けた。

486 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 23:26:07 ID:h3ks/B0z
パンツ一丁で温かい紅茶を飲みながら支援

487 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 23:26:29 ID:yFKdOAz5
なんと言う暗殺チームラッシュ、これは支援の準備をせざるを得ない

488 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 23:27:13 ID:c43aI4e5
ルイズが頑張ったが、みんな兄貴の方しか見ていない!

489 :サブ・ゼロの使い魔(2/5):2007/11/17(土) 23:27:56 ID:Pch2DVjp
「・・・ぅん・・・」
浅いまどろみの中で、ルイズは一日ぶりの睡眠を噛み締めていた。枕に
頬をうずめて、毛布を胸に抱き締める。いつもと同じそれが、今日は
何故だかとても幸せに感じられた。そんなわけだったから、
「・・・・・・ギアッチョ・・・」
等とうっかり寝言を洩らしてしまっても、それは仕方のないことで。
「ああ?」
しっかり聞こえていたギアッチョに無愛想に言葉を返されてしまったと
しても、やはり仕方のないことだった。
ただ、ルイズ本人はそうは思わなかった。自分の言葉で微かに目覚めた
彼女の心臓は、ギアッチョの声で跳ね上がった。
「ようやくお目覚めか」
「えっ、な、ち・・・ちちち違うの!違うんだからね!!」
「・・・何か知らんが落ち着け」
「・・・う、うん・・・」
答えたところでギアッチョの服を掴んでいることに気付き、ルイズは
慌てて手を離した。ギアッチョはそれを眼だけで眺めると、もう用は
無いと言わんばかりにベッドから降りる。
「厨房行ってくるぜ」
「あっ・・・」
デルフリンガーを担いですたすたと扉に向かうギアッチョに一抹の寂しさを
覚えて、ルイズは身体を起こした状態のままその背中を見つめる。そんな
視線に気付く様子もないギアッチョがドアに手を伸ばした瞬間、
「・・・?」
ドアは外側から開かれた。
「あら、おはようギアッチョ」
ギアッチョが口を開く前に、キュルケは驚いた顔も見せずに挨拶する。
「昨日の今日で元気だなおめーは ルイズに用か?」
「ええ、それと貴方にもね ちょっと待っててちょうだい」
ギアッチョの肩越しに室内を覗き込みながらそう言うと、怪訝な顔の
彼をそのままにキュルケはルイズの前へとやって来た。
「おはようルイズ やっぱりまだ寝てたわね」
「お、おはよう」
「あら、ちょっと顔が赤いんじゃない?風邪でもひいた?」
「べっ、べべべ別にああ赤くなんかないわよ!」
わたわたと手を振って否定すると、ルイズは話を逸らそうと言葉を継ぐ。
「そ、それより何か用?」
「何って・・・忘れたの?」
呆れ顔のキュルケに、ルイズはようやく今朝交わした約束を思い出した。
「あ!」
「食事、行くんでしょう?タバサとギーシュはもう厨房で待ってるわよ」
「ごっ、ごめん!すぐ着替えるから――」
言いかけたところではっとドアに眼を向けると、ギアッチョは既に
廊下へ姿を消していた。

490 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 23:29:03 ID:ekB6Xyly
さっすがギアッチョ!!ルイズを気遣ってあえて起こさない。早くもデレが炸裂だァー!!!

491 :サブ・ゼロの使い魔(3/5):2007/11/17(土) 23:29:56 ID:Pch2DVjp
「私達でシエスタを送って行った時に、今日の昼食を厨房でって話に
なったのよ」
扉横の壁に背中を預けるギアッチョを見つけて、キュルケは問われる
前にそう言った。
「ま、そんなところだろうとは思ったがよォォォ〜〜〜〜・・・
そりゃ何だ、このオレも一緒に着いてくことになってんのか」
「当ったり前でしょう?あなたが主役なんだから」
「オレぁそんなガラじゃねーんだがな」
若干首をすくめて答えるギアッチョを面白そうに眺めて、キュルケは
その隣に背をもたれさせる。
「あなたが来ないとシエスタ泣いちゃうかも知れないわよ?あの子
随分あなたに感謝してるみたいだし・・・惚れられちゃったりしてね」
「こんな化け物に惚れる人間が一体どこにいんだよ」
「あら、いつもの自信がないじゃない あなたって結構イイ男だと
思うわよ?まあ私のタイプとはちょっと違うけどね」
半分茶化して笑うが、ギアッチョは詰まらなそうに首を振る。
「・・・そういう意味じゃあねーよ 得体の知れねえ力で無数の人間を
殺して来た野郎が化け物でなくて何なんだ?・・・全く今更だが、
オレは本来他人と関わっていい人間じゃあ――」
「ストーップ、ギアッチョ一点減点よ」
声と共に突き出されたキュルケの掌に、ギアッチョの言葉は中断された。
「いい?あなたが過去に人の命を奪ってきたこと、それは事実かも
知れないわ だけどね、こう言うと冷たく聞こえるかもしれないけど、
私達はそんなこと知らないの 知ってるのは、いつでも何度でも私達を
救ってくれたヒーローだけなのよ」
「・・・・・・」
「罪を認めることは勿論大切だわ だけど人を殺す一方で、あなたは
私達の命を、人生を救ってくれた・・・その重さも知っていいんじゃ
ないかしら?」
キュルケは小さく笑みを浮かべてそう言うと、躊躇いがちに開きかけた
ギアッチョの口にスッと人差し指を当てる。
「だからネガティブな発言は一切禁止!次に言ったら三点減点するわよ」
あくまでも茶化した態度のキュルケに小さく溜息をついて、ギアッチョは
諦めたように彼女を見た。
「・・・で、ポイントオーバーでどんな罰ゲームを頂けるんだ」
「そうねぇ・・・十点マイナスで三食はしばみ草ってのはどうかしら?」
「・・・・・・そいつは勘弁願いてぇな」
再度の深い溜息と共に、ギアッチョは両手を上げて降参の意を示した。

「ごめん、お待たせ!」
マントを胸に抱えて、ルイズは急いで部屋から飛び出した。確認する
ようにこちらに一瞥を向けて、ギアッチョは「行くぞ」という一言と共に
すたすたと歩き出す。
後を追おうとするルイズの頭に、スッとキュルケの片手が置かれた。
「頑張りなさいルイズ きっとチャンスはあるわ・・・多分」
「・・・へ?」
生温かい笑みのキュルケを、ルイズはきょとんと見返した。

492 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 23:30:27 ID:h3ks/B0z
うん、紅茶はぬるいのが丁度いいな
支援

493 :サブ・ゼロの使い魔(4/5):2007/11/17(土) 23:31:57 ID:Pch2DVjp

「本ッ当に済まなかったッ!!」

厨房へ着いたルイズ達を出迎えたのは、マルトーの猛烈な謝罪だった。
シエスタから仔細を聞いたのだろう、「やりたくてやったことだから」と
首を振るルイズ達にマルトーはまるで懺悔のような表情で謝り続ける。
設えられた質素なテーブルにこっそりと眼を向けると、本を開いて己の
世界に逃避しているタバサの横でギーシュが苦笑交じりに肩をすくめた。
どうやら自分達が到着する前から、この大柄なコック長は大音量の謝罪を
繰り返していたらしい。マルトーに視線を戻すと、謝り続けるうちに
感極まったのか、彼はとうとう漢泣きに泣き出した。
「おっ、俺は誤解していたッ!あんたらみてぇな貴族がいることを
知ろうともせずに、この世の摂理を理解でもしたような気になって
いたんだ・・・ッ!!本当に、詫びのしようもねえ!!俺は、お、俺はッ!」
「・・・おいマルトー」
咆哮の如き大声のマルトーを見かねてか、ギアッチョが気だるげに声を
かけるが、マルトーはギアッチョに標的を変えて尚も喋り続ける。
「おおギアッチョ・・・お前さんにも一体何て謝りゃあいいのかッ!!
モットの野郎が悪魔なら、こんな傷だらけの人間を死地に向かわせた俺は
堕獄の罪人よ!!こんなもので償い切れるとは思わねぇが、どうか気の
済むまで俺を殴ってくれッ!!」
「ああ?」
「「コック長、それは・・・!」」
ギアッチョと外野、双方がそれぞれ声を上げるが、マルトーはそれに
首を振ると漢らしく両手を広げて怒鳴る。
「気にするこたぁねえ!これは俺の罪滅ぼしなんだ!!さあッ!
いくらでも殴ってくれ!!さあ!さあッ!早く!!はやげふゥゥウッ!!」
「「殴ったーーーーー!?」」
ギアッチョの躊躇無い一撃を顔面に受けて、マルトーは派手に吹っ飛んだ。
やれやれと言わんばかりに溜息をついて彼を引き起こす。
「眼ェ醒めたかマルトー」
マルトーをしっかりと立たせてから、ギアッチョはそう口を開いた。
「何度も言うがよォォ〜〜〜 オレ達がやると決めたからやったんだ
謝罪なんぞ受ける気もねーし権利もねぇ そんなもんよりオレ達はメシが
食いてーんだがな」
「お、おお・・・ギアッチョ・・・!」
マルトーの顔に、明らかな感動の色が浮かぶ。様子を見守っていた
コック達を見回して、マルトーはいつもの威勢を取り戻した声で叫んだ。
「聞いたかお前達!真の英雄は己の行為に代償を求めたりはしねぇ!!
俺達がするべきはとびきりの御馳走を振舞ってやることだ!!さあ
お前達、調理を再開しようじゃねぇか!!」
「「おおぉおぉおーーーーーーーーーっ!!」」
ていうか殴れと言われたから殴っただけだろうなと思うルイズ達を
よそに、マルトー達は大盛り上がりで料理にとりかかった。

494 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 23:32:03 ID:ekB6Xyly
頑張れルイズ的支援

495 :サブ・ゼロの使い魔(5/5):2007/11/17(土) 23:33:56 ID:Pch2DVjp
ほどなくして、テーブルに種々の料理が運ばれて来た。肉や野菜、色
とりどりの果実が惜しみなく使われたそれらは、正に御馳走と呼ぶに
相応しい代物であった。ルイズ達にはさほど珍しいものではなかったが、
ギアッチョにとってはそうではないようで、先ほどからルイズの隣で
小さく感嘆の声を上げている。
料理が運び終わるまでの間、キュルケ達としばし談笑していたルイズ
だったが、ふと気付いて顔を上げた。と、手馴れた様子で配膳する
シエスタと眼が合う。
「もうすぐ全部運び終わりますから、もう少々お待ちくださいね」
シエスタは普段着では無く、いつものメイド服を着ていた。にこりと笑う
シエスタと対照的に、ルイズは少し心配げな顔を見せる。
「シエスタ、休んでなくて大丈夫なの?」
その言葉に場の視線がシエスタに集中するが、シエスタは笑みを絶やさず
応じた。
「いえ・・・自分のことなんかよりも、私は一秒でも早く皆さんにお礼を
したいんです 私に出来るのは、少々の料理の手伝いぐらいですから・・・」
「それに」シエスタは少し厨房を見渡して言葉を継ぐ。
「またここで働くことが出来るんだって思うと、休んでることなんて
出来なくって」
「シエスタ・・・」
屈託の無い笑顔を見せるシエスタに、ルイズ達はこの娘を助けてよかったと
改めて思う。互いに顔を見合わせて、つられるように笑った。

「・・・おいしい」
口に運んだ料理は違えど、彼女達の感想はみな賞賛の一言だった。
「いつもうめぇが・・・今日はそれ以上だな」
ギアッチョまでが珍しく素直な賛辞を口にする。
「俺にも使える魔法がある」いつかマルトーが言った言葉だが、成る程
こいつは確かにその通りだとギアッチョは柄にも無く独白した。
「そうかい、そいつぁよかった!こんな料理でよけりゃあいつでも食いに
来てくんな!あんたらにならいつでも御馳走を振舞わせてもらうぜ!」
マルトーはガキ大将のような笑顔を見せる。その隣で、シエスタも
クスクスと楽しそうに微笑んだ。
「・・・次ははしばみ」
「却下だ」
誰よりも旺盛な健啖ぶりを現在進行形で発揮しているタバサの提案を、
ギアッチョは一瞬で棄却する。
トリステイン魔法学院――その厨房を、わだかまりの無い笑いが満たした。

496 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 23:34:14 ID:2fS7Tquu
支援!

497 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 23:36:06 ID:ekB6Xyly
支援したッ!!

498 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 23:38:10 ID:wKr1W2Ya
GJ!
ギアッチョ!君の行動と思いやりの全てに痺れる憧れるゥ!


499 :サブ・ゼロ:2007/11/17(土) 23:38:49 ID:Pch2DVjp
前回からそろそろ3週間でこの短さとは自分で衝撃だが投下したッ!

そろそろじわじわと原作から方向を変えて行く・・・かも。

500 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 23:39:40 ID:qDIBG4Tv
お疲れだッ!
さすがマルトーの兄貴だッ!

ところで保管庫つながらないのは俺だけか?

501 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 23:40:35 ID:iqlWxTaG
wikiは今晩ずっとメンテだって

502 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 23:41:39 ID:ekB6Xyly
GJ!!
そろそろ始まるんですか!?ルイズとギアッチョの恋のヒスト…ガオン

503 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 23:41:49 ID:2fS7Tquu
GJ!
やっぱりサブゼロさんには安定した面白さがある!

>>500
安心しろ!俺もつながらん!
今メンテ中じゃなかったか?

504 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 23:42:53 ID:qDIBG4Tv
>>503
ハッ!理解可能!

505 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 23:47:23 ID:FnMsHq+w
GJ! つまり今後はルイズのデレとギアッチョのデレで挟み撃ちという形に!

506 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 23:49:13 ID:LorD7ZxI
>>500 >>501 >>502 >>503
あれ? あっるぇ〜?
俺はつながるんだが……

どうしよう、避難所に投下しようかと思ってたんだけど……
>>501さん、>>501さん。
そのメンテとやらはいつ終わるんだい?

507 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 23:50:04 ID:wKr1W2Ya
避難所なら此処からでもいけるけど
詳しくは>>1をミロォォ

508 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 23:51:57 ID:ZmPLRcS0
保管庫の@wikiは朝7時まで大規模メンテで使えない
避難所は特に何も無いので使える

509 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 23:53:02 ID:LorD7ZxI
>>508
そうなんだ。thx スレ汚しスマソ

510 :隠者の中の人 ◆4Yhl5ydrxE :2007/11/17(土) 23:56:38 ID:mOpSMNXW
よし! 暗殺チームが投下しまくったのを見計らってこっそりとわしも投下するかッ!
日付が変わったくらいからでいいよね?

511 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/17(土) 23:58:45 ID:qDIBG4Tv
Exactry(その通りでかまいません)

512 :使い魔は引き籠り:2007/11/17(土) 23:59:37 ID:yFKdOAz5
なんと言う投下ラッシュ。週末って凄いね。
隠者さん終わったら10分くらいあけて引き籠りもいきます。
支援もするよ!

513 :ゼロと奇妙な隠者:2007/11/18(日) 00:00:28 ID:mOpSMNXW
 天守の一角、ウェールズの居室。その窓の外にワルドは立っていた。玉砕戦の前夜と言う事もあり、平素ならいるような警備のメイジもいない。明日に備えて休養を取っているようだが、甘い考えだと嘲笑する。
 そのような考えだからアルビオン王国はレコン・キスタに敗北してしまったのだ。決戦前夜だからとて、暗殺者が入り込むかもと言う考えに至らない時点で、程度が知れるというもの。
 残酷で嗜虐的な笑みをもはや隠すこともせず、フライの魔法を解いて屋根に降りる。
 下を見れば誰の姿も無い。あの使い魔はまんまと逃げおおせはしたが、王子の暗殺を止められはしない。
 まずウェールズを暗殺した後、ルイズを殺し手紙を手に入れればいい。
 ワルドは口の端を吊り上げ、呪文を詠唱する。
 ウインドブレイクの魔法で容易く窓を吹き飛ばし、居室に素早く踏み込みながら次の呪文を既に完成させていた。
 『エア・ニードル』。杖を中心として風を渦巻かせ、杖自体を鋭い刃と変化させる魔法である。
 二つの月の光を背に浴び、ベッドで何も知らず寝ている王子目掛け、二つ名の『閃光』の名の通り稲妻の如き不可避の突きを繰り出し――

 ワルドは、大量の金属球が混ざった爆風をその身で浴びることとなった。

 ちょうど同じ時、ジョセフは天守を見上げ、窓から弾き飛ばされるワルドを悠々と見上げていた。
「やッチッたァーーッッッ!!」

514 :ゼロと奇妙な隠者:2007/11/18(日) 00:01:41 ID:mOpSMNXW
 静かな月夜をつんざく爆音と、年甲斐も無く歓声をあげる老人。
 ジョセフはとっくの昔に手を打っていた。
 ワルドのおおよその策略を看破したジョセフは、パーティから戻る途中のギーシュ達に頼み、ビー玉程度の大きさの金属球を1kgほど錬金してもらったのだ。
 それから三人に、ウェールズへと伝言を頼む。
『アンリエッタ王女からもう一つ渡さなければならないものを預かっている、人目に付くと良くないのでこの時間に礼拝堂に来てもらえないか』と言う体裁で、ウェールズを密かに呼び出していたのだ。
 正にこの時、ウェールズ皇太子は三人の少年少女と共に礼拝堂にいる頃である。約束の時間からはやや遅れ、王子を待ちぼうけさせている不敬の真っ最中ではあるが、命を救う行為であるため、お目こぼしを期待したいところである。
 ウェールズが嘘の伝言で礼拝堂に向かった直後、無人の部屋に忍び込む人物がいた。言わずと知れたジョセフ・ジョースターである。
 ジョセフは密かにベッドにトラップを仕掛けた。
 まずベッドの上の毛布を一枚取り、これに厨房から失敬してきた油を塗り込んで波紋を流す。
 続いて先ほど錬金してもらった金属球、これにも油を満遍なく混ぜこぜ、こちらには反発する波紋をたっぷり流す。
 波紋を流した金属球をしっかり波紋毛布で包み込むことにより、言わば電子レンジで加熱したゆで卵のような代物が出来上がる。こちらは破裂すれば卵の代わりに金属球がはじけ飛ぶ物騒な爆弾であるが。
 これに多少強い衝撃を与えれば、ボンと爆発し――今しがたワルドが吹き飛ばされたような惨状を引き起こすこととなる。

515 :ゼロと奇妙な隠者:2007/11/18(日) 00:02:55 ID:mOpSMNXW
 続いて掛け布団で波紋ゆで卵を包み、人が寝ているように形を整える。月明かりだけではそうはバレない珠玉の造詣は、ジョセフ会心の出来だった。
 最後に窓を閉めて何食わぬ顔で部屋に戻ると、ルイズにハーミットパープルで波紋をちょっと流して起こし、ワルドに結婚を断らせに行く事で裏切り者の本性を暴き出す。自分達はまんまと逃げおおせることで残った一つの目的、ウェールズの暗殺に向かわせたのである。
(王は暗殺してもしなくても大勢に関係が無いというのは、パーティのスピーチからして明白である。となるとワルドがターゲットにするのはウェールズ一人、という解答に辿り着くのは簡単なことだった)
 果たしてワルドは見事ジョセフの術中に落ち、金属球の洗礼を浴びることとなった。
 天守から叩き落されながらも、さすがは魔法衛士隊隊長と言うべきか、空中でフライの魔法を辛うじて唱え、地面に叩きつけられる事態にまでは至らなかった。
 だがしかし、静かな夜に轟いた爆音である。
 精鋭とも呼べるニューカッスル三百の貴族達がおっとり刀(この場合はおっとり杖と称するべきか)で駆け付けて来るのは想像に難くない。
 ワルドは怒りのみで象られた視線でジョセフを見下し、睨み付けた。
「……やったな、やってくれたな、ガンダールヴ!!」
「てめェのやっすい陰謀なぞとうの昔にお見通しじゃわい、我が友イギーの技を参考にした、名付けて『愚者に対する波紋疾走(フールトゥオーバードライブ)』の味はいかがだったかなッ。随分と堪能してくれたようじゃないか、ワ・ル・ド・し・し・ゃ・く・ど・の?」
 クックック、と人を大馬鹿にした笑いでワルドを見上げる。
 自慢の羽帽子もマントも言うに及ばず、ワルド本人も金属球の嵐に巻き込まれかなりの手傷を負っている。
 火薬での爆発には及ばないものの、波紋の爆発で放たれた金属球は人一人に対して十分過ぎるほどの殺傷力を持っている。

516 :ゼロと奇妙な隠者:2007/11/18(日) 00:04:05 ID:mOpSMNXW
 ジョセフとしては、金属球のトラップで仕留める腹積もりであった。
 だが悪運強く生き残られた場合の手段も、既に用意してきている。
 ジョセフは、マヌケな獲物をからかう笑みを崩さぬまま言葉を続ける。
「さァて、と。もーそろそろこの騒ぎを聞きつけたメイジ達がアワ食って押しかけてくる時間じゃな。まさかグリフォン隊元隊長でスクウェアメイジのワルド子爵が、たかが使い魔にコテンパンにのされて尻尾巻いて逃げ帰るとか、そォんなミジメ〜ェな結果で帰れるんかなァ!?」
 ジョセフにとって、ここでワルドと対峙したままメイジ達に駆け付けられるのが尤も避けたい事態だった。
 ここでワルドが「この平民が王子の部屋を爆破した」とたった一言言えば、一斉にメイジ達の杖がジョセフに向くことは火を見るより明らかである。貴族と平民の言を貴族がどう判断するか、ジョセフでなくとも想像するのは簡単である。
 だからこその、普段より毒を増した舌鋒であった。
 平素のワルドならばこのような安い挑発に乗りはしなかっただろう。
 だが、散々忌まわしい平民に自分の策略を打ち破られた今、挑発に乗らずにはいられなかった。
「――いいだろう、ガンダールヴ!!」
 ジョセフは、く、と口の端を吊り上げた。
 ワルドは地面に降り立ち、フライの魔法を解いた。
 これまでの様に余裕めかした表情など、ワルドには存在しない。
 ジョセフもまた、同じだった。
 相対した互いの表情を占めるのは、種類は違うものの、純粋な怒りのみ。
 腰に下げていたデルフリンガーを抜刀すれば、右手に錆び付いた大剣、左手に毛布と言ういささか珍妙な様相で構えるジョセフ。

517 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/18(日) 00:04:35 ID:zdmS2OL0
支援

518 :ゼロと奇妙な隠者:2007/11/18(日) 00:05:19 ID:mOpSMNXW
 デルフリンガーはおおよそ無駄だとは判り切っていたものの、とりあえず金具を鳴らして喋った。
「なーあ、そこのボウズよ。今なら、多分まーだ間に合うんじゃねーかなぁ。ここで謝って土下座の一つでもすりゃー、許してもらえるかもしんねーぜー?」
 たかがインテリジェンスソードごときの戯言を聞き入れる必要など、ワルドには存在しない。せめてもの忠告を文字通り黙殺されたデルフは、あーあ、と溜息をついた。
(知ーらね。相棒は自分の右腕が焦がされたことより、貴族の娘っ子が侮辱されたことに怒るタイプなんだよなぁ)
 他人事めいたモノローグはさて置いて、デルフはジョセフからひしひしと伝わり過ぎる心の震えに、ふと思い出した。
「おー、そうだ。思い出したぜ相棒!」
「なんじゃデルフ、こんな時に」
 声そのものは普段と変わらない。だが今もジョセフの心には凄まじい怒りが渦巻いていた。
「そー言や相棒はガンダールヴだったよなぁ」
 軽口を叩きあう一人と一振りをよそに、ワルドは既に呪文を完成させていた。
「そうは言われてるが、どうしたッ?」
「いやぁ、俺は昔、お前に握られてたぜガンダールヴ。だーが忘れてた、六千年も昔のことだったからな!」
 ジョセフが返事する前にワルドのウインドブレイクが襲い来るが、ジョセフは慌てるでもなく左手に構えた毛布を、闘牛に対するマタドールのような鮮やかな動きで振るった。
 本物のマタドールなら向かってくる牛の角を避けるものだが、毛布を振るったガンダールヴは一歩たりとも動いていなかった。

519 :ゼロと奇妙な隠者:2007/11/18(日) 00:06:29 ID:VkHSXspl
 波紋を流された毛布は、風のハンマーに対抗しうるだけの強度を手に入れており、ウインドブレイクは毛布の一撃に消し飛ばされていた。
「我が師にして我が母、エリザベス・ジョースターの技! 闘牛毛布(マタドールブランケット)ッ!!」
「ひゅー、さすがだな相棒! お前もうちょっと真面目に修行すりゃもっとすげえ戦士になれんだろーに!」
「わしゃ努力が一番嫌いな言葉でその次にガンバルって言葉が嫌いなんじゃよ!」
「いやそれにしたって懐かしいな、泣けるぜ! そうか、なんか前々から懐かしい気がしてたが、相棒がガンダールヴだったか!」
「そうか! 伊達にボロボロに錆びてる訳じゃあないなッ!」
 ジョセフとデルフがなおも軽口のラリーを続けている間、ワルドは間髪入れず次の呪文の詠唱にかかっていた。
 聞き覚えのある『ライトニング・クラウド』の魔法に、ジョセフは内心(アレかッ! さあどうやって避けるッ!)と灰色の脳細胞をフル活動させていた。
「嬉しいじゃねえか! お前ガンダールヴか、うん! そうかそうか、そうだったら話が違う、俺がこんな格好してる場合じゃあないな!」
 叫びを上げた瞬間、デルフリンガーの刀身が輝き出す!
「次は俺の番だぁな! 構えな、相棒!」
 ワルドの『ライトニング・クラウド』が完成した瞬間、ジョセフはデルフの声に反応し、無意識に剣を雷撃にかざしていた。
「無駄だ! 電撃を剣で避けられると思っているのか!」
 だがワルドの叫びもむなしく、電撃はデルフリンガーの刀身に吸い込まれる!

520 :ゼロと奇妙な隠者:2007/11/18(日) 00:07:48 ID:VkHSXspl
 全ての電撃がデルフリンガーを吸収してしまった時、ジョセフが握っている大剣は錆び付いた古めかしいものではなく、今正に磨ぎ上げられたばかりの様な眩い輝きを放っていた。
「ほうッ! デルフ、なかなかいいカッコじゃないかッ!」
「これが本当の俺の姿さ、相棒! てんで忘れてたが、伝説のガンダールヴにゃ伝説のデルフリンガー様がなくちゃしまらねぇ! 剣が使い魔を! 使い魔が剣を引き立てるッ!
 『ハーモニー』っつーんですかあーっ『力の調和』っつーんですかあーっ、たとえるならサイモンとガーファンクルのデュエット! モンティパイソンの演じるスペイン宗教裁判! 武論尊の原作に対する原哲夫の『北斗の拳』! …つうーっ感じっ、だな!」
「お前よくそんな単語ばっか知っとるな」
「多分な、俺はハルケギニアで有名な組み合わせを言ってるはずなんだわ。相棒の脳みそが相棒のよく知ってる組み合わせに翻訳してるんじゃね?」
「なるほど」
「あれよ。さすがに長いこと生きてて飽き飽きしてたんで、ちょいくらテメエの身体変えたんだよ! 面白いこたーなーんもありゃしねーし、俺に近付く連中はつまらん連中ばっかりだったからな!」
「そこでわしがあの武器屋に寄ったッつーワケか!」
「運命ってのは引力めいたモンでな、まさか使い手に再び握られるとは思ってなかったぜ! こうなってくりゃー話が変わる、ちゃちな魔法は全部この俺が吸い込んでやる! この『ガンダールヴ』の左腕、デルフリンガー様がな!」
 必殺の呪文を吸収した剣に、ワルドは思わず舌打ちを漏らした。
「やはりただの剣ではなかったか……だが攻撃魔法を破っただけでいい気になるな! 何故、風の魔法が最強と呼ばれるのか、その所以を見せてやろう!!」
 ジョセフは片手で剣を構え飛び掛るが、ワルドは素早い身のこなしで剣戟をかわしながら呪文を唱えていく。

521 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/18(日) 00:08:22 ID:quVbGo56
何という投下ラッシュ・・・



これは神父復活の前兆と考えていいのか支援

522 :ゼロと奇妙な隠者:2007/11/18(日) 00:09:06 ID:VkHSXspl
「ユビキタス・デル・ウィンデ……」
 呪文が完成すると、ワルドの身体が突然分身していく。
 一、二、三、四体、本体と合わせて五体のワルドがジョセフを取り囲んだ。
「ほう、今更タネの割れた手品を御開帳とはな。もう少し新ネタを用意してもらいたかったモンじゃがな! 『流星の波紋疾走』を初見で避けた時点で、自分の正体バラしとるようなモンじゃないかッ!」
 五体のワルドに取り囲まれながらも、ジョセフの顔には意外さも怒りも全く無い。筋書きも落ちも判っている舞台を自信満々に見せられる時と同じ、呆れた笑みが浮かんでいた。
「ふん、酒場では不意を突かれたが、たかが一体の遍在に貴様は苦戦しただろう? しかもただの分身ではない。風のユビキタス、遍在する風。風の吹くところ、何処と無く彷徨い現れ、その距離は意志の力に比例する!」
「ケッ! 笑わせるなワルドッ! このジョセフ・ジョースターに同じ手を二度も使うこと自体が凡策だという事を身を以って教えてやるッ!」
 左手に靡く毛布を振りかぶり、左足を軸足として回転することで正面に立つワルド達に向かって先制の一撃を放つジョセフ。
「ぬかせっ!!」
 五体のワルドがジョセフの剣と毛布を避け、踊りかかる。更にワルドは一斉に呪文を唱え、杖を青白く光らせる。先程ウェールズ暗殺に用いられるはずだった『エア・ニードル』である。
「杖自体が魔法の渦の中心だ。その剣で吸い込むことは出来ぬ!」
 細かく振動する五本の杖を剣と毛布で受け、流す。しかし相手は五体。ジョセフは一人。
 攻撃する間もなくひたすら防御に徹さざるを得ず、デルフはともかく毛布は度重なる風の渦の衝撃に耐え切れずに端から切り刻まれ、少しずつその大きさを減じていく。
 毛布の切れ端は大きなものは地に落ち、小さなものはワルド達の巻き起こす風に吹かれて巻き上がっていた。

523 :ゼロと奇妙な隠者:2007/11/18(日) 00:10:16 ID:VkHSXspl
「平民にしてはやるではないか。さすがは伝説の使い魔といったところか! だがやはりただの錆び付いた骨董品であるようだな、風の遍在に手も足も出ないようではな!」
 勝ち誇るワルドに、ジョセフは平然と言った。
「あー、ワルドよ。やっぱオマエ、戦い下手じゃわ」
 そう呟いた瞬間、毛布を掴んでいた手の中に隠していたセッケン水の球を、ひょい、と宙に投げた瞬間、ジョセフのコントロールを離れた波紋はセッケン水の球を爆発させた。
 しかし自分の至近距離で炸裂させるモノに殺傷力を持たせるわけには行かない。ただのかんしゃく玉程度の代物でしかなかったのだが。
「むっ!?」
 突如炸裂したセッケン水の爆弾にワルド達が怯んだ瞬間、ジョセフは素早いフットワークで『ワルド達の輪の中央』に入り込んだ。
「目くらましごときでどうにかできると思ったのかガンダールヴ!」
 数瞬の不意を突かれたとは言え、ワルド達にとって致命的な不利を生み出す訳ではなかったどころか、ジョセフは貴重な数瞬を死地に潜り込むに用いただけだった。
 五人は一様に勝ちを確信した邪悪な笑みを浮かべ、一斉に切っ先をジョセフに向けて口走った。
「死ねい、ガンダールヴ!!」
 最もジョセフに近いワルドが、ジョセフを必殺の間合いに捕らえたその時――
(わしだって自分のスタンドが戦闘向きじゃあないことは重々承知しておるッ! ハーミットパープルを放っても必ず相手を捕まえられるわけじゃあないッ……だから逆に考える。避けられないほど隙間無くハーミットパープルを放てばいいんだとな!)
「全開! ハーミットウェブ!!」
 ジョセフの両腕から迸る無数のハーミットパープルが、今正にジョセフに躍りかかろうとした一体のワルドを滅多刺しにし、消し飛ばした!

524 :ゼロと奇妙な隠者:2007/11/18(日) 00:11:26 ID:VkHSXspl
「何!?」
 驚きの声を上げる間もあらば、茨達はジョセフの周囲を縦横無尽に駆け巡り、ワルド達を捕らえ絡め取る!
「我が友、花京院典明の技ッ! 半径20m隠者の結界ッ!!」
 ジョセフはただ無闇に防戦に回っていた訳ではなく、ましてや何の考えもなくワルド達の輪に入り込んだ訳ではない。隠者の結界を張るための準備を着々と整えていたのである。
 ジョセフが用意した毛布、これはワルドの攻撃を防ぐ為のものではなく、『ワルドに切り刻ませる為』に用意していたッ!
 大樹の踊り場で『流星の波紋疾走』を仮面の男が避けた時から、既にジョセフは『ワルドは何らかの手段を用いて分身している可能性』に辿り着いていた。
 魔法衛士隊隊長が初見で回避すら出来なかった攻撃を避ける為には、あの攻撃を目撃するかもしくは知るかしていなければ避けることは出来ないはず。よってこの状況になれば、ワルドが分身を用いないはずはない、と考えるのは当然のことだった。
 風のメイジであるワルドが風を攻撃に用いる場合、考えられる手段として女神の杵亭で見せたウインド・ブレイクに、分身が使ったライトニング・クラウドの他、カマイタチのような斬撃があるという予測に辿り着くのは簡単。
 もしカマイタチがなくとも、ライトニングクラウドに焼かせればよい、という算段もあった。
 しかしてジョセフの読みは完全に当たり、ワルドはジョセフの求めに応じて毛布を切り刻んだ。
 激しい風の巻き起こる空間で毛布の切れ端は風に浮かんで飛び散る。
 後は『毛布の切れ端』に対し、『手の中に残った毛布の残骸』を媒介としてスタンドパワーと波紋を全開にしてハーミットパープルの追跡を行うことにより、半径20mに波紋ハーミットパープルの結界を張ることに成功したのだ。

525 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/18(日) 00:11:35 ID:INzmoDsC
sIen!


526 :ゼロと奇妙な隠者:2007/11/18(日) 00:12:53 ID:VkHSXspl
 ワルドに直接放つより、空間全てにハーミットパープルを敷き詰めればよりワルド達を捕らえられる可能性は高まる。しかも平民に対する貴族の慢心、油断に加えて、一度も見せていないハーミットパープルを満を持して放つ!
 結果。
 一体のワルドが波紋で吹き飛ばされ、本体含めた四体のワルドはハーミットパープルに捕らえられて身動きの一つすら取れはしない。
「く……っ! 貴様、ガンダールヴ! やはり、先住魔法を使うというのか……!」
 懸命に茨から脱出しようともがくワルド達だが、その度に微弱な波紋が走り抵抗を妨害していた。
「フン、先住魔法? 笑わせるな坊主ッ! これはスタンド……魂を具現化した力ッ! オマエのようにバカヅラ晒して得意満面に自分の手の内何もかもバラすドアホウにこのわしが負けるはずァなかろうがッ!」
 ビシ、と指を突きつけたジョセフは、続いて鼠を嬲る猫のような笑みを見せた。
「さぁーて、どいつが本物か確かめんとなァー? 斬って捨てたら判るよなァ〜〜〜〜?」
 ゆらり、と剣を振り上げ――
「これで仕舞いじゃぞワルドッ!!」
「相棒! 右だっ!」
 ワルドへ振り下ろされかけた切っ先が、右から放たれた炎の弾丸へ向きを変え、切り払う!
 見ればニューカッスル城に詰めるメイジ達が駆けつけて来る姿。
(うッわ〜〜〜ァ、もう来たのかッ、せめて後一太刀か二太刀くらい遅れんかッ!!)
 ジョセフの危惧していた事態が、極めて間の悪いタイミングで起こった。

527 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/18(日) 00:12:56 ID:0tRCs0W1
支援
だがちょっと待って欲しい
原作が居なくても蒼天の拳は充分(ry

528 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/18(日) 00:15:03 ID:qqOsdlw8
支援

529 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/18(日) 00:17:56 ID:pCOUwJkI
熱いぜジョセフ&デルフ!

530 :ゼロと奇妙な隠者の代理:2007/11/18(日) 00:18:56 ID:SVqEwVCj
 天守から不穏な爆発が起こり、駆け付けて来れば怪しげな平民とメイジが対峙しているのだ。
 一般的なメイジの思考としては、パーティでも多少紹介を受けたトリステイン魔法衛士隊の隊長に加勢するのは当然過ぎる話である。
 ワルドもまた、この好機を指を咥えて見逃すような愚鈍ではない。
「こいつだっ! ウェールズ皇太子の暗殺を謀って居室を爆破したのはこいつだっ!」
 ウェールズ皇太子暗殺未遂犯の言葉に、アルビオン王国生き残りのメイジ達の杖が、ジョセフに向けられた――!


 To Be Contined →

531 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/18(日) 00:21:40 ID:pCOUwJkI
GJ!
汚いな、流石ロリペド汚い

532 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/18(日) 00:22:40 ID:vCiEGcEq
隠者さんGJでしたあ!
続きが気になりすぎる!
そして亡き友人にちなんだ技の数々に全自分が泣いた

533 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/18(日) 00:23:20 ID:fLEfYAqP
GJ!
土壇場でピンチになるのがジョセフクオリティ

534 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/18(日) 00:24:01 ID:0tRCs0W1
GJ!
ウェールズ皇太子が両方ぶん殴るわけだな?w

535 :ゼロと奇妙な隠者の代理:2007/11/18(日) 00:24:44 ID:SVqEwVCj
以上、投下したッ!
波紋ゆで卵について深く気にしないで頂きたい。イギーの技をパクろうとしたらああいう仕掛けを考えるしかなかったんだ……ああいうのが本当に出来るかどうかは「出来る、出来るのだ」で納得して頂きたいッ!
あと原作っぽく「勝てると思ったら別の要因が絡んで大変なことになる」を再現したりしてみたが後1レスでさるさん食らっちゃったんじゃよ(てへ)
というワケで次回でワルド戦後半! 引きこもりの人も頑張れ!

536 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/18(日) 00:24:49 ID:2K6cWo5b
隠者の結界で涙腺が決壊
GJ!

537 :味見@本スレ出張:2007/11/18(日) 00:31:41 ID:jidphGu9
GJ!
間違いねぇ。このジョセフは第2部の頭脳を持っていやがる……
避難所に投下&読みふけっていて支援できなかったぜ!!!

538 :使い魔は引き籠り:2007/11/18(日) 00:36:07 ID:zdmS2OL0
頑張る!でもイルーゾォは頑張らないかもしれない。
それじゃあ引き籠り行きます。

539 :使い魔は引き籠り:2007/11/18(日) 00:38:05 ID:zdmS2OL0
オレはシエスタに案内された厨房で、今までの人生の中で間違いなく一番美味いと感じるシチューをかなりユルんだ面で食っていた。

「余り物で申し訳ありませんが・・・・おかわりでしたら言って下さいね、まだまだありますから。」
「あ、いや全然お構いなくおかわり。」
「はい、ちょっと待っててくださいね・・・・、ッ。」

慣れた手つきでお玉に手を伸ばしたシエスタは、一度掴んだそれを取り落とす。
「あ、あ、すみません・・・・!」
(――――そうだ、手。)
彼女は先刻、ナイフの上からオレの手を掴んでいる。
人間の皮膚って言うのはかなり弾力がある。それなりの力をかけないと深く切れるって事は無い。
だが、シエスタはメイド・・・・水周りの仕事は多いだろう。
「悪い、痛いだろ」
「だ、大丈夫です大した事ありません!」
「(凄くありそうだ・・・・)これぐらい自分でやるさ。傷はオレのせいだし・・・・明日からの仕事、大丈夫か?」

まあ、答えは大体想像がつく。
出会い頭にナイフを向けるような男を、それでも助けようってんだからシエスタは相当なお人よしだ。
ならば当然

「大丈夫です。」

こう来る。

「・・・・手伝える事、なんか無いか?」
「いえそんな!使用人の人数は足りていますもの、イルーゾォさんはお気になさらずに」
「暇なんだ、仕事でもしてないと潰せない。我が侭をきくと思ってさ」
「そう、なんですか・・・・?」

他人から受けた恩は返すのが当然、こんな放っておいたら面倒ごとを纏めて引き受けそうなお人よしには特に。
(『面倒ごと』本人が思うことじゃあないんだけどな。)
それにあくまで一般人の彼女がスタンド使いに楯突いているのだ。万一の時は、オレが守ってやる必要がある。
そこは最良スタンド『マン・イン・ザ・ミラー』、こと防御には抜群の安定性がある。が、問題は『引き込む』射程が短い事だ。
出来るだけ常に彼女のそばに居る必要が・・・・(下心なんて無いぜ!マジに!)

540 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/18(日) 00:38:28 ID:jidphGu9
S・H・I・E・N!!!

541 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/18(日) 00:39:04 ID:vCiEGcEq
ファンタジーやメルヘンの世界支援!

542 :使い魔は引き籠り:2007/11/18(日) 00:39:36 ID:zdmS2OL0
「あ、それでしたら明日の昼食で、デザートを配るのを手伝っていただけませんか?」
「――――ちょっ」
いやいやいや!あのっ、いや、その・・・・・
(お人よしな上に『天然モノ』なのか?大丈夫か?こいつ、明日にでも死にゃあしないか?)
「で、出来ればガキどもの前には出たくないな・・・・って思ってんだけど」
「何故?」
「見つかると困るから、かなあ」(自信なくなってきた)
「ああ、それなら大丈夫ですよ!これね、お渡ししようと思って借りてきたんです。」
天使の笑顔がぱあっと輝く。うへえ、凄い癒された。もう天然でも全然許す。
シエスタは厨房の奥の方に引っ込むと、何やら服をワンセットそろえて帰ってきた。
男性使用人の制服だ。(メイドばっかりって訳じゃない)これを着ろって言うのか?

「ミス・ヴァリエールの言う『イルーゾォさんの特徴』は『珍しい服装』と『髪型』でした。ですから、これを着れば」

得意げに渡されて、断る事も出来なくなる。
確かにこれから外に出るとき、こいつを着ていればいくらかマシかもしれない。
何か聞かれても「最近入ってきたばかりで、まだよく判らないです」とでも言っておけば自然だろう。
うん・・・・そう思えば悪くない。かもな。

「わかった。じゃあ・・・・ありがとう。」
「いいえ!お仕事を手伝っていただけるならお相子ですよ。賄いで良ければご用意いたしますから、いつでもいらっしゃって下さい。」
「ああ。おやすみ、シエスタ。・・・・あ。」
「?」

見るからに作業効率優先の髪型と化粧っ気のない顔が、こちらを向いている。
「一応聞くけど・・・・手鏡持ってないか?」
「更衣室に姿見ならありますけど・・・・」
「やっぱり気にしないで。じゃあな」

当然、使用人が自分の身なりを気にする暇など無いだろう。
だが・・・・若い女の子なんだし。好きなように綺麗に着飾ったら、とも思う。(女ってそういうのが楽しいんだろう?)
『貴族』と『平民』ってのにどれだけの差があるのかはわからないが・・・・
(オレはシエスタに、もっと何かしてやれないだろうか?)

543 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/18(日) 00:41:46 ID:jidphGu9
さるさんは許可しない〜!

544 :使い魔は引き籠り:2007/11/18(日) 00:41:56 ID:zdmS2OL0
そろりそろりと(今度は周囲に必要以上に気を配りながら)『自室』に帰るオレ。
鏡の中ならば、ドアがドアである限り『マン・イン・ザ・ミラー』は開けられる。
が、どうも『外』のドアには妙な鍵がかかっているらしく(声紋認証か何かか?)確実に『鏡』のあるガキどもの個室が空けられない。
此処からなら便所よりもルイズの部屋の方が近く――――そこも鍵がかかっていたら、便所より他は無いが――――鏡の中に帰る為には
再度外をうろつく必要があった。

そこでオレは本日二度目、さっと血が引くのを感じる。
ルイズだ。寝間着に裸足、蝋燭立てを片手に廊下をうろついている。オレにはまだ、気づいていないようだ。
だが声は小さいながらも強い調子で、「イルーゾォ?聞こえたら返事しなさい」と来たもんだ・・・・誰がするか。
(寝間着っつー事は待ってりゃあその内寝に帰るだろう。今度の持久戦は、オレに分があるぜ)
息を殺して観察する・・・・ルイズは廊下の端まで行くと、Uターンした。まずい、こっちに来やがる。
引き返さなきゃあならないか?いや、何処かに・・・・見つけた。(というか、さっきは何故気づかなかったのか)
一つ。ドアが半開きになっている個室がある。入るか?迷ってる暇は余り無い。どうする?

――――洗面所っつうもんがある以上、個室は『ゴール』だ。

オレはまた一つ小さな『覚悟』をして・・・・音も無く個室へ足を踏み込む。

ルイズの部屋と同じ間取り。家具や部屋の雰囲気は違うが大抵の物の配置は変わらない。
ただ一つ大きく違うのは・・・・

「こんばんは、ようこそ鼠さん。貴方は罠にかかったけれど、しょうがない事だわ。
・・・・・ちょこっと開いてる扉があったら、あたしでも入ってみたくなるもの。そうでしょう?」
褐色肌の勝気な女――――すばやくオレに近づき、何か棒のようなものをこちらに向け口を開く・・・・ッ!

「手厚い歓迎だな?」
何だか知らんがさせはしない。

腐っても、知らない土地で迷子になっていても小娘から逃げ隠れしていても、オレは『暗殺者だ』。
素人ごときがオレに向かって腕を伸ばすより早く、彼女の顎をナイフの腹で持ち上げる。
少し力を込めるだけで。水平方向にすべるように、喉の奥まで食い込むだろう。
女の微笑が引き攣る。「大人の男性って感じ。素敵ね」「グラッツェ。」

「デカい声は出すなよ――――あの小娘に頼まれたのか?オレを捕まえろって」
答えなんか最初から期待しちゃあ居ない。素早く部屋中に視線を走らせる。派手な化粧台を見つけた。鏡もある・・・・『ゴールだ』。

「それじゃあ――――」
「頼まれなんかしたら、誰がやるもんですか!あの子が梃子摺ってるって聞いて、先に捕まえてからかってやろうと思っただけよ」
女は(背格好は女のそれだが、まだまだ少女の様子だ)場違いにも頬を染め、視線を逸らす。
命のやり取りに対して不真面目すぎる――――当然だ。こいつらは、『平和ボケ』してて当然の奴らなんだ。
ガキで、学校なんざ通って、おまけに『貴族』ってんで不自由なくぬくぬく暮らしてる。

「お前、綺麗だな。」
「・・・・は、はあっ?!」
「自分の事を気にかけてる。やっぱ『女の子』ってのはそういう風がいいよ。そういう風が・・・・・じゃあな。」
『マン・イン・ザ・ミラー』、オレと、化粧台の上の『化粧ポーチ』を許可しろッ!
(恐らく、持っていると見た。手鏡だけ取ったら、『外』の適当な場所に捨てておくさ)


そしてオレは無事にゴールテープを切る。
一時はどうなる事かと思ったが、夜の散歩も中々悪くなかったな。『怯え』なければいい結果がついてくるもんだ。
今日のオレは勇ましかった。(部分的には。)
こりゃあ夢見がよさそうだ。それじゃあマン・イン・ザ・ミラー、明日の昼前に起こしてくれ。11時ぐらいがいいな。おやすみ――――

545 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/18(日) 00:42:15 ID:G6u95jVK
うおぉぉ!来た来た来た来たぁ!
支援!支援!支援!

546 :使い魔は引き籠り:2007/11/18(日) 00:44:53 ID:zdmS2OL0
投下終了。他暗殺チームよりカッコよさ9割減でお送りしております。
鏡警備員、シエスタについて考えるあまり色気の出し所を間違える。情熱フラグ。

ルイズは・・・・ルイズはアレだよ、きっとギアッチョとかが幸せにしてくれるよ

547 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/18(日) 00:46:11 ID:jidphGu9
GJだろ常識的に考えて……
ここまでいい意味で先が見えないのは仮面のルイズ依頼だと個人の感想を書いてみる。

548 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/18(日) 00:48:58 ID:G6u95jVK
>>546
つまりキュルケフラグも建ったという事でFA?
シブイねぇ〜。オタク実にシブイねぇ〜。


諸君、私は巨乳が好k(ry

549 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/18(日) 00:50:40 ID:vCiEGcEq
GJでしたあ!
イルーゾォ可愛いよイルーゾォ
しかし、鏡の中に消えたのは見られただろうから、
そろそろ彼の平穏は終わる……のか?

550 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/18(日) 00:51:51 ID:TEpTzBy6
チクショウ。投下祭りに参加したかったが
描きあがるまで1時間以上はかかる。

無理っぽいな。

551 :風と虚無の使い魔 ◆/4V68E5Ojg :2007/11/18(日) 00:55:21 ID:0tRCs0W1
もういっぱああああつ!
10分に投下するぜ!たぶん!
遅れたら利根川先生の今回まだその時と場所までは(ry のセリフに思いをはせてください

552 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/18(日) 00:58:22 ID:Veia1/Lg
>>550
「描きあがる」?「描く」
絵師ディシ!絵師ディシ!

そして>>551 こいッ!

553 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/18(日) 01:03:06 ID:802HFKoA
普通に口説き文句系統の言葉が出てくるあたりイル蔵くんもイタリア人なんだね。

554 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/18(日) 01:05:46 ID:GNxo8JZk
引き篭もりGJ!
たまにはキュルケと本気でフラグ立てる奴がいてもいいと思う。



555 :風と虚無の使い魔 ◆/4V68E5Ojg :2007/11/18(日) 01:10:34 ID:0tRCs0W1
ふるえるぞワムウ!燃え尽きるほどエシディシ!刻むぞ輝彩滑刀の流法!
サンタナカーズの柱の男たち!

AC/DCのイメージはエシディシっぽいですけど
wham!はワムウっぽくないですよね

投下します

556 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/18(日) 01:11:29 ID:G6u95jVK
>>554
キュルケとっ!フラグを立てるですってっ!ガボッ!
なんてっ!頭の良い子っ!でしょうっ!ガボガボッ!

557 :風と虚無の使い魔 ◆/4V68E5Ojg :2007/11/18(日) 01:11:37 ID:0tRCs0W1
「キュルケにしてはなかなか趣味のいい店だったじゃない」
「ルイズにはもったいないくらいの店だったわね」
「なによ、ツェルプストーとヴァリエール、どっちが上かわかってないようね?」
「あら、そんなわかりきったことゼロのルイズでもわかってると思ってたわ」

三頭の馬の横をシルフィードが並んで飛行している。

夕日も沈み、明かりはほとんどない。
故に、学校の明かりがよく見える。

「きゅいきゅい!(翼よ!あれがパリの灯だ!)」
シルフィードが明かりを見つけて鳴く。
「到着」

馬を御者に預け、校庭を横切ろうとする。

「ふう、今日はほんと疲れたわ」
「あんたなんて二回目に負けただけじゃない、一番の功労者はタバサ連れてきた私よ」
「キュルケなんかカード触ってすらいないじゃない!」
「・・・・・・あの、お取り込み中悪いんですがメイドの寮は裏側なので私はここで」
「ああ、うん。わかったわ、楽しかったわよ」
「ええ、私たちもね」
キュルケ達も笑って返事をする。

「そういっていただけると光栄です。それでは、いい夢を」
シエスタは暗闇に消えていった。

「ふぁーあ、私たちもとっとと寝ましょうか」
三人は寮に向かって歩き出す。
「では俺も寝させてもらおうか」
「じゃあね、ワムウおやす…ってもう居ないし」

ワムウは風のように森の方向へ飛び去っていった。

「前から思ってたけど……ルイズ、あなた色々と大丈夫?」
「大丈夫、ってなにが?」
「あんなの使い魔にしてよく平気でいられるわね」
「慣れよ、慣れ」
「だってあんな大男、歩くだけで今みたくドシンドシンって音がしそうじゃ……この音、どっから鳴ってるの?」

どこからか地鳴りのような低い音がする。
「あっちの方から聞こえる」
タバサが宝物庫の方を指す。
「宝物庫の方ね……行ってみましょう」

宝物庫の横に巨大なゴーレムが立っており、壁を殴打していた。

「な、なによあれ!」
ルイズが叫ぶ。
「誰か人が倒れてるわ!」
ゴーレムの横に倒れている人を見つけ、タバサがシルフィードを呼び出す。
「乗って。助けに行く」

全員が飛び乗り、倒れている人影をシルフィードの上に拾い上げる。

558 :風と虚無の使い魔 ◆/4V68E5Ojg :2007/11/18(日) 01:12:38 ID:0tRCs0W1
「あなたは…オールド・オスマンの秘書のミス・ロングビル?」
「は、はい…あのゴーレムが急にあらわれて、私が近づいたらゴーレムに攻撃されて……
たぶんあれは、あの『土くれのフーケ』に違いないですわ!」
ロングビルはぶるぶると震えていた。体は外気に晒されていたせいか、冷たかった。

「あの『土くれのフーケ』!?ってことは宝物庫の宝を狙ってるに違いないわ!」
そうしてルイズは杖を抜き出し、シルフィードの上からゴーレムを狙って魔法を唱える。
「『ファイヤーボール』!」

しかし狙いから逸れ、宝物庫に穴が空く。
その穴から土くれのフーケとおぼしき人影が入り込む。

「なにやってるのよルイズ!」

シルフィードを穴に近づけようとするがゴーレムが腕を振り回し、近づけない。
そうこうしている内に、人影はなにかをひっつかんだまま再びゴーレムに乗り、校庭を身軽に突っ切っていく。

シルフィードを駆って追いかけるが、校庭の真ん中のあたりで、ゴーレムは崩れ、メイジはいなかった。


 * * *


翌朝。
「それで…君達とミス・ロングビルが犯行の現場を見ていたわけだね?」

校長室に呼び出されたルイズ、キュルケ、タバサ。
厳重に管理されていた『破壊の杖』が盗まれたとあって、学校は混乱していた。

「はい、あの校庭にある土の塊が元はゴーレムで…タバサの使い魔で追いかけていたんですが、
ゴーレムが崩れたときにはフーケらしき人物はもういなくて…」

「ああ、なんたることだ!これもミセス・シュヴルーズが当直をしなかったせいだぞ!どう責任をとるんだね!」
昨晩の当直であったミセス・シュヴルーズを教師の一人が追求する。形骸化しているとはいえ、
彼女が一応当直であったのは事実だった。

「これこれ、ミスタ・ギトー君、あまり女性を苛めるでない…それに、幸運が一つある」
もったいぶるようにオールド・オスマンは話を止める。

「オールドオスマン、幸運とは何なんでしょうか?」
ルイズが尋ねる。

「あの『破壊の杖』は使い方が普通の杖に比べ複雑でな、使い方はわしとわしのある友人しか知らん。わしは自衛できるし、
そのもう一人の友人さえ守ればただの棒っきれにすぎん。珍しい形状じゃから売るのも苦労するじゃろうしな」

オホン、と咳をし続ける。
「そして、わしが頼みたいのは……そのもう一人の友人の護衛じゃ、フーケ討伐ならともかく、一見関わりの無い者の
護衛となるとやはり自前でやらねばならない。誰か、名乗りをあげるものはおらんかね?」

教師たちは誰も手を上げない。
オスマンはため息をつく。
「仕方が無い、嫌かもしれんがミスタ・コルベ…」

そんな中三人が話しに割り込む。
「私がやります!」
「やれやれ、ルイズがやるなら私も負けられないわ」
「心配」

559 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/18(日) 01:13:15 ID:jidphGu9
マブイSSズラ!支援するズラ!

560 :風と虚無の使い魔 ◆/4V68E5Ojg :2007/11/18(日) 01:14:36 ID:0tRCs0W1

コルベール先生が叫ぶ。
「君達はまだ生徒じゃないか!」
「あら、だって誰も出ないんですもの。こんなチャンス、ツェルプストー家の娘として逃せませんわ」
「私もよ!目の前でみすみすと盗まれて、それっきりなんて言えないわ!」
「仕方ない、では頼むとしようか」

それを聞いてすくっとロングビルが立ち上がる。
「オールド・オスマン、念のため御者としてでも私を同行させてください。私もフーケの犯行を目撃した身、
なにもやらないでのうのうとしているなんてできませんわ」
「そうか、ではよろしく頼むぞ。君たちのことは伝書鳩で先方に伝えておく。昼間までに用意しておいてくれ」

「わかりました、この任務、ぜひとも成功させて見せます!杖にかけて!」


オスマンがサラサラと書き上げた手紙を伝書鳩にくくりつける。
空の彼方へ伝書鳩は飛び立って行った。

 * * *


一人の男が伝書鳩に気づく。
「む……あれはオスマンのサウェジガーデンではないか!」

鳩についている手紙をとり、水と餌をやる。
「なになに、破壊の杖…なにッ!我が軍の結晶であるパンツァーファウストが盗まれただとッ!」

男は読み進める。
「ふむ、護衛が四人、ルイズ・フランソワーズ……フフ、皮肉なものだな。総統を護衛する役目の俺と武器の使用法が
護衛されるとはな……だが、俺の体ならば護衛などいらんと思うのだがな…まあ可愛い女性が来るというのはそれはそれで嬉しいがな…」


伝書鳩は、再び空へ舞い上がった。


To Be Continued...

561 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/18(日) 01:14:46 ID:0RGqTP7f
Sien

562 :風と虚無の使い魔 ◆/4V68E5Ojg :2007/11/18(日) 01:15:37 ID:0tRCs0W1
投下終了!
あまりのラッシュだったためにちょっと焦ってしまったような気がしないでもない


563 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/18(日) 01:17:28 ID:jidphGu9
ちょwwww
世界一の人ですかァ〜〜!!!
GJ!

564 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/18(日) 01:21:38 ID:fLEfYAqP
GJ!
このスレのォォォクオリティはァァァ素晴らしいィィィ!
ってかハイムさァァん!!

565 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/18(日) 01:24:04 ID:vCiEGcEq
ワムウ様GJってか世界一ィィィ!
あれ、確か面識あった、よね?大丈夫か?

566 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/18(日) 01:26:32 ID:SHCn/RUY
うほっ!いい投下ラッシュ
全員GJだっ!

567 :偉大なる使い魔:2007/11/18(日) 01:26:47 ID:OHNQlS7N
>>482
>>483

無茶をおっしゃる


でも投下する!

568 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/18(日) 01:28:19 ID:fLEfYAqP
>>567
マジに来ただと!?
う、うろたえるんじゃあない!ゼロ魔スレ住人はうろたえない!支援

569 :偉大なる使い魔:2007/11/18(日) 01:28:47 ID:OHNQlS7N
「プロシュート、見ててくれた?わたし、スクエアのワルドに勝ったのよ」
「ああ・・・見事・・・だったぞ・・・ルイズ」
「あとは帰るだけでしょう、さあ行きましょう」
「ルイズ・・・お前だけで行くんだ・・・オレは・・・もう・・・動けねえ」
プロシュートは、もう喋ることさえ苦しそうだ。
「いやよ!一緒に帰るのよ」
「任務を・・・やり遂げろ・・・ルイズ・・・オレが死んでも・・・お前が・・・
手紙を・・・持って帰る・・・ことが・・・出来れば・・・
それが・・・オレたちの勝利だ!」
「わたしたちの・・・勝利」

「ゴホッ・・・ウェッ・・カ八ッ・・・ゴホゴホッ」

激しい咳き込み。それはプロシュートじゃなくワルドのものだった。
「くそ・・・この『閃光』がもはや後れを取るとは・・・」
「ワルドォォォォ」
ワルド・・・ボロボロだが傷は塞がっていた。
「今の治癒で精神力をほとんど使ってしまったよ・・・
今日のところは引くとしよう。ルイズ、きみはいずれ『虚無』に目覚め・・・
そして聖地を目指すことになるだろう、その時にまた迎えに来るよ僕のルイズ」
予言じみた台詞を残しワルドは部屋から出て行った。
姫さまに手紙を届けないといけない。でも、プロシュートを置いては行けない。
そのとき・・・プロシュートの横たわった隣の地面が盛り上がった。


570 :偉大なる使い魔:2007/11/18(日) 01:30:20 ID:OHNQlS7N
「な、何?」
ぼこっと床石が割れ、茶色の生き物が飛び出してきた。
「ヴェルダンデ!」
ヴェルダンデは、またしても体をまさっぐてきた。
「こら!ヴェルダンデ!どこまでお前は穴を掘る気なんだね!いいけど!
って・・・兄貴イイイイィィィ」
ヴェルダンデが掘った穴からギーシュが出てきた。早くなんとかしなさいよ。
「ルイズ!一体なにがあったというのだね?」
ギーシュがヴェルダンデを止め、わたしに詰め掛けた。
「・・・ワルドが裏切ったのよ」
「あの子爵、裏切り者だったの?」
穴からキュルケとタバサも這い出てきた。
「タバサッ!」
プロシュートが助かるかもしれない。
「おねがいタバサ、プロシュートに治癒の魔法を」
しかし、タバサは首を横に振るだけだった。
「どうして?おねがいよタバサ!」
キュルケがタバサの前に出てきた。
「ごめんなさい、ルイズ。
わたしたち、ラ・ロシェールの戦いで精神力を使い切っちゃたのよ」
・・・そんな、助かったと思ったのに。
「うう・・・」
!!プロシュートがうめき声を上げる。
「そこに・・・居るのは・・・ギーシュ・・・か?」
「兄貴!」
ギーシュがプロシュートの側に跪いた。
「どうして・・・ココに?」
「『水のルビー』です。ヴェルダンデは、その匂いを辿りここまできました」
ギーシュがプロシュートに手を差し出す。


571 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/18(日) 01:31:39 ID:zdmS2OL0
ちょっ!兄貴!支援支援

572 :偉大なる使い魔:2007/11/18(日) 01:32:28 ID:OHNQlS7N
「この穴から敵に見つからず、脱出することができます。さあ行きましょう!」
「で・・・でかしたぞ・・・ギーシュ・・・
良く・・・やった・・・助かったぞ・・・気が・・・きいたな」
「ありがとうございます兄貴」
「ギーシュ・・・頼みが・・・ある」
「なんなりと」
「オレを置いて・・・ルイズを・・・連れて・・・逃げろ・・・頼ん・・・だぞ・・・」
それっきり、プロシュートは喋らなくなった・・・。
「はい・・・任せてください」 
ギーシュは低いが力強い声で答えた。
「プロシュート!」
わたしは血で汚れるのも構わずプロシュートに縋りついた。
「こんなことで、あなたが死ぬはず無いじゃない」
プロシュートの生命の鼓動はスデに止まっていた・・・
「プロシュートォォォ」
礼拝堂にわたしの絶叫だ響いた。
「ううう。ごめんなさい、ごめんなさい、わたしのせいで・・・」
泣き喚くわたしの肩にギーシュが、そっと手を置いた。
「さあ行こうルイズ、騒がしくなってきた。そろそろ、ここも危なくなってきた」
「ねえギーシュ、頼みがあるの」



573 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/18(日) 01:33:33 ID:jidphGu9
兄貴を死なせたりするモンかっ! SHIENだ!支援するぞ!

574 :偉大なる使い魔:2007/11/18(日) 01:34:10 ID:OHNQlS7N

「君もかい、なんだね?」
ギーシュは、しょうがないと言った口調で聞いてきた。
「プロシュートに『レビテーション』をお願い。せめて弔ってあげたいの」
すまなさそうにギーシュは首を振った。
「すまない、僕も魔法を使い切ってしまったんだ」
わたしは弔ってあげることもできないの。
「兄貴も言ってたじゃないか、オレを置いて行けと」
「嫌よ、使い魔を見捨てるなんてメイジのする事じゃないわ!」
「ルイズ」
「なによ・・って」
ギーシュはわたしのマントを?み引きずり起こした。
「失礼!」

ぱしん

ギーシュの平手打ちが、わたしの頬を叩いた。
「なにすんのよ、ギーシュ・・・!」
・・・ギーシュ・・・泣いているの・・・。
「気持ちはわかるが置いて行くしかないんだ・・・
ルイズ・・・僕は・・・その『手紙』に何が書いてあるか知らない。
だが姫さまが、この様な非常時に取り戻して欲しいと無茶を言うぐらいだ。
もし失敗したらどうなるか、君なら分かるだろう」
ゲルマニアとの婚約破棄。
トリステインは単独で戦争に挑まなくなくてはならない。
メイジだけでなく平民もたくさん死ぬわね。
「わかったわ」
「ありがとうルイズ。グズグズしてられない、ついてきたまえ」
ギーシュ、わたし、タバサ、そして最後にキュルケが穴に入る。
「キュルケ、すまないが側に落ちていた絵で穴を塞いでくれたまえ・・・
しばらくは、それで誤魔化せると思う」
「ええ、わかったわ」
わたしたちはアルビオンを脱出し、無事、姫様に手紙を返すことが出来た。


575 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/18(日) 01:39:18 ID:zdmS2OL0
嘘だろう兄貴‥‥

576 :偉大なる使い魔:2007/11/18(日) 01:39:47 ID:OHNQlS7N

>>574 ギーシュは、わたしのマントを?み引きずり起こした。



577 :偉大なる使い魔:2007/11/18(日) 01:41:35 ID:OHNQlS7N
また間違えた


>>574ギーシュは、わたしのマントを?み引きずり起こした。


578 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/18(日) 01:42:12 ID:5pdvgW4l
もしクロムウェルが兄貴を操ろうとするのならッ!俺たちは怒りを覚えざるをえないッ!違うかッ!?

579 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/18(日) 01:43:29 ID:VkHSXspl
みんなそんなにエピタフしないであげてくれんかwwww

580 :偉大なる使い魔:2007/11/18(日) 01:44:07 ID:OHNQlS7N
>>574 ギーシュは、わたしのマントをつかみ引きずり起こした。

なんどもスマン

581 :偉大なる使い魔:2007/11/18(日) 01:46:15 ID:OHNQlS7N
ここは、トリステインの王宮。
姫さまの居室に、わたしと姫さまがいる。
キュルケたちは別室で休んでいる。
わたしは、ことの次第を説明した。
ウェールズさまの死を伝え『風のルビー』を渡すと、姫さまは上の空になった。
あと『水のルビー』を返そうとすると断られた。
ホントにいいのかしら。

王宮から帰る途中。アルビオンのことを振り返る。
城に置き去りにしてしまったプロシュート。
もう弔ってあげることも出来ない。
どうしたら喜んでくれるかしら。
プロシュートは特に不平不満を言ってた訳じゃない
買ってあげた物といえば、ソファーと剣くらいね。
どうすれば・・・

『成長しろ』!ルイズ。『成長』しなきゃあ、オレたちは『栄光』をつかめねえ。

成長しろ・・・栄光をつかめ・・・か。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・         ・・・・・・・・・・・・・
栄光をつかんでやる・・・
『虚無』のメイジになってやるわ。
歴史に名を残しやる!偉大なる『虚無』の担い手として。
そしてその偉大なる使い魔、プロシュートの名前を
トリステインに・・・いや・・・ハルケギニア全土に、その名を轟かせてやるわ!



582 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/18(日) 01:46:58 ID:vCiEGcEq
ここで三部を読んだばかりの自分が兄貴生存説を提唱するねッ!

583 :偉大なる使い魔:2007/11/18(日) 01:48:07 ID:OHNQlS7N
>>578

正解!

584 :偉大なる使い魔:2007/11/18(日) 01:49:29 ID:OHNQlS7N
・・・夢を見ている・・・・
夢を見ている時に、その事を認識できるなんて結構めずらしいわね・・・
でも、真っ暗だ・・・何も見えないわね。
これから何が始まるのかしら?
子供の時の記憶?脈絡の無いストーリー?
・・・それとも、プロシュートの体験?

・・・声が聞こえてきた・・・
「・・・・・」
「・・・・・・・・・・・」
フーケとワルド?
「どうした、土くれよ。貴様もあの連中のように、宝石を漁らんのか?」
「私とあんな連中といっしょにしないで欲しいわね」

「あらら。懐かしのウェールズさまじゃない」
「そんな奴は放っておけ」
ウェールズさま?何も見えないのが、もどかしい。

「ひっ!ぷ、プロシュート!」
「ふっ、ガンダールヴか」
プロシュート?
「あんた、マジでこの男に勝ったんだね・・・
正直、やられると思ってたよ・・・」
「ああ、正直に言うと、まともに戦っていれば負けていたな」
「なら、どうやって勝ったんだい、教えておくれよ?」
「始祖ブリミルのご加護だ」
「ああ・・・そう」
フーケの返事から聞くんじゃなかったと、うんざりとした声が聞こえた。
始祖ブリミルのご加護か、なんという皮肉。


585 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/18(日) 01:54:22 ID:7ChU6GwN
>>583
ちょw潔いwww

586 :偉大なる使い魔:2007/11/18(日) 01:55:08 ID:OHNQlS7N

「子爵!ワルド君!件の手紙は見つかったかね?」
聞いたことが無い男の声が聞こえてきた。誰だろ?
「閣下。どうやら、手紙は穴からすり抜けたようです。私のミスです。
申し訳ありません。なんなりと罰をお与えください」
閣下?
「何を言うか!子爵!きみは目覚しい働きをしたのだよ。
敵軍の勇将を一人で討ち取る働きをしてみせたのだ!
ほら、そこに眠っているのは、あの親愛なるウェールズ皇太子じゃないかね?
誇りたまえ!きみが倒したのだ!彼は、ずいぶんと余を嫌っていたが・・・
こうして見ると不思議だ、妙な友情さえ感じるよ。ああ、そうだった。
死んでしまえば、誰もが友達だったな」
ウェールズさまが敵将ということは・・・
この男が貴族派レコンキスタの閣下・・・

「子爵、そこの綺麗な女性を余に紹介してくれたまえ。
未だ僧籍に身を置く余からは、女性に声をかけずらいからね」
僧籍・・・この男、神官なの?
「彼女が、かつてトリステインの貴族たちを震え上がらせた
『土くれ』のフーケにございます。閣下」
「おお!噂はかねがね存じておるよ!
お会いできて光栄だ。ミス・サウスゴータ」
「ワルドに、わたしの名前を教えたのは、あなたなのね?」
「そうとも。余はアルビオンのすべての貴族を知っておる。
系図、紋章、土地の所有権・・・司教時代に全て諳んじた。
おお、ご挨拶が遅れたね」
「『レコン・キスタ』総司令官を務めさせていただいておる、
オリヴァー・クロムウェルだ。元はこの通り、一介の司教にすぎぬ・・・」
司教、オリヴァー・クロムウェル・・・


587 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/18(日) 01:55:12 ID:zdmS2OL0
兄貴の死を、偉大なる死を愚弄する事は許さないぞ!
頑張れ成長ルイズ

588 :偉大なる使い魔:2007/11/18(日) 01:57:39 ID:OHNQlS7N
「ワルド君。ウェールズ皇太子を、是非とも余の友人に加えたいのだが。
彼はなるほど、余の最大の敵であったが、だからこそ死して後は
良き友人になれると思う。異存はあるかね?」
「閣下の決定に異論が挟めようはずもございません」

「おはよう、皇太子」
「久しぶりだね、大司教」
間違い無い!ウェールズさまの声だ。
「失礼ながら、今では皇帝なのだ。親愛なる皇太子」
「そうだった。これは失礼した。閣下」
「きみを余の親衛隊の一人に加えようと思うのだが。ウェールズ君」
「喜んで」
何を言っているんですか、ウェールズさま。





「この男かね?」
「はい、この男は間違いなく我らの『力』となるでしょう」
「ほう、ワルド君の、お墨付きとは心強い」
真っ暗な視界に光が差し込む。
ここは、あの礼拝堂だ。
そこには、ワルド、そのワルドに隠れる様にフーケが立っている。
目の前に知らない男が立っている。こいつがクロムウェルなの?
その隣にウェールズさまが立っていた。
目の前の男、クロムウェルが口を開いた。
「はじめまして。ミスタ・プロシュート」
プロシュート!?これはプロシュートの記憶なの!?
『レコン・キスタ』総司令官を務めさせていただいておる、
オリヴァー・クロムウェルだ、きみは不思議な『力』を
使うそうじゃないか。一つ、それを我々のために
見せてはくれないかね」
プロシュートがアンタなんかの言うことを聞くはず無いじゃない。
「ああ、かまわねえぜ」
・・・・・・・・・・え?
クロムウェルが左手を差し出してくる。
やめて・・・やめて、やめてー!!

跪いてクロムウェルの左手にキスをした・・・・・


うああああああぁああああああああああ・・・・・・・・・
許さない、絶対に許さないわ!!
オリヴァー・クロムウェル
ヴァリエールの名に懸けて必ずお前を八つ裂きにしてやる!!


589 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/18(日) 02:01:42 ID:7ChU6GwN
今までで一番許せんクロムウェルだな

590 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/18(日) 02:02:28 ID:WE7ZStOD
無性に腹の立つ組織だ支援

591 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/18(日) 02:03:23 ID:0tRCs0W1
諸君らの愛した兄貴は死んだ!なぜだ!
支援だからさ

592 :偉大なる使い魔:2007/11/18(日) 02:04:34 ID:OHNQlS7N


投下終了!



この後はどうなるかって?
半不死身と化した兄貴がトリステイン学院を襲来します。

避難所に行けと言うのなら行くし。
チラシの裏に書いてろと言うのなら、もう投下しない。

だが、シナリオはスデに完成している!


593 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/18(日) 02:05:14 ID:vCiEGcEq
これは悪い夢に違いない!
なんだ夢か、じゃあ寝よーっと支援

594 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/18(日) 02:05:16 ID:5pdvgW4l
>>583 すまねぇ……だが……自分で言ってなんだが、俺は今、確かに怒りを覚えているッ!

595 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/18(日) 02:05:31 ID:zdmS2OL0
こんなにクロムウェルを『ブッ殺す』と思っているのに
『ブッ殺した!』と言えないのが兄貴に申し訳なくて仕方ない

という事でGJ

596 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/18(日) 02:06:47 ID:TEpTzBy6
もう投下する奴はいない?

時間稼ぎもこれまでか…。あきらめよう。

597 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/18(日) 02:06:47 ID:5pdvgW4l
言い忘れる所だった……GJだ。
このルイズからはレコンキスタに常にエクスプロージョンを撃ち続けても余裕が有りそうな程の『怒り』が見えるぜ。

598 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/18(日) 02:07:57 ID:0tRCs0W1
>>596
逆に考えるんだ、短編を書いて自分で時間稼ぎ…ってあれ?

599 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/18(日) 02:08:21 ID:jidphGu9
シナリオができていると思ったのならっ!本スレに投下するんだよぉ〜!
『○○分後に投下する』なら使っても良い!

600 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/18(日) 02:09:09 ID:7ChU6GwN
兄貴GJ!避けられないであろうルイズと兄貴の戦いが哀しすぎるな

601 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/18(日) 02:12:27 ID:VkHSXspl
くそ! 美味しいシーンと美味しい展開の組み合わせ!
シーンが展開を! 展開がシーンを引き立(ry
この後を本スレに投下するんだGJ!

602 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/18(日) 02:18:04 ID:2K6cWo5b
この兄貴は土壇場でクロムウェルの支配を上回る精神を発揮し直触り→ミイラバキバキのコンボをかましてくれると信じてる

603 :偉大なる使い魔:2007/11/18(日) 02:20:02 ID:OHNQlS7N
NG
「ようワルド、腕の具合はどうだ?」
プロシュートが声を掛ける。
「別に、たいしたことはないさ」
ワルドの後ろに目を向ける。
「フーケ隠れてないで、出て来いよ」
「はっ、はい」
「フーケ・・・まっ、これから宜しくたのむわ」
右手を前に差し出した。
「え・・・あの?」
「握手だよ、握手。ほら仲直り」
「は、はあ・・・」
フーケは震えるばかりで手を差し出そうとはしなかった。
「おいフーケ、オレを怒らしてお前に何か得でもあんのか?」
「ありません!一エキューたりともありません!」
フーケがオズオズとプロシュートの手を握った。
「と、油断したところで『グレイトフル・デッド』!」
「ひいいいイィ」
「ははは、わりいわりぃ。あんまりビクビクしてっからついな、許せ」
「うううう・・・はい・・・グスン」


604 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/18(日) 02:21:57 ID:0tRCs0W1
NG集自重しろw

605 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/18(日) 02:37:09 ID:zdmS2OL0
なんという萌えフーケwww

606 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/18(日) 02:37:55 ID:/6tT7dbr
糞ワロタw

607 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/18(日) 03:23:02 ID:VD5IzNKX
いかんなぁ…こっちの兄貴ももう少しだが…
この超スゴイ!流れから空気になっているのではないかと…不安だよぉぉ〜〜〜ボス…電話…ください…

608 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/18(日) 04:14:29 ID:EFhhviHD
最大の味方が敵に操られるというまさに王道!!
もう目が離せないGJ

609 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/18(日) 04:30:43 ID:u9ENFsQn
そして最後は「俺ごとやれ!」とか言えたりしちゃうシチュエーションよね。

610 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/18(日) 05:01:26 ID:a9x60g9c
エピタフやめれw

611 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/18(日) 09:17:40 ID:+e0HGpIK
>>607
待ってるぜ兄貴!

612 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/18(日) 09:50:29 ID:WMAxwyj3
再召喚すると何が出るかな?

613 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/18(日) 09:57:44 ID:+6KTiYfC
>>612
魚とか?

614 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/18(日) 10:12:30 ID:yRgsNqcc
擬似的な命とはいえ現使い魔がまだ生きてる状態だから
再召喚はまだできないんじゃね?

ともあれまったく展開の違う二つの兄貴長編見てると
すでに誰かが立派な作品を書いているキャラで
自分も書く事ができるんじゃないかという希望がわいてくるな。

615 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/18(日) 10:17:02 ID:HLaaXOzd
良い物語は脳を刺激するからな。

616 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/18(日) 10:41:23 ID:6c4PbHnK
力を見せろ、と言われて左手に触れたとき「直触り」だと思ったのは俺だけではないはず

617 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/18(日) 11:58:13 ID:99MKuFlq
スタンドを使って心臓を停止して
スタンドを使って心臓マッサージで甦った上で
忠誠を誓ったように見せかけて
「コレが俺の、最後のグレイトフルデッドだ受け取れ……」
だと思ってた自分も居ますよ

うん、昨日三部を読んだばかりなんだ

618 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/18(日) 12:50:09 ID:fLEfYAqP
昨日からの投下ラッシュにうろたえているので整理させて欲しい!
あ、ありのまま投下した順番を書くぜ!

アン康一
風虚無1回目
いぬっ1回目
ジョルノ&亀ナレフ
いぬっ2回目
偉大1回目
サブゼロ
隠者(同時刻避難所にて味見)
引き篭り
風虚無2回目
偉大2回目

う、うろたえr(ry

619 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/18(日) 12:51:55 ID:YkDynmae
脅威のオラオラだな

620 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/18(日) 12:54:34 ID:Wplnm073
2回目が多いのがすげぇ

621 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/18(日) 13:00:22 ID:/TCZsDN+
>618

そこに書いてあるの、ほとんどまとめに入れさせていただきましたが・・・

>603

は登録するべきなんでしょうか・・・?

622 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/18(日) 13:02:40 ID:YkDynmae
履歴長すぎワロタ

623 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/18(日) 13:08:20 ID:HLaaXOzd
>>620
皆シルバーチャリオッツ+アヌビス神を装備していたんだよ!!

624 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/18(日) 13:12:54 ID:YkDynmae
>>623
じゃあ誰か一人か二人三回目に突入しなきゃいけねーじゃねーかw

625 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/18(日) 13:14:08 ID:fLEfYAqP
きっとアヌビス神を攻撃にしてたんじゃね?よくわからんが

626 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/18(日) 13:21:00 ID:HLaaXOzd
しかし一回はMissったんだ。

627 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/18(日) 13:32:42 ID:Wplnm073
アヌビス装備したままDIOの骨投げないように注意しないとな

628 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/18(日) 13:52:16 ID:HLaaXOzd
つまりはデータのロスト…(((((;゚Д゚)))))

629 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/18(日) 14:20:07 ID:MlOg9FF5
主要装備DISC入れたアレ投げちゃったりすると目も当てられないな


630 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/18(日) 14:28:28 ID:0Ky0fNwo
>>620の二回目の投下があって超スゴイッ!ってのは分かるんだが、
その後の、アヌビス装備とか、骨投げとか何の話なんだ…?
データロストって何のことなんだよぉォォォ!?



631 :名無しさん@お腹いっぱい:2007/11/18(日) 14:29:11 ID:QgRkWKci
後釜はペッシ召喚で

632 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/18(日) 14:35:18 ID:/ZvKHCtC
>>630
『ディアボロの大冒険』でググってみてくれ
フリーソフトで時間泥棒な、JOJOマニアでシレンジャーな人におススメなゲームだ

633 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/18(日) 14:35:56 ID:WN/Paewk
>>632
シレンジャー吹いたw

うん…まあ……試練だけど…

634 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/18(日) 14:35:59 ID:fLEfYAqP
>>630
つ【ttp://kmqsoft.blog88.fc2.com/】

635 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/18(日) 14:45:04 ID:0Ky0fNwo
>>632
>>634
うわwこれはヤバイwww
俺、シレン好きなんだよぉ〜。
thx.^^

>>933
そう、これは『試練』なんだ…。
明日仕事があるから夜更かししちゃいけないことは分かってる。
でも、この『試練』を乗り越えれば、俺は幸福に到達できるんだ。



636 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/18(日) 15:09:00 ID:kue6KLOC
いや、『試練』なのは分かるが程々で控えようやw
ゲームで会社に遅刻なんて目も当てられんぜw

637 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/18(日) 15:13:54 ID:lDrrHcZn
なんというロングパス
>>933はそれ相応の試練を用意しておくように

638 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/18(日) 15:20:18 ID:0Ky0fNwo
間違えたw
>>633
そう、これは『試練』なんだ…。
明日仕事があるから夜更かししちゃいけないことは分かってる。
でも、この『試練』を乗り越えれば、俺は幸福に到達できるんだ。

>>933の人ゴメン!試練無し!!

>>636
今日は夜更かしなんてしないからw

639 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/18(日) 16:21:43 ID:kue6KLOC
オーノーだズラ。お前もう今夜は完徹確定ズラ。

640 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/18(日) 17:41:34 ID:jLioQ44y
>>933に到達する前に、スレん中がパンパンになるッ!」にポルナレフの魂をベット!!

641 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/18(日) 17:53:31 ID:fLEfYAqP
寧ろ900前に500kbに達するに!
魂を賭けよう!(635の)

642 :ゼロの方の兄貴:2007/11/18(日) 19:06:37 ID:VD5IzNKX
さーて、一応書きあがったが、視点が兄貴のためルイズ&才人側が妙に少ない
それでも投下してもいいかなー?(タモさん)

643 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/18(日) 19:08:54 ID:hLxYPdmt
いいともー

644 :ゼロの兄貴:2007/11/18(日) 19:11:11 ID:VD5IzNKX
明るくなってきた頃妙な重みを感じ目を覚ましたが、前。
「なんだこりゃあ…」
正確に言うと、視線の斜め下75°の先に黒い髪。
シエスタの頭があって本気でビビった。
おまけに顔をこちら側に向けているため、スーツの胸のあたりに思いっきり涎の跡が付いている。

普通に考えると、ちょっとばかりアレでナニな状況で人に見られたらモノ凄く誤解されそうだが
正直、今のシエスタさんには魅力もクソも何も無い。
素面でやってるのなら平均値を上回る胸が当たっているだけに効果はそれなりにあるかもしれない。
…が、ここに居るのは潰れた酔っ払いの成れの果て。
脱いだら結構凄いのにそれなりに重要な局面で悉く空回りしているのが勿体無い。
したがってプロシュートにとって、今現在のシエスタも手の掛かる弟分扱いである。不憫。

もっとも、この唯我独尊がデフォルトな元ギャングに目上として扱われる者はそう居ない。
暗殺チームにおいても、リゾットが唯一それに該当し、後はペッシを除いてほぼ横。
ましてリゾットが居ないこの地においては、表面上はともかく芯のとこでは『平等に価値が無い!』と言わんばかりに目上という扱いが無い。
ルイズはもちろんのこと、アンリエッタですらまだまだ甘ったれたマンモーニで、オスマンに至ってはただのスケベジジイという扱いである。
老若男女、生物であるならば一切合財の区別無く平等に老化させるというスタンド能力はここから来ていると見て間違いないはずだ。

首を曲げるとゴギャンと良い音がした。
妙な体勢で寝たというのもあるだろうが、人一人がもたれ掛かってる状態が続いていたのだ。
一瞬、どういう状況か理解できずに、頭の中にメローネがパク…インスパイアされて作った『生ハム兄貴』なる歌が流れたが、思い出した。
「ああ…クソッ…!こいつが潰れて離れなかったんだったな…」
さすがに、もう掴まれてなかったので引っぺがしてベッドに運んでやる。
本来なら放り投げるとこだが、寝起きは低血圧のため若干対応が柔らかい。
イタリア人的に考えれば、色々と何かやっててもおかしくないが
ご存知プロシュートはそういう方面では全く以ってイタリア人的要素を持っていないため、メローネのような事にはなりはしない。
ただ、ご存知兄貴気質のため、これが少なからずとも世話になっていたシエスタでなければ、問答無用で蹴りが入っているところである。

645 :ゼロの兄貴:2007/11/18(日) 19:13:24 ID:VD5IzNKX
少しすると、苦しそうな寝息を立てはじめる。
「そりゃあ、潰れるぐらい飲めばな…」
床に転がっている酒瓶を見て呆れ気味に呟いたが、シエスタは何かうなされているような感じだ。
「…あうう…よ…妖精さんが……圧迫…祭り……」
「このヤロー…圧迫されてたのはこっちだってのによ」
まぁ、なんのこっちゃとも思ったが『圧迫祭り』という言葉に心当たりは無い。
ただ、妖精さんは心当たりがあるので、機会があればついでに聞いてみる事にしようと決めて部屋の外に出た。


「っはうあ!……今…おぞましいほどの悪寒が…何事!?」
襲撃を受けた暗殺者かというぐらいの速度で飛び起きたのはご存知エレオノールだ。
妖精さんは広まっていなかったが、新たな火種を抱えてしまいダブル・ショックである。
だがッ!鞭を振るっている時に僅かながらだが高揚感があったのも確かッ!
無論、『女王様』などという称号は頂きたくもないし、認めたくも無いので無かった事にしてしまっているが。
それでもッ!背筋にゾクッときたものがあるのも事実である。

グビィ
喉の奥の方で生唾飲み込むと、御愛用の鞭を手に取り振ると先端が中空を斬り風切り音が鳴る。
…が、今現在は何の感情も沸いてこない。
「気のせいね…まったく…それもこれも全部あの平民のせいだわ…」
重ねて言うが、一応あれでも貴族の子弟である。
とりあえず、まだ薄暗い時間帯だ。普段忙しい中での久しぶりの帰省である。もう少し寝なおす事に決めた。

なお、夢の中で『圧迫祭り』が開催されていたのは言うまでも無い。

646 :ゼロの兄貴:2007/11/18(日) 19:15:53 ID:VD5IzNKX
「あう…いたた…」
プロシュートが出てからおよそ一時間後ようやくシエスタが目を覚ましたが、二日酔いであろう頭痛を感じ頭を押さえていた。
状況確認のために辺りを見回すと転がっている酒瓶が視界に入り、一応の理解はしたようだ。
「そう言えば…夕飯の時に一杯ぐらいならって思って…ど、どうしよう…もし失礼な事でもしてたら…」
失礼どころか一犯罪犯しかけたのだが、酔っ払いには二種類ある。
酔ってる時の記憶が綺麗に飛んで何も覚えていないタイプと、酔ってる時の記憶がしっかり残って起きてから後悔するタイプに分かれる。
シエスタは前者と見て間違い無い。
「でも、なにか良い事があったような…」
必死になって記憶を探ったが、思い出せそうにない。
一つだけ、誰かを掴んで一緒に居たような気はしたが。
「夢だわ…夢!……たぶん」
リアルでやってたらと思うと、顔から火が出る思いだったので夢だと思い込む事にした。
もっとも、現実だったらそれはそれで良かったのだが、相手は手の届かない所に行ってしまってるだけに夢としか思えなかった。
が、それはそれ。
未だ戻ってくると信じている。当の元ギャングがどう思っているかは知らないが強い子である。
ただ、シエスタの不幸は酒癖が悪い事であり、二日酔いになるまで飲んでいなければもう一時間ばかり早く起きれてご対面できたかもしれない。
まあ、その場合は説教確定なので運が良いのか悪いのか。

そうしているとシエスタが少しばかり悶え始めた。
どうも夢と思っている内容から妄想が発展気味になっているようだ。
「……や、やだわ、わたしったら…で、でも」
R指定一歩手前…もとい、突入していたのだが、まぁ例によってそういう小説を読んでいたのだから仕方無い。
妄想力(もうそうぢから)は、かなり高い方らしい。突っ走るタイプとみて間違いない。
生憎のところ部屋には一人。止める者なんぞいやしない。
もうスデに頭の中では幸せ家族計画まで構築されており、色んなデートプランが練られている。
本人が聞いたら説教間違いなしだが、突っ込む事ができるものは存在しないのだ。
自重という文字は今現在、存在すらしていない。多分、今のシエスタはエコーズACT3やヘヴンズ・ドアーですら止められない。
おかげさまでテンション絶賛上昇中でカトレアが扉をノックする頃には、タルブで二人してワインを造っているというとこまでに発展していた。

647 :ゼロの兄貴:2007/11/18(日) 19:18:23 ID:VD5IzNKX
廊下を適当に歩いていると随分と騒がしくなってきた。
大体の事は分かっている。ルイズの親父、つまり、ヴァリエール家公爵が帰ってきたらしい。
「さて…あの頑固親父を説得できるかどうか見物だな」

まー無理だろうとは思うが、やらないよりマシというとこだ。
防御側が五万に対して侵攻側が六万。数の上では勝っているが本来、侵攻側が確実に勝つには防御側の三倍の兵力を要する。
急な侵攻計画で準備期間も足りず、学生を徴用するようでは無謀だとパパンは反対している。
プロシュート自身、戦略的に正論だと思わんでもないが
この際、やるからには精々ハデにやらかして陽動してくりゃあいいと思っている。
つまるとこ、説得できようができまいが、どうなろうとどうでもいいということだ。

だが、そこに一つ疑念というか気にかかるものが浮かんだ。
(おいおい…オレは何時からロハで仕事するようになったんだ?)
自分でもそう思わないでもないが無理も無い。
パッショーネに属していた時でさえ、一応の報酬はあった。
スデに恩義も返しフリーな身である以上実利的な面からしてクロムウェルを殺る理由が無いのだ。
ただ、感情的な面から言えば別だ。
アンドバリの指輪の件で大分ムカついているのである。

前ならば、報酬無しで動くなぞ考えられなかったし、基本的に感情に流される事無く一切の区別無く対象を始末してきた。
組織に敵対したのも、組織から不当な扱いを受けたからというチームとしての実利的な面から取った行動だ。
本来なら、アンドバリの指輪の件では、自分や借りのあるヤツが直接害を蒙っていないので感情のみで動く理由も無かったはずだ。
だからこそ、そこに生じた矛盾に多少戸惑っている感はある。
「やれやれ…考えたところで仕方ねーな」
そのあたりは変わったつもりは無いが、それは自分でそう感じているだけで外から見ればどうなっているか分かったもんではない。
リゾットあたりが、この状況下におかれていたらどうすっかなとも思ったがそんな仮定を考えても仕方無い。
とにかく今は、濃いオッサンのために掃除なんぞする気も無いので昼頃までバックレる事に決めた。
この元ギャング、雇われている身でありながら実に自由人(フリーマン)である。

648 :ゼロの兄貴:2007/11/18(日) 19:21:19 ID:VD5IzNKX
空を流れる雲を寝ながら眺めているプロシュートだったが、未だ警戒は怠ってはいない。
場所は池のある中庭の小島の影。
城の中から死角でサボるには非常に適切な場所であるため、結構気に入っている場所である。
バレたらバレたで表面上適当に『すいませェん』とでも言っときゃいいと思っている。
まぁ、バックレると言っても特にする事もなく、何も考えてはいない。ただ単に空を見ているだけだ。
実際のとこ、ここまで空を見てみるのも久しぶりだ。
今までやる事成す事全てにおいて血の臭いが漂っていたが
こういうのも性には合わんがたまになら良いかもしれんと思ったとこで足音に気付き、軽くその方向を見ると思考を呼び戻し瞬時に行動させる。
ルイズが半泣き状態でこちらに向かってきているからだ。
さすがに、こいつにバレたら洒落にならんという事で身を隠したが、ルイズは小船の中に潜り込み毛布を被ると本格的に泣き始めた。

どうやら、パパンの説得は見事失敗したらしい。
放っておいてもよかったが、性分からして、こういうのを見るとつい説教しに出ていきたくなる。
「あー、クソ…鬱陶しいな。この腑抜けがッ」
遠い暗殺より目の前の修正…もとい教育。
一発殴って気合入れてやろうかとも考えたが、それをやると、今までやっていた労苦が水泡と帰す。
不測の事態でバレるのは致し方ないとしても、自分からバラすなぞ最たる愚考だ。
石で勘弁してやろうとし、適当な大きさの石を掴み投げようとしたが、また足音が聞こえた。

こちらも見知った顔だ。
昨日酒をくれてやったばかりのマンモーニ。
それが池に入り、ルイズが入った船の毛布を剥ぎ取りなにやら言っている。
細かい事までは聞こえなかったが、カトレアが馬車を用意したらしいが、何故かルイズが拒否している。
今にもドシュゥーーz___という音を出しながら投げようとしていた石を後ろに捨てるともう少し様子を見る事にした。

649 :ゼロの兄貴:2007/11/18(日) 19:23:02 ID:VD5IzNKX
「いくら頑張っても、家族にも話せないなんて。誰がわたしを認めてくれるの?
  皆、わたしの事なんて魔法が使えない『ゼロ』としか思ってない。なんかそう思ったら、凄く寂しくなっちゃった」
ルイズはそう言ったが、一人だけ自分を相応に認めてくれていた者が居た事は知っているが
それは、もうここには居ない。
才人が着た時シルフィードの夢で見た内容と被って思わず頭を押さえたのだが
今になってみれば、まだ夢と同じように説教された方が良かったかもしれない。

「俺が認めてやる。俺が、お前の全存在を肯定してやる。だから、ほら立てっつの」
さっきよりも小さくなったルイズを見て、何かに本格的に目覚めそうな才人がそう言ったが
自信とやる気がほぼ『ゼロ』になっているルイズにはあまり意味を成さない。
「何が『認めてやる』よ。上っ面だけで嘘つかないで」
「嘘じゃないっての」
「…汗かいてるじゃない。今回の戦だってどうせ姫様のご機嫌取りたいんでしょ。キスなんてしてたし」
非常に冷たい声だ。DISCが刺さっているのならホルスかホワイト・アルバムだろう。
「ばば、馬鹿お前、あれは成り行きで……」
「成り行きでキスするの?へぇ〜そぉー。もう放っといてよ」
言い訳無用な感じで言葉に詰まった才人だったが、続くルイズの言葉にいきなりキレた。

ルイズが『主人をほったらかして何やってるのよ…』と小さく呟いたのだが、才人には妙に大きく聞こえたのだ。
ルイズを主人にするのは使い魔たる才人だが、それはここに居るから才人の事では無い。
ルイズは思わずそう思ってしまって口に出ただけだが、先代。つまりプロシュートの事だ。
いたがって対抗心全開の才人からすれば『こうかは ばつぐんだ!』である。

「バカか?お前は!」
「なによ!誰がバカよ!」
「じゃあ大バカだ!誰か好き好んでお前みたいなわがままでえったんこのご主人様の使い魔やってると思ってるんだっつの!」
「か…!誰が板よ!よ、よくも言ったわね!この…犬!」
「いや、板とは言ってない!でも何度でも言ってやる!
  正直な、俺だって戦なんて行きたくないし元の世界に帰りたいんだよ!そんなに前のヤツがいいなら、そいつと行けよ!」
「だったら帰ればいいじゃない!そうすればもう一度サモン・サーヴァントができるわ!」
売り言葉に買い言葉だが、二人とも似たタイプだけに止まらないし並大抵の事では止まらない。
ルイズとしてはポロっと口にしただけで、才人も先代の名前を出したからこうなっているが、両者とも本心ではない。

650 :ゼロの兄貴:2007/11/18(日) 19:24:34 ID:VD5IzNKX
「……っかー、見てらんねぇ。痴話喧嘩じゃあねーか」
横で聞いている方からすれば、ガキ同士の喧嘩だ。それもかなりレベルの低いやつ。
思いっきり聞かれている事なぞ露知らず喚き散らす二人を見て呆れたものの
これ以上ここに居る気も無いので見付からないように中庭から離れたが、少し目が暗殺者のそれに変わった。
池の方を見るとカトレアを除いたヴァリエール家御一行とほぼ全ての使用人が池を取り囲むようにしている。
理由は分からんが、なんかやったのだろう。

体験した限りガンダールヴなら大丈夫だろうとも思ったが、考えてみれば才人は丸腰だった。
「こいつは…『HOLY SHIT』っつーんだったか?ありゃ死んだな」
武器が無ければ一般ピーポーである才人なぞ、まな板の上の鯉。まさに俎上の魚だが
あのウルセー剣を渡すつもりは無い。あんなのに知れたら一発でバラすだろうからだ。
回収するにしてもそのまま盾として使うつもりでいる。
無ければ向こうは困るだろうが、こっちだって困る。
一国のボスを殺るからには、それ相応の下準備というか、明確な弱点と能力特性があるだけにできる限りは伏せておきたいのだ。
ホワイト・アルバムやマン・イン・ザ・ミラーなら、こんな面倒な事せずに楽でいいのだが。

無論、ここで老化を使うと確実に巻き込んでバレるので、使う事はできない。
ルイズ達自身で乗り切って貰わにゃならんのだが、どうやらそうもいかないようだ。

何かが池に落ちた音がしたが、これはルイズが才人を突き落としたせいらしい。
続いて、やたら威厳のある声が聞こえてくる。
「ルイズを捕まえて塔に監禁しなさい。一年は出さんからな。
  で、あの平民な。えー、死刑。メイジ36人集めてウィンド・カッターで輪切りにして瓶に詰めて晒すから台を作っておきなさい」
「かしこまりました」
モノ凄く覚えのある処刑方法を聞いて、決めた。
殺しはしないが、そのうち一回シメると固く誓う。
直接手は出せないので、まず、前のように自身を老化させ、適当なやつから武器を奪う。
何か言いたそうだったが夢の世界へと無理矢理ご出席して頂く事で解決した。
ルイズは小船のなかで半分呆けているので丁度いい。
取り囲まれてパニクっている才人目掛け剣を投げた。

651 :ゼロの兄貴:2007/11/18(日) 19:25:56 ID:VD5IzNKX
「やべぇかもな…」
淡々とギャング的処刑法を命じるヴァリエール公爵を見て本気でヤバイと思い始めたが
急ぎだったのでデルフリンガーは持ってきていない。
今にも『ズッタン!ズッズッタン!』というリズム音が聞こえそうだったが、そこに風切り音がして目の前に剣が一本抜き身のまま突き刺さった。
思わず飛んできた方向を見ると、昨日見たばかりの顔を見て少し躊躇したが目が合った。
そうすると、親指で自分の後ろを指差し、続いて同じように親指で首を掻っ切るように走らせ、それを下に向けた。
『さっさと行かねーと、オレがオメーを殺す』
意味合いは違うが、助けてくれたと判断して剣を引き抜くとルーンが光る。
放心しているルイズを肩に担ぐと走り出す。
すれ違う瞬間に頭を下げ侘び入れながら駆け抜ける。
元使い魔としては別段驚く速度ではなかったが、それを知らない連中はおったまげている。
「ななな、何しとるんじゃああああァーーーッ!」
一拍置いてヴァリエール公爵の素敵なシャウトが響き渡るが、もうスデに遠い所まで行ってしまっていた。

放心したところを背負われたルイズだったが、使用人の一人とすれ違い、顔を少し上げ、その背を見た時少し違和感を感じた。
何故だかよく知っている気がしたからだ。
だが、背負われているため、それはどんどん小さくなる。
「ま、待って!戻って!」
「無理言うな!」
戻って確認したかったが、戻れば『輪切りの才人』が出来上がる事になる。
諦めたのか大人しくなったが、やはり妙に気になっていた。

この前の雨で辛うじて生き残っていた煙草に火を付ける。
煙草を吸うときは、ムカついた時と一仕事終えた時であるから、一応ミッションコンプリートである。
公爵の素敵なシャウトが轟き、そっちの方に目をやるとプッツンした公爵と使用人連中が後を追い、蒼白を通り越して白くなった顔の公爵夫人がブッ倒れ運ばれている。
暗殺を達成したような気分で煙を吐き出すと、その煙の向こう側から良い感じに強張った顔のエレオノールが音を出しながらやってきた。

652 :ゼロの兄貴:2007/11/18(日) 19:27:58 ID:VD5IzNKX
「…どういうつもり?」
「何がだ?」
「あの平民に剣を投げ渡した事よ!」
見られてたが、少し遠かったので老化してた事はバレていないようだ。
「アレか。言うだろ?オレは馬に蹴られて死ぬってのはゴメンなんでな。大体、妹の心配するより先に、てめーの方を心配した方がいいんじゃあねぇか?」
「くぐ…うるさい!今日という今日はどうなるか分かってるんでしょうね。父様や母様に知れたらクビじゃ済まないわよ」
「気にしなくてもいいぜ。今日で辞めるからよ。ああ、そうだ。ついでに一つ聞きたかったんだが…『圧迫祭り』って何だよ?」
どの道、これ以上ここに居ても得る物は何も無さそうだ。
そろそろ、別の場所で動くべきだろう。いっその事アルビオンへ乗り込んでもいいが、船が出ているどうか微妙なところだ。
「な…何故それを…!」
またしても息を吐き出し崩れ落ちたエレオノールだが、それを見て何かあるなと思い追撃を仕掛ける事にした。
「人それぞれだからな、知られても死にはしねぇだろ」
「ああ…あのメイド…よりにもよってこんなヤツに……!」
例によって聞いちゃいないようだ。
「まぁ気にすんな。強く生きろよ」
もう完全に勝ったと思いエレオノールに背を向け煙草を吸ったが、殺気を感じた。

後ろを振り向くと手に鞭を持ちゆっくりと立ち上がっている。
「ヤッベ…やりすぎたか?」
「フフフ…口封じしないと…そう、まずは…」
言うが否や鞭が振るわれる。
それに当たるプロシュートではないが、エレオノールの妙な迫力には若干引いている。
「おい、戻ってこい」
こいつも、ルイズと同じと判断したが、どこか意識がブッ飛んでいる感じがしないことも無い。

どこか意識が飛びながら鞭を振るうエレオノールだったが、あの時感じた高揚感を感じていた。
(これよ…!これでないと!!)
今はまだ鞭が当たっていないが、当たればそれが確証に変わるという事は分かっている。
理性の面では認めたくないが、その理性がブッ飛んでいるので止まりたくても止まらない。

半分トリップしたかのような顔で鞭を振るうエレオノールを見て、そういう事かと判断したが、このままされるままというわけではない。
「なんで周りにこんな面倒なヤツしかいねーんだよ…いい加減戻って…来い!」
「か…ッ!」
非常に良い音がしたが、それもそのはず。
重なるようにして拳がエレオノールの鳩尾に入っているからだ。
ギャングを辞めたとは言え、その力はまだまだ衰えてはいない。
「ベネ(良し)…ま…そのうち起きんだろ」
一呼吸置いて、今度こそ間違いなくエレオノールが崩れ落ちた。

653 :ゼロの兄貴:2007/11/18(日) 19:29:16 ID:VD5IzNKX
寝ている面だけなら、何時もキツイ顔してるヤツには見えないんだがな。
そんな事考えていると跳ね橋が上がる音が聞こえてくる。
そこまで面倒見きれんとして、橋が上がる様を見送っていたが、鎖が変色し土に変化した。
『土くれ』ことフーケを思い出したが、そんなもんがここに居ない事は確認済みだ。
この屋敷であいつらに手を貸しそうなメイジと言えば一人しかいないので正体はすぐ分かったが。


街道の向こうに遠ざかる馬車を窓から見つめたカトレアだったが、激しく咳き込んだ。
遠距離で『錬金』を唱えたからで、遠距離型スタンドを無理に使ったような感じだ。
普通なら精神力の消耗だけで済むが、カトレアの場合肉体的にもかなり疲労する。

少し意識が遠くなって倒れかけたが、間髪入れず猫草が空気クッションでフォローしている。
「ありがとう、大丈夫よ。もう平気」
「ウニャン」
そう言って猫草に笑みを浮かべると丸まって寝始めた。
とことん自由な生物(ナマモノ)である。
完全にこの家に居付く気だ。まぁベースは植物なので動けないのだが。

そこにいつの間にか扉近くに立っていたプロシュートが壁にもたれながら声をかける。
ヴァリエール家の使用人が着ている服ではなく、お馴染みのスーツ姿だ。
一応才人の部屋も回ってきたがデルフリンガーは無かった。一応回収はされたらしい。
「よぉ、アレはお前か。中庭の場所教えたのもそうだろ?面倒見がよすぎるってのもどうかと思うぜ」
「あらあら、あなた程じゃないわ」
兄貴と呼ばれているだけの事はあって、面倒見のよさにかけては定評があるプロシュートだ。
笑いながらそう言ってきたがぶっちゃけ反論の余地が無い。
「ちっ…言い返せないってのが洒落なってねぇ」
一応、本人もその辺りは自覚しているが、最後まで調子を狂わせてくれるヤツだ。
天敵というのはこういうのをいうのだろう。
もちろん、殺ろうと思えば殺れる相手だが、顔見るだけで毒気を抜かれてしまうような感じだ。
なんというか、オーラそのものが違う領域で同じ生き物と思いたくない。

654 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/18(日) 19:36:28 ID:2K6cWo5b
ベネ
じゃねぇよwww
支援

655 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/18(日) 19:38:50 ID:2K6cWo5b
支援

656 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/18(日) 19:46:00 ID:3fMSSWi6
携帯からセルフ支援だ・・・
これで駄目なら非難する

657 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/18(日) 19:55:24 ID:+GJ1EVSA
さるに掴まったか…?支援!

658 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/18(日) 19:58:10 ID:BGqguKYj
避難所に来てる支援

659 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/18(日) 20:00:13 ID:+GJ1EVSA
では代理投下といこうか

660 :ゼロの兄貴(代理):2007/11/18(日) 20:02:37 ID:+GJ1EVSA
「あいつらはどうした?」
「もう行ったわ。この子みたいに何時までも籠の中の鳥じゃないって事ね」
その視線の先には籠の中で包帯を巻かれていたつぐみだ。
笑みを浮かべながら中に手を伸ばすと、つぐみが手の上に乗った。
包帯を外されたつぐみを、ものスゴク輝いた目で猫草が凝視していたので布を被せたが
そうしていると、カトレアが窓から手を出し2〜3語りかけると、空へと飛び立って行った。
布を被せるのが少し遅れていたら、潰れたつぐみを食べる猫草という、少しばかり精神的外傷を残しそうな光景になっていたので間に合ってなによりだ。

「それじゃあオレも行くか。面倒かけたな」
「ええ。あなたにも、始祖のご加護がありますように」
例の鋭い勘によって出て行く事を分かっていたようで、特に驚きもされなかったが。
「ああ、言い忘れたが、ファッツ(大蛇)は最近食いすぎだ、控えさせろ。チャリオッツ(虎)の毛並みが最近悪いから、一度診て貰った方がいい。それから…」
今まで仕事で世話してきた危険動物達だが、状態はしっかり把握している。
仕事の内容に関しては手を抜いたつもりは無い。
そして、続きを言おうとすると、笑いながらカトレアに止められた。
「やっぱり、あなたの方が上ね。この子達の事はもういいから、代わりにルイズと、その騎士殿の事をお願いするわ」
そうすると、少しばかり真剣な目でカトレアがプロシュートを見つめた。

「あの子、ワルド子爵の件ではもう落ち込んだりしてなかったけど
  また、あの子の居場所が無くなったら取り返しが付かなくなるような気がするの。だから…」
「あー、分かった、分かった。見れるとこでならオレのやり方で両方纏めて面倒見てやんよ」
無論、本気で見れる範囲内の事でだ。手の届かない場所の事は知った事ではないし
守るよりも攻めを得意とするので、クロムウェル暗殺をやらんといかんなと一層思う。
頭を潰せばどんな生き物でも死に至る。それが例え組織でもだ。
レコン・キスタやパッショーネのような新興組織なら、なおさら頭を潰された時の混乱は大きい。
その隙を付いて麻薬ルートを乗っ取ろうとしただけに現実味がある。

661 :ゼロの兄貴(代理):2007/11/18(日) 20:04:22 ID:+GJ1EVSA
「ったく…にしても人の事心配できる立場じゃねぇだろうが」
本来なら、カトレア自身が身体の弱さから心配される立場だ。
「いいのよ。あの子には先がある。私と違ってね」
そう言って目を閉じたカトレアだったが、それを聞いたプロシュートがカトレアの頭を一発叩いた。
「病人に言いたかねーし、やりたくもないんだが、この際だ。ついでに言わせて貰うぜ。
  誰がオメーに先が無いって決めた。医者か?他人に言われて限界決めてんじゃねぇ。どうせなら最後まで足掻いてみろよ」
出来て当然と思い込む。
精神そのものを具現化するスタンド使いにとって大事な事だが、非スタンド使いにも言える事だ。
病は気からという諺もある。
やりもしないでハナっから投げ出すというのは、この男の最も嫌うところである。

しばらく呆然として俯いていたカトレアだったが、いつもと変わらない笑みを浮かべ顔を上げた。
「そうね。見てるだけじゃなくて私も…」
そこまで言ってプロシュートの姿が無い事に気付いた。
寝ている猫草に向けて杖を振ると、鉢が浮きカトレアの腕の中に納まる。
相変わらず、気にした様子も無くゴロゴロと音を立てている猫草を見てカトレアが決めた。
今度、この動けない猫草を自分が連れて街へ出てみようと。
やれるやれないは関係無い。そう思うだけでも十分だった。

プロシュート兄貴―無職!
エレオノール姉様―『未』覚醒!
猫草―ヴァリエール家に根を張る

662 :ゼロの兄貴(代理):2007/11/18(日) 20:06:05 ID:+GJ1EVSA
投下したッ!
サル喰らうまで支援が無いとは…皆飯を食ってるのか
それとも完全スルーなのか…ああ!そうさ!露伴先生のような気分さ!

------------------------------------------------------
代理投下したッ!支援間に合わなくてごめんよ兄貴ィ!

663 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/18(日) 20:16:45 ID:AeF5Q07F
兄貴ゴメンよ、コンビニ行ってたんだ


664 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/18(日) 20:20:14 ID:jidphGu9
ごめんよ兄貴〜
本当に飯食ってたんだ。
それはそうとGJ! エレノア未覚醒となwww

665 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/18(日) 20:26:03 ID:fLEfYAqP
GJ
ゴメン兄貴!風呂入ってた!
兄貴無職ってwまあ確かにそうっちゃそうだがなあw

666 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/18(日) 20:40:08 ID:kjMp9rtX
ごめんよ兄貴
外出してたんだ
GJ!

667 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/18(日) 20:52:10 ID:ekPX7baD
ちがうぜ兄貴
「これから支援する」とか「支援しよう」なんて言葉は俺達には無いよッ!
「支援」と思った時にはッ!………………既に投下は終わっていたッ!

すいませェん

668 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/18(日) 21:18:45 ID:otIbtp0R
         _..  - ―‐ - ._
        , '"          \
      /"レ'/  /\_. へ、 ∧lヽ
     / /´ {/ノノ ,ィ爪Yハ`′  ',
   /  / // ノ´    ヽ ', l
   |  /   //   :    ', l |
   | l| l  /     .::     ,,l !l |       >>1-667君だっけ?
   |l |l |  ド==、、::  ,r='"-| ! |        立ってばかりいるのも何だから
  ノ|| |l l  |t‐t・ッテ,  ィrt・ッラ|l  |         ここ座んなよ
≦ノノll│ |  |. ´¨~〃 .,,_ ヾ~´ .|l lト、
_./ノ|l | |  l:.   ゙:. ′゙    ,'|l l|ヽヾニ=‐       お茶でも飲んで
‐''"ノ| | |  ト、     `''"__  /:l  l\ー-`ニ=-       話でもしようや・・・
:::´ノ,l li l  | ヽ、 '‐ニ-'' ,イ:::l  lヾミヽ::l
:::‐"/ / ハ l  | ヽ ヽ、._"_/ l:::! l`ヽ、`二>‐
:::::/ノ/ } i l― -、ヾ三/ __ll l::::::::::::::`>― ---- 、
::::"´:::::::;.' ノ、 ', ⊂) 〈フフ  _,l l::::::::::::r'´ /¨>'"  )
:::::::::::::://::| ヽ ⊂⊃ノ7 '"´l _l. ― 、`='-、/( _,∠ヽ
:::::::::/´:::(cl=  ⊂二ノ   ,r'‐、  ‐= }   `ヽ |   }
:::::::::::::::::::::::`l   ⊆¨l  ハ __ノ} <l ,' ⊂) 〈フフ\-‐'´}
::::::⊂) 〈フフ:::l    ⊂ 」  { `¨´ l_> / ⊂⊃ノ7  ヽ/}
::::⊂⊃ノ7:(cl"´┌i 00 V ム Δ /   ⊂二ノ    l/}
::::⊂二ノ:::::::::l`⊂ ⊃   {` ー''"     ⊆¨l   l/
:::::::::::⊆¨l::::::::l (フl」<)=、‐-∨⌒ヽ     ⊂ 」   /
 ̄ ̄⊂ 」 ̄ ̄ ̄r'rブノ   `  ',   ┌i 00 // ̄ ̄
  ┌i 00'" ̄ ̄} }} ̄ ¨''‐、____ノ_  ⊂ ⊃ //
  ⊂ ⊃ |`` ========''"r==、ヽ-(フl.」<)‐'´
  (フl」<) ',          ノ   } }

669 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/18(日) 21:20:42 ID:1YPbw7IV
>>668
          _,,.. -‐ゥゥュ、
        ,.ィ´_:(;;;{:::f:::;;_:::::゙i
 .      /,. '"-/ } 、_..._゙ー‐ヘ
       i´二二',  '´ _.._`  ∧
 .     l _.. -‐ /   / 。 ヽ t..}   ンまあーいっ!
 .      l_    〉   ヽ-‐ク  Yヽ
      f ヽ-‐'、   .,..ノ _,,...='=il ,. -、._
      入へ   ヽ. ,イ F-‐‐シl.l_/ ⌒ヽ)
      /ヘヽ、)、   i/  ';::::_::ニ二ヽ、__んノ
  ⌒ヽ  /¨ハ ハ /l   ヽ'  ヽ\!   ¨
 \  ∨iノ:::::\ V     `二ヽ-1      
 ::::::',   ',:::::::::::::::\ ー- ..,,__   )ノ.    ,.'"  ̄¨ブ!
 ::::::::i.   ト、:::::::::::::::::゙>ゥク  ̄      l` ー ¨  l
 :::::::::!   j∧::::::::::::::::::://        i      l
 :::::::::l   /(O\::::::://         l ,.-、 r'T ̄¨i
 ::::::::::!  / /  ヽ\ ̄/          入 ノ  >‐‐、ノ
 :::::::::;'/ /   l::::::ゝ{:!          { ノヽ、..{_ム-‐、)
 ::::::/:/     !:::::::::::l::\        ヽ   し-‐、ノ

670 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/18(日) 21:24:56 ID:yRgsNqcc
お、おくやすー!

671 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/18(日) 21:25:12 ID:/ZvKHCtC
>>668
あんた姉妹スレでもお茶出してたじゃねーかw

672 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/18(日) 21:27:35 ID:7BVWfDWQ
今日は急に冷えたからね。そういう日は近くなったり多くなったりした経験あるでしょ?

673 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/18(日) 21:45:26 ID:5wdn6gyP
>>672
いくらなんでも、そんなにはでねーよwww

674 :風と虚無の使い魔 ◆/4V68E5Ojg :2007/11/18(日) 21:54:55 ID:uAg3HBUm
GJだよ、プロシュート兄ィ!!
兄貴の覚悟が!「言葉」でなく「心」で理解できた!

書き上げるって思った時は、兄貴ッ!
すでに投下は始まっているんだね。

投下します。

675 :風と虚無の使い魔 ◆/4V68E5Ojg :2007/11/18(日) 21:55:58 ID:uAg3HBUm
「昼間まで、ねえ。馬車はあと一人乗れるみたいだし…ワムウはどこにいったのかしら…」

護衛の任務を受けたルイズは、キュルケと自分の使い魔を探す。

「あんた、自分の使い魔も呼べないの?」
「仕方ないでしょ、あんた達の使い魔とは決定的に違うんだから」
「まあ、そうよね…仕方ないわよね」

敷地内の森の中に入っていく
「ワムウッ!用事があるの!とっとと出てきなさい!」
「なんだ、騒がしいな」

上から声が聞こえる。
巨木の上からストンと降りてくる。

「ワムウ、出かける準備をしなさい」
「今度はなんだ」
「私が任務を受けたの、重要人物の護衛よ。詳細は馬車で話すからとっとと来なさい」
ルイズは身を翻す。

「断る」
「はぁ?」
「お前が受けた任務をなぜ俺が手伝わなければならん。俺をあてにして受けたならば、諦めて死んで来い。
それに、俺は護衛などやったこともないし、護衛しなければならないようなか弱き人間も護衛も嫌いだ」
「あんたは私の使い魔でしょ!これは命令よ!」
「使い魔は主人の身を守ると言っていたが、わざわざ火中に進む主人は別に止めん、俺もこうみえて忙しいのでな」
「なに屁理屈こねて…ちょっと待ちなさい!」

走り去るワムウに二、三発呪文を飛ばすものの、周りの木の幹を折るだけであった。

「どうすんのよ、ルイズ。オールド・オスマンもあと一人として彼を期待して席を空けたようだし…とにかく誰か一人連れてこないと」
「タバサが風、キュルケが火だから…ミス・ロングビルにはあまり戦わせたくないし…土か水がいると便利かもしれないわね」
「土ねえ、なんだか嫌な予感がするのう」

予感はもちろん的中した。
「やあ君たち、護衛の任務を受けたって?土属性をお探しなら、このギーシュ・ド・グラモンを…」
「えーと、水属性といえば…」
「最低ラインは欲しいわね」
二人は平然と流す。

「待ちたまえ!無視しないでくれよキュルケもルイズも!君たちを探してたんだ!」
「あんたと付き合う趣味は無いわよ」
ルイズにはとりつく島も無い。

「変な意味じゃなくて!君たちの任務に同行したいんだ!」
「あのねえ、私たちはワムウの代役を探してるのよ!決闘で完璧に優劣をつけられたドットメイジなんて論外よ論外!」
「フッ、そうは言うけどね、薔薇は女性を守るときにしか針を出さないものなのさ、それに僕をあのときの僕とは思わないで欲しいね」
「なにが変わったって言うのよ」
「成長のために図書館に入り浸り、僕に必要なものがわかったのさ!そう、それは必殺技!」

676 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/18(日) 21:56:48 ID:b+82S6Gs
支援だッ!

677 :風と虚無の使い魔 ◆/4V68E5Ojg :2007/11/18(日) 21:57:04 ID:uAg3HBUm
「えーと、モンモンラシーの部屋は…」
「待ちたまえええッ!せめてどんな技かくらい聞いてくれよ!」
ギーシュが哀願する。
「しょうがないわね、どんな技なの?」
「まず、ワルキューレは青銅でできている。つまり人間より重いため、相手より早く落ちる。そこで放り投げた相手を空中で首に足をかけて、
逆立ち状態になったワルキューレが地上に手をつき相手に首四の字を仕掛けると言う…名づけて『ロビンスペ…」

「キュルケ、304号室ってどこの棟だかわかる?」
「東棟よ、確か」
「ちょっと待ってくれええええッ!僕が悪かった!ギーシュ・ド・グラモン、一生のお願いだ!どうか、僕を参加させてくれ!
君たちの後をつけて校長室の声を盗み聞きまでしたんだ!名誉挽回、汚名返上のこんなチャンス逃すわけにはいかないんだ!」

二人はため息をつく。
「しつこいわね、そんなんだから振られるのよ。わかったからとっとと準備してきなさい」
キュルケが促す。
「しっかり働くのよ」
ルイズも一応認める。
「うう、ありがとう……必ずや僕のジェットストリームアタックを成功させてみるからね!」

「…やっぱり、人選間違えたかしら」


 * * *

「……ということで、ギーシュ・ド・グラモン、この任務にお供させていただきます、ミス・ロングビル。
命に賭けても必ずやあなたをお守りいたしますッ!」

口に薔薇を咥えながら一礼をする。

「は、はあどうも…」
ミス・ロングビルも困惑しながら返答する。

「あんたもそんなことやってないで早く乗りなさいよ」
ルイズに促されギーシュが乗り込む。

ミス・ロングビルが手綱を持ち、出発する。
「えーと、その護衛対象の人物の所在地はミス・ロングビルが地図を頂いたようだし…その人物の特徴は…
えーと…『30〜40歳の男性』で、『白人』で、『世界ビックリ機械』…『おじさんX』…な、なによこれ」
「はは、オスマン師も人が悪いな。まあ地図を見る限り周りに人はいなさそうだし、すぐわかるんじゃないか?」
「偽者だとしたらどうするのよ、噂によると土くれのフーケは人を操れるとか…白人で中年男性なんてどっからでも呼べるわよ」
「まあ『世界ビックリ機械』な人はそういないだろうさ、見ればたぶんわかるんじゃないか」
「あんたは楽観的ね…」

馬車は深い森を抜け、開けた場所に出る。
「あの小屋ね!きっと!」
キュルケが声を張り上げ、前方を指す。
タバサは本を閉じ、顔を上げる。
馬車が小屋の前に止まる。

すると、一人の男が出てくる。
「貴様らは、オスマンの言っていた護衛か?」
距離を保った状態で聞いてくる。

「ええ、そうよ」
「名前を名乗れッ!護衛の名前は聞いているッ!」
「私がルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール」
「私はキュルケ・アウグスタ・フレデリカ・フォン・アンハルツ・ツェルプストーよ」
「タバサ」
「ロングビルです」
「僕の名はギーシュ・ド・グラモン、二つ名は『青銅』、以後お見知りおきを」

678 :風と虚無の使い魔 ◆/4V68E5Ojg :2007/11/18(日) 21:58:06 ID:uAg3HBUm
男は手紙を睨みながら名前に耳を傾ける。
「待ていッ!最後の奴の名前は知らんぞッ!信頼できるのか?」
「私たちと同じくトリステイン魔法学院の生徒よ」

男は小さく舌打ちし、
「よし、いいだろう。どうやら本物の護衛のようだな」

「ちょっと待って、あなたが本物の護衛対象かわからないわ…『30〜40歳の男性』『白人』は該当してるけれども、
『世界ビックリ機械』『おじさんX』であることを証明して欲しいわ」

男はニヤリ、と笑う。
「娘!人種は違えどわたしはお前のような慎重な者に敬意を表すぞ、『世界ビックリ機械』か、オスマンめ、悪趣味な奴め」
あまり見慣れない服の上を脱ぎ、目深に被っていた帽子を外す。
その胴体と右目は『機械』であった。

「な、なにこれ…」
「見てのとおり機械の胴体だ。少々無茶をして体を吹っ飛ばしてしまってな、腕、胴体、顔面、脚が義手義足のようなものになっている」

全員があっけにとられる。
「さ、触っても構わないですか?」
キュルケが尋ねる。
「ああ、構わん。痛くするなよ、優しくだ」
そっとキュルケが触れる。
「ほ、ほんとに金属ね……」
「どうだ、信じたか?」
「じゃあ『おじさんX』ってなんなんですか?」
「それは…俺とオスマンの間でのジョークだ、あまり気にするな」


一同は小屋の中に案内される。
暖炉と木の椅子、テーブルが置いてあり、スコップ、ロープ、油入れ、その他なにかよくわからない物がいくつか落ちている他は、
質素な木の小屋だった。

「……しかし、オスマンも心配性だな、あの老人のほうが俺としては心配だ」
「私も噂にしか聞いておりませんが、世界でも数人しかいないといわれる『ペンタゴン・メイジ』であるという話もあります。
名うての盗賊であり、魔法使いでもあるフーケですらも敵わないと言えるでしょう。あなたはどうやって自衛を?」
ミス・ロングビルが質問する。

「ふむ、いいだろう。少々もったいないがとりあえずもう一度外に出てくれ」

一同は外に出る。
男は上を脱ぎ、胴体の機械を露出する。
男は叫んだ。
「ナチスの科学力はァァァァァァァアアアッ!!世界一ィィィイイイイ!!!!」

胴体から何か小さいものが連続して発射し、森の木に突き刺さる。
その威力は数秒で森の木を何本も幹から折り、倒していた。

「これでわかったかね?気の毒だが、偽者の護衛だと判断したら君たちを蜂の巣にさせて貰った」
一同はごくりとツバを呑む。

「まあ、一応護衛をつけてもらったんだ、三人は護衛、二人は見回りでもしてもらおうか。人選はそちらで決めて構わない」

679 :風と虚無の使い魔 ◆/4V68E5Ojg :2007/11/18(日) 21:59:07 ID:uAg3HBUm
紆余曲折の結果、最初の護衛はロングビル、キュルケ、タバサ、見回りはルイズ、ギーシュとなった。

「あーもう、寒いのについてないわね」
「できればミス・ロングビルかキュルケがよかったなあ…」
「どういう意味よそれ、吹っ飛びたいの」
「べ、別に他意はないよ」
「そう、吹っ飛びたいのね」

この森の木には災難な日であった。


 * * *

「ところで…そこに転がっている杖のようなものはなんなんでしょう?もしかして…」
「それか、オスマンは『破壊の杖』などと呼んでいたが…我がナチスの技術の結晶ゥゥウウウッ!
15cm炸裂弾搭載ィイイイイッ!グレネードランチャーパンツァーファウストだァアアアッ!」

全員が立ち上がる。
「な、なんでそんな重要なものが無造作に何個も転がってるのよ!」
「うむ、オスマンにはまだ言ってなかったが、探してみたら数個出てきてな、何発か試し撃ちしてもまだ残っている、困ったものだ」
「試し撃ち?これは杖ではないのですか?」
ミス・ロングビルが尋ねる。
「杖などではないィイイイイッ!貴様らは魔法を使えメイジとやららしいが、俺はそんなものなくともこれを発射できるゥウウウッ!
ここをこうしてこうすると、あら不思議憎きソ連兵の戦車が木っ端微塵ッ!」

途中言っていることが少し理解できなかったが、全員これが恐ろしい威力を誇ると言うことはわかった。
「…ちょっと、驚きましたわ……頭を冷やすため少し外にいかせていただきますが、構いませんか?」
「ええ、構わないわ」
タバサもうなずく。

ミス・ロングビルは小屋を出て行き、数分後戻ってきた。

 * * *

「見回りって言ってもねえ…まだ時間じゃないのかしら?」
「僕だって同じ気持ちさ、そうそう都合悪くフーケが襲ってくるなんてことはないさ」
「そうだといいんだけど……どうやら都合は悪いみたいよ…」

ルイズには見覚えのある巨大なゴーレムと、フーケとおぼしき人影が立っていた。
フーケはこちらに気づいたのか、進行方向を変える。

「な、なあ、任務は護衛だしいったんここは逃げたほうが…」
「あんた、名誉挽回のチャンスなんじゃないの?貴族とは敵に後ろを見せないものを言うのよ!」

ルイズは呪文を唱え数発放つが、一発も当たらない。
「ほら、僕のワルキューレでもあれには敵わないよ!ここはさっきの人の手助けを…」
「護衛する相手に頼ってどうするのよ!そんなに逃げたいならあんただけでも逃げなさいよ!」
「じょ、女性を置いて逃げられるか!」

そんなことを言い合っている内に、ゴーレムが近づいてくる。
「しょ、しょうがない、僕の必殺技を試すしか…」

そこに人影が現れる。
「ワムウ!あんた、来てくれたの!あれがフーケのゴーレムよ、呪文当てるからちょっと距離を稼いで!」

680 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/18(日) 21:59:10 ID:Y2kOkeG9
支援します


681 :風と虚無の使い魔 ◆/4V68E5Ojg :2007/11/18(日) 22:00:08 ID:uAg3HBUm
ルイズはゴーレムに向き直る。
しかし、ワムウはゴーレムの方向には向かわない。
ルイズとギーシュの方へ迫り、

両方に蹴りと拳を叩き込んだ。


ルイズとギーシュは地面に倒れる。

土くれのフーケがゴーレムから降り、ルイズの手首を触る。
次に、ギーシュの胸を触る。
「ルイズは脈なし…ギーシュも鼓動なし、と……別に殺すつもりはなかったのに、鍛えてない貴族なんてあっけないわね」

フーケは再びゴーレムに乗り、小屋へ向かっていった。


To Be Continued...

682 :風と虚無の使い魔 ◆/4V68E5Ojg :2007/11/18(日) 22:01:48 ID:uAg3HBUm
投下終了。

フゥゥーー……
今日また…………投下をしちまったァ〜〜〜〜〜♪
でも想像してたより、なんて事はないな。

そしてオレに向かって「ヌケサク」だなんて言えるヤツは、
もう、これで誰ひとりいねーからな…。


ってかコンサドーレってよー…後半44分に追いつかれるってどういうことだッ!
それじゃあいつものコンサドーレじゃねーかッ!道民をなめてんのかッ!クソックソッ!

683 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/18(日) 22:01:56 ID:b+82S6Gs
馬鹿なァーーーッ!?
死亡確認だとッ!?

684 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/18(日) 22:04:04 ID:Y2kOkeG9
何をしたァーーーッ!?
とにかくGJです
シュトロハイムはテンション高いな!

685 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/18(日) 22:05:59 ID:j7+EoGdE
GJ!
そして誰かー!
王大人のAA持ってこーい!!

686 :風と虚無の使い魔 ◆/4V68E5Ojg :2007/11/18(日) 22:06:24 ID:uAg3HBUm
フーケに該当しそうなスタンドは結構ありますよね
ヘヴンズドアーとかサーフィス、ホワイトスネイクなどなど

687 :風と虚無の使い魔 ◆/4V68E5Ojg :2007/11/18(日) 22:07:25 ID:uAg3HBUm
>>685
    ―\\\\\
  ―         ``
 /             \
 /              ヽ
 /               し   死 亡 確 認
 /|         /ルノル    ノ
  |/|       /(O ) ノ ´ヽ  彡
   |/|    /|/\  / |6/  彡
    |/|/|/く   \| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|
  | ̄ ̄ヽ ―‐ ┌┘
  |    \⌒ _|
         ̄

688 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/18(日) 22:09:47 ID:INzmoDsC
ギーシュwwww


GJです

689 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/18(日) 22:31:19 ID:lTPb2ENf
創世のシュトロハイム的支援!!

690 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/18(日) 22:45:33 ID:FbXvor+B
GJ! シュトロハイムのテンションは大好きです!
さて続けて50分から投下して構いませんねッ!?

691 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/18(日) 22:50:30 ID:MRbZ0MsS
>>690

 | 三_二 / ト⊥-((`⌒)、_i  | |
 〉―_,. -‐='\ '‐<'´\/´、ヲ _/、 |
 |,.ノ_, '´,.-ニ三-_\ヽ 川 〉レ'>/ ノ 
〈´//´| `'t-t_ゥ=、i |:: :::,.-‐'''ノヘ|
. r´`ヽ /   `"""`j/ | |くゞ'フ/i/        問題ない
. |〈:ヽ, Y      ::::: ,. ┴:〉:  |/          やれ
. \ヾ( l        ヾ::::ノ  |、
 j .>,、l      _,-ニ-ニ、,  |))
 ! >ニ<:|      、;;;;;;;;;;;;;,. /|       ___,. -、
 |  |  !、           .| |       ( ヽ-ゝ _i,.>-t--、
ヽ|  |  ヽ\    _,..:::::::. / .|       `''''フく _,. -ゝ┴-r-、
..|.|  |    :::::ヽ<::::::::::::::::>゛ |_   _,.-''"´ / ̄,./´ ゝ_'ヲ
..| |  |    _;;;;;;;_ ̄ ̄   |   ̄ ̄ / _,. く  / ゝ_/ ̄|
:.ヽ‐'''!-‐''"´::::::::::::::::: ̄ ̄`~''‐-、_    / にニ'/,.、-t‐┴―'''''ヽ
  \_:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::\ /  /  .(_ヽ-'__,.⊥--t-⊥,,_
\    ̄\―-- 、 _::::::::::::::::::::__::/  /  /   ̄   )  ノ__'-ノ
  \    \::::::::::::::`''‐--‐''´::::::::::/  / / / ̄ rt‐ラ' ̄ ̄ヽ ヽ
ヽ  ヽ\   \:::::::::::::::::::::::::::::::::::::/      /    ゝニ--‐、‐   |
 l   ヽヽ   \:::::::::::::::::::::::::::::::/           /‐<_   ヽ  |ヽ

692 :ゼロいぬっ!:2007/11/18(日) 22:51:32 ID:FbXvor+B

閉ざした水門を見張る偏在を残しワルドは立ち去った。
あの状況で脱出できるとは到底思えない。
だが最悪、誰かが助けに来る可能性を見越しての事だ。
使い魔がいなくなった事はすぐにルイズに気付かれるだろう。
その前に事を済ませる必要がある。
(まずはルイズ…彼女を手に入れる)

その頃、ルイズはアニエスと手分けして彼を探していた。
捜索に当たる彼女の心中は穏やかな物ではない。
何故、気付いたやれなかったのか。
私はただデルフの言葉を鵜呑みにして安心していた。
その表情から暗い影を感じ取れていたというのに。

本心では私を戦いに巻き込みたくなかった。
戦いを嫌っているくせに参加する決意をしたのは私の為。
…いつもそうだった。
決闘の時もフーケの時も彼はいつも私の所為で傷付き、
何度も死にそうな目に合わされてきた。
それなのに彼はまだ私を守ろうと、私の役に立とうとしてくれる。
私はそれを当然だと思っていた。
使い魔は主人に絶対服従するものだと決め付けていた。
だけど、それは契約によるものなんかじゃない。
友達や仲間を想う気持ち、それが彼を動かしているんだ。

決闘のあったあの日、抱き上げて彼の無事を感謝した。
これからは自分が彼を守ろうと誓った。
胸の中の小さな命を守り通そうと決めたのだ。
それなのに、私は彼の事を見失った。
彼の実力を知ってからは、その強さに甘えていた。
私が守らなくても大丈夫だと考えていた。
だって強いから…私よりも強いんだもの、必要ないに決まっている。

だけど違った。
自分を殴り飛ばしたくなるほどの嫌悪に襲われる。
フーケのゴーレムと戦っていた時には判っていた。
どんなに姿が変わってもアイツはアイツだった。
彼は呼び出された時と変わらぬ小さな犬なんだ。
例えどんなに力を持っていても怖いし寂しいんだ。
一人でいるのは辛いし悲しい。
そんな事はずっと前から知っている。
それなのに私は一度も彼の胸の内を聞こうとしなかった。
何故一度も私が守るとは考えなかったのか…!?

それは信頼なんかじゃない。
私は何も知ろうとしなかった卑怯者だ…!

693 :ゼロいぬっ!:2007/11/18(日) 22:54:20 ID:FbXvor+B

目から大粒の涙が零れ落ちる。
悔しくて悔しくて、そしてとても悲しい。
もし見つけ出したなら彼に謝ろう。
『ごめんなさい』って言おう。
恥ずかしくても構わない。
これは言わなくちゃいけない事なんだから。

壁に額を押し当てて泣く彼女の背を見つけ、ワルドは声を掛けた。
「大丈夫かい、ルイズ?」
「あ…ワルド様」
振り返りながら袖で涙を拭い取る。
熱くなった頬をごまかしワルドに向き合う。
こんな姿は見せたくないという彼女の精一杯の虚勢だった。
嘆く彼女の姿にワルドは困惑した。
(まさか使い魔を捕獲した事に気付かれたか…?)
だが、行方不明になった事は判ってもどうなったかは知るまい。
平然を装いながら彼はハンカチを取り出して彼女の頬を拭う。
「泣かないでおくれ、僕のルイズ。
初陣を前に緊張するのは仕方ない事さ」
「違うんです…私、アイツを利用していた!
アイツは道具なんかじゃない! それを知ってたのに…」
喚きだすルイズの姿にワルドの眉が跳ね上がった。
涙の理由が彼女の使い魔と知って不意に嫉妬に駆られた。
思わず言うべきではない反論がワルドの口から漏れる。

「何を言っているんだルイズ。
たかが使い魔じゃないか、メイジにとっては手足に過ぎない。
自分の手足を気遣ってどうするというんだ?」
「そうじゃないの…。
私は彼を守りたい、彼が私を守るように。
契約なんかじゃない、私の意志で」
見上げるルイズの目には静かな力が篭っていた。
それにワルドは言葉を失った。
まるで母親が子供を思うかのように、
恋人同士が互いの事を想う様に彼女は告げた。
この主従には決して裂けぬ絆があるとワルドは確信した。
もはや彼女の使い魔を捕らえた今、説得する事は不可能だろう。
せめてルイズを先に説き伏せていればガンダールヴも従ったかもしれない。
脅迫する事も無理だ。そのような手段に出れば彼女は自決する。
懐にハンカチを戻すワルドの手に硬い感触が当たる。
それはミス・シェフィールドから渡された魔法薬。
その瞬間、彼は息を呑んだ。
脳裏に浮かぶのは別れ際に告げた彼女の言葉。

“飲んだ人間の心は永遠に失われ貴方に従属する。
ある意味では婚約者を殺す事になるのかしら”

694 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/18(日) 22:54:21 ID:yIXDvLsT
支援だ

695 :ゼロいぬっ!:2007/11/18(日) 22:55:55 ID:FbXvor+B
「戦いたくないなら戦わなくてもいいってアイツにそう言ってやりたいの。
ウェールズ陛下は私が説得するわ、だから!」
「ルイズの気持ちはよく判ったよ、僕も一緒に探そう。
でも、その前に気持ちを落ち着かせた方がいい」
そうルイズに言ってワルドは城内に駆けていく。
そして戻ってきた時には手に杯を持っていた。
中にはホールで出された高級ワインが満ちている。
それを彼女に差し出しながら、彼は語った。
「はい、どうぞ。飲めば少しは気が楽になるよ」
「え…ええ、ありがとうございますワルド様」
一瞬、躊躇を見せたが彼女は杯に手を伸ばした。
ワルドの言う通り焦っても仕方がない。
気分転換も必要かもしれないと彼女は思ったのだ。
そして受け取ろうとした瞬間、ワルドの手がびくりと震えた。

「ワルド様…?」
「あ、ああ。済まない、どうやら少し酒が回ったらしい」
そう弁明しながら彼女に杯を手渡す。
“いつも余裕ぶった子爵にもお茶目な所があるんですね”と、
彼女は笑いながらそれを一息に煽った。
喉を鳴らして彼女の中に流し込まれる赤い雫。

刹那。彼女の手から杯が滑り落ちた。
カランと乾いた音を立てて地面を転がる。
ワルドの視線の先、そこに立っているのはルイズではない。
桃色の髪を靡かせる彼女に良く似た『人形』。
その瞳は意思の輝きを失い何も映さない。
彼女が彼女足り得る『決定的な物』が欠け落ちた姿。

「お…おお……」
それを前にして初めてワルドは己が罪を知った。
彼の手元から零れ落ちた瓶が地面に砕けて散った。
自分の婚約者だった、愛くるしかったあの少女はもういない。
僕が殺したのだ、自分の手で、彼女を!
まだ取り返しがついたかもしれない。
あの使い魔の危険性を伝えて彼女を説き伏せる。
彼女を一番に想うならそれだって出来た筈だ。
否、『レコンキスタ』より袂を分かち彼女を守る道もあった。
それを選ばなかったのは…僕には彼女以上に大切な事があったからだ。
先に進みには何かを切り捨てていかなければならない。
トリステインを裏切り『レコンキスタ』に身を寄せたように、
今度はルイズを、愛する者を切り捨てた。

何故、こんな事になってしまったのだろうか。
いつの間に自分はこんな生き方しか出来なくなったのか。
何かを得ようと足掻く度に、大切な何かを失っていく。
…そして失った物は二度と戻る事はない。

696 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/18(日) 22:57:31 ID:s/JdOtfA
せつないよワルドせつないよ 支援

697 :ゼロいぬっ!:2007/11/18(日) 22:59:47 ID:FbXvor+B

「ルイズ…」
その名を呼んで彼女を抱き留める。
しかし、それにも何の反応を示さない。
彼女への想いを流し切るように涙が溢れた。
小さな体を抱き締めながら無くした物の大きさに咽び泣いた。
自分にそんな資格などないと分かっていながら。

「…もう君はこれ以上苦しまなくて済むんだ。
それに君の使い魔も戦わないでいい。
誰も傷付かなくていい、これが最良の選択なんだ」
弁明じみた独り言を囁きながら彼女を頬を撫でる。
流れ落ちた涙の跡は既に乾いていた。
彼女の泣き顔も笑顔も思い出せない。
残されたのは霞みがかった思い出だけ。

「さあ行こう。二人で世界を手に入れよう」
彼女の手を引いて歩き出す。
もう後戻りは出来ない。
全てを得る為には前に進むしかない。
それがトリステインを、ルイズを裏切った僕に出来る償い。
犠牲にした者達の為にも、僕は大義を成さなければならない。
そうでなければ彼女達の犠牲が無駄になる。
それだけは決して許されない。

生命を感じさせない冷たい手を引きながら彼は呪った。
どうせやるならルイズと共に自分の心を壊して欲しかった。
気が狂いそうになる自責の念と後悔に押し潰されながら思う。
しかし、はたと気付いて彼は笑った。

698 :ゼロいぬっ!:2007/11/18(日) 23:01:14 ID:FbXvor+B

「は…ははは…」
壊す心はどこにある?
人形のように言われるがままに国を裏切り、ルイズを壊した僕のどこに?

既に僕の意思などどこにも無かった。
ミス・シェフィールドは知っていたのだ、薬を渡せば僕が必ず使うと。
彼女惜しさに裏切る事も警戒する必要は無いと。
だから僕は連中に操られない。
そんな事をせずとも既に彼の手中の手駒なのだから。

ワルドは知った。
彼が最初に切り捨てた物は“自分の心”だったと…。


「……なんという事だ」
建物の陰で息を潜めていた影が呟く。
その視線の先にはワルドとルイズの姿。
まるで信じられない物を見るかのように二人を見据える。

月明かりを浴びて輝く金髪。
使い魔を捜索する為に分かれたアニエスがそこにいた。
彼女は聞き込みでワルド子爵と共に行動していたという情報を得ていた。
そこで先にワルドを探して彼の行方を聞こうと思ったのだ。
そして中庭へと出て行くワルド子爵の姿を見つけて後を追った。
だが、そこで驚くべき物を目撃してしまったのだ。

「まさか、こんな事が…」
アニエスの顔が赤く染まり震え上がる。
彼女の手は傍らに置いた小銃に掛かっていた。
いつでも撃てる様にしておいたそれを退かす。
そして再び顔を出して、彼女達の姿を追う。

699 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/18(日) 23:01:40 ID:CcggyOia
やっちまったー!!
支援

700 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/18(日) 23:03:45 ID:fLEfYAqP
エピタフ!ルイズのこれからを予知…出来ない…
治るのか?ルイズは…支援

701 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/18(日) 23:06:38 ID:uAg3HBUm
ワルド支援現象!

702 :ゼロいぬっ!:2007/11/18(日) 23:08:17 ID:FbXvor+B

彼女が見据えるのは、しっかりと握られた二人の手。
まるで『俺に付いて来い』と言わんばかりの強引さ。
それを前にしてアニエスの心臓がドキドキと高鳴る。

「二人の逢引の瞬間に出くわすなんて…」
百戦錬磨のアニエスと言えど、恋の方は訓練生。
突然、ワルドがルイズを抱き締めた時は心臓が破裂するかと思った。
そりゃあ生きて帰るか分からない決戦前だ。
愛する者がいるなら思いの丈を伝えたいと思うのは当然。
『戦場から帰ったら結婚しよう』ぐらいの事は言うだろう。
もしルイズが拒否したのにワルド強硬手段に出ようものなら、
アニエスは発砲してでも彼を止めるつもりだった。
年端もいかない少女を押し倒す背徳な光景を思い浮かべ、
込み上げる怒りと鼻血を堪えながら彼女は建物の影で銃を構えていた。
(しかし、まさかルイズの方も悪からず想っていたとは)
抱きすくめられたにも拘らず微動だにせずワルドを受け止めた。
それは愛ゆえに成せる事だと彼女は解釈する。

前後の経緯から彼女はこう推測した。
@ルイズが杯を煽る瞬間、ワルドがプロポーズした。
Aその発言に驚き杯を取り落とすも、彼女はそれを受けた。
Bそれに感激してワルドは感涙しながらルイズを抱き締めた。
Cここから先はアニエスの妄想、よって記す事さえ憚られる。

顔を真っ赤に染めながら城内に入っていく二人を見届ける。
ようやく二人がいなくなった事に安堵の溜息を漏らす。
しかし恥ずかしがりながらも彼女は二人を好奇と羨望の目で見ていた。
自分にもああいう相手が出来るのだろうか。
思えば軍務に感けていて、そういった経験は無いに等しい。
しかし、まるで興味が無いかといえば嘘になる。
だが、自分の周りにいる男は軟弱な連中ばかりだ。
アニエスを見る彼等の視線に恐怖以外の物はない。
貴族であるギーシュとて例外ではない。

何人もの人間を思い浮かべては消していく、
そんなアニエスの脳裏に突如として浮かぶ一人の姿。
それはモット伯の侍従を務める、あの桃色の髪の少年だった。
瞬間。熟れたトマトの如くアニエスの頬が赤く染め上がる。

「違ァァう! 私はノーマルだァァーー!!」

アニエスが重なり合う月に向かって吼える。
必死に否定する雄叫びもアルビオンの風に飲まれて消えた。
同時刻、城門を警備していた衛兵達の断末魔と同じように。


703 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/18(日) 23:10:03 ID:fLEfYAqP
アニエス…空気読めドSアブノーマルwww支援

704 :ゼロいぬっ!:2007/11/18(日) 23:10:59 ID:FbXvor+B
以上、投下したッ!
シリアスばかりだと辛いかなってギャグを織り交ぜてみました。

705 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/18(日) 23:13:08 ID:fLEfYAqP
>>703を感想としてGJを贈るぜ!
しかしアニエスショタコンとかもう色々吹いたwwwwwwwwww

706 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/18(日) 23:16:49 ID:8eDKHAB3
ちょwwwww最後で噴いたwwwww俺のコーヒー返せwww

707 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/18(日) 23:19:23 ID:2K6cWo5b
俺の手作り梅干しを返せ
でもGJしちゃう!

708 :始球走 ◆k7GDmgD5wQ :2007/11/18(日) 23:38:10 ID:GfhUcFn2
GJ!


久々に投下したいんだけど、予約無ければ45分からあ〜いいっすかねぇ〜〜〜。

709 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/18(日) 23:45:21 ID:fLEfYAqP
StartBallRun・C-EEEN

710 :Start Ball Run 1/5:2007/11/18(日) 23:45:22 ID:GfhUcFn2
「くっ! ……くぅぅ〜……」
悔しがるルイズの、呻くような声が聞こえる。
現在、トリステイン魔法学院から出発して、体感で約3時間。
ルイズの胴に両手を回し、『変なとこ触ったらお仕置きだからね!』と釘を刺された分、余計に神経を使って、初めて乗った馬の背に、しこたま尻を打ちつけ今はもう皮が擦り剥けているに違いないと自覚した才人の前に。
意気揚々と風を切りながら二人の前を駆ける、ジャイロの後ろ姿があった。
ことの始まりは、この日――、虚無の曜日に、才人の希望であった剣を買い求めに、城下町まで三人そろって繰り出したことにある。
城下町までの道のりは長い。だから馬を使うのだと、ルイズは使い魔たちに言った。
ルイズが厩から、一頭の馬を連れ出しす。日の下に現れたその馬を見て、ジャイロが声色を変えた。
「ほぅー。おチビ、そりゃオメーの馬だったのか」
才人にはよく分からないことだったが、いつか厩を覗いたとき、ジャイロは馬を眺めて回ったのだ。
その中でも特に、素晴らしく良い馬がいたことを、彼は覚えていたのだったが――、まさかそれが、彼女の馬だったとは気付かなかった。だからこそ、余計に驚いたのだろう。
「あの厩の中にいた中じゃ、そいつが一番手入れされてる。文句ねー良い馬だぜ、そりゃ」
ジャイロが珍しく彼女を……、いや、正確には彼女の馬なのだが、褒めちぎった。それに気を良くしたのか、ルイズはしきりに、
「と、とーぜんじゃない。そんなこと褒めたってなんにも出ないわよ」
と言っては、まんざらでもなさそうな顔だった。
「さ、行くわよ」
ひらり、と慣れた動作でルイズは愛馬の背に跨った。
「あ、あのさあ、ルイズ。お、俺らは?」
才人が尋ねる。
「あんた達も乗りなさいよ」
そっけなく言われる。なんとなく、突き放された印象を受けるも、気を取り直して――、才人はルイズの馬によじ登ろうとして、鞭で引っ叩かれた。
「なにしてんのよあんたは!」
「い、いや、だから馬に乗ろうと……」
「あんたも馬を借りて来て乗るの!」
「は? 俺も? ……無理! 無理無理無理! だって俺乗ったことねーもん!」
首を猛烈な勢いで振りながら弁解する。
「はあ? 馬にも乗ったこと無いなんて、ほんとに能無しね。これだから平民は……」
馬に乗った高い位置から、見下すように向けられるルイズの視線が痛い。あからさまに“こいつ使えねー”という視線なんだもの。
「ひ、ひどい……。そこまで言わなくても」
いじけた態度で、胸の辺りで人差し指をくるくる回す才人だった。
「乗せてやれよ、おチビ」
ジャイロが、厩から別の馬を一頭連れてきた。その馬は、才人が見ても、ルイズの馬と比べても明らかに見劣りする、老いて痩せた馬だった。
「嫌よ。あんたが乗せて行けばいいじゃないの」
ルイズは頑なに拒む。
「そりゃ無理だおチビ。この馬は老いている。力もねェ。オレが乗っただけで息切れしちまいそうだ」
ジャイロが馬の鼻を撫でながら言った。
「なによ……。他に馬は無いの?」
「ねーんだ。オレのような平民が乗る馬は、出払ってて他には一頭もいねえとさ。残った馬はみんな、貴族のものだ」
あれだけいながら――、貸してもらえない。
ここはそういう世界なのだと、才人は改めて認識する。
「しょーがねーんだおチビ、乗せてやれ。オメーの馬なら若いし、パワーもある。二人乗せても大丈夫だ」
ジャイロの言葉に、頬を少し膨らませたようなルイズも、納得したようだった。
「仕方ないわね。……ほらサイト、今回だけ特別なんだから。ここに足をかけて、登るように乗るの」
鐙から足を外し、才人が乗りやすいように体をずらす。
言われたとおりによじ登った才人が、落ち着かない馬の背に違和感を覚えながら腰を下ろす。
「それじゃ、出発しましょ。サイト、途中で落っこちないでよ」
「へいへい」
二頭の馬が、蹄の音を鳴らす。その動きに慣れない才人は、思わずよろめいた。
反射的に、ルイズの体を掴んで振り落とされないように踏ん張る。
右手はルイズの腰を。左手は肩を掴む。
掴んだつもりが、しっかりした骨の感触の中に、小さいながらも柔らかい何か。
あれ? ここってもしかして、ム…… と思った瞬間、才人は馬の背から叩き落された。

711 :Start Ball Run 2/5:2007/11/18(日) 23:46:45 ID:GfhUcFn2
「なァおチビ」
「チビは止めなさいってば」
学院から町に向かう途中の野道で、ジャイロがルイズに声をかける。
「城下町っつーくらいだから、かなり人はいるんだろーな」
「そうね……あんた達と同じ平民がいっぱいいるわ。人が多い分混むわゴミだらけだわ変な匂いはするわ……。普段ならあんまり行きたくないところね」
あんまり気乗りしない抑揚で、ルイズは答えた。
その態度とは裏腹に、ジャイロは普段のおどけたような声で続ける。
「そして城下町っつーことは、城があるってことだ」
「そんなの、当然じゃない」
後ろにいるジャイロを見もせずに、ルイズは言う。
「城には入れんのか?」
この使い魔、ものを知らないにも程があるわ、とルイズはなんだかむっとして。
「入れるわけないでしょ! あんたじゃ門前の吊り橋で追い返されるわよ!」
そう、大声をあげた。
「ほー……。そんじゃーよォ、貴族のオメーなら、入れるのか?」
にやりとした挑戦的な口調で、ジャイロが言う。
「私が? 私がどうして王宮に行かなくちゃいけないのよ。私が詔も無しに女王陛下に拝謁するなんて、恐れ多くてできないわ。……いえ、そりゃ私も貴族なんだし、お父様やお姉様にお願いすれば、お目にかかれないことはない、かもしれないけど……」
そう言ってなにやら口ごもるルイズだった。
そして才人には、ジャイロの質問の真意は汲み取れない。
「なあ、おチビ……。 勝負しねーか?」
「……え? 勝負?」
ルイズが首をかしげた。
ここでジャイロが、いきなり勝負などという意図が、読めない。
「オレとこっから、町まで競走だ。オメーが勝ったら、オレは今後、オメーをおチビと呼ばねェ」
「それは普段から言ってるじゃないの。……まあいいわ。それで? あんたが勝ったら、どうするっていうの?」
ルイズは、使い魔の提案に最初は不審気な顔をしたものの、受け入れる。
魔法を使った勝負ならいざ知らず、馬同士の競走なら、彼女は負ける気がしなかった。魔法を使って空を飛んだことがない代わりに、馬と駆け巡った道は数え切れない。
ましてや城下町までの道のりは知り尽くした庭のようなもの。負けるなんてことは、何一つ思いつかなかった。
彼女がすでに勝利をものにしたような顔で勝負を受け入れたことで、ジャイロは彼女と馬を並べた。
歩みを止めた二頭が、鼻息を荒げて、首を振る。
ジャイロもまたこの世界に来て相当の日数が経過し、様々な出来事があったが……、彼の望みはまだ果たされない。
元の世界に戻る。
ただそれだけの願いなのだが。
そのために手がかりを得ようと、学院の図書室で様々な書物を読んだ。
タバサの協力もあり、文字の読み方も勉強した。お陰で、今は簡単な文章ならそらで読めている。
しかし、元の世界に戻る手段は、掴めない。
もうすでに、この世界でもかなりの日が経過している。
この世界の数日が、元の世界と同じ時を刻んでいるのなら……。
そうとも考えた。しかしその答えを、彼は頭の中から追い出す。最悪の結末は考えない。今は一刻も早く、あの場所に戻ることを考えるだけだと。
あいつがいる、あの場所に、戻るのだと。
そのために。
王宮……この国の頂点に立つ者がいる場所。
そこにいる一番偉い人間なら、何か知っているかもしれない。
そんな空想にさえ、一縷の望みを彼は賭けた。
そして、彼はいつもの口調であっさりと。
「王宮にいるっつぅ、女王に会わせてくれ」
そう言ったジャイロが、老いた馬に合図する。
老馬はあらん限りの速さで、風を巻いた。
「えっ……? じょ、じょっ?! ええっ!?」
その言葉に意表を突かれ、彼女は手綱に込めた力が抜けて出遅れてしまう。
慌てて鐙を蹴り、彼女の長い髪は勢いよく風を受けてなびいた。その後ろで、才人は急な加速にのけぞり、首がこきっと音を鳴らした。鞭打ちのような痛みに首を擦ると、顔はルイズの髪にちくちくと叩かれ、おかげでまた振り落とされそうになった。
城下町の入り口はここからでも、小さく、三人の目にしっかりと見えていたのだった。

712 :Start Ball Run 3/5:2007/11/18(日) 23:48:06 ID:GfhUcFn2
「まっ! 待ちなさいよあんたぁーーーっ!」
ルイズが後ろから叫ぶ。
「なんか言ったか〜〜〜? 生憎おケツに喋られてもよォ〜〜〜。聞こえやしねぇ〜ゼェ〜〜〜。ニョホホホ」
「な、なんですってぇ!? こらーーー! このバカ使い魔ぁーーー! ご主人様にむかってなんて口きくのよぉーーー!」
余裕を見せ付ける挑発。だが、彼と彼の乗る馬には余裕は殆ど無い。彼女が出遅れたせいでリードが広がったが、その差は僅か数馬身。
気を抜けば追い抜かれることを彼は自覚している。そしてこの差を抜き返されれば、それは挽回不能の決定的な敗北なのだと、彼は知っている。
馬の実力が違いすぎる。真っ向勝負では勝ち目が無いことを、彼は嫌というほど理解している。
なら、それ以外のどこかで勝負しなければならない。
答えは一つ。
騎手としての、力の差しかない。
ゴールまで最短の距離を走り抜けるように、馬を誘導する。
スタミナにも気を使う。最後の最後まで走り抜けるように配分を考える。
風の向きと強さを知る。地形の変化を読む。太陽と木々が造り出す影に障害物がないかを判断する。
「……後ろにいるおチビより早く辿り着くためには……いつも以上に、こいつらを読み取らなくちゃならねぇ。……っ、あいつにこういうことをもっと聞いとくべきだったぜ」
だが、それでも限界はある。この道を、このままルイズの前を走っているだけでは、リードはこれ以上広がらない。
だから、賭けなのだ。
ジャイロは――、さらにリードを広げるために、広がった道を走ることを選ばず、脇にあった林に飛び込んでいく。
「な、何やってんのあんた?!」
ジャイロの行動に、ルイズはまたも面食らう。
まさか、走りにくい林の中を突き抜けることを敢えて選び、距離を縮めようと考えるとは、思いつかなかったからだ。
定石から外れた行動をとる。この男の奥底を、ルイズは見通せない。
「ショートカットかよ!」
才人は、いつか自分の世界でやったレーシングゲームを思い出していた。
ゲームセンターで人気を博する定番のレースゲーム。
そこで上級者と呼ばれる奴らは、格下相手に性能の劣る車を敢えて選び、その差を技術で補っていた。
いま、ここでは、才人は間違いなく傍観者だ。
二台並んで走るレースカーの軌跡を、ギャラリーとして見物する側なのだ。
だからこそ、見通せるものがある。
ならばこそ、気付くことがある。
……この勝負の、勝者は。
密集した木々を避けながら、ジャイロは遠く木々の向こうから零れる光の先へ進んでいく。
この林を抜ければ、ルイズとの距離は相当広がるだろう。
だが……、それだけで、確実に勝てるとは、彼自身どうしても思えなかった。
そのために、保険もかけた。さっきの憎まれ口――挑発である。
ルイズの性格は、彼もそこそことはいえ理解している。直感的でひねくれ者。そのくせ根は素直で単純明快。
あの程度の挑発ですぐに熱くなる彼女は、勝負や駆け引きには向かない。
冷静さを欠いた今の彼女は、手綱に余計な力が入っているため、僅かとはいえ馬の加速を殺してしまっていた。
さらにルイズは、単純に自分の前を走ろうとしかしない。障害物が見えれば避ける、くらいの操作しか行っていないのだ。
走行は馬に任せている。いくら優秀な馬でも、それだけでは力を引き出すことはできない。
そして……、彼の後ろを追ってこようとはしない。彼女の腕では木々の間をすり抜けるよりも、道なりに走ったほうが良いだろうし、そのほうが速い。それに彼女だけならまだしも、才人という同乗者がいる。
わざわざ危険を冒すことはしないし、しても意味がないと判断したのだ。
賢い選択だろう。だが、甘さがある。
そこが、彼にとって、この勝負で最も、つけ入る隙だった。
彼女がこのままでいてくれたなら、勝てるだろう。
だが、そんな幸運が最後まで続くとは、信じきれない。
「運には頼らねぇ……。実力で掴み取るんだ!」
手綱を操り、木々の隙間をかいくぐるように、雑木林を抜けた。
少し眩しく感じた光景の奥に、町の入り口が、さらに近くに見えた。

713 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/18(日) 23:48:48 ID:yIXDvLsT
支援

714 :Start Ball Run 4/5:2007/11/18(日) 23:49:18 ID:GfhUcFn2
「うわ! ちょ、ちょっとタンマ! タンマだってばルイズ!」
ルイズの後ろにいた才人が叫ぶ。差を縮めるため馬を加速させようと振り上げた鞭の軌道に、才人の顔があったからだ。
「どきなさいよサイト! そこにいると邪魔でしょ!」
後ろを一瞥してルイズが叫ぶ。
「無茶言うな! どけるわけないだろ!」
「それじゃ今すぐ降りなさい! 軽くなるし!」
「それこそ無茶だろ! こんな速さで降りたら怪我するぞ! 常識で考えて!」
「あーもう! うるさいうるさいうるさぁーーーい!」
才人が乗って、やっとジャイロと同じくらいの重量なので、条件としては申し分ないと認めていたスタート前とは、言っていることが違う。
「……っにしても、すげえな、ジャイロ。馬に乗れたんだ」
がっくんがっくんと上下する馬の背で、才人はそうぼやく。
「……ただ馬に乗れるだけじゃないわ。とんでもなく慣れてるのよ、あいつ。それも、こういう競走みたいな馬の操り方を」
本当に、あいつ何者よ。と、ルイズは呟いた。
「じゃ、じゃあ、ジャイロ競馬騎手なのか? あのガタイでジョッキー? ありえねぇー!」
「どうでもいいわよそんなこと! あいつがどこの誰でも、私の使い魔あることには変わりないわ! それよりあいつがこのまま勝負に勝ってしまったら、私は使い魔のいいなりで女王陛下に謁見しなくちゃならないってことなのよ! そんなの! 絶対に認められないわ!」
ルイズが、再び、鞭を振り上げる。
風を切った音が、遅れて聞こえると、ルイズと才人は、視界がさっきの倍以上に、早く流れていくのを実感した。
十数馬身と広がっていたジャイロとの差が、一気に迫っていく。
「ゴールまで、あと数百メートルってところか……。こんなとき、あいつならどうする」
後ろから迫ってくる蹄の音を背中に受けながら、ジャイロは自問する。
今の彼と同じように、老いた馬を駆り、過酷なレースに挑む青年の姿を、脳裏に思い出していた。
「いや……。あいつはいねぇ。じゃあ……、オレだ。 オレなら、どうする!?」
町の入り口――ゴールまでは、あとは曲がった道など無く、ほぼ一本の直線だった。
こんなにも単純で分かりやすいパドックでは、どんな馬が勝つかなど、誰にでもわかる。
「……馬の実力が」
「ものを言うわ!」
ラスト・スパートだ。
騎手は馬に持てる力を出し切るように指示をする。
ジャイロの馬が、荒い息を返し、前に進む。
だが、ルイズの馬はまるでものが違う。
ジャイロの速さが弓から放たれた矢だというのなら、さしずめ、稲光の如く!
迫る! 風が強く吹きつける。 迫る! 顔にあたる。 迫る! 空気がまるで鉛のように重く感じた。
そして、男の背中が自分の横に並び、ルイズは追いついたことを確認した瞬間、見せ付けるように勝ち誇った笑みを浮かべた。

そこには老馬も、敗者の姿も無かった。

ルイズは我が目を疑った。全力を出し尽くす勢いの疾さを、抑えつけるように前を走る者がいた!
「やっぱし速えーなぁ。その馬はよォ。」
その声は、こんなときなのに、太陽のように明るく、青空のようにどこまでも爽やかに。
そして、えらく余裕たっぷりに聞こえてきた。
「ところでおチビ。……オメー、船に乗ったことはあるか? 帆船だ。船いっぱいに帆を広げた船だ。オレはあるがな」
「……な、え? な……、何……?」
ルイズは理解できない。ジャイロが何を言い出したのか、それになんで自分の前にいるのか。どうしてこんなにも勝ち誇った顔をしているのか?!
「知ってるか? 帆船ってのは海で向かい風を帆に受けるほど、速くなるんだぜ。 『向かい風』だぜ! 向かい風ってのは――愛馬が走るのを、助けるためにあるんだ」
そう言った声が、また一馬身、遠くから聞こえた。
これが、ジャイロの最後の賭けだった。
『鉄球』が無く、不完全ながらもマントにかけた『回転』が、マントを帆と化したのだ。
自らを帆と化し、風を受けながら荒海に乗り出す鋼船が如く、ジャイロが前に乗り出した。
その姿を、少女は呆然と見つめるしかない。
この勝負が、決する。

715 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/18(日) 23:50:04 ID:ahM0HBpK
支援だ!


716 :Start Ball Run 5/5:2007/11/18(日) 23:50:23 ID:GfhUcFn2



「い」
ただ一つの誤算は。
「いや」
彼が、彼女の。
「負けるのは、嫌ぁーーー!」
負けず嫌いを、甘く見ていたことである。
彼女は、右手に鞭を、左手に手綱を持っていた。
それが今は、左手に杖を持っていた。手綱を放り投げることを、彼女自ら選択したのでは、なかった。
いつの間にか、左手は杖を握っていた。
彼女の意思とは無関係に、左腕が動く、地面を向いた腕が、指した杖の先で。

爆発が起こった。

それはルイズの愛馬がそのあたりを踏んだときに起こり。
地面を剥がすようにして起こった爆発は、板のように剥れた地面とルイズと才人と、ルイズの愛馬を傷つけることなく、高く宙に放り出した。
彼女らはジャイロの少し上を飛んで行き、そして、そのまま彼の前に抜け出たのある。

そして、その場所こそが、町の入り口だった……。という、事実。
一番信じられないのは、……誰だったか。
「おい」
「……か、勝った、のか?」
「……そ、そうよ! 勝ちよゴールよ!」
「ちょっと 待て」
「すげえ! すげえよルイズ!」
「なんでお前らが先にゴールできんだ?」
「と。当然じゃない! この勝負、私が勝つって決まってたんだから!」
「今の、待て」
「サイト、そろそろ降りなさいよ。ここからは徒歩で武器屋まで行くんだから」
「わーったよ……。しっかし、狭い道だなー」
「違う!」
「狭いって……。これでも大通りなんだけど」
「タンマ!」
「あ! なあルイズ! あれなんだ?!」
「あれって……。出店でしょ。あーほら、うろちょろしない!」
「おい才人! おチビ! てめーら待ちやがれ!」

まだ馬に乗っているジャイロと、馬を繋いで大通りの奥へ進んでいく、ルイズと才人。

そしてルイズが彼に向き直ると。

「おチビは止めでしょ!」

そう、一喝したのであった。

717 :始球走 ◆k7GDmgD5wQ :2007/11/18(日) 23:53:37 ID:GfhUcFn2
以上投下した。
最近ロング投下がデフォなので自分の投下量が情けない。
みんなのそこにシビれるあこがれるゥ! 

718 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/18(日) 23:54:26 ID:ahM0HBpK
GJです!


719 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/18(日) 23:54:30 ID:hhfUYKB5
GJ!

720 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/18(日) 23:56:20 ID:fLEfYAqP
GJ!
投下の量が大事なんじゃあない…『投下する』という意志が大事なんだ…
ルイズやっぱ理不尽だなw

721 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/18(日) 23:59:07 ID:jidphGu9
このスレにサンタアナが吹いたぞッ!
GJ

722 :使い魔は引き籠り:2007/11/19(月) 00:00:22 ID:DwkMGbw+
GJ!

ロング投下?何それデリシャス?
という事で日付が変わるあたりで引き籠りも投下しますよ。

723 :使い魔は引き籠り:2007/11/19(月) 00:01:21 ID:DwkMGbw+

爪先から痛みが駆け上がる

動けない、息が出来ない

全身が燃える様に熱い

絶望的な浮遊感の中で視界は閉ざされ

動かない手足は切り離された

舌先から血液が凍りつき

脊髄が燃え上がり最期を悟る

そして襲ってくる――――痛み、絶望、無念、孤独感――――

そんな、そんな事って無いだろう?
肉体の終わりより先に精神が擦り切れた。全てに耐えられなかった。
目標が果たせない悲しみも、気高さを理解されない憤りも全て。
誰か居ないのか?忘れないで居てくれる奴は居ないのか。
無かった事になってしまうんだ、このままじゃあ、今までが――――



「『マン・イン・ザ・ミラー』ァァァァァアアアアあああああッ!!」


ハア、ハア、ハア。
目の前には色味の薄いベッドの天蓋があった。
酷く冷えた全身から汗をかいている。呼吸もぎこちなく、意識せず肩が上下した。
夢、夢だ・・・・・酷い夢を見た。『よく判らない夢だった』、苦痛ばかりで意味がわからない。
それにしてもいい年して、悪夢で跳ね起きるなんて全く恥ずかしい。誰も居なくって本当に良かった・・・・

(誰も?)

違った。マン・イン・ザ・ミラーがベッドの上のオレを覗き込んでいる。
オレは何だか凄くほっとして、同時に照れくさくなり
(マン・イン・ザ・ミラーがオレを笑うとは思えないし、そもそも笑った顔を作れるのかどうかもわからないが)
「おはよう。」と声をかけた。

そういえば今日は約束があるんだった。『許可』した制服は何処へやったかな?
『マン・イン・ザ・ミラー』、そこにある櫛を取ってくれよ、なんか髪形を変えなきゃいけないらしい。
咄嗟に浮かぶどの顔ぶれよりも、マトモだと思うんだけどなあ。
時間は――――『11時23分』――――バッチリ寝過ごしてるじゃねえかマン・イン・ザ・ミラー、お前、何とか言えよ・・・・

724 :使い魔は引き籠り:2007/11/19(月) 00:02:21 ID:DwkMGbw+
大きく遠回りして、使用人用の裏口から大食堂へ。そうっとシエスタ達平民の群れに紛れ込み、背中に声を掛ける。
「ようシエスタ。」
「あ!イルー・・・むぐぅ」無論口を塞がせて頂いた。

貴族のガキどもは、未だ揃いきっていないものの、あくせくと食器を並べる使用人と合わせれば随分な人数で、
これがまだまだ増えるのかと思うと目眩がする。
人の多い場所はどうにも好きになれない。
ルイズに見つかるのとは別問題で、安請け合いをしたと後悔するオレ。
室内の酸素濃度が下がっている気がする・・・・

「私は女性の皆様にお配りしますから、男性の方お願い出来ますか?」
「ああ、うん。」

デザートのトレイを幾らか乗せたワゴンを押してテーブルを回る。ワゴンのお陰で死角が出来、ガキどもからオレは見えない。
(シエスタもその辺は考えていてくれたようでありがたい)
席近くで盆を取り上げ、皿を並べる。隣同士と見比べて違いの無いように位置を整えてしまうのは、癖のようなものだ。

軽かった目眩は徐々に膨らんで、今朝の最悪な気分が帰ってくるようだった。
多過ぎる人間の気配、笑い声、足音、呼吸音。心の平穏を削り取られながら、それでも淡々と仕事をこなす。
いい気な貴族様どもは給仕を空気か何かのように気にもせず、勿論礼も言わない。
尽くされる事に慣れきって、当然の事だと思っているのだろう。 いい気なもんだ。
これが『平民』の、普段のシエスタ達の扱いだ。

周囲を見回す。
給仕もメイドも、足を休める事無く動き回り、それを気にとめる者は無い。
(上の為に働いてるってのに、この扱いは何だ?下の奴を馬鹿にしてる)
シエスタこそ納得していたが、オレには無理だった。少しばかり、あの組織を思い出す・・・・

爪先にこつんと、硬い感触があった。
目線を下げればそれは小瓶で、中で色付きの液体が光っている。何故こんな所にこんな物が?
拾い上げてみて、その小瓶を目で追う人間が居る事に気がついた。ブロンドに妙なセンスの服を着た、派手過ぎるガキだ。
瓶越しに目が会うと視線をそらされる。
「あー・・・・(何だ?)この小瓶に、心当たりはございますか?」
「知らないよ」
親切心でこっちから声をかけているのに、お前こっち来るんじゃねえよ感を丸出しにした視線で追い払われる。
脳味噌の中で思う様悪態をつくオレ。犬だって餌を貰ったら尻尾を振るぞ。糞『貴族様』どもめ!
「そうですか。失礼致しました。」
硬い作り笑顔で引き下がる。よっぽど何か言ってやりたいが、人目につきたくないからだ。
後でシエスタにでも渡しておこうと小瓶をポケットに押し込もうとする。すると、先ほど確かに『知らない』と言ったガキが、少し驚いた様子で口を開いた。

「それをどうするんだい?」
「・・・・・・・・(何だってんだよ)後ほど持ち主を探そうかと――――」

「おい、それ!モンモランシーの香水じゃあないか?」
近くでだべっていたガキの一人が、急に声を上げる。
「本当だ。でもなんてこんな所にあるんだ?モンモランシーは向こうに居るぜ」
「おい、決まってるだろ・・・・ギーシュが落としたんだよ、な?」
「嘘よ!」

おい、何だ何だ?香水一個拾っただけで何でこんなにも五月蝿くなる?
厄介ごとの臭いがキツいんで、オレは『ギーシュ』と呼ばれた男のテーブルに問題のブツをおいて、そそくさと其処を離れる。
約2メートルも離れたところで早足で歩く巻き毛の女に肩をぶつけ、思わず振り返り――――振り返りざまに、小気味いいビンタの音が鼓膜に届いた。


725 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/19(月) 00:02:23 ID:Sip+E02x
支援であります

726 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/19(月) 00:04:29 ID:SHCn/RUY
これは・・・2日連続投下ラッシュかっ!?

727 :使い魔は引き籠り:2007/11/19(月) 00:04:54 ID:zdmS2OL0
「この嘘吐き!もう二度と顔を見せないで!」
ちょっと目を離したすきに立派な修羅場が出来上がっていて、鬼神の如き怒気を撒き散らす女に泣き喚く少女、
張られた頬を押さえて涙目のガキ(男の癖に泣くなんて、見っとも無い奴。)、
それを待ってましたとばかりに囃し立てるその他大勢。
詰め寄る女に要領を得ない返事をする『ギーシュ』は、うろうろと視線を彷徨わせ・・・・

「おい、そこのお前!」

まさかだろ。

「お前のお陰でたった今、二人のレディの名誉に傷がついた!どうしてくれるんだ?!」
傷がついたのはどう見てもお前の顔面だとか、バレたのが今ってだけだろういつから二股して居やがった?だとかはどうでもいい。
「酷い言いがかりでございます、『貴族様』。」
『貴族様』には思う様侮蔑の意味を込めて言ってやったがどうやら気づいてないようだった。
頼むぜマンモーニ、オレは目立ちたくないんだ。だからギャングに成り下がるような人間に、この手の忍耐を求めないでくれ。
そんなオレの気持ちは汲み取られる事無く、糞ガキは一方的に喚きたてる。

君が気を利かせないから悪いんだ根暗。
給仕ならそれぐらい察して、黙って手渡すなりするべきじゃないか地味顔。

要約すると、そんな感じ。

「気が回らず大変申し訳ございません、でし、たッ!」
びたん。
手に持っていた盆(デザート付き)を五月蝿いガキの面めがけて叩きつける。
ガキはそのままスッ転んでテーブルに後頭部を強かに打ち、クリームの潰れ飛び散る様を見て、ああこれは目立つな、と咄嗟に思う。
とりあえずマンモーニが泣き出す前に盆の上から顔面を踏みつけた。これで声は出ないだろ、息も吸えないが。
「頭が冷えたら後で彼女様の『どっちか』に慰めてもらってくださいませ。」
スマンシエスタ、やっぱりオレに人込みは無理だった。撤退だ。
懐から手鏡を取り出して自分を写す。

「『マン・イン・ザ――――」
「レビテーション。」

物凄い力でオレの手が引っ張られ、有無を言わさず手鏡がもぎ取られる!
な、何だッ?!何が起きやがった!
マン・イン・ザ・ミラーはオレを掴みそこね、最高にザワついた大食堂から消える術が取り上げられた。
最悪だ・・・・!

「キュルケの手鏡。・・・・ルイズの使い魔、貴方?」

まっすぐに吹っ飛んで言ったそいつは、メガネのチビ女の手にすっぽりと収まった。
初日の、『モノを浮かせる』スタンド使いか?!畜生、何だってこんな時にッ!

「神妙に。ルイズ、来るから。」
「そりゃあ困ったな・・・・」

今日は最低の一日と見た。ルイズが来る?じゃあそれまでにこの状況をどうにかしなきゃあいけない訳だ。一体どうやって!

728 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/19(月) 00:05:49 ID:SHCn/RUY
スマン下げ忘れたorz・・・支援

729 :使い魔は引き籠り:2007/11/19(月) 00:07:07 ID:DwkMGbw+
以上投下終了。もう日付が変わっていやがった!丸5分もずれた我が家の時計が許せない。

鏡警備員はアルバイト初日に『やっぱオレには向いてません』って辞めるような
駄目なタイプの現代人でした。

イ「え?夢で見たのは仲間達の死に様?まさかwwwファンタジーやメルヘンじゃないんだからwww」

730 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/19(月) 00:07:29 ID:CcggyOia
「支援」したッ

731 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/19(月) 00:12:10 ID:6ZTbYF/V
GJ!

732 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/19(月) 00:14:15 ID:cWx7EVXo
保管庫いけない

733 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/19(月) 00:15:20 ID:TwCRM2lM
GJ!これは続きが気になる展開


2度も下げ忘れたorz・・・疲れてんのかな俺

734 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/19(月) 00:19:47 ID:fa+vXdFW
マン・イン・ザ・ミラーは
何気に最強クラスの能力だと思うんだけどね。

735 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/19(月) 00:20:24 ID:f/i9mGXN
GJ!

736 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/19(月) 00:20:29 ID:B7XdlWb7
>>729
なんという突っ込みがいのある台詞ww

737 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/19(月) 00:52:02 ID:WJr4mmtK
なあ、今この場に何人くらいいるんだ?

738 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/19(月) 00:57:01 ID:rv2bIsmD
布団の中から携帯で閲覧してるおいらが挙手

739 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/19(月) 01:00:21 ID:WJr4mmtK
一人か二人なら…やめておくか。
みんな寝てしまっただろうし。

740 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/19(月) 01:00:24 ID:B7XdlWb7
書き書きしつつ挙手

741 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/19(月) 01:00:27 ID:f/i9mGXN
ノシ

742 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/19(月) 01:01:55 ID:wAW+OUGB
のし
ヒッキーさんはいつ魔法がスタンドじゃないって気づくんだろうな?

743 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/19(月) 01:01:58 ID:brPN2bPK
まだだ、まだ作者のターンは終わらんよッ!

744 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/19(月) 01:02:47 ID:DwkMGbw+
まだいるよーノシ

745 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/19(月) 01:03:03 ID:D4PdxBjY


746 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/19(月) 01:03:26 ID:SDQoDpzD
ノシ

747 :CRAFT OF ZERO ゼロの技工士:2007/11/19(月) 01:03:29 ID:f/i9mGXN
後もう少しで書き終わるカナってとこです。
まあ何とかするんで気長に舞って子ダサい。

748 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/19(月) 01:04:58 ID:WJr4mmtK
じゃあ投下…といきたいが
本当にもう少しなんだ。サーレーの人が投下した後に予約。

749 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/19(月) 01:07:42 ID:vjVahHUs


750 :CRAFT OF ZERO ゼロの技工士:2007/11/19(月) 01:07:47 ID:f/i9mGXN
いや、書くの遅いんで先にどうぞ・・・。

751 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/19(月) 01:14:33 ID:2Gd+HbNa
投下があるなら支援する!


752 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/19(月) 01:17:04 ID:DwkMGbw+
支援の準備してまってるぜー

753 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/19(月) 01:20:29 ID:rv2bIsmD
梅干しで眠気を誤魔化しながら支援準備

754 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/19(月) 01:21:33 ID:+k+rD3U3
『自分のSSを書く』『職人さんの投下を支援する』
両方やらなくちゃいけないのが住人の辛い所だな。覚悟はいいか?俺は出来てる。

755 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/19(月) 01:22:29 ID:B7XdlWb7
>>753
布団から出たほうがはやいぞw

756 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/19(月) 01:24:43 ID:KP/Ujan2
別のナニをカキカキしながら支援するぜぇ!

757 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/19(月) 01:26:28 ID:rv2bIsmD
>>755
実は狭い部屋の半分がベッドでもう半分は床でも寝られるようにマットと布団が置いてあるんだ
高さが違うだけでどちらにしろ布団の中なのさ!
支援準備支援準備。まだかい?

758 :CRAFT OF ZERO ゼロの技工士:2007/11/19(月) 01:27:28 ID:f/i9mGXN
もうちょっと大おお!!
お待ち大おお!!


759 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/19(月) 01:28:05 ID:DwkMGbw+
>>757
なんという理想郷、その部屋で引き籠りたい。
>>758
落ち着けってwww

760 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/19(月) 01:35:29 ID:iZKYjUUI
支援する準備はできているが寒さと眠気がやばい

761 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/19(月) 01:38:13 ID:4W8cM6HY
>>565
シュトロハイムとワムウは直接の面識は無いっすよ。
シュトロハイムはワムウが石だった所を見ているけど、
ワムウは一度もシュトロハイムを見てないっすから。

762 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/19(月) 01:42:15 ID:rv2bIsmD
>>760
何、眠い?
梅干しを食べるんだ
それで駄目ならレモンを食べてみるといい
みかんのように皮をむいて中身を食べるんだ
刃物突っ込んだような刺激に目が覚めるから

763 :CRAFT OF ZERO ゼロの技工士:2007/11/19(月) 01:42:56 ID:f/i9mGXN
サーレーの眼の前では有り得ない光景が広がっていた。
(さっきまで俺はカプリ島に居たはずなのになあ。)
サーレーの眼の前では何やら広場で人が集まっている
さっきからサーレーやサーレーの前にいるブロンドの少女を凝視しており目立つ事に抵抗のあるサーレーは一種の不快感を覚えた。
(何なんだ、この場所は。俺はカプリ島でスタンド攻撃に会ったはずじゃあ・・・。)
「ねえ、あんた。」
サーレーの目の前にいたブロンドの少女がサーレーに話しかける。
何だか不機嫌そうだ。
(俺、何かしたかぁ?)
サーレーが呑気にそう考えていると長―――――い沈黙がさっきの少女の一言でいっぺんに、堰を切った潮流の様に口々に何かを喋りだし、中には少女に対する嘲笑の聞こえてきた。
「「「「ワハハハハハッハハハハハッハハ!!!!」」」」」
「まさか平民を呼び出すとは、流石ゼロのルイズ!」
「最高にハイってやつだアアアアァァァァ!!!」
「クセー!!ゼロ以下の臭いがプンプンするぜ!!」
何か吸血鬼と顔に傷が有る男が見える。頭痛い。
何なんだよ。
「コルベール先生!サモン・サーヴァントのやり直しを要求します!」
「しかし、規則ではあなたはこの青年と契約しなくては・・・。」
「平民と契約するなんて聞いたことありません!!」
(サモン・サーヴァントって何だ?)
するとサーレーの目の前にスタンドと思しき生き物が眼の中に入ってきた。
*注意 こいつらは本来サモン・サーヴァントで呼ばれた使い魔なのですが、サーレーは頭に銃弾+見たことの無いものによるショックで混乱しています。
サーレーの頭の中に不吉な何かが過ぎった。
(まさか!ここがうわさに聞いたパッショーネのスタンド養成施設!!)
噂によればパッショーネにはポルポがいなくなった時のためにスタンド使いの養成施設が有るとか無いとか聞いたことが有る!
そしてあの小娘は俺にサモン・サーヴァントとか言うスタンドで俺を呼び出して・・・・。
*注意 このサーレー、頭に銃弾を受けてかなり頭がキテマス。
こういうところに裏切り者を呼び出してギャングなら教えることは一つ!
そう!始末の仕方!!
(こ、殺される!)
ルイズの態度と周りの状況をキチンと見ればそうでない事など一目瞭然なのだが・・・。
「しかし、ミス・ヴァリエール。君の使い魔が逃げてしまっては、やり直ししようにも出来ないのだが。」
「え、ええ!?」
「ヴァリエールの使い魔がにげたー!!」
皆がサーレーの方を向くとサーレーはもう既に200メートル近く走りきった後だった。

『第一話 サーレーのトリステン逃避行』



764 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/19(月) 01:45:49 ID:B7XdlWb7
支援、そして
もうちょっと落ち着いて書いていい

765 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/19(月) 01:45:51 ID:rv2bIsmD
逃げたwww
支援

766 :CRAFT OF ZERO ゼロの技工士:2007/11/19(月) 01:45:55 ID:f/i9mGXN
すみません!!お持ちドウ様でした!そしてすみません!!

767 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/19(月) 01:45:55 ID:+k+rD3U3
ヤッパリコイツ投稿シタナァーッ。ソウ来ルト思ッテタンダゼェーッ。シィィーーエェェェーーーン!

768 :CRAFT OF ZERO ゼロの技工士:2007/11/19(月) 01:47:26 ID:f/i9mGXN
(殺される!何か知らんけど殺される!!)
*やっぱりこのサーレー、脳にめり込んだ銃弾が脳に結構なダメージを残しているようです。
サーレーは広場の近くにあった森に一直線に走っていった。
伊達にギャングで荒事をかたずけているだけあって、体力には自信がある!
400メートルほど走ったところで一本の木にぶち当たった。
「よし、ここなら良いな・・・。クラフトワーク!!」
サーレーはクラフトワークに木の枝を掴ませそのまま本体ごと登っていった。

な、何なのよ!あの男、何か幽霊みたいなものに自分をつかませて木に登って行ったわ!
「お、おいアイツ空に浮いているぞ!」
私の近くの生徒が指を私の使い魔(仮)に向けて慌てていた。
「もしかしてアイツ、メイジか!?」
まさか皆あの幽霊が見えていない?
「何をしているのですか!ミス・ヴァリエール!追いますよ!」
コルベール先生が少し遠い所で叫んだ。
マジで勘弁してよ、このコッパゲ!

一方、逃げているサーレーは・・・。

「・・・これでヨシッと。」
木のテッペンで木の葉を何枚か集めるとそこから立ち上がりもう一人の自分の名を呼んだ。
「クラフトワ―――――――ク!」
そして木の葉を空中にまく。
「この木の葉を『固定』しろ!!」
するとさっきまで空を舞っていた木の葉がイキナリ、テープの一時停止を押したみたいに止る。
「よし、これで逃げる準備は整ったな。」
サーレーはその木の葉を使って器用に向こう側の木に乗り移った。
そしてまた、さっきの要領で木のテッペンに登り・・・というのを繰り返して行っていた。
「このままイタリアに帰るウウウウウ!!」
まだ別世界だということが分かっていないイチャッテル、ハイなサーレーなのであった。
「WWWWWRRRRRRRRRRYYYYYYYYYYYYY!!!」
そうしていると後ろが何やら騒がしい。そう思って後ろを向いてみると大量のフライで空を飛んでいるメイジたちが追ってきていた。
「おい!あそこにいたぞ!!」
「な、何ぃいいいいい!!木の上で隠れたのに何でこっちの居場所が割れてんだァァァ!!!」
あんたが大声出したからだろうが・・・。


769 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/19(月) 01:48:20 ID:DwkMGbw+
支援!

770 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/19(月) 01:48:29 ID:rv2bIsmD
大丈夫かこいつ
支援

771 :CRAFT OF ZERO ゼロの技工士:2007/11/19(月) 01:48:40 ID:f/i9mGXN
コルベール先生や他の生徒たちはフライで飛んで言った。
私はフライを使っても爆発して失敗する。
そういって皆、私を馬鹿にする。
ここまで来て今度は平民を使い魔として呼び出し(しかも何か叫んでる変人!)しかも逃げられる!
こんなのってアリ!?
もういやよ・・・。
ルイズは力なくその場にへたれこんだ。

「うおお!?」
サーレーの目の前に火球と突風が舞う。
メイジたちがサーレーに攻撃を始めていた。
「S・H・I・T!飛び回りやがって!攻撃が当てられねえじゃねえか!!」
嘗めやがって!
俺のクラフトワークは火炎とか風とかは『固定』の範囲外だ。
その上、木の葉の安定しない小さな足場が邪魔でしょうがない!
「・・・ちッ。一旦地面に退避するか。」
地面の上での白兵戦はクラフトワークの得意分野だ。
地面でなら固定化はたやすく行える。
流石にこの木の数だ。何とか白兵戦に持ち込めるはず・・・・。
そう思っているとイキナリまた横から火の玉が飛んできた。
「チッ!面倒だ!」
サーレーは手に持っていた葉っぱを火の玉に向けて無造作に投げ、固定化する。
火の玉はサーレーの木の葉に掛けられた固定化のパワーと相殺しあい宙で爆発して消えた。
「あなた、さっきも見ていたけどメイジなの?」
サーレーに火の玉を放った赤い髪の女性のほうを見る。
「ああ?なんだ、そりゃ。食いものか?」
「あんた!メイジを知らないの!?」
「知ら、んな!」
サーレーは後ろからの氷の矢を避けるとすれ違いざまに『固定』を掛ける。
サーレーが後ろを見るとそこには12歳〜14歳くらいの青い髪の少女が自分の身長より大きい杖を構えていた。
「こんなガキまで・・・。」
「ファイヤーボール!!」
後ろでさっきの赤い髪の女の声がする。
「なに!クラフトワ―ク!!」
サーレーは木の葉から飛び降りると氷の矢の固定化を解除する。
火の玉と氷の矢は空中で相殺される。
「皆さん!殺してはなりません!止めるだけです!!」
そういう声が聞こえたがサーレーはもうすでに地面に落ちて行っていた。



772 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/19(月) 01:49:51 ID:8iz6Mqbu
イルーゾォとサーレー、考え方近いな

773 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/19(月) 01:50:29 ID:iZKYjUUI
支援

774 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/19(月) 01:51:47 ID:rv2bIsmD
支援

775 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/19(月) 01:52:03 ID:wAW+OUGB
しえ!すた!

776 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/19(月) 01:52:08 ID:B7XdlWb7
支援
>「このままイタリアに帰るウウウウウ!!」
クソワロタw

777 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/19(月) 01:52:22 ID:fa+vXdFW
普通スタンド使いはそういう考え方をする。
キスなんてされるのは論外、だって攻撃のスイッチかもしれないし。

778 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/19(月) 01:53:21 ID:DwkMGbw+
支援!ビビり仲間がいて鏡警備員も喜んでるさ

779 :CRAFT OF ZERO ゼロの技工士:2007/11/19(月) 01:53:56 ID:f/i9mGXN
ルイズは遠巻きで森の中を走りながら謎の男と生徒たちの攻防を見ていた。
謎の男は謎の無詠唱の魔法で氷や土の魔法を止め、それをうまく利用し火や風の魔法を相殺していた。
使い魔とは一種のメイジのステータスだ。あれだけの使い魔を呼び出した自分はすごいんだ。
もう誰にも馬鹿にされない。
ルイズの中には一種の希望が見出されていた。
(もしかしたら私はもうゼロじゃないのかもしれない・・・。)
すると謎の男が地面に落ちてきた。
高い場所から落ちたのにうまく着地し、また戦闘態勢を整える。
「オラオラァ!もう終わりか!?アア!?」
もしかしてこのあたりで・・・あ、いたいた。
ルイズは近くでゴーレムの用意をしていたギーシュを見つける。
「ギーシュ!!」
「ん?ああ、ミス・ヴァリエールか君の使い魔。いったいなんだい。」
「どうでも良いから!あたしにレビテーションをかけて。」
「はあ?」「早く!!」
ルイズは鬼気迫る表情で叫んだ。

「まだまだァ!」
サーレーはクラフトワークの拳で風や土の魔法を弾きつつ、逃げ道を探していた。
するとサーレーの視界に何やら宙に舞っている少女が見えた。
「いい、ギーシュ!しっかり飛ばすのよ!」
「正気かい!?」
「大丈夫!何とかする。」
何かやばい気がする・・・まさか・・・。
「いいわ!やって!」
「ええい!もうドウにでもなれェ!!」
金髪のガキが造花のようなものを俺に振った。
するとあのブロンドのガキが俺に向かってきた。
しかも飛んで、猛スピードで!
「うおおお!!」
ごちん!
ブロンドのガキと俺の頭がド派手に火花を散らした。



お疲れ様でした。皆さんお待ちドウ様。
これにてサーレー編第一話をおわります。
ほんとに長い間待たせて申し訳ないです・・・。
こんどはきちんと書きおわってから投下します・・・・。
今度の投下は多分1週間後かなってとこです。

780 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/19(月) 01:57:15 ID:DwkMGbw+
GJ!
こっちのルイズは最初から周りとの結束が固くていいねw次の展開にも期待。

781 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/19(月) 01:57:43 ID:+k+rD3U3
GJだ!クラフトワークのフル使用も見ていて楽しいが、ややハイ気味なサーレーが実にイイ感じだッ。

782 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/19(月) 01:59:36 ID:rv2bIsmD
乙!
しかし早いこと頭の弾抜いて処置しないとヤバくないかサーレー

783 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/19(月) 02:02:04 ID:2Gd+HbNa
GJ!
サーレー、落ち着けw
スタンド能力だと思い込む分、召喚されると焦るんだな

784 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/19(月) 02:05:33 ID:QlMsBh4S
GJ!色々とご主人の言う事をきかない暴走気味な使い魔はいい味出してます
ちなみにクラフトワークはクラフト・ワークで区切ったりする
別にドーダコーダ言う訳じゃあないんですがね

785 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/19(月) 02:07:04 ID:DwkMGbw+
さて、次も来るかな?支援の準備は万端だぜ

786 :奴隷 ◆CR2IDhbEVw :2007/11/19(月) 02:28:07 ID:WJr4mmtK
まだ残ってる?40分から投下したいんだけど。

787 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/19(月) 02:31:00 ID:B7XdlWb7
残りまくりですがなにか

788 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/19(月) 02:38:12 ID:+k+rD3U3
我々は『眠れぬ奴隷だ』…職人の投下を支援する為に俺達読者は存在する…
これでいい…『幸福』とはこういうことだ…

789 :奴隷 ◆CR2IDhbEVw :2007/11/19(月) 02:38:57 ID:WJr4mmtK
オリジナル展開ももう少しで終わるから
とっとと話を進めていこう。
いいかげん本筋に戻したいです。

790 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/19(月) 02:40:45 ID:DwkMGbw+
残ってるよ!

791 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/19(月) 02:41:50 ID:7pUJ94Z0
支援

792 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/19(月) 02:43:34 ID:Np1zC9dh
S・H・I・E・N!

793 :slave sleep〜使い魔が来る 1/17:2007/11/19(月) 02:44:32 ID:WJr4mmtK
「ブチャラティはどこだ?どこにいるんだ?」
ギーシュとマリコルヌは今必死に街中を走り回っている。
早く見つけ出さないとキュルケの命が危ないかもしれない状況で内心二人は大焦りだった。
ブチャラティを見つけなくてはならない。一秒でも早く。キュルケの命が危険に晒されてるのは今なのだ。
「僕達久々の休みを満喫してただけだったのに…。なんでこんな人の命がかかった大マラソンやらなくちゃ
いけないんだよチクショウ…。」
「無駄口聞いてる暇があったら早く探し当てよう。現実味に欠けててイマイチ実感がわかないかも知れないが
キュルケが負けたら本当に死んでしまうんだぞ?手遅れにならないうちに見つけなくてはならないし、
僕達にはそれをやりとげる義務があるッ!!」
キュルケのクラスはトライアングル。おまけに彼女は軍人としての訓練もある程度受けていると聞いている。
その高い実力はよく知っており、信頼における物だった。
だがダメなのだ。スタンド使いの恐ろしさはクラスでは測れない。それが実際にスタンド使いと戦い、
そして知ったギーシュの持論だった。
(なにか、彼の手がかりだけでも掴むことができればいいんだけどな。どうしたものかな…。)
あせるギーシュをマリコルヌが引き止める。
「なあ、ずいぶん向こうがやけに騒がしくないか?なにかあったんじゃないかな?」
「何か見つけたのか?」
「なんと言うか、ヒュウヒュウと空気の乱れる音がさっきからずっと耳に届いていたんだ。
『風』使いだからね。そういうのには敏感なんだ。打撃音も聞こえてまるで戦っているみたいだ。」
「戦っている?」
ギーシュはマリコルヌが指差す方向を見る。
「気になるな。よし。あっちの方向に行ってみよう。」

794 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/19(月) 02:45:36 ID:DwkMGbw+
支援!

795 :slave sleep〜使い魔が来る 1/17:2007/11/19(月) 02:45:46 ID:WJr4mmtK
そこにいたのはウェールズだった。
追っ手に追いつかれて戦闘をしていたところだったのだ。
追っ手は4人の男。
「どうした兄ちゃんよ。ここまでずいぶんな数の仲間を一人一人やってくれたみたいだが、
多勢に無勢では流石に打つ手なしか?」
男の一人がそう冷やかすように言う。人数で押しているからだろう。
ある程度の余裕が感じられた。
「さあてね。もしかしたら一斉に全員倒す切り札をもっているかもしれないよ。」
「フン。なかなかいい度胸してるんだな。軍人か?てめーよォ。」
ウェールズは一呼吸おく。一旦落ち着いて敵を分析するためだ。
戦いの中ではまず相手の実力を見極めるのが重要とされている。
実戦に慣れているらしいウェールズはたやすく相手を見極めた。
(全員各系統のラインメイジか。だが特に何かに秀でているワケでもないようだな。
一応僕はトライアングルだが、敵が4人がかりとなると少し面倒かもな。)
杖を構えなおしてギロリと相手を睨む。そして呪文を唱えようとした。
だがウェールズはこの時まだ相手を完全に分析できていなかった。
そのため彼はこの後相手に意表をつかれ、呆然とすることとなった。
一番前にいた男が大声で仲間に言う。
「うっし!おまえら!いつものやつ行くぜッ!!」
「「「ウッス!」」」






796 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/19(月) 02:45:52 ID:Np1zC9dh
ちょww17ww

支援

797 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/19(月) 02:46:04 ID:B7XdlWb7
支援!そして/17とかwktk

798 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/19(月) 02:46:48 ID:DwkMGbw+
17すげえwwww再度支援!

799 :slave sleep〜使い魔が来る 3/17:2007/11/19(月) 02:47:15 ID:WJr4mmtK
雰囲気が盛り上がるような音楽が聞こえるような気がした。


「嵐のように現れて!突風のように去っていく!それはまさに疾風のごとくッ!
逃げ足なら誰にも負けねぇ!
お れ の 名 は ペ イ ジ !」

「動かざること山のごとく!口開かぬこと地蔵のごとく!
ノリと勢いで世界を救えるのか!?
プ ラ ン ト!」

「・・・・・(ヤベッ!台詞忘れたッ!!)えっと、その、流れる、じゃなくてKOOL
…は違う。うぐぐ…プリキュアじゃない、カミカゼでもなくて…」
「(ウェールズ)いつでもKOOLに決めてやる。水もしたたるいい男。
くらってくたばれおんみょう弾…か?」
「…なんで知ってんだよオオォォッ!!予知能力者かうう…うう… うおお おっ おっ オメーはよォォォォ
ジ ョ ー ン ズ !」

「最後は当然このオレさ!誰もが認める炎の男!恋についてはオクテだぜ!
ジョーンズ後で話あるから。
ボ ー ン ナ ム !」

登場シーンにアレンジ加えて登場しました俺たちがッ!
裏社会でのし上がれ!今時はやりのダークヒーロー!
血管針戦隊      ス テ ゴ マ 4!!!
みんな応援よろしくねッ!(ウインク♪)
バァ―――z______ン!!!

ウェールズは先ほどのツッコミの後無表情になっている。
ギーシュとマリコルヌは『硬化』の呪文を受けたように固まった。


800 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/19(月) 02:47:33 ID:7pUJ94Z0
支援

801 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/19(月) 02:48:13 ID:+k+rD3U3
ここ最近になって再び神父が帰って来たのか!?支援だッ!

802 :slave sleep〜使い魔が来る 3/17:2007/11/19(月) 02:49:04 ID:WJr4mmtK
「付き合ってられないよ。僕は急いでるんだ。」
ウェールズが杖を構えなおし呪文を唱える。
そしてそれをペイジが感じ取り注意をうながす。
「いい度胸だ!見せてやろうか。俺達の必殺技ってヤツをッ!!」
4人が全員で違うタイミングで!絶妙な角度修正で!それぞれ違うスペルを唱える!
「くらえっ!お互いを打ち消さずそれでいて威力を高めあう俺達の最強合体スペル!!
その名も『夢見る男達の多重血管針連弾』ッ!!」
「『トルネード』ッ!!」
竜巻とミックスジュース!術と術がぶつかり合うッ!!

・・・まあこの場の誰もが予想していた展開で幕を閉めるわけだが。
気がついた時にはすでに竜巻は捨て駒の術を意図も簡単に粉砕し終わった後だった。
しかし敗れた4人の顔にはむしろ余裕すら感じられた。
「あっさり俺たちの最強の術やぶれちまったぁ!!(予想通りの展開だがな。)」
「いくらなんでもあっさりすぎだぜッ!!(言うな。このために呼ばれたんだ。)」
「ちくしょぉぉぉぉぉ!!!!(今日は久しぶりに一杯飲もうや。ハッハッハ。)」

ドッカーーーーーz______ン!!!

4人は手馴れた様子で遥かかなたに吹っ飛んでった。
「この威力!トライアングルクラスか!?」
「そこの人!大丈夫ですか!?」
ギーシュとマリコルヌがウェールズの元に駆け寄った。



803 :slave sleep〜使い魔が来る 5/17:2007/11/19(月) 02:50:35 ID:WJr4mmtK
「・・・なるほど。だいたい話はわかった。」
ウェールズとギーシュたちが情報を交換する。
「ブチャラティはブチャラティで面倒なあってるなぁ…。」
「僕にはむしろ自分から率先して首をつっこんでいったように聞こえるけどね。
正気の沙汰とは思えないよ。ならず者はみんなメイジだってのに!」
マリコルヌが頭を抱えながら言う。町ひとつ簡単に占拠するメイジならそれ相応の強さがあるだろうに。
無論、それがぞろぞろいるのだとすればブチャラティ一人でそれを潰そうとするなんてあまりに現実から
離れすぎてるとんでもない大暴挙と考えるのだろう。
しかし、ギーシュはそんな不安がまるでないと言わんばかりにウェールズに聞く。
「ウェールズさん。ブチャラティは今どこに向かっているか心当たりはありますか?」
「ないな。だがさっき別れた時に30分立ってから広場で待ち合わせると約束した。
残念ながら本当に他に彼の手がかりは無い。広場に向かうことがやみくもに探すよりは一番妥当な手だと思う。」
「わかりました。広場ならここから10分で行けます。…キュルケも心配だ。さっき別れた武器屋の前のルートを
通っていきましょう。」
マリコルヌがギーシュに疑問があると言わんばかりに問いかける。
「待ってくれよギーシュ。どうしてそんなに冷静でいられるんだよ?いくらブチャラティでもできることとできないことがある
んじゃあないかと考えないか?普通はさ。」
「わかってるよ。僕だってブチャラティがどうなったか不安なんだ。」
だけど、とギーシュが続けた。
「なぜだかブチャラティなら心配ない。そんな根拠のない自信が心の中にあふれてるんだ
そんな見えない力が本来うろたえるはずの僕を後押ししているのかもしれない。
ブチャラティという奴はそう言う人間なんだ。だから僕なんか簡単にのされてしまったのさ。」
ウェールズがギーシュたちに言う。
「さあ、もう行かなくてはいけない。他の君たちの仲間がどうなっているかはわからないが事は一刻を争うだろう。」
走り出すウェールズを見てギーシュは思った。
「しかし、あの人はどこかで見たようなおぼえがあるな…。」
そう考えたギーシュの目にウェールズの指に嵌った緑色のルビーの光が飛び込んできた。



804 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/19(月) 02:50:42 ID:B7XdlWb7
なんだこれはwwwwwww

805 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/19(月) 02:51:02 ID:DwkMGbw+
支援!なんかしぇっこさんがいた

806 :slave sleep〜使い魔が来る 6/17:2007/11/19(月) 02:52:04 ID:WJr4mmtK
「アンタ誰よ?何が目的?」
目の前に突然現れた男に対したじろぐルイズ。
「うーんいいねぇお嬢さん。君実にかわいいよいやマジに。遠目に見ても一目で
かなりの美人って分かるくらいだったからなァ〜〜。こうやって間近に見たら、
ンもう息も詰まるくらいにかわいいよ。うん。ピンク色のブロンドの髪といい、
透き通った綺麗な肌といい、俺の心をわしづかみにする要素だらけだ。魅入られてしまいそうだ。」
そう巻くし立てる男に対し、正直ルイズはいい印象を抱かなかった。誉められて
いるはずなのにいい気分がしない。そう言って来たのが初対面の人間だと言うの
も恐らくは理由のひとつでもあるだろうが何よりルイズはその男を直感的に気味
が悪いと感じていた。
「突然現れたと思ったら何をしゃべり始めてるのよ!アンタ私に何が言いたいの!?」
男が恍惚の表情を浮かべてルイズに言った。
「単刀直入に言おうか。君の事を気に入ったんだ。ぜひ付き合っていただけないだろうか?」
「ハァッ!?」
ルイズは男のあまりの展開に物凄く度肝をぬかれ、そして呆れ果ててしまった。
自分を遠くから見てたらしいが、自分にとっては初対面。たった今出会った初対面の男がそんな
台詞を言ってYESと言うはずが無いのにと思ったのだ。
ましてや男はルックスが悪いわけではないが、どう見ても平民だ。
「バカじゃないのアンタ?平民の分際でよくもまあこの私にそんな台詞が言えたモンね?
由緒正しいヴァリエール家の私がOKすると思ってるの?」
ルイズの発言はもっともだった。

807 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/19(月) 02:52:50 ID:7pUJ94Z0
支援

808 :slave sleep〜使い魔が来る 7/17:2007/11/19(月) 02:54:03 ID:WJr4mmtK
「当然…。お断りよっ!!」
ルイズが仁王立ちで男を突っぱねた。
「な、そんなッ!何故だッ!!」
「当たり前でしょ!?どこの世界にたった今出会った奴のプロポーズをうけるバカがいるって言うのよ!?」
男はどうやら本気でショックを受けているようだ。軽いつもりのナンパではなかったらしい。
(オー・マイ・ゴッド!!今日会ったばかりよね!?なんでフラれてそこまでショックうけるほどに…。)
「そうか。じゃあしょうがないな。」
「フン。当然じゃな…。」

「今日は『無理矢理襲う』って感じに殺しちまおうか。」

ゾクッ!!といった感じの旋律がルイズを襲った。
「こ、殺すって!?」
気がついたら男はすぐ目の前。ルイズは後ろに下がる。
男はナイフで胸の辺りを切ってきたのだ。ルイズは一瞬で顔を真っ青に染める。
「な、何よ…。なんなのよアンタ…!何が目的…?」
「お前、あのおかっぱ髪の主人なんだろ?わかってるんだぜ。なーに状況が読めないのは無理は無い。
だから一つだけ教えておくと俺は最初から君を殺すつもりだったんだ。アイツに対する仕返しのつもりでな。
そして人質を取ったと奴にガセを流し、君の死体を囮にノコノコ出てきた所をぶっ殺しちまう寸法よ。」
男はニタニタ笑っていた。さっきの愛の告白とかも完全に自分を油断させたところを襲うつもりで言った狂言だったのだ。
「しかしよォ。君が本当に可愛いのは確かだぜ。だから今回は愛の告白に乗せて襲う作戦にしたんだ。
君は俺を虜にしてしまった。お嬢さん。君はなんて、なんて…。

な ん て 『美味しそうな』 娘 な ん だ ろ う ね。」

体中を嫌悪感が襲う。気がつけばルイズは逃げ出していた。

809 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/19(月) 02:54:38 ID:+k+rD3U3
王太子ー、本名名乗ってるー。支援

810 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/19(月) 02:54:48 ID:DwkMGbw+
支援!

811 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/19(月) 02:55:16 ID:B7XdlWb7
更に支援

812 :slave sleep〜使い魔が来る 8/17:2007/11/19(月) 02:55:47 ID:WJr4mmtK
「ヤダ…!なんなのよコイツ!気持ち悪い…!!!」
男はルイズに向かってナイフを振るいルーンを唱えた。
「『エア・カッター』。」
ルイズの右足を風の刃が切り裂くッ!!
「きゃあっ!!」
「『きゃあっ!!』だってよ。素晴らしいな。実に楽しめそうだ。さあ、もっと俺を楽しませろよ。
さあ、もっと…!!」
ルイズが傷を庇いながら男を睨む。
「この変態野郎…。メイジ!?」
その平民に扮するメイジ。この男こそがブチャラティが喧嘩を売ったチンピラメイジ集団のリーダーだった。
この男は殺人行為がとてつもなく好きな男だった。特に美しい容姿をした女性を殺すのが好きな傾向は、
とある爆弾のスタンド使いにも通ずる所のある『性癖』そのものだった。
その男の殺人は趣味だ。これからもやめることは無いだろう。
そして今、その標的がルイズに決まってしまった。それだけ。本当に単純だった。
「冗談じゃ…ないッ!!」
ルイズが一瞬後ろを振り返ると、男がルーンを唱え、

ドュゥ〜〜〜ン!!

と言う音とともに一回の踏み込みでルイズのそばまで飛ぶッ!!
「魔法で一気に急接近してきた!?」
ルイズは泣きそうな顔になりながら不安定な自分を落ち着かせる。
(落ち着きなさい…。素数を数えて落ち着くの…。2、3、5、7、11、13…。
どうする?戦おうにも私はまともな魔法はまるで使えない!
さっきの攻撃、おそらくトライアングル!
圧倒的過ぎる!このままじゃ本当に…。本当に…!)
ルイズはいつしか涙を流していた。恐怖に飲まれていた。ルイズは心の底からマジに祈っていた。
(誰か・・・誰か助けて・・・!!)
しかしルイズは曲がり角を曲がったところでッ!
ズタンッ!!
「あうっ!!」
転倒してしまうッ!!



813 :slave sleep〜使い魔が来る 9/17:2007/11/19(月) 02:57:12 ID:WJr4mmtK
「い、いや…!」
ルイズに近づくリーダー。ニタニタした笑いでルイズが怯えているのを楽しんでいた。
ナイフを振るって心から楽しんでいる。それを振って魔法を使ったことから、おそらくコレが奴の杖なのだろう。
「ヒャァッーーーーハァッ!!」
(私には無理よ!どうすればいい?魔法が成功したためしがない、いつだ
って爆発させてばかりの私に何が…。)
ルイズは今自分が魔法が成功しない事を心からくやしがった。
(なんで私がこんなめにあうの?私が『ゼロ』だから?いつだって失敗ばかりの
爆発しか起こせない『ゼロのルイズ』だから?)
自己嫌悪して完全に諦めかけた。だがその時。

爆発しか起こせないのがそんなに恥じる事か?オレなら・・・。

「ハッ!」
「うらぁッ!イッチまいな〜ッ!」
リーダーが切りかかろうとした次だった。ルイズが杖を構えて呪文を唱える。
「『ファイアー・ボール』ッ!」
「反撃かぁ!?弾き返してやるぜッ!『エア・カッ・・。」

ドカンッ!!

「ウグエッ!!!」
弾道が全く見えない。確かに唱えたのは『ファイヤー・ボール』のルーンだったはず。
だから『ファイヤー・ボール』の対処のため直線的な弾道を『エア・カッター』で切り裂こうとしたのだ。
だがそれがこなかった。その攻撃は突然腹部で起きたのだ。
「違うッ…。ガボッ!今のはよォーー。『ファイヤー・ボール』じゃねえ…。テメェ…何しやがったッ!何を…!」
ルイズの杖を持つ手は今も震えている。だがその目は真っ直ぐリーダーを射抜いている。




814 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/19(月) 02:57:47 ID:7pUJ94Z0
ジャックか!? 支援

815 :slave sleep〜使い魔が来る 10/17:2007/11/19(月) 02:59:01 ID:WJr4mmtK
それは数日前。トリステイン魔法学院の広場。
昼休みだった。
「ルイズ?何を読んでいるんだ?」
背後からそう言ったのはつい最近に呼び出した使い魔のブチャラティだ。
「見てわからない?参考書よ。今勉強中なの。」
「そうか。すまないがオレはまだ字は読めない。」
ブチャラティはそう言って外を見た。
「しかし、外はこんなに晴れている。部屋にこもってないでたまには
外に出てみてはどうだ?体に毒だぜ。」
「私は魔法が使えないから。だから他のみんなよりがんばらないといけないの。
いつまでも『ゼロ』ってバカにされてやるもんですか。」
「…そうか。」
ブチャラティはここに来てから何日もルイズを見てきた。遊ぶ時間も寝る時間も削って
勉強する。呪文の反復練習なんて何回見ただろう。
なんとしてでも周りのみんなのように一人前のメイジになりたい。誰にも『ゼロ』とは呼ばせない。
そのために周りより苦しい生き方をしていた。
不公平だな。と思ったりもした。なぜルイズが他のメイジより苦しまなくてはならないのかと。
何より気に入らないのは、きっとルイズはブチャラティに会うずっと前から努力していただろうに、
それでも何一つ成功しないと言う点だった。


816 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/19(月) 02:59:28 ID:DwkMGbw+
支援!

817 :slave sleep〜使い魔が来る 11/17:2007/11/19(月) 03:00:36 ID:WJr4mmtK
夜中だった。ルイズは外で呪文の反復練習をする。
外に出たのは部屋の中で呪文を使って爆発を起こされていたら安眠できないと
周りから苦情が来ていつも外でやるそうだ。
『ファイヤー・ボール』を放つ。爆発が起きる。
『錬金』を試みる。それでも爆発が起きる。
『エア・ハンマー』を使っても爆発。
爆発。爆発。爆発。何をやっても爆発しか起きない。
ブチャラティはその様子をただじっと見ている。
ギリ とルイズが歯を食いしばる。
「何でよ…。何で全く成功しないのよ…!」
ルイズの息が少し荒い。ブチャラティはルイズの疲労を感じ取り言った。
「今日はもう休もう。あんまりとばすと体に障る。」
そう言って差し伸べた手をルイズは跳ね除ける。
「まだよ…。できるまでやらなくちゃ…。絶対に成功させてやるんだから!」
ブチャラティもそれを見かねて言う。
「成功させるために体を壊したら本末転倒だぞ!」
「それでも!!やらなくっちゃいけないの。アンタにわかる?私の悔しさが。
ヴァリエールの三女として生まれて、誰からも期待されてるのに優秀なお姉さまたちと
比べてただの一度も成功しない!誰からも見放され!貶されて!名誉もなにもあったもんじゃあないわ!
私は何も出来ないから…。」
ブチャラティは首を振った。
「少なくとも…。オレはお前を見放すつもりも貶すつもりも無い。精一杯生きている人間を侮辱することなど
自分自身が一番許さないからな。少し劣っているからといって野次を飛ばすような奴など気にするな。
…今日はもう寝ろ。明日からまた頑張ろう。またオレも付き合うぜ。」


818 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/19(月) 03:01:13 ID:7pUJ94Z0
支援

819 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/19(月) 03:02:07 ID:B7XdlWb7
さすがイタリア人!俺たちにできない口説き文句を平気で(ry

820 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/19(月) 03:02:11 ID:+k+rD3U3
がんばるルイズを支援する

821 :slave sleep〜使い魔が来る 12/17:2007/11/19(月) 03:02:55 ID:WJr4mmtK
ルイズの胸の中に何か暖かい安堵の感覚が広がっていくのがわかった。
「ブチャラティ…。」
「それにお前は魔法は確実に失敗すると、どんな魔法を使おうが必ず爆発が起きると嘆いていたが、
爆発しか起こせないのがそんなに恥じる事か?オレならそれを『長所』と考えるな。」
ブチャラティの言葉にルイズが首をかしげる。
「『長所』?こんな爆発のどこが長所だって言うわけ?」
「他の奴らは失敗したとして爆発なんか起こせるか?他の奴らと話していたが誰も失敗で『爆発』は起きなかったそうだ。
つまり、お前は唯一、魔法で爆発が起こせるメイジと言うことになる。」
ルイズが目を丸くする。
「こんな爆発が…私の唯一できる事?」
「ああそうだ。それはオレも誇っていいことなんじゃないかと考える。他に簡単に爆発を起こせる奴なんかいないし
世の中には爆発を起こすことすら羨む人間もいる。オレを見てみろルイズ。オレに何が出来る?
ただ『ジッパー』を貼ってそれを開け閉めしたりするくらいしかできないぞ。」
ブチャラティがルイズの肩を優しくおさえて言った。
「だがオレはギーシュに勝てた。こんなくだらないことしかできないくせに見事に勝って見せたじゃないか。
どんな技能でも使い方を工夫すればそれはきっとだれもくだらないなんて言わない誇れる長所になるだろう。」
ルイズはブチャラティの優しさに触れてわかった。ああ、これだから誰もがブチャラティを信じる人がたくさんいるんだなと。
「あ、あり…フン!それって慰めてるつもり?えらそうに。別にいらないわよそんなの!!」
しかしルイズは素直になれない。
「偉そうに言うつもりはさらさらないが、一人前になるためにはまずはそういう長所を伸ばすことから始めてみてはどうだ?
そういう事から始めていけばもしかしたらいずれは…。いや、他愛も無いアドバイスだ。忘れたければ忘れていい。」
それが魔法でほめられた事の無いルイズが始めて認められた時だった。





822 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/19(月) 03:03:56 ID:7pUJ94Z0
支援

823 :slave sleep〜使い魔が来る 13/17:2007/11/19(月) 03:04:25 ID:WJr4mmtK
「私はいつか一人前のメイジになりたい。だからここで死ぬわけにはいかないわ…!」
ルイズが決意した。ブチャラティは自分を探しているはずだ。だから奴に勝てないまでもそれまで生き延びて見せれば
きっとブチャラティが助けてくれると!
「くそ…!なんなんだその魔法はッ!!」
リーダーがルイズに飛びかかる。だがルイズは冷静に呪文を唱える。
「『石礫』!」
「また単純なマネを!今度こそ『エア・カッター』で!」
ドカンッ!!
今度はリーダーの第二ボタンが爆発する。
「ま、また爆発ッ!!こいつの呪文…!全部爆発が起きんのか!?」
(これだわ…!これが一つ目の『長所』!これがいいのよ!私の爆発は何かをぶつける術ではなく直接対象を爆発させるから
身に着けている物を爆発させれば絶対避けられない!!)
ルイズが敵を怯ませた隙をついて逃走する。
「待ちや…がれッ!!」
リーダーは攻撃に耐え、ルイズを追った。
「生き延びてやる!絶対ブチャラティは来てくれるはずだからッ!!」



824 :slave sleep〜使い魔が来る 13/17:2007/11/19(月) 03:05:54 ID:WJr4mmtK
「クソッ!ちょこまかと逃げやがって!いいかげんにしやがれ野郎ーーーーーッ!!」
すでに紳士面が剥がれ落ちたリーダーがルーンを唱える。その瞬間、男が再び勢いをつけて飛び込んできた。
「『ウインド・ブレイク』で自分を押して一方に高速移動したッ!
苦労したんだぜ。自分がその衝撃でやられないよう精密な動きができるようにするときとかなぁーーー!!」
あくまでその手で斬り殺すために磨いたのであろう近接攻撃向けの使い方!
「そしてこの体勢からエア・カッターで足を狙い、体をズタズタにしてやるッ!!
爆発だけで切り抜けることが」
この体勢からは避けられない!しかしルイズはッ!

どんな魔法も失敗して爆発する。全ての魔法がだ。

「『レビテーション』ッ!!」
ドカンッ!!
「があああうッ!!!こ、コモン・マジックすら…爆発を発生させんのか!?」
(そう。コモン・マジックも。だから他の系統魔法よりも早く詠唱して攻撃ができるッ!!)


825 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/19(月) 03:06:45 ID:7pUJ94Z0
支援

826 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/19(月) 03:07:39 ID:37IYV415
寝る前支援

827 :slave sleep〜使い魔が来る 15/17:2007/11/19(月) 03:09:05 ID:WJr4mmtK
「ガハッ!クソッ!一撃でも当てたら一気にKOできそうなやせっぽちのくせにッ!
じゃあ呪文すら唱えさせなかったらどうだよ!?いくら早く詠唱できるからって、
一瞬でも隙を突けばもうお前に防ぐ手立てはねえはずだぜ!『サンド・ブレイク』ッ!!」
風の二乗、土の一乗。砂の混じった風がルイズの目と口を反射的にふさがせたッ!!
「レビテ…ゲホッ!!」
一瞬。その一瞬の隙を付きリーダーが『エア・カッター』を唱え終わる。
「ハハハハハ!この近距離ならハズさねえ!爆発喰らったってテメエはこの一撃で再起不能だ!
くらいなッ!!『エア・カッター』ッ!!」
ルイズがつらそうに目を開ける。だがその目にあきらめはない。
「ええ、そうね。そんな攻撃喰らったら間違いなく私は負けるわ。でも喰らわない。
すでに打開策は打っておいたッ!!

あなたの服にカフスボタンがついていたからうまくいくんだけどね。」
「え!?」
ルイズが間髪いれずに呪文を詠唱!!狙いはリーダーの服についた杖腕のカフスボタンッ!!
ドカンッ!!
「なっ!しまった!!」
爆発の衝撃でリーダーの攻撃が左に反れるッ!!当然、放とうとした攻撃は左に反れるッ!!
「爆発の有効な使い道…。これだわ。これでいけるッ!!」




828 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/19(月) 03:09:09 ID:YKo5rb43
C−EEN!!

829 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/19(月) 03:09:10 ID:A0QOi9PN
支援
480kb突破したので新スレ立てておく

830 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/19(月) 03:11:29 ID:+k+rD3U3
投稿に気分が昂ぶっている!支援せずにはいられないッ!

831 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/19(月) 03:12:07 ID:A0QOi9PN
新スレ立てた支援!

【ジョジョ】ゼロの奇妙な使い魔【召喚73人目】
http://anime2.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1195409423/l50


832 :slave sleep〜使い魔が来る 16/17:2007/11/19(月) 03:12:11 ID:WJr4mmtK
ルイズが疲れきった体に鞭打ち表通りに出ようとする。
「なんとかして、ブチャラティに、会わなくちゃ…!」
だが。
タンッ!!
例の高速移動でルイズに追いつくッ!!
「しぶとすぎよこの変態!!とっとと倒れればどうなの!?」
「お、おれの…!俺の獲物!!ぜってぇに手に入れるッ!!」
ルイズが辺りを見回す。
「こうなったら…!!」
あたりにいろいろなガラクタがある。木箱、ガラス、セトモノ。それをルイズは。
「『レビテーション』!!『フライ』!!『着火』!!『アンロック』!!」
あちこちにやたらめったら爆発を起こしガラクタを破壊!!
そしてルイズとリーダーの間に踏めば確実に足を痛めるであろう通行止めトラップができあがる!
「爆発の応用…!だいたいわかって来ている。ブチャラティが来るまで生き延びられる!!」
「どうかな?そんな物で俺が足止めできるとでも?『フライ』ッ!!」
あっけない対処。それはまさにこのことを言うのだろう。
リーダー自身も単純に対処できる事に拍子抜けした。
「このッ!降りてきなさいよッ!卑怯者!ド変態ッ!!」
ルイズがリーダーに向かって石を投げまくる。
「降りてなんかやるかよ。子供じみてるかもしれないが結構いい手だよなぁ?
かわいそうになぁ?せっかく足止めなんて言ういい手を思いついちまったのによ?ギャハハハハハ!!!」


833 :slave sleep〜使い魔が来る 17/17:2007/11/19(月) 03:13:46 ID:WJr4mmtK
リーダーは空中で飛び回って石を避ける。
「ほらほら、くやしいか?悔しいだろうなぁこんな幼稚な手に引っかかってくれなくってよ?
そもそもメイジ相手に足止めってのがちゃんちゃらおかしいぜ!」
ルイズは悔しそうな顔をして、
「おかしいかしら?そんなに私の行動が。その石ころただ投げてるとでも思ったの?」
と言った台詞とともにリーダーを嘲笑した。
「ハハハ…ハ?」
「『レビテーション』ッ!!」

ドッカーーz______ン!!!

そう。ルイズが石を投げたのはこのため。空中のリーダーを爆発で打ち落とすためだったのだ。
「そしてそのトラップもアンタを足止めするために作ったんじゃないわ。」
そう言ってルイズは親指を立てる。

「アンタをそこに突き落とすために作ったのよ。」
そう言って親指を下に向けた。

ズサァッ!!!
ブシュ!ブシュウ!!

「うごォォおああああああああああああああ!!!!!」
「絶対に…絶対に来てくれる。それまで戦うッ!!」


To Be Contined →







834 :奴隷 ◆CR2IDhbEVw :2007/11/19(月) 03:15:27 ID:WJr4mmtK
投下終了。
次回リーダー戦決着。
その次はいよいよアヌビス戦!
コレさえ終わればやっと本筋に戻れる!!

…では疲れたんで寝ますわ。

835 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/19(月) 03:16:15 ID:YKo5rb43
GJ。ルイズすげーぜルイズ!
『ゼロ』? 違うねッ、コイツは『爆発』のルイズだッ!
そしておやすみなさい。

836 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/19(月) 03:16:57 ID:+k+rD3U3
爆発の使いようを知ったルイズ!このルイズは間違いなく大きな成長を遂げたに違いない!
そして今の君にこの言葉を送ろう!『乙』!そして『GJ』!

837 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/19(月) 03:17:16 ID:7pUJ94Z0
もう、ルイズの自力でだいジョブなんじゃね?
GJ

838 :兄貴:2007/11/19(月) 03:35:19 ID:ZPGNYW9h
ごめんよララァ…僕にはまだ…投下できる場所があるんだ…こんなに『ハイ!』な事は無いぞォーーーフハハハーーー(仰け反りオージングで
兄貴はともかくルイズ組が大して変化茄子なのが痛いとこだ…
進むたびにSさんとのほぼ一方的に立ちに立ちまくったフラグ回収どうしようかと思うわけですよ…

そして、スティール氏の気分で外に出ている全職人に対し僕は『GJ』を表するッ!


839 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/19(月) 03:36:31 ID:ZPGNYW9h
外に出ている間に投下された だ…死にたくなった…

840 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/19(月) 03:58:57 ID:RNllHZ8p
>>838
なに兄貴?ルイズ組が大して進まないのにSフラグが満載?
兄貴。そいつぁ貧乳ばかりに目がイッてるからだよ。
逆に考えるんだ。
この際「兄貴×虚乳のカップルを成立させちゃえ♪」と
考えるんだ





    ヽ !  `'゙!       ,.,,.`三'゙、,_  /´   
    ,/´{  ミ l    /゙トェェェェェィ、 ) |    それが我ら「虚乳の担い手」の願いだからね
  ,r{   \ ミ  \   `' '≡≡' " ノ

841 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/19(月) 04:27:16 ID:SDQoDpzD
笑顔が邪悪だぞwww

842 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/19(月) 04:37:51 ID:ZPGNYW9h
どう足掻いても兄妹にしか見えないから、こういう状況なわけですよ卿w
後、変化茄子ってのは原作とって事ねw
にしても…裏側兄貴視点とは言え基本原作展開に沿ってるのにこうも遅延するとは…仮面のお人は三国一やでぇー

843 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/19(月) 04:42:46 ID:SDQoDpzD
まぁ兄貴だもんな…商売女をこます兄貴は想像できても
カタギの女とイチャつく兄貴は想像しにくいw

844 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/19(月) 05:48:26 ID:B7XdlWb7
投下ってこのスレにやってもいいもんだろうか
それとも次スレ? 3レスだけなんだけどね
どっちがいいんだろう?

845 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/19(月) 05:52:00 ID:7u5HN/Ea
微妙だな……
とりあえずどっちに投下するにしても支援

846 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/19(月) 05:54:16 ID:B7XdlWb7
んじゃ、こっちに投下します
ヘイ!>>1ッ!
今からてめーの良スレ
終わらせてやるぜーッ!メーン!

847 :はたらくあくま 1/3:2007/11/19(月) 05:56:14 ID:B7XdlWb7
21 生存本能、防衛本能

予想だにしなかった。恐るべき衝撃が走り、彼女の使い魔が目の前からいなくなる。地面に重いものが落ちる音。
使い魔だけではない。無様な決闘。目の前で盗みを働く盗賊。みすみす逃した自分達。汚名返上とばかりに、名乗りを上げた自分。居並ぶ教師の、あの人を見下した目つき。眠る使い魔。そしてゴーレム。自らの死。救済。そして――
すべてが吹っ飛ぶ。それほどの衝撃を受けたことが衝撃だ。ルイズは使い魔をゆるゆると見る。さらなる衝撃。


殴られて吹っ飛んだだけで、全てが済めばよかった。現実はそう甘くない。土と草と血の味、それらが痛みと交じり合う。デーボは草地を無様に転がる。
言葉にならない悪態をつく。跳ね起きる。ゴーレムはこちらを見ていない。立ちつくす標的をどう料理しようか、思案するように動かない。
ルイズも動かない。何をボサっとしてる? 逃げろ。早く。行動しろ。動け。後手に回る気か。焦燥が募る。またか。
あの高慢な貴族が死ぬ。自分を縛る主人が死ぬ。万々歳のはずが、どうだ。目の前の少女が死ぬ。この最悪の心持ち。異常なまでの嫌悪感。
「おい、お前さ……」 剣が不安げな声を出す。黙ってろ。あとだ。
何かに追われるように、ルイズに向かって再び駆け出す。剣を握りなおす。腕に痛みが走る。あれに殴られたのだ。痛いに決まっている。ゴーレムを見上げる。まだ動かない。何故だ。何かを待っているのか。何を?

一歩進んだ所で、大きな衝撃が右腕を貫く。確かめようと、腕を見る。頬に何かが刺さった。
「っ!」 反射的にのけぞる。顔を引きつつ右手を見る。
腕はだらりと垂れ下がり、鮮血に染まっている。動脈をやったか。なにで? 決まっている。赤く白いものが上腕から突き出ている。
骨だ。中途で折れた上腕骨だ。髄まで見える。刺さったのはこれだ。皮膚を突き破り、腋をかすめて顔に伸びている。
脱臼でもすればよかった。剣で抑えたのが裏目に出たか、梃子のように骨をへし折ったらしい。
とっさに考える。さっきの食事にでも何か混ざっていたのか? 痛みが少なすぎる。これだけの出血、筋繊維もどれだけ千切れているか。なのになんだ、この鈍い痛みは?

答えはすぐにやってきた。力を抜く。剣を地面に落とす。その瞬間はなんともなかった。左手の光が消える。怒涛というべきか、烈火と呼ぶべきか。痛みの渦が押し寄せる。神経が悲鳴をあげる。
膝をつく。歯を食いしばる。痛い。とっても痛い。この痛み、この苦しみ、この恨み。晴らさなければならない。
誰にだ? 目の前のこいつを動かして、切腹でもしようというのか。自分で自分を? 無意味だ。脂汗の滴る頭では考えが纏まらない。
今必要なことはそれじゃない。左手をポケットに入れる。短剣を鞘から取り出す。左手が鈍く光る。痛みが少し、軽くなる。
体の上に影がさす。ゴーレムが向きを変えたようだ。待ちくたびれて向こうからやってきたか。
痛み止めに掴んだ短剣を、匹夫の勇と解釈したゴーレム。踏み潰そうと、足を高々と上げる。デーボは横に飛んで避ける。
多少は冷静になった。上った血が抜けただけか? ゴーレムは素早くはない。かわし続ける。時間稼ぎだ。その間に、操っている人間を見つけ出す。
見つけて駆け寄って、左手一本、短剣一本で渡り合う? 実に分の悪い賭けだ。時間制限までついている。足元の草が血まみれだ。
業を煮やしたのか、ゴーレムが不意に攻撃方を変えた。踏み付けと見せて、地面ごと蹴り飛ばす。見切ったつもりだった。バックステップ。失敗。
血塗られた草にバランスを崩す。血液を失いかけた脳が判断を遅らせる。前面を蹴られた。腹も胸も全部だ。デーボは小さな放物線を描く。受身が取れない。背中も打ちつける。
右目が霞む。空に竜が飛んでいる。ああ、あの青い髪のやつだ。あの二人は逃げ切れたのか。そして自分の主人は? ふらつきながら起き上がる。ゴーレムが止めを刺しにやってくる。


848 :はたらくあくま 2/3:2007/11/19(月) 05:57:40 ID:B7XdlWb7
ゴーレムの足が止まる。その場で方向転換。真後ろを向く。なんだ。くそ、まさか、向こうにまだ。
土製の足の間から、ルイズと目が合う。青くなっている。震えている。手にはM72LAW。
何を震えている。目の前のこいつが怖いのか。だったら何故、早く逃げなかった。万感の思いを込めて主人を睨みつける。伝わるとは考えちゃいない。

案の定伝わらなかった。それどころではない。ルイズは奥歯を噛み締め、ゴーレムに向かいロケットランチャーをでたらめに振り回す。
何も起きない。当然だ。そうと見るや、逆さに持ち替える。また縦横に振る。振りかざす。何も起きない。
何をやっているか、何をやりたいか。手に取るようにわかった。
そしてもうひとつ。この世界でのあれはイレギュラーだ。使い方も知らず、それでも盗まれるほど貴重なものだ。なんとかして手に入れたいが――。


冷静にものを考えられるのはそこまでだった。じっとルイズを眺めていたゴーレムが動き出す。石ころを転がすような、爪先での無雑作な蹴り。悲鳴。跳ね飛ばされるルイズ。破壊の杖は放さない。

デーボの心臓が早鐘を打つ。腕からの出血量が増える。そんなものは、そんなものは気にするな。今大事なのはなんだ? 考えるまでもない。
主人を守ることだ。本能がそう告げる。食って寝て交わるだけの昔から、それは決められていたことだ。すべてはその為にある。生きることと同じように、守ることが第一だ。
その為になにをする? 目の前のこれを止める。どうやって? 簡単だ。

「エボニーデビルッ!!」
青くぬめる悪魔がゴーレムに取り付く。砂地に水が染みこむように、目標に浸透する。ゴーレムの右腕が音を立て、途中から崩れ落ちる。


849 :はたらくあくま 3/3:2007/11/19(月) 05:58:45 ID:B7XdlWb7


ルイズが立ち上がった時には空気が変わっていた。舞い上がる土煙のせいか。違う、そうじゃない。この底冷えする空気。使い魔だ。
何をしたかと思う暇もなく、頭上から声が響く。
「ア……アギ……ギギグ……グフッ…フクク…クケケケ…」 軋るような笑い声。見上げる。
「グケケケケ…これだけデカくてもよォォーー、しょせんは人形! おれにはかなわねーなァーーッ!」 森中に響く高笑い。
巨大なゴーレムが笑っている。何もなかった顔に、大きく口が裂けている。右手が崩れている。それを見て全てを承知した。
「デーボ!」 ゴーレムから目をそらす。思わず呼びかける。
「なんだよ」 またもや頭上から声。そうじゃなくて、お前じゃなくて!
「どっちも大差ねーよ、スタンドも本体もよォ」 それより、と幾分真面目な声になって続けるゴーレム。とっとと片付けて帰ろーぜ。
「片付けるって……」 どうするのよ。使い魔のスタンドが取り憑いたゴーレムが、呆れたような声を出す。飲み込みが悪りぃなオメーはよォ。
「ブッ壊すんだよ。それで、これを」 やけに明るく言い放つ。ルイズは手元の破壊の杖を見る。
「使い方が……」 おれは知ってるぜェー。楽しげな声と裏腹に微動だにしない。口伝で使用法を教わる。
後部のピンを抜く。カバーベルトを外す。筒を引き伸ばす。固定。上部の照尺を立て、肩に担ぐ。照準を覗き込む。腹を狙う。
「ねえ。これって使うとどうなるの?」 ふと疑問に思い、狙った相手に聞く。破壊。それだけではよくわからない。
「撃ってみてのお楽しみだ。いいから早くしろよ」 口調に余裕がなくなっている。不審に思い、杖をおろす。使い魔が怒りだす。
「なにしてやがるッ!………グ、グギ…」 なに? ゴーレムの体が小刻みに震えている。本体を見る。全身の筋肉が怒張している。地面に血溜りのひとつもできそうな出血。
「どうなってるのよ!」 問い詰める。やや苦しげに、ゴーレムが答える。
「どっか近くで、こいつの持ち主が命令を出してんだ。おれの動きと違う命令を」 近くにフーケがいる。こっちを観察している。いや、それよりも。
「つまり、そのせいでうまく動けず、ゴーレムが苦しんでる」 そうだ。頷くゴーレム。
「ゴーレムが苦しむと、人間の方も苦しむ」 よくわかったな。頷く使い魔。見ればわかるわよ。じゃあ、じゃあ。
「この破壊の杖でゴーレムをブッ壊すと、人間の方もブッ壊れる」 使い魔は答えない。
「使えるわけないでしょう!! 何考えてんのよ!! このバカ!!!」 「バカはテメーだッ!! さっさとやりやがれ、このトンチキがッッ!!」
対峙する二人と一体。未だ決着はつかない。

850 :はたらくあくま:2007/11/19(月) 06:01:56 ID:B7XdlWb7
投下しました

おかしいな・・・予定では「ヘイ!土くれ!今からお前の○○○○○、噛み切って(ry
とかやってるはずだったのにな・・・

とりあえず
「呪いに振り回され精神状態の悪化!
不吉なる墜落の道!」
が少しは書けたのでよかったよかった

851 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/19(月) 06:33:36 ID:FSuZRlqI
乙っす。
そして、埋め。

852 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/19(月) 12:20:22 ID:nUGvPf1y
メーン!
この二人の言い合いはなんかシュールだな
GJ!

853 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/19(月) 15:20:32 ID:1dDxPcjg
ウメタァ

854 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/19(月) 15:57:21 ID:lBXNJR+o
            H  /y'
        /ヽ  H  /y'
         /`  }_ ヽTァr-,、
        /   |こ=y7 ̄`ヽ>、
      /   } ,,{ペ.f!{    ,ノソ  ノ丿
     ./ヽ  ,j} jf}气`ハ、  ,H  />'
    |{ハ}} ,,ィリ州|い{,mヾコエ>゙ /7
     |ルjム=.' iif !ケy ,==ミ、_,/>'    厂 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄⌒ヽ
     k<.9ノリ jリ|ひ!((.・>.)!┴'゙     /           |
    __|77ァ''´   |Y,ィ`ァ'-ヘ      |  ボ ー ン ナ ム  |
  _r'「{|,;if|'   j; ビ了父ィソ ,/y  _,厶             /
 /_,>ィ|,fリ     |,八八/^′/y'zZ    \______,/
 |__/ム|イ    ,イ}|ゾY^ンYメYイ ⌒ヽ
  ,.く::7ト,    州こ^ニ^/⌒ヾィ´
/;゙ `>| W! _,,ィ化儿>'⌒ヾ/.:: /;l
f.::::,ィl{{リヾ比"  jf|}y' `ヾ//.:::: /;f}}
 / ,ノ| f|\V"l; |7 `ミ/^!/.::::: /,,,,,,
f{G/| {{V,ハ wリト~ミ八/.:::::: /,;;;;;;;;
fハ `ヽ.| ll{{V∧VF ,イ /.::::::::::/.............
;ifツ\_ハ、j}}}l>、ヾレシ´.:::::::::;/,;;;;;;;;;;.;.;..

855 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/19(月) 16:49:33 ID:ELWHK4NQ
>>850
>ヘイ!土くれ!今からお前の○○○○○、噛み切って(ry
エロすぎるぞ、いったいマチルダさんの何処を噛み切ろうっていうんだw

856 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/19(月) 18:51:14 ID:thtnRT6W
へい土くれ!お前の苗字を(ry

857 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/19(月) 19:10:13 ID:Cq2+RF7I
俺にくれッ!!

858 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/19(月) 19:25:04 ID:YWwXZPfj
           血       管       埋       っ       た  !
                       ・                   H /y'
                      /ヲ∴’                 LiニTヽ
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      ペ  イ  ジ  ジ ョ ー ン ズ  プ ラ ン ト   ボ ー ン ナ ム

859 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/19(月) 19:26:51 ID:37IYV415
なんじゃこりゃwww

860 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/19(月) 19:37:08 ID:mJBiPvqV
>>857
いや、それは俺が貰おう

861 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/19(月) 19:45:16 ID:thtnRT6W
言い出しっぺなんだから俺が責任を持ってもらっておくわ

862 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/19(月) 20:48:40 ID:Cq2+RF7I
いやいや俺が

863 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/19(月) 21:02:14 ID:7y51vA7u
500KBだったら花京院で書くよ。
人様が素晴らしいのを先に書いてたって構うものか。

864 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/11/19(月) 21:06:37 ID:Cq2+RF7I
        500kbなら>>863先生の新作にご期待ください
                       ・                   H /y'
                      /ヲ∴’                 LiニTヽ
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       r'^7  .r'^7     f{ヽ    E{                 /`  }こY`y'7 ,ノソ    /ソ
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   {゙}ハ'^ ● M ●lス}从●_}ラ::{●スjr'(●)  ャハ::::ヾ....r|'::.   : ::j;;|ノ ハハノ  ,r/⌒)    <俺たちの戦いは(ry
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