5ちゃんねる ★スマホ版★ ■掲示板に戻る■ 全部 1- 最新50  

■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています

あの作品のキャラがルイズに召喚されました part88

1 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/01(土) 13:37:12 ID:VsfgQz0a
もしもゼロの使い魔のルイズが召喚したのがサイトではなかったら?そんなifを語るスレ。

あの作品のキャラがルイズに召喚されました part87
http://anime2.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1196181082/

まとめwiki
http://www35.atwiki.jp/anozero/
避難所
http://jbbs.livedoor.jp/otaku/9616/


    __              ■ 注意事項よ! ちゃんと聞きなさいよね! ■
    〃  `ヽ  .   ・雑談、SS、共に書き込む前のリロードは忘れないでよ!ただでさえ勢いが速いんだから!
    l lf小从} l /   ちゃんと空気を読まないと、ひどいんだからね!
   ノハ{*゚ヮ゚ノハ/,.   ・投下をする前には、必ず投下予告をしなさいよ!投下終了の宣言も忘れちゃだめなんだからね!
  ((/} )犬({つ'    ・ 投下してるの? し、支援してあげてもいいんだからね!
   / '"/_jl〉` j,    ・興味のないSS? そんなもの、「スルー」の魔法を使えばいいじゃない!
   ヽ_/ィヘ_)〜′   ・まとめの更新は気づいた人がやらなきゃダメなんだからね!
             ・議論や荒らしへの反応は、避難所でやりなさい!


     _
     〃  ^ヽ      ・クロス元が18禁作品であっても、SSの内容が非18禁である場合は
    J{  ハ从{_,      本スレへの投下で問題ないわ。
    ノルノー゚ノjし     ・SSの内容が18禁な展開をする場合はクロス元に関わらず、
   /く{ {丈} }つ     本スレではなく避難所への投下をお願いね?
   l く/_jlム! |     ・クロス元が型月作品のSSは、本スレでも避難所でもルイズの『錬金』のように危険よ。やめておいてね。
   レ-ヘじフ〜l      ・スレタイと違う内容になったり、痛い展開になったりする場合も、避難所に投下した方が無難ね。
              ・作品を初投下する時は元ネタの記載も忘れずにね。wikiに登録されづらいわ。


   ,ィ =个=、      ・お互いを尊重して下さいね。クロスで一方的なのはダメです。
   〈_/´ ̄ `ヽ      ・1レスの限界最大文字数は、全角文字なら2048文字分(4096Bytes)。
    { {_jイ」/j」j〉      これ以上だと投下できないそうです。
    ヽl| ゚ヮ゚ノj|      ・行数は最大60行で、一行につき全角で128文字までですって。
   ⊂j{不}lつ     ・不要な荒れを防ぐために、sage進行でお願いしますね。
   く7 {_}ハ>     ・次スレは>>950か480KBからお願いします。テンプレはwikiの左メニューを参照して下さい。
    ‘ーrtァー’      ・重複防止のため、次スレを立てる時は現行スレにその旨を宣言して下さいね。

2 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/01(土) 13:40:56 ID:7CZoSIWj
                                          ○________
                               >>1乙         |:|\\:::::||.:.||::::://|
                                              |:l\\\||.:.|l///|
                         __ ィ   ,. -――- 、     |:|:二二二二二二二 !
                        /    L /        \.   |:l///||.:.|l\\\|
                / ̄ ̄ ̄ ̄ 7 / / f  / /   l l l lハ  |:|//:::::||.:.||:::::\\|
  ト、     ,.    ̄ ̄Τ 弋tァ―    `ー /   从 |メ|_l  l_.l斗l |ヽ V |:| ̄ フ  ̄ ̄ ̄ ̄
  ヽ \__∠ -――く  __       .Z¨¨\   N ヒj V ヒソ l .l ヽ\| / /
   ヽ  ∠____vvV____ヽ   <   ≧__/ ゝ、t‐┐ ノ .|┐ ./ /
.    \\_____ivvvvvvvv|   V.    (  (  /Tえハフ{  V / /
       \!      |   / 入_.V/|      >-ヘ  \:::∨::∧   / ∠ ___
 __  |\       l/V  _{_____/x|    (_|::::__ノ   }ィ介ーヘ ./  ,. ---――
  )-ヘ j ̄} /|        /___/xx|       _Σ___/| | |V::::ノ/ ∠___
  {  V  /`7.         /___./xXハ    ( |:::::::::::::::::ハ   >' ____二二
.  \_   |/        /___l XX∧     __≧__::::::::/:∧/   `丶、
    |   ヽ        /____|]]∧  __|__L.∠ ム'  <`丶 、 `丶、
    |     ',         {     |]]]>'  __      ∧ l\ \   丶、 `
   ノ     }       l ̄ ̄ ̄.|] >' ,. '  ̄ / .// :/  V'  \ ヽ    `
  / ∧   { \      |      .|>' /      // :/ :/ :   ', l   \ ヽ  ,.-―
 入ノ. ヽ  く  ヽ______7 ー―∠__    〃  l :/    :l l     \V
`ー′   \  `<  | {      /   | /〃   :|/  __V/ ̄| ̄ ̄{

3 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/01(土) 13:41:15 ID:hURmr8Wf
>>1

4 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/01(土) 13:46:47 ID:6ILMdMpw
            __   ____ __,. -z=ァ
            |!:::::::::`:,≦ ====<:::::::{
            V::::::/   /     \:|
            ハ/ / / /| !  ト、ヽ  !}
            / .|  | |V、、Vヽ/、、ハ | リ
            ! |  ∨ o    o 厶イ     こ、これは>>1乙じゃなくてシッポにゃん!
           / |  | ::::::   ::::: { 八     勘違いしちゃだめなんだからね!
.          /  八 ハ、 r ‐ ,ァ  人  ヽ
         /   /ヽ  ',>-:::::r '{   ヽ \
       /     | ノ /⌒'Y´  \  \ \
      (      / 圦_ !」ノイ ___!   !ヽ  }  ノ
       )   /  ∧:::::::人く/ `ヽ、i. )  ! {
      /   (   //  ̄ム三个くムイ} |/  /  )三三三三三ミミ
    /     ノ   | !  /    }-‐ヘ.!   !   \      ///
   /´    !\_ノ    ハ   }   >   \        ///
  /     <__   |       / `ーく   `¨フ   ノ ///
  〈   ! /⌒ヾVリV     ,. /ヽ   \{`ー'   / ///
  }   !/    .Vヘ.!_    rく   \       / ///
ー‐'   八     \ミ`ミZ竏      i     ////       川
て_    ∧      V¨´ !           { ミ三三三三三三彡
 从    ∧      ',   !\|V\/\/\/

5 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/01(土) 14:02:18 ID:ChNZX2W/
べ、別に勘違いしてないわよっ!

6 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/01(土) 14:05:53 ID:NZkC4aal
>>1、V仙台乙

7 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/01(土) 14:33:19 ID:kx/832r3
ふーん、>1乙ですねえ。

8 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/01(土) 14:34:42 ID:h42LFNTM
ルイズがアルビオンの新国旗候補だと?

9 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/01(土) 14:56:05 ID:kx/832r3
紳士の国には相応しいよな。

10 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/01(土) 14:58:45 ID:V3k3xZk8
前スレで宣言しましたが、これからゲーム「Hitman」の47とのSSを投下します。
その前に、少し説明を。


Hitman
WIN、PS2、XBOXなどで発売されたステルスアサシンゲーム。
変装や事故死に見せかけて、いかに怪しまれずにターゲットを暗殺するかというもの。

47
Hitmanの主人公。ネタバレになるのであまり多くはかけませんが、見た目は黒いスーツに黒い手袋。スキンヘッド。
後頭部にはバーコードの刺繍が彫られている。
裏の世界では伝説ともなっている凄腕の暗殺者。

11 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/01(土) 15:04:54 ID:pPzaaRwG
ひゃっほう!今Hitman2やってるぜ支援!

12 :Hitman ZERO the Assassin:2007/12/01(土) 15:05:07 ID:V3k3xZk8
 プロローグ



 その日、何百坪かも定かではない広大な敷地に建てられた豪邸でパーティーが行われていた。
 豪邸内で最も広いホールでは、盛大に貴婦人達が着飾り紳士服で身を包んだ男達に手を引かれ、音楽に合わせてダンスを踊る。
 そんな中、ホールから遠くはなれた寝室で、少女が一人、アンティーク調の、いかにも豪華と言うべきベッドで横たわっていた。
 長く伸びたブロンドの髪、まだ幼いとはいえ、整った清楚な顔立ち。西洋人形を思わせるその姿には、気品があった。
 しかし、既に少女の呼吸は止まっていた。唯一の明かりとなる月明かりが、少女を照らす。すると、ベッドの側にバトラーを身にまとった長身の男がいるのが確認できた。
 スキンヘッドの、やや青ざめた、無表情の男である。
 男は、手にしていた毒材入り注射器を懐に戻すと、少女の首元に指をやる。
 完全に息絶えた事を確認すると、全く表情を歪めぬまま寝室を後にして廊下に出る。途中、ガードマン数名と出会ったが、会釈を行うだけで別段男を不審に思われる事はなかった。
 男はそのまま近くの洗面所の個室に入る。そこには下着姿の初老の男が気を失ったまま便座に座っていた。
 だが、男は彼に目もくれず、足下で丁寧に畳まれた愛用の黒いスーツに着替える。そして、スーツのおいてあった場所に、今度はバトラーを同じ様に畳んで置いた。
 それから、何食わぬ顔でホールへと脚を踏みいれる。会場はここ一番の盛り上がりをみせ、クラシック音楽を奏でる演奏者達の演奏にも熱が入っていた。
 男は、手近にあったグラスを手にとり、注がれていたワインを数回軽く揺らすと、口に含む。何度か、貴婦人達が彼に気づき、手を差し伸べたが男はそれら全てを丁重に断った。
 会場を一瞥する。一見、華やかに見えるパーティーだが、彼は気がついていた。幾人か、裏の世界で名をきかせる悪党が混じっている事を。


13 :Hitman ZERO the Assassin:2007/12/01(土) 15:08:07 ID:V3k3xZk8
 マフィア、暗殺組織、密輸商。中々一堂に会する事が稀な面子である。
 そう、このパーティーは、決して、富豪が己が富を誇示する為に催されたものではなかった。
 ある人型暗殺兵器。言うなれば、暗殺にのみ優れたクローン人間の開発に成功した。それを、密かに情報交換する為のパーティーだった。
 そして、そのクローン人間こそ、先ほど男が殺したあの少女である。
 見た目はまだ幼いが、数ヶ月のうちに成人し、恐らくどれほど訓練を受けた兵士や、部隊よりも強力で、かつ、残忍なクローンに成熟する。
 そして、成人後数週間の後に死ぬ。
 それが、男が自身の属する「組織」から知り得た情報だった。
 尤も、男にはその情報はたいした意味をなさない。男に取っては、依頼があるから、それを遂行する。ただ、それだけだ。
 だからこそ、組織から非常に高い危険度にあると言われたこの任務を男は快諾した。
 名は47。裏社会に置いて、其の名を知らない者は居ないとまで言われた凄腕の暗殺者である。
 47は、未だ不審な動きが会場内から見られない事を確認し、そこから離れる。
 酒を浴びる様に飲んだのか、二人の門番はともに彼を見ると、もうお帰りですか、そう声をかけたきり側にあったボトルでまた乾杯をしていた。
 黙って一礼すると、やや足早に敷地内を横切り駐車場へと向かう。
 その間に胸元に仕舞っていた携帯電話を手に取り、任務完了の旨を伝える。
 電話に出たのは、何度も依頼を受ける時に聞いた落ち着いた女性の声。
「もう少し、パーティーを楽しんでもよかったのに」
「長居する必要はない。不用意に動いて怪しまれるのも避けたいからな」
 女性が、冗談めいた言葉で男に話すが、言下、男が否定とともに遮る。
 電話の向こう側では、小さくため息が聞こえた。
 だが、程なくして報酬が指定の口座に振り込まれる事、暫くは、また隠れ家に隠れるなり文明社会を満喫するなり時間をつぶす事に告げて電話が切られた。
 と、同時に、47の足が止まった。電話をしている間に駐車場についていた。後は車に乗り込みこの邸宅を後にするだけ。それにも関わらず、彼の足が駐車場の中で突然止まった。
 彼が乗り込む筈だった車がそこにはなく、代わりにあったのは、鏡の様なもの。


14 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/01(土) 15:08:25 ID:ZogGjS3s
>>2
もうAAが出来てるのかよw

支援

15 :Hitman ZERO the Assassin:2007/12/01(土) 15:09:39 ID:V3k3xZk8
 本来なら、それが鏡と一言で済むのだが、状況が状況だった。何故、車でなく、そこに鏡があるのか。
 この不自然すぎる事態に男は、それが鏡だとすぐに認識できなかったのである。
 内心、焦りが生じる。まさか、暗殺がばれたというのか。だが、そうだとして、車を処分して同じところに鏡を置く理由には到底ならない。
 警戒しながらも、鏡に近づく。見れば見るほど、鏡にしか見えず、尚更彼の思考を惑わせた。
 他に人の気配はなく、罠の可能性は極めて低い。47はそう判断し、更に一歩鏡に近づいた。
 だが、次の瞬間、まるで急激に体を後ろから押されたような感覚に教われ、鏡の中に吸い込まれてしまった。その間は恐らく、数秒と数える事も難しい程短い時間。
 そして、47が鏡の中に吸い込まれ、駐車場から人気が完全に消えると、鏡もまたひっそりと姿を消した。



16 :Hitman ZERO the Assassin:2007/12/01(土) 15:11:25 ID:V3k3xZk8


 ルイズは、盛大な爆発の中に何かの気配があるのに気づき、自身が高潮していくのを確かに感じていた。
 魔法の成功率がゼロの事から、ゼロのルイズと非難されるという日々から、やっと解放される。そう信じて疑わなかった。
 だからこそ、爆発によって生じた土煙の中からスキンヘッドの、黒ずくめの男が出て来た時は開いた口が塞がらなかった。
 周りにいた生徒も、目をこすりようやくその人物の存在を確かめる。どう見ても、スキンヘッドの人間の男。皆の印象は共通していた。
 故に、沸き上がる笑い声。ゼロのルイズが、平民を召還した。流石だ、と。 
 ルイズは怒りと困惑がこみ上げてくるのを必死に耐えて、先生であるコルベールに、これは何かの手違いだと懇願する。
 だが、使い魔に儀式の神聖さを説かれるだけで、その願いは空しくも却下されてしまった。
 ルイズは肩を落として、横目で男を見る。スキンヘッドで、青ざめた表情。しかし目つきは鋭く、周囲の警戒をしているのは間違いない。要するに、男から恐怖を感じていたのだ。
 周囲の生徒達が気づいていないのが余りにも憎たらしい。しかし、男は間違いなく危険な人間だと、彼女の第六感は告げる。
 だが、ふとルイズはある事を思いつく。もしかしたら、彼には何か特別な能力があるかもしれないと。
 ともすれば、これは自身の名誉を取り戻すチャンスに成り得る。
 一方、その男、47は鏡に吸い込まれた直後のこの光景に我が目を疑わずにはいられなかった。駐車場にいた筈の自分が、何故か黒いマントをまとった珍妙な少年少女に囲まれている。
 やはり罠だったのか。一瞬だけ警戒をしたものの、寧ろ周りから向けられるのは、奇異の視線でしかなく、敵対心はどうしても感じられなかった。
 そして、状況を把握しようかと辺りを見回し、47は我が目を疑った。最も自分に近い場所で狼狽していた少女が、数分前に命を絶ったクローンの少女と瓜二つだったのだ。
 髪の毛の色は、こちらはピンクのような明るい色でこそれあれど、それ以外は殆ど遜色ない。ともすれば、この少女はあのクローンと何かしら接点があるのか。
 だが、その少女は困惑の表情を浮かべたまま、暫く側にいた薄毛の男性に何かしら話しかけている。どんな言語がわからないところから、ここは少なくとも自分の訪れた事のある場所ではないだろうと推測は出来る。
 しかし、それでは彼女達と会話するのが絶望的であると同意義だ。


17 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/01(土) 15:13:53 ID:pwa5dep5
支援

18 :Hitman ZERO the Assassin:2007/12/01(土) 15:14:02 ID:V3k3xZk8
 やがて、その少女は意を決した様に口を真一文字に結び、自身の方に歩み寄る。47は直ちに少女の得物を確認する。
 片手に細い棒切れしかなかったが、その手に長けた人間であれば、それだけで絶命させる事は造作もない。 
 男はゆっくり近づく少女と、クローンを重ね合わせる。仮に、彼女も同じクローンであれば、これ以上の危機はないだろう。
 眼前の男が臨戦態勢である事など寸分も知らぬルイズは、凛然と彼に近づく。すると、言葉を呟きながら手にしていた棒切れで、宙に何かを描く動作を始めた。
 刹那、47の全身が硬直し自らの意思で動かせなくなる。しまった。彼は動かぬ口でそう呟いていた。
 その間にも、ルイズは更に歩み寄る。その距離、まさに目と母の先とも言うべき程の短さに到達した時、ルイズが跪き、47と口づけをかわした。
 暫くして、47彼女の行動に戸惑いながらも右手に奇妙な痛覚を覚え、黒い手袋の上から軽くおさえる。火傷にも似た痛みは数刻の後ひき、改めて少女の顔を覗く。
「さて、では最後の儀式も終わりました。皆さん、それぞれ自室に戻ってください」
 コルベールが、その場に居合わせた全員に向けて、透き通った声で告げたのは、ちょうどその時だった。
 47は、急に彼の言葉を理解できた事に違和感を覚えたが、直ちに立ち上がり、彼に足早に歩み寄る。
「すまない。急にこんなところに呼び出されたのだが。一体此処は何処だ。そして、何故呼び出したのだ」
 一定の調子を保ったまま、やや冷たい口調でこう訪ねる。
 コルベールは、不意にこんな事を尋ねられ戸惑った表情を浮かべた。コルベールから見て、このスキンヘッドの男から魔力を感じられない。
 であれば、貴族でなく、平民という事に成るのだろう。しかし、今彼の身に着けている服はどうも見慣れない。
 それでも、コルベールは平静であった。それは、この男が自らのうちに秘めた感情を、己の能力に従って限りなく零にまで押さえ込んでいた事に起因するかもしれない。
「ここはトリステイン魔法学院。貴方は、ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールの使い魔として召喚されたのですよ」
 コルベールにとっては、いや、この世界、ハルケギニアに住む貴族にとっては慣例となっている使い魔の儀式を説明する。
 だが、47にはまるで夢物語、余りにも荒唐無稽な内容に首を傾げてしまう。
 そして、47は自分が向精神剤を大量に投与でもされたのかと考える。今、自身の目に映っているのは全て幻で、夢うつつを彷徨っているのではないかと。
 だが、芝生の感触、肌にあたる風、何より件のクローンと瓜二つの少女との口づけ、それに次ぐ右手の痛みは間違いなく本物で、現実の中にいるのだと認めざるを得ない。
 ハルケギニア、トリステイン、魔法。どれも彼に馴染みのない言葉であったが、47はそれらが事実だと察する。
「次の仕事は、此処という事か。全く。文明社会の方がまだ居心地が良い」
 47はそう静かに呟いた。


19 :Hitman ZERO the Assassin:2007/12/01(土) 15:15:06 ID:V3k3xZk8
以上です。

次の更新は来週までに行えればと。
拙い分ですが、これからしばらくの間、お付き合いください。

20 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/01(土) 15:18:52 ID:jyNy+1rr
GJ 何人が「事故死」するんだろ?

モット伯…腹上死
ギーシュ…浮気がばれてモンモンにワイン瓶で殴られたところ
その瓶が「たまたま」人を殺せる程度に分厚い不良品で死亡

こんな感じかな?


21 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/01(土) 15:20:04 ID:pPzaaRwG
なんてスマートな47!自分の大量殺人者47とは大違いだw
懐にはクロロホルムと紐以外にもベレッタSDとハードボーラーかな?

22 :O the Assassin:2007/12/01(土) 15:32:50 ID:V3k3xZk8
こんかい

23 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/01(土) 15:34:13 ID:V3k3xZk8
すみません、誤って送信してしまいました。

ネタバレになるので多くは書けませんが。
今回の47は魔法世界にやってきたということで、それまでの47になかった面を出していこうかと。
事故死は、楽しみにしていてください。

24 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/01(土) 17:48:09 ID:1R02VdXH
NETA NOTE -ネタノート- 死神の目の苦悩5

http://netanote2.seesaa.net/article/52416012.html

25 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/01(土) 19:23:22 ID:Xpm75CZY
>>1
新スレ乙か霊夢

47の人GJ!
Xboxはないがやりたくなってきたぜ。

26 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/01(土) 19:41:29 ID:gtVrUjTB
全角英数字が気になるんだ
出来れば半角で書き込んでくれ

27 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/01(土) 21:01:52 ID:uZ4DQFin
息子よ…素晴らしい文章でした。
次も期待していますよ。



ヴィットーリオ神父

28 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/01(土) 21:02:10 ID:5gFpQNex
15分から投下しますので、支援お願いします

29 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/01(土) 21:06:17 ID:TmQcspvB
しからば、支援

30 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/01(土) 21:10:34 ID:OlwtA6PY
支援了解

31 :力を求める使い魔:2007/12/01(土) 21:14:10 ID:5gFpQNex
タバサは……いやシャルロット・エネーヌ・オルレアンは、最悪の気分だった。
ワルドが、ウェールズを撃ち殺した。ウェールズが死ぬことには、ほとんど何の感慨もなかった筈だ。
その程度で自分の着けた仮面は外れることはない。なぜなら自分は、あの日から名前も捨てた。
水の秘薬で心を失った母を守るため、そしてあの無能王と呼ばれる……実の弟である父を殺した男を殺すため、全て捨てた。
それ以外いらない。あの男を殺すためなら、そのための力が手に入るならなんだってやる。母を守るためなら何だってする。
少女の姿をした吸血鬼だって燃やす。人間だったミノタウロスだって殺す。どんな危険な任務でも、耐え忍んでみせる。
誰が、どうなろうと知らない。そうなるように自分を信じ、押し込め、仮面をかぶった。凍りついた心でいい。
あの時を忘れないように、凍らせておこう。

張り付いた仮面の名前は、『タバサ』。

かつて、母からもらった大切な人形の名前。……今の自分は、人形でもいい。人形は、泣かない。怒らない。笑わない。
ただ、単一の目的のみのために存在する。そうなることが必要ならば十分だ。現実は残酷で、自分はおとぎ話の勇者ではないのだから。
どんなことでも、もう外れることはない。そう信じていた。
なのに……今、そのペルソナが欠け、奥に隠していた感情が漏れ出している。

『国を手に入れるためなんてつまらないことのために人の都合で殺された』ウェールズ。
『矢を胸に受けたように、胸に風穴を開けられ死んだ』ウェールズ。

その姿は……その姿は―――

―――許せない。

虚無の仮面の下に隠された感情は、怒りと憎悪。氷の心に隠された、憤怒の炎。久しぶりにここまで掘り返された、最初の気持ち。
激情が、魂の震えとなり、体を満たす。魂の震えは気迫へ。気迫から精神力へ。精神力から魔法へ。魔法という捌け口から、感情が流れ出す。


ルイズも、また似たような気持ち――最悪の気分――だった。
彼女は、信じていた。自分の決意は、きっとワルドに伝わる。そして、ワルドは納得し、結婚を自分が望む時まで待ってくれると。
自分らしい、自分の生き方。彼、ウェールズ、タバサ―――三者三様だったがその淵をのぞいた彼女は、触発され、悩み、選んだ。
ワルドもまた、そういう生き方をしているのだろう。考えれば、そうとしか思えないほど、彼の動きには自信と誇りと信念があった。
だからこそ、同じ気持ちを知る者として自分を祝福してくれる―――しかし、そんな幻想をワルドはあっさり打ち砕いた。
彼にとっての『信念』は、『レコン・キスタ』にあった。自分とはぶつかり合うものであった。
これが、覚悟の差というものだろうか? 悲しみも確かに覚えたが、ワルドの豹変はむしろ失望や怒りを覚えた。

この怒りは、きっとウェールズの死から来るものだろう。

『アンリエッタを愛し、想った故に悲しい運命を受け入れた』ウェールズ。ワルドは……その最後の矜持を奪った。
ウェールズはそれでもいいといった。けれど、ルイズには許せなかった。
自分の先を歩いていたウェールズの道の果てが、そんな終わりでいい筈がない。
別に当人でもないルイズの怒りは見当違いだと笑う者もいるかもしれない。
それは、薄々彼女も分かっている。困難な道を歩く以上、どんなことがあるか分からないのだ。
けれども、こんな終わりをして欲しくなかった。
再度言おう。
かつての心のよりどころに裏切られた悲しみより、今から自分の前を行く人の道を踏みにじった行いに対する怒り。
未来が、過去に打ち勝った。そして彼女の思いに応え、失敗魔法は新たに生まれ変わった。
とある世界において、炎でもなく、稲妻でもなく、衝撃でもなく、冷撃でもなく、『万能』に近いその力。
それは、この世界においても同じ。風でも、火でも、水でも、地でもない。どれでもない『何か』の力の一部の発露。

それが示す事実。
つまり彼女に眠る力は―――




32 :力を求める使い魔:2007/12/01(土) 21:15:25 ID:5gFpQNex
彼女たちが仕掛けては、ワルドがカウンターのように魔法を繰り出す。そんな戦いが続いていた。
いくら仕掛けてもワルドは、びくともしない。4つの体に1つの意志。1つの意思に4つの体。
訓練などでは、再現不可能な、完璧な連携が巨大な壁のように彼女たちを押し込んでいた。
鉄壁の風が、彼女たちの心理を抑えようとする。だが、2人の戦意はまた萎えていない。
ルイズが杖を振り上げる。以前のように無駄に高く上げることはない。横に走りながら、胸の高さで魔法を放つ。
『爆砕』が、直径3メイルほどの空間を抉り取る。
以前の『爆発』のように、少量ではあるが炎による焦げや、煙を伴うものではない。
文字通り、選択した空間内部を跡形もなく消失させる力は、当たれば限りなく確実に近い殺傷能力を備えていた。
ルイズは、迷うことなくそれを仮面のワルドへと撃ち出している。

ワルドは、敵なのだ。お互いの『信念』がぶつかって、戦いとなる。だから、彼女も躊躇しない。

ワルド……いやワルドたちはそれをほんの一瞬脇見するだけで位置や危険性を判断。レビテーションやフライを駆使し、回避しつつも常に陣を敷く。
反撃の、ライトニング・クラウドが3方向から放たれた。しかし、ルイズは既に動き始めている。

―――さぁなぁ、とりあえず俺と散々闘ってんだから、それを思い出してみろよ。

以前彼が言った台詞だ。
彼女は、たどたどしいながらも、自分で思考し、戦法、いやそれより前の基礎を実行している。
彼は、どんな時も足を止めなかった。出来るだけ的を絞らせないように、移動を繰り返していた。
考えれば、前後移動が多かった。奥行きで混乱し、彼女は自分が魔法を外したことを思い出していた。
それを踏まえ、自分でも実践してみる。
しかし、相手はワルド。自分と違い、彼と同じく実戦経験豊富な戦士が、そんな愚を犯すことはない。
確かに3つのうち、1つは外れたが、残り2つは変わらずルイズに接近していた。
突然、横から吹き荒れる突風。それが雷の塊のような雲とぶつかると――驚くことに消えていくではないか。
ルイズもワルドも横を向けば、タバサが杖を振った姿勢でこっちを向いていた。
まさか、ウィンド・ブレイクという初級の魔法でライトニング・クラウドという高位の魔法を打ち消されると思ってもいなかったのだろう、ワルドは目を見開いた。
種を明かせば……実に当然のことだ。電撃などは導体である空気を掻き乱せば軽減できる。
空気の塊をぶつけられ、電撃は拡散され、形を維持できなくなったというわけだ。
もちろん、そんな細かい理屈など、タバサ、引いてはこの世界の人間ではわかるはずもない。
だが、なぜそうなるかは知らずとも、そうなることは経験という武器によって、タバサは知っていたのだ。
ワルドは、追い討ちをおそれ、二人ずつ分けて2人を分担しようとしたのだろう。二人の中間に放たれた、エア・ハンマー。
あくまで、合流する場所さえ潰してしまえばよいと思った上での、範囲攻撃だった。タバサにだけは、飛ばないように警戒しエア・ニードルのオマケ付きだ。
ルイズが、短く詠唱する。残った一人は、エア・ハンマーを放った無防備なワルドを防衛するべく身構える。
ルイズには、失敗魔法しかない。強力になったとしても、攻撃の幅がないのだ。
攻撃の幅がないというのは、それだけで圧倒的に不利。
長槍しか持たない戦士は、懐に入られたらどうしようもない。短剣しか持たない兵士は、弓に手も足も出ない。
魔法だろうとなんだろうと同じ。どんなものにも存在する弱点の補強が全く効かないという意味と同義だ。
対するワルドは真逆だ。全てに対応できる。
そこらのメイジと違い、軍人として鍛え抜かれた体術と肉体。フライやレビテーションのような基礎の身体補助の魔法も当然完璧に使いこなす。
これに加え、足止めもでき、最小の詠唱で使用できるウィンド・ブレイク。破壊力に優れるライトニング・クラウド。
『面』で攻撃でき、使い勝手のいいエア・ハンマー。速射性に優れ、『一点』において強力な貫通力を持つエア・ニードル。
ここでは自分の『遍在』を巻き込むため使用できないが、街で見せた大技、カッター・トルネード。
そしてワルド最強、最高の切り札『偏在』。
そのどれもが、実用性のみ……実戦性のみに特化して鍛え抜かれている。
元々決してそう高い身分でない彼が自力で上り詰め、力で勝ち取った称号。
彼の肩書きである『魔法衛士隊 グリフォン隊隊長』が、伊達でないことを示していた。
彼が、カウンターを中心をした戦いをしている理由はそこにある。
地力の差など、もはや言うまでもない。ならば一切の不安要素を排除して、長期戦を持ち込めばいい。

33 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/01(土) 21:15:34 ID:7JK2x5BF
支援

34 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/01(土) 21:15:38 ID:uZ4DQFin
海兵隊ケツ上げろ〜!

作者様の支援いくぞ〜!

35 :力を求める使い魔:2007/12/01(土) 21:17:27 ID:5gFpQNex
無理に押し切ろうとして、不安要素を混ぜるのは、愚か者のやること。
絶対の力の差を確信しているからこその、機械の如き一部の隙も見せない冷徹な戦い方。
彼は、戦いを毛ほどにも舐めていない。どんな時も、確実かつ絶対の勝利を損傷を最小に抑えて挙げる。
それが、『隊長』という存在に与えられた任務だ。この時も変わらず、彼はそれを実行する。
ただ、与えられた任務に従い、ウェールズを殺害し、ルイズの手紙を奪う。
―――違いはトリステイン王国から『レコン・キスタ』に宗旨変えにしてるということのみ。

ワルドに、負けはない。
町での対戦時、ゴーレムに隠れてタバサの実力は見ていたのだろう。ワルドはタバサの手の内をよく知っていた。
対してルイズには、どうせ失敗魔法しか使えないからほとんど脅威にはならないとの判断。
そう判断していたのは、ルイズにもありありとわかった。
だから、彼女は唱えた。見せつけてやるために。自分は―――思う通りいいように動く道具じゃないことを証明するために。
ワルドは、それが『爆砕』と思っただろう。どうせ、また一つ覚えの魔法しか使えないと思っていただろう。

ふわりと、彼女の体が浮き上がった。

先ほど魔法を打ち消された時の比ではない。ワルドの仮面の裏から驚愕という感情が漏れていた。
コモンマジック、レビテーション。『ゼロ』の彼女には、使用できなかった魔法。
心は埃にまみれ、地を這うことしかできなかった。そんなもがいた日々を、彼女は力に変える。
『ゼロ』という二つ名を彼女は砕いた。進化する魂が、願っていた未来を呼ぶ。
式場のステンドガラスを背に、空を彼女が舞う。朝焼けの光を切り裂き、ワルドたちを伸びた彼女の影が包む。

色とりどりのステンドガラスから溢れる7色の光が、彼女の羽のように広がり強く輝いている。

「天使………」
うめくようなワルドの呟き。ルイズがエア・ハンマーの衝撃とび越え、タバサの場所に進むのを、呆然と見ていた。
僅かなワルドの沈黙が、場に静寂のとばりを降ろす。
それを、タバサは見逃さなかった。杖を回転させ、一気に空気中の水蒸気をかき集める。
氷槍が、一気に鋭く蛇のように首をもたげた。『遍在』の一体が、ついに貫かれて消えた。氷の蛇が、地面に衝突し、高い音をたて砕け散る。
そこで、やっとワルドの時間は動き出した。
見るからに慌てて、陣形を組みなおす。そこには、先ほどまであった余裕の色はない。
あれは、ルイズやタバサの手の内を知っての上での戦略だったのだろう、それは彼女が魔法を使ったことで砕け散った。
これは、大きなことだ。彼女が魔法を使えるとなれば、その戦力は全くの霧の中なのだから。
ワルドからすれば、何も分からない。
系統魔法は何が使えるのだ?
どこまでコモン・マジックを使いこなせる?
習得してる魔法は?
次々とそんな疑問符がわきあがっているだろう。もっとも、彼女もタバサと並ぶためレビテーションを使っただけだ。
なぜか、使える―――そんな確信と自信に満ちていたが、実際どこまで使えるか分からないのは彼女も同様。
使う本人すら不明の領域が現れた。しかし―――状況を一変させた。
心理的な傾きが、一気に逆流した。
『遍在』の一体を失ったことにより、ワルドが攻めに転じる。
しかし、これがワルド最悪の失敗。

36 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/01(土) 21:18:06 ID:bxbIYYu+
前スレAAで埋めるとか空気読めて無いな
それはそうと支援

37 :力を求める使い魔:2007/12/01(土) 21:18:34 ID:5gFpQNex

―――後は、相手の動きをよく見ることだな

これも、彼の台詞。なるほど、確かにそれは大事だと彼女は得心した。
魔法を駆使し、相手を惑わす動きと、スピード。本来はそこらの魔法使いより格段に早いのだろう。しかし―――

「あいつに比べれば――止まって見える!」

ガンダールヴの速度に比べれば、あまりにも遅すぎた。
夜の暗い中、彼を目で追うことに慣れていた彼女には、ワルドの動きは手に取るようにと言っていいほどわかった。
タバサのアイス・ストームが、ワルドの視界を奪う。その最中、唯一動きを正確に追っていたルイズの『爆砕』が、さらに『遍在』を砕く。
風に溶け、消えていく仮面とローブ。残った『遍在』はあと2人。つまり……そのうち1人は本物のワルド。
ついに、後がなくなったワルドたちが、決めにきた。
低い二重の詠唱の声の中、僅かに風が起こる。
「……来る」
タバサの声とともに、それは来た。
超巨大な竜巻を発生させるスクウェアレベルの風系統の魔法。
天井をこすり、城を支える柱を粉砕し、取り込むものすべてを破砕しながら迫る極技。
町では真っ先に放った魔法―――カッター・トルネード!!
竜巻に挟み込まれた真空の層が、巻き込まれたものを切り刻む。当然その中には、多くの貴族たちもいた。
触れられた瞬間、肉片へと変わる遺体。彼らも……本来ならウェールズと共に闘い散っていくはずだったのだろう。
ふと、後ろ―――広間の最奥にあるウェールズの遺体に目をやった。
彼の遺体は、何も変わらずそこにあった。彼の口元が、笑って見えるのは気のせいだろうか。
「行くわよ」
ルイズの言葉に、タバサが頷く。2人が、別々の魔法を詠唱する。なのに、その声の重なりは全く不快ではなかった。
もう一度、アイス・ストームが2人を包むように立ち上る。それが、2つのカッター・トルネードにぶつかった。
しかし、スクウェア・スペルの2重奏に、トライアングル・スペルが勝てるはずがない。
時間稼ぎがせいぜい、そうとしか見えないだろう。ルイズの、『爆砕』が、3つの交錯点に撃ち込まれた。
それを、ルイズは目を細めて……少し逸らした。
―――ごめんなさい。
心の中で、謝罪する。その爆発で流れが変わり、取り込まれていた肉や血が、一気に周囲に放出された。
白塗りの壁が、赤く染まっていく。ワルドたちは、その衝撃で、竜巻が崩れないよう力を振り絞っている。
だから、気付いていなかった。いつの間にか、アイス・ストームが消えていたことに。

「ラグーズ・ウォータル・イス・イーサ・ウィンデ………」

戦いを終わらせる魔法が詠唱される。それは……タバサがもっとも得意とするウィンディ・アイシクル。
ウィンディ・アイシクルは、空気中の水分を固めて作る魔法だ。
それはつまり―――――


38 :力を求める使い魔:2007/12/01(土) 21:19:37 ID:5gFpQNex
ワルドの周囲の壁に付着していた水分が、氷結し、矢となる。その矢は、真っ赤な色をしていた。
そう、壁に付着した水分とはすなわち血。貴族たちの……血だ。
カッター・トルネードで取り込まれた人々の血を周囲に撒くことにより、ワルドの全方位に『水分』を作り出す。
その水分が、タバサの魔法で固められ、逃げ場なくワルドたちを包んだ。
カッター・トルネードに力を割く彼らに対抗する術が、あるはずがない。
急いでカッター・トルネードで彼女たちを押し切ろうとしたが……あまりにも遅い。
飛び散った血が、矢となり2つのワルド両方に平等に降り注ぐ。


結局、ワルドを貫いたのは、自分が踏みにじった者たちの血であった。


カッター・トルネードが消え、風に還る。その意味は………

静かにルイズは目を伏せた。



「―――――さようなら、子爵さま」



39 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/01(土) 21:21:30 ID:OlwtA6PY
猿対策

40 :力を求める使い魔:2007/12/01(土) 21:21:38 ID:5gFpQNex
支援、ありがとうございましたー
次で、アルビオン編ラストです!
正直、エクスプロージョン習得は、多分相当あとになると思います
だから、しばらくきちんとルイズを戦力にするためにも、ここは大切だったんで
無駄に気を使ってちょっと日を開けてすいませんでした

41 :ゼロの夢幻竜:2007/12/01(土) 21:35:18 ID:4B2SVqhP
>>40
乙です。クロス先の作品はよく知らないのですが、いつも楽しく読ませてもらっています。
ところで5分後に第6話投下しても宜しいでしょうか。


42 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/01(土) 21:36:32 ID:5r5F5yuu
>>10
>>40

43 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/01(土) 21:37:32 ID:UE7Ukwpq
構うこたぁねえ、突っ込め!

44 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/01(土) 21:39:53 ID:5r5F5yuu
≪支援要請を受信した≫

45 :ゼロの夢幻竜:2007/12/01(土) 21:40:03 ID:4B2SVqhP
ここで書き始めて思った事……スレの消費速ッ!!
では投下逝きまーす。

ゼロの夢幻竜  第六話「親愛の握手」

ラティアスはやってしまったという顔をする。
変身の瞬間こそ見られてはいないが、誰もいない内に念動力を使ってさっさと洗濯を終わらせようと思っていたからだ。
目の前にいるメイドは黙っていたが、直ぐに首を傾げてごく当たり前の質問を投げかける。

「あのう、新入りの方ですか?」

新入りという言葉にラティアスはぴんと来た。
どうやらこのメイドは自分をここに着たばかりのメイドと勘違いしたようだ。
いいえと答えたら怪しまれてしまう。
一応調子を合わせる様にラティアスは頷いた。
だがそれがまずかった。メイドはにこにこしながら当然出るであろう質問を口にする。

「そうなんですか!ここでは貴族の方が多いものですから緊張してしまって……私シエスタって言います。あの、あなたのお名前は?」

答えられるわけが無い。
ラティアスとその雄の形態にあたるラティオス一族は、人間に変身する事は出来る。
だが、声帯とそれに準じる発声機能の忠実な模倣は何代続いても不可能だった。
その為ラティアスは人間の外見に姿を変える事は出来ても、音声を使った意思疎通に関してはほぼ無理だった。
目の前にいるシエスタと名乗ったメイドの物腰は柔らかそうで、且つこちらへの敵意は無い。
それでも今、質問に意思疎通形式で答えたら何が起きるか分かったものではない。
しかし答えないままでは状況はより一層悪くなるだけだ。
耐え切れなくなったラティアスは、ままよ、と思い意思疎通を始める。

「嘘吐いてすみません。わたしはルイズ様の使い魔でラティアスといいます。」

瞬間シエスタは狐に摘まれた様な表情をしてその場に棒立ちになった。
何が起こっているのかよく分かっていない表情その物とも言える。
それはそうだ。いきなり自分の心に誰かの声が聞こえてきたのなら誰だって驚く。
ましてや目の前にいる人物が発しているとその本人に言われたって、口が動いていないじゃないかと言われるのがオチだ。
次に彼女は耳に手を当てる。しかし当然の如く何も聞こえない。
説明の為にラティアスはもう一度心の声を口にする。

「今あなたの心に直接話しています。ちょっと理由があって口がきけないのでそうさせてもらっています。それと……ほら、ちゃんと使い魔のルーンもここに。」

そう言ってラティアスは使い魔のルーンが刻まれた左手を相手が見やすいようにさっと掲げた。
シエスタはそれに顔を近づけるがそれでも信じられないといった顔をする。
それに未だに自分の手で耳の辺りをこんこんと叩いていた。
ラティアスは困った顔をし、小さな溜め息を吐いて考える。このままでは埒が開きそうもない。
鬼が出るか蛇が出るか。正にそんな雰囲気だったが至善の策が尽きたなら次善の索を使うまでだ。

「仕方ありませんね……私の本当の姿を見せます。でも絶対に人に言わないで下さいね。」

……とは言っても実際に見る以外信じて貰えなさそうだが。
そう思いつつラティアスは目を閉じて再び深呼吸をする様なポーズをとる。
そして目も眩む光と共にラティアスは一瞬で元の姿に戻る。
これで信じてもらえるかとラティアスは目を開けたが……
甘かった。その光景を穴が開きそうなほど見つめていたシエスタは、あまりの出来事に気を失い、ばったりとその場で後ろ向きに倒れてしまった。


46 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/01(土) 21:41:27 ID:5r5F5yuu
支援

47 :ゼロの夢幻竜:2007/12/01(土) 21:41:44 ID:4B2SVqhP
やっぱり不味かったか……とラティアスはつい思ってしまうのであった。
彼女の所属する仕事場まで運んでいってやろうかと考えはしたが、何処が彼女の仕事場なのか見当がつかない。
どうにもしようが無いのでラティアスはシエスタを水汲み場の縁にもたれ掛かる形で寝かせる事にした。
さて次は洗濯である。
洗濯といっても洗う為の石鹸や洗濯板を持って来ていなかった。
しかしラティアスはそれでも一向に困る事はない。
服が格段に汚れていない今、石鹸は兎も角として道具に頼る必要は無かったからだ。
ラティアスは先ず、空中に直径2メイル程ある水の玉を作り出す。
そしてその中に洗濯物を入れ、後は目にも止まらぬ高速回転を行う。
その間彼女は体を少しも動かす事は無い。
全ては彼女自身が持つ強力な超能力という力によって起こされている事なのだから。
大きな竜巻の様な形を取っているそれを、ラティアスは時たま横向けにロールした状態で回転させたり、玉の状態に戻して激しく振動させたりする。
誰か見ていたら先ず間違い無く何事かと目を疑うような光景ではある。
5分ほどそれを繰り返すと、元からあまり汚れていなかった事もあるが洗濯物は染み一つ無くなっていた。
ラティアスにとって幸いだったのはその間の光景を人間は誰一人として見ていなかった事だった。
見ているとすればかなり離れた位置からではあるが、昨日召喚された使い魔達ぐらいなものだろうが、彼等の大方がそんな事は何処吹く風といった感じで思い思いの事をしている。
と、その時気を失っていたシエスタが目を覚ましその身を起こす。

「あ、気がつきましたか?と言うより大丈夫ですか?」

屈託の無い笑顔でラティアスは話しかけた。
しかしそれはシエスタにとっては少々パンチの効きすぎた寝覚めの一言だった。

「りゅ、りゅ、竜が喋ったぁあああああ〜!!!わあわあわあ!!!」

シエスタは元の姿で宙にふわふわと浮いているラティアスを指差し、腰が抜けた姿勢で絶叫し動転する。
そんな彼女をラティアスは必死で落ち着かせる。

「落ち着いて!落ち着いて下さい!たのみますから落ち着いて下さい!何もしませんから!お願いですから落ち着いて静かにして下さい!」

その言葉に、それまで散々おろおろ喚いて再び気絶しそうだったシエスタは漸くある程度の平静さを取り戻した。
まだ体の隅は小刻みに震えているが、それでも話が通じる様な状態になっただけまだましである。
ラティアスはそれを確認すると一回小さく咳払いをして話を続けた。

「よかった……。私はこういう風にして意思疎通をさせる事が出来ます。あと人間への変身も。
さっき変身していたのは一種の試験です。その……上手く変身できるかどうかの。
……それで、あの、さっきの姿になっていいですか?もう気絶しないって言うのならやりますけど。」

その質問にシエスタは首をぶんぶんと振って頷く。
許可を貰ったラティアスは竜の姿を掻き消し、メイド姿の似合う少女にする。
最初の内は震えが止まらなかったシエスタも徐々に冷静になり、改めて人間状態のラティアスをぐるりと一周する形で眺める。

「本当に人間の姿になれるんですねえ〜。」
「声が出せないのが残念です。本当はご主人様が意思疎通していいって言った人だけに喋っているんですけど、今回は事情が事情でしたから……」

照れ臭そうに俯くラティアスの姿を見てシエスタは先程の事を全て無かった事にし、微笑みながら右手を差し出す。
親愛の印とも言える握手の誘いだ。

「改めまして、ここでメイドをさせてもらっているシエスタです。」
「こちらも改めまして、ルイズ様の使い魔、ラティアスです。」

ラティアスも自身の右手を出して握手しながら挨拶し直す。
やがてどちらからともなく、小さな声を出してくすくす笑い出した。
シエスタは思う。
とんだ一日の始まりとなったが色々と面白い一日になりそうだと。

その模様の一部始終をほんの一瞬も目を離す事無く見つめている物があった。
使い魔の一匹、風竜の幼生であった。



48 :ゼロの夢幻竜:2007/12/01(土) 21:42:49 ID:4B2SVqhP
ルイズは『アルヴィーズの食堂』でラティアスを待っていた。
朝食はつい先程始まりを告げたばかりで、テーブルの上にはまだ栄養のしっかり取れそうな料理が幾つも並んでいる。
今来たのならまだ楽しい食事は出来るだろう。
周りを見ると給仕として忙しそうに働くメイド達がいる。
ラティアスの分は彼女達に口利きさせてもらった方が良いかしら?
そうルイズが思った時、校門に面した入り口から一人のメイドがそおっと入ってくる。
遅刻したのかしらと、厨房から出入りしていない事を理由に訝しんだ。
が、そのメイドは脇目もふらず真っ直ぐに自分の所に向かってやって来る。

「何か用?」

そう言ってルイズはグラスに入ったワインをほんの一口だけ口にする。
が、次の瞬間聞こえてきた声に危うくそれを思いっきり目の前にある皿やテーブルクロスに向かって盛大に噴き出しかけた。

「只今着きました、ご主人様!」



49 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/01(土) 21:42:56 ID:qoJHT83i
支援…ボルテッカーーーーッ!!(勿論ピカチュウ系列のアレ)

50 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/01(土) 21:45:17 ID:5r5F5yuu
支援

51 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/01(土) 21:45:30 ID:8iW1D258
支援

52 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/01(土) 21:45:44 ID:cXLJNcmB
支援

53 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/01(土) 21:45:55 ID:cxRE57hq
その叫び方じゃピカチュウ系列じゃない方しか思い浮かばないだろ支援。

54 :ゼロの夢幻竜:2007/12/01(土) 21:48:32 ID:4B2SVqhP
投下終了します!!
今回はシエスタとの邂逅をやってみました。ちと短めに感じる人がいるかもしれませんが。
最近は→ttp://jp.youtube.com/watch?v=hitAHKGqJZI の曲をBGMに執筆しています。
良い曲ですよ〜。
ではまた何時かお会いしましょう。

55 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/01(土) 21:49:48 ID:qoJHT83i
おつですーw

>>53
あ、やっぱり?

56 :魔法少女リリカルルイズ:2007/12/01(土) 21:53:06 ID:ObVuzYBk
投下予約させてください

57 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/01(土) 21:54:16 ID:OlwtA6PY
支援

58 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/01(土) 21:54:44 ID:5r5F5yuu


支援

59 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/01(土) 21:56:14 ID:qoJHT83i
スターライトブレイカー支援。

60 :魔法少女リリカルルイズ:2007/12/01(土) 22:00:13 ID:ObVuzYBk
土くれのフーケにとって、その訪問者は異常だった。
長身の黒マントだから?否、そんな者はどこにでもいる。
白い仮面で顔を隠しているから?否、そんな同業者はいくらでもいる。
夜中の訪問者だから?否、夜は盗賊たるフーケの時間だ。
それは、ここがチェルノボーグの監獄だからだ。
フーケは、ヴァリエールの屋敷で捕らえられた後、裁判のためにここに移送された。
そして、今は裁判を待つ身である。
その間、ひどく退屈で牢番以外の誰かが来ない物かと思っていたが、まさか本当に警戒が極めて厳重なこの場所に非正規の訪問者があるとは思っても見なかった。
もっともこの訪問者、まともでない上に油断ならない相手であることは間違いない。
──私を殺しに来た刺客?あるいは……
身構えるフーケに、その訪問者は言った。
ハルケギニアを一つとし、聖地を奪還するために我ら新しいアルビオンの仲間になれ、と。
想定外の問いに、フーケは質問で返す。
断れば?
訪問者は答える。
死だ。
ならば、フーケは断れようはずもない。それに、はっきりした物言いは嫌いではない。
故にフーケは男の仲間となった。
すなわち、レコン・キスタの一人となったのである。


ヴァリエール公爵邸の中庭には大きな池がある。
燦々と照る日を受け、きらきら輝く水面に浮かんでいるのは小さな白い小舟。
その幻想的な小舟の中で、ルイズは周りの美しい景色に目をやることなく泣いていた。
と言っても、泣いているルイズは魔法学院の学生のルイズではない。まだ小さく、それに幼い6歳のルイズだ。
なぜ、こんなに泣いているのかはよくわからない。
でも二人の姉と魔法の力を比べられて悔しくて、情けなくて、悲しくて泣いているのだけはわかる。
ここに来るのはそんなときだけだからだ。
泣いても、泣いても涙が止まらない。ずっとずっと泣いていると、ルイズの白い小舟に魔法の力で空を飛んでいた立派な貴族が降りてきた。
「泣いているのかい?ルイズ」
「子爵様、いらしてたの」
まだ16歳の若い貴族ルイズのよく知る、そして憧れの人だった。
彼は先頃、近くの領地を相続したという。その件でここに来たのかも知れない。
「また、お父上にしかられたんだね。おいで、僕がお父上に取りなしてあげよう」
「でも……」
お父様が許してくれるかどうかわからない。
でも、子爵様と一緒なら。
「大丈夫さ。僕がついている」
「でも……」
お母様が許してくれるかどうかわからない。
きっと、すごく怒っている。
それがとても不安だ。
でも、子爵様と一緒なら。
「それに、みんなお茶を用意して待っているよ。ほら、ルイズの大好きなクックベリーパイもあるんだ」
子爵がおいしそうなパイをのせた手をルイズにさしのべる。
クックベリーパイの甘酸っぱい香りがルイズの小さい鼻に流れ込み、不安を溶かしていってくれる。
しかし、ルイズは頬をちょっとふくらませた。
ふくらせた頬と一緒に体も大きくなり、魔法学院のルイズになるが、そんな不思議もルイズは気にならない。
「子爵様。私、もう子供じゃありません。そんな、食べ物なんかで釣られたりしません!」
「じゃあ、いらないんだ」
──え?
ルイズの目の前には子爵はないかった。
いや、さっきまで確かにとても立派で、素敵な、憧れの子爵様がルイズの前にいた。
でも、今ルイズの前でクックベリーパイをひょい、と引っ込めるのは。
「じゃ、僕が食べちゃうよ」
ぶかぶかの服を着て、大きすぎる帽子を思いきり後ろにずらしてかぶっているルイズの使い魔、ユーノ・スクライアだった。
さっきまでは大きかった手も、今は小さくなって両手でパイを持っている。
「いただきまーす」
ルイズは誰の目にも止まりそうにないスピードで手を伸ばす。高速とか神速とか言うのもまだ生ぬるい速度だ。
さっきまでユーノの手にあったクックベリーパイは消え失せて、いつの間にかルイズの手の中にある。

61 :魔法少女リリカルルイズ:2007/12/01(土) 22:01:24 ID:ObVuzYBk
「誰もいらない、なんて言ってないわよ」
「じゃあ、それを食べたらみんなのところに行ってくれるよね?」
「でも……」
「まだ、たくさんあるよ」
「う……ユーノがそこまで言うんならしょうがないわ。行ってあげる。でも、これを食べてからよ」
「うん」
ルイズが、ニコニコ見ているユーノの前で大きく口を開ける。
少しくらい行儀が悪いがしょうがない。
それに、見てるのはユーノだけだし。
あーーーーん。
ぱく。


「うわぁあああああああああああああああああああああああああああああああ」
「ほへ?」
目が覚めた。
そろそろ日が昇ってきて、起きるのにはちょうどいい時間だ。
いつも聞こえる鳥の声が今日は聞こえない。
ユーノが叫びまくっているからだ。
「ほーひたの?ふーの」
「い、いたいいたいいたいいいたいいたいいたい。ルイズしゃべらないで、噛まないでーー」
「ほへー」
ルイズは寝ぼけ眼のまま、しばらくぼーっとしていた。


キュルケが朝一番にルイズを見つけたとき、何か違和感を感じた。
正確にはルイズではなく、その方に乗っているユーノの方に違和感があった。
と言っても、その違和感の出所は探さないといけないような微妙な物ではない。
見ればすぐにわかる。
「何があったの?」
ユーノ胴体にはいびつな包帯がぐるぐる巻かれている。
相当不器用に巻いたらしく、ユーノの胴体がかなり大きくなっていた。
「何でもいいでしょ!」
あまり言いたくない事のようで、ルイズはユーノが乗っているのとは反対の方向に顔を背けてしまう。
その隙にタバサは、ひょいとユーノをとってしまう。
「あっ、タバサ。何するのよ!」
「包帯の巻き方が悪い」
そういうとタバサは、ルイズがユーノ奪還に伸ばす手を避けながら包帯を外していってしまう。
全部の包帯が巻き取られ、露わになったユーノの胴体を見たとき、キュルケは自分の目を疑った。
そこにはくっきりと歯形が刻み込まれていたからだ。
「えっと……ルイズ、何かあったの?」
「なんでもないわよ」
「なんでもないって、この歯形、あなたのでしょ?」
親指と人差し指で大きさを測ってルイズの口と比べる。
ぴったりだ。
「……けたのよ」
「え?」
「だから、寝ぼけてユーノを噛んじゃったの!」
とたん、キュルケは口を開けて笑い出す。
以前は少しこらえていたが、近頃はそんなことをしない。
こらえても無駄だからだ。
「あははははあははは。噛んだ、噛んだって、自分の使い魔を?」
「そ、そーよ」
「そんなことするの、あなただけよ。きっと。ミス・ヴァリエール。あははははははあははは」
「そんなに笑わないでよ」
「間違いなく史上初めてよ。あははははははははははは」
ひとしきり笑い終えたキュルケは、教室に歩きながら息も絶え絶えに一言だけ言った。
「あなたって、ホント面白いわ」
その横ではタバサが慣れた手つきでユーノに包帯を巻き直し終え、9割も余ってしまった包帯を扱いかねていた。

62 :魔法少女リリカルルイズ:2007/12/01(土) 22:02:32 ID:ObVuzYBk
教室に入ったルイズは何となくユーノを見ていた。
(ユーノ、もう痛くない?)
(平気だよ)
そうは言っても気になる。
肩に乗っているときも、いつもとは違うようだったし、歯もだいぶ食い込んでいたように思える。
いい味が出ていたのは気のせいだろう。たぶん。

扉ががらっと開き、この授業の教師のミスタ・ギトーが現れた。
生徒達は一斉に席に着く。
この教師、生徒達にはあまり人気がない。冷たい雰囲気と、何より漆黒のマント姿がかなり不気味だからだ。
おかげで、授業はいつも妙な緊張感に満ちて生徒達の私語も極めて少なくなる。
この日もそうだった。
一見、生徒達は授業に集中しているように見えるが、実際はどうなっているかさっぱりわからない。
今のルイズもそうで、半分上の空で考え事をしていた。

「最強の系統は知っているかね?ミス・ツェルプストー」
「『虚無』じゃないんですか?」
「伝説の話をしているわけではない。現実的な答えを聞いているんだ」

ルイズが考えているのは、今朝見た夢のことだ。
──なんで、あんな夢を見たんだろう。
この数年、子爵とは会っていない。
憧れはまだ強く胸に残っているし、あの約束のこともはっきり覚えているが、今日の今日まで思い出したことはなかった。

「火に決まっていますわ。ミスタ・ギトー」
「ほほう。どうしてそう思うね?」

あの約束を聞いたときに感じたあの思い、それもまた覚えている。
それが今、子爵の夢を見る元となったのだろうか。

「全てを燃やし尽くせるのは、炎と情熱。そうじゃございませんこと?」
「残念ながらそうではない

だとしたら、最後に子爵がユーノになったのはどういうわけだろう。
──まさか、あの思いをユーノに?
いや、それはない。あるはずがない。
ユーノは、ずっと年下だし。子供だし。何より、フェレットだし。
それだけはあるはずがない。
別のことで子爵とユーノに共通点を感じたに決まっている。
そう、子爵はメイジとしても一流だった。
ユーノも、四系統ではないがすごい魔導師だ。
きっとそこからに違いない。
ルイズは安心して、満足そうにうなずいた。

63 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/01(土) 22:03:45 ID:7JK2x5BF
支援

64 :魔法少女リリカルルイズ:2007/12/01(土) 22:03:47 ID:ObVuzYBk
「試しに君の得意な火の魔法を使ってみたまえ、と言いたいところだが……ミス・ヴァリエール!」
そういうと、ギトーは杖を一振り。
空気の固まりが部わっとルイズの髪をかき上げる。
「は、はい?」
ようやく、周りのことが耳に入ってきたルイズだが、今何が起こっているのかわからない。
確か今は風の授業のはずだ。
──と言うことは!
ルイズはあわてて杖を出して、持った手を振り上げる。
「はい、わかりました。すぐにやります」
「え?」
さっきまで問答をしていたキュルケが顔を引きつらせる。
「み、みんな危ない!隠れるんだ」
ギーシュが叫ぶが早いが机の下に待避する。
「ま、待ちたまえ!ミス・ヴァリエール!早まるな!」
もう遅い。
あわてるルイズは風邪を起こすルーンを唱え杖を振る。
そして、爆発が起こった。


庭で洗濯物を干していたシエスタの後ろで爆音が聞こえた。
以前はその爆発はよくあることではあっても、縁の遠い物ではあったが今は何故か身近に感じられる。
ミス・ヴァリエールが爆発を起こすところを見る機会が増えたからかも知れない。
そういえば、爆発が前より大きくなっているような気がした。
ミス・ヴァリエールの毎日の練習の成果が出ているのだろう。本人は喜ばないかも知れないけど。
音の元を見ると、教室から煙がもうもうと噴き上がっていた。
さらに、窓から誰かが──今度はよくわかる。よく飛ばされるマリコルヌと言う貴族だ──魔法も使わずに飛んでいくのが見えた。
シエスタは放物線を描いて飛んでいくマリコルヌを目で追った。
とりあえず、どうしていいか考えていたからだ。
学園の塀の手前まで飛んだところでようやく結論が出た。
「大変!!」
シエスタは塀の向こうに空飛ぶ貴族を追っていった。

*************************************
今回はここまでです。
まだ、話が本編に入りません

65 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/01(土) 22:04:14 ID:qoJHT83i
ディバインバスター支援

66 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/01(土) 22:11:50 ID:qoJHT83i
お疲れ様ですー…ってマリコルヌ吹っ飛んだwww

67 :蛇の使い魔:2007/12/01(土) 22:13:47 ID:ojlLVkeS
>>64
乙でした


次投下大丈夫ですか?

68 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/01(土) 22:14:19 ID:cxRE57hq
どんどん行け支援

69 :蛇の使い魔:2007/12/01(土) 22:16:17 ID:ojlLVkeS
馬車の中では自己紹介が行われていた。

「私はキュルケ。こっちはタバサって言うの。よろしくね、スネーク。」
「ああ。よろしく頼む。」
「ちょっと、あんまり人の使い魔と仲良くしないでくれない?」
「あら、あんまりちんまりしてるもんだから見えなかったわ。いたのねルイズ。
 それにしても、ゼロのルイズがよくもまぁフーケを捕まえるだなんて言えたもんね?」
「うるさい!」

どうやらルイズとキュルケは仲が良いわけではないようだ。
タバサはと言うと本を読んでいる。
どうもよく分からん…。

「…不安になってきた。」

こんなので連携が取れるのだろうか…。

「どうかなさったんですか、スネークさん?」
「いや、なんでもない、あー…ミス・ロングビル。」
「ロングビルでいいですよ。」

手綱を握りながらコロコロと笑う。
だが、スネークの表情は硬い。
ルイズが小さく聞く。

「どうしたの?」
「…ロングビルに気をつけろ。」
「は?」
「お前は何も思わないのか?フーケのところへはどれくらいかかるか覚えているな?」
「馬で四時間でしょ?」

それがどうかしたの?というような表情で見返すルイズ。

「それなら、どうしてあの時学院に戻ってこれたんだ?調査と行き帰りの時間を含めてあの時間に戻ってくるには無理がある。
 朝、侵入に気がついたなら戻ってくるのはもっと後になるはずだろう。」
「…あ!それなら…。」
「待て。まだ何もするな。捕まえるのは杖を奪取してからだ。」


森に到着した。
うっそうとした森で、視界が悪い。隠れるところならいくらでもありそうだ。
馬車から降りて歩くルイズたち。
ルイズたちの服は森を歩くのに適しておらず、苦労して進む。
しばらくして小さな小屋を見つけた。
ここに居るとロングビルは聞いたらしい。

「窓があるな…。」
「そうね。それがどうしたの?」
「中の様子を確認できると良いのだが…。」
「してくればいいじゃない。何とか迷彩とか言うの使って。」

できる事ならステルス迷彩を使いたくは無い。ロングビルに手の内を明かすのは危険だ。
ロングビルに仲間がいないとも限らないため、偵察は絶対にしておきたい。

「で、どうするの?ステルス迷彩は使わないで行くの?」
「その通りだ。誰もいなければそのまま破壊の杖を回収する。」
「すぐに見つかっちゃうわ。」
「心配無用だ。俺の本業なんでね。」

潜入のエキスパート、ソリッド・スネークの本領発揮だ。

70 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/01(土) 22:16:51 ID:7JK2x5BF
支援

71 :蛇の使い魔:2007/12/01(土) 22:18:06 ID:ojlLVkeS
木の影に隠れながら小屋へ進む。
手にはM9を装備し、慎重に森を進む。
トラップの類にも気をつけて進む。この世界にクレイモアなどがあるとは考えにくいが、落とし穴くらいならありそうだ。

ピンッ

案の定、木と木の間に糸が張られている。緑色に塗られ、つや消しがされている。プロの仕業だ。
木の上を見ると丸太がロープがつながっている。その丸太にはスパイク。
さらに二重トラップとして毒矢が飛んでくるようになっている。

「切っておくか。」

ナイフを取り出し、糸を切る。

ゴォッ!ストトッ!

丸太が脇を通過し、少し間を置いて矢が飛んでくる。
ここから先は小屋にさらに近づく。
トラップが多くなるのは確実だろう。
匍匐し、斜め四十五度にナイフを地面に突き刺しながら進む。

コンッ

木の板のようなものに当たる。落ち葉を避けてみる。

「パンジー熊罠か…。」

パンジー熊罠…ベトナム戦争でべトコンが使った罠の一つ。
木の板にスパイクを打ち込んであって、毒や糞が塗りつけられている。
踏めば足に突き刺さり、犠牲者が壊疽になるようになっているものだ。
こんなものを作る奴がいるとはな…。
掘り出してて木の板を裏返す。罠の解除を完遂した。

72 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/01(土) 22:18:24 ID:8iW1D258
支援

73 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/01(土) 22:19:04 ID:qoJHT83i
やはりサイトとは違って、状況や違和感を読むのに慣れてるなぁスネーク支援。

74 :蛇の使い魔:2007/12/01(土) 22:19:07 ID:ojlLVkeS
その後も罠をかいくぐり、何とか小屋に辿り着く。
小屋の周囲に歩哨はいない。
小屋からも人の気配が無い。

「仲間は…いないか。」

窓から小屋の中を確認する。人はいない。
M9をしまい、スタングレネードを装備する。
ピンを抜き、安全レバーを離す。
二秒目で窓を割り、三秒目に投げ込む。さらに二秒後に爆音がする。
扉を蹴り開け、周りに目配せのみをして、小屋に入る。

「クリア。」

無人だ。チェスト…というよりもアイテムボックスの中から妙なものを見つける。

「破壊の杖。」

不意に後ろから声がする。後ろを振り向くと立っていたのは…

「タバサ。それにみんな。一体どうやってここへ?」

タバサが黙って空を指す。

「なるほど…。あの蛇泥棒に乗ってきたのか。」

シルフィードに乗って空からスネークを見ていたらしい。
スネークが侵入してしばらくして地上に降りてきた、とのことだ。
キュルケの姿が見えないが、外で見張りをしているらしい。

「これが破壊の杖…なのか?」
「ええ。一度だけ見たけど、間違いないわ。」
「一体どうしてこれが…。」

その破壊の杖はスネークにとって、とても馴染み深いものだった。
全長990mm、重量7kg、発射筒口径40mmの発射筒、
弾等直径85mmの高性能炸薬HEAT弾を打ち出すロケット・ランチャー【RPG−7】だった。

「きゃぁあああああああああああ!!!!!」

外から悲鳴。その直後、小屋の屋根が吹き飛ぶ。
屋根がなくなったおかげで空が見える。
ただ、空以外にも見えるものがあった。

「ゴーレム…!」

身の丈30メイルを超す巨大ゴーレムが小屋の屋根を掴んでいた。
===================================================================

今回は終了です。支援ありがとうございました。

75 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/01(土) 22:20:38 ID:1R02VdXH
支援
ttp://s4.artemisweb.jp/mangakan5/1111/image/11_0b.jpg
ttp://s4.artemisweb.jp/mangakan5/1111/image/12_0c.jpg

76 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/01(土) 22:22:33 ID:5r5F5yuu
続きにwktk



77 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/01(土) 22:23:20 ID:cXLJNcmB
支援

78 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/01(土) 22:25:06 ID:ffvORybG
>>75ここは全年齢だから18禁は貼らないでほしいんだ

79 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/01(土) 22:28:08 ID:OlwtA6PY
まさかダンボールか支援

80 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/01(土) 22:32:14 ID:1xbGzoA8
ダンボールがなくても木箱で来るか!?


すえぞう単体で召喚してガンダールヴ補正で……とか考えた。
ルイズと綺麗なワルドにドラゴンドロップをプレゼント。

81 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/01(土) 22:32:54 ID:XURafnl4
ザ・フィアー戦思い出したw
トラップうざすぎるw

82 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/01(土) 22:36:23 ID:5r5F5yuu
炎の蛇と固形の蛇

83 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/01(土) 22:37:31 ID:POJYXk2h
ワルド対コブラ部隊
ザ・ペイン:そりゃ蜂のほうが遍在より多いですよぺいいいいいいいいいいん!
ザ・フューリー:「いいいいかりを!あああじわええええええええ!!」であたり一面火の海
ジ・エンド:ワルドがウェールズを殺そうとする瞬間彼方から銃弾が

84 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/01(土) 23:00:04 ID:WNvAv5V/
>>83
どう見ても7万の部隊も瞬殺全滅です本当にありがとうございました。

しかし、タイマンとはいえそいつらを打ち倒したビッグボスって……

85 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/01(土) 23:02:54 ID:Or4/v5LH
昔、新シャア板にアスランvsスネークvs草薙素子vsヴァッシュってのがあってだな…。

86 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/01(土) 23:12:49 ID:INFwA0SK
コブラ部隊と聞くと
サイボーグSF 「超戦士コブラ」を思い出すのは私だけか?

通常の検査では見破ることができず
強化された骨格と内蔵のモーターは垂直十メートルの跳躍を可能にし
両手の小指からレーザー&ライトニング カカトから対装甲ビームを撃ち
設計ミスから老後は全員関節炎もち確定の敵占領地侵入用ゲリラサイボーグ


87 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/01(土) 23:14:37 ID:Or4/v5LH
>>86
サイコガンじゃないのか

88 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/01(土) 23:15:53 ID:POJYXk2h
>>86
SFでコブラというもんだから片手が銃になってる宇宙海賊のほうが浮かぶ
まあコブラを出すならヒロインのスタイルがよくないと

89 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/01(土) 23:22:51 ID:XURafnl4
ザ・ボスとエレ姉の声同じなんだよなあ

90 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/01(土) 23:33:48 ID:KlyeFvGs
>>89
マジか?

91 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/01(土) 23:34:16 ID:po9GOPC3
>>89
そういやそうだったね。
今までおっとりとした声しか聴いた事がなかったから知った時は驚いたもんだ。
声優ってすごい!


92 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/01(土) 23:34:37 ID:WNvAv5V/
>>90
ザ・ボスは井上喜久子さん、
俺が井上さんで思い出すのはナディアのエレクトラの人。

93 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/01(土) 23:39:28 ID:Z8nes9IJ
サクラ大戦のロベリアもな。

94 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/01(土) 23:42:00 ID:WNvAv5V/
ていうか、今Wikipe見てびっくりした。

出演作品に、知る限りでもイメージが
ぜんぜん違うキャラがずらりとならんでら

もはや、すげぇとしか言えん……

95 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/01(土) 23:45:24 ID:Y1nTKmSv
さすがと言うべきかね。

96 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/01(土) 23:46:53 ID:Xpm75CZY
>>94
声優なら小林沙苗もすごいぜ。
エルフェンリート(知らなかったらゴメン)でにゅうとルーシーさんの声担当してたんだぜ?


つい先月までは別々の声優がやってると思ってた…

97 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/01(土) 23:47:48 ID:1xbGzoA8
デビチルのクールとかの少年系もできちゃうしな。

98 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/01(土) 23:47:52 ID:+i+Pt9Oq
同じメタルギアシリーズならローズも井上喜久子さん

99 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/01(土) 23:47:55 ID:KlyeFvGs
>>94
確かに凄いな声優って
そしてそれになろうと頑張っている我が友に敬意を表して敬礼!

100 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/01(土) 23:50:08 ID:Xpm75CZY
>>98
mjd?すげぇぉwwwwwww

しかし釘宮とかは声に特徴がありすぎるからすぐわかってしまうな。

101 :ディセプティコン・ゼロ:2007/12/01(土) 23:50:41 ID:rIY27vC8
何も居ない隣室に向かって毛を逆立てるぬこに怯えつつ予約。

102 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/01(土) 23:51:25 ID:Xpm75CZY
>>101
ちょw

支援準備しとくか。

103 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/01(土) 23:52:13 ID:KlyeFvGs
おい、何があったんだぬこよ支援

104 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/01(土) 23:52:47 ID:t2M8yEKf
次消える事があったらPC買い換えろよ。

105 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/01(土) 23:53:06 ID:Sw8I1Lty
だが断る

ぬこが何を察知したのか、報告を求む

106 :ディセプティコン・ゼロ:2007/12/01(土) 23:53:34 ID:rIY27vC8

『始めまして―――――君達はトムの友人かな? 紳士淑女諸君』



その機械音声が寺院内に響くや否や、ルイズらは即座に杖を構えた。
タバサが先頭に着き、ルイズは周囲を警戒。
ギーシュがルイズの横でワルキューレを錬金し、キュルケは後方でシエスタを庇う。
そしてデルフは逸早く銃口を展開、薄闇の先に潜む存在をスキャンしていた。
そんな彼等の反応にも慌てる事無く、音声の主は流暢に続く言葉を紡いだ。

『ああ、待ってくれ。怖がらないで欲しい。恐怖、その他の感情による束縛から自由である事は、全ての知的生命が有するべき権利だ』

直後、薄闇の中に光が点り、濃緑に彩られた鉄塊の全貌が浮かび上がる。
忽ち、5人の目がそれに引き寄せられた。
ルイズらが息を呑む傍ら、シエスタが密やかに呟く。

「あれ……『竜の羽衣』です」

その言葉を聞くまでもなく、彼等にはそれが目的のものだと理解出来た。
出立の前日にデルフからの説明で、『竜の羽衣』が『飛行機』である可能性が高いという事を聞いていたのだ。
そして目前の物体は、映像で見たものとは若干異なるものの、正しく『飛行機』そのものと分かる造形をしていた。
ブラックアウト以外では始めて目にするそれへと、興奮気味に視線を向ける4人。
しかし、デルフだけはその更に奥―――――『竜の羽衣』を照らし出す光源へと注意を向けていた。
展開した銃口もそのままに、音声による警告を発する。

「ライトを消して前に出ろ。ハルケギニア標準語による音声を用いたコンタクト以外は許可しない」
『賢明な判断だ』

その返答に、ルイズらが我に返る。
状況の異常性に気付き、杖を構え直して消えゆく光源の向こうを睨む4人。
そして完全に光が消えるや否や、寺院内に甲高い機械音が轟き始めた。
同時に、砂を踏みしめる耳障りな音。



数秒後、背後から射し込む薄明かりの中に浮かび上がった異形の姿に、デルフを含む全員が驚愕した。





「『X-File』じゃねぇんだから」
「なに?」

ジャズの車体に寄り掛かりStG44の弾倉をチェックしていた才人の呟きに、同じくボンネットに腰掛けぼんやりとしていたテファが反応した。
長い耳を覆い隠す帽子を弄りながら、少々眠たげな視線を才人へと向ける。

「宇宙人が居たってだけでも、俺達からすりゃとんでもない事なんだ。寄生して胸を食い破るとか、頭蓋骨を取り出してトロフィーにするとかじゃなかっただけマシだけど」

そこで才人は、ルイズらの入っていった寺院へと視線を投げ掛け、顔を顰めた。
その様子をどう見たのか、ジャズがからかう様な調子で言葉を発する。

『そっちの方がマシだったかもな。機械に擬態する事も、馬鹿みたいな威力の兵器をやたらめったら撃つ事も無かっただろう』
「冗談、言葉が通じる方が良いに決まってる。大体そんな奴ら、実際には居ないだろ」
『はっきりとは思い出せないが、似た様な生命体のデータなら31件在るぞ』


107 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/01(土) 23:53:54 ID:WNvAv5V/
ぬこ吹いたw

>>98
何だって!?……ホントだ(^ω^;)

108 :ディセプティコン・ゼロ:2007/12/01(土) 23:54:43 ID:rIY27vC8

沈黙。
才人とテファの顔が僅かに引き攣り、ジャズは合いの手を誤った事に思い至り黙り込む。
何とも言えない静寂が10秒ほど続いた後、その空気を打ち破る様に才人が話し始めた。

「……とにかく、『アメリカ』が宇宙人とのコンタクトを済ませていて、その技術を使って宇宙船を造ってしかも打ち上げまで済ませてました―――――なんてのは、出来の悪い三文SF小説みたいな話なんだ」
『まあ……そうかもな』
「ふぅん……」

才人の言葉に同調するジャズ、良く解らないとばかりに曖昧な返事を返すテファ。
それらの反応を横目に、才人は言葉を繋げる。

「なあ、ジャズ。あの宇宙船……『ゴースト1号』が『セイバートロン』の技術を使ってるってんなら、『アメリカ』は何時『ディセプティコンズ』……それとも『オートボッツ』とコンタクトしたんだと思う?」

返事は無かった。
それ自体は半ば予想していた為、才人も問い質しはしない。
しかし、数瞬遅れて放たれた言葉は、才人に予想外の驚きを齎した。



『分からない。だが……俺は、あれを見た事が在る』



その言葉に、才人とテファは反射的にジャズを見遣る。
ジャズに変化は無い。
車両形態のまま、エンジンを切って其処に在る。

「ジャズ……記憶が?」
『いや、まだだ。だが、画像がデータとして残っている。『地球』圏ではない様だが、何処かしらの恒星系で俺はあれと遭遇した事が在るらしい』
「何処かしらって……じゃあ、あの船は『太陽系』を突破したってのか?」

今度こそ声を上げ、才人は驚愕を露にした。
その様子を訝しんだテファが、小首を傾げつつ疑問を投げ掛ける。

「それって、凄い事なの?」
「凄いも何も……表向き、『地球』の人間が到達したのは月までなんだ。今は一番近い惑星、『火星』を目指してる。それなのに、あれは『太陽系』の脱出まで果たしてるんだぜ? とんでもない話だよ」
「良く解らないけど……サイトの知ってるものより、あれは遥かに進んだ技術が使われてるって事?」
「ああ」

言いつつ、才人は興奮した様子で『ゴースト1号』残骸の方角を見遣った。
しかし直後、背後から響いた甲高い音に、素早く振り返り銃を構える。
音の発生源は、寺院内部だった。

「何だ……?」
『テファ、サイトの陰へ。こいつは……』

テファへと指示を出しつつ、ジャズが変形する。
そして、右腕の砲身を展開するや否や、鋭く警告を飛ばした。



『こいつは……ターボファン・エンジンの音だ!』




109 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/01(土) 23:54:53 ID:WNvAv5V/
っと、ごめん支援

110 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/01(土) 23:55:17 ID:5r5F5yuu
まさか霊(ry


おっと、こんな時間に誰か来たようだ。窓から音が




支援

111 :ディセプティコン・ゼロ:2007/12/01(土) 23:56:00 ID:rIY27vC8

半壊した寺院の扉がゆっくりと開かれ、鋼鉄の異形が薄闇の奥から姿を現す。
徐々に、徐々に日の光の下へと進み出るその鉄塊の全貌が明らかになった瞬間、才人はこの日最大の驚愕と戦慄に襲われた。

「マジかよ……」

彼等の眼前に現れた、その異形の名は―――――

「『ラプター』……!?」



ロッキード・マーティン、F-22。
通称『Raptor』。



少なくとも才人の知る限り、地球最強の戦闘機が其処に在った。
そして、ラプターから音声が発せられる。

『何故お前が此処に居る? ジャズ』

瞬間、擬似視界へと表示されたエンブレムに、ジャズはラプターの正体を悟った。



―――――『ディセプティコン』。



砲口を向け、躊躇う事無く砲弾を発射せんとするジャズ。
しかしその直前、デルフからの通信が飛び込む。

『止せ、ジャズ! そいつは敵じゃない!』

辛うじて、ジャズは攻撃を思い止まった。
しかし、その砲口がラプターから逸らされる事は無い。
相手もそれは承知しているのか、特に反撃の素振りを見せる事は無かった。
沈黙のままに砲口を翳すジャズの隣で、サイトが呻く。

「マジで『ディセプティコン』かよ……!」
『そうとも、《地球》の友人よ。君や彼と同じ、このハルケギニアに迷い込んだ異邦人さ。まあ、人ではないが』

穏やかな調子で言葉を紡ぐ、ラプターに擬態した『ディセプティコン』。
灰色の巨体が進み出た後の寺院内から、ルイズらが歩み出る。
その姿を見止めた才人が、幾分棘の在る声を掛けた。

「よお、デカい収穫だったな。『竜の羽衣』が『ディセプティコン』とは、嬉しい誤算だったろ」

忌々しそうに吐かれたその言葉に、ルイズは黙って背後を指す。

「あん?」
「『竜の羽衣』は中よ。『彼』が居たのは予想外だったわ」
「……はぁ?」
「だから『彼』は『竜の羽衣』じゃないのよ」


112 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/01(土) 23:56:39 ID:AnwHJTN7
よんえん

113 :ディセプティコン・ゼロ:2007/12/01(土) 23:57:20 ID:rIY27vC8

呆気に取られてラプターを見詰める才人、テファ。
その眼前、鋼鉄の猛禽から、三度言葉が紡がれた。



『改めて名乗らせて貰おう。《スタースクリーム》。君達の言語基体に準えて表現するならば、それが私の名だ』





『1969年7月16日。ケープカナベラル、アポロ11号打ち上げと時を同じくして、ゴースト1号はアラスカ、《セクター7》アルファ基地[SSAB]より、その名の通り亡霊の如く密やかに打ち上げられた。
我々クルー一同に課せられた任務は、ゴーストに用いられた種々の技術の有用性確認、そして太陽系内に於ける《アイスマン》の類似構造体捜索、この2つであった―――――』

タルブ村の一画、シエスタの生家。
夕食として振舞われた村の名物、『ヨシェナヴェ』―――――才人曰く、正式な発音は『ヨセナベ』らしい―――――を賑やかに平らげた後、一同はデルフから数枚の紙を配られた。
其処に記されていたのは、『ジェイコブ・トンプソン』の手記。
生前の彼の家に残されていたものを、シエスタの父が預かっていたらしい。
村の誰も読む事の出来ない言語で書かれたそれをデルフが翻訳、その一部を抜粋し人数分の紙へと写したものを、夕食後に一同へと配ったのだ。
ご丁寧にも、才人の分は日本語で書かれていた。
更にはシエスタまでもが、最早無関係ではないとのデルフの判断によって、翻訳の記された紙を受け取っている。
かくして夕食後のテーブルは、無言のままに文字の羅列を目で追う7人の少年少女によって占拠される事となった。

『―――――太陽でのスイングバイ中に、突如として発生したワームホールへと突入した我々は未知の恒星系へと飛ばされ、其処で《アイスマン》と同属の無機生命体による戦闘を目撃した。
我々はSSABへと報告を行い、更に双方の勢力とのコンタクトに成功、ある程度の情報を入手した―――――』

時折、テーブル上で湯気を立てるカップへと手が伸び、続いてそれを置く音が響く。
その微かな音以外は、まるで無音。
僅かな虫の音、風の音すら立ちはしない。

『―――――協議の結果、我々は地球への帰還を放棄した。彼等を地球へと連れ帰った場合に起こり得る、各種のリスクを考慮した上での結論だった。
我々はその旨をSSABへと伝え、ディセプティコンズ司令官に対する多目的ミサイルによる攻撃を実行、反撃を受けた―――――』

読み進める内、誰もが驚きに目を瞠った。
手記の前半でさえ、既に想像を絶する内容であったが、後半はこの世界を舞台としたものであり、彼等にとってより現実感に満ちた内容だったのだ。
特にシエスタにとっては、自身の曽祖父の名が記されていた事も在り、驚愕と共に湧き上がる興奮を抑える事に苦労していた。

『―――――意識を取り戻した時には、既にゴースト1号は地表への不時着を終えていた。私は操縦席を離れ、外部冷却システムの故障を知り、クルーを順に外へと運び出した。
しかし、周囲の火勢は衰える事を知らず、私は熱と渇きに意識を失った。次に目覚めた時、既にクルーの中で命を留めているのは、私独りとなっていた―――――』

不意に、才人が文面から視線を上げ、シエスタを見遣った。
その黒髪と目を視界に捉え、何やら納得すると、再び紙面へと目を落とす。

『―――――私を救ったのは、旧日本海軍少尉、佐々木武雄と名乗る人物だった。彼は私の置かれた状況を事細かに説明し、記憶を失った商隊の一員としてこの村に住む事を勧めてくれた。
私は佐々木に大戦の終結、ゴースト1号、私の任務を明かし、その全てを闇へと葬る事にした―――――』

読み終えたのか、ギーシュが紙面から顔を上げ、目を揉み解す。

『―――――村人へと有益な技術を伝え、子供達に知識を与え、時にジークの整備を手伝う。穏やかに過ぎる日々の中、私は佐々木の協力を得てクルーの墓を建て、更にゴースト内部への侵入を試みた。
エイリアン式の通信機が使用出来ないかと考えたのだ。しかし、それは叶わなかった。扉は私が出た後に完全に破壊され、既に開閉機構は機能していなかった。
非常脱出口からの侵入も試みたが、其方は回線の切断によりびくともしない―――――』

続いてキュルケが紙片を置き、小さく伸びをする。
溜息を吐いてカップへと手を伸ばし、中身を啜った。


114 :ディセプティコン・ゼロ:2007/12/01(土) 23:58:41 ID:rIY27vC8

『―――――帰還の望みは断たれた。しかし、私の心は驚くほど平静だった。それが任務を果たした達成感によるものか、この村への愛着からくるものかは分からない。
しかしあの時、ワームホールを潜らなかった選択を後悔した事は、一度として無い。それだけは確かだ。例えそれが、彼等が地球へと降り立つまでの、僅かながらの時間稼ぎに過ぎないとしても。
彼等はいずれ、必ず、地球へと辿り着くだろう。彼等の首領を、敵を求めて。《アイスマン》―――――《メガトロン》へと』

才人、シエスタ、ルイズが紙片を下ろし、各々が異なる方法で疲労を掃う。
続いてタバサ、テファが顔を上げ、ぐったりと背凭れに体重を預けた。

『―――――果たして、地球の軍事力が彼等に通用するのか。鋼の体躯を持ち、無尽蔵の力と英知を誇る、あの機械生命体に。最早、それを知る術は無い。私には、祈るより他無い。
だが、絶望はしていない。我々が最後に発した警告は、間違いなくSSABへと届いている。彼等なら、必ず有効な手段を見付けるだろう。私に出来る事は、英雄達の遺した功績を此処に記す事だけだ。
最後に……私が知り得たメカノイドの名を記す事で、この回想の結びとしよう―――――人類、そしてあなた方の未来に、祝福の在らん事を―――――《ジェイコブ・トンプソン》』



誰も、何ひとつ言葉を発しようとはしない。
キュルケがカップを戻す音が、やけに大きく響く。
やがて、沈黙を打ち破り、デルフが会話を切り出した。

「スタースクリームの言葉を信じるなら、トンプソンって『地球人』を殺したのはオーク鬼らしい。群れ自体は、直後に奴が森ごと吹き飛ばしたと言っている。嬢ちゃん、本当か?」

寺院でのコンタクト直後に聞き出した情報をもう一度反芻し、デルフはシエスタへと問い掛ける。
シエスタはぎこちなく頷き、答えた。

「はい、父に確認しました。8年前、トム爺さんが殺された直後に、森の一画が消し飛んだそうです。死体も何も残っていなかったから、それがオーク鬼の居た跡だとは分からなかったそうですが」

再び、室内に沈黙が降りる。
7人が互いに視線を交わし、ルイズを除く6人が示し合わせたかの様に席を立った。
そして、各々に割り当てられた部屋、家へと向かう為に部屋を後にすべく、扉へと歩き出す。
その背に向かって、デルフの声が飛んだ。

「明日、『ゴースト1号』内部を調査する。もしかすると、まだシステムが生きてるかもしれねえ」

一旦歩みを止め、再び歩を進める6人。
彼等の姿が完全に扉の向こうへと消えた頃、腰掛けたままのルイズは7枚の紙片を束ね、予め用意されていた鉄の盆の上にそれを置くと、デルフに合図を送った。

「デルフ」

すぐさまデルフがトーチを展開し、紙片の束を焼く。
燃えゆくそれを見詰めながら、ルイズはぽつりと呟いた。

「信用出来るの?」

答えは、殊更無機質な音声だった。

「するさ。あいつも『ディセプティコン』だ」

それだけ言うと、デルフは剣へと姿を変え、床に転がる。
デルフを拾い上げ膝の上に置き、ルイズは未だ明るく燃え続ける紙片へと目を向けた。
徐々に面積を減らしゆくその紙片の上には、本来の文面からは掛け離れた一文が記されている。



『盗聴されている。相棒に関する一切を伏せろ』




115 :ディセプティコン・ゼロ:2007/12/02(日) 00:00:00 ID:rnNa3D3C

そして、本文の末尾。
幾つかの名称、そして文章が、炎に炙られ煤と化す。
静かに、ただ静かに。
真実は、7人と1体の脳裏へと秘められ、その痕跡を炎の中へと沈め去った。



『―――――この回想の結びとしよう。我らを助け、その生命を賭して知的生命体の尊厳を護らんとする者―――――オートボッツ司令官、《オプティマス・プライム》。
我らを貶め、全生命の支配権を掌握せんとする者―――――ディセプティコンズ副司令官、《スタースクリーム》。
彼等の名を此処に記し、この手記を解読するであろう者への警鐘と為す―――――人類、そしてあなた方の未来に、祝福の在らん事を―――――《ジェイコブ・トンプソン》』





集落から全ての灯が消えた事を確認し、スタースクリームは思考を更に加速させる。

集音した会話からは目ぼしい情報は得られなかったが、同時にセルロースを主成分とするハードコピーの摩擦音、それに続く燃焼音が検出された。
即ち、文字媒体を用いた情報交換が為されていたと推測出来る。
しかも、直後にハードコピーを消去する程の念の入り様。
余程此方に知られたくない内容だったらしい。
では、その内容とは?

スタースクリームのプロセッサに、僅かな信号が走る。
嘲笑、侮蔑の感情が込められたそれは、外部へと出力される事無く、内へと秘められたままに消え去った。

決まっている。
『誰があのエイリアン船を撃墜したか』だ。
恐らく連中は、その実行者がこの自分であると気付いたのだろう。

其処まで思考し、しかしスタースクリームは、取り乱す事など一切無かった。
ただ静かに、草原の片隅にその身を留めている。

だから何だというのだ。
連中がそれを隠し通すというのなら、それこそ好都合ではないか。
自身としては、人間どもの注意が砂漠に向けばそれで良い。
原始的ではあるが堅実な科学技術を保有する『エルフ』とやらに、この世界の人間どもが太刀打ち出来るとは到底思えないが、良い『デコイ』にはなるだろう。
自身はその隙に、『エルフ』が有するシステムの制御権を奪取すれば良いのだ。
都合の良い事に、ハルケギニア南方の宗教国家は『聖地奪還』を謳っている。
この国家を運営する上層部の人間を扇動し、ロマリアの主張に同調させれば、自然と砂漠地帯への侵攻と相成るだろう。
それこそが自身の目的であり、逆にいえばそれさえ達成されるのなら、人間どもが自身と敵対しようがしまいが、大した問題ではない。
どの道、小柄なメカノイド1体と、システムに障害を起こした『オートボット』1体、始末するのは容易い。
それが少しばかり速くなるか、遅くなるかの違いでしかないのだから。

スタースクリームは集落の端、月明かりに浮かび上がる銀の車体を拡大、疑似視界へと表示する。
先程まで風竜と呼ばれる原生生物に絡まれ、苦情を吐き散らしていた元『オートボッツ』副司令官は、今はその原生生物に寄り掛かられたまま鉄の寝床と化している。
寝息を立てる原生生物に対し、遂に諦めたのか今は完全に口を閉ざしたそれは、自身が憎むべき敵の名も、またあれ程までに敬意を払っていた司令官の名すら覚えてはいないという。
そもそも、『メガトロン』直々に引き裂かれたあのオートボットが何故、五体満足でこの世界に存在しているのか、その理由すらも定かではない。
解らない事だらけだが、ひとつだけ、スタースクリームには確信が在った。




116 :ディセプティコン・ゼロ:2007/12/02(日) 00:01:21 ID:rnNa3D3C

俺は、全て覚えている。
『オールスパーク』の崩壊も、貴様が引き裂かれた瞬間の心地良い音も、『メガトロン』が死んだ事も。
そして―――――俺自身が見事逃げおうせた事も。
全て覚えているぞ。
貴様の忘れてしまった事も、全て。

貴様には何が在る?
ジャズ、貴様の救いとなるものが、ひとつでもこのハルケギニアに存在するのか?
汚らわしい、死に損ないの『オートボット』よ。



空の支配者たる『ディセプティコン』の思考中枢に、数多の謀略が浮かんでは消えてゆく。
享楽的感覚と共にそれらを取捨選択してゆくスタースクリームは、常ならば決して見落としなどしない、ある種の経験からくる違和感に気付きもしなかった。



二色の月光に照らし出されるラプター。
その姿を静かに窺う、7対の有機的光学視認装置。
中には感情を宿らせたものも在れば、いっそ無機的とも思えるものすら在る。

謀を廻らせる事に長けているのは、何も機械生命体だけではない。

東より押し寄せる白光に闇が拭い去られるまでの、僅かな時間。
謀略と欺瞞の夜は8年前と同様、季節外れの冷たい空気と、鉄の匂いに満ち満ちていた。






117 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 00:01:39 ID:NZkC4aal
《地点365-92に対陣地射撃、各車榴弾、試射後効力射10発、支援されたし》

118 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 00:01:49 ID:O11WWDyT
微妙に除霊習ってるけどやろうか支援

119 :ディセプティコン・ゼロ:2007/12/02(日) 00:02:41 ID:rnNa3D3C

微かなモーター音、そして金属の擦れ合う耳障りな音。
一条の光が闇の中へと差し込み、やがて空間を埋め尽くす。
40と数年振りに外部の光を取り入れたその空間は、無数の計器と淀んだ空気に支配されていた。
白光の射し込む外部から、機械音声の声が響く。

「待ってろ」

直後、内部へと滑り込む小柄なメカノイド。
デルフは迷う事無くコンソールのひとつへと歩み寄り、その下の床をスキャン。
2秒と経たずにスキャンは終了。
トーチ展開、床の一点に2サント四方の穴を開ける。
次にデルフは、細く鋭い端子を展開し、それを床に開けた穴へと差し込んだ。

『……』

僅か1秒、否、それ以下の刹那、デルフから電子音が発せられる。
次の瞬間、低く重い起動音と共に、ジェネレータが再始動した。
緊急換気系が作動、数瞬後には新鮮な外気が空間を満たす。
同時にライトが点灯、しかし数度瞬くと機能を停止。
空間は種々の計器、警告灯、そしてノイズの走るモニターから放たれる明かりによって、辛うじて視界を確保出来る程度の環境を保っていた。

「もう良いぞ」

デルフが合図を送ると、桃色の髪を靡かせた頭が恐る恐る内部を覗き込む。

「大丈夫なの?」
「換気は問題無い。他にこれといった損傷も無ぇな」

ルイズが内部へと乗り込み、続いてタバサ、才人、テファが侵入、物珍しげに周囲を見回す。
やがて、才人がぽつりと呟いた。

「凄ぇ……まだ動くのかよ」
「ジェネレータは無事だからな。『セイバートロン』のものと比べりゃ大分劣化してるが、それでも理論上じゃあ500年は稼動する筈だ」

端子を抜き、コンソールを操作していたデルフが答える。
6つの視覚装置が其々別の計器を捉え、20を超える指が忙しくコンソール上を滑る傍ら、そのセンサーは外部の様子を探っていた。

「飛べるの?」
「いや、エンジンは完全にイッちまってる。補助ブースターもだ。だが……」

再び端子を展開、コンソール脇のジャックに突き刺したデルフは、幾つかの情報をモニターへと表示してみせる。

「AIは生きてるぜ。外部識別装置、サーモスキャン、レーダー、近接防御火器システム、全て正常だ。問題が在るのは推進系と外殻の一部、サンプル採取用のマニピュレーター位か」

アラート。
『MPSM』の表示が赤く点滅している。
デルフが信号を消去、アラート停止。

「ミサイルはネタ切れだが、試作30mmと障害物除去用のレーザー触媒はたんまり残ってる」
「だったら何で、この船のクルー達は死んだんだ?」

その問いに、デルフは換気システムの一部を指した。
次いで緊急防御シャッターの下りた正面の窓を指し、無感動に答えを示す。

「この船の外殻が耐えられない程の高熱に曝されたんだ。システムの構造自体は細部まで保護されていたから無事だったかもしれないが、中の人間は一溜まりも無かっただろうよ。まるで鳥のローストだ」


120 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 00:03:02 ID:4cc2Reo9
≪FOX支援!FOX支援!≫

121 :ディセプティコン・ゼロ:2007/12/02(日) 00:04:00 ID:rnNa3D3C

気負う事も無く恐ろしい事実を指摘し、システムの解析作業に戻るデルフ。
才人はもう一度船内を見回し、微かに身震いした。

異星の技術を用いた外殻装甲を溶かす程の高熱?
それは一体、どれ程の威力を秘めた兵器によるものなのだろう。
少なくとも、既知の兵器とは一線を画すものである事には違い無い。
あのヘリが持つプラズマ砲の様な恐るべき兵器を、スタースクリームとかいうラプターの化け物も備えているのだろうか。

そんな事を思考する才人の傍ら、タバサがデルフへと歩み寄り、声を出さずに何かしら確認を交わした。
彼女が己の耳に手を当てると、デルフは解析の手を止めないままにセンサー出力を最大限に上げ、確認を終えると微かに頷く。
するとタバサが杖を降り、空間は不自然な静寂に包まれた。
ジェネレータの稼動音、点滅する警告灯の微かな音、その全てが消え失せる。
しかし、互いの息遣いだけは確かに耳に届くという、異常な環境。
コモンマジック、『サイレンス』の応用である。
タバサが、静かに宣言した。

「半径2メイル内の音を外部から切り離した。もう大丈夫」

その言葉と同時、4人と1体が一箇所に寄り集まる。
テファが、心配そうに言葉を発した。

「本当に大丈夫なの? 音が消えた事に感付かれないかしら」
「ジェネレータ出力を過剰に引き上げた。雑音でそれどころじゃあない筈だ。おまけにジェネレータのエネルギーは膨大だ。『サイレンス』程度のエネルギー変動なんざ検出出来っこ無ぇ」

答えを返し、続いてデルフは本題を切り出した。

「それで、どう思う」
「信用出来ないわ。出来っこ無い」
「オーク鬼の仕業というのは多分、嘘。殺したのは彼」
「彼は……はっきりとは言えないけれど、ジャズを邪魔に感じてる気がする。何か、嫌な事を企んでる」

3人の少女は、口々にスタースクリームへの不信を口にする。
デルフはその内容が的を射ていると判断、ただひとり沈黙を保っている才人の様子を伺った。

「何か言ったらどうだ、『使い手』」

3対の目が、才人へと向けられる。
全員の視線が集まる中、才人はゆっくりと口を開いた。

「バレる事なんか解ってたんだろ、アイツは。問題はそれを承知の上で、何を企んでんのかって事だ」

其処で才人は微かに視線を動かし、より潜めた声を続ける。

「俺たちが此処で何を話してるか、それだって見通されてるのかもしれない」

その言葉に、デルフは含む様な笑いを漏らす。

「んなこたぁ承知の上だぁね。此処で俺達が決めるべき事は、あの空飛ぶ屑鉄をどう利用して、どう始末するかだ」
「利用出来る様な相手なら良いけどな」

ふん、と鼻を鳴らす才人。
その横から、テファが口を挿んだ。


122 :ディセプティコン・ゼロ:2007/12/02(日) 00:05:20 ID:rnNa3D3C

「彼、砂漠に行きたいと言ってたわ。『地球』に戻る為に、『エルフ』達の持つ技術が必要だって」

テファの言葉に対する反応は様々だった。
ルイズは何を言っているのか、とでも言いたげに眉を顰め、タバサは小さく首を振る。
才人は深刻そうに何事か考え込み、デルフは無言。
奇妙な空気が、場を満たした。

「あんなの嘘っぱちに決まってるじゃない。『エルフ』が地球と同等の科学技術を持ってる? 砂漠で撃ち墜とされそうになった? 巨大な電子的ネットワークを持ってる? 人を馬鹿にするにも程が在るわ」
「常識的に考えて、在り得ない。『エルフ』は『先住魔法』を持ってる。彼等の文明に科学技術の発展が起こるとは思えない」
「でも、ジャズはその話に興味が在るって言ってるわ。話を全て信用してはいないだろうけれど、いずれ調べてみる価値は在るって」

スタースクリームの言葉を頭から否定するルイズ。
冷静に可能性を検討し、その上で在り得ないとの結論を下すタバサ。
しかしテファは、同じメカノイドのジャズが興味を示している事が、それがスタースクリームの目的であるとの根拠になっていると主張する。

「もしかしたら、私達を砂漠に向かわせようとしているんじゃ……」
「そうなったとして、砂漠に何が在るっていうの? あいつが『地球』に戻る為の出入り口が在るとでも? もしそうだとしても、私達が砂漠に向かう必要なんて無いじゃない。勝手に潜って帰れば良いんだから」
「それが不可能だから、俺達に『エルフ』を何とかさせようとしてんだろ」
「幾ら『先住魔法』が強力でも、彼の敵になり得るとは思えない。『エルフ』がそれ以上の力を宿しているとも考えられない。本当に『科学技術』で武装でもしていない限り……」
「それが目的かもな」

突如割り入ったデルフの言葉に、一同は金属特有の光を放つ小柄な体躯へと視線を向けた。
ルイズが、一同を代表して疑問をぶつける。

「『それ』って?」
「『科学技術』だよ。正確に言やぁ『ネットワーク』の事だが」

一旦間を置き、続ける。

「それを乗っ取るつもりかもしれねぇ」
「アンタまで! そんなもの在る訳無いじゃない。此処は『地球』じゃないのよ!」
「だが少なくとも、6000年前には確かに存在したぜ」



その瞬間、場の空気が凍り付く。
驚愕に見開かれる4対の目。
それらを無感動に眺め回し、デルフは次の言葉を待つ。
最初に口を開いたのは、タバサだった。

「どういう、事?」
「6000年前、『地球』と同等の『科学技術』を持つ文明が、このハルケギニアに栄えていたって事だ。だが、ある『事件』でそれが崩壊しちまってな。僅かに残った生産施設と殆どの『科学技術』を、全種族を代表して『エルフ』が管理する事になったんだ」
「『事件』?」

続くルイズの疑問に、デルフは一言、特定の存在を指す単語を口にした。
忌まわしい単語、呪われし存在の名称を。





「『メガトロン』」






123 :ディセプティコン・ゼロ:2007/12/02(日) 00:06:40 ID:rnNa3D3C

『メガトロン』。
『ジェイコブ・トンプソン』の手記にも記されていたその響きに、4人は凍り付く。

『ディセプティコンズ』首領。
コードネーム『アイスマン』。
嘗て『地球』へと堕ち、原生生物によって解析されし鋼鉄の巨人。

そしてタバサが、ある事に気付いた。

「『火竜の息吹』……」
「何だ?」

その呟きを聴き留めた才人が、訝しげに訊き返す。

「あのランチャーがどうしたって?」
「オールド・オスマンの命の恩人。確か、アメリカの軍人。彼も『アイスマン』と言っていた筈」

デルフが頷き、更に言葉を付け加える。

「こうも言っていたな。『ラプターの編隊に敵が紛れ込んでいる』、と」

今度こそ、全員が口を噤む。
膨らむ疑念。
それはスタースクリームに対してのものであり、『メガトロン』に対するものであり、それらを記憶するデルフに対するものでもあった。
そしてルイズは躊躇う事無く、その疑問を口にする。

「デルフ、アンタは何者なの?」
「……」

答えは無い。
それに構わず、ルイズは更に続ける。

「『虚無』の事といい、その『メガトロン』の事といい。ただ自立行動が可能になっただけのインテリジェンスソードには在り得ない知識を持ってる。でも、ブラックアウトは、この世界に関する事を殆ど知らない。
アンタは、初めからその知識を持っていた事になる」

そうして、ルイズは研ぎ澄まされた視線をデルフへと向ける。
その目は、一切の偽りを許さないと雄弁に語っていた。

「答えなさい、『デルフリンガー』」

誰もが息を呑み、デルフの答えを待つ。
四肢持つインテリジェンスソードは沈黙を保っていたが、やがて無造作に音声を発した。



「『神の左手』『ガンダールヴ』。勇猛果敢な『神の盾』。左に握った大剣と、右に掴んだ長槍で、導きし我を守りきる」



唐突に発せられた、歌詞の一節。
テファが語った、『始祖のオルゴール』から聴こえてきたと言う歌、その一部だった。
やがて、4人はその意味を悟ったのか、心底からの驚愕に目を瞠る。
その様を愉快そうに眺め、デルフは芝居掛かった動作で一礼。
そしてこれまた愉快そうに、笑いすら含んだ音声を発する。






124 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 00:06:41 ID:+XqwsWBo
キター!
支援!!

125 :ディセプティコン・ゼロ:2007/12/02(日) 00:08:00 ID:rnNa3D3C

「申し遅れました。『ガンダールヴの左腕』、『先住魔法』と『科学』の融合によって生まれし至高の一振り、『デルフリンガー』と申します。以後、お見知りおきを」





唖然とする4人の目前、メカノイドは片側3つの視覚装置から光を消し、すぐさま再点灯する。
それが彼なりのウィンクだと4人が理解した所で、更に砕けた言葉が続いた。



「……ってなトコかな?」





「船の音声識別機能と言語基体を弄っておいた。オメーら7人なら誰の声にでも反応する。命令内容の差分は、ある程度ならAIが処理するから心配すんな。これだけ覚えとけよ。さあ行け」

その言葉を聞きつつ疲れた様に船外へと向かう3人を見送り、デルフは傍らに立つルイズへと語り掛ける。

「済まなかったな、ルイズ。もっと早く言っておくべきだった」

その言葉にルイズは肩を竦め、溜息を吐く。
悪戯を咎められた子供の、反省の言葉に苦笑いを零す母親の様に。

「でも、ちゃんと言ってくれたしね。私だけが最初じゃないってのは、ちょっと面白くないけど」

そしてルイズは、小さな出入り口から覗く外部の光景―――――離れ行く才人とテファ、『サイレント』保持の為に待機するタバサの背、村の外れでスタースクリームと偽りの談笑をするキュルケとギーシュ、シエスタとジャズの姿を見遣る。

「ねえ、デルフ」
「あん?」

そして、其方へと視線を向けたまま、今度はルイズから語り掛ける。

「何時か―――――話すべき時が来たら……『話しても良い』って思えたら―――――聞かせて頂戴。6000年前に、何が在ったのか」

軽く息を吸い、続ける。

「私が……私達が、それに相応しい力を持ったなら。『メガトロン』なんか敵じゃないって思える様になったら、ね」

その言葉に、デルフの思考が一瞬、ほんの一瞬だが停止した。
数秒後、彼は無言で変形、その場へと転がる。




126 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 00:08:54 ID:4cc2Reo9
支援砲撃

127 :ディセプティコン・ゼロ:2007/12/02(日) 00:09:20 ID:rnNa3D3C

―――――気付かれていた。
自身にとって、6000年前の事件を思い出す事が苦痛である事に。
『メガトロン』の名を口に出す程度の事でさえ、無限の恐怖を伴っている事に。
この少女は自身が思うより遥かに、此方の事を理解していた―――――



何時だったか、彼女を名前で呼び始めた事に気付かれた時の様な―――――否、それ以上の気恥ずかしさに襲われ、デルフは沈黙を保つ事以外の策を見出す事が出来なかった。
それを見る横の少女が可愛らしい忍び笑いを漏らしている事に気付きつつも、デルフはそれに抗議する言葉を持たない。

しかし、ただひとつ―――――



「ルイズ」



打って変わって真剣な声色に、ルイズは改めてデルフを見詰める。
彼女にとって最強の護衛であり、最高の導き手でもある存在は、仮初めの姿を保ったまま、不吉な警告を発した。





「相棒の前で『メガトロン』の名を口にするな。決して。決してだ」





夕日に照らされ、茜色に燃え上がるタルブの草原。
遠方より響く重々しいローター音と共に、『宝探し』は終わりを告げた。


128 :ディセプティコン・ゼロ:2007/12/02(日) 00:11:20 ID:rnNa3D3C
投下終了。

やっと此処まで来た……次回、タルブ着上陸戦開始です。

親戚の犬もやたら唸って絶対には入ろうとしなかったし、何か在るんだろうか、あの部屋。
今度からあっちにPC移すのに。

そして空戦描写の参考として、中古屋で安く売り捌かれていた雪風1〜5巻を纏め買い。
wktkしながらケースを開けて順に視聴開始。

1巻・・・シルフすげー! ジャムすげー! 反転迎撃すげー! 原作端折り方すげー!
2巻・・・メイヴカッコいいよメイヴ。レイフ可愛いよレイフ。
3巻・・・バンシーWキター! トム・・・泣ける・・・
4巻・・・イソロクカッコ良過ぎ。TYPE2強過ぎ。雪風ヤバ過ぎ。
5巻・・・最終話キター。BAX-4カッコ良いんだよねー。んでは、エンゲー……

つ『少女○命ウ○ナ アド○レ○ンス黙○録』

( ゚д゚)

( ゚д゚ )



まぁ……エンゲージはしてたよ……


129 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 00:12:55 ID:4cc2Reo9


まずお祓いか何かしてもらってからのほうが絶対いい
何かあってからじゃ遅いよ

130 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 00:15:57 ID:+vKTLiqG
ディセプの方GJ!
おおお、何と策謀渦巻く展開なんだ……
次回が楽しみなような怖いような

そしてこのデルフは姉妹スレ含めた中で
自分が勝手に選ぶ三大黄金デルフの内の一振り!

131 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 00:17:30 ID:2OqlDgKT
乙であります
キートン、投下していいですかー

132 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 00:18:37 ID:4cc2Reo9
今日も大いな支援

133 :ゼロのMASTER 7 1/5:2007/12/02(日) 00:18:59 ID:2OqlDgKT
「この酒杯なんかいいですね」
「おお、兄さん!いいものに目をつけるねえ。これは隣国ゲルマニアからのモンでな…」
キートンは古物商の主人と話していた。
主人もキートンとの話に夢中になっていたが、何かに気付いたのか、話を中断する。
「兄さん、連れのお嬢ちゃんはもう行っちまったみたいだぜ」
「え…?ああ、すみません。それじゃこれを売って下さい」
キートンは丸いものを店主に差し出す。薄い円盤状のものだった。
「そりゃティーポット置きかなんかですやね。穴が開いてて不恰好だから、誰も買い手がいなくてな。兄さんには5ドニエで売っとくよ」
「どうも、ありがとうございます」
店主に礼を言いながら去る。店主は通りを指差しながら話した。
「あの嬢ちゃんはほれ、向こうの通りを歩いていったみたいだぞ」

「おかしいなァ、あの人の話だとこのあたりのはずなんだが」
キートンはルイズを探していた。店主の話だと、確かに彼女はここにいたはずなのだが。
先に帰ってしまったのだろうか?ルイズの性格から見て、その可能性は低いかもしれない。
そう考えていると
「わっ!!」
「うわっ!?」
急に後ろから何者かが抱きつく。と、同時に背中に何かやわらかいものがくっついた。
あわてて後ろを振り向くと
「久しぶりねー、かっこいい使い魔さん」
キュルケだった。隣には以前の授業で見た青髪の少女が立ちながら黙々と本を読んでいる。
この雑多な中でも意に介さずと言ったところだろうか。
ついでにキートンのことまで無視しているようだが。
「あ、ああ。キュルケ君だったね。そっちの子は…」
「タバサ」
少女は本を見ながら答える。そんな中でもキュルケはキートンの腕に飛びつき、どこかに連れて行こうとした。
「お、おいおい。キュルケ君」
「知ってるわよ。あなた、ルイズと買い物に来たんでしょ?あーんな子と一緒にいたって楽しくないでしょうし、ね!あたしと一緒に…」
そう言うと、ますます引っ張ろうとする。そんな中、キートンは一つのものに気付いた。
路地裏の前に何かが落ちている。引っ張られていく途中でそれを拾い上げ、よく見てみる。
これは…。
「あら、それルイズの靴じゃない」
キュルケは不思議そうにキートンの手にある靴を見ている。
たしかに、これはルイズの靴だ。しかし、それがなぜこんなところにあるのか。
しかも、片方だけ。
キートンは路地裏の方を見やる。薄暗く、細い路地が続いていた。


134 :ゼロのMASTER 7 2/5:2007/12/02(日) 00:20:07 ID:2OqlDgKT
「キュルケ君、すまないがちょっと失礼」
あっという間にキュルケを振り払い、キートンは路地裏へと走っていった。
キュルケは一瞬、呆然としていたが、すぐに気を取り直す。
タバサはいつしか本から目を離し、走り去るキートンを見ていた。
「タバサ、追いかけるわよ」
タバサは無言で頷くと、キュルケの後に続く。
キュルケは運動には自信があったが、走るキートンの素早さに内心驚いていた。
ギーシュと相対したときもそうだったが、やっぱりあの人は何かが違う。
なんとしても、あたしに振り向かせなくちゃ!ゼロのルイズなんかには勿体無い人だわ!

と、急にキートンが立ち止まった。物陰から何かを伺っているようだ。キュルケが何事かと思い、話しかける。
「ねえ」
「静かに」
緊迫に満ちたキートンの声に気圧されて、黙る。
そして、同じようにそうっと物陰から除いてみると…。
ルイズがいた。猿ぐつわと目隠しをされ、縛られている。ルイズは浚われたのだ。
「三人だな。右の男はメイジ、真ん中の小柄な男は何も持っていないようだが、左の奴はナイフを持っている」
「何故わかるの?」
キュルケが驚いたように言う。メイジは判別しやすいかもしれないが、相手がナイフを持っていることまでわかるなんて。
「昔、軍隊にいたことがあってね」
キートンはそう言うと、キュルケ達の方へと振り向いた。
「君達は商店街の方に戻って、警…兵隊なり連れて来てくれ。私はルイズを助けに行く」
「ちょっと、一人で助けにいくなんて…」
「無謀」
キュルケとタバサ、二人がほぼ同時に答える。
だが、キートンは落ち着いて返した。
「多人数でかかれば、連中はルイズを人質に取る恐れがある。そうなったらルイズの身が危ない。なに、大丈夫だよ。こういったことには慣れててね」
にこやかに言うと、二人を商店街の方へと向けさせる。
キュルケは根負けしたのか、仕方なさそうに言う。
「…わかったわよ。だけど、無茶しないでよね。貴方とヴァリエールに何かあったら話にならないんだから」
「大丈夫、無理はしないよ」
キートンの言葉を確認すると、二人は商店街の方へと駆け出す。

二人が行ったのを確認すると、キートンは行動に移り始めた。


135 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 00:21:09 ID:0envQJ+z
きくまでも なかろうよ!

136 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 00:21:17 ID:K0mx4rLa
GJー
まぁ俺もウテナが執筆中のBGMなのは秘密な

137 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 00:21:17 ID:koS1r5OQ
しえん

138 :ゼロのMASTER 7 3/5:2007/12/02(日) 00:21:23 ID:2OqlDgKT
「チッ、格好の割りに金目のモンを全然持ってねえなぁ。旦那ァ、このチビどうするんですか?」
薄暗い路地裏の奥、いかにも人相の悪い三人がひそひそと話し合っている。
一番背の低い男が多少身なりの良い男に話しかけた。
身なりの良い男は鼻をふん、と鳴らすと
「なら、奴隷商人にでも売り飛ばすだけだ。いや、ガキのくせに、けっこう上玉だからな。その手の趣味が好みの奴に渡してもいいかもな」
「さっさとした方がいいですぜ。ここ最近は衛士どもの目が光ってますし、見つかったらヤバイ」
痩身の男が言う。身なりの良い男は少々いらついたのか、声を荒げて騒ぎ始めた。
「貴様達に言われるまでもないわ!だが、その前に"下見"をする必要があるからな。お前らは向こうの通りを見張ってろ!」
二人はへいへいと言うと、薄暗い通りに向かって歩いていった。

「ったく、ちょっと魔法が使えるからって威張りくさりやがってよ」
「そう言うな。あいつに付いていきゃ、美味い汁が吸えるんだからな」
子分の二人は文句を言いながら見張っていた。別に心から奴――あのメイジに服従している訳ではない。
だが、この稼業はそれなりに儲けが良い。だから付いていっている、それだけのことだった。
「わりぃ、ちょっと小便してくるわ」
小男が言う。長身の男が早くしてこいよと言うと、手を振りながら路地裏の陰に入っていった。

「遅ぇな…。あの馬鹿、何をしてんだ」
長身の男はそう言うと、仲間が消えていった物陰に入った。
いない――何処に行ったのだろうか?あまり遠くまで行ってはいないはずなのだが。
「ぐは!?」
突如、目の前に飛んできた何かが額にぶつかる。男は悲鳴を上げるとそのまま失神してしまった。
男と共に石がころころと転がる。そして、薄暗い路地から出てくる影が一人。
「あちゃー…。スプーン、壊れちゃったな。マルトーさんにばれないように返しとかないと」
キートンだった。隣にはもう一人、失神している小男が倒れている。
代わりのものをさがさないと―――ふと、一つのものが目に止まる。
キートンは細い木の棒を拾うと、慎重に二人が歩いてきた方向へと向かった。

「んむーっ!!んむうう!」
ルイズが騒ぐ。怒りと恐怖が入り混じった表情でメイジを睨んでいた。
猿轡と両腕、両足まで縛られているため、逃げようにも逃げ出せない。これから自分はどうなるのだろうか?
そして、そんなルイズを下卑た表情で見ているメイジ。
「そう暴れんなよ。これから、楽しい所に連れて行ってやるんだからな。ヒッヒッ…ぐわっ!?」
ルイズの顔に触れようと近づいた瞬間、ルイズが縛られた両足で器用にも男の股間を蹴飛ばした。
してやったりの表情のルイズ。男は少しの間、悶えていたが、すぐに回復すると
「このガキィィ!」
ルイズを思い切り張り倒す。力が強すぎたのか、ルイズはそのまま気絶してしまった。


139 :ゼロのMASTER 7 4/5:2007/12/02(日) 00:22:24 ID:2OqlDgKT
「おおっと、いけねえいけねえ。大切な商品に傷を付けたらマズイからな。それにしても、お前を見ていると、今まで会ってきた娘どもを思い出すぜ」
男はまたひっひっと笑うと、ルイズに近づく。
「お前を売り渡せば、結構な金が入るだろうからなあ」
「そんなに欲しかったら、代わりにこれをあげるよ」
「ああ?」
声がした方を振り向く。その瞬間、何かに顔面を強打され、思わず顔を抑える。
「ぐわ!?」
すかさずキートンが接近し、メイジを蹴り飛ばす。メイジは頭からゴミ箱に突っ込むと動かなくなった。
「ルイズ、大丈夫か?」
猿轡と縄を解き、ルイズを揺さぶる。意識が戻ったのか、うっすらと目を開けた。
キートンの姿を確認したルイズは思わず抱きつく。よほど怖かったのか、震えているようだ。
「もう大丈夫だ。じきに人も来る。キュルケ君達が呼びに行ってるからね」
「うん…」
キートンに抱きついていたルイズだったが、何を見たのか目を見開き、叫んだ。
「キートン!」
つられて振り向くと、先ほどのメイジも意識が戻ったのか、ゆっくりと立ち上がった。手には杖らしきものも持っている。怒りのあまり、顔を真っ赤にして二人を睨む。
「平民が…。やってくれるじゃねえか。こうなったら二人纏めて…」
「口元にゴミが付いてるよ」
「ああ!?」
メイジはキートンの一言に一瞬、気を取られる。その間を逃さず、メイジの顔に液体がかかった。
「ぐ、ぐわああ!?目が、目があああ!?」
手から杖を落とし、顔を抑える。よほど目に沁みるのか、悲鳴を上げ続けている。辺りにはなんともいえない香りが漂った。
これ、モンモランシーの――
ルイズが気付いた。何処でくすねていたのだろうか、キートンはモンモランシーの香水をメイジの顔面にぶつけたのである。これが目にまともに入ったのだから堪らない。
キートンは素早く近づくと、メイジの腕を掴む。次の瞬間、メイジの体が宙に舞ったかと思うと――
大きな音がした。ルイズが見たものは、地面にのびている男とキートンの姿だった。
「さすがはモンモランシー君のだな…。目潰しとしても一級品だ。SASでも採用されるかも」

「それ、どうしたの?」
キートンが拾ってきた丸いものを見て、ルイズが尋ねる。ティーポット置きのように見えるが。
「さっきの古物商で買ったんだよ。昔、似たようなものを見たことがあってね…。まさかと思ったんだが」
そう言うと、キートンは丸いものでコンコンと自分の頭を小突いた。
「穴があるだろう。木の棒を刺して、相手に向かって投擲する。これは、武器の一種だったんだ」
二人が話していると、向こうから何人かが走ってくる音が聴こえた。見ると、キュルケ、タバサを先頭に衛士達が走ってきた。
彼らが見たものは、気絶している三人の男、そしてルイズとキートンの姿だった。


140 :ゼロのMASTER 7 5/5:2007/12/02(日) 00:23:10 ID:2OqlDgKT
それからは大変だった。
三人の誘拐犯は悪名高い連中だったらしく、すぐさま衛士詰め所にしょっ引かれていった。
立派なヒゲをたくわえた衛士の隊長は、キートンに深くお礼を言うと去っていった。
なんでも、ルイズの両親にも報告をしておくらしい。それも当然だろうが。
「とりあえず、無時で良かったよ」
先頭を歩くルイズにキートンは話しかけた。ルイズはさっきから黙ったままだ。
やっぱり、ショックを受けるのは仕方ないか――そう考えていると、ルイズがいきなり振り向く。
「…助けてくれて、ありがと」
赤面しながら一言だけ言うと、また前を向いて歩き出した。てっきり怒鳴られるかと思っていたキートンは拍子抜けしながらも、微笑みながらルイズの肩をポンポンと叩く。
子ども扱いしないで、とルイズが怒ったが、それも気にせずに笑いながら、二人で歩いていった。
途中、追いかけてきたキュルケとタバサと合流し、駅まで向かう。
キュルケは相変わらず、ルイズを冷やかし、タバサは黙って本を読む。
キートンはにこやかに笑いながら、3人の喧騒を見ていた。

「あなたは何者なの?」
学院に戻り、個室に入るとルイズはキートンに尋ねてきた。
これまでに無く、真剣な顔だ。
「キュルケから聞いたわ。あなた、軍人だったの?」
キートンは椅子に座ると、静かに頷く。ルイズは少しいらついているのか、続けて尋ねる。
「なんで黙って…」
「言う必要も無いかなと思ってね」
苦笑しながらそう言うと、ルイズは頬を膨らませる。
「…わたしはあんたの主人なのよ。隠し事はダメ。こうなった以上、あんたのこと全部喋ってもらうわよ」
これは、逃げられないな…。キートンはまいった、というように頭を掻いた。

「僕が保険調査員の仕事をしていることは前に言ったね。生命保険ってわかるかい?」
ルイズは首を振る。まあ、仕方が無いか。
キートンは生命保険について事細やかに説明した。なんとなくだが、理解できたらしく、ルイズは興味深そうに聞いている。…と言っても、この世界に生命保険は無いだろうし、どこまでわかっているかな。
「他に質問は無いかい?」
「なんで軍隊に入ったの?」
ルイズが聞くと、キートンは寂しそうな表情をした。なにか、気に障ったのだろうか?内心そう思っていると
「僕に娘がいることは、前に話したね?」
ルイズが頷く。キートンは窓の方を見ると、静かに続ける。
「昔、妻と別れてね…」
「離婚したの?」
ルイズが心底驚いたように言う。
「あの頃の僕はいろいろあったからね…。自分の空想癖に嫌気がさして、軍隊に入ったんだよ」


141 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 00:23:15 ID:+XqwsWBo
ディセプティコンさんGJ!
劇場版では随一の戦闘能力を誇ったスタスク、深謀術数もお手の物か
この先彼がどう動くのか、そしてブラックアウトとの接触はどういった方向に行くのか…
次も楽しみにしてます


そして支援

142 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 00:23:56 ID:Y+NjR3GP
MASTER(達人)の本領発揮支援

143 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 00:24:13 ID:2OqlDgKT
以上です
支援ありがたやでやんす

んで、例のお喋りな剣はスルーです

144 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 00:25:50 ID:Y+NjR3GP
乙乙!

存在すら語られない賑やかな古剣涙目w

145 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 00:26:24 ID:gYIJU11n
>>128
安心しろ、うちの座敷にも江戸時代から居ついてる悪霊女がいて
そこで寝る奴の夢にちょくちょく出てきてたが、実際に死ぬとかはなかったから。
所詮、幽霊なんぞ居ても視認できる空気程度に過ぎんのだよ。

146 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 00:32:41 ID:0envQJ+z
>>128
子供のころ、ベッドで目を瞑る旅に幽霊っぽいのががこっちに迫ってきた。
それにむかって何かしら叫んでからもう出てこなくなった。不思議なものだ。

キートンGJ

147 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 00:36:26 ID:O11WWDyT
GJ!

>>146
今日は記すことさえはばかられるような夢が…
いや、金縛り状態+迫ってくる巨大な黒ッキーマウスというすげえ怖い夢だったんだが…

148 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 00:37:03 ID:BMu/cVT6
相変わらずディセプティコンの人は鳥肌モノのSSを書くなあ・・・自身が鳥肌モノの現象を目撃したから?w

キートンの人乙。
ルーンとか関係なしにやっぱりキートンはつおいなあ。

149 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 00:37:34 ID:qfLtj4dU
>>147
オマエ消されるな……
キートンの人GJ!それはクボタンって武器かね。

150 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 00:41:26 ID:8I/1JrHX
原作でも使ってたな、穴の開いた円盤

151 :聖石の人 ◆FIXARUtWLY :2007/12/02(日) 01:04:01 ID:Mlyk1GyX
あるところの話だ。
中古の一軒家を買い、数週間経った頃だ。
夜中、全員が寝ているはずなのに、階段を上る音が響いたんだ。
ちなみに、誰もトイレになどは行って居ないと。

それで、翌日の夜に母親が見張りに立ったとき、音の正体が判明した。
夢遊病の俺(当時9歳)が階段を行ったり来たりしていたそうだ。
幽霊の正体とはえてしてそういうものかなと思ったりした。
前置きはこれぐらいにして、投下よろしいか?

152 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 01:05:33 ID:el0MoTvf
支援

153 :聖石の人 ◆FIXARUtWLY :2007/12/02(日) 01:05:44 ID:Mlyk1GyX
すみません、sage忘れていました。
OKだったら15分前後に投下します。

154 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 01:05:48 ID:4cc2Reo9
>>151
よかったね、本物じゃなくて。
知らないうちが華ですよねー^^^^^

支援

155 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 01:15:25 ID:1/zg03MA
赤い竜に乗るルイズの姿を幻視した…

156 :ゼロと聖石23 ◆FIXARUtWLY :2007/12/02(日) 01:19:42 ID:Mlyk1GyX
十年単位で出していない雛人形と五月人形が呪われてそう、とか思いながら投下開始。

店が開いてからの魅惑の妖精亭は修羅場だ。
客にサービスしながらオーダーを取り、場合によっては自分で調理。
隙を見て皿洗いやその他雑用。
店を出るお客様のお会計にお見送り。

忙しい、ああ忙しい、忙しい。

今日も今日とてがんばって働いてます。
と言いたかった所だが―――

「この店の女だってのは分かってるんだ、出て来い!!」

外から響く、無粋な声。
ここはお酒を楽しむところであって、貴族が杖を抜く場所ではない。
ジェシカと目が合い、頷きを持って返す。

―――万が一の場合はお願い。
―――了解。





下準備は整ったので、ホールを抜けて店の前に出る。
目の前に居るのは昨日の貴族に、雇われの傭兵達。
その数、しめて十人。

………あー、人間できることと出来ないことの二種類あるんだよね。
数の差をひっくり返すのは難しい部類に入るわけだ。
一人でこの人数は無理、つーかリンチ?

剣を抜き、構える。
絶望的な戦いに身を投じようとしている。
でも、逃げ出すことは出来ない。
記憶のない私に対して、やさしくしてくれた。
食事や仕事もくれた。

そんな人たちに迷惑をかけるわけにはいかない。
自分の問題は、自分でケリをつける!

襲い掛かってくる剣士が剣を振りかぶった瞬間に二回切りつけて沈黙させる。
シエスタが教えてくれた、ハメドるという技術だ。
少なくとも、近接戦はこの技術で問題はない。
だが問題となるのは、近接戦をしてこないメイジや弓を持った奴等だ。

今はまだ避けられているが、いつか破綻が来る。
飛んできた矢を剣で叩き落す。
迫ってくる魔法をバックステップで避け、目の前の斧使いを切り捨てる。
肩に矢がかすめ、一瞬バランスを崩しながらも剣士の剣を受け止める。
そして、剣士を巻き込むように襲い掛かるフレイムボール。
剣士を盾にしのぐが、襲い掛かる熱波に一瞬目を閉じる。
同時に足から鋭い痛み。弓使いが放った矢が刺さっていた。

157 :ゼロと聖石23 ◆FIXARUtWLY :2007/12/02(日) 01:21:51 ID:Mlyk1GyX
襲い掛かる火球に対して、剣で受け止めるような形で直撃。
全身が熱と火に包まれ、地面を転がるようにして鎮火する。
転がっているうちに傭兵の一人が私を蹴り飛ばす。
そしてそれに追従するかのごとく全員が私を蹴り飛ばした。
既に、全身が痛みに支配され、意識が闇に落ちそうになる。

「さて、この娘は後回しにして―――店を破壊したまえ」

その言葉に、精神が目覚める。
そうだ、コイツは言っていたじゃないか。
『親族縁者もろとも台無しにしてくれる』と。
コイツから見て、ここが私の家だと認識したらしい。

「させるもんですか―――!」

剣を杖に立ち上がる。
口の中に溜まった血を吐き出し、立ち上がる。

―――空の下なる我が手に、祝福の風の恵みあらん。

心の内側からわきあがる言葉。
それを呟き、敵を見据える。

「ケアルガ!」

瞬間、緑色の風が周囲を逆巻いて包む。
火傷が、蹴られてボロボロになった身体が癒されてゆく。
完全に思い出せないが、私が魔法を使えたことを思い出す。

「ゴーレム!」

人には聞き取れないほどの詠唱を紡ぐ。
瞬間、地面から這い出る三メイルほどのゴーレム。
私を守護するように立ち上がる。

メイジや剣士がゴーレムを壊そうと必死に戦っている。
その防壁が崩れる前に、次の詠唱を終了させる。

「天と地の精霊達の怒りの全てを今そこに刻め! サンダジャ!」

ゴーレムが崩された瞬間に降り注ぐ膨大な雷。
傭兵もろとも貴族まで吹き飛ばす。
―――ついでにお店の一部も。

…ヤバイ。
あまりにも派手な魔法使ってしまった。
メイジでもこんな規模の魔法なんてお目にかかれないって。

「ごめん、私逃げるわ。ほとぼりが冷めたら戻ってくるわ!!」

窓から外の様子を覗いていたジェシカに宣言をし、私はテレポで逃げ出した。
後に残ったのは、雷で黒焦げになった傭兵集団だった。

158 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 01:23:24 ID:cVymTQdu
ちょw


159 :ゼロと聖石23 ◆FIXARUtWLY :2007/12/02(日) 01:23:57 ID:Mlyk1GyX
―――行っちゃったか。

集団リンチされていた時はヒヤヒヤしたが、何とかなった。
店の一部を雷で破壊しながらも。

絶対、後で弁償させてやろう。
そう思いつつ、私は裏口から外に出て、屋根までジャンプ。
目を凝らしてあたりを見渡すと、目的の人物をあっさりと発見する。

フライの魔法で飛びながら逃げる貴族。
先ほどまでルイズと戦っていたヤツだ。
それを見据え、私は駆け出す。
フライよりも速い、全力を持って。

「クソ、クソ、クソ!! あの女、絶対に殺してやる!! 貴族に逆らったことを後悔させてやる!」
「残念ね。貴方ごときでは絶対に無理よ」

声をかけた瞬間にはもう既に至近距離。
絶対に外さず、逃れることの出来ない必殺の間合い。

「熱いベーゼは私の性に合わないから、苦しませないで殺してあげる」

瞬間的に相手の身体を殴る。
身体を吹き飛ばすほどのものでもない、ただちょっと押す程度の力。
それが仕手という技術の一つ、息根止。

「ガッ―――!! グェアアア!!」

たったそれだけの行動で、貴族だった物体は地に落ち行く。

「悪いわね、私もまともな人間をやっていないの」

屋根に立ち、空を眺めながら、私はルイズのことを思った。
無論、店の修理費の計算をしながら。






テレポでシルキスの小屋まで行き、シルキスに跨る。

「さ、行きましょうか。目指すはラクドリアン湖よ」

シルキスが景気良く鳴き、ゆっくりと歩き出す。
ミメットがその後ろに付き、歩を進める。
二匹の足並みは徐々に早くなっていき、草原を駆け抜けていった。

一人と二匹が目指すのはラクドリアン湖。
シエスタの待つ、誓約の水精霊の住処へ。
月の光に、一瞬だけ聖石がきらめきを放った。

160 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 01:25:01 ID:nzaGjab1
聖石の人が幽霊でないという保証はない
支援

161 :ゼロと聖石23 ◆FIXARUtWLY :2007/12/02(日) 01:27:20 ID:Mlyk1GyX
以上で投下終了です。
ジェシカのジョブは皆大好き、アサシンでした。
…状況によってはシエスタですら負けるぞ。
それでは、ありがとうございましたー!

162 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 01:27:38 ID:4cc2Reo9
>>160
そっちかいw

支援

163 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 03:12:15 ID:WdsGzURR
聖石死ね

164 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 03:16:46 ID:3MaFCRdX
聖石ゐ`

165 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 04:24:24 ID:OOWN1NA+
せめてルイズが接近戦覚える所を少しは書いてほしかった。どうしてもいきなり感が強すぎる

166 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 06:53:59 ID:cDKw+/5d
聖石殿 GJ 一部の愚物の戯言は流すが吉

167 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 06:57:17 ID:bwGOY4G3
>>166
GJと言うだけなら誰でもできるんだぜ

168 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 08:02:57 ID:3YTHC5Dq
>>167
イイじゃねぇか。つまらないないならスルーするなりNGするなりすればよ。
俺は普通にスルーしてるぞ、聖石。
雑談が死ぬ程ウザいけど。

169 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 08:42:32 ID:VAuI+i2L
聖石さんの作品は良いな
GJだ

170 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 08:55:12 ID:KTMgH6oR
つーか聖石さん避難所行ってくれないか?
キャラ名使っただけの違うお話じゃねえか。

171 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 09:12:51 ID:JFiSzR+J
>>170
>>1をよく見ろ
別に18禁でも何でもないだろうが

172 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 09:39:09 ID:qfLtj4dU
まあとりあえず投下が終わったSSで
いやな話題続けなくてもいいじゃないか。落ち着こう。

173 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 10:01:25 ID:Dc0Aa/EZ
話を戻そうか
幽霊と言ったらタバサが苦手らしいが
大人気ないコンボの葛葉キョウジみたいなのはどうなんだろう?

174 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 10:10:05 ID:aDfeB09x
ちょっと、セリアの台詞が入っている事にはツッコミ無しかいw
ジェシカ、アサシンだったんかいwwww

乙!

175 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 10:10:58 ID:en7M4Ol2
あえてGS美神のキヌ召喚と言うのも良いかも。
タバサを母親のように見守ってくれるけど、でも幽霊とか。

あと、マール王国の人形姫からクルル人形召喚。題して「ガリア王国の人形姫」とか。
長々と上手くやっていたけど、幽霊が憑依していたという正体がわかって、タバサ気絶とか。

176 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 10:18:18 ID:Dc0Aa/EZ
幽霊というだけで完璧にアウトなのか使い魔としてならアリなのか
どっちみちタバサがチビるのが楽しみなんですがね!
タバサがキョウジ呼んでも一応キョウジはネクロマだかサバトマ使えるから移動手段はなんとかなるな
キョウジ本人はウェールズの死体を使って活動することになるかな?

177 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 10:30:28 ID:68jdnvXQ
オバQだとどうだろう?
とりあえず大食い対決か。

178 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 10:31:30 ID:oAqEq9Bq
緑色のカエル軍人の小隊を召喚したらどうなるかヒジョーにきになる

179 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 10:32:59 ID:jLjolaXi
この馬鹿ガエル〜!
あれ・・・?

180 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 10:33:27 ID:gYIJU11n
>>178
ほのぼの展開とやる気になって勝手に自爆しか思いつかない。

181 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 10:35:28 ID:Embw/fVF
カエルは属性的に水っぽいからモンモンかアンアンになりそうな

182 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 10:37:36 ID:jLjolaXi
そもそもモンモンの使い魔がカエルでキャラが被る

183 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 10:37:37 ID:oAqEq9Bq
ケロケロケロケロケロタマタマタマタマタマギロギロギロギロギロクルクルクルクルクルドロドロドロドロドロゼロゼロゼロゼロゼロ共鳴×6

184 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 10:41:15 ID:68jdnvXQ
ゼロロか。

185 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 10:46:16 ID:oAqEq9Bq
>>184
いやルイズ=ゼロだからもし共鳴させるとしたらこれぐらいかと

186 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 10:48:44 ID:vHRHPH2Z
ここでシャナが召喚されました

187 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 10:51:20 ID:Q+lm4Bnc
いっその事釘宮キャラ総動員というのはどうだ?












考えてみたら凄くカオスだったorz

188 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 10:51:53 ID:1eTv8GSq
うたわれよりカミュが召喚されました

189 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 10:52:23 ID:cpyGFbDW
タバサがダメなのは幽霊限定だっけ?ゾンビとかスケルトンの類は平気か?

190 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 10:52:31 ID:aDfeB09x
エロパロの姉妹スレで似たようなSSがあったような…

191 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 10:58:11 ID:75yYbwdB
>>189
恐らくそういう系のものならいいんじゃね?
普通に見える者なら戦えるとか…

幽霊ならサイレントヒル4のゴーストが一番よくね?

無敵だけど使えるかどうかは別

192 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 10:59:12 ID:qfLtj4dU
>>190
ちなみにエロパロは姉妹スレではないぞw

幽霊か。タバサがお○○しする姿しか浮かばねえwww

193 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 10:59:27 ID:1eTv8GSq
ネタで言ってみたが
カミュって
・まじで翼人
・王族
・複数属性の法術持ち

ルイズに召喚させるキャラじゃなあ気がした

194 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 11:00:08 ID:koS1r5OQ
なんというタバ茶

195 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 11:18:37 ID:gYIJU11n
>>193
つか、召喚したら速攻で避難所送り確定のキャラじゃないか。

196 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 11:23:40 ID:1eTv8GSq
Wくぎゅでゆりゆりはヤバいか

197 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 11:29:35 ID:I6BnYcp7
>>195
kwsk

198 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 11:37:56 ID:en7M4Ol2
>>192
タバサが〜する
ってのは奇妙なルイズでなかったか?姉妹スレの

199 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 11:39:41 ID:l5T+nlru
>197
・元々18禁ゲームのキャラ
・寝ぼけて吸血行為に走る
・エスカレートすると精○も搾り取る

200 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 11:40:59 ID:2/52svW8
奇妙なルイズではたしか
ルイズ、タバサ、キュルケの洗濯物が増えてしまったような………

201 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 11:42:17 ID:1eTv8GSq
>>199
追加
・声がついたのはPS2版からだが、15禁にもかかわらず18禁のPC版よりエロかった…


血を吸われるルイズも見てみたいけどな

202 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 12:01:04 ID:g/uM8uZn
>>187
雅と一緒に音速丸が召喚されました

203 :モンモンランシーがある日、使い魔蛙のロビンの上に転んでしまう:2007/12/02(日) 12:17:29 ID:w/ISE+MG

水メイジのモンモランシーは、ある日使い魔カエルのロビンの上にすってんころりん!
しかしド根性使い魔のロビンはどっこい生きてるブラウスの中、
その日から、ド根性メイジモンモンの学園生活が始まった
メイジ大将のゴリラルイズや教師生活25年のコルベール教頭も登場

204 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 12:20:37 ID:mXIlJUMb
ゲームみんな買った?
ルイズとシエスタが可愛いなんてもんじゃねーw

205 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 12:23:26 ID:Y+NjR3GP
>>201
やばくね?主に性的な意味で

206 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 12:26:01 ID:gYIJU11n
>>205
やばいよ、超巨乳の13歳だし。

207 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 12:33:05 ID:3MaFCRdX
>>206
18歳以上です

208 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 12:55:59 ID:SB8LqDpm
くぎゅならハガレンのアルは?
かなり使い出あると思うけど

209 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 12:59:44 ID:qfLtj4dU
ハガレンは専用のスレあるからそっちで。

210 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 13:01:08 ID:EgzK71uS
釘宮キャラと聞いて、ちょこッとSisterの華山田ゆりかを真っ先に思いつくのは俺だけに違いない
召喚したらルイズと一緒にねこにゃんダンスだw

211 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 13:04:23 ID:jLjolaXi
しかしいい加減ハガレンスレもここと合併すれば良いのに・・・

212 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 13:32:32 ID:Foi8+bFH
>>187
泰麒召喚。泰麒とルイズの周りで殺人事件続発。

213 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 13:39:27 ID:m5/7YjG+
ゾンビなら源平討魔伝の平景清を思い出す。
でも地獄から黄泉帰った亡者だけど一応人の姿してるし。
顔を見ただけで卒倒しそうだけど。

214 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 13:40:12 ID:O11WWDyT
合併は止めてくれ頼むから

釘宮か…
ナギ→市場の仕組みが違ければただのニート
シャナ→討滅する相手は?戦闘バランスブレイカー
アル→こっちくんな
神楽→酢昆布がなかったりカオス分がついてこれるか
新庄君→変態キャラに突っ込みを入れないとあまり存在意義が
ティオ→激しく使い魔っぽい
サバトちゃん→使い魔クビで路上生活
エーデルワイス(コスモス荘)→強力ゴーレム使い
うん、カオスだ

215 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 13:47:05 ID:SSQfdoUG
釘宮と言えばブリギッタ

216 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 13:49:03 ID:1Cn0or8y
りぜるまいん
爆発コンビ化してギャグにしかなんねえ

217 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 13:53:22 ID:Y+NjR3GP
新庄君とセットで佐山様も呼べば……
あの独特の川上節を再現できる猛者がいるかどうかが問題だな。

218 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 13:56:05 ID:Foi8+bFH
よく考えたら泰麒召喚ネタは時期によっては中の人違うんだった。
神楽は日光が嫌いなせいで吸血鬼疑惑がかかりそうだな。


ブリーチのネムとかどう?
ネムのグロめの提案にツッコミを入れる眼鏡っ娘二刀流使いシエスタと、
褐色の肌は祖父譲りのキュルケ。

219 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 13:57:03 ID:jLjolaXi
釘キャラ召喚専用のスレって無いよな?

220 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 14:00:41 ID:08aFTmfj
鎧アルならなんとかいけそうな気がしなくは無いけど
ゴーレムとして扱われるかな?
まぁ、兄さん兄さん言ってってお話にならないだろうけど

221 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 14:06:00 ID:I2Z6O5zo
ところでゼロトラ(ゼロのトランスフォーマー)の作者に質問ですが、スタスクが召還されたのはガルバトロンによって殺されて召還されたのでしょうか?
あとスタスクは実写版のスタスクですね?

222 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 14:21:51 ID:I6TVWP6z
伊織が召喚されてルイズとデュオとしてデビュー、ハルケギニアに釘宮病発症者が多数出現して世界は平和に!!
ならんな

223 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 14:26:24 ID:jziOgb1M
なんで釘宮でルイズが出てこないんだって思って、数秒後に自分のアホさ加減に気付いた
才人召喚後、才人すきすきを自覚したルイズをそれ以前のルイズが召喚てな、誰か書いてたっけか?

224 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 14:28:21 ID:jLjolaXi
書き分け不可能でわけ分からんだろうなw

225 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 14:30:44 ID:43fbhmGe
>>221

作者では無いが、何故の質問?





226 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 14:41:39 ID:I2Z6O5zo
>>225
いや、気になるんですよ。スタスクがどう召還された理由はガルバトロンに射殺された後に召還されたのかってね・・・

227 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 14:47:40 ID:O11WWDyT
>>223
おまwwwステキすぎるwww

228 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 15:08:45 ID:jziOgb1M
召喚したルイズの傍若無人な様を見てへこむ召喚されたルイズとか、才人居なくて泣き出す召喚されたルイズを見て殺意が沸く召喚したルイズとか
オチが弱そうだからSSにゃ向かないかもしれんが、お互いを罵りあうバカバカラッシュの競演には心惹かれる何かを感じるぜ

229 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 15:12:59 ID:43fbhmGe
>>226

まぁその辺は作者次第やね。そうゆう226はどう考えてる?

230 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 15:15:49 ID:Y+NjR3GP
>>228
まさに一発ネタ。

231 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 15:16:28 ID:I2Z6O5zo
>>229
自分は、ガルバトロンに殺されてそれがきっかけで召還されたと考えています

232 :薔薇乙女も使い魔W−2:2007/12/02(日) 15:20:42 ID:8+wqwl/t
今回は、ゆるぅ〜いお話なので、意外と早く仕上がりました

予約無ければ、投下よろしいですか?

233 :名無しさん@お腹いっぱい:2007/12/02(日) 15:22:29 ID:UCTW9h0h
支援するぜぇ。

234 :薔薇乙女も使い魔W−2:2007/12/02(日) 15:23:41 ID:8+wqwl/t
第四部
          第二話   休暇の終わり、戦の前


 トリステイン王宮会議室。
 既に正午だが、誰も昼食だと言って席を立とうとはしない。
 居並ぶ大臣・将軍・高級官僚達の前に、次々と情報が送られてくる。
 様々ある情報だが、そのなかに一つの共通する要素があった。

「アルブレヒト三世、正式に婚約破棄を通告してきました。同盟の件も、白紙と…」
「レコン・キスタ軍総司令官オリヴァー・クロムウェル、非公式ながら神聖アルビオン共
和国樹立を宣言。正式な宣言と初代皇帝への即位式は、一週間後の予定です」
「アルビオンより本日正午、つまり現時刻をもって宣戦布告すると、書簡が送られてきま
した。同時に、ウェールズ皇太子の身柄返還要求も」
「ガリアは沈黙。あらゆる要請、質問書を黙殺しています」
「ロマリアより、今回の件について遺憾の意を表す、とのことです。それだけです。援軍
はおろか、講和会議設置の件についてすら、何も」

 それは、トリステインが孤立無援だという要素。

 トリステイン王国太后マリアンヌ、マザリーニ枢機卿、ド・ポワチエ大将、財務卿デム
リ、高等法院長リッシュモン、ド・グラモン元帥、魔法衛士マンティコア隊ド・ゼッサー
ル隊長、トリステイン艦隊司令長官ラ・ラメー伯爵、モット伯爵、etc...
 会議室に並ぶ面々は、皆この国を動かす重鎮達。だが、彼等の顔に余裕はない。沈痛な
面持ちで、国内各所からの報告に目を通していた。

  城下では、既に避難する民が街道を埋め尽くし…
  周辺国は国境を封…流民化すれば治安が…
  物価は早くも上…長期化すれば、経済への影響は…
  ラ・ロシェー…敵艦隊についての情報はまだ…国境での監視をさらに強…
  …ビオンからの亡命…続々と城へ…

 重鎮達の叫びに、部下も走り回り、大声で報告し、伝令に飛び出していく。
 ラ・ラメー伯爵が叫ぶ。
「艦隊は!我が艦隊は動けるのか!?」
「現在、トリステイン艦隊は弾薬、風石、糧食の積み込みを急がせています。ですが、全
艦艇を完璧に稼働するには、練兵が足りません。どうしても今しばらく時間が…」
「どうせ国内での戦いになる、糧食は後にしろ!足りなきゃ現地徴収だ!!練兵を急がせ
よ!」
 ド・ポワチエ大将の怒号も飛ぶ。
「王軍だけでは足らんぞ!!諸侯はどうしている!?」
「諸侯への招集のふれは送りました。現在、ラ・ヴァリエール公爵初め、続々と参戦の返
答が届いております」
「ふっ!当然だ。諸侯に伝えろ。『この一戦に杖を並べぬ者は、レコン・キスタに与する
逆賊とみなす』とな!」
 ド・ゼッサール隊長が首を傾げる。
「たしか、ヴァリエール公爵は軍務を退かれたはずだが」
「『王国存亡の危機に、老骨を鞭打ち一命を賭して参戦つかまつる』との事です。なお、
我が妻も戦列に並ぶ、と」
「おお!?カリーヌ隊長が!」
ヴァリエール伯爵夫人――先代マンティコア隊隊長。通称「烈風カリン」として恐れら
れた、風のスクウェア。



235 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 15:24:37 ID:aDfeB09x
支援開始

236 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 15:25:38 ID:aDfeB09x
支援

237 :薔薇乙女も使い魔W−2:2007/12/02(日) 15:26:59 ID:8+wqwl/t
 マザリーニ枢機卿が、重々しく口を開く。
「アルビオンの最新の戦力を」
 下級士官が靴を鳴らして進み出て、報告書を広げる。
「アルビオン艦隊は、旗艦『ロイヤル・ソヴリン』…失礼、現在は『レキシントン』号旗
下、戦列艦18隻。兵数5万。竜騎兵は、総数は未確認ながら、少なくとも100騎以上
が確認されております!」
「100…竜騎兵だけで、か。天下無双だけある。戦列艦も内戦を経たというのに、未だ
我が方の9隻に対し、倍だ」
「ですが現在、アルビオン艦隊は首都ロンディニウム郊外、ロサイスの空軍工廠にて補給
中との事であります!また、一般兵士には三日間の休暇が与えられています!」
「ふむ…では、それが済めば、こちらへ来るというワケか。恐らくは、即位式典に合わせ
て出撃だろうな。ラ・ラメー伯爵、全艦艇を急ぎ飛ばせ。なんとしても一週間後に間に合
わせよ」
「はっ!陣頭指揮に参りますっ!」
 伯爵は会議室を飛び出していった。

 大后マリアンヌが静かに、だが威厳ある声を上げる。
「アンリエッタとウェールズ皇太子は、いずこに?」

 この一言に、会議室は一瞬で静まりかえった。
 臣下達にとり、今アンリエッタの名を口にする事は、はばかられる。『アンリエッタ姫
のせいでゲルマニアとの同盟は為し得ず、開戦の口実も与えてしまった』など、王家への
忠誠を誓ったはずの彼等には、少なくともこの場では言えなかった。

「モット伯爵」
 マリアンヌは、王宮の勅使として学院と連絡を取る伯爵に目を向けた。
 一瞬息を止めた伯爵は、一筋の汗を流しながら部下を呼んだ。
「おほんっ!…今朝、部下より報告を受けた所によりますと、姫殿下も皇太子も学院にて
ご無事との事です」
「よろしい、すぐに迎えを送りなさい。それと、今回の件について詳細な報告を」
「ははっ」

 モット伯とその部下は、学院での調査報告を読み上げた。

『 三年前、ラグドリアン湖での園遊会で、アンリエッタはウェールズに恋文を送った。
  その恋文は、始祖ブリミルの名において永遠の愛を誓う文面が含まれていた。
  ゲルマニアとの婚約成立のため、ヴァリエール家三女ルイズへ回収を依頼。
  グリフォン隊隊長ワルド子爵、及び学生三名を加え、アルビオンへ潜入。
  手紙は回収成功、ウェールズと共に学院へ帰還。
  本日明朝、王子と姫は面会。再会を喜び合い、抱擁と共に永遠の愛を誓い合う。
  同時刻、ゲルマニア高官の使い魔を連れたアルビオンの傭兵が、フリゲート艦にて学
 院を襲撃。使い魔を通じゲルマニアへ王子と王女の姿を送る。
  回収班及びオスマンがこれを迎撃。フリゲート艦を撃沈、隊長を除き全て討ち取る。
  傭兵隊長らしき人物は、外見の特徴から『白炎』のメンヌヴィル。現在逃走中。
  その後、ワルドは行方不明。

  事情聴取対象者
   トリステイン魔法学院学長   オールド・オスマン
   同学院生徒   ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール
   同生徒 及び回収班員    ギーシュ・ド・グラモン
   同上 キュルケ・アウグスタ・フレデリカ・フォン・アンハルツ・ツェルプストー
同上               タバサ
    以上  敬称略』


238 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 15:27:14 ID:aDfeB09x
支援

239 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 15:27:53 ID:0envQJ+z
支援

240 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 15:28:18 ID:aDfeB09x
支援

241 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 15:28:30 ID:43fbhmGe
ジャーンジャーンジャーン げぇっ支援!

242 :薔薇乙女も使い魔W−2:2007/12/02(日) 15:29:08 ID:8+wqwl/t
「ギーシュ、あのバカめ…何故この父に相談せんのだ…」
 グラモン元帥がこめかみを押さえて呻く。
「報告によると、姫殿下の依頼から出立まで、僅か数時間。恐らくは、時間がなかったも
のと」
 モット伯が元帥を慰めるように、ギーシュを擁護する。
「そなたの子息は全力をもって、王家への忠義を示したのです。感謝致します」
「も、もったいなきお言葉にございます。愚息も喜ぶことでしょう」
 マリアンヌの言葉に、ようやく元帥は顔を上げた。

 太后は横に座るマザリーニを見やる。
「ところでマザリーニよ。この件でワルドから事前の報告は?」
「…いえ。私にも内密にしていました」
「そうですか…。それで、今朝以降の連絡は」
「ありませぬ。恐らくは、メンヌヴィルを追ったのでは。最悪、討ち取られたやも」
「引き続き両名の捜索を」
「御意」

「皇太子の処遇、いかが致しましょう?」
 リッシュモンが立ち上がり、居並ぶ面々に尋ねた。だが、その事に誰も触れたがらない
事は、顔を見れば明らかだ。

 沈黙の後、誰からと無くささやき声が上がる。
「王権は、始祖ブリミルより授けられし、神聖なもの。そして皇太子は今や、アルビオン
王家最後の一人・・・」
「同じ王家として、トリステイン王家の権威を守るためにも、始祖ブリミルへの信仰から
も、皇太子の亡命を受け入れざるをえない、が…」
「アルビオンからは、身柄引き渡しを求めてきておりますが」
「ふんっ!王家に弓引く恥知らずどもめ。いっそ首級を上げてこいとでも言えば良かろう
が!」
「今さら引き渡した所で、戦争を回避出来るわけでも無かろうて・・・」
「最初から攻め入る気だったんでしょうな…残念ながら」
「だろうな。でなければ、王子の身柄返還についての返事を聞く前に、宣戦布告などする
ものか」
「ハルケギニアの統一と、聖地奪還。聞こえはいいがのぉ。あのエルフ共と正面切って戦
うじゃと!?」
「狂気の沙汰です。統一したくらいで奪還出来るなら、とうの昔に奪還しています」
「同感だ。それに、姫殿下とは永久の愛を誓われた仲。引き離すなど、王家への反逆に等
しい」
「むしろ、トリステイン=アルビオン二重王国を目指す、と言う手もありますぞ!」
「おお!それはいい!」
「ですが、現実として、どうすればアルビオンに勝てますかなぁ?」

 リッシュモンが、まるで他人事のように問いかけた。皆が、一番考えたくない問を。
 沈黙が広がる。

「あの…この場に沿う議題か否か分かりませんが、一つモット伯に伺いたい事が」
 デムリ財務卿が、おずおずと手を挙げた。モット伯が眉間にシワを寄せたまま、顔を上
げる。
「先ほどの報告で、フリゲート艦を撃沈、とあったのですが、真ですか?」
「いかにも。学院周辺に爆発し落下した残骸が確認されています。加えて、傭兵達の死体
も」
「その…私は武人ではありませんので、よく分かりませんが…戦艦というのは、人の力で
撃墜出来るのでしょうか?」
「え?いや、それは、恐らく…無理かと」
「では、なぜその艦は撃墜されたのでしょうか?」
 モット伯は慌てて部下を睨むが、部下も慌てて首を横に振り、恐縮してしまった。

 デムリの素朴な問に、室内の全員が首を傾げる。


243 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 15:29:18 ID:aDfeB09x
支援

244 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 15:30:45 ID:aDfeB09x
支援

245 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 15:31:46 ID:aDfeB09x
支援

ジュンが話題に上がってきそうだな

246 :薔薇乙女も使い魔W−2:2007/12/02(日) 15:32:00 ID:8+wqwl/t

「ワルド殿はグリフォン隊隊長で、確か風のスクウェアですが…」
「騎乗しているのはグリフォンだ。風竜ならともかく、グリフォンでは弾幕を避けられん
よ」
「学院は貴族の生徒達で一杯だが、遙か上空に浮く戦艦を破壊するなど…どんな魔法も届
かんわい」
「傭兵共が、よほどのマヌケだったとか?」
「こんな重要任務に就くのにマヌケ…ありえんわい。それに、メンヌヴィルは名うての傭
兵だ」
「…待て!確か報告では、ヴァリエール家三女に依頼した、とあったな!?」
「ふむ、確かに…まさか、あの噂の平民使い魔がか?」
「何ぃ!?エルフのガーゴイルを所有するという、例の少年か!?」
「噂では最近、風竜に匹敵する飛翔用マジックアイテムを手に入れたとか…まさか、真実
だったのか…」
「あー…失礼ながら、よもや貴殿等は、魔法も使えぬ平民が戦艦を撃墜した、とでも言う
つもりかのぉ?」
「そういうわけではない。わけではない、が…やはり、例の使い魔には、何かある」
「この際、使えるなら何でも良い!」
「確かアカデミーには、ヴァリエール家の長女が…」
「アカデミーに使いを出すのです。エレオノールを呼びなさい」

 会議は踊り続ける。




 トリステイン魔法学院は朝から大騒ぎだ。
 王子の亡命。戦艦襲来。アルビオン傭兵侵入。そして戦艦墜落。
 ルイズの使い魔が、学院の秘宝『破壊の杖』を用い、戦艦を撃墜。侵入した傭兵達も倒
してしまった事は、即座に学院中に広まった。
 だからといって、もう今は勝利を喜ぶ者などいない。貴族も平民も、もはや学校どころ
ではないのだ。


 お昼もとうに過ぎ、太陽が少し傾いた頃。
 ルイズの部屋にはトランク二つ。ベッドの上には少年少女
 少年はボロボロで泥に汚れた服のままで、少女は下着のままで、突っ伏していた。
 二人とも大イビキをかいて熟睡している。
 デルフリンガーは、床に抜き身のまま放り出されていた。


  …ぐぅ、ぐうううう…
 お腹の音で目が覚めたのはルイズ。
「…ふぅうわあぁあぁ…」
 周りを見て、下着姿の自分のすぐ隣にジュンが寝ているのに気がついた。
 一瞬、真っ赤になってしまう。

 や!やだ、そか、戦艦倒した後、部屋に戻ったとたんにジュンが倒れたんだったわ。
 まったくもう!ジュン相手に、何赤くなってるのよっ!ワルド様がいるのに!
 そういえば、ワルド様は結局、どこへ行かれたのかしら…。
 え〜っと、あの後、シンクとスイと、みんなでジュンをベッドに運び上げて…
 …あ、あたしも濡れた服脱いだら、そのまま寝ちゃったんだ。徹夜だったもんね。
 あ〜あ、ベッドがドロドロだわぁ。やだ、あたしの服ももうメチャクチャね
 というか、臭うわね…ラ・ロシェール以来、お風呂入ってないんだった…
 やーね。これじゃ姫さまの所にもいけないわ
 お風呂、行ってこよっと
 着替えて、そんで、何かご飯を…

 ルイズはもそもそと服を着て、ノロノロと風呂へ向かった。

247 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 15:32:51 ID:aDfeB09x
支援

248 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 15:33:52 ID:aDfeB09x
支援

249 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 15:34:52 ID:aDfeB09x
支援

250 :薔薇乙女も使い魔W−2:2007/12/02(日) 15:35:12 ID:8+wqwl/t


 ルイズが部屋を出てしばらくの後、真紅と翠星石も目を覚ました
 だらだらと力なく開けられたトランクから、ヨロヨロと二人が起きあがる。
「ふぅわぁ〜〜おはよう、ですぅ」
「はふぅ〜おはよう、翠星石。よく眠れたようね」
 小さな少女達は、ベッドにうつぶせで熟睡したままのジュンを見た。
 しぃ〜っと人差し指を口に当て、デルフリンガーに手を振り、抜き足差し足で部屋を出
て行った。

「…この5日間、馬やグリフォンで走り続けたり、海賊船と戦ったり、ニューカッスル脱
出に、学院への襲撃…もう、ヘトヘトでしたよねぇ」
「そうね、今日はスキなだけ寝させてあげましょう。私達は、食堂でも行こうかしら?」
「良いですねぇ!もう、おなかペコペコですぅ…」
 二人は食堂へトコトコ歩いていった。


 寮塔から本塔へ向かう間、人影は全くなかった。食堂にも、だーれもいなかった。当然
食べ物も無い。二人は肩を落とし、隣の厨房へ向かう。

「もしもーしですぅ!マルトーのおやっさんはいるですかぁ?さっさと食い物出さないと
呪うですよー!」
「…誰もいないわねぇ。ヘンねぇ」

 厨房にも、誰もいなかった。いくら食事の合間の中途半端な時間とはいえ、下ごしらえ
をする者すらいないのは珍しい。というより、学院自体に人の気配がない。

「う〜、なぁんて使えんヤツらですかぁ!?たすけてやった恩を仇で返すですねぇ!」
「そんなワケないでしょ?シエスタさんを探しましょう」
「うぐぅ、あの女、スキじゃないですぅ…ジュンにベタベタしやがるしぃ」
「そういう事を言うものではないわ。それに、今はとにかく何か食べないと…もう、倒れ
そうだわ」
「…です、ねぇ…」
 二人はスズリの広場へ、なんだかフラフラと歩いていった。今の二人には、石畳の小さ
な溝すら越えられそうにない。


 スズリの広場には、煉瓦造りのこぢんまりした建物、女子使用人宿舎がある。中には厨
房もある。
 真紅は思いっきり背を伸ばし、ステッキで扉をノックした。
 …返事はない。二人は顔を見合わせる。
 もう一度、今度はステッキと如雨露で、二人でエイエイと叩いてみた。

 少しして、扉が少しだけ開けられた。外をのぞくのは、金髪がまぶしいローラだ。
 ローラは外をキョロキョロとのぞき見て、溜息とともに扉を閉
「こらこらーっ!あたし達を無視するなですぅ!」
「下よ、下」
 閉めようとしたら足下から声がした。
 下を見たとたんに、陰鬱そうだったローラの顔がパァッと明るくなった。


「助かったですぅ!ホントに美味しいですよぉ」
「本当ね。これで生き返ったわ。皆さん感謝するわ」
「いえいえ!こちらこそ気がつかずに申し訳ありませんでした」
「ミス・ヴァリエールとジュンさんの分も作っておきますわね」
 テーブルの上で二人は、小さな口でサンドイッチと紅茶をもぐもぐと頬張ってる。
 宿舎の厨房には、学院のメイド達が集まっていた。皆で食事する人形をニコニコと眺め
ている。だが、その中にシエスタの姿はなかった。それに、その人数も妙に少ないのに真
紅が気付いた。
「ねぇ、シエスタさんはいないのかしら?」

251 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 15:36:00 ID:aDfeB09x
支援

252 :薔薇乙女も使い魔W−2:2007/12/02(日) 15:37:12 ID:8+wqwl/t

 真紅の何気ない問に、メイド達は急に暗くなった。

「ああ、あの子ならトリスタニアへ行ってるわ」
「ジェシカっていう、従姉妹がいてね。避難を勧めにいってるのよ」
「他に何人も、メイド長と一緒に街や近くの村へ行ってるわ。今のウチに食べ物とか買い
だめとこうって。男共はみんな狩り出されてるよ」
「それと、姫さまとアルビオンの王子様の方へも行ってるよ。なにせ王族が二人もだなん
て、前代未聞だからねぇ」
「あたしら平民だけじゃあない。教師も生徒も、貴族共だってみんな買い物さ。戦争に備
えてね」
「王宮へ向かった者も多いよ。呼び出されたり、軍へ志願しにいったり」
「明日の朝、学院の全員が食堂に集まるよう、オールド・オスマンに言われてる。今日は
休校さね」
「一週間後の、アルビオン襲来に備えて、ね。その事はもう、近くの村の子供まで知って
るよ」

「そう、ですか。戦争が、始まるですか…」
 翠星石も、表情を曇らせる。真紅も心配そうだ。
「あの王子と姫、大丈夫かしらね」

「まぁ、せめてもの救いは、学院を去るヤツが少ないってことかねぇ」
「んだねぇ!田舎より、かえってこっちの方が安全だわ!」
「この辺は学院以外なーんもないんだもん。王子様とお姫様が城に帰ったら、襲ってくる
理由がないよ」
「おまけに、今朝は戦艦ですら、あっという間に墜としちまった!ほんと、あんたら凄い
よぉ!!」
 いきなりメイド達に持ち上げられ、翠星石は鼻高々にテーブルの上でふんぞり返る。
「おーほっほっほっほ!このくらい、あたし達ローゼンメイデンには、朝飯前でーす!任
しておくですよー」
 真紅はクールに、人間用カップを両手で抱えて、紅茶を飲んでいた。

「ところでねぇ…えっと、スイセイセキさん、だっけ?」
「はいです、なんですかぁ?」
 なにやらローラが、机の上で胸を張る翠星石に、じわじわとにじり寄ってくる。
 よく見ると、他のメイド達も、真紅達に微笑みながら寄ってくる。
「いっつも、ミス・ヴァリエールやジュンさんに抱かれて歩いてるじゃない?飛んだ方が
早いのに」
「飛ぶと、余計な力を使うですから…な、なんでみんな寄ってくるですか?」

 人形達はなんだか、すっかり囲まれた。

「え?…え〜っと、ねぇ。ほら、あたしら平民でしょ?だから、ねぇ?あなた達みたいな
貴族向けの人形なんて、見た事なかったのよ」
「そうなのよぉ!だからぁ、あなた達を抱いてるのを見て、いつもみんなで『うらやまし
いなぁ〜』って、話してたの!」
「そうそう!スイセイセキさんの月目、特にルビー色の右目とかぁ、茶色のロングへアと
かぁ、スッゴイ綺麗よねぇ!」
「あたしはぁ、シンクさんのその金髪!もう、キラキラ輝いてさぁ!」
「でも、何と言っても小さなお手々が可愛いよねぇ!」

 口々に褒められて、二人とも悪い気はしない。ツンとすましつつも、頬は赤い。


253 :薔薇乙女も使い魔W−2:2007/12/02(日) 15:38:58 ID:8+wqwl/t
「と、いうわけでぇ…」
 ローラが、顔を翠星石の真ん前にずずぃと近づける。
「あの、ねぇ…ちょっとだけ!ちょっとでいいから、抱かせて欲しいの!他に何にもしな
いから、お願い!」
「わ、私はその、シンクさんを…その」
「私も!私もーっ!」
 もう、メイド達全員が目を輝かせてにじり寄ってくる。

 人形達は顔を見合わせ、諦めたように溜息をついた。
「しょうがないですねぇ…いつもご飯作ってもらってるですし」
「少しだけよ。余り気安く触らないでちょうだい」

 スズリの広場に、しばし少女達の黄色い歓声が響いた。




「…う、うぅ…。…イタタタタ…」
 ルイズのベッドで、ようやくジュンが体を起こしたのは、もう空が朱く染まる夕暮れ時
だった。部屋には誰もいない。いるのは壁に立てかけられたデルフリンガーだけだ。
「よー!おはようさん!ようやく目が覚めたか」
「…デル公…おはよぉ〜。っ!つぅーイテテテ、打ち身捻挫に筋肉痛か。火傷も、か。こ
りゃしばらく、まともに動けないなぁ」
「この5日間、暴れまくったもんなぁ。大きな怪我が無いのは奇跡だぜ。ま、まずは腹ご
しらえでもしな」
 鏡台の上には、ジュンのメガネと山盛りサンドイッチが置いてあった。


 もしゃもしゃとサンドイッチを頬張りながら、ぼ〜っと外を眺める。
 沈みゆく太陽が、夕焼け空を星空へと姿を変え始める。
 外には人影が増えている。皆、大荷物を抱え、次々と倉庫や本塔へ運び入れている。
 あ〜そうだ鏡の出入りを外から見られちゃまずいな〜、とぼんやりと思いつき、のろの
ろとカーテンを閉め、再び鏡台の前に座る。


「なぁ、みんなどこ行ったんだ?」
「nのフィールドさ」
「ルイズさんを連れてか?」
「おう。この鏡以外の出口が、ハルケギニアのどこにつながっているのか、調べに行くっ
てよ。さっきまで何度も鏡を出入りしてたぜ」
「そっか。タルブやラ・ロシェールへのルートが見つかると良いな。でも城下町へのルー
トが一番先か」
「アルビオンもいいな。嬢ちゃんは、実家につながってないかな〜、ていってたぜ」
「げー、それは勘弁。めんどくさそーだ」

 と話してる間に、目の前の鏡台が輝きだした…と思ったら、人影がいきなり飛び出して
きた。
「うわぁ!」「きゃっ!」
 ルイズはジュンにのしかかったまま、二人は床に倒れ込んでしまった。
「あつつ…ジュン!ちゃんと避けなさいよっ!」
「な、なに言ってンだよ!?そっちがいきなり!」
  ぎゅむ
 さらにその上に、真紅と翠星石も降り立った。
「ケンカはまた今度にしてちょうだいな」「にひひぃ〜二人ともラブラブですね〜?」
 翠星石に冷やかされ、慌てて二人は顔を赤くしながら飛び退く。


254 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 15:39:21 ID:LsH8svpB
試演

255 :薔薇乙女も使い魔W−2:2007/12/02(日) 15:40:35 ID:8+wqwl/t
 コンコンと扉がノックされた。来たのはローラ。
「失礼します、ミス・ヴァリエール。先ほど、王宮より姫殿下とウェールズ皇太子をお迎
えする馬車が参りました。ミス・ヴァリエールも共に王宮へ上がるように、と太后様から
の命です」
「そう…分かったわ。すぐ行くから、そう伝えてちょうだい」
「承知致しました」

 ルイズは、真剣な顔で皆を見つめる。
「んじゃ、行ってくるわ」
「ルイズさん、一人で大丈夫?よければ、僕らも」
「大丈夫よ、ジュン。任せてちょうだい。もしかしたら、ワルド様が戻っていらっしゃる
かもしれないし」
「そう、だね」
 ジュンの胸にチクリと痛みが走る。人形達も、複雑な面持ちで顔を見合わせる。

「それなら、ルイズさん。僕らは一旦日本に帰るよ」
「おーい、いい加減今日こそ俺をチキュウに連れてけー!」
「今からなら、丁度向こうは朝だわ。ホーリエ、ルイズをよろしくね」
「んじゃ、また明日ですー。王宮の腹黒オヤジどもなんかに、まけるなですよぉー!」
「もちろんよ!んじゃねー」

 ホーリエとスィドリームを連れて、ルイズは部屋を後にした。
 ジュン達もデルフリンガーと共に、鏡の中へ消えていった。




「…では、今君の言った事が、全て真実だというのだね?」
 マザリーニが目を見開く。
「はい。誓って嘘偽りはありません」

 ルイズは会議室で、以前オスマンやキュルケ達に語った『ジュンはロバ・アル・カリイ
エ出身で、薔薇乙女はローゼン作7体の人形で…』、加えて今朝までの事実経過を報告していた。
 無論、nのフィールド、ローザ・ミスティカ、ガンダールヴなどは除いている。

 おお…、という声が会議室を満たす。
 昼からずっと会議を続けていた重鎮達が、部屋の後ろに座るルイズの報告を、最初は小
馬鹿にしたように、今は真剣な顔で聞いていた。
 全ての報告と、目の前の赤と緑の光玉を連れた少女の言葉が一致するという事実に、元
帥も大将も枢機卿も、太后も真実と認めざるを得なかった。

「ルイズ、大儀であった。明日、学院へ送らせましょう」
 マリアンヌの言葉を受け、最大限の礼をもって会議室を退室した。


 ふぅ、と大きく息を吐き、ルイズは廊下の壁にもたれかかった。
「ルイズ、お疲れ様でした」
「あ、姫さま…」
 声をかけたのはアンリエッタだ。剣を帯びた、護衛らしき女性騎士を連れている。
「会議が終わったのでしたら、後で共にお茶を飲みませんか?」
「は、はい。私などでよければ、お供致します」
「では、アニエス。この者を私の部屋へ。私は会議後、すぐに向かいますわ」
「かしこまりました。ミス・ヴァリエール、こちらへ」



256 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 15:41:16 ID:JWRJGrYs
支援してたら規制喰らった

ケータイから支援

257 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 15:41:58 ID:aDfeB09x
支援

258 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 15:42:06 ID:JWRJGrYs
支援

259 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 15:42:32 ID:0envQJ+z
再支援

260 :薔薇乙女も使い魔W−2:2007/12/02(日) 15:42:41 ID:8+wqwl/t
 アンリエッタの部屋は、王族に相応しいものだった。
 豪華な天蓋つきベッド。精巧なレリーフが施された椅子。何百年、何千年と王家を見守
り続けたであろう始祖像。壁一面の装飾も、非常に細やかで華麗だ。
 香り立つ紅茶を挟み、二人は椅子に座る。

「本日はご苦労様でした。大臣や将軍に囲まれて、さぞや居心地が悪かった事でしょう」
「いえ、そんな事は」
「あらあら!ルイズは強いわねぇ。私はもう、それはそれは居心地が悪かったわ♪」
「でも、とてもご機嫌麗しゅうございますね」
「ええ、あなたのおかげよ、ルイズ。愛しのウェールズ様と、私…。わたくし、本当に、
何とお礼を言えばいいか…」
「姫さま…」
 アンリエッタは、瞳を涙で一杯にしている。心からの、輝くような笑顔で満たされてい
る。

「そうですわ。姫さま、これ、お返しします」
 そう言ってポケットから取り出したのは、水のルビー。
「とんでもない!これほどの功績に報いるに、水のルビーなど全く足りません!さぁ、受
け取って下さい」
 アンリエッタはルイズの手を押しとどめる。
「し…しかし、私は姫さまのそのお言葉だけで、胸が一杯でございます」
「ですが、ルイズには申し訳ないのですが、実は…まだ行っていただきたいことがあるの
です」
 そういって、アンリエッタは一冊の書を取り出した。

 それは、古びた皮の装丁がなされた本だ。表紙はボロボロで、羊皮紙のページは色がく
すんでる。
 手に取ったルイズが開けてみると、中身は白紙だった。

「それは、王家に伝わる『始祖の祈祷書』です」
「…始祖の、祈祷書…でございますか?」
「6000年前、始祖ブリミルが神に祈りを捧げた際に詠み上げた呪文が記されている…
と、伝承では語られています」
「…なっ!?」

 ルイズは慌ててページを進める。しかし、約300ページ、全部白紙だった。

「…白紙、ですね」
 ガッカリ、と顔に書いてあるかのようだ。
「はい、白紙ですわ。
 王室の伝統ですの。王族の結婚式の際には貴族より選ばれし巫女に、その書を渡して式
の詔を詠み上げるのです」
「…巫女?も、もしや…」

 ルイズの血の気が引いていく。

「はい。ルイズ、お願いしますわ」
「そ!そんな私など!もったいない、過ぎる大役にございます!」
 首も手もブンブン振ってしまうルイズ。
「いえ、実はこれは、ルイズにしか頼めないのです」
「そのようなことは…他に私より」
「いいえ、ダメなのです。何故なら、これは、今夜ここにいるあなたにしか頼めないので
すから」
「今夜?どういうことでしょうか」

 アンリエッタは、哀しげに天井を見上げた。

261 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 15:43:14 ID:aDfeB09x
支援

262 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 15:43:27 ID:JWRJGrYs
支援

263 :薔薇乙女も使い魔W−2:2007/12/02(日) 15:44:04 ID:8+wqwl/t

「簡単な事ですわ。此度のアルビオンとの戦争、勝てる見込みがほとんど無いからです。
負けた場合、例え講和に持ち込んだとしても、アルビオンは必ずウェールズ様の身柄を要
求します」
「あ…い、いえ!勝てば良いのです!」
「無論、そのための努力は惜しみません。ですが、やはり分は悪いのです。ですから、今
できる事を全て行いたいのです。もう、後悔をしないために…」
「姫さま…」
 憂いを秘めつつも、王女の目には力があった。意思の力が。

「ふふふ、このような事、母様にもマザリーニにも言えませんわ。何しろ先ほどの軍議で
さんざん叱られましたもの!
 大臣達も、国民も皆、こう思っているでしょう。『為政者の器に非ず』と。私もそう思
います。王家を見放しレコン・キスタに付く貴族が現れるやもしれません。それも無理か
らぬ事でしょう。
 だから、よいのです。私は姫でもなんでもありません。愛に目がくらんだ、ただの女で
す。ただウェールズ様への愛に殉じます。今宵こそ、夢にまで見たウェールズ様との婚儀
を行う刻なのです」

 王女は、真剣な目で幼なじみを見つめる。その想いにルイズは、とても断れないと覚悟
した。

「・・・承知致しました。私などでよろしければ、巫女の大任を拝命いたします」
「あなたなら、そう答えてくれると信じていました。さぁ、共にウェールズ様の部屋へ参
りましょう」
 二人は部屋の前に控えるアニエスも連れて、ウェールズの部屋へ向かった。

 ウェールズが与えられた部屋の前にも警備の騎士はいる。
 彼は軟禁されているわけではない。非公式ながら、既に亡命を認められている。だが本
来なら、未婚の王女と亡国の王子が夜更けに面会しようとすれば、上官が飛んでくるだろ
う。
 しかし、二人が将来を誓い合った仲なのは、既に国中に知られている。今さら王女の面
会を止める理由は無かった。
 無論ウェールズも、思い人の来室を待ち焦がれていた。


「…私からもよろしくお願いする。もはや国も失い、ただの一人のメイジに成り下がった
身だが。それでも私を必要としてくれる愛しのアンリエッタのために、この命、全てを捧
げよう」
「ウェールズ様…」
「で、では…コホンッ」

 ルイズは手を取り合う二人の前に立ち、祈祷書を持った。
 持ったはいいが、何を言えばいいのか分からない。
 緊張でダラダラと冷や汗が出る。

「そ、その…実は私、こう言う時に巫女が何を言うのか、よく存じません…」
「あらあらいいのよ!ここには母様もマザリーニもいないのだから。必要な事を思いつく
だけ言ってくれればいいのよ」
「ああ、だから硬くならなくていい。楽にしてくれたらいい」

 そうは言われても、もうルイズはカチコチ。
 少しでも緊張を和らげれようと、無意識に手が服を直したりポケットを探ったり。
 そのうちに、ポケットの中にある水のルビーに触れた。
 せめて貫禄を出そうかと、それを指にはめた。
 そして、脂汗でじっとり濡れた手で、祈祷書を開いた。

 瞬間、三人の前で祈祷書とルビーは光を放った。

264 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 15:44:43 ID:aDfeB09x
支援

265 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 15:45:27 ID:aDfeB09x
支援

規制喰らいかけてた?

266 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 15:46:01 ID:JWRJGrYs
支援

267 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 15:46:03 ID:0envQJ+z
支援

268 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 15:46:17 ID:aDfeB09x
支援

269 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 15:46:45 ID:Y+oxaYG0
支援

270 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 15:46:48 ID:aDfeB09x
支援

271 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 15:46:50 ID:JWRJGrYs
支援

272 :薔薇乙女も使い魔W−2:2007/12/02(日) 15:46:52 ID:8+wqwl/t




―――次の日  夜のヴェルサルテイル宮殿  〜アルビオン戦七日前〜

  薄桃色の小宮殿『プチ・トロワ』では、王女イザベラがタバサの前で、報告書に目を
通していた。

「つ…追加報告を、命じて見れば…ますますメチャクチャね。あんた、マジ?」
 光るおでこが眩しい王女に至近距離で睨まれても、タバサの表情は全く変化がない。
 しばし睨むが、やっぱり何の反応も示さない。
「これだけは答えなさい…この報告書に、嘘偽りはないんだね!?」

 タバサは、無表情なままコクリと頷いた。
 忌々しげに歯ぎしりする王女も、ついには根負けして顔を逸らした。
「アルビオンでは手紙に加え、王子まで保護して帰還。
 学院を襲撃したフリゲート艦を、一瞬で破壊。傭兵共の隊長も撃退。
 ワルドとかいうのが相当の手練れだったとしても…信じられないねぇ」

 イザベラはにんまりと笑い、机の上の書簡を手に取った。それでタバサの頭をポコポコ叩く。
「しかし、これが真実だってんなら、あんたも終わりだねぇ。なにせ次の任務は、アルビ
オンとの戦争が始まるまでに、その使い魔達を、生きたままここへ連れてこいってんだか
らねぇ!」

 夜空へ向けて、タバサを乗せたシルフィードは学院へ向けて飛んだ。


「きゅいきゅい…お姉さま、大変な事になっちゃったのね」
 夜空を飛ぶシルフィードは、毛布にくるまるタバサに心配げな声をかける。
「あの使い魔達、一人でも無茶苦茶強いのね…しかも、三人なのね。勝つのは大変、なの
ね…きゅい」
 毛布にくるまりながら、タバサは本を読んでいた。
「さっきも話したけど、わたし見てたの。昨日、ジュン達とワルドって人が、森で戦って
たの。もう、グッスリ寝てたのに、ねぐらのすぐそばで戦い始めるんだものぉ!飛び起き
ちゃった!
 ワルドが兵隊達をぜーんぶ倒した後に、あの子達が来たの!信じられないのね!あの子
の剣さばき、見えなかった!それでそれで、緑の、スイセイセキって言ったかな?そのお
人形が、如雨露から何かこう、細い水かな?すっごい勢いでだしたの!きゅい!そしたら
森の木々が、スッパリきれーに切れちゃったのね!!信じられない魔法なの!!」

 タバサが、本を閉じた。
「何故、戦ったの?」
 シルフィードは、首を捻る。

「それは、わかんないのね。危なくて近寄れないから、話は聞こえなかったの。きゅい。
でも、ルイズが来たとたんに、二人とも」
「戦いを、止めた」
「きゅい!そうなのね」
 以後、タバサは学院に着くまで、何も言わなかった。シルフィードがいくらおなかすい
たと訴えても、本も開かず黙って夜の闇を見つめていた。





273 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 15:47:06 ID:KytrcuaJ
やばい事情を背負いつつ、支援

274 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 15:47:36 ID:aDfeB09x
支援

275 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 15:47:49 ID:JWRJGrYs
支援

276 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 15:48:42 ID:aDfeB09x
ルイズを掻っ攫う気か?

支援

277 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 15:49:37 ID:JWRJGrYs
支援

278 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 15:49:47 ID:aDfeB09x
支援

279 :薔薇乙女も使い魔W−2:2007/12/02(日) 15:49:59 ID:8+wqwl/t
―――その頃、日本

 放課後の帰り道、ジュンは三人の上級生に囲まれていた。
「お前よぉ、ひっさしぶりにガッコ出てきたんだってぇ?」
「ヒッキーのくせに、意外と良い根性してんのなぁ?見てるこっちが恥ずかしくてしょう
がないぜ」
「ウゼぇダニ見て、気分悪くなって昼飯吐いちまったぜ、チビ。どうしてくれんだ?弁償
しろや」

「あは、あはは、あはははは・・・」
 ジュンはズボンのポケットに両手を入れたまま、もう苦笑いするしかなかった。
 薔薇乙女達、巨大ゴーレム、ゼロ戦、空飛ぶ海賊船、天を覆う竜騎兵達、ロケットラン
チャー…。
 そんな、非現実的としか言いようのない夏を過ごした彼にとって、目の前の『不良にカ
ツアゲされる』という現実の方が、よっぽどファンタジーに思える。
 両手をポケットに突っ込んだまま、『あ〜、やっぱ日本って平和なんだなぁ〜』と感心
してしまった。

 だが、その余裕な態度が、上級生達のプライドを傷つけた。
「なぁにニヤニヤわらッてんだぁ!?だっせぇメガネしやがって!」
 と叫んだ一人が、メガネを取ろうと手を伸ばす。

 ひょいっと、ジュンは避けた。

 くそっこのっ、とつぶやきながら、何度も手を出す。だが、全て紙一重でかわされた。
彼はポケットから手を出す事もなく、上体を上下左右にそらすだけで見事に避け続ける。
「こっ!この野郎!!」
 軽くかわされ続けてあっさり切れ、ブロック塀を背にしたジュンに向け、思いっきり右
拳をぶん回した。
  ゴキッ
「…ぃぃいいぎゃあああっ!!」
 拳は、ブロック塀を殴っていた。しかも、小指の付け根で。骨折したのだろう、みるみ
る真っ赤に腫れていく。
 ジュンは左足を軸に、軽く半回転しただけで避けていた。手もポケットに入れたまま、
汗もかいていない。

「てめぇ!?」
 と叫んだもう一人がが、ジュンの足にタックルをかけようと低空で突っ込んだ。
  ドゴォッ!
 派手な音を響かせて、壁に顔から激突した。そのまま鼻血を吹き出しながら、ズルズル
崩れていく。
 ふわりと跳ねてタックルをかわしていた。ポケットから手を出さないまま。
 すぅっと、最後の一人の前に舞い降りる。着地した音すらしない。

「ひ、ひぃぃ!た、助けてっ!!」
「・・・あのさ、その二人、早く病院連れて行ってやりなよ」
 息も服も乱さずに、ジュンは何事もなく歩いていった。



280 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 15:50:43 ID:aDfeB09x
こっちはこっちで大変そうだな

支援

281 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 15:50:57 ID:JWRJGrYs
支援

282 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 15:51:26 ID:aDfeB09x
支援

283 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 15:51:57 ID:aDfeB09x
支援

284 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 15:52:08 ID:JWRJGrYs
支援

285 :薔薇乙女も使い魔W−2:2007/12/02(日) 15:52:21 ID:8+wqwl/t
「お見事ね。それがルーンの力?」
 脇道から出てきたのは、巴だ。剣道用具を肩に乗せている。
「ああ。どうやら『武器』ならなんでも良いらしい。通販で買っといてよかったよ」
 ジュンが右手をポケットから出す。手には小さな十徳ナイフを乗せていた。
「他にも、こんなのも着けてるんだ」
 といって、シャツからネックレスを取り出した。地味な金属製のネックレスには、やっ
ぱり地味な金属製品が飾りとして下がっていた。
「用意周到ね・・・でも、ちょっとそれは見つかると良くないかも。あんまり目だったら
ダメよ。気をつけなきゃ」
「そだな、ちょっとやりすぎたか。これはハルケギニアでだけ着けるとしようか」
 ジュンはネックレスを外してポケットにしまう。
 二人は、並んで歩き出した。


 桜田家の門に立つと、なにやらぶつかり合う金属音が聞こえていた。
 また派手にやってるなぁ〜っと思いつつ、二人は扉を開ける。

  カキンカンキンカカカカキンッ!
「そぉらそらぁっ!いくわよぉっ!」「なんの!こぉれでもくらいやがれぇですぅ!」

 リビングでは、デルフリンガーを振り回す水銀燈が、如雨露を構える翠星石とチャンバ
ラしていた。

『おでれーたなぁ!姐さんのちっこい体でここまで使いこなすとはよ!』「良いわねぇ、
この剣!あたしずっとこれ使おうかしらぁ?」「ダメですぅ!さっさとジュンに返しやが
れですぅ!!」
 二人がチャンチャンバラバラやってる間に、ソファーやカーテンがどんどん切られてボ
ロボロになっていく。

 キッチンでは草笛みつと、のりと、金糸雀が札束を数えていた。
「…うひひひひぃ、これでカードローンともおさらばよぉ!すごいわぁ、エキュー金貨が
あんな高値で売れるなんてぇ〜」
「ジュンから頼まれてたモノ全部買っても、こんなに余ったのかしら♪」
「よーっし!カナの新作ドレスも買っちゃおー!」
「なっ!?みっちゃんダメです!それは、ジュンくんの参考書代にしますから!」

「ちょっとみんな、静かにしてちょうだい。落ち着いて見れないじゃないの!」
 ソファーに座った真紅は、ハルケギニアに行ってる間撮り貯めていた『くんくん探偵』
を見ていた。
「あー!カナも見たいかしらー!」
「く!水銀燈、ここは引き分けにしておくですっ!」
「水銀燈、あなたも一緒に見てはどう?」
「な!?な…バ、バカ言ってンじゃないわよぉ、なんであたしがそんな、下らないモノ」
 と言ってそっぽを向きつつも、黒い翼が嬉しげにパタパタと羽ばたく。

 ぐだぐだの桜田家を見て、ジュンは諦めのため息をつく。巴はクスクス笑っていた。





286 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 15:53:41 ID:aDfeB09x
現在32kb

支援

287 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 15:53:44 ID:0envQJ+z
すごい投下量と支援数だ支援

288 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 15:53:48 ID:JWRJGrYs
支援

289 :薔薇乙女も使い魔W−2:2007/12/02(日) 15:54:06 ID:8+wqwl/t
―――そして、トリステイン魔法学院 〜アルビオン戦六日前〜

 カーテンが開け放たれた窓から朝日が差し込む。
 鏡台の鏡も光りを放ち、部屋を照らす。
 とたんにベッドからネグリジェのルイズがガバッと起きた。

「ルイズさーん、戻ったよー」
 ジュン達が鏡から、にゅっと顔を出すと、
「おっかえりぃーっ!待ってたのよぉ!」
 と、ルイズが思い切り抱きついてきた。
「うわったた!どうしたのルイズさん!」
「聞いて!聞いてよ!あたし、とうとう見つけたのよっ!」
 鏡から上半身だけ出したジュンに抱きつきながら、興奮して叫び続けている。
「見つけたって、何を…まさか!?ローザ・ミスティカを!?」
「ブブー!ざぁんねんでしたぁ。でも、もうスッゴイ物みつけちゃったんだからぁっ!」

 ジュンはワケも分からず抱きしめられて、鏡から出るに出れない。隙間から真紅と翠星
石も顔を出した。

「な、なんだか妙に上機嫌ですねぇ?」
「ともかく、鏡から出させてちょうだい!荷物が重くて大変なのよ」
「あらやだ、ごめんなさい」

 ジュン達は、ようやく鏡から出れた。ジュンは背のデルフリンガーに加え、手に大きな
ボストンバッグを持っている。
「ねぇ、これなんなの?」
「へっへー!今回は色々もってきたんだぁ〜」

  ツンツン

「ルイズさんがくれた金貨のおかげで、スッゴイの沢山買えたんだ!」
  ツンツンツンツン
「まずこれ!インカムとトランシーバー!ゼロ戦に乗ってる時、話をするのが楽に…なん
だよ真紅」
 真紅が背中をツンツンつついていた。
  ドカッ!
 さらに翠星石が尻を蹴り飛ばした。
「さっさと気付けですっ!」
「気付いてンじゃねーかっ!あにすんだよっ!?」
 真紅が、窓の外を指さした。

 カーテンが開けっ放しの外には、シルフィードがいた。
 『プチ・トロワ』から帰ってきたばかりのタバサを背に乗せて飛んでいた。
 ジュンは、タバサと目があった。
 シルフィードも、鏡から出てきた一行を、じぃ〜っと見ていた。

「…えっと」「みら…れた、です?」「の、よう…ね」「お、おでれーた?」「か、かーて
ん、しめ、忘れたぁ…かなぁ?あははは…は」

「きゅいいいいいいいいいいっっっ!!!鏡から人なのねぇええええっっ!!」
 シルフィードの悲鳴が学院中に響き渡った。

                第二話   休暇の終わり、戦の前 END

290 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 15:55:02 ID:JWRJGrYs
支援

291 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 15:55:49 ID:aDfeB09x
投下、乙!!!!!!!!!!!!



GOOOOOOD JOB!!!!!!!

292 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 15:56:59 ID:MevFQgIY
幽霊と聞いてぬ〜べ〜が召還されたら・・・

やっぱガンダールヴのルーンは左手(鬼の手)に出るのか?

293 :薔薇乙女も使い魔W−2:2007/12/02(日) 15:57:05 ID:8+wqwl/t
今回の投下は、これで終了です

いつもながら大量の書き込み、失礼しました
また、多数の支援、感謝致します


個人的に、こういう「ぐだぐだ、だらだら」な話の方がスキなんですよね

まぁ、たまにはそんな話もありということで、ご容赦を

294 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 15:59:36 ID:Y+NjR3GP
平和なgdgdは良いね。

でも騒葬と波乱の予感

295 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 16:01:02 ID:KytrcuaJ
GJ!
こういうの和むなぁ、自分こんなシーン書けないw


あの、ぶしつけですいません、ちょっと都合があって時間差し迫ってるんで、5分から投下していいでしょうか?

296 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 16:02:56 ID:+o2C9F7s
進路クリア。支援準備完了。
いつでもどうぞ。

297 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 16:03:08 ID:aDfeB09x
おk、支援しよう

298 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 16:03:36 ID:uHmc5znV
スーパー釘宮大戦EX

299 :力を求める使い魔:2007/12/02(日) 16:03:43 ID:KytrcuaJ
――――アルビオン王国 王城の屋根

「なぁ相棒、あれでよかったのか?」
「……なにがだ」
「結婚式だよ、結婚式。 あの娘っ子のことずいぶんとかってたみたいだったじゃねぇか」
屋根の上に寝そべり、空を眺めていた彼にデルフリンガーがやかましく騒ぐ。
「どうせ、ご破算になるだろ、あれが途中で投げ出すようなタマか?」
そこらに転がっていた小石を遠投してみた。地面がないアルビオンの周囲では、石がぶつかる音もせず、どこまでも落ちていく。
通り過ぎる雲の彼方を見つめる彼の背中に、デルフは声をあげる。
「おでれーた! つまりは結婚式は潰れちまうって言うのかよ?」
「わかりやすく言えば、そうだな」
彼は、デルフを持ち上げ、背中にしょいこむ。腰には、小型のバックも用意してあった。
ルイズには、心配はない。もう、これ以上お守も必要ないだろう。
相変わらず、視線は遠くに置いたままだ。その向こうにあるものを、凝視する。
「しかし、何も言わずにいっちまうのか?」
「前から言ってるだろ、 面倒事は嫌いだってな」
足元へ、初めて視線を下ろす。自分の足もとの下では――今頃ルイズが結婚式をひっくり返しているころだろう。
その姿を考え、口元を釣り上げた。
「ま……精々苦しんで悩むんだな」
愛用の防弾コートを肩に掛ける。思えば、この灰色のコートもボロボロだ。何しろ、こっちに来てから何度も自分の身とともに酷使されている。
いや……それ以前からか。自分がこの世界に召喚された時には、もう汚れていた。
悪魔と合体した時、消えてなくなったはずだったが……これには、それまでの思い出が詰まっている。
あいつと一緒にゲリラに会ったり。金剛神界に吹っ飛ばされて闘ったり。荒野を駆け抜けたり。
どれも、これもがつい昨日のことのように思い出せる。それほど……あの時の時間は濃密だったのだろう。
コートについた焦げや穴。その一つ一つが、記憶であり勲章なのだ。
アルビオンで受け取った単発式の短銃を腰につけ、準備は完了。体をもう一度触り、何か抜けがないか確認する。
……よし、と小声で言うと、拳を握る。
その時だった。

「―――お出かけですか?」

背筋が、凍りついた。何の脈絡もなかった。唐突だった。しかし、確かに背後から声がした。
僅かに記憶を巻き戻す。間違いなく、そこには誰もいなかったはずだ。なのに、青年の声がした。
ましてその声は―――
手に一気に汗が流れ出した。それを、コートで拭う。とても長い一瞬の後、彼は振り向いた。
そこには、一人の青年が立っていた。年齢としては、彼と同じくらいだろう。
しかし、その服装は彼の世界でも、この世界でも見慣れぬものだった。全身、目が痛くなるほど真白な法衣を着込んでいる。
装飾も、前を止めるための部分にだけ簡素な刺繍を施しただけだ。
頭につけている帽子は、通常神父がつける丸帽でなく、長い白い帽子。額に当たる場所は、なにかのエンブレムが取り付けられている。
彼は、知ってる。
その額に取り付けられた紋章が、何を意味するか。その姿がどんな人間がつけるものか。……目の前の人間は誰か。
紋章が示す意味は、メシア教徒であること。その姿は、たった一人のメシア教大司祭に許されたものであること。……目の前の人間が親友であること。
自分が人間であるせいか、その姿はひどく重圧を感じた。
「……よォ」
それだけ絞り出すのが精いっぱいだった。突然の登場に、彼の心は激しく乱れた。
「ええ、本当に久しぶりですね。 意識としては10年ぶりです」
事務的にロウ・ヒーローが言った。
―――10年ぶり。
2人が最後に、いや最期に会ったのは、あのカテドラルの時だ。彼からしたら、僅か1か月前の出来事。
その間に彼は10年の歳月が経過した、と言っているのだ。……見かけは彼が最後に会ったときと変わらない。年は何一つ取っていなかった。
あいつが、この世界に現れ、殺されたのが10年前。そして、こいつが復活したのもつまりは10年前。
確かに、つながる。

300 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 16:04:35 ID:aDfeB09x
支援

301 :力を求める使い魔:2007/12/02(日) 16:04:59 ID:KytrcuaJ
だが、問題はそこではない。何が、この世界で起こっているのか。なぜ、彼らがここにいるか。なぜあいつを殺したのか。
さまざまな説明不能な現象。それの答えを、知らねばならない。どれを聞かねば自分はならないのか。どう聞けばいいのか。
そう思い悩み、沈黙する彼に対して、先を切ってロウ・ヒーローが口を開く。
「まさか、彼だけでなくあなたまでこちらにきてしまうとは。つくづく、愚か者が多いようです」
「………なんだと?」
「ああ。 いえ、あなたや彼が、というわけではありませんよ。 もはや過去となっているあなたたちを呼び出した運命を言っているのです。
 もっとも、それも誰かが歪めたものかもまだわかりませんが」
おそらく全てをロウ・ヒーローは知っているのだろう。だが、物事の輪郭すら見通せぬ彼には、まったく意味がわからない。
だから、彼は自分が本当に知らねばならぬことを、選び、ついに問うた。
「答えろ。 ……どうして、あいつを殺した」
できるだけ、感情を殺して聞いたつもりだった。しかし、滲むように出る真意は隠しようがなかったのが、ドスのきいた声になっている。
その声を聞き、さも心外という調子でロウ・ヒーローが答えた。
「何も変わりませんよ。 この世界でも私は神の民を探し、導きます。 考えの対立する彼は、遠くないうちに障害となるでしょう。
 だからこそ、闘って倒した。 それ以下でもそれ以上でもありません。 あなたも、同じことをしていたでしょう?」
言葉に、詰まる。確かにその通りだ。だからこそ彼らは戦って……たまたま彼が負けて死亡しただけのことだ。
何も、問題は確かにない。頭では、分かっている。なのに、割り切れないのは……彼の人間臭さ故か。
視界が、赤く染まる。一気に、感情が沸点まで上がる。
「……そうかよ。 それで、何しに来た?」
デルフリンガーをつかむ。その意図は、もちろんいつでも抜けるように、だ。
「もちろん、彼と並ぶ脅威……まあ、悪魔でないあなたはそこでもないかもしれませんが。 可能性の芽はつみ取っておくべきでしょう」
まるで、明日の天気を話すようなロウ・ヒーローの声。その声色で放たれた内容は、あまりにもそれに似つかわしくないものだった。
「随分と余裕だな。 天使に世話してもらわなくていいのか?」
皮肉を込めた彼の毒に、何一つ顔をゆがめることなく、先ほどと同じ調子で言った。機械のような対応だ。

あまりにも、人間らしさがない。

「今のあなたに、必要ありません」
酷薄な笑みが、崩れることなく言葉を流す。
「上等だ……そっちがやる気ならこっちもやってる」
背中に背負ったデルフリンガーを、鞘から抜く。指を軽く鳴らす。ロウ・ヒーローは、長い袖からその両手を出した。
「無駄ですよ」
戦いの始まりを告げる風が吹く。ロウ・ヒーローの放った力が、空気を圧縮し一枚の刃と変えた。
衝撃の高位魔法ザンマ。それは、回転の軌跡を描き、くりぬくように直進する。
左右に眼を少しやったあと、彼はその一撃を空中に飛び上がることで回避。風のわずかな歪みを感知し、そこしかないことを認識する。
しかし、あくまでそこしかないという理由で跳び上がった逃げ場。その行動はロウ・ヒーローの思考の範疇だ。
彼らの世界において、魔法に詠唱はそこまで長く必要ない。杖も必要ない。常に抜き打ちの一撃だ。だからこそ、タイムラグなどというものも存在しない。
両手から波紋のように広がる空気の歪みが、広がる中でぶつかり、反響として大量に真空刃を発生させる。
さらにそれは広がり発生、連鎖を繰り返す。マハ・ザンマの力が、空に結界を作った。
彼は、ゆっくりと自由落下でその中に落ちるしかない。しかしその中、強引に体をひねり、デルフリンガーを風の渦に真っ先に突入させた。
やはり、ワルドの時と同じ。デルフリンガーの刀剣はわずかに光り、真空刃を飲み込んでいく。
「どうやら、本当にいい拾いものだったらしいな!」
デルフの隠れた力を知り、彼は言った。まさか、あのとき買った剣が、予想外の能力を付加されていたとは。
「あー、相棒、そうだな……けど……なんだったか?」
妙に、おかしな声を上げるデルフ。なにか思い悩むことがあるのだろうが、それに付き合って聞いている暇はない。
着地の瞬間を狙って、さらに放たれる真空刃の波。彼は、身を低くし四肢のばねを使って猫のように着地。すぐに横へと駈け出した。
「喰らっとけッ!」
彼は、手の甲で地面を軽くたたく。すると、そこから黄緑色の靄があふれ、足元を包むように広がっていく。
触れたものの神経の一部を停止させ、バインドさせるシバブーという魔法だ。

302 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 16:05:07 ID:aDfeB09x
支援

303 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 16:05:15 ID:+o2C9F7s
支…援……

304 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 16:05:48 ID:+9Llk7Wx
支援させていただく

305 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 16:05:52 ID:aDfeB09x
支援

306 :力を求める使い魔:2007/12/02(日) 16:06:08 ID:KytrcuaJ
ロウ・ヒーローの笑みは崩れない。自分の足元にシバブーが来る前に、ザンマを中間点に打ち込んだ。
地面を這う霧のようなものであうシバブーは、作り出された陥没に吸い込まれ、それ以上近づくことはない。今ごろ、城内に流れ込んでいるのだろう。
その間に、ガンダールヴの驚異的な身体能力で彼は、もうロウ・ヒーローまで数サントまで接近していた。
もともとシバブーは、当たることを前提に放たれていない。ただ一手、彼の攻撃を自分以外の方向へ向けさせるためだ。
短く、放たれたザン――衝撃系統の魔法。それごと彼は振りきった。だが、その風を切ったため、剣は到達までコンマ数秒遅れる。
ロウ・ヒーローはその時間で後ろに下がり、剣の射程から逃れると、振り切り無防備な肩へ手を伸ばす。
だが、カオスヒーローも大ぶりの危険は承知の上。すでに、次の一手を組み立てていた。
デルフリンガーは、その勢いで屋根の建材に突き刺さる。しっかりと固定されたデルフリンガーを体の視点にして、そのまま後ろ回し蹴りを放つ。
何も、武器を持たねばルーンは輝かぬとは言え、武器は剣だけとは限らない。強化された身体能力そのものが一種の凶器なのだ。
繰り出される蹴りを、ギリギリでロウ・ヒーローは拳で受け止めた。これには、僅かに彼も目を見開く。
彼は、もともと武道派ではない。身体能力、という一点では、ルーンで強化された自分に軍配が上がると思っていた。
それを、まさか受け止められるとは……!
「なるほど、それが伝説の使い魔ガンダールヴのルーンと、その武器デルフリンガーの力ですか」
掴んだまま放たれる衝撃波。あくまで、自分の手ごと切り裂くことなく吹き飛ばすだけのためだったのだろう。
彼は、バランスを失い転倒しそうになるのを、どうにかこらえた。内心、舌打ちする。
あいた距離が、そのままロウ・ヒーローの勝率につながるのだ。
魔法を打ち合いとなっては、そのエキスパートともいえるロウ・ヒーローに勝てる道理はない。だが、相手もそれは理解している。
そうそう懐に入り込ませてくれるチャンスなど、ない。もしかしたら、これが最後かもしれない。
初めて、ロウ・ヒーローがこぶしを握る。ここからが、彼の本気なのだろう。あれで小手調べとはやってられない。
自分の体が魔人でないことは、やはり大きなマイナスだ。特に、耐久度という点では天と地ほどの差がある。
ずきりとわき腹が痛んだ。動く分には何一つ問題ないが、やはりまだ完全に治ってはいない。長期戦になればどんな影響が表れるか分からないのだ。
もろもろの要素が、短期決戦を告げる。しかし、それを許すではないだろう。それでも、顔にはそういった要素をおくびにも出さない。
遠雷のように轟かせながら、再度彼から衝撃刃が打ち出される。同じ、ザンマだ。しかし規模がまるで違う。殺気の濃さが違う。
飛んで逃げるのは……あまりにも危険だ。
「相棒!急いで俺を振るんだ!」
デルフリンガーの突然の声。今まで、戦闘中に彼に指示を出すことなど、一度もなかったデルフが、叫んだ。
「急げ! あいつの言葉で思い出した、おれは………」
その声に、はったりがないことだけ確認すると、彼は手を動かした。猛烈な速度で迫る風を前に動きを止める暇はない。
衝突する2つの斬撃。その総エネルギー差から、彼は、吹っ飛ぶことも最悪考えていた。
しかし―――
「俺は、デルフリンガー! ガンダールヴの剣だ!」
ガラスの砕けるような音を立て、砕け散る衝撃。デルフリンガーが、言葉を続ける。
「いやぁ忘れてたぜ!あまりにも退屈だったから、自分の記憶を封印したんだ!」
錆びだらけだった刀身が、まばゆい光に包まれると、自分の顔も映りこむような砥ぎ抜かれたものに変貌する。
「お前……」
驚き呆れる彼。しかし、デルフは逆にテンションを上げていく。
「そんな面してる暇はないだろ、相棒! おれはある程度の魔法をすぐに吸い込める。 これならいけるはずだ!」
その声で、もう一度剣を握り返すと、ロウ・ヒーローを見る。彼は、笑みを崩していない。
「征くぞ……!」

307 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 16:07:00 ID:aDfeB09x
支援

308 :力を求める使い魔:2007/12/02(日) 16:07:14 ID:KytrcuaJ
彼が、再度駆ける。今度は、正面突破だった。彼は、連続して極大の風を放つ。それにまぎれて、小さな風も。
逃げ場はどこにもないような魔法の風の、大嵐。
彼は、その中の小さい風のみを狙ってデルフで切り裂いていく。
いける。確実に……取る!
彼の体が、突き進む。彼まで、あと7メイル。3つの風を切り裂く。あと、3メイル。並んだ4つを一気に切り裂く。
悪魔でなくても、その膨大な戦闘経験はリセットされていない。それに、魔法の天敵デルフリンガーと、ルーンの超身体能力。
ロウ・ヒーローとの、相性は、これ以上ないくらい最高だった。
しかし、ロウ・ヒーローの笑みは止まらない。ますます広がっていく。

ついにたどり着いた―――!
デルフリンガーが、2度目の斬撃を放つ。それは、もうあと20サント。
意識が極限まで拡大され、音が死ぬ。時間の経過が遅い。その中、彼は勝ちを確信し―――

「やはりこの程度ですか」

その遅い時間の中、何も変わらずロウ・ヒーローが言った。
すっと伸びるロウ・ヒーローの腕。それが、自分の腹に押さえつけられる。
そこからは、碧い光が漏れ出す。

爆発が、起こった。それはルイズの『爆砕』に似ていた。
その名前は―――メギド。
「く……あッ……?」
自分が、吹っ飛んでいき、倒れるのも遅く感じる。
「相棒!」
握っていたデルフリンガーが離れ、どこかに滑っていく。その瞬間、ルーンの力が失われ、体から力抜けた。
時間の感覚が元に戻る。
落ちた場所は盾とする瓦礫もない開けた場所。完全に、チェック・メイトだった。
ここで、悟る。
―――最初から、演技だったのだ。
本当は、ロウ・ヒーローは、ルーンの力を得た自分より早く動けた。おそらくもっと強大な魔法も使いこなすだろう。
そうでなければ、あいつが負けるはずがない。
何も変わらず、ロウ・ヒーローは彼を見つめる。どこか見下しているようにも見えるのは、彼が座り込む形になっているためか。
肌が泡立つ。限界が近い。
ロウ・ヒーローは、なぜか彼のとどめを刺さない。ただ一撃、残間をぶつけるだけで決着はつくのに。
5メイルほどの距離を立てて、ロウ・ヒーローが言った。
「あなたは、ヒトとして生きるとはどう思いますか?」
彼は、口の血を拭う。それでも、口の中を切っているのか血が広がり、しゃべりにくい。
口の血を集めて強引に飲み下した。立ち上がろうと、膝を支えるため抑えるが、立てない。
「自分らしく……自分を信じて生きる。 立ちふさがるものを撃ち貫いて、だ」
喋るたびに唾に混ざって、口の端から血がこぼれる。その言葉にロウ・ヒーローはかぶりを振った。
「それは、間違っています。 それは悪魔にもできますし……いや動物と何も変わらない」
いまさら何を言うのだと何か心に引っかかりを感じながら、彼は聞いていた。
にこやかな笑顔のまま、ロウ・ヒーローが続けた。
「人間は、ほとんど全員自分が何をやるべきかを知らされず生まれ、育っていきます。
あなたのように力と信念を併せ持つものは少ないのです。皆、満たされぬ何かを追い求め、飢餓を感じ生きる。
それが、奪い合いとなり争いを生む。これでは、知能を持たぬ者と何が違うのでしょうか?」
自分の言葉でさらに舞い上がり、恍惚とした表情となる。どんどん言葉は高く速くなっていく。
「さしずめ、人間は即興で『生命』という演劇を演じさせられる役者なのです。ただ、死ぬまで生きろとだけ告げられて!
 暗闇の中に手を伸ばせるほど強くない多くの人々を、あまねく光で照らし、導く! 真なる平穏で生きることこそ人間の証明。
 そしてそれを叶えるが―――」


309 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 16:07:36 ID:aDfeB09x
支援

310 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 16:07:57 ID:0envQJ+z
支援

311 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 16:08:13 ID:aDfeB09x
支援

312 :力を求める使い魔:2007/12/02(日) 16:08:15 ID:KytrcuaJ
「―――神、というわけか?」
その先を彼が紡いだ。それを嬉しそうにロウ・ヒーローは頷いた。ゆっくりと鷹揚に縦に首を動かす。
彼の目を見つめ、ロウ・ヒーローが言った。

「神の使徒として共に歩みませんか?」

「な……に……?」
あまりにも、予想外の言葉。
絶対にありえないと思ったものが飛び出したことに、彼は瞬時に反応できなかった。
「ハッ…………」
意識せずとも、息が漏れる。瓦礫を背にもたれている彼は、顔を抑えた。
―――まさか、そんな言葉を言うなんて。
「ハハハハハハハハッ、ハハハハハハハハッッ!!」
けたたましい嬌声が上がった。何を笑っているか理解できず、顔をしかめるロウ・ヒーローを見て彼はさらに笑い続ける。
滑稽だった。滑稽すぎた。あまりの馬鹿らしさに、笑うしかなかった。―――吐き気がするほど、ふざけている。
「おい、言ってやるよ、お前……いや、木偶人形」
顔を彼が上げ、ロウ・ヒーローを見る。目を血走らせるほどの怒気を込め、彼は言葉を吐き出した。
「あいつはな、絶対にそんなこと言わねぇ。 確かに、道が分かれて争いもしたさ、それをつらいとも思ったさ」
ギラギラと光る眼が、ロウ・ヒーローをとらえて離さない。
「だけど、その道を選んだことは欠片も後悔しちゃいねぇ! 3人ともそれはわかってたんだよ!
 だから俺たちは戦ったんだ! それを……『神の使徒として共に歩みませんか?』だと!? 反吐が出るな!」
そう、3人は分かっていたのだ。
お互いが、もう二度と相容れぬ関係であることを……そして自分の選んだ道は間違っていないと確信していることを。
ルイズと、ウェールズと、タバサ。三者とも、信念に殉じようとしているのは同じでも、その内容は違う。
同様に、彼らも同じことが言えた。ただ、その道がぶつかり合ってしまったというだけ。
共にいたからこそ、その信念の深さを知り、お互い敵対する道を選んだ。擦り寄る道を捨てた。
お互いの理念の内容は理解できずとも、選び取った理由は痛いほどわかるはずだ。
なのに、いま目の前にいる人間は、そのことを知らず、相手の信念の否定を促そうとした。
こいつは、違う。自分の知る――本当のあいつじゃない。

「教えてやる! 紛いものの神の人形じゃねぇ、本物の人間ってものが背負ってるものをな!」

―――恐怖が、消えた。
先ほどまであれほど大きく見ていたロウ・ヒーローはなんだったのだろう。今では、小さな糸繰り人形のようにしか見えない。
力は大きくとも、中身は空っぽの空虚で薄っぺらい。親友の皮をかぶった紛いものなどに負けるわけにはいかない。
その存在を許すわけにはいかない。信じた、たった1つの『信念』とたった二人の友のため、絶対に膝を屈することはできない!
「うおおおおぉぉぉォォオオオッッ!!」
咆哮と共に立ち上がる。


313 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 16:08:49 ID:aDfeB09x
支援

314 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 16:09:21 ID:+o2C9F7s
支援

315 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 16:09:22 ID:aDfeB09x
支援

316 :力を求める使い魔:2007/12/02(日) 16:09:32 ID:KytrcuaJ
デルフリンガーを失った右手にも炎。左手にも炎。両手に携えられた莫大な火炎が、蒼い光となり、収束する。
猛然と光を放つそれを、自分の眼前で打ち合わせる。宙で半プラズマ化した魔炎が壮烈な火花を散らす。
2つの熱量が砕き合う。重く、たまらない音が鳴り渡る。瓦礫を巻き上げ、足元に大きな亀裂が走る。
空気が、焦熱に渦を巻いた。コントロールを失えば、自分の存在を丸ごと消し飛ばすような力を押さえつける。
彼は、知らない。これが何と呼ばれた業なのか。それは斃すためだけに練り上げられた魔人の業火。
意識の純粋さが、純度の高い輝きを生み出す。さながら、煌く太陽。

――――マグナ・アクシス。

とある世界で、最強の魔人、人修羅にのみ許された極意だった。ただの人の身には、有り余る魔法だ。
それを人修羅が『空っぽ』な力で制御したように、彼は『心を満たす想い』の力で制御する。

「『魔人』でもないあなたが……何故これほど!?」
ロウ・ヒーローの表情から初めて侮りと偽りの笑みが消えた。
「流転する万物よ! 神の与えし破壊の力よ! ただ在ることを否定する物よ!」
早口に、詠唱される魔法。その魔法を、混沌として敵対していた彼は知っていた。
空から降臨する何かを受け止めるように、空へ手を広げるロウ・ヒーロー。その眼前に、碧い光球が、燐光を纏い顕現する。
先ほどまでのメギドとよく似ている。だが、込められた神力は桁が違う。
メギドはせいぜい馬車の車輪程しかなかったのに比べ、空を埋め尽さんと拡大し、異様なプレッシャーを放つ。
心臓の如く脈動と明滅を繰り返していた。滑るような輝きを放ち、太陽の光を掻き消さんと光量も増大していく。
しかし、太陽のような濁りのない暖かな光とは全く異質。

――――メギドラ。

それは、炎と、稲妻と、衝撃と、冷撃を超える『万能』の力。神のみが振るい、他の干渉を許さぬ神の法の体現。
それを、彼は自力で制御できるようになった。それほどまでに人間を超えた『神人』になっていた。

電光、一閃、烈風。

まだぶつかってもいないにもかかわらず、その余波が物理現象に転移して、破壊の風を呼ぶ。
蒼と碧。二つの力場が鬩ぎ合い、拮抗に近い状態を作り出す。しかし、それも長くは続かない。
なぜならこの2つの魔法は相手を破壊するために生み出されたものなのだから。
相手へ届けと。歪んでいようと。どんな形であろうと。先程よりも鋭く、蒼く。先程よりも淀み、碧く。
力の膨張はとどまることを知らない。
そこの空気だけは、ハルケギニアのものではなく―――カテドラルのそれだった。

「失せろッ! お前はもう―――」
「消えなさいッ! この世界においてあなたは既に―――」

お互いの言葉は、もう聞こえない。まして届きなどしない。ぶつかり合い炸裂する轟音と、分け隔ててられた心理がそれを許さない。
限りなく近く、果てしなく遠い弐色の力が、激突する。その瞬間、空間が撓み、ギチギチと音を立てる。
彼の体から流れ続ける大量の血が汗と混じり合い、蒸発しながら体から滴った。自分の体に飛来する瓦礫の破片を無視し、マグナ・アクシスに意識を集中する。
猛烈な突風の中、足を踏ん張り、保ち続ける。

広がる光。
広がる力。
広がる決意。

そして――――

――――ホワイトアウト。

視界と意識が崩れいく中、混濁した頭と体が引きずられる。

彼と、メシアの1度目の戦いの幕が降りる。


317 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 16:10:11 ID:aDfeB09x
終わったかな?

支援

318 :力を求める使い魔:2007/12/02(日) 16:12:06 ID:KytrcuaJ
支援、ありがとうございます、
そして>>293さん、すいませんorz本当にこっちの都合で迷惑かけてすいません
これで、2巻は最後です。
次は、(自分の中における)3巻のイベント冒頭と、今回の後日談になります。
学院がabdnに飲み込まれるまで書けるかな?
とにかくこれからもがんばります!

319 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 16:13:19 ID:aDfeB09x
乙〜


さぁてこの二人の闘いの展開はどうなるかねぇ

320 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 16:15:08 ID:+o2C9F7s
乙した〜

321 :Alive a ZERO:2007/12/02(日) 16:18:04 ID:+9Llk7Wx
乙です

CIC
投下地点に到着した
投下許可をくれ!

322 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 16:20:44 ID:BFvXHLbg
GJです。相変わらずイカス出来ですねぇ。

323 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 16:20:58 ID:aDfeB09x
まぁ道は空いていると思うが、どうぞ

324 :Alive a ZERO 第二話:2007/12/02(日) 16:22:15 ID:+9Llk7Wx
では投下させていていただく



神崎が『龍騎』のデッキと才人を魔方陣に落としたそのころ
もうひとつの鏡のなか
異世界ハルキゲニアのトリステイン魔法学院では、2年生の使い魔召喚が行われていた。



「我の運命に従いし使い魔を召喚せよ!」
爆発が起こった…
また失敗した……
この儀式だけは失敗できないのに…
家族から見放されたくないのに、失望させたくないのに…
今まで私のことを馬鹿にしたみんなを見返したいだけなのに…
そのために苦手な先生にでも、召喚のとき心がける事などを聞きにいった。
授業が終わった後も夜遅くまで魔道書を読んだりもした、いつもよりたくさん勉強した。
なのに…
なのに…なんで一回も成功しないの?
「あ〜、ミス・ヴァリエール。もうそろそろ…」
監督のコルベール先生が私を呼ぶ。
「もう一回!もう一回だけやらせてください!」
必死に頼み込む、先生は少し悩んでから。
「分かった…だがあと一回だけだ、これ以上は後の授業に差し支えるのでね」
「はいっ!」
何とか許可してくれた。
魔法の使い過ぎで、もう魔力も殆ど残ってない、使えたとしても後1回か2回が限度。
もしこれで失敗すれば『コントラクト・サーヴァント』のときの魔力は残らない…
「早くしろよ、ヴァリエール!」「もう待ちくたびれたぞ!」とあちこちから野次が飛ぶが気にしない。
気にしてたら失敗するし、何よりもいつもの事だ。
「五つの力を司るペンタゴンよ…」
己の使い魔となる者とそれをここまで導く門をイメージする。
イメージしたのは最強のドラゴン
あとは詠唱を終えるだけ…
「我の運命に従いし使い魔を召喚せよ!」
爆発が起こる、また失敗したと思った、その時煙の中に影があった
それは人だった、この国では珍しい黒髪に、見たこともない服装。
どうやら気絶しているらしい。
「う…」
あ…気がついたみたい
とりあえず誰なのか聞かないと・・・







325 :Alive a ZERO 第二話:2007/12/02(日) 16:25:47 ID:+9Llk7Wx
「あんた誰?」
気がつくと桃色がかったブロンドの髪の『美少女』に分類される女の子が倒れている俺の顔を覗き込んでいる。
周りは…見たこともない光景だ。
「平賀…才人」
まだ覚めきってない頭で答える。
「何処の平民?」
平民?平民って何だ?
意味が分からん…
とりあえず状況整理だ。
まず目覚めたら見知らぬ場所、これはたぶんあの男の仕業だろう。
場所は周囲の建物は石造りだし…ヨーロッパあたりかな?
でもって周囲の服装は…目の前の子は黒いマントの下に、白いブラウス、グレーのプリーツスカートか…
他の人も俗に言う『魔法使い』の格好をしている、
だが人生の曲がり角を曲がったと思われる『某磯野家の家長−1本』な男性までそんな格好をしているから、もう訳が分からん。
人種は肌の色から推測しておそらく欧米人か?
結論、情報が足りないから断定できないけど、何かの新興宗教かコスプレ集団!
そうでなかったら、夢の中か、異世界にでも呼ばれたか何かだ!
と状況整理(?)をしていると。
「ルイズ『サモン・サーヴァント』で平民を召喚してどうするんだ?」
人垣のなかから誰かがそう言うと周囲から笑い声が上がる。
「ちょ、ちょっと間違えただけよ!」
とルイズと子が反論するが
「間違いって、いつもそうじゃん」「流石はゼロのルイズだ!」
と今度はどっと爆笑する。
「ミスタ・コルベール!」
彼女が怒鳴るとさっきの波平…じゃなかった中年男性に「もう一回だけ」とか「お願いです」とか必死に捲し立てている。
「なんだね、ミス・ヴァリエール」
「あの!もう一度召喚させてください」
召喚?さっきも言ってたけど召喚ってモンスターとか精霊とか呼ぶあれか?
「それは駄目だ、ミス・ヴァリエール」
「なぜですか?」
「決まりだよ、二年生に進学する際、君達は使い魔を召喚する。
そして現れた使い魔で今後の属性を固定しそれぞれの専門課程へと進む。
望む望まざるに関わらず、君はその少年と契約するしかない。
それにあと一回だけと約束した、約束は守られなければならない」

326 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 16:25:48 ID:+o2C9F7s
四円

327 :Alive a ZERO 第二話:2007/12/02(日) 16:27:55 ID:+9Llk7Wx

どうやら、やんわりと断られたようだ、ルイズががっくりと肩を落とす。
コルベールと呼ばれた男が続ける。
「では、儀式を続けなさい」
「えーと、彼と?」
「そうだ、もう時間がないんだ、早く契約したまえ」
ルイズが困ったような顔をしながらこっちを見る。
「ねぇ」
「はい?」
「貴族にこんなことされるなんて、普通は一生ないんだから、感謝しなさいよね」
貴族?なんだそれ?こりゃマジで異世界にでも喚ばれたか?
「我が名はルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール。五つの力を司るペンタゴン。この者に祝福を与え我の使い魔となせ」
彼女が呪文を唱え、俺の額に持っていた杖の先を置いた。
そしてゆっくりと彼女の顔が近づいて…っておい、契約ってまさか…
「ちょっと待った契約ってキ、んむっ」
あ…ああ俺のファーストキスが…
ルイズが唇を離す微妙に顔が赤くなっている
「終わりました」
「ふむ、ちゃんと『コントラクト・サーヴァント』は成功したようだね」
「そいつが平民だから契約できたんだよ」
「そいつが高位の幻獣だったら失敗していたさ」
また、彼女を馬鹿にする声
「馬鹿にしないで!私だってたまには上手くいくわよ!」
「本当にたまによね、あなたの場合は」
「なんですって!?『洪水』のモンモランシー」
「誰が『洪水』よ!『ゼロ』のルイズ!」
ルイズは立ち上がり巻き髪の女の子と口論を始めてしまった。
ってなんだこれ?体が熱いっ…
「ぐっ、ぐがぁぁぁぁぁぁ」
「少し黙ってなさい、使い魔のルーンを刻んでるだけよ、すぐに終わるわ」
「んなもん…勝手に刻むな…がぁぁぁぁぁ!」
手が…両手が痛いっ!
暫くすると痛みは治まったが、左手には見たことない文字が、右手には黒い箱に刻まれたのと同じ紋章が刻まれていた。
あ、そういえば箱は?
…黒いやつしかない、どうしよ。
「ふむ、珍しいルーンだね…。君、それを写させてくれないかな?」
「……どうぞ」
どこから取り出したんだろう、コルベールはスケッチブック片手にルーンと紋章をスケッチし始めた。
ちょうどいい、この人に聞くか…
「ところで、ここはどこですか?」
「ん、トリステイン魔法学院だよ、知らないかね?」
「目が覚めたら、こんな所にいたから混乱してるんです」
「はは、君も災難だねぇ」
「第二次世界大戦、冷戦、核兵器これらの言葉を聞いたことは?」
「ないねぇ、なんだいそれは?」
「いえ…何でもありません。」
やっぱりここは…はは、まさかな…
「これで…よしっ、と」
「終わりましたか?」
「あぁ、終わったよ、ありがとう」
そして、コルベールは人垣に向き直り
「さて…皆、教室に戻るぞ」
そういうと彼はふわりと浮き上がった。
周りを見渡すと皆、飛んでいる。
まぁ、召喚だの魔法学院だのといった言葉で予想はしていたが…
実際に見せられると『気が狂ったんじゃないか?俺』とか思うな。
そういえばルイズは浮いてないな…
「なぁ」
「なによ?」
「アンタは飛ばないのか?」

328 :Alive a ZERO 第二話:2007/12/02(日) 16:28:47 ID:+9Llk7Wx
「ご主人様にむかって、アンタって「ルイズ、お前は歩いてこいよ」「アイツ『フライ』どころか『レビテーション』さえまともに使えないんだぜ」」
「…すまない」
どうやら苦手な事らしい…
「と、とにかく行くわよ、さっさと着いてきなさい」
「はぁ…了解」
ふと近くの建物の窓に目をやると
「なっ!なんであいつが?」
『グガァァァ』
窓の中であの紅い龍が何かを威嚇するように翔んでいた。




同じ頃、学院の本塔の屋根の上でこの光景を見ていた者が二人いた
「へぇ、あれが…」
一人はフードを被っていて顔は見えない、そしてもう一人は
「そうだ、奴が『龍騎』の契約モンスター『ドラグレッダー』だ」
よれよれのコートを着た男、神崎士郎
「ふーん、結構強いんでしょ。」
「あぁ、もっとも今回の奴がその力を使いこなせるとは限らんが…」
「ところでデッキの方は?」
「そちらの方も抜かりは無い。多少予定外の事も起こったが、殆どは配布済みだ」
「で、私のデッキは?」
「あぁ、受け取れ」
フードの人物に、カードデッキを渡す神崎
「ありがと、それじゃ」
「そういえば…」
「なに?」
「『オルタナティブ・ゼロ』がこの世界に来ているらしい」
「オルタナティブ?あぁ、あの偽者か」
「もう死んではいるらしいが、デッキは破壊されてない」
「後継者が現れるかもしれないってこと?」
「そうだ」
「ふーん、一応気を付とく」
(もっとも、私の邪魔をするならば、殺すだけなんだけどね)
そう言うと彼(?)は消えた。残った神埼は一人呟く。
「さぁ、踊れライダー達よ、俺の掌の上で!全ては優衣を救う為に」
そう言うと本塔の屋根から消えた…

329 :Alive a ZERO 第二話:2007/12/02(日) 16:31:41 ID:+9Llk7Wx
以上で終了です。
支援ありがとうございます。
ギーシュ戦には一人ライダーを出すつもりです。


330 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 17:14:15 ID:NseFlOAc
3人とも乙です!
>>318
ロウヒーローktkr
しかもマグナアクシスって……最高
次でabdnって……もしかしてアバドンが学園飲み込むの!?
しばらくエクスプロージョン習得は後とか言ってたが……まさか完全オリジナル展開?

331 :MOZ―ザ・ミラクル・オブ・ザ・ゼロ:2007/12/02(日) 17:16:18 ID:w25e0MXO
お久しぶりです。
唐突にMOZ第二十三話、予約無ければ二十五分より投下いたします。

332 :MOZ―ザ・ミラクル・オブ・ザ・ゼロ第二十三話:2007/12/02(日) 17:25:18 ID:w25e0MXO
ルイズ達が学院に帰ってから三日後、手紙が届けられた。
差出人が書かれておらず、見るからに怪しい手紙であったが、ルイズ達はそれをみて息を飲む。
差出人こそ書かれていないが、紙の質がとても高級であったからだ。
このような紙をわざわざ使った手紙となれば、差出人は自ずと限られてくる。
ルイズ達の親族からの手紙かとも思われたが、ならばわざわざ差出人を隠す必要はないと判断された。
だとすれば答えは導かれた。

「……マザリーニ枢機卿からね」

ルイズが手紙を読み上げていく。
部屋にはルイズとレクスの他に、キュルケ、タバサ、ギーシュが詰めている。
そこに書かれていた内容は五人を驚嘆させるに余りある物だった。

『五日後の虚無の曜日、トリステイン王家はゲルマニアとの同盟を宣言し
大魔王ファットバジャーへの討伐軍を発足させ、アルビオンへの進軍を開始する』

これには皆が愕然としたが、中でもその意味を大きく理解していたのはギーシュとキュルケだろう。
ギーシュもキュルケも、戦闘、戦争という物に関しては身近な存在だった二人だ。
ゲルマニアは小競り合いが多く、ギーシュに至ってはそもそも軍人の家系である。
では何故二人が大きく驚いたかといえば、ファットバジャーが復活してより三日、更にその五日後には宣戦布告と進軍を開始するという事は
つまり――

「マザリーニ枢機卿は、既に進軍の準備を進めていた……?」

という事に他ならない。
如何に急な戦争といえど、他国と同盟を結び、それでいて何時かで戦陣を構築し、進軍を開始するというのは不可能に近い。
無理をすれば出来なくもないだろうが、それでは十分な進軍体勢が取れないだろう。
すると、答えとしては既に準備が成されていた、という事に他ならないのだ。
これには流石に全員唸るしかない。
キラー投入の事と言い、ラ・ロシェールまで来ていた事といい、恐らくはファットバジャー――否、オーラの玉の行方を逸早く掴んでいたに違いない。
しかし、ここでどうするか、という話になった。
このような手紙をよこしたという事は、恐らくその進軍の中に加わって欲しいということなのだろう。
で、なくとも、大魔王ファットバジャー討伐などという歴史に残る軍事行動ともなれば、貴族の子弟が集うこのトリステイン魔法学院にも志願兵が募られるに違いあるまい。
男子生徒のほとんどが参戦する戦争となるだろう。
だが、意外な事に、ルイズもキュルケもタバサも、この戦争に参加する事を決意した。
ギーシュは慌てて止めたが、レクスはそれを止めなかった。
悪を倒そうとする強い意志。
それに勝る力など何もない事を、かつて自らの意識をのっとられ、闇に堕ちた事のあるレクスは知っている。
精神力が尽きていたとはいえ、あのワルドをも指の一撃で殺害した――未だ封印が完全には解けていない筈のファットバジャー。
それに対抗しようという意思があるだけでも素晴らしい事だと言えた。
その一端とはいえ、御伽噺ではない、本物のファットバジャーをその目に焼き付けた者の参戦はとても心強いに違いないのだから。
そうと決まれば話は早いが、さて、どうするべきかと皆が悩み始めると

「恐らく、この部屋には探査の魔法か、スパイが潜んでいるだろうね」

と、ギーシュが口を出した。
成る程、考えてもみればこのような重大な手紙を出したというのに、その結果を相手が知る方法を用意していないというのは考えにくい。
同盟を結んだゲルマニア出身であるキュルケは別にしても、タバサはゲルマニアでもトリステイン出身でもないのだ。

――そのギーシュの予想を裏付けるかのように、三十分後には王女の遣いだという男がルイズ達を迎えに現れた。

333 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 17:26:15 ID:so1/p1F/
支援

334 :MOZ―ザ・ミラクル・オブ・ザ・ゼロ第二十三話:2007/12/02(日) 17:27:23 ID:w25e0MXO
五人は王宮の一室へと通された。
そこにいたのは、テーブルの両側に置かれたソファーに座るマザリーニ、ウェールズ、二人を守るように立つキラー。
そして、部屋の奥の窓から外を見下ろす――アンリエッタ王女だった。
アンリエッタを除く三人はルイズ達五人が部屋に入ってきたことを確認すると、横目でちらりとそちらを見て、ゆっくりと立ち上がった。
そしてウェールズはアンリエッタの傍に近寄ると、漸くアンリエッタがルイズ達を向いた。
その顔に五人――特に、ルイズは驚いた。
あの優しげな顔をしていたアンリエッタが、まるで戦場に立つ戦士のように厳しい眼光と決意の満ちた表情をしていたからだ。
だがそれでも、優しい笑顔で微笑むと

「ご苦労様でした、ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール。並びにその御学友の皆さん」

ス、と。
五人が礼の形を取る。
ルイズは少しだけ嬉しく、少しだけ寂しかった。
アンリエッタが王女として立派に振舞っているが――あの時見せた、懐かしい友達の姿ではなかった。

「ワルド子爵の事は報告を受けました。
彼のような素晴らしい貴族を失った事はトリステイン王国にとって痛手ではありますが、彼の死を無駄にしてはなりません。
ファットバジャー復活を許す事になってしまいましたが――アルビオン王国、ウェールズ王子を救出できた事は素晴らしい事です」

申し分のない、完璧な王女の姿。
だがそれが、限界だったのだろう。
不意に、アンリエッタの両目からぼろぼろと涙が零れ落ちた。

「本当に――本当に、ありが、とう……ルイズ……私のおともだち……」

恐らくは表面だけでも王女として取り繕おうとしているのだろう。
だがしかし、親友と、思い人。
双方が現れた事により、既にアンリエッタの少女としての部分が限界を迎えていたのだ。
そんなアンリエッタの肩をそっと抱きしめるウェールズ。

「――では、本題に入ろう」

ウェールズが重い声でマザリーニに合図する。
軽く頷いたマザリーニが、机の上に無造作に置かれていた書類を手に取り、ゆっくりと五人のほうに向いた。

「明後日午前五時、トリステイン・アルビオン・ゲルマニア連合軍はラ・ロシェールの街を奪還し、ファットバジャーの居城へと攻め入る。
現状、ラ・ロシェールの街はトリステインの騎士団と魔物どもが小競り合いをしている。
アルビオンへはラ・ロシェールが最短である事は疑いようもなく、前線基地になる事は間違いないだろう。
そこを抑えるという事は、腰を据えられるという事になる」

――つまり、初戦から重要である、という事。
全軍を投入してでも陣地を構築する必要があるのだ、という。
無論、負けて良い戦いなど早々ないし、初戦が重要なのはどこでも一緒だ。
だがしかし、事この戦に限って言えば、トリステイン史上最大に重要な初戦といえた。
ここで負ければ、大魔王に挑むなどと恐れを抱くものが出るし、逃亡数も増えるだろう。
逆に勝てば、勢いづいて結束を固められる。
つまり、負けても取り返せる戦ではないのだ。

「そこで、君たち五人には――ラ・ロシェールでの一戦より参加してもらいたい」

ウェールズ王子を救出した、王女直轄の親衛隊として――と、マザリーニは伝えてきた。

335 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 17:28:11 ID:so1/p1F/
支援

336 :MOZ―ザ・ミラクル・オブ・ザ・ゼロ第二十三話:2007/12/02(日) 17:29:44 ID:w25e0MXO
戦場というものは常に絶望に満ち溢れているものだった。
つい数日前にドラゴン二匹による死闘によって被害を受けたラ・ロシェールの街だったが
更に見るも無残な姿に成り果てていた。
街の半分は既に魔物に占拠されているのだ。
防衛隊として派遣された騎士や歩兵、メイジ達が奮闘しているものの、しかし一進一退の攻防程度でしかなく
疲れを覚える人間とは体力の差が圧倒的といえる魔物や亜人に対抗するには、そろそろ勢いにかげりが見え始めた頃だった。
持ちこたえられるかどうか。
指揮官が悲痛な決断を下そうかどうか迷い始めた頃、光明が見えた。
討伐軍の先発隊――ルイズ達五人を含む精鋭が到着したのだ。
暗闇に包まれようとしていた防衛隊の意識を、レッドドラゴンのブレスが照らし出した。

『レクス、ルイズ。むやみに魔法力、精神力を消耗するものではない。
私を呼び出すのはいいが――』
「先制攻撃は必要よ!」

レッドドラゴンが忠告をするが、しかしルイズはそれを否定した。
ここでレッドドラゴンを呼び出すようにレクスに言ったのは、ほかならぬルイズである。
今から大魔王に挑もうというのだ。
強力なドラゴンを見せつけ、圧倒的勝利を初戦で得るということは全軍の士気を上げる事に通じる。
その説明を受けたギーシュ、タバサも、これに賛成し、多数決によってレッドドラゴン召喚が決定された。
そしてその効果は絶大だった。
味方は火竜すら軽く凌ぐレッドドラゴンの巨体と、それを操る五人の男女に喝采を浴びせる。
通常戦士五人に匹敵するというオーク鬼は、レッドドラゴンのブレスで十数匹が瞬時に影のみ残してこの世から消え去る。
臓物や骨がその身から見える、ゾンビともいえる風竜や火竜も、そのブレスの余波だけで吹き飛ばされ、叩きつけられて二度目の死を迎える。
無論、それだけで戦闘が終わるほど優しい戦場ではないし、レッドドラゴンも最初に三度ほどブレスをはいただけでその後は空中に静止した。
後に続く戦士たちをブレスの巻き添えにする訳にいかなかったからだ。
しかし、それで十分。
勢いづいた防衛隊や先発隊は次々に魔物や亜人を打ち倒して行き――二時間もしないうちに、ラ・ロシェールの街は連合軍が奪取する事に成功した。
途中からはレクスやルイズ達も地上に降り立ち、前線で戦っていたのだ。
ギーシュもワルド子爵の時のような怯えは無く、ワルキューレで身を守りつつ亜人を打ち倒して行った。
五人が笑顔を浮かべ、勝利を皆と喜ぶ。
その自信と喜びに満ち溢れた表情に、全軍の士気は更に高まっていった。
尤も、五人とも、その表情の通りの心境な訳ではない。
何せファットバジャーの実力はスクウェアメイジをも一蹴するのだ。
ハイパードラゴンコンボを完成させて尚勝利できるかどうか。
しかし、その不安を見せてはいけなかった。
見せれば――ただでさえ不明瞭な勝率は、確実に下がる事になるのだから。

337 :MOZ―ザ・ミラクル・オブ・ザ・ゼロ第二十三話:2007/12/02(日) 17:30:55 ID:w25e0MXO
蠢く闇があった。
かつて大聖堂としてアルビオン王国に使われていた場所だ。
その壁を破り、蠢く闇があった。
巨大な猪のような口に、地獄の馬を思わせる青い鬣。
頭の左右と、額より生える鈍い光沢を放つ銀色の角。
その頭部だけで大聖堂にあるステンドグラスを軽々上回る巨体。
――大魔王ファットバジャーである。

「大魔王ファットバジャー様……その上半身の封印よりの復活、心よりお祝いを申し上げます」
『そのような事はどうでもいい――それよりも』

その前に立つのは、レコン・キスタの首領、神聖アルビオン共和国皇帝、オリヴァー・クロムウェル。
そして、その手に掴まれている死体があった。

「は、我が軍に対抗するとしてトリステイン、ゲルマニア、アルビオン残党が手を組み、征伐軍として向かっておりますが――」

我に秘策あり、とばかりににやりと笑うクロムウェル。
それを見たファットバジャーが微かに口元を歪め、任せる、とだけ呟いた。
クロムウェルが右腕に掴んでいた死体を床に放り投げる。
四肢は千切れ、皮一枚でつながるどころか、服でのみつながっている部分もある死体だ。
胴体部分はほぼ失われ、人体としての造形をマトモにはとどめていない。
だが――

「さぁ、甦れ。ファットバジャー様の加護を受けて!」

クロムウェルの指に嵌められた指輪が妖しく光る。
すると、そのちぎれた死体がぴくりと動き出し、ゆっくりと、しかし、人体としては非常に緩慢に動き出した。

「それでいい、甦ったならば――その手で打ち崩してくるが良い。
レコン・キスタの裏切り者よ、今度は、死して自らの忠義を裏切るのだ、ワルド子爵!」

ォォォ――

悲しげな声が、ワルド子爵の死体から漏れた。

338 :MOZ―ザ・ミラクル・オブ・ザ・ゼロ:2007/12/02(日) 17:32:21 ID:w25e0MXO
そんなところで一ヵ月半はご無沙汰の二十三話でした。
なんといいますか、書くのを離れると辛くなりますね。

339 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 18:10:11 ID:7Tb0KlfF
>>338
投下乙です

340 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 18:24:55 ID:TDnZxUuu
皆さん、投下乙です。
ちょっと気になったところがあったのですが
マグナ・アクシスではなく
マグマ・アクシスではないでしょうか?
勘違いでしたら申し訳ありません。

341 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 18:41:55 ID:68jdnvXQ
ロマカロルみたいな感じの技?

342 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 18:54:58 ID:TDnZxUuu
>341
HP残量で威力変化ではなく
HP消費で使用する、範囲が単体の強力な火炎魔法と考えたほうがいいかと。
ハッカーズなら……火砕烈風破の単体版?


343 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 19:15:20 ID:sBRBb/qJ
マグマ・アクシスのほうが正しいんだけど、結構多いんだよな、マグナアクシスと勘違いしてる人

それはともかく実にGJ、ゼロ魔キャラがかけらもはさまずほとんどメガテンだけどw

344 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 19:42:08 ID:wzvbkNEy
MOZの作者さん、投下乙です。
ずっと待ってました!

345 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 20:01:20 ID:+V/t1xhZ
MOZの方待ってましたGJ!
しかし、本当死者を甦らせる能力は外道だな……

346 :松下:2007/12/02(日) 20:05:55 ID:kHscge4p
乙でしたー。ドラゴン召喚はごっついなあ。
んじゃ、10分後投下します。

347 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 20:15:35 ID:VAuI+i2L
ヨォーソロー
各機、順次投下されたし

348 :新約・使い魔くん千年王国 第七章 魅惑の妖精亭 1/5:2007/12/02(日) 20:17:03 ID:kHscge4p
さよなら、モット伯爵。


夏の盛り、トリステインの農民は農作業に、町民は商売に勤しむ。
貴族も平民も、夜になれば酒場に繰り出し、陽気に飲み騒ぐ季節であった。

その頃。松下の『魔酒』によって破産に追い込まれ、枢機卿にも見離されて名誉も杖も家屋敷も失った、
トリステイン王国の元伯爵『ジュール・ド・モット』は、借金取りに追われ、
死に場所を求めて深い山の中を彷徨っていた……今はただ、モットと呼ぼう。

「私の一生は一体、なんだったんだろう……。
 慌て、心配し、苦しみ……ただ利益を追求し、くだらない骨董品や古書を掻き集め……
 愛する妻に早く先立たれてからは、病気のように女漁りを続けてきた……」
豪勢な邸宅に住まい、平民の美女を山と抱えても、彼の心の渇きは癒されなかった。
『波濤』のように次から次へと、言い知れない不安が襲ってきた。

「権謀渦巻く宮中で安全に生きるには、より多くのカネを得なければならんという不安が、
 知らない間に『生きがい』となってしまって……
 本当の幸福とはなんだ、ということを考える余裕もなかった……」

照り付ける夏の日差しも、山の中では涼しく、森では小鳥が鳴き、草花が咲き乱れている。
「ああ、自然はいいなあ……こんな美しい花まで咲かしてくれて……。
 あー、死を前にして、初めて静かに自然を見た……」
ふっと彼の脳裏に、いままでの人生が走馬灯のように過ぎり、心の中に悟る事があった。
「人間はみな、『生きる』という不安から、知らない間に心の病気になっているんだ。
 こんなひったくり合う世の中でなく、もっと人間同士が温かく生きる世の中は、できないものだろうか……」

家もなく家族もなく、一人で人生哲学を弄ぶうちに、彼の心にはもう一つの考えが湧いた。
「悪魔のような債鬼どもに命まで取られないうちに、潔く死のう! 幸い、人もいないようだし……」

モットは、手ごろな木の太い枝に拾ってきた荒縄を括りつけ、身長よりやや高い位置で輪を作った。
そして倒木を踏み台にして、縄の前に立った。
「心配になるものは、何もかも失った私には何一つない……いや、一つあった。
 偉大なる始祖ブリミルよ、どうか神に取り成して、私の魂を地獄に送らず、この美しい自然にお返し下さい……!」

穏やかな、全てを諦め切った表情で、モットは自分の首に縄をかけると、
ヒョイ、と死出の旅路へと踏み出した。

349 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 20:17:31 ID:I4wytkga
支援

350 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 20:19:12 ID:P+7fLMg2
支援砲撃開始

351 :新約・使い魔くん千年王国 第七章 魅惑の妖精亭 2/5:2007/12/02(日) 20:21:37 ID:kHscge4p
しかし、ビリッと縄は途中でちぎれ、モットは死に切れず、ステンと尻餅をつく。
「縄が弱すぎたんだ……」
命拾いした。始祖ブリミルのご加護だろうか。……とは言え、生きていてなんの甲斐があろう。
全てを失い、借金まみれの中年の元貴族に、この先働く、生きる場所などあるのだろうか。

「いや、死ぬならいつでも死ねる! もう一度、女王陛下にご相談してみよう。
 これでも元伯爵で『水のトライアングル』級、それなりの地位には戻れるかもしれない……」
モットは襤褸を纏い、人目を憚りながら、王都トリスタニアの方角へ向けて歩き出した。


王都トリスタニア、裏通りのチクトンネ街。そこを歩くのは、ルイズと松下、それにアニエスだった。
「ねえマツシタ、そうは言っても、本当に平民として一ヶ月も暮らすの?
 ……私は気が進まないわ、陛下の勅命であっても」
「平民と言ってもピンからキリまである。粉挽きの娘も、巨大製粉企業の令嬢も、爵位がなければ『平民』さ。
 有り余るカネと人脈を使うなとは言われていない。ひとつ、ぱーっと城下町の再開発でもしてやるかな。
 あくまでも、不動産経営・土木建築系企業を所有する『一民間人』として、だが」
「そう言うのを、『ヤクザ』って言うのよ!!」

「まあ、それは冗談として、この辺りの武器屋と秘薬屋をぼくの部下に任せていたな。
 流通ルートはゲルマニアやガリアにもあるが、地産地消のために、基本的にはトリステイン国内産のものを使用している。
 表通りのブルドンネ街に出しても文句はない品質だ。比較的値段も抑えてある」
「なによ、チサンチショーって」
「地元で生産されている物を、その近くの地域で消費することだ。通貨の地域外流出を防ぐ役割もある。
 規模を大きくすればブロック経済になりかねんから、他国との貿易も強化はされるべきだろうが」
「さっぱり分かんないわ」

三人はひとまず『ビビビンの秘薬屋』へ向かい、今後の方針について協議する事にした。
そこへ、汚らしい身なりの中年乞食が現れる。禿頭で痩せ細り、鯰のような口髭はあるが、見るからに貧民である。
「もし、立派な身なりのお嬢様がた、おぼっちゃま。哀れな乞食に、どうかお慈悲を……」
ルイズは露骨に嫌そうな顔をする。金貨と銀貨は財布にあるが、ドニエ銅貨など持っていない。
アニエスに出させて追い払おう、と思った時、松下が口を開いた。

「……なんだ、誰かと思えば、破産した悪徳徴税官のチュレンヌか。どうだい、清貧には慣れたかな?」
「おおお、これはメシア! お蔭さまで、生き延びておりますぞ!
 貴方様の思し召しにより、貧民生活も悪くないと思うほどになりました。肥満は病気の元ですからなあ」
「嘘だッ!!」
ルイズがつっこむ。肥え太っていたという彼の体は、すっかり骨と皮だけになっていた。
しかしその表情は今や晴れやかで、瞳も輝いている。まるで苦行僧のようだ。

352 :新約・使い魔くん千年王国 第七章 魅惑の妖精亭 3/5:2007/12/02(日) 20:23:45 ID:kHscge4p
「ははは、まあ過ぎたる苦行は及ばざるが如し。『魔酒』の毒とともにきみの罪業も尽き、よい顔になった。
 いずれぼくのタルブ伯領で取り立ててあげよう。秋まで待っていたまえ。
 ……ではひとつ、平民なり貧民なりに流れている噂話を、少々聞かせてもらおうか」
「ええ、喜んで! こう見えても私は、このあたりの貧民窟では顔役になっておりまして。
 都下の飲み屋で出す旨い残飯ランキングから、女王陛下を巡る卑猥な話まで、何でもわきまえておりますぞ!」
ルイズとアニエスは眉根を寄せたが、任務であると考え直して表情を戻した。ずっと無口ではあったが。


《ふたりの人が、祈るために宮に上った。ひとりはパリサイ人(民衆派ユダヤ教徒)で、もうひとりは取税人であった。
 パリサイ人は、立って、心の中でこんな祈りをした。
 『神よ。私は強請る者、不正な者、姦淫する者ではなく、この取税人のようではないことを、感謝します。
 私は週に二度断食し、自分の受けるものはみな、その十分の一を捧げております』
 ところが、取税人は遠く離れて立ち、目を天に向けようともせず、自分の胸を叩いて言った。
 『神よ! この罪人の私を憐れんでください!』
 この取税人は、義と認められて家に帰った。自分を高くする者は低くされ、自分を低くする者は高くされるであろう》
  (新約聖書『ルカによる福音書』第十八章より)


一行は『ビビビンの秘薬屋』の二階で密談した。
「……なるほど、やはり女王=マザリーニ路線には、平民にも反対者が多いのだね。税金も高くなっているし」
「太后や女王は飾りのようなもので、実権は枢機卿が握って来ましたから。
 平民の血が混じっているという噂も、共感よりは嫉妬に通じているというわけでしょう!」
「いや、陛下は着実に政治力をつけて来ているよ。ぼくが保証する。
 いずれマザリーニが死ぬか引退すれば、彼女が親政を開始するだろう。まぁ、補佐は必要だろうが……」
見た感じでは、マザリーニの寿命はあと10年余り。それまでには千年王国を形にしておきたい。

そろそろ日が暮れてきた。ルイズとアニエスはしっかりメモを取り、チュレンヌの話を纏めている。
件の『薔薇十字団』については、名前とチラシは有名だが実情は分からず、存在自体定かでないという。
「ところでメシア! 今宵はどこにお泊りで? まさか貧民窟にはお泊めできませんし」
「ブルドンネ街に宿を予約してある。資金は潤沢だから、一ヶ月ほど居座るつもりだ」
「そうですか。では再会を祝して、酒場にでも行きましょう! いままで溜め込んだ金銭をぱっと使ってしまいます!
 ねえ、お嬢様がたには、いい男が一杯の楽しい酒場もございますよ! うひひひひひひ」

「……どうするね? 『東方』産の茶やコーヒーを出す、カッフェという店もあるそうだが」
「……そうね、行ってみようかしら。酒場ほど情報が集まるところは、そうそうないわ!
 ダメそうなら、カッフェとやらへも行ってみましょうよ」

353 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 20:25:29 ID:P+7fLMg2
しえーん(・3・)

354 :新約・使い魔くん千年王国 第七章 魅惑の妖精亭 4/5:2007/12/02(日) 20:26:14 ID:kHscge4p
目的の酒場は、チュレンヌが徴税官をやっていた時からの馴染みだという。
夕方のチクトンネ街をしばらく歩くと、『魅惑の妖精亭』と書かれた看板が見つかった。

「あ〜ら、いらっしゃあいチュレンヌちゃ〜ん。今日は随分久し振りに、ぱりっとした恰好ですこと!」
「やあスカロン、久し振り。今日は可愛い女の子と、私の大事なお客様をお連れしたんだ。最高のおもてなしを頼むよ!」
「もっちろんよぉ! 張り切ってお仕事しちゃいましょ、妖精さんたち!!」
「「押忍、ミ・マドモワゼル!!」」
低く野太い漢たちの挨拶が店内に響き渡った。

『魅惑の妖精亭』。別名、『地獄の妖怪亭』。
むくつけき漢どもが化粧を塗りたくり、きわどい衣服を纏って給仕する、その手の店である。
亭主のスカロンも、いい体格の中年男だったが、大きく胸元の開いた紫のサテン地のシャツから胸毛を覗かせ、
鼻の下と割れた顎に洒落たヒゲを生やし、黒髪をオイルでてからせている。強い香水をつけているようだ。

「魅惑の妖精たちのお約束! ア〜〜〜ンッ!」
「「ニコニコ笑顔のご接待! 押忍!!」」
「魅惑の妖精たちのお約束! ドゥ〜〜〜ッ!」
「「ぴかぴか店内清潔に! 押忍!!」」
「魅惑の妖精たちのお約束! トロワ〜〜〜ッ!」
「「どさどさチップを貰うべし! 押忍!!」」
「トレビアン」

「…………さあ、ルイズ、アニエス、帰ろうか」
「ええ、ついでに火を放ってしまいましょうか。風紀を著しく乱しているわ」
「ちょっと銃士隊に連絡してきます」

ひとしきりチュレンヌを袋叩きにしたあと、三人は珍しく意見が一致した。

355 :新約・使い魔くん千年王国 第七章 魅惑の妖精亭 5/5:2007/12/02(日) 20:28:24 ID:kHscge4p
真夜中。人知れず国境近くの山野を彷徨っていたモットは、ようやく生きる目的を見出し、村里へ降りてきた。
汚らしい襤褸を纏い、髭もじゃで垢にまみれ、拾った木の枝を、体を支える杖に突いている。

「ああ! だがこのままでは、わしは空腹のあまり死んでしまう!!
 ……おおっ、家だ!! やっと、人のいるところへたどり着いたぞ……」
しかし、この真夜中に貧民同然のモットを受け入れる家はない。誰も扉を開けようともしない。
慈悲深い家でも、せめて銅貨やパンの切れ端を投げ与え、追い払おうとする。
空腹と怒りの余り、モットはばったりと倒れこんだが、思い直してそれらを拾う。
夜になるとゴミ捨て場を漁り、残飯を食べた。山で獲れる魚や小動物や、種類の知れない木の実の方がましだった。

「ああ……なんという残酷な運命だろう。杖も地位もない貴族は、こんなにも無力だったのか……。
 わし自身さえ、この身の上に起こった事実をいまだに信じられん」
杖さえあれば、メイジは優れた力を振るえ、貴族でなくなってもなにがしかの仕事はある。
水なら医療関係者、風なら操船・通信業、土なら細工師・鉱山師や農業経営者、火なら鍛冶師や工業関係職。
複数の系統が扱えれば更によい。コモン・マジック一つでも、魔法の使えない平民よりは凄いのだ。

しかし、貴族は体面を守るため借金まみれである場合が多く、没落貴族も増えている。
そうした連中は傭兵やテロリストとなり、食と職と世界の破滅を望んで戦争を引き起こす。
もっと、もっと、もっと、もっと。
馬鹿馬鹿しい、際限のない欲望が、どれだけ自分自身を、そして人々を苦しめているかを、モットは身を以って学んだ。
戦争のみならず国境も、考えてみれば人類全体にとっては害悪なのではないか。いわば『公害』だ。

私がもっと力を持っていれば、枢機卿だって女王陛下だってアルビオンだって、なんだってやっつけられるんだ!
そして、苦しんでいる善良な人間を救う事だってできるはずだ!
そうだ、神様でも悪魔でもいい、凄まじい力を持った人間が、こんなおかしな世の中をひっくり返してしまえ!

モットは、段々危険な思想に染まりつつあった……。

(つづく)

356 :松下:2007/12/02(日) 20:30:36 ID:kHscge4p
投下終了、支援に感謝。
『貧しき者は幸いなり』って事で、モットとチュレンヌはすっかり貧民生活を送っていました。
『悪魔くん』誕生の背景には、水木大先生の厳しい貧乏生活があったそうで。
そして薔薇十字団ならぬ『地獄の妖怪亭』。ま、『友情物語・男子バージョン』みたいなアレで。
あなたはまるで、妖怪のように美人ですね。醜い妖精もいっぱいいるんですが。

では、また。

357 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 20:44:15 ID:yZS/OVXQ
へんたい、へんたい、へんたい乙〜♪

358 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 20:45:03 ID:WRNLzgGK
松下君、乙


359 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 20:45:24 ID:BMu/cVT6
夜天さん新作キター

360 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2007/12/02(日) 21:07:04 ID:B2h84QAT
使い魔くん相変わらずGJです!

ところで一度12、3歳くらいの少年時代のジョゼフ主役でSS書いてみたいんだが、
やはりこういうのは避難所のほうがいいのかな・・・?
というかどんな子だったんだろ?

361 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 21:12:43 ID:+fYIAqKj
>>360
ガキの頃のジョセフは捻くれじゃなかったっけ?

362 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 21:14:01 ID:1Cn0or8y
明らかにスレの趣旨から逸脱するだろ
別作品のキャラを「ルイズが」召喚する事で生まれる話を作り集めるスレなんだから
主役と言うか召喚主が100歩譲ってもタバサヤキュルケ等の生徒系レギュラーでないと
スレチもいいとこだ
しかも召喚元作品によっては分別要だし

363 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 21:28:55 ID:Qn4r8wAR
>>360
避難所でもアウトな気がする。
>>362が言っている事もあるし、それに「どんな子だったんだろ」と首を傾げてる時点で危険だと思う。
それはつまり、キャラを把握していないと言われても不思議じゃないし、その時点で書いても最悪、
ジョセフと言うゼロ魔オフィシャルのキャラが半オリキャラ化する恐れがあるしな。
それに、後々オフィシャルの方でその辺触れられるかも知れない訳だし。

364 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 21:36:23 ID:aqRKiDms
焼きたてジャぱんでちょっと書いた
数分後に投下する
予定

365 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 21:38:20 ID:QNZJLb9j
ギーシュが河内化する気配がぷんぷんする

366 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 21:41:32 ID:P+7fLMg2
商用大型ガレオンで戦列艦までLv上げできる。
海事専用で使うなら鉄張りのほうがいい

367 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 21:42:03 ID:P+7fLMg2
ごwばwwwww

ついでに支援

368 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 21:42:39 ID:Ov1yhYgr
リアクションでタバサママン回復。

369 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 21:42:44 ID:rQLg6brC
>>365
ルイズの方が似合いそうなw

370 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 21:43:11 ID:1Cn0or8y
なんやて!?

371 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 21:44:43 ID:QNZJLb9j
>>368
いやきっとタバサがリアクションで過去に戻って料理食べるの阻止する

372 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 21:48:32 ID:aqRKiDms
魔王を倒して、通常業務に戻った東たちであったが
そんなある日

「さーて、今日もジャぱんを焼くんじゃよー」
和馬が部屋の姿見の鏡で髪を梳かしカチューシャを付けて
出勤という時 突然鏡が輝いて強力な吸引力でもって和馬を吸い込んだのである。

きゅっぽん

数分後、和馬が中々来ないので心配になった河内が真空に晒されて
荒らされたかのような惨状を目撃してなんやてを連発したのはお約束である。

そして、ルイズに召還された和馬はというと
見たことも無い場所に多少驚いたが、ルイズにキスをされ
手の甲に刻まれるルーンの熱にのたうち回ったのである。

「うぎゃああああ、手が燃えるように熱いのじゃよーーーーー」

パン職人に取っての武器である手に刻まれたガンダールフのルーンが
常時稼動状態になり太陽の手を超えた
太陽の手アルティメイティッドを作り出した。

「それで、あんた何が出来るのよ」
「そうじゃ!!ジャぱんでいいなら毎日食わしてやる!!美味えぞーーー」
「もういいから、着替えさせて」
「お、女の子の裸を見るのはまずいんじゃー」
「いいから、とっととやって」

和馬が恥ずかしがりつつ、ルイズを着替えさせると
洗濯物を投げつけられ仕事を命じられるのであった。

そして、次の日
「あんたは朝食抜きよ!」

不興をかった和馬は食堂を借りてパンを作る事にした。
そして、異世界の食材を使って新たなジャぱんを作るのだが、

それはまた次回

373 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 21:49:32 ID:iIC3rXTA
うわ……

374 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 21:51:09 ID:aqRKiDms
ご当地パン
 クックベリーパン
 はしばみパン

そしてオカマ言葉のワルド「使い魔ちゃん、私と勝負しなさい」

375 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 21:51:31 ID:Y+NjR3GP
( ^ω^)……

376 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 21:52:56 ID:QNZJLb9j
えっと・・・

377 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 21:53:07 ID:MJbZRSf/
宝物庫に収められていた巨大な輪から人間が現れました。

ダニエル「始祖ブリミル? そいつはゴアウルドだ。」

378 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 21:54:36 ID:MJbZRSf/
投下中と気づかずにすまない支援

379 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 21:55:12 ID:qoPRP4ww
リオ「我が拳は王の拳、幻獣グリフォン拳」
ルイズ「グリフォン?ふーん」
リオ「(´・ω・`)」

380 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 21:56:06 ID:MJbZRSf/
と思っていたら投下終了していた罠

381 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 21:56:16 ID:g/uM8uZn
>>379
ジャン「ルイズの胸ペタペタのスカスカだな!」
爆発

382 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 21:59:36 ID:fnR7isEn
400なら水瓶座のカミュを召喚

383 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 22:04:34 ID:Foi8+bFH
>粉挽きの娘も、巨大製粉企業の令嬢も、爵位がなければ『平民』さ。


いいのか?いろいろと………

384 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 22:04:38 ID:Ov1yhYgr
>>379
「サイトさんの愛のために生き、サイトさんの愛のために戦うラブウォリアー」シエスタと申したか

385 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 22:05:55 ID:qoPRP4ww
>>379
メレ「貴様っ、リオ様になんて口の効き方を!」
ルイズ「あんたは何なのよ」
メレ「私はリオ様の愛のために生き、愛のために戦うラブ・ウォーリアー、幻獣フェニックス拳、メレ!」
ルイズ「フェニックス!?凄いじゃない!」

リオ「(´・ω・`)」

386 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 22:06:01 ID:uGnQcbet
これはないわ
せめて小ネタになるくらいは書いてくれ

387 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 22:09:53 ID:so1/p1F/
これはこれでアリだと思うが…

388 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 22:09:55 ID:zq1aQjxq
>>377
龍の羽衣がグライダーだったり、破壊の杖がナクアダ動力のエネルギー砲だったりするわけだな
貴族みたいなエスパーはエンシェント起源ならこじつけれそうだが。
年が釣りあう様にクローンオニール召喚ってのを妄想してみたが、マニアック過ぎてやめた

389 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 22:11:01 ID:4lifhkyi
これじゃあらすじだしなぁ。
このままじゃナンだ、もうちょっと膨らませてほしい。

390 :異世界BASARA:2007/12/02(日) 22:11:06 ID:+1f0b642
すごく久しぶりな感じがしますが、投下してもよろしいでしょうか?

391 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 22:12:39 ID:4lifhkyi
外伝発売記念支援

392 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 22:12:47 ID:jz+Vrkcn
>>390
雑談なんか気にせず投下しちゃえ

393 :異世界BASARA 1/6:2007/12/02(日) 22:14:36 ID:+1f0b642
では、忘れられているかもしれませんが続きを投下します


「ウィーック、じゃあなボブさん。またなぁ〜」
酔った客はふらつきながらも家の中に入っていく。
ボブと呼ばれた忠勝はそれを確認すると店へと戻る為に移動を開始する。
このように、酔い過ぎた客を家へと送るのも彼の仕事になっているのである。
忠勝は夜も遅いのを考慮して、極力騒音を立てないように道を進んで行く。

「……キャァァ!」

と、何処からか聞こえた悲鳴が忠勝の音響感知センサー……じゃなくて耳に入る。
「…!」ヴィン、ギュオォーン!!
それを聞いた忠勝は速度を上げ、悲鳴の聞こえた方に向かって行った。


「ひひ、こいつは綺麗なお嬢さんじゃねぇか」
「おい、俺が先だぜ!」
暗い路地裏で2人の男が1人の少女を行き止まりに追い詰めていた。
男達は手に剣を持っており、質素な鎧を着ている。どうやらならず者の傭兵のようだ。
「い、いや…やめて…」
少女は後ずさるが背後は壁、逃げ場がない。
(誰か…誰でもいいから助けて…!)


「あん?」
その時、妙な音が男達の耳に入ってくる。
地響きのような、フネが上空を横切った時のような音が自分達の後ろから近づいてくる。
男達は振り返った…
「…!……!」グワアァァン!!
丁度振り返った瞬間、巨大な影が男達の前に現れ、目を赤く光らせていた。
「こ、こいつまさか…!最近ここら辺で噂になっている…」
現れた者を見て、ならず者2人が同時に叫ぶ。



「鋼鉄のボブ!!」
「漆黒のボブ!!」
本多忠勝である。


394 :異世界BASARA 2/6:2007/12/02(日) 22:16:32 ID:+1f0b642
「…お、お、おい…どうすんだよ!」
「ど、どうするったって…」
目の前に仁王立ちしている忠勝に2人のならず者はうろたえる。
逃げようにも、逃げ道は忠勝の後ろ…少女を追い込んでいた筈が、今は自分達が追い詰められていたのである。
「………」シュゥ…シュウゥゥ…
「う……うう…うわあああぁぁ!!!!」
と、1人が剣を抜き、やけくそになって忠勝に斬りかかった。


しかし…
ガキン!…という音がして、剣が根元からポッキリと折れた。


「あ、あ…あわわわわ…」
「……………」ゴゴゴゴゴ…
「す、すまん俺達が悪かっ…」

謝るよりも速く、忠勝の手がならず者の首根っこを掴む。
少し力を入れると、「ぐえぇっ!!」という声を上げ、失神した。

気絶した男達を放り投げると、忠勝は少女を見る。
「あの、魅惑の妖精亭で働いているボブさんですよね?」
言葉の代わりに、音を発して少女の問いに応えた。
「助けてくれてありがとうございます!気をつけてはいたんですけど…」
頭を下げている少女を、忠勝は持ち上げ、自分の肩に乗せる。
「…もしかして…送ってくれるんですか?」
「!……!」ヴィィン!!キュイキュイ
「ありがとう!それじゃあ、お願いしても宜しいかしら」

それを聞くと、忠勝はゆっくりと移動を開始する。
店に帰るのが少し遅くなるかもしれないが、ジェシカもいるし大丈夫だろうと思った。



だが実際は、店で大問題が起きていたのである。

395 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 22:18:02 ID:P+7fLMg2
恵心

396 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 22:18:10 ID:43fbhmGe
Hey Bob! 支援

397 :異世界BASARA 3/6:2007/12/02(日) 22:18:11 ID:+1f0b642
「……………」
「……………」

さっきまで賑やかだった店内は一気に静まり返り、皆、幸村を見ていた。
従業員用のドレスをピッチピチにして身に纏い、すね毛の生えた足が気持ち悪さを倍増させている。
よく見ると口紅まで塗っているではないか。
ルイズは体中をプルプルと震わせながら幸村に問い詰める。
「ユユユユユキムラ?それは一体何の冗談かしら?」
顔こそ笑ってはいるものの、眉がピクピクと動いており、いつ堪忍袋の緒が切れてもおかしくない。

「拙者…じゃなくてあたしは幸村ではない!」
「……はい?」
「あ、あたしは…」

幸村は顔を真っ赤にし、汗を流しながら目をグッと瞑る。
遠い元の世界、甲斐にいる自分の主の事を頭に思い浮かべた。

(甲斐におられますお館様!拙者に…この幸村に力をおおおおおぉぉぉぉぉー!!!)

幸村はスカートの裾を摘み、精一杯の笑顔で一礼をした。


「あ、あたしは幸姫!今日からここで働く事になりましたですぅ!よろしくなのですよぉ〜!」


「「「「「ぎいぃやあぁぁぁぁああぁぁぁぁAAAAA!!!!!!」」」」」
その瞬間、店は阿鼻叫喚に包まれた。

398 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 22:18:34 ID:6itdTlzm
外伝おもしれーのかな支援

399 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 22:19:17 ID:EvEeZLyl
>>389
パンだけにな

……ごめん、どうしても言いたくなったんだ支援

400 :異世界BASARA 4/6:2007/12/02(日) 22:20:27 ID:+1f0b642
「何だよアレ気持ち悪いぃぃ!」
「目を合わせるな!絶対に目を合わせるなよ!!」
「うわあぁぁ未知との遭遇!!!」
店の客、従業員は一斉に壁まで後退し、座っていたイスや近くのテーブルを盾にする。
ルイズに絡んでいた客も一緒に逃げようとした。

「お待ち下されですぅご主人さむうあぁぁ!!」

だが幸村に捕まってしまった。

「止めろ離せ!は、離してくれぇ〜」
「今代わりの酒を持ってくるでござ…じゃなくて持ってくるです!」
必死にもがくが、その強い腕力のせいで振りほどく事が出来ない。
暴れる客に、幸村の顔が近づいてきた。
「止めろやや止め………おかあちゃぁぁーーん!」


「止めなさいこのバカムラアァァァァッッ!!!!」


と、暴走を続ける幸村に向かってルイズの一喝が飛んできた。
それと同時に、頭にゲンコツが振り下ろされる。
「ぬぉっ?」
頭に来た衝撃で幸村は我に返り、振り返る。
普通ならここでルイズが仁王立ちしているものだが、彼女は殴った方の拳を抑えてうずくまっていた。

「ルイズ殿…じゃなくてルイズちゃん!大丈夫ですかぁ!?」
「うううるさいわよっ!いいからあんたちょっと裏に来なさい!説教してやるんだからね!!!」

ルイズは目尻に涙を浮かべながら怒鳴る。
厨房の奥へ消える2人を、客と従業員は見送った。

401 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 22:22:01 ID:Ov1yhYgr
松下に続いてたいへんたいへんたいへんなヘンタイ支援

402 :異世界BASARA 5/6:2007/12/02(日) 22:22:12 ID:+1f0b642
「さぁて、何でこんな事したのか聞かせてもらおうかい?」

店の奥で、ジェシカとルイズが床に正座している幸村…そしてスカロンを見下ろして言った。
何故かスカロンの頬には平手を喰らったような跡がある…どうやら一足早く折檻されたようだ。

「あ、あのね…ユキムラちゃんが何とかあなたの力になりたいって言うからそれで…」
「ふーん、で…ユキムラは何でそんな格好をしているのかしら?」
ルイズは幸村の方に目を向ける。


「ルイズ殿が客を取れぬのなら、拙者が客を取るしかぬぁいではないかあぁぁぁーーっ!!!」
「馬鹿かあんたは!!!!」


顔を真っ赤にして叫んだ幸村を、同じように顔を真っ赤にしながルイズは怒鳴りつけた。
そもそも、あの格好をして本気で客を取れると思っていたのがある意味凄いものである。
「あんたには誇りってものはないの!?」
「ルイズ殿のお役に立つ為ならば!誇りは一時捨て置く覚悟でござる!!」

そんな風に言い合っていると従業員の娘がやって来た。
「スカロ…じゃなくてミ・マドモワゼル!困った事が…」
「どうしたの?また困ったお客が来ちゃったのかしら?」
娘はそうですとばかりに頷き、困った顔で言った。


「はい、その…チュレンヌ様がいらっしゃって…」

403 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 22:23:09 ID:Q+lm4Bnc
支援

404 :異世界BASARA 6/6:2007/12/02(日) 22:25:58 ID:+1f0b642
スカロンが戻ってみると、店内は静まり、さっきまでいた客はいなくなっていた。
いや、テーブルの1つに太ったの男が座っている。
この店にいつも来ている客とは違い、貴族が着るような服とマントを着ている
それを見たスカロンは慌てて駆け寄っていった。

「こ、これはこれはチュレンヌ様!ようこそお越し下さって…」
「むふふ、久しぶりだなスカロン、中々繁盛しているそうではないか。最も…」
チュレンヌと呼ばれた男は店内を見回し、下品な笑みを浮かべる。
「今は閑古鳥が鳴きそうな程寂しくなっているがな…ははははは!!」
「ほ、ほほほ…」
当たり前だ、客がいないのは彼が部下に命令して全て追い出したのである。

「ところで、何故誰も酌をしない?私は貴族であるぞ!誰かおらんのか!?」
従業員が酌をしたがらないのにも理由があった。
このチュレンヌという男、酒を飲んで体にベタベタ触ってくる癖にチップの1つも払わないのだ。
その振る舞いに皆うんざりしていたのである。
「ええいどうした!女王陛下の徴税官である私を待たせるでない!」

「まったく…誰が好き好んであんたに酌するってんだい」
チュレンヌの様子を見ながらジェシカは小さな声で呟く。
他の従業員も困った顔をしながら目を背けていた。
「うぅむ、仕方がない。ここはこの幸村…いや幸姫にお任せを…」
「止めて、また店の中が騒がしくなっちまうよ」

「…私が…」
だがそんな中で1人、向かって行こうとする者がいた。
「…私が…私が行くわよ!」
ルイズであった。



ここで終了します。次回はチュレンヌが痛い目を見る話です。

>398
外伝やってみて1つだけ……
お館様はイフリートの生まれ変わりだと思った。

405 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 22:28:59 ID:EvEeZLyl
GJ
混沌とした店内に鋼の救世主が降臨するのはいつのことかw

406 :魔法少女リリカルルイズ:2007/12/02(日) 22:30:14 ID:XYiss570
投下予約させてください

407 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 22:30:21 ID:Y+NjR3GP
乙っ

>>405
謎の幼女に斬妖刀稲妻重力落としされるぞwwww

408 :Zero ed una bambola ◆EFV8AnGeLs :2007/12/02(日) 22:32:13 ID:7Tb0KlfF
>>406さんの後に投下予約 

409 :魔法少女リリカルルイズ:2007/12/02(日) 22:38:08 ID:XYiss570
放課後の図書室の奥まった誰からも見られないような場所で、ルイズはレポート作成に勤しんでいた。
「まったく。ミスタ・ギトー、こんな無茶な量を!」
こんな隅っこにルイズがいる理由はただ一つ、レイジングハートの機能を使っているからだ。他の生徒や先生には見せられない。
空間モニターを起動して、キーボードも展開。
その上で、指を踊らせ手書きでは不可能な速度でレポートを書いていく。
近頃は手元を見なくても、キーボードを的確に打てるようになったルイズであった。
大変便利な代物で、手で書くよりもずっと早い。
「これがなかったら絶望的だったわ」
教室で爆発を起こしたルイズは、罰として風の魔法に関するレポートを明日までに提出することになった。
怒りまくるギトーが提示したその量はむちゃくちゃなもので、通常の数倍である。
しかも、できなかったら退学だ、とまで言ってきた。
実際には、提出できなくても退学までは行かないだろうが、おそらくギトーの授業の成績は壊滅状態になる。
四系統魔法の実技の成績は最悪のルイズにとってそれは避けたいところである。
故に、ルイズの奮闘は続いていた。
(ルイズ、次の資料持ってきたよ)
(じゃあ、そこに置いておいて)
(わかったよ。重要な場所には付箋挟んでるから。じゃあ、次を探してくるね)
ミッドチルダ式の検索魔法を駆使するユーノは的確に必要な本を持ってきてくれる。
こういうときには、ユーノの能力は非常に便利だ。
時折、図書室からはこんな声が聞こえる。
「あ、ユーノくん。この本がいるの?」
「相変わらず熱心だね。君も」
フェレットが本を持って走り回るという光景は、いつの間にか図書館にある当たり前の物となっている。ルイズは気づいていないようだが。
そして、あとわずかで日も落ちると言うとき、
「できたー」
ついにレポートが完成した。
エア・ハンマー、カッタートルネード、風の遍在等々十数個の魔法に関するレポートは大作と言っていいだろう。
何か達成感すら感じる。
(後は、印刷するだけだね。プリンターはどこ?)
(え、ぷりんたぁ?)
ユーノが意味不明の言葉を発する。
(うん。レイジングハートを提出するわけにはいかないでしょ?だから印刷しないといけないんだけど……あ)
(何のことだかよくわからないけど、ぷりんたあはないわ。こういうときはどうするの?)
すっかり失念していた。
せっかくのレポートも提出できなければ意味がない。
(だったら、レポートを紙に書き写さないと!)
(この量を全部?)
便利さに任せて書き上げたレポートはすごい量になっている。
(そう、なるけど……)
(せっかくできたと思ったのにーー)
(急がないと間に合わないよ)
今、図書館には視線を踊らせているルイズくらいしかいない。
その通路を司書が歩きながら叫ぶのが聞こえた。
「閉館でーす」

410 :魔法少女リリカルルイズ:2007/12/02(日) 22:39:10 ID:XYiss570
そういうわけで、ルイズは紙にレポートを書き写している。
(僕も手伝おうか?)
と、ユーノは言ったが、提出するのは一人だけ。筆跡の違いが簡単にばれてしまうのでルイズは単独でがんばっていた。
「故に、この魔法は周囲の風のからの影響が強く……」
今やルイズは近寄りがたい雰囲気を漂わせている。
「ルイズ。お茶、持ってこようか?」
「今は黙ってて!」
話しかけても今はこんなふうだ。
静かにしてオーラ全開とでも言ったところだろうか。
おかげでユーノは恐れを成して、ベッド脇のテーブルの上で静かに待っている。
部屋の中にある音はルイズがペンを走らせる音だけ。
そんなふうになった頃、誰も手を触れないのに窓が突然に開いた。
フードをかぶった女性がレビテーションで空を飛び、部屋の中に入ってくる。
「勉強中ですか?」
女性がルイズに声をかけるが、今のルイズにとってはそれは雑音以外の何者でもない。
ものすごい勢いで、血走った目を女性に向ける。
「だぁれぇ?」
ドラゴンでも裸足で逃げ出しそうな顔だ。
「あ、あの……ごめんなさい」
女性は怯えて回れ右。窓に手をかけると、フードがふわりと外れる。
その下からは、冠とルイズのよく知る顔があらわれた。
「姫さま」
「また、今度にします」
窓から出ようとレビティーションを唱え、宙に浮いたアンリエッタ王女にルイズが飛びついた。
「い、いえいえいえいえ。大丈夫です。姫さま」
「でも。今勉強で忙しいんでしょ?」
「まったく問題ありません。平気です!」
「ええ……ルイズがいいのなら。それでは」
アンリエッタ王女は魔法を説いて床に降りる。
「極秘裏に、それに火急に、あなたにお願いしたいことがあるのです」
彼女はルイズの手を取り、真摯さを声に込めてそう言った。

411 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 22:39:54 ID:7Tb0KlfF
支援

412 :魔法少女リリカルルイズ:2007/12/02(日) 22:40:12 ID:XYiss570
ランプの明かりの下、ルイズはアンリエッタ王女の言葉を待った。
アンリエッタの震える手が今から話すことの重要さを教えてくれる。
ルイズは急かすよりも、まずは待つことにした。
「私は、ゲルマニアに嫁ぐことにしました」
「なんですって!よりにもよって、あんな成り上がりどもの野蛮な国に?」
ルイズは、何よりもツェルプストーの故国という点でゲルマニアが嫌いだ。
そんな国にアンリエッタ王女が嫁ぐというのは信じがたい。
「仕方ありません。小国である、我がトリステインを守るためには、ゲルマニアと強固な同盟関係が必要なのです」
「お国のためとはいえ、あまりにお労しい」
「私はトリステインの王女。国のためにこの身を投げ出すことなど、厭いはしません。ですが、問題があるのです」
アンリエッタ王女は顔をうつむけ、影の中に顔を隠す。
沈む表情がルイズに見られないように。
「問題、ですか?」
「ええ、大きな問題です。それが世間に知られれば、この縁談は破談になってしまいます」
「姫さま、それは一体」
一度口を開きかけた王女が口をつぐむ。
顔を上げ、もう一度口を開くが、それ以上彼女の喉から出る物はない。
「言えませんか?」
「いえ、言いましょう。ルイズに隠し事ができようはずもありません。それは私が、アルビオン王国のウェールズ皇太子に当てた一通の手紙です」
「では、その手紙もアルビオンに?」
「ええ。しかし、アルビオンは今、政情不安定で危険な状態にあります」
「貴族達が反乱を起こし、今にも王室が倒れそうだとか」
ルイズの手を握る王女の手に力が入る。
そして頭を二人の手につくほどに下げ、ようやく言葉をつないだ。
「ルイズ。お願い。もう、こんな事を頼めるのはあなた以外にいないの。アルビオンに行ってその手紙を回収してきて。お願いします」
──お任せください
ルイズはすぐにでもそう言いたがった。
だが、言えない。ルイズにはすぐに答えられない理由があった。
手紙の回収はきっと危険な旅になるだろう。では、その危険に対してルイズはどうやって立ち向かうか。
決まっている。ルイズが持っている危険に立ち向かえる力はただ一つしかない。
ミッドチルダ式の魔法だ。それは本当にこの任務に使っていい物なのだろうか。
その疑問がルイズの胸中に浮かぶ。その疑問をはらそうと考えるが、答えはでてこない。
だから、ルイズはすぐ側に立っているフェレットのユーノに聞いた。
(ねえ、ユーノ)
(どうしたの?)
念話で会話を交わす二人の声は王女には聞こえない。王女はただ、じっとルイズの答えを待っている。
(姫さまの頼みを引き受けたいの。でも、そうしたらジュエルシードと関係ない人にも、きっとミッドチルダ式の魔法を使うことになると思う。私、どうしたらいいんだろう?)
それはユーノにもすぐには答えられない疑問だった。
それでも少し考えて、それから答える。
(ルイズが思ったようにすればいいと思うよ。ミッドチルダ式の魔法もレイジングハートも、もうルイズの魔法なんだ。だから、どう使うかはルイズが決めなくちゃいけない。でもね)
(うん……)
(僕は、ルイズが間違っていることをしていると思ったら止めるよ。絶対に)
(今は止めないの?)
(友達のためにルイズが何かするのは間違ってないと思うから)
ルイズは心を押しつぶしていた重しがなくなったような気分だった。
──ありがとう
その言葉は、言葉にも念話にもしないでおく。少し、恥ずかしいから。
「姫さま。そのような重要な任務をこの私に命じてくれるなんて、この上なき幸せにございます」
「ルイズ。では、行っていただけますか?」
「はい。お任せください。そして姫さま……」
ルイズにはもう一つ決心したことがあった。それは、今の自分を話すということ。
アンリエッタ王女が重大な秘密を話したのなら、ルイズもまた秘密を明かさなければならない。
ユーノも首を小さく振って、今話すことに同意してくれている。
「姫さまに打ち明ければならないことがあります。それは私が……」
──リリカルイズと名乗って……
そう言葉を続けようとしたとき、ドアが静かに開いた。

413 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 22:40:22 ID:XK/ZeDrR
しえん

414 :魔法少女リリカルルイズ:2007/12/02(日) 22:41:17 ID:XYiss570
「お話は全て伺いました」
扉を開いたその男は部屋に入り、これ以上ないくらいに格好をつけて語る。
それを見て、ルイズはまず口を開き、それから閉じて歯をむき出しにする。
目も見開いて、次に天井まで届きそうなくらいにつり上げ、さらに格好をつけて膝をついたその男に飛びかかった。
「ギーシュっ!あんたって奴わぁああああああああっ」
ギーシュの首に左手を回し、後頭部を押さえつけ、そしてぎりぎりと締め上げ始めた。
「せっかく、決心がついたっていうのに!」
「やっ、やっ、やっ、やっ、やめたまえ。ミス・ヴァリエール。首に食い込んで……ぐええええ」
ギーシュの顔が赤くなっていく。
「こぉおおおおおんな所で話の腰をおってぇえええええええ」
「いまから、話せばいいじゃないか。ご、ごへえええ」
赤から青に変わる。
「こういうのはね、タイミングって物があるのよ!」
「うわおあえええええおおおおお」
そして、青から白に。ああ、哀れギーシュここで力尽きるのか。
「あの、ルイズ。そのくらいで許してあげましょう」
アンリエッタ王女のおかげで幸いにして、そんなことはなかった。
後にギーシュは、川の向こうで祖母が手を振っているのを確かに見たと証言した。


ようやく顔色を元に戻したギーシュは、涙ながらに床にはいつくばる。
今にもアンリエッタ王女の靴を嘗めそうな勢いだ。
「ああ、ありがとうございます。アンリエッタ王女。このギーシュ・ド・グラモン、姫さまに感謝と共にこの身の全てを捧げたいと思います。どうか私もこの任務の一員にお加えください」
「あなたも、私の力になってくれるのですね?」
「当然です。たった今、命を救われたのです。我が忠誠、必ずやお示ししましょう」
なにやら、向こうは向こうで盛り上がっている。ルイズとユーノは少し離れてそれを見ていた。
(ねえ、ルイズ。いいの?)
(なにが?)
(ギーシュさんがついてきたら、空は飛べないよ)
ミッドチルダ式の魔法はアンリエッタ王女以外にはまだ秘密にしておきたい。
シエスタはとりあえず例外にしておく。
(そのことなんだけど、今回は魔法で飛んでいくのはやめることにしたわ)
(どうして)
(今まで、アルビオンに行ったことはあるけど……どうやって行ったかよくわからないの。ほら、フネとか馬車とか中にいたらどう動いているかなんてわからないでしょ?フネだったら、航海士がいるけど、私そうじゃないし)
(あ、そうだね)
ユーノにもわからない話ではない。
発掘メンバーの中にも、車で乗せていってもらった場所に自力で行けないという人がいた。
車でなくフネくらいに大きい乗り物ならなおさらだろう。
(だから、ギーシュがついて行くっていうのならそれはそれでいいと思うの。それに、来るんならしっかり働いてもらうわ)
そんなルイズの決心にも気づかず、ギーシュはまだアンリエッタ王女に感謝と忠誠の言葉を捧げていた。

*************************************************
今回はここまでです。
お次の方、即座にどぞ


415 :Zero ed una bambola ◆EFV8AnGeLs :2007/12/02(日) 22:46:03 ID:7Tb0KlfF
>>投下乙です

では23時から投下させていただきます

416 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 22:47:39 ID:1/zg03MA
「憂い顔の騎士」ドン・キホーテがルイズに召喚されたらどうなるだろうか。
上手くいくような気が半分、何もかも台無しになるような気が半分…

ガンダールヴの力で実力も十分…と思ったけど
実はあの爺さんそんなの無くてもメチャクチャ強いんだよな。(ピー)だけど。

417 :Zero ed una bambola ◆EFV8AnGeLs :2007/12/02(日) 23:01:14 ID:7Tb0KlfF
何故魔法が使いたかったのだろうか。
ルイズは一人悩んでいた。
皆に認められたかった。
家族に…母や姉に褒めてもらいたかった。
でもそれだけ。わたしにとっての魔法はそれだけの価値しかないのだろうか。
わからない……。
子供のころは良かった。何も考えずに無邪気でいられたから……。
もし叶うなら子供のときのように……大切なあの人に会いたい。



「ルイズさん。どうかしましたか?」

ルイズが一人物思いに耽っているとアンジェリカが心配して声をかけてきた。

「何でもないわ」

精一杯の作り笑顔を浮かべてアンジェリカに言葉を返した。

「ねえ、アンジェ」
「はい?」
「アンジェはこれから何かしたいことある?」
「これからもルイズさんのお役に立ちたいです!」

アンジェリカは質問に満面の笑みを浮かべて答えた。
だがルイズは少し困ったような顔を見せたのだ。

「あのね、そういうことを聞いてるんじゃないの……」

ちょうどその時扉を叩く音がした。長く二回、短く三回。聞き覚えのある子供じみた暗号。
急いでドアを開け、そこにいるであろう人を招き入れる。
黒い頭巾をかぶった少女が部屋に滑り込み、杖を振るった。
呟かれたルーンの声の主に心当たりはある。

「姫殿下!」

ルイズの言葉に促されるかのように頭巾取り、その手を取った。

「久しぶりね。ルイズ」

その顔を見たルイズは膝をつく。

「どうしてこのようなところに…」
「わたくしたちお友達でしょう? 友達に会うのに理由は要らないわ」

アンリエッタはルイズを立たせると抱きついた。


418 :Zero ed una bambola ◆EFV8AnGeLs :2007/12/02(日) 23:03:10 ID:7Tb0KlfF
「アンリエッタ姫殿下…」
「やめて! ここには枢機卿も宮廷貴族もいないのよ。昔のように呼んでちょうだい…」

感慨に咽ぶルイズが姫殿下と口を開いた瞬間、急速にアンリエッタの表情が曇る。

「で、でも…」

尚を渋るルイズに今度は少し悲しそうな声をアンリエッタは出した。

「幼いころ、泥だらけになって遊んだのに…。あなたはそれを忘れたの?」
「ひ、姫様」
「ルイズ!」

悲しそうな顔を見せるアンリエッタ。それをアンジェリカはあっけに取られながら見ていた。

「ヘンリエッタ?」
「違うわ。アンリエッタ姫殿下よ」

アンジェリカの呟きを聞いたルイズは訂正する。

「ルイズ、その子は?」
「この子はわたしの使い魔です。アンジェ、挨拶なさい」

ルイズに促され、笑みを浮かべてアンリエッタに挨拶をした。

「アンリエッタちゃん、はじめまして。アンジェリカです」
「アンジェ! 失礼よ!」

ルイズは初対面で、しかも姫様にいきなりちゃん付けするアンジェリカを叱る。

「姫様?」
「ルイズ…二人っきりの時はエッタと呼んでって何回も言ってるでしょ?」

どこか諦め、悲痛な面持ちで小さく息を吐いた。

「アンジェ、少し二人っきりでお話したいから、少しの間席を外してくれない?」
「わかりました」

アンジェリカはまたねとアンリエッタに手を振って部屋を出て行った。
それを見届けたルイズは小さく呟いた。

「……エッタ…」

小さな呟きだったがアンリエッタはそれを聞き逃さない。
先ほどとは打って変わり満面の笑みを浮かべて…その目元には小さな雫をためて……。

「まぁルイズ! 覚えていてくれたのね!わたくしたちがアミアンの包囲戦と呼んでいるアレを!」
「もちろんです! あの時は…」


419 :Zero ed una bambola ◆EFV8AnGeLs :2007/12/02(日) 23:04:48 ID:7Tb0KlfF
Zero ed una bambola   ゼロと人形



そうそれはまだ二人が幼かったころの話。
身分の上下などさほど気にもせず楽しく過ごしていた大切な思い出。


「ねぇ、ひめさま」
「なぁに?」

今日もアンリエッタの元へ母と姉に連れられ遊びに来たルイズ。その手の後ろに何かを隠しているようだったが、小さな体には隠れきるはずもなく、アンリエッタにすぐに見つかってしまった。

「あー! ルイズそれなに!」

ニコニコと笑いながらアンリエッタの前に、隠していたドレスを自慢げに掲げた。

「すごーい。それどうしたの?」
「ちぃねえさまのおへやからとってきたの。きれいでしょー」
「うん。きれいだねー」

二人でしばらくドレスを眺めたり触ったりしていたがアンリエッタがふと疑問に思ったことを口にした。

「ルイズ、きょうはこれであそぶの?」
「そーだよ。きゅうていごっこしてあそびましょ」
「きゅうていごっこ?」

首をかしげるアンリエッタに、ルイズは小さな胸を張って答える。

「おひめさまとじじょのやくにわかれるのよ!」

ルイズがそういうとアンリエッタはドレスを掴んだ。

「わたくしがおひめさまのやくやるー!」

ルイズも負けじとドレスを引っ張る。

「だめよ。わたしがやるのー!」

ふたりはドレスを引っ張り合い、裾が伸びはじめ、ビリッと布が裂ける音がした。

「いつもルイズばっかりずるいー」

アンリエッタの言葉を皮切りに取っ組み合いに発展した二人の小さな争い。

「わたしー!」
「わたくしなのー!」

アンリエッタが放った一撃が偶然ルイズのお腹にいい具合に入った。

「ひでぶぅ」

そんな声とともにルイズは部屋の絨毯に沈んだ。



420 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 23:05:58 ID:EvEeZLyl
9巻読んで泣いた俺としては最高の気分だ支援

421 :Zero ed una bambola ◆EFV8AnGeLs :2007/12/02(日) 23:06:52 ID:7Tb0KlfF

「きょうはわたくしがかちましたわ!」

アンリエッタは床に倒れたルイズを気にもせず、嬉しそうにブカブカのドレスを着た。

「さぁルイズ。きょうはわたくしがおひめさまのやくよ!あなたはじじょよ」

ルイズは苦しそうにお腹を押さえて顔を上げた。

「ひぐ、うぇーん」

大粒の涙を流しながら泣き出した。アンリエッタは慌ててしまう。今まで一度だってルイズを泣かしたことなどなかったのだ。

「あうう、ルイズ泣かないでよ」

アンリエッタは泣き出すルイズにどうすればよいのかわからず、おろおろと右往左往するしかなかった。

「泣かないでよルイズ。うぅ…」

泣き喚くルイズにつられてアンリエッタまで涙を浮かび始める始末。
唐突に何か思いついたアンリエッタが涙を拭って話しかけた。

「ルイズ、なきやんだらわたくしをエッタってあだなでよんでもいいわよ」

さも名案だと言わんばかりに、自信たっぷりに言うアンリエッタ。
ルイズは涙を拭いながらも口を開いた。

「ぐす、エッタ?」
「そうよ。わたくしたちはしんゆうなんですからね! エッタってよばないとぜっこうよ!」
「ぜっこうはいや!」

泣き止んだルイズが立ち上がって怒鳴るが、アンリエッタはやさしく答えた。

「ぜっこうがいやならエッタってよんで」
「でもエッタってよんだら、かあさまとかにおこられるかも…」

不安そうな顔を見せるルイズにアンリエッタはしばし考え込む。

「じゃあ、ふたりっきりのときにはエッタってよんで! それならいいでしょ?」
「うん! いいよ!」

泣いた子がもう笑った。二人は楽しそうにはしゃぎまわる。

「つぎはるいずのばんね」

そいうとアンリエッタはドレスを脱ぎ、ルイズに渡した。



422 :Zero ed una bambola ◆EFV8AnGeLs :2007/12/02(日) 23:09:13 ID:7Tb0KlfF
「エッタ、いいの?」
「うん、いいの」
「ありがとー」

ルイズは受け取ったドレスを嬉しそうに着た。
楽しい時間、だがそれも長くは続かない。
誰かがノックをして部屋に入ってきたのだ。

「ち、ちぃねえさま…」

ルイズは一歩後ずさる。

「あらあらあら? ルイズ可愛いドレス着ているわね。どうしたのかな?かな?」

笑顔を浮かべているが怖い。アンリエッタは動けずにいた。

「あの、ち、ちぃねえさま? ちょっとかりただけ…」

必死に弁明するも聞き入れられるはずがない。
カトレアは問答無用とルイズの襟首を掴んで部屋を後にしようとする。

「え、エッタ。たすけ…」
「まぁ失礼でしょう? ちゃんと姫様と呼びなさい」

ルイズにいけませんと叱るカトレア。部屋を出る間際、アンリエッタに向かってにっこり微笑んだ。

「それでは姫様失礼します」

『ルイズ…ごめんなさい』
去り行くルイズを為す術もなく見送るしかなかったアンリエッタは心の中で謝った。


これがのちに、二人が『アミアンの包囲戦』と名付けた出来事である。
この日以来、ルイズが姫様と呼んでもアンリエッタは返事をしなくなったのだ。
幼き日の忘れられない、ほんの小さな出来事である。


Episodio 31

Una guerra di assedio di Amiens
アミアンの包囲戦


423 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 23:10:24 ID:ePooj264
ひでぶぅ笑った
なんだこの破壊力

424 :Zero ed una bambola ◆EFV8AnGeLs :2007/12/02(日) 23:11:25 ID:7Tb0KlfF
Intermissione



月が大地を照らす光を頼りにロングビルは怪我をおして、一人夜道を駆けていた。目的地はアルビオンのウエスト・ウッド。道のりは長い。
強行軍と分かっていながらも馬を走らせていた。
テファニアが心配で早く会いたいという思いも確かにある。しかし急いだからといって、目的地へ早く着く訳ではない。アルビオンへ船が出る日は決まっている。どんなに急いでもラ・シェールで足止めされるのが目に見えている。急いでも余り意味が無いのだ。
ならば何故こうも急ぐのか。急がなければ危ない。学院から離れなければならない、直感的にそう感じたからだ。
今まで何度もその直感に従い行動してきた。それによって何度か危機を脱したこともある。
今回も当然直感に従った。それがこの状況。痛みを押し殺し馬を走らせている。じりじりと体力が消耗されるが速度は緩めずに走り続けた。
果たしてこの行動が吉と出るか凶と出るか……何事も無いようにと願わざるを得ない。

唐突にロングビルは今まで緩めることのなかった馬の速度を落とし、辺りを窺い始めた。
静か過ぎる。いくら深夜といえども虫の声の一つもしない。
草原に、辺りの生物を全て殺しつくさんとも言わんばかりの冷たい空気が流れ込む。
風が音もなく吹き曝し、雲は月を覆い隠す。
その時、何を思ったのかロングビルは馬から飛び降りた。
飛び降りたというのは語弊がある、ロングビルは無様に背中から地面に、彼女の意思で落ちたのだ。
別段気が狂ったわけでもない。風の刃が真正面から襲い掛かり、馬の首ごとなぎ払う。
風の刃が通り過ぎた後には、首のない馬が切り口から血を噴出し、どす黒い水溜りを作った。
地面から身を起こしたロングビルは未だに立ち尽くす首のない馬を引きずり倒し、無理やり遮蔽物を作りだすと、前方を睨む。
淡い月の光は雲を突き抜けることなど叶わず、僅かに人影が確認できるだけだった。
条件は同じ、いや相手は月明かりが無い中、正確に攻撃してきた。そして襲い掛かった悪意は紛れも無い魔法、つまり敵はメイジだ。
こちらの位置はすでにばれている言っても過言ではないだろう。
それに対してこちらは戦う前から手負い。条件が悪い。黙っていてもメリットが無い。そう判断したロングビルはようやく口を開いた。
呼びかけに応答せずに攻撃するか……それとも何かしら答えて正体が分かれば御の字。

「誰なの!」

大声を出すと折れた腕が痛む。その痛みをこらえて前方を凝視する。敵は……一人?
一陣の風が吹き、雲を動かす。淡い月の光が緩やかに大地を照らす。
次第にはっきりとしていくシルエット、ロングビルの行く手を遮るのは年若い女性……。

「こんばんは、こんな夜更けにどこに行くのかしら? ミス・ロングビル。いえ、土くれのフーケさん?」

ルイズの姉、エレオノールその人だった……。



425 :Zero ed una bambola ◆EFV8AnGeLs :2007/12/02(日) 23:13:42 ID:7Tb0KlfF
投下完了です。
支援に感謝します。
いつもwikiに登録されて下さる方にも感謝です。

426 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 23:14:22 ID:kF41hFoj
偶然にもアン様ご来訪ネタが同時に来るとは。お二方乙でした

>リリカル
首しめティオネタがくるとはw
>ガンスリ
ちい姉様ひぐらし吹いた

427 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 23:18:18 ID:3l4TK9mp
9巻のあとにこれはきつい・・・
あんじぇええええええええ

428 :聖石の人 ◆FIXARUtWLY :2007/12/02(日) 23:22:07 ID:Yhn1msg2
アンジェの人、乙です。
こちらも小ネタが出来上がったので投下してもOKですか?

429 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 23:26:34 ID:Ov1yhYgr
>ガンスリ
ヘンリエッタ⇔アンリエッタ ネタはやっぱり来ましたか。

430 :聖石の人 ◆FIXARUtWLY :2007/12/02(日) 23:33:35 ID:Yhn1msg2
すみません。
ちょっとばかり致命的なミスが見つかったので投下を中止させていただきます。
申し訳ありません。

431 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 23:40:50 ID:fnR7isEn
そろそろバーンやケストラーみたいな魔王キャラが来たもいい気がする

432 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 23:44:37 ID:7ozma976
マーラ「魔王と申したか」

433 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 23:47:54 ID:EvEeZLyl
後魔王といえばゾーマ様か
他にも魔王自体は召喚されてるけど姿は人だしな(ケストラー様やバーン様も姿はギリギリ人の範囲だが)

434 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 23:49:11 ID:qoPRP4ww
田中「魔王と申したか」

435 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 23:49:57 ID:jLjolaXi
    〃:.:.:./.:.:.:.,:.:.:.:.:.:.:.:.:.\:.:.:.:.:i、:.:.:.:.ヽ
   ./:i: :.: i: :/:.:i:.:.|:.:l:.:.:.:.:.:.:.:.Y:.:.:|ヽヽ:.:.:|
   レl:!:.:./l::|:.:/レl:j、:j、::|::l:|:|:.:|:.:/l l l:.:.:.!
     'ヘ/:.:l::l:.:l'莎 ヘト忝レ::l::ム/ 'v l |:.:.:.',
    .|:.: :⊥ヽl ¨ ,  ゙ー' |/イ/   \|:.:.:.:.',
    .l/  `l\ ‐   イ l/`llY  ̄\ :.:.:.', 
    /     / lノ l¬≠ i   lj.!    ∧:.:.:.:',
  /     />.>  | 〒__/  く |     \: :i
  ヽ\  _i ヽ\ 「 ¬7 /ノ |    / /:.:|
    \¨  }   _\゙v /ィ∠__ jv- ‐′,イ :.:|
     ノ   ヘ |::::::::[:「::::::::::/::∨ ゙v  ‐ 〈. ',.:.:|

436 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 23:51:16 ID:Y+NjR3GP
>>435
お、おおおおちけつ!

437 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 23:53:13 ID:U1KGkyVZ
模擬戦前にこことかを見ておくとちょっとマシになるかもしれん。
ttp://www.nicovideo.jp/watch/sm482115
ttp://www.nicovideo.jp/watch/sm527451
ttp://www.nicovideo.jp/watch/sm129496
ttp://www.nicovideo.jp/watch/sm129496
(98管理外世界の動画サイトで済まないと先に言っておく)
(全て視聴前に酔い止め魔法をかけておく事をお勧めする。)
壁抜きはどうしようもないが、立ち回りの参考にはなるかと。

管理局に入る前からFPSerな俺だが、立ち回りと瞬間火力、そしてAim力なら誰にも負けねえぜ!
・・・まあ、どこかのオレンジ頭の凡人さんのように、最近は全自動追尾とか射撃中に動かすとかが流行ってるけどなあ・・・。

438 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 23:54:06 ID:WNTW6U+a
魔王といえばメガテンの魔王は世界中の神話や聖書における実在(っていう言い方もおかしいか)の人物だな。
元は神と呼ばれた連中だからルイズには荷が重そうだ。

439 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 23:54:07 ID:U1KGkyVZ
>>437です。
大いに誤爆ッたorz
疲れてるな・・・寝よう。SS見てから

440 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 23:55:57 ID:3l4TK9mp
>>439は管理局下っ端スレの住人か

魔王といえば、ダオスはどうよ?

441 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/02(日) 23:57:32 ID:rQLg6brC
>>434
つ死肉

魔王というと金色の魔王を思い出すけど、あれこそどうにもならない存在だな。

442 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/03(月) 00:00:13 ID:cdhlHq/u
魔王といえばカーバンクルを溺愛しているサタン様とか。


443 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/03(月) 00:02:55 ID:QAKMQl6i
遅くなったがリリカルGJ。おおっ、我が魂の赤幼女よ、君の出番を私はいつまでも待ち続けるだろう
それはそれとして、ルイズがミッドチルダ魔法の使用をきっちり配慮してる描写とか、そういうの好きです

444 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/03(月) 00:03:58 ID:3vkgKp46
支援

445 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/03(月) 00:04:52 ID:i3LzUwNP
地獄で俺に詫び続ける魔王も呼ばれるだけは呼ばれたな。

446 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/03(月) 00:05:08 ID:3vkgKp46
イザベラ様支援

447 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/03(月) 00:06:20 ID:fdLQJHML
>>440
こそっと生き恥を晒さないでー!!
ちょっとROMる。精神的に(ry

448 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/03(月) 00:06:36 ID:3vkgKp46
支援

449 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/03(月) 00:07:09 ID:fdLQJHML
忘れず支援

450 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/03(月) 00:07:19 ID:WhdbmSsy
>>447
日付変わってるのにわざわざツッコミ・・・

451 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/03(月) 00:07:29 ID:3vkgKp46
支援

452 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/03(月) 00:07:36 ID:zTnRKuuz
さらに生き恥が1日伸びたなw

453 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/03(月) 00:09:01 ID:3vkgKp46
支援

454 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/03(月) 00:09:54 ID:3vkgKp46
支援

455 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/03(月) 00:10:17 ID:YuchqaZv
サウスパークからサダム・フセインとおホモだちの魔王サタン召喚。

456 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/03(月) 00:11:16 ID:3vkgKp46
ルイズと愉快な暗殺者たち支援

457 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/03(月) 00:12:20 ID:3vkgKp46
ルイズと愉快な暗殺者たち早く続き書いて欲しい

458 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/03(月) 00:13:13 ID:3vkgKp46
支援

459 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/03(月) 00:14:20 ID:3vkgKp46
1

460 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/03(月) 00:15:49 ID:i3LzUwNP
なぁ、今は何の投下に備えてるんだ?
アンジェ→聖石→聖石キャンセル、だから今は空いているように見えるんだが。

461 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/03(月) 00:16:11 ID:3vkgKp46
タンポポ

462 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/03(月) 00:17:49 ID:7zRqEVRa
魔王といえば地獄戦士魔王

463 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/03(月) 00:18:07 ID:Qe/2o8dV
>>447
どのスレなのかkwsk

464 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/03(月) 00:20:18 ID:fdLQJHML
>>463
下っ端の呟きで検索したら(ry

465 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/03(月) 00:24:02 ID:Qe/2o8dV
>>464
ありがとう。
行ってくる!

466 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/03(月) 00:24:41 ID:nJOFp6U3
我が師の師は我が師も同然!!

467 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/03(月) 00:24:47 ID:oOrMZ/N8
>>438
要するに著作権切れした創作物のパクリ寄せ集めってわけだな。


468 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/03(月) 00:26:24 ID:YXslb/u4
魔王と言えば、「おとーさん おとうさん 魔王がいま〜」だな。



469 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/03(月) 00:30:23 ID:3FbxLDUd
魔王ハリー松沢なんてどうだろうか?
HP0.5は伊達じゃない

470 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/03(月) 00:32:05 ID:L0xGD7Zw
しはるじぇねしすの主人公はルシファーの生まれ変わりだが基本的には無害だからバランス崩すとかないな
ただ無意識で力使うから間違いなくバッドエンドに直行だけど

471 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/03(月) 00:36:23 ID:ChxWdDKU
魔王といえばおりがみの聖魔王鈴蘭ですよ。
メイド服姿で召喚されて、しかも本編終了後なので何もできないけど
ガンダールヴ状態の時は全盛期の力で戦えます。

睡蓮が召喚されたら絶対ろくでもねーことになるだろうなぁ・・・・・・。
みーこ様だとルイズが食われるだろうし。食的な意味で・・・・・・。

472 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/03(月) 00:37:42 ID:uZDlzEM7
魔王……私の狼さんから昴?
ちょうどディアの方も完結したみたいだし

473 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/03(月) 00:39:16 ID:TKOHZ4Mh
魔王系キャラは召喚シーンで終了の一発ネタならともかく長編で書けるような代物じゃないと思うがね。

474 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/03(月) 00:39:24 ID:vrC+mr1y
亀だが
>>442サタン様は「魔界のプリンセス」であって魔王じゃないぞ

475 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/03(月) 00:40:00 ID:SLKUmZRZ
こんばんわ……。
魔王じゃないですが「狼と香辛料」のホロで書いてみたのですが、今のところ予約はないでしょうか?
大丈夫そうなら一時頃から説明と本編(召喚時まで)投下を開始してみようかと。

476 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/03(月) 00:40:34 ID:vrC+mr1y
って「プリンス」の間違いだ、オメガはずかしー!

477 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/03(月) 00:41:52 ID:WhdbmSsy
これは支援するしかない!

478 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/03(月) 00:45:40 ID:cpHuwtIq
支援しんす

479 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/03(月) 00:47:41 ID:+41dZxlj
支援

そういえば、遊戯王の社長が他スレで召喚されたみただね。

http://yutori.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1196608519/

480 :ゼロの夢幻竜:2007/12/03(月) 00:50:33 ID:uGV3SLoP
皆さん今晩は。寒い中いかがお過ごしでしょうか?風邪等はひいてらっしゃいませんか?
第七話が出来たので>>475さんの後に投下しますが宜しいでしょうか?


481 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/03(月) 00:54:50 ID:7zRqEVRa
これは抱き枕を梱包する作業を中止して支援せざるを得ない。

482 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/03(月) 00:55:14 ID:Q/Aw2ioe
風邪引くなよ支援

483 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/03(月) 00:56:42 ID:cdhlHq/u
>>474
初期の魔導物語1-2-3では魔王といっているからどっちもあってる

484 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/03(月) 00:57:15 ID:WhdbmSsy
早く俺をホロにあわせろ支援

485 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/03(月) 01:01:23 ID:24ZuwSPT
狼と香辛料支援

486 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/03(月) 01:03:24 ID:SLKUmZRZ
支援ありがとうございます
投下前に説明文を……

作品…狼と香辛料(ウィキペディアより抜粋)
旅から旅へ各地を巡り、物を売り歩く行商人として生きるクラフト・ロレンス。
収穫祭に沸くパスロエの村へ行商に訪れたロレンスはその帰り、自らの荷馬車にとんでもないモノが入り込んでいたのを見つけてしまう。
パスロエで仕入れた麦束に混じって眠りこけていたのは、獣の耳と尻尾をそよがせる美しい少女だった。

自らを『ヨイツの賢狼』ホロと名乗り、長いことパスロエの麦を豊作にするため手を貸していたと嘯く少女。
左前脚だけとは言え狼としての姿まで見せられたロレンスは、ホロの素性を訝りながらも「遙か北の故郷に帰りたい」と願う彼女を旅の道連れとすることになる。

賢狼と行商人の軽妙洒脱な掛け合いに彩られた、彼らの行商模様と道中での様々な事件を描く、「剣も魔法もない」ファンタジー・ストーリー。

487 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/03(月) 01:04:30 ID:SLKUmZRZ
現在五巻まで刊行中。今冬一月よりアニメ化。

召喚人物……ホロ(ウィキペディアより抜粋)
狼の耳と先の白い狼の尻尾を持つ少女。自らを『ヨイツの賢狼』と名乗る。
とある理由から故郷を離れ、ある約束からパスロエの麦に宿り、半ば土地に縛られる形で数百年もの間、豊作を司ってきた。
尊大な性格だが、長く故郷から離れて独りでいたためか、孤独に対しては脆い一面も見せる。


完結前の作品なので、「ロレンスに会う前の段階で召喚された」と言う状況で描写します。
こう言った長文の投下は初めてなので、間違いありましたらご指摘下さい。

それでは本編投下します


488 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2007/12/03(月) 01:08:31 ID:DVxI8NmH
sien

489 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/03(月) 01:08:33 ID:7zRqEVRa
焦らしすぎだYO

490 :狼と虚無のメイジ:2007/12/03(月) 01:09:55 ID:SLKUmZRZ
その村では見事に実った麦穂が風邪に揺られることを狼が走るという。
風に揺られる様子が、麦畑の中を狼が走っているように見えるからだ。
風が強すぎて麦穂が揺れることを狼に踏まれるとい、不作の時は狼に食われたという。
上手い表現だが、迷惑なものもあるのが玉に瑕だな、と荷馬車の上で「彼女」は思った。
今では少し気取った言いまわしなだけで、昔のように親しみと畏れこめて言うものは少ない。
揺れる麦穂を見下ろす秋空はもう見慣れたものになったと言うのに、その下の様子は実に様変わりしていた。
初めて来た時の村人などとっくにいない。人間は長生きしてもせいぜい70年。100年生きる者も稀だ。
いや、人からすれば何百年も変わらない方がおかしいのだろう。
だからもう、昔の約束を律儀に守ることもないだろうと「彼女」は思った。
村人は、迫る困難をその都度自力で乗り越えていく力を持ち、半ば伝説となった自分は必要とされていないとも思った。
北へと向かう雲の先、北の故郷を思い出し、彼女は「ほう……」と溜息を一つ。
視線をゆらゆらと揺れる麦畑に戻せば、鼻先に自慢の尻尾。
「彼女」はすることもないので毛づくろいに取り掛かかる。

「……あふ」

491 :狼と虚無のメイジ:2007/12/03(月) 01:10:27 ID:SLKUmZRZ

程よく毛並をそろえたあたりで欠伸が出た。
荷馬車の主は行商人なのだろうか。何枚ものテンの毛皮を積み込んでいた。
丁度良いとばかりにそれにくるまり、「彼女」は寝息を立てて眠りついた。
ゆるりと流れる時間。
ふと、麦穂のざわめきに呼ばれた様な気がして「彼女」はまどろみの中薄く目を開けた。
尻尾の上に、輝く何かが浮いている
鏡のようにきらきらした表面は傷一つなく、村一番の背丈の男でも潜れそうな大きさだ。
細長い楕円形をしていて、装飾などは何も無い。純粋に鏡面だけだ。
何百年も生きてきた「彼女」ではあるが、こんな物は初めて見る。
鏡面を少しだけ触れると、僅かな波紋が広がる。
そして、誰かが呼ぶ声。

「……何かのう?」

寝ぼけ眼のまま、今度は手をもう少し入れてみる。何かに捕まれる感触。そして痺れる様な感触。
夢だとでも思ったのか、「彼女」はその異常な状態で再び眠りに落ち、輝きの中に溶けていった。
傍らにあった幾枚かのテンの毛皮と、一山の小麦がそれに続く。

ひょうと風が走り、まだ刈り取られていない麦穂が揺れる。

後には、ほんの少しだけ荷の軽くなった荷馬車が佇んでいるだけだった。

492 :狼と虚無のメイジ:2007/12/03(月) 01:11:57 ID:SLKUmZRZ
トリステイン魔法学院の第一演習場。
神聖なるサモン・サーヴァントの儀式もつつがなく進み、残すところ最後の一人となった。
ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール。
桃色の髪の毛を振り乱し、珠と散る汗を気にせず杖を振る。
その姿だけをみればある種魅力的と見る者も多いが、物事には時と場合というものがある。
単純なサイクルを長く繰り返すと、爆発めいた重低音が混じっても眠気を感じる。
詠唱と爆発と失敗の単調なリズムは、少なからず生徒と使い間の脳を眠り誘い、ちらほらと「くぅ」「すぴぃ」と年相応の寝息が見て取れる。
そしてまた別の生徒からは、「まだかよ」「早くしろよ」と言った野次が飛ぶ。
心無い言葉に挫けそうになりながらも、ルイズは杖を振ることをやめなかった。

「……ミス・ヴァリエール。非常に残念ですが、続きは明日にしましょう」

すっとルイズの前を手が遮った。担当教師のコルベールだ。

「……そんな、お願いです!やらせて下さい!」
「次の授業もあるのです。ここは聞き分けて下さい」

諭すような口調で言うコルベールに、目を赤くしながらもルイズは食い下がる。

「お願いします、あと、あと一度だけでも!」

493 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/03(月) 01:12:12 ID:cpHuwtIq
ロレンス涙目支援

494 :狼と虚無のメイジ:2007/12/03(月) 01:12:39 ID:SLKUmZRZ

ふう、と溜息をき、コルベールは「仕方ないですね」と呟いた。
この努力家の少女にチャンスを与えたいのは山々ではあるが、教職者としての立場もある。
今することのできる最大限の譲歩だった。
一方ルイズにしてみれば最後のチャンスにも等しい。今までに無く気合を込め、高らかに詠唱する。

「宇宙の果てのどこかにいる私の僕よ! 神聖で美しく、そして強力な使い魔よ! 私は心より求め、訴える! 我が導きに、応えなさい!!」

今までで最大の爆音が轟く。うとうととしていた生徒達も、流石に飛び起きた。
もうもうと立ち込める煙。ルイズは煙を吸い込みごほごほと咳き込みながらも、爆発の中心から目を反らさない。
煙が晴れた時、確かにそこには何かがあった。


「……毛皮だ」と、誰かが呟いた。


「ゼロのルイズが毛皮を召喚したぞ!」
「結構上物だぞ!」

なるほど、見るからに上等な毛皮。目の肥えた貴族の多い魔法学院においては、その質の良さを見抜いた者は多い。

「テンね。一枚欲しいわ」
「もふもふ」

内、赤い髪と青い髪の少女を含む二人以上は、何の動物のものかも判断出来たようだ。

495 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/03(月) 01:14:38 ID:7zRqEVRa
抱き枕支援

496 :狼と虚無のメイジ:2007/12/03(月) 01:14:47 ID:SLKUmZRZ

「う゛ぅっ」

一方、それを呼び出した張本人であるルイズはがくりと膝を落とした。
呼び出された物はまごうことなき毛皮だ。そりゃ暖かかろう。そりゃ上物であろう。
ルイズとて公爵家の三女、それがそれなりの高級品であることは解った。
しかし、せめて生前の姿で出てきて欲しかった。
それならば幻獣などには及ばすとも、可愛い感じで彼女としては満足のいくものだっただろう。

「えぐっ……」

だが、毛皮。どう見ても毛皮だ。
加工した職人が恨めしい。それが例え経験に裏打ちされた熟練の手で行われていたとしても、せめてこの毛皮の本来の持ち主だけは加工しないでもらいたかった。
流石にこれは泣きたくなる。ルイズの双眸から、涙が溢れようとしたその時だった。

ふぁさ。

毛布の中から毛艶も鮮やかな尻尾が現れる。

ぴょこ、ぴょこ。

辺りを伺うかの様に、四足獣のものと思しき耳が現れる。
よくよく見れば、毛皮だけにしてはやけに盛り上がっており、その中に何かいる様だ。

「ゼロのルイズが何かの動物を召喚したぞ!」
「失敗じゃなかったのか!?」

うるさいだまれ。
ルイズは声の聞こえた方向に躊躇無く失敗魔法をブチこんだ。太めの少年が華麗に宙を舞う。
服が破れながら「ハニーフラッシュ」とか叫んでいたのは無視した。
くるりと回って着地した少年の周囲の生徒が、さっと「10.0」の札を出したのも無視した。

497 :狼と虚無のメイジ:2007/12/03(月) 01:15:46 ID:SLKUmZRZ

絶望が一気に希望に変わる。
あの耳は猫かしら。いえ、尻尾すらすると狐や犬かもしれないわ、いいえもしかしたら。
……と言う思考は、次に毛皮から現れた物で「混乱」に変じた。

にょきりと出でた繊細かつ透き通るような白い腕。まるで氷の彫像のようだ。
むくりと起き上がると、周りの毛皮など及びもつかぬ、こぼれる様な亜麻色の髪が背中まで垂れていた。
しどけないその表情は、周囲の生徒とさして変わり無いと言うのに、ぞっとするほどの官能的な美しさを秘めている。
丸みを帯びた体ラインは一見すれば少女と言って良いほど控えめなものだったが、それで既に完成していると言って良いほど均整がとれていた。
人外の美の娘に、獣の耳と尾。

その身体に何一つ、服をまとっていないと気づいたのは、皆一様にその後だった。
あたかも服という物が、彼女にとって本来必要なものではないとでも言うかのように。

まるで触れてはいけない何かを見る様に、周囲の人間……教師のコルベールでさえ一瞬言葉を失った。

「ゼロのルイズが亜人を……」
「亜人なんて呼んでどうすんだよ……」
「でも可愛いよな……」
「しっぽもふもふ……」

ざわ……ざわ……

召喚された「者」が「者」だけに、周囲の反応もまた纏まりの無いものだった。

498 :狼と虚無のメイジ:2007/12/03(月) 01:16:24 ID:SLKUmZRZ

「……んう?」

初めて、その娘から声が出た。
周囲のざわめきに反応したその声は実に無防備なもので、まだ年若い男子生徒などにとってはくらっと来るような甘い声だ。
女生徒ですら、うっとりと見入っているものもいる。

「あ、貴方誰?」

ルイズの声など眼中にないかの様に、その娘はゆっくりと口を開ける。
そして空を仰いで目を閉じると、大きく吠えた。

「アオオオオオオオオオオオオオオオオオォ……ン」

ざざざざざざざざっ

草叢を、まるで狼でも走るかのように風が走る。
ルイズも含めたその場にいる全員も、同等の突風が体を駆け抜ける恐怖を覚えた。
召喚された使い魔すらも一様に竦んでいる。
顎を引いて遠吠えの余韻を飲み込むと、赤い瞳は真っ直ぐとルイズを見て、

「……昼に吠えるもまた一興よの。娘、酒などないかや」

悪戯っぽく、笑った。

499 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/03(月) 01:16:58 ID:cpHuwtIq
工場長支援

500 :狼と虚無のメイジ:2007/12/03(月) 01:17:24 ID:SLKUmZRZ
投下完了です。支援ありがとうごさいます
フーケ討伐を目処に書いて行きます。
重要な「小粋な会話」はここからですが、どれだけ原作の小粋な会話に近づけるか……orz

501 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/03(月) 01:18:59 ID:WhdbmSsy
これは、期待するしかないじゃないか!

502 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/03(月) 01:20:27 ID:zTnRKuuz
乙乙!
狼と香辛料原作にも興味がわいてきた。おぬし、やるな。

しかしハニーフラッシュてwwwwww

ルイズの爆発はシリアス時には殺傷魔砲になるが
ギャグ時には最高の演出にもなるなww

503 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/03(月) 01:21:49 ID:Q/Aw2ioe
おお。おもしろそうだ。GJ!
これからも支援するからがんばれ。

504 :ゼロの夢幻竜:2007/12/03(月) 01:22:03 ID:uGV3SLoP
>>500
乙とは言わずにお疲れ様でした。夜も遅いのでゆっくり休んでください。
さて皆さん感想も書きたいでしょうから35分に投下する事にします。

505 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/03(月) 01:26:17 ID:cpHuwtIq
GJでした、これは期待せざるを得ない…

506 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/03(月) 01:28:33 ID:aoO7Kx49
>>431
ケストラーなんて召喚したら
その場にいる全員血の雫にされちゃうよ

507 :ゼロの夢幻竜:2007/12/03(月) 01:35:03 ID:uGV3SLoP
では投下逝きまーす。やっぱりこのスレ……『速いッ!速すぎるよッ!スレッガーさん!』

ゼロの夢幻竜 第七話「ゼロの所以」

ルイズにとっては訳が分からなかった。
遅刻したらしいメイドが突然使い魔の声で話し出したら誰だって驚く。
それ以前に、使い魔が人語を解する点、そして尚且つ意思疎通できるという点でこの学院の人間は大方驚くとは思うだろうが。
取り敢えず人間に化けられるという事を前提にして説明を求めた。
それによると、シエスタというメイドと知り合いになった彼女は、洗濯を済ませた後食堂の位置を訊いて大急ぎでこの本塔へとやって来たとの事であった。
その話に一応は納得するものの、メイド姿のままでは流石に不味い。
そう思ったルイズはラティアスに、一旦外で元の姿に戻ってからここに来なさいと促した。
メイドことラティアスは上機嫌になって一旦外に出るが、数秒の後には元の姿に戻ってルイズの元に戻ってきた。
その時一瞬にして食堂にいる大方の者達がどよめく。
小型ながらにして風竜以上の飛行速度を誇るラティアスは、召喚された使い魔としては昨日の内に噂のネタになっていたからだ。
その様子に上機嫌のルイズは床に幾つかの料理の乗った一枚の皿を下ろす。
それを見たラティアスは喜んでそれに食べ始める。
その様子に昨日までの鬱屈とした日々への決別を感じたルイズであった。

食事が終われば授業が待っている。
ルイズはラティアスを連れてこの日最初の授業が行われる教室へと入る。
その瞬間、それまで雑談の声しか聞こえなかったそこは一転してしんと静まり返った。
その様子がルイズにとっては面白くて仕方が無い。
昨日までは何かと嘲笑が絶えなかったものだが今は違う。
こんな立派な使い魔を召喚出来たのだから、そうそう文句を言える者などいるまい。
そんなルイズの感情はお構い無しに、ラティアスはルイズを次々に質問攻めにした。

「ご主人様。私みたいにういているあの目の玉は何ですか?」
「あれはバグベアーって言うのよ。」
「じゃあ、あの生き物は?」
「あれはスキュア……ってラティアス、今はちょっと質問しないで。私一人が見えない誰かを相手に喋ってるみたいに見えるから。」

そうルイズに小声で言われ、ラティアスは慌てて閉口する。
だがその様子は既に数名の生徒に見られていたらしく、教室の何処かからくすくす笑いが起きていた。
ルイズが席の一つについたのと同時に、いかにも魔法使いといった雰囲気を纏った女性が教室に入ってくる。
優しい感じも覗かせる彼女は、生徒達のいる席をぐるっと見回してから満足そうに言った。

「皆さん。春の使い魔召喚は大成功のようですわね。このシュヴルーズ、こうやって春の新学期に様々な使い魔達を見るのが楽しみなのですよ。」

そこでシュヴルーズ女史の目はルイズの隣にいるラティアスへと行く。

「中でもミス・ヴァリエールは興味深い生き物を召喚しましたね。風竜か、或いは珍種の鳥か。何れにせよその翼の力は、私達の間でも噂になっていますよ。」

ルイズは澄ました顔をして少しだけ胸を張る。
「この子にはそれ以上の能力があります!」と言って変身や超能力見せたりするのを我慢するのが、当人にとってはかなりきつい事ではあったが。
その時教室の一角にいたマリコルヌが冷やかす様に口を開く。


508 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/03(月) 01:36:11 ID:uGV3SLoP
「ゼロのルイズ!『フライ』も『レビテーション』も出来ないからって、まさかその都度その使い魔の厄介になるのかい?空を飛んで遠くへ速く飛ぶ事なんて風竜だって出来るぞ!」

その言葉が不味かった。ルイズは立ち上がり、長い桃髪を揺らしながら怒鳴る。

「違うわ!きちんと召喚して『サモン・サーヴァント』も成功出来たもの!それに只の使い魔よりずうっとこの子の方が役に立つもの!!」
「じゃあそのご自慢の使い魔は一体何の能力に長けてるんだよ?只の使い魔より役に立つんだろ、ずうっと!」

それを言われてルイズは黙るしか他無くなる。
その様子に教室のあちこちから笑いが起きた。
が、それは直ぐに全員の心にいきなり聞こえてきた怒鳴り声で瞬く間に収まる。

「ご主人様をバカにしないでっ!!」

しんと静まり返った教室の中では誰もがお互いの顔を見合わせた。
それから直ぐに多くの生徒が頭や耳の辺りをこんこんと叩き始める。
いきなり聞こえてきたそれはルイズにもしっかりと聞き取る事が出来た。
そして恐る恐る隣を見ると、床から数十サントの所で滞空しているラティアスが、教室にいる全員に向けて怒りの表情を向けていた。
「何やってるのよ!」という当惑の表情をラティアスに向けるが、彼女は全く気にする事も無く表情も変える事が無い。
それを見てルイズは初めて彼女に対して頭を抱えた。
やがて何時までもざわつきが収まらない生徒達に向かってシュヴルーズはぴしゃりと言い放った。

「静かになさい!何が起きたかは知りませんが、授業はとっくに始まっているのですよ!」

その言葉にほぼ生徒の全員がえっ?という表情で教壇に立つシュヴルーズを凝視する。
その視線にシュヴルーズは半瞬、何事?と思うが、直ぐにコホンと一つ咳払いをして言う。

「では、授業を再開します。」

その言葉を合図に授業は何の滞りも無く殆ど淡々と進行し始める。
魔法の四大系統の説明に始まり、『錬金』魔法の実演、そしてメイジのレベルを測る基準。
教室の生徒は皆それを真剣に聴いている……ようで内心は全く別の事に気を取られていた。
自分達の心に直接怒鳴り込んできたあの声は一体何なのか。
そして、何故ミセス・シュヴルーズは気づいていないのか。
その全ての答えはルイズのみが知っていた。
彼女にははっきりと分かる。
自分は勿論の事、自分に対してとてもよくしてくれている主人をも散々馬鹿にされた事に腹を立てたラティアスが、笑っていた教室内の生徒にだけ焦点を当てて怒鳴りつけたのだと。
ラティアスの気持ちが分からない訳でもない。
自分だってそれ相応に腹が立っていたからなのは言うまでも無い。
ただ幾らなんでも先程の行動は正直勘弁してほしかった。
意思疎通の事を話していない人間に対し、一方的にそれをされた場合における困惑の度合いは、ラティアスと初めて会った時に経験済みだからだ。
だが、ルイズは自分の心の裡で『意思疎通は二人だけの秘密』にしたい願望があったのかな、と薄ぼんやりと思う。
でなければ、教室にいる皆にそれを快く説明していたであろうからだ。
そう思っているとシュヴルーズから声がかかった。

「ミス・ヴァリエール!あなたにやって貰いましょう。」
「あ、えーと……すみません、何でしょうか?」
「私の話をきちんと聞いていたのですか?ここにある石ころを使って望む金属に変えてごらんなさい。」

困ったルイズが立ち上がれずにその場で戸惑っていると、ラティアスが意思疎通をしてきた。

「頑張って下さい、ご主人様!さっき笑った人達を見返すいい機会ですよ!」



509 :ゼロの夢幻竜:2007/12/03(月) 01:37:12 ID:uGV3SLoP
その言葉に意を決し、ルイズは席を立って教壇に向かい歩き始めた。
が、直ぐに近くの席にいたキュルケが小声で咎める様に言った。

「ルイズ、お願いだからやめて!ミセス・シュヴルーズは今年初めて私達をもつのよ!あんたの爆発がどれ程危険か知らない……」

そこで彼女は言葉を切った。
自分に向けられている異様なまでの殺気を感じたからである。
ふとルイズが座っていた席の方を見ると、彼女の使い魔が愛らしい面立ちには似合わないほどの鋭い形相でキュルケを睨め付けていた。
その様子に彼女は気に喰わないわねと思いながらも、ふとある懸念を心に持った。
もしかして……さっきの声はあの使い魔が?

「馬鹿みたい、我ながら考えすぎね……」

そう呟き、ああ疲れたといった感じで髪を掻き上げる。
が、それは直ぐに自分の考え過ぎでない事が証明される。
何故か?答えがその本人から直接返って来たからだ。

「考えすぎな訳無いわ……熱そうなお姉さん。」

その言葉にキュルケはぎょっとしてもう一度ルイズの使い魔を見る。
相変わらず自分の方を見ていたが、気のせいか先程より鋭さが増した様にも思える。
それから周りを改めて見ると、今度は自分以外誰も反応していない。
冗談じゃないわ……まさか本当に?
キュルケはとかく気味が悪くなったので慌てて目を逸らした。
が、その声は彼女の意思を無視して更に続いた。

「目を逸らしてもちゃんと聞こえてるでしょう?惚けても駄目よ。」
「いい加減にして!」

そうキュルケが言い放つのと全く同時に黒板の前にある机が大爆発した。
その勢いは凄まじく前方にある机という机はひっくり返り、窓ガラスには小さくひびが入る。
教科書の類は空中を舞い、羊皮紙はあちこちへ飛んでいく。
また突如発生した爆発に、教室中の使い魔達がギャアギャアと暴れだした。
教室は阿鼻叫喚の様子を呈していた。
そして騒ぎを収める筈のシュヴルーズも仰向けになって気絶している。
その爆発の原因であるルイズは煙が晴れた後、所々衣服が破れている事も気にしていないのか懐からハンカチを取り出して煤を払いながら言う。

「ちょっと失敗したみたいね。」

さらっと放たれたその言葉に教室のあちこちから怒号が飛び出す。

「ちょっとじゃないだろう!ゼロのルイズ!!」
「いつだって成功の確率殆どゼロじゃないかよ!」
「ああ、もう!ヴァリエールは退学にしてくれよ!!」
「俺のラッキーが蛇に喰われたじゃないか!ラッキー!!」

纏める者がいない為に一向に騒ぎは収まる気配は無い。
そんな中、ラティアスはルイズの側まで飛んで行き優しく声をかける。

「ご主人様!大丈夫ですか?!」

その問いかけに彼女は小声で誰にも聞こえない様に答える。

「大丈夫よ。それよりさっき私の許し無しに勝手に意思疎通やったでしょ?みんなには私が上手く誤魔化しておくから、後でこの部屋の片付け私と一緒にやりなさいよ。いいわね?」
「は、はい……」

ラティアスはすっかりしょげかえる。
しかし遠くからその様子を見ていたキュルケは遂に確信した。
ルイズの使い魔は只の竜崩れの使い魔ではない事を……


510 :ゼロの夢幻竜:2007/12/03(月) 01:38:52 ID:uGV3SLoP
投下終了します。
意見はオープンに待ちます。
では近・い・内にまたお会いしましょう

511 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/03(月) 01:39:46 ID:1cquxxVP
おつかれさまです〜

512 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/03(月) 01:40:39 ID:zTnRKuuz
乙!

ギーシュとの絡みはどうなるか期待だな

513 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/03(月) 01:41:19 ID:1cquxxVP
http://yutori.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1196608519/l50
天災

514 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/03(月) 01:48:23 ID:1cquxxVP
http://www.uploda.net/cgi/uploader1/index.php?file_id=0000273564.htm

515 :罪深い使い魔:2007/12/03(月) 02:16:33 ID:qHVHzzEy
眠いけど投下予約……
2:25分頃から投下開始します

516 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/03(月) 02:21:17 ID:Q/Aw2ioe
しえんするぜたっちゃんの人。社長スレとかけもちだ

517 :罪深い使い魔:2007/12/03(月) 02:25:59 ID:qHVHzzEy
それでは投下開始します



誰も目をそらすことができない。この場にいる全員が、『それ』に見入っていた。
達哉の体から抜け出るようにして出現し、今は宙に浮いている奇妙な人型。
複雑な形状をした、どこか炎を連想させる赤い仮面。
派手で、真っ赤で、見方によってはユーモアすら感じさせる衣服。
全体の印象としては貴族を演じる道化師か、あるいは人の形をした炎のように見える。
ただ、それが人ではないことは誰の目にも明らかだった。
人間を超越した、圧倒的な存在感。これが人間であるはずがない。
しかし、それは人の言葉を発した。

『我は汝……汝は我……我は汝の心の海より出でし者……』

凛とした声。耳ではなく、直接心に響いてくるような力強い声。
その声は、ルイズにほんの少しばかりの思考能力を取り戻させた。
声色はまったく違うのに、なぜか非常に馴染みの深いもののように感じられる。
我は汝。汝は我。それは同一にして異なる者、異なる自分の意。
つまり――もう一人の自分。

『烈日と蒼穹の支配者、アポロなり……!』

不意に、ルイズの膝が笑う。
こいつ、本当にあのタツヤなの?
バカで役立たずで無口で……でも少しはいいところもある、あのタツヤなの?
あんた、平民じゃないの?
あんた、本当は、

「……メイジだったの?」
「違う」

無意識に口から出た言葉に、達哉は平然と返した。
そしてルイズを振り返る。見慣れた、達哉の顔がルイズの目に映る。
しかし、その表情はルイズが知らないものだった。
今までルイズが見たことのない、『敵』を前にした達哉の顔に、ルイズは息をのんだ。

「俺は、『ペルソナ使い』だ」
「なによ、ペルソナツカイって……」

ルイズは無理に笑おうとして、失敗する。口からは、掠れたような笑いしか出てこなかった。
達哉はそんなルイズになぜか、少し申し訳なさそうな顔をする。

「……説明は後だ。あいつは俺が引き受けるから、フーケは頼んだぞ」

そう言い残して、達哉は駆け出す。
誰も声をかけられない中で一人、達哉は猛然とゴーレムに戦いを挑んだ。
「ペルソナ」の呼び声と共に出現したもう一人の自分――『アポロ』を伴って。

518 :罪深い使い魔:2007/12/03(月) 02:28:12 ID:qHVHzzEy
「相棒、その『ペルソナ』ってやつ、娘っ子達にバラしちまってよかったのか?」
「これ以上は隠すだけ無駄だ」

デルフリンガーの言葉に、達哉はそっけなく答える。
どの道、長くは隠せないと思っていた。バレるのは時間の問題だったろう。
それに『向こう側』の気配が色濃くなった今、無理にルイズの元に留まる理由はない。
結果として今回の事件は良い機会だった。ルイズの元を離れるきっかけとしては。

「相棒も難儀してんな。まあ俺としちゃあ、俺を使ってくれるなら、相棒がどうしようと構わないがね」
「そうか、なら――少し付き合ってもらうぞ!」

ルイズ達と同じく動揺してるのか、ゴーレムも動きが止まっている。
達哉はそんなゴーレムの足下に飛び込み、吼えた。

「『ギガンフィスト』!」

アポロがその声に反応する。達哉の前に躍り出たアポロの拳が、唸りを上げてゴーレムに打ち出される。
それは昨夜ゴーレムの足首を奪った、『巨人の拳』の名にふさわしい渾身の右ストレート。
豪快な破砕音。衝撃がゴーレムの巨体を振動させ、それが収まった時には、またもゴーレムの足首は崩れていた。
しかし、今度は膝を折らない。若干短くなった足で器用にバランスを取り、そのまま下の土を取り込んで、再生を行う。

「遅い!」

そこへ、達哉はデルフリンガーで追撃を加えた。ルーンの効果だろうか。今までより剣が軽く、剣撃は重い。
ゴーレムの足はそれでバランスを崩し、片膝をつく格好になる。これで再生には時間がかかるはずだ。
さらに達哉は、残った足首にも『ギガンフィスト』を打ち込み、そのままゴーレムを倒しにかかる。
再び振るわれる拳。ところが今度はゴーレムの足首はなくならず、代わりにアポロの腕がゴーレムに深々と突き刺さる。
何が起こったのか、達哉は瞬時に察知した。

「く、『練金』か……!」

『ギガンフィスト』の命中部位、その周辺が薄い鉄板で覆われていた。直接命中した箇所の鉄板は突き破られているが、
こうなると、衝撃だけで破壊することはできない。

「やはり、そうやすやすと勝たせてはくれないらしいな!」

言いながら、達哉は背後から降りてきたゴーレムの拳を避ける。二度と殴られるのはゴメンだ。
さらにすれ違いざまにデルフリンガーで手首を大きく抉り、その傷口にアポロの右手をかざした。そして精神を集中させる。
『魔法』は、お前達メイジの専売特許じゃない!

「『アギダイン』!」

直後、アポロの手のから紅蓮の炎が放たれ、ゴーレムの手首へと吸い込まれていった。

519 :罪深い使い魔:2007/12/03(月) 02:30:28 ID:qHVHzzEy
あの『アポロ』だけでも驚くべきことだが、達哉はさらに信じられないことをしてみせた。
アポロから打ち出された、特大の炎。その炎が今、ゴーレムの手を文字通り焼いている。
それをゴーレムは、腕を振って無理矢理消火しようとした。
しかし、達哉は炎を出す前に、一度ゴーレムの手首を切りつけている。
亀裂から内側にまで侵入した炎と熱が、ゴーレムを形成する魔法を鈍らせたのだろう。
遠心力という負荷も合わさり、結果、ゴーレムの手は手首から外れて地面に落下した。
ルイズはそれが、先ほどキュルケの炎が大した効果を上げられなかったことを見て達哉が考えた、
達哉なりの戦術なのだろうと理解した。そして、そこで思考を停止させた。

「何よ、あれ……」

もうわけがわからない。
ペルソナツカイ。ペルソナ使いって、何?
私は一体、『何』を召喚したの?

ピィ――

不意に甲高い音が響き渡る。音の出所を探ってルイズが後ろを見ると、タバサが指笛を吹いていた。
それが合図なのか、すぐにタバサの使い魔である風竜が、タバサの元に舞い降りる。
到着が早い。きっと初めから上空で待機していたのだろう。

「乗って」

タバサが淡々と言う。彼女が取り乱した姿など見たことがないが、それでもこの落ち着きぶりには違和感があった。

「タバサ。貴方、あれ見て驚かないの?」
「知ってた」
「……へ?」

あまりにも平然と言うため、ルイズはその言葉の意味をすぐには飲み込めなかった。
やがて理解が及ぶと、そのまま一気に思考が加速する。

「いつ、どこで!?」
「最初に見たのは、『練金』の授業」

それって……タツヤを召喚した次の日!? っていうか、『最初』!?
言葉に詰まるルイズ。その隙をつくように、キュルケが口を挟んだ。

「おしゃべりは後よ、ルイズ。早くシルフィードに乗りなさい」

シルフィードがタバサの使い魔の名前。つまり今目の前にいる風竜の名前だということは知っている。
それでもルイズはその言葉通りに行動することができない。
達哉はフーケを探せと言った。なのに、

「タツヤを置いて、逃げるつもり!?」
「違う」

達哉を囮にして自分達だけ逃げるつもりかという問いを、タバサは即座に否定した。

「空から捜す」
「森の木々が深いのは貴方も知ってるでしょ! 空からじゃ見つからないわ!」
「かと言って、地上からのんびり捜している時間はないでしょ?」

520 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/03(月) 02:31:54 ID:Zt92ZPqO
支援

521 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/03(月) 02:32:32 ID:Q/Aw2ioe
支援!

522 :罪深い使い魔:2007/12/03(月) 02:32:59 ID:qHVHzzEy
キュルケのフォローが入る。ルイズはそれで納得した。
たしかに、森の中を歩いてフーケを捜索していては時間がかかる。
罠や、フーケ自身からの奇襲を警戒しなければならないため、慎重にならざるを得なくなるためだ。
空からの捜索はたしかに視界が悪いが、身の安全を確保しつつ捜索に専念できる。
それでもルイズは首を縦には振らない。

「……なら二人で行って。私はタツヤと一緒に戦うわ」

達哉の正体が何であれ、このまま達哉を放っておくことはできない。
達哉は昨夜、ゴーレム相手に敗北している。つまり、絶対的な優位には立っていないのだ。
ならば、主人である自分が手を貸すのは当然だ。

「反対」

タバサは首を横に振った。

「貴方が行ってもどうにもならないでしょ。ご自分の二つ名をお忘れ?」

キュルケが言葉を引き継ぐ。ルイズはキュルケを睨むが、キュルケはそれを受け流すことなく、逆に睨み返した。

「あんたも風竜に乗って、フーケを捜す『目』のひとつになりなさい。それがタツヤを助ける一番の近道よ」

ルイズはさらに何かを言いかけ、しかし結局は何も言わずに大人しく風竜の背にまたがった。
ここでキュルケの言う通りにするのはプライドが許さなかったが、今はプライドよりも優先すべきものがある。
そんなものがあったことに対する驚きが、ルイズを無言にした。

タバサとキュルケも慣れた調子で乗り、風竜はすぐに大地を離れる。
遠ざかる地面。達哉はあっという間に小さくなるが、ゴーレムはさして変わらない。
その圧倒的なスケールの違いがルイズの不安をかき立てたが、ゴーレムはまだ膝をついていた。達哉は頑張っている。
そしてルイズは、ふと昨夜のことを思い出す。自分が駆けつけたあの時、ゴーレムはやはり膝をついていた。
あの時も、達哉はゴーレムの足首を砕いたのだろう。アポロを使って。
ゴーレムを砕く拳。言うまでもなく、人間があんなものを食らったら一たまりもない。
人間大のガーゴイルにあんな力を持たせることは、普通できない。一体、何で出来ているのか。

――違う。そうじゃない!

ルイズは唇を噛む。そして、さらに思考に没頭していった。
あれはガーゴイルじゃない。タツヤが言ってたじゃない。「自分はメイジじゃない」って。
その通り。達哉は、メイジの尺度では測れない。あのアポロにしたって並のメイジでは作れない。
アポロの大きさは人間大でも、造形は細部に至るまで精巧に出来ていた。
あれと同じものを作ろうと思ったら、『土』のトライアングルだって難しい。
なのにあの炎。ゴーレムの手を落とした炎はどう控え目に見ても『火』のトライアングルスペルに匹敵する火力を有していた。
『土』のトライアングルに『火』のトライアングル。この時点で既にメイジの常識を外れている。
大体達哉は――杖を持っていない。
杖を持たずに魔法は使えない。例外はあるが、それは『人間が使う魔法じゃない』。

「それにしても、まさかあんな手を隠し持っていただなんてね」

不意に、キュルケが呟く。ルイズは横目でキュルケを見る。
初めアポロを見た時はルイズ同様混乱していたように見えたが、今ではその痕跡すら見受けられない。
しかしルイズにはそう簡単に気持ちの切り替えができなかった。

523 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/03(月) 02:34:46 ID:Q/Aw2ioe
支援

524 :罪深い使い魔:2007/12/03(月) 02:35:46 ID:qHVHzzEy
「あんた、どうしてそんなに冷静なの? 『あれ』を見て……」

いつもの覇気がないルイズ。それでキュルケは事情を察した。

「……つまり、貴方も知らなかったのね。あの『アポロ』を」
「…………」

その無言を肯定と理解したキュルケは肩をすくめる。

「自分の使い魔のことを知らないなんて……貴方、信用されてなかったのね」
「…………ッ!」

キュルケの言葉が、ルイズの胸に突き刺さる。
それはルイズが、無意識の内に考えないようにしていたことだった。
達哉の力についてあれこれと考えを巡らせてはいても、なぜそれを達哉が教えてくれなかったのかについては考えなかった。
なぜならそれは――考えるまでもないことだったからだ。

今になって思い知る。私は使い魔のことを、タツヤのことを何も知らない。知ろうとすらしなかった。
態度は悪いが、ちゃんと言うことを聞く。それだけで満足していた。
達哉の過去を妄想だと笑い飛ばし、真剣に耳を傾けることはしなかった。それなのに、信頼関係が築けていると錯覚していた。
私は達哉の話を信じず、達哉は本当の自分を隠していたのに。

「ふぇ……」

不意に泣けてくる。これほど自分のことを情けないと思ったのは初めてかもしれない。
同級生にゼロと罵られることよりも、使い魔に信用されていなかったことの方が何万倍も悔しく感じられた。
使い魔の信用ゼロ。私は今まで、タツヤにすら無言でゼロと言われ続けていたんだ。
それに気づかず、得意顔で命令を下していた私は、本当にゼロだったんだ……。

「ちょっと、泣いてる場合じゃないでしょ!」

キュルケは妹を叱る姉のような口調でルイズを咎める。

「なんでタツヤは一人でゴーレムを引き受けたと思っているの?
私達がこのまま逃げるかもしれないなんて思ったら、あんな行動は取れないのよ?
私の言いたいこと、わかるかしら?」

……どういうこと?
ルイズはきょとんとした顔でキュルケを見る。今だけはキュルケに対する憎らしさは心から消えていた。
仇敵であるはずのキュルケの言葉が胸に染み入る。
本当にわからないの、とキュルケは呆れ混じりに言葉を続けた。

「まったく……今のタツヤは信用してるのよ。貴方を。貴方はそんな使い魔の期待にどう応えるつもりなの?」

言われて、はっとするルイズ。
そうだ、タツヤは「頼む」と言った。この私に。私を……頼ってくれたんだ。
今の私はまだゼロじゃない。まだ、やり直せる!
ルイズの目に力が宿ったを見て、しかしキュルケはそんなルイズを茶化した。

「ま、正確に言うとタツヤが信じたのは『私達』なんだけれど。貴方一人だったら、タツヤも信じる気にはなれなかったんじゃないかしら」
「そんなことない! タツヤはいざとなったら私を頼るに決まってるわ!」

コロコロと態度を変えるルイズを見て、キュルケはその単純さを笑う。
それは嘲笑うというより、微笑ましさからくる笑みだったが、ルイズはバカにされたと思って怒りをあらわにした。
ともあれ、ルイズは完全に立ち直った。
キュルケは話題を当面の問題に戻す。

525 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/03(月) 02:37:25 ID:vrC+mr1y
支援

526 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/03(月) 02:37:37 ID:Q/Aw2ioe
しぇん

527 :罪深い使い魔:2007/12/03(月) 02:38:13 ID:qHVHzzEy
「さ、早くフーケを見つけるわよ。もたもたしてると、タツヤがゴーレムを倒しちゃいそうだもの」

……う、たしかに。
ルイズはまたゴーレムを見る。ゴーレムは未だ一歩も動いていない。
再生した側から達哉が破壊しているのだろう、身動きがとれなくなっている。
これならフーケを探すよりも、こちらも攻撃に参加した方が良いのではないかと思える。
その案をルイズは二人に提示したが、タバサはにべもなく切って捨てた。

「それでゴーレムを完全に破壊できる可能性は低い。確実を期すなら、フーケを見つけて叩いた方が効率的」

それに、とタバサは続ける。

「あの戦い方はかなりの体力を消耗するはず。おそらく、長くは保たない」

ルイズの緊張が高まる。
自分達がもたもたしていたら達哉はまたゴーレムに殴り飛ばされる。タバサはそう言っている。
『シュヴァリエ』である彼女がそう言うのだ。その見立てが間違っているとは思わない。
ルイズは達哉を見続けていたい気持ちをぐっと堪え、視線を眼下の森に固定した。
達哉を助けるために。



以上です
支援ありがとうございました
最近文章量が多くなりすぎていたので少し短めにしました

528 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/03(月) 02:40:04 ID:Q/Aw2ioe
GJ!
長くても問題ないんだぜ?今はほかに投下する人もいないしね。
しかしやっと見せ場だねたっちゃん。

529 :ゼロのgrandma:2007/12/03(月) 02:42:37 ID:ydMdx1Pt
たっちゃんの人、乙でしたー。

では自分も予約します。他にいないようですので、十分後くらいから。

530 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/03(月) 02:44:06 ID:fdLQJHML
ok支援。
生き恥晒しっぱなしです。
若本キャラでsy・・・だめだ、書くモチベーションが(ry

531 :ゼロのgrandma 1/10:2007/12/03(月) 02:50:19 ID:ydMdx1Pt
赤毛の娘より放たれたのは、先程より大きな火球。
威力も比例してあるだろう。
――だが、飛翔速度に劣るそれは迎撃が容易い。
ワルドはそう判断すると、敢えて避けるに留めて肉薄した。
上空から降りてくる風竜を見上げているのは、背を向けた学院の秘書。

狙いは元凶の一人であるこの女だ。
生徒の二人は問題無い。後々どうにでもなるが、こいつを削っておかねば面倒が増える。
彼は杖を握りしめた。
小さな体に不釣り合いな杖を、目の前の少女が振り上げている。
飛行魔法の準備と共に、最適と思われる経路を脳裏に描く。
赤毛の娘に続き、この娘の魔法さえ避ければ、後は逃亡を図る女まで距離を詰めるだけ。防ぐ手段は無い。
技量にも依るが――威力のある魔法は連発出来ないからだ。

杖が振られる。
それを見定めるように、彼は横っ飛びに進路を変えた。
一歩遅れて娘の魔法が発動――?

「何!?」
ワルドが戸惑うように叫んだ。
(あら、そういう表情なら、充分合格点を上げられるのに)
杖を振ったように見せ掛けたタバサの横で、キュルケが楽しげな笑みを浮かべた。
彼女の視線の先で、光が大きく軌跡を描く。
これも避けられたように見せ掛けられた火球が、相手の背中へと誘導された。
直撃。
――する寸前に、身を捻ったワルドは後退し、火球目掛けて風の魔法を吹き下ろす。
地面に着弾した火球は爆発、土砂を大量に撒き散らした。

未熟故に失敗したのか、それとも何らかの策なのか?
青髪の娘の魔法は発動しなかった。
土煙の中、ワルドは舌打ちしつつも再度飛行魔法を唱えようとして――背中を激しく打ち付ける。
背中が、何に!?
思わぬ衝撃で魔法を中断した彼は、その対象が背後のみでは無いことに気付いた。

そう――後退しようとした自分は、四方に現れた土壁に動きを阻まれたのだ。
これは、こちらに背中を向けていた女が使う、土系統の魔法ではなかったか?
「謀られたという事か!」
漸く相手の意図を理解する。
今周囲を囲んでいる土壁の檻は、後方警戒に回っていた女が築いた物だ。
どのように後方へ狙いを定めたのかは分からない。
だが――だとすると、青髪の娘が魔法を唱えなかったのは、失敗したわけでは無く?

唯一開いた空間である上を見上げた彼は、飛び去る風竜を目に映した。
同時に視界を覆ったのは、迫り来る数十本もの氷の矢。
それを最後に、仮初めの意識は絶たれた。
他の意識がその後を追う、僅かに先の事である。



降りてきた風竜から、タバサが飛び降りてくる。
使い魔に掴み上げられた彼女が、飛び去り際に撃ち込んだ魔法。それは檻の内部で、存分に威力を発揮しただろう。
あの狭い空間で防げたとは思えない。
「やったのよね?」
念を押すように聞いたキュルケに、タバサは微かに首を振った。
「当たったのは確実。だけど、何も残っていない」
「まあ、当然だね」
手鏡――背後を狙う為に使った小道具――を懐に入れながら、ロングビルは肩を竦める。
戦った相手は、予想通り実体ではなかったのだから。



532 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/03(月) 02:52:38 ID:YuchqaZv
>>530
YOU、主要キャラの使い魔や敵キャラ、サブキャラを全部若本キャラにしちゃいなYO!
とりあえずスカロン店長が貂蝉なのはガチだな。

533 :ゼロのgrandma 2/10:2007/12/03(月) 02:53:04 ID:ydMdx1Pt
「これから、どうするの?」
「帰るよ」
キュルケに問われた彼女は、あっさりと答えた。
「次も上手くいくとは思えないし、こちらから助けに行くってのにも無理があるだろ?」
「どこにいるか分からないしね」
リンディたちが勝てば学院に向かうだろうし、万が一負けたなら自分たちが危ない。
何れにせよ、戻るしか手は無いのである。

「戻って待つ」
風竜に再び跨るタバサの様子に、二人は苦笑する。
口には出さないが、彼女たちに危機感は全く無かった。ルイズたちの身に何かが起こるなど有り得ないから。
どちらが先に戻るか分からないが、どうせ目にする物は決まっている。
任務達成を誇示するルイズの笑顔と、いつもの微笑みを浮かべたリンディがお茶の用意をしている姿。
聞かされるのは、少しばかりの謝意と自慢話。

「少しは愚痴ってやらないと気が済まないしさ」
「そうよねえ。面白かったのは事実だけど、感謝して貰わないと割に合わないか」
二人して同じ物を想像したのか、笑い合うと風竜に向けて歩き出す。
遠慮無く頼めばいい。
いつもと同じ甘いお茶と、焼き立ての手作り菓子を用意させよう。
それくらいの権利は、多分あると思うから。

   ◆  ◆  ◆

彼女は月を眺めている。
一重になった二つの月。――スヴェルの月夜。
穏やかな表情で。
いつもと違う月光の中、ただ黙って空を見上げている。



ふと、ルイズは気付いた。
激しい閃光で覆われた視界が、いつの間にか淡い光を映している事に。
鳴り続いていた轟音は止み、辺りは静けさを取り戻している。
暗闇の先。
そこに、かつて憧れた人の成れの果てがある。もしかしたら、まだ生きているかもしれない?
――いや、おそらく死んだのだろう。

自分を殺そうとした、あの怖ろしい表情が脳裏に浮かぶ。
彼の瞳の中に、憎しみなど欠片も存在しなかった。単に己の障害を取り除こうとしただけ。
ワルドにとっての自分は、もう憎む価値すら無かったのかもしれない。
無意味。
彼は、自分の人生をそう評した。
何一つ無い。――そうも言った。
ルイズは、じっと自分の掌を眺める。
小さな、魔法一つ碌に使えないそれは、本当に何も持っていないのだろうか?
持っていなければ、無意味なのだろうか。



534 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/03(月) 02:53:56 ID:Zt92ZPqO
.支援…

535 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/03(月) 02:54:48 ID:YuchqaZv
葬式支援

536 :ゼロのgrandma 3/10:2007/12/03(月) 02:55:15 ID:ydMdx1Pt
それなら。
己が選んだ結果に殉じた、あの人はどうなのだろう。
何を得たかったのかは分からない。
しかし、自分などとは比べ物にもならない程、価値の有るものだったはず。
国も、周りの人も、多くの人々が向けてくる心も、その価値には及ばなかった。
優しかった己自身すら捨てて求めたそれを、自分が知ることは永遠に無い。知る資格も無い。
結局、彼は得られなかった。
ただ、だからと言って、彼の人生が無意味だったとは到底思えない。

――そうだ。
ルイズは手を握り締める。
いつかこぼれ落ちてしまうとしても、今現在握っている事は事実。
それだって、ほんの少し前なら考えもしなかったモノではないのか。
昔から他者の悪評に晒されてきた自分。
言いたくは無いが『ゼロ』だって大差無い。
「そうよ。今更じゃないの」
毅然と顔を上げた彼女は、剣を杖代わりに歩き出す。

意味はそこにある。
常に、目の前に。



荷車の残骸から、荷物と鞘を引き摺り出した。
自分の物は失ってもさほど惜しくは無いが、中には捨ててはならない物がある。
鞘にデルフリンガーを納め、背中に背負う。
少し長いが、まあ大丈夫だろう。

「リンディ」
声を掛けると、彼女はゆっくりと振り向いた。
月明かりの中。
今にも消えてしまいそうな、儚げな笑み。
ルイズは奥歯を強く噛み締めた。そうだ――余計なことは考えなくていい。
言うべき事は一つだけ。

「帰るわよ。学院に」
「……でも」
「口答えは無し」
微かな躊躇いの気配を無視して、ルイズは強引に腕を掴んだ。血の滲んだ左手の、白い指先。
手早く布で拭う。
右手は手袋で覆われているから分からないが、ぞっとする程冷たい。
「早く帰って眠りたいのよ。のんびりしてる時間は無いの」
「え、と」
「あんたも隣でちゃんと寝るのよ。明日は無理でも、明後日位にはお城に報告に行くつもりだから」
「――風邪、うつっちゃうかも知れないわよ?」
苦笑する彼女。
悲愴感など全く含まないその口調に、一瞬腹が立つ。
それでもルイズは、ただそっと抱きしめた。
「だったら、早く直しなさい」
「そうね」
同じように、彼女が柔らかく腕を回してくる。



537 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/03(月) 02:55:16 ID:fdLQJHML
siwren

538 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/03(月) 02:56:28 ID:fdLQJHML
支援

539 :ゼロのgrandma 4/10:2007/12/03(月) 02:57:22 ID:ydMdx1Pt
「確か、馬が一頭残っているからそれで帰りましょう。わたしはルイズさんの後ろに」
「飛んで帰って」
抱きついたまま、ルイズは強い口調で言う。
「来た時と同じに、飛んで帰って」
「――あのね、それはちょっと」
「わたしの『フライ』って成功した試しが無いんだもの。だから絶対落としちゃダメ」
「うわー……本気?」

酷だ。
リンディは思わず天を仰いだ。
我がご主人様は、学院に戻るまで『眠る』事も許してくれないらしい。
しかも――その為に選んだ方法が、自分自身を使った脅迫である。
(確かに、飛んで帰る場合は、意地でも意識を失えないものね)
例え低空でも、あの速度で地面に叩き付けられれば大怪我では済むまい。
言ってる本人も無茶は承知だろう。

それに、そこまで無理をして戻ったとしても、意味は無いのだ。
治療方法など存在しないのだから。
逆に魔力爆発による被害を周囲に与えかねない。ここを動かない方が無難だと思う。

だけど。
「仕方ないわね。まあ、月も綺麗だし。夜空をのんびり行くのも悪くないかな」
彼女は諦めたように頷いた。
これでは、今更文句も言えない。
勝手に居なくなるなんて許さない――と、ルイズが全身でそう叫んでいるから。

能力強化の残り時間はあと僅か。
ただ、もう脅威は存在しないはず。
今まで展開していた全ての探査魔法を解除した。幾重にも張り巡らせていた防御魔法も。
最低限の風除けと防寒が出来れば充分だ。
身体の方は――あまり考えたくなかった。
一度枷を外してしまった以上、もう多少遅延させる程度の効果しか望めない。
手足の先の感覚が無い理由は想像出来るが……それも止める。考えるだけで痛いから。
面倒なので、痛覚だけ遮断。
制御以外のあちこちを削って、何とか僅かなリソースを捻出してみる。

まあ、これならお茶の時間くらいは。

「帰ったら、何か甘い物でも用意する? 疲れちゃったし」
「悪くないわね。でも、寝る前だと太るわよ」
「う」
素知らぬ振りで、あらぬ方向を見上げるリンディ。同じ事を息子に言われたなあ、と思い出す。
その後、一週間の菓子断ちという地獄を思い出して首を竦めた。
「ま、まあ、それは着いてから考えるとして」
取り繕うように囁く。
「じゃあ、行きますよ」
「……うん」
抱きしめる腕に力が籠もる。
そんな彼女を、力場で支えて。

二人はゆっくりと、静謐な夜空に舞い上がる。



540 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/03(月) 02:58:44 ID:Zt92ZPqO
shien

541 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/03(月) 02:59:44 ID:fdLQJHML
支援

542 :ゼロのgrandma 5/10:2007/12/03(月) 02:59:58 ID:ydMdx1Pt
徐々に高度を上げる中で、ルイズが小さく口を開いた。
その視線は暗闇に沈んだ大地に向けられている。
さよなら、と紡がれた弔いの言葉は、果たして彼に届いたのだろうか。



月光の降る中。
何かを求めたのだろう。一頭のグリフォンが舞い降りた。
元々荒地だったその場所は、見渡す限り掘り返されている。明日になれば野鳥が集うかもしれない。
彼は、太い首を巡らせた。
微かに光るのは、砕け散った金属の欠片。錬金魔法が作り上げた防壁の残滓。
その近辺だけ地面の崩れ方が激しいのは、何かしらが穴を掘った痕跡だろうか。
他にも、足掻いた形跡は幾つも残っていた。
無論、彼には分からない。
何れにせよ――元の形を残した物など、視界のどこにも存在しなかった。
僅かに、首を傾げる。
風に混じって、何か聞こえた気がしたのだろう。
ゆっくりと歩を進めていく。
それは怨嗟か、苦鳴か。または悔恨の嘆きか。それとも――結局、単なる風音だったのか。
彼は、何気なく足を止めた。

やがて。
グリフォンは、夜空へと飛び去った。
彼が何を見たのか、何を見付けたのかは不明である。ほんの僅かな違和感を、その飛び方に感じさせるだけだ。
徐々に高度を上げる雄姿を、月明かりが照らし出す。

――が、その背中に人影らしき姿は、やはり無かったように思われる。

   ◆  ◆  ◆

その少女がそれを見付けたのは、偶然ではない。

あれから数日。
シエスタは、一日に何度も彼女たちの部屋を訪れ、不在を確認する日々を過ごしていた。
仕事が終わった夜になっても、やはり同じように。
出来る限り人目を避けてはいるが、このまま続けば、不審に思われるのはそう遠くないだろう。
もっとも、続けばの話だ。――どうせそう長くはない。
仕事仲間に心配されている事にも気付いている。
だが、今は他のことを考える余裕は無かった。全ては終わってから。
寝不足による隈の浮かんだ顔で、もう一度夜空を眺めた。相手はどこから帰ってくるか分からないから。

(寒い。今夜は少し冷えるなあ)
門の方へと目をやり、溜息を吐く。
徒労かもしれないとは思う。ミス・ロングビルからも、いつ戻るか分からないと聞いている。
逆に、すぐ戻るかもしれないとも。
今夜は特にその可能性が高い気がする。先程の幻には凄く驚いたし。
何の為に出掛けたのか、詳しくは知らない。
おそらく王女様に頼み事をされたのだろうが、平民である自分には雲の上の話だ。
それがどれほど重要なものか、想像すら出来なかった。



543 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/03(月) 03:01:29 ID:Zt92ZPqO
支援

544 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/03(月) 03:01:34 ID:xdGRMvZk
天皇はA型で朝鮮の出身です。A型は2000年前に日本きたから帰ればいいのに。
A型は100%農耕民族とはいえないがO型かB型にぜんぜん好かれないAは
農耕民度が高すぎるから2000年前に日本の先住民族を大量に殺してきた
遺伝子、多そうだね。

遊牧民族は厳しい自然の中を小さい家族で移動しながら生活してきたので家族と他人の
線引きをはっきりさせたと思う。 これをクールと感じる。だから、そのぶん身内にはあつくなるのか。

B型は遊牧民族、O型は狩猟採取民族。
A型は農耕民族。農耕民族は2千年前(つい最近)に、中国から日本に来た。A型は2万5千年ごろ誕生して農耕社会を
作ってきた。農耕民族社会になってから狩猟採取民族が大量に殺され滅び吸収され、ホームレス、虐待、売春、
女性差別 が始まり、強制的に横並び結婚し横並び子作りしないと女が生きていけない社会になる。
横並びの群れ社会(農耕民族社会)は無理やり敵を作り差別しないと作れない。これが、いじめ。
ブサイクで、もてない農耕民族はとくに性欲として横並びの群れ社会を作りたがる。
農耕民族社会はA女も不幸になります。


545 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/03(月) 03:01:51 ID:fdLQJHML
疎遠
支援

546 :ゼロのgrandma 6/10:2007/12/03(月) 03:02:28 ID:ydMdx1Pt
――だけど。
代償として、貴重な時間を削る価値があったのだろうか。
このまま戻らないなら、それも構わない。自分の知らない場所で、多分そうなったのだろうから。
では、戻ってきた時は?
最後の機会に接した時に、自分が何をすべきかは分かっている。

淡い月明かりの中に、ついにそれを見付けてしまった時。――彼女は手の中の包みを握り締めた。
自覚はしている。
分かっているからこそ、今でも迷うのだと。



深夜だというのに、トリステイン魔法学院は少しばかり騒がしかった。
そこかしこで囁かれる、妙な噂。
今までも幾度となく上がったその名前が、今回は意味合いの異なる話題になっていた。

「全く、彼女には困ってしまうよ」
ぶつくさと呟きながら、ギーシュは相手の部屋へと歩を進めていた。
正直、足は重い。
あの妙齢の女性――リンディはどうも苦手である。
決闘の件については、あの後、丁寧に頭を下げられた事もあって気にしていない。
ただ、時折菓子などを持って遊びに来る彼女から、未だに恋愛話を振られるのだ。
幾ら説明しても、いつの間にか話がおかしな方向に行ってしまう。
遊ばれてるような気はするのだが、
「悪気が全く無いのも分かるからねえ」
彼は頭を掻いた。
楽しそうなあの使い魔からは、近所の子供と遊ぶような雰囲気しか伝わってこない。
多少不満だが、怒るほどの事でも無く。
結局は、何度となく茶飲み話に付き合わされている。

「とは言っても、今日は聞かなければならない話があるんだ。いつものようにはいかないぞ」
ギーシュは少しだけ表情を改める。
寝ていた者には関係無かったが、起きていた者は、ほぼ全てが例の幻を見ている。
原因は考えるまでも無い。
(……まさか、先住種族だったりしないだろうね)
少しだけ不安を覚えたが、そういうイメージと彼女は結びつかない。

「それに、居ないかもしれないしさ」
あの幻が今現在の映像なら、彼女たちは外出中のはずである。
何がどうなってるのか知らないが、極めて緊迫した状況に置かれているのは理解出来た。
おかげで、気になって眠れないではないか。
確かめなければ――そう思って廊下の先を眺めると、目的とする部屋の扉が、静かに開くのが目に入った。

   ◆  ◆  ◆

いつもと多少異なる雰囲気には気付いたが、特に詮索する必要も無いだろう。
一応、門から入るのは諦めて、目立たぬよう窓から部屋に入った。
それと同時に。
かろうじて維持していた飛翔魔法が停止。バリアジャケットも解除されてしまった。
まさに間一髪である。



547 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/03(月) 03:02:42 ID:syHfgiT0
支援

548 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/03(月) 03:03:50 ID:fdLQJHML
支援

549 :ゼロのgrandma 7/10:2007/12/03(月) 03:05:07 ID:ydMdx1Pt
(無理もないかな)
腕に抱えていたルイズをベッドに降ろした。
完全に意識を失っている。
途中までは気の強さを見せていたのだが、今夜の出来事は彼女の心には少々酷だったらしい。
いつの間にか、糸が切れるように眠ってしまった。
「当たり前よね。死にそうな目にあったんだもの」
色々と、衝撃的な事実に触れたりもしたのだから。
錯乱しなかっただけでも、褒められる資格があると思う。

寝具を整え、思ったより安らかな寝顔を眺める。
最後に空を飛んで帰ったのが、良かったのかもしれない。
(夢も見ないで、ぐっすり眠ってくれそうね)
悪夢に悩まされる事も無いはずだ。
朝になれば激しい混乱が襲うだろうから――今だけでも安らかに。



微笑みながらルイズの髪を撫でていた彼女は、不意に時間が無くなったことに気付いた。
立てかけておいたデルフを引き抜く。
「ちょっと夜風にあたってきます。ルイズさんを宜しくね」
「おう。……あー、その、何だ」
珍しく、彼は言い淀んだ。
「なに?」
可愛らしく小首を傾げたリンディに、彼は苦笑する。
「いーや。さっさと鞘に戻してくれ。何か余計なこと言っちまいそうだ」
「ごめんね」
剣を元通り立てかけると、彼女は左手の指輪『風のルビー』を外した。
同じように枕元に置く。

扉に手を掛けたリンディは、一度だけ振り返った。
ベッドから聞こえる、微かな寝息。
「じゃ、ちょっと行ってきます」
いつも通りに手を振ると、彼女は静かに扉を開けた。



「え?」
「あら?」
ギーシュはドレス姿の相手に、目を丸くした。
半信半疑ではあったが、本当にいるとは思っていなかったのだ。
(……いや、逆だよ)
と思い直す。
先程の幻の方が変なのであって、今彼女がここにいる事は、それほど不思議ではない。
「ここ数日、出掛けてたみたいだが、戻っていたんだね」
「ええ。ついさっきね。ルイズさんはもう寝ちゃいましたけど。疲れたんでしょう」
「そうなんだ。――あ、そうじゃなくて」
あっさりと言う彼女に、彼は聞くことを思い出した。
ドレスについてもだが、今はこちらの方が先だ。
「さっきの魔法は、君がやったのかい?」
「魔法って?」
「いや、何というか」
もしかすると、衛士隊の人と戦ったりしなかったか? ――そう言いかけた彼は口籠もった。
よくよく考えると、馬鹿馬鹿しい話だ。
確かに、他にも見た者は何人かいるが、あれがこの使い魔の仕業という証拠は無い。
第一、素直に答えるかどうかも、あやしいじゃないか。
夢でも見たのだろうとか言われて、あっさり煙に巻かれる気もする。
口では絶対勝てないし。



550 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/03(月) 03:06:02 ID:fdLQJHML
支援

551 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/03(月) 03:06:18 ID:syHfgiT0
支援

552 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/03(月) 03:07:07 ID:f/D9mHSs
我は放つ支援の矢

553 :ゼロのgrandma 8/10:2007/12/03(月) 03:07:28 ID:ydMdx1Pt
「ああ、いいんだ。明日ルイズに聞いてみることにするよ」
「はあ」
「それより、随分顔色が悪いよ? 君も疲れてるんじゃないのかい?」
「そうですね。じゃあ何か温かい物をいただいてから、寝ることにします」
軽く会釈すると、彼女はそのまま歩いていく。

その方向がやや見当違いだと思ったギーシュは、注意する為に声を掛けようとしたが、
(大丈夫そうだね)
後を追う人影に気付いて、肩を竦めた。
普段からリンディと仲の良い、平民の女性。
彼女の抱えている包みが多少気になったが、彼は諦めたように踵を返した。
明日にしよう。
今夜は、もう遅いのだから。

   ◆  ◆  ◆

学院から少し離れた場所に、豊かな草原が広がっていた。
リンディは知らない事だが、かつて大勢の生徒が使い魔の召喚を行った場所である。
その中程で、彼女は両手足を広げて寝転んでいた。
ここなら、何が起きても周囲に被害は及ばないだろう。

「気持ち良いわねー……」
風が頬を撫でる感触は、まだ僅かに感じられた。
思い切り背伸びをする。
が、腕はもう動かなかった。足は僅かに反応があったが、それきりである。
実際、ここまでよく保ったものだ。
リンカーコアの制御に必要なリソースは、今も増加しているのに。
このままなら――暴走を起こす前に、身体の方が力尽きる可能性が高い。
最良の状態だと思う。
(その方が迷惑を掛けないものね)
リンカーコアを維持したままの暴走と、失ってからの暴発では威力が異なるからだ。
前者は、短時間ながらも持続性のある魔力放出、後者は一瞬での魔力拡散。
魔法として制御されない魔力なら、それほどの脅威は発揮しない。――はずだ。
まあ、確かに。
(自慢じゃないけど、わたしの最大許容量は大きいもの。気を付けないとね)
これくらい広い場所なら、多分大丈夫。

不意に襲った喉の圧迫感に、激しく咳き込んだ。
遮断している為に苦痛は無いが――
(息が満足に吸えないっていうのは、苦しいものね)
口元から溢れ出した血も、気分的にはあまり良くない。

さほど時間は残っていない。
リンディは霞み始めた目で、夜空を眺める。
月。
一つしか見えないが、ここには二つの月が存在している。
魔力に満ちた、この世界には。
(そう言えば、警告を残す時間、無かったなあ)
息子や娘、その友人達が無警戒にこの世界に足を踏み入れたら、自分以上に危険だろう。
だが、実のところ、彼女はそれほど心配をしていなかった。



554 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/03(月) 03:08:25 ID:m4WP75jA
支援

555 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/03(月) 03:08:43 ID:syHfgiT0
支援

556 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/03(月) 03:09:08 ID:fdLQJHML
支援
死亡フラグ立ちすぎです・・・

557 :ゼロのgrandma 9/10:2007/12/03(月) 03:10:01 ID:ydMdx1Pt
幾度と無くこの世界の魔法に触れて、分かったことがある。
これだけ魔力に満ち、魔法が日常的に行使されている世界が、管理局に一度も観測されなかったのは何故か。
理由は色々と想像出来るが、おそらく、根本的に異なる点があるのだ。
例えば――時間軸?
管理局の把握している世界は、多少の差異があるにせよ、ほぼ一定の時間内に存在している。
知人の相当数が別世界の出身だが、老化速度に大幅な差は無い。……多分。
まあ、自分も含めて、女性に年齢の話は禁句だから。
とにかく。
観測されない明確な理由があるなら、誰かが足を踏み入れる心配も少ないだろう。
召喚魔法については――どうしようか?
(あー……。今更何を考えてるんだか)
リンディは思わず苦笑した。
この期に及んで、つまらない事を考える自分に笑ってしまう。

(家族の事を思い出して、哀愁に浸るとか)
あるいは、死の恐怖に泣き叫ぶとか――そういう可愛げには縁が無さそうだ。
折角、こんな気持ちの良い夜なのだから、最後まで情緒的に……?
(あれ?)
一瞬、聞き間違いかと思った。
こんな夜更けに、こんな場所に人がいるはずはない。
と言うより、いては困る。
首を動かすことは諦めて、視線だけ何とか横に向けると、確かに人影らしきものが見えた。
微かに響く、草を踏む音。
(こっちに、歩いてくる?)
少し慌てる。
誰かが、こんな場所に寝ている自分を不審に思ったのだろうか。
だとすると、人を呼びに行ってしまうかもしれない。それは出来れば避けたかった。
が、幸いにも。
そんな様子を見せることなく、人影は一定の歩調で近付いてくる。

やがて相手は、目の前に立ち止まった。黙ってこちらを見下ろしてくる。
ぼやけた視界では、相手の顔は判別出来ない。女性だという事が分かるだけ。
ただ、服装だけは見覚えがある。
リンディは何とか息を整えると、一言だけ口に出した。
「――誰?」

相手は暫く黙っていたが、やがて――
「シエスタです」
と、呟くように名を告げた。

   ◆  ◆  ◆



558 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/03(月) 03:10:31 ID:syHfgiT0
これが終わったら寝るんだ支援

559 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/03(月) 03:10:44 ID:fdLQJHML
sienn

560 :ゼロのgrandma 10/10:2007/12/03(月) 03:12:30 ID:ydMdx1Pt
「目、見えないんですか?」
平坦な口調で聞くシエスタに、リンディは微かに頷くことで肯定した。
口を開こうとしたが、再び激しく咳き込む。
ここを去るように言わなければならない。だが、とても説明出来そうにもない。
だけど、それよりも。
彼女は何の為に、ここに来たのだろう。
そう疑問を視線に込め、彼女はただ見上げている。

その様子を。
黙って眺めていたシエスタは、腕の中の包みをゆっくりと解いた。

金属で出来た細長いの物が、月明かりの下、鈍い光を放っている。
(剣……かしら)
薄い雲のせいで、月がやや翳る。
夜の闇で、俯いたシエスタの表情は全く分からない。
彼女は解いた布を無造作に投げ捨て、それを両手で握り締める。

震えながら頭上へと振りかぶった相手に、リンディは思わず笑みを浮かべた。

――困った。
心残りが出来てしまった事を自覚する。
そう言えば、彼女にあの視線の意味を聞いていなかった。
聞いておけば、この理由も分かったかもしれないのに。
だから。
「……一つだけ……聞いてもいい?」
「なんでしょう?」
囁くような問いに、感情を押し殺した声が応える。
「わたし……どこかで、あなたに会ったこと……ある?」
「いいえ」
シエスタは否定した。
「一度も、会ったことはありません」
「……そう」
言葉に含まれた真実の響きに、リンディは満足した。
事情は分からないが、彼女にはそうするだけの理由があるのだろう。



この広い草原の中、淡い緑色のドレスを身に纏ったその姿は、幻想的ですらある。
確かに、顔色は真っ青だし、胸元は血で汚れている。
それでも。
まるで精霊のような彼女の美しさは、全く損なわれていないと思えた。
「……もう、お眠りになってはいかがですか?」
浅い呼吸を繰り返す相手に、シエスタは声を掛けた。
血に塗れた唇が、微かに動く。
そうね――微笑みながらそう呟いた彼女は、静かに目を閉じた。

一言、シエスタは呟いた。
聞かされていた内容を、一言一句間違うことなく。
――相手と、あの人に告げるように。
やがて。
大きく頭上へ振り上げた両腕に力を籠めると――彼女は絶叫と共に、それを眼下へと突き立てた。

561 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/03(月) 03:13:49 ID:fdLQJHML
GJ
ちょ、ちょーーーーー!!!

562 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/03(月) 03:14:02 ID:3M7xkpyQ
何かシエスタにも死亡フラグが・・・

563 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/03(月) 03:14:46 ID:grqa8HkW
やべえ、何が起こってるか全くわからねえ
分かるのはGJだということだけだ!

564 :ゼロのgrandma:2007/12/03(月) 03:14:59 ID:ydMdx1Pt
投下完了です。
夜遅くの支援感謝です。ご迷惑おかけしました。
次は、木曜日を目標に。

565 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/03(月) 03:15:13 ID:a5CkdaiD
し・支援…だふぁ〜…zzz

566 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/03(月) 03:58:06 ID:rXl1J13A
話の流れ上シエスタがなんらかの形で激情をぶつけてくる事だけは予想の範囲内だったが
裏事情も今後の展開もまるで読めんな、とりあえずまだ死なない事以外は
一体どうなるやらワクテカ

567 :代理投稿:ゼロの少女と紅い獅子 第五話:2007/12/03(月) 04:05:33 ID:hSfSr7AE
「何なんだい、一体」
 倒れこんだゴーレムの肩から辛くも『レビテーション』で逃れたフーケは突然現れた赤い巨人を見上げた。
 初めは別のゴーレムでも現れたのかと思った。しかし眼前のそれはゴーレムのような不恰好さは微塵もない。戦士をそのまま
巨大にしたような、その威容にあっけに取られた。
 こんな物を相手に勝算などあろうはずもない。彼女はゴーレムをけしかけて早々に退散しようとした。
『ダアァー!』
 掛声とともに巨人――レオが先に仕掛けた。倒れこんだままのゴーレムを持ち上げそのまま森の放り投げた。派手な音を立ててゴーレムが
叩きつけられる、あまりに規格外の戦闘にフーケは咄嗟に対応が出来ない。ゴーレムがノロノロと立ち上がるのを見るや、すかさずレオが
肉薄した。
「チッ、応戦しな!」
 フーケの命令にゴーレムは愚直に従う。突撃するレオに鉄拳を叩き込む。だがそれをレオはあっさりと回避すると、左脇に抱え込んで
相手を捕らえた。間髪をいれず手刀を肩に喰らわせる。赤熱化した右手は唸りを上げただの一撃でゴーレムの肩を粉砕した。
 残る左腕で反撃を試みる相手に対し叩き落した右腕を叩きつけてて弾き飛ばす、喰らったゴーレムは再び仰向けに倒れこむ。
「まだだよ!」
 フーケが叫んで杖を振るった。すでにゴーレムの精製で大量の魔力を消費している彼女にとってこれが最後の魔法であった。
 ゴーレムは一瞬土くれに戻ったかと思うと、巨大な手のような形に変化しレオを握り潰さんと覆いかぶさった。
 
 だが。

『ヌウウゥン!』
 気合一発、纏わりついた土をレオは両腕を振るって弾き飛ばす。今度こそただの土くれに戻ったゴーレムであったものは、
ボトボトと辺りに降り注いだ。

「そんな……」
 呆然と呟いてフーケはひざを落とした。スクウェアクラスのメイジにも引けを取らないとの自負があった自分のゴーレムが
こうも簡単に敗れるとは思いもよらなかった。
 それ程までに相手――すなわちレオは規格外であった。
 
 そう、規格外なのである。

 圧倒的戦闘を見せたレオは、正体不明の障害に襲われていた。
 彼ら光の国の戦士は意外にも環境によって発揮できる力が制限される事がある。実際、地球においては悪化した大気の影響で
彼の場合は二分半程しかその実体を維持する事が出来なかった。
 ここハルケギニアでは別のものが彼の邪魔をしていた。そう、まさしく意思を以ってウルトラマンレオの行動を阻害しているのだ。
 或いは意思と言うよりは本能と言うべきか。
 大気を、大地を、水中をその身とし、その安住の地とする精霊たちは彼を敵視し、レオが顕現すると同時に一斉に排除すべく干渉を始めた。

『危険だ』
『個を持ちながら限りなく不死なるもの』
『失せろ』
『傲慢なる光の使いよ』
『我らを喰らってその力を行使するか』
 
 大気は重く淀み纏わりつき、大地は踏みしめるたびに着地を拒絶するようにのめり、離れようとすれば
吸い付いて足元をすくう。大気とともにある水蒸気は呼吸をするたびに器官に止まり内部を侵食する。
 有象無象の影響がレオに襲い掛かったのだった。

 無論それが精霊の仕業である事をレオは知らない。だが地球のときとは違う明らかに敵意をもった干渉は彼の体力を確実に奪っていた。
 彼らのエネルギーは光のみではない。大自然の生きるものの力の一つ一つが彼らの力となる。 
 そしてそれは、ここハルケギニアでは自ら意思を持ち、そして牙をむいた。それは地球での消耗とは桁違いであった。


568 :代理投稿:ゼロの少女と紅い獅子 第五話:2007/12/03(月) 04:06:13 ID:hSfSr7AE

 ズン、と鈍い音を立ててレオが膝を突いたかと思うと突然全身が発光した。光がそのまま縮小していくのを見てルイズは彼の元に駆けだした。
 果たして、そこには元の通りのゲンの姿があった。その後姿からも消耗しているのが見て取れた。そしてその先、数歩も行かないところに
フーケが放心したままへたり込んでいた。
「ゲン! あ、あのえっと、大丈夫?」
 彼女は恐る恐る声をかけた。先程までの戦闘を見て物怖じするなと言う方が無理がある。
「ああ、大丈夫だ……」 
 それが強がりなのは明らかであったが、それでもゲンは気丈に立ち上がった。もう先程までの不可解な現象は消えていた。
「さっきのが、貴方の本当の姿?」

「今も本当の姿さ。まあ、説明は後でするよ」 
 そう言ってフーケのほうに顔を向ける。
「とりあえず、盗んだものを返してもらおうか」
 そう言って一歩踏み出すと同時にフーケが後ずさる。魔力を使い切った彼女は今はそれなりに機敏なただの女性に過ぎない。
 その拍子に黒い物体が彼女の懐から滑り落ちた。ゲンより先にルイズが駆け寄って拾い上げた。
 それは拳二つ分くらいの真っ黒な物体であった。一瞬見た感じはどう見ても石にしか見えない、だがこれほど不自然に黒々とした
石をルイズは見た事がなかった。第一、悪名高いフーケが狙うものとしては余りに奇妙なものだった。
「ちょっと、何なのよコレ? 盗もうとしたくらいだから知ってるんでしょう」
 ルイズが詰問口調でフーケに尋ねるが、彼女は口を開こうとはしなかった。流石に小娘に脅されたくらいでホイホイ口を割るほど
肝は小さくはない。
「聞いてんの!? 何なの……キャッ!」
 唐突にルイズが小さな悲鳴を上げて黒の物体を取りこぼした。落下した物体から虫のようなものが這い出て来た。
「クックッそれくらいでビビルなんてねえ、お上品な事だ」
 フーケが喉で笑うのをジロリと睨むが彼女は意に介さなかった。
「虫が付いていたのか?」
 落ちた物体に何気なくゲンは近寄ると、這い出てきた虫とやらに目を向けた。途端に彼の目が険しくなった。
「これは……そんなバカな!」
 慌てて黒い物体を拾い上げるゲン、その様子にルイズは勿論フーケもあっけに取られた。実際のところフーケもその正体を知らないのだから
これは仕方がないことであった。
 物体を持つゲンは顔を伏せているためルイズにはその表情をうかがうことは出来なかった。だが遠目にも彼の肩が、物体を持った
右手が小刻みに震えているのが見て取れた。
 突然、ゲンは無言で這い出てきた虫モドキを踏み潰した。しかも何度も、念入りに、徹底的に。どう見ても異常な光景だった。
 その行動が透かすのは驚きと、怒り。

「ねぇ、ゲン……」
 ルイズが沈黙に耐えかねて声をかけようとしたその時、ガサリと音を立ててフーケのさらに後ろから男が現れた。
 


569 :代理投稿:ゼロの少女と紅い獅子 第五話:2007/12/03(月) 04:06:50 ID:hSfSr7AE
 
 仮面の男であった。何をするでもなく、こちらを値踏みするようにしながら男は無言のまま佇んでいる。無論、友好とは
程遠い雰囲気を発散しながら。
 ゲンは勿論ルイズも闖入者に警戒を向けていた。このタイミングでの登場は明らかに偶然ではない。
 ゲンが黒い物体を持ったままルイズを守れるように一歩踏み出した瞬間、男はマントを跳ね上げサーベル風の杖を抜き放った。
 いち早くゲンが反応する。幾多の戦闘の経験が射撃攻撃を予感させた。が、疲弊した体は思うように動かない。一瞬の逡巡の後彼は
咄嗟にルイズを抱きとめた。
 遅れて空気の塊が二人を直撃、軽々と吹き飛ばされた二人は木に激突した。ぶつかった弾みで黒い物体がゲンの手から零れ落ちる。
 酷い激突とは裏腹に幸い二人は軽症ですんだ。だが現状はそれを喜ぶのは早計であった。

「なっ、今度はなんだい?」
 新たな人物の登場にフーケは混乱の極みにあった。もっとも仮面の男はフーケに危害を加えるつもりはないらしい。
 フーケの傍まで来ると一瞬彼女に視線をやった。そして森の奥の方を顎でしゃくる。その仕草でフーケは察したらしい。
「ああ、そう言うことかい。確かに私が捕まったら、アンタも面倒だろうからね」
 気を取り直しフーケは立ち上がると一目散にその場を後にした。

 仮面の男は無言のまま黒い物体に歩み寄った。そしてそれを拾い上げると確認するように慎重に観察を始めた。
「貴様、それが何か分かっているのか」
 隠せぬ疲労の色を滲ませながら、それでもゲンは立ち上がりながら尋ねる。その間もルイズを背後に位置させる事を忘れない。
「勿論だL77星の死に損ない。ああ、今は光の国の連中とつるんでるのだったな。クッカカカ」
 唐突に男の表情が変わった。仮面越しにもこちらを嘲笑するのが見て取れるようだ。その変貌にゲンの眉間は一層深くなった。
「マグマ星人……!」
「カカカカ、気付かなかったかやはり。他の知的生命と同化出来るのがお前達の専売だと思わぬ事だ。お陰で俺の気配を薄める事が出来た」
「この世界の人間を乗っ取ったのか!?」 
「そこまで貴様に教えてやる必要はない」
 自らの有利を完全に確信した上での嘲りである。左手で黒い物体をもてあそびながらも、右手のステッキはゲンからその切っ先を
外す事はない。
「まあ、このブラックスターの欠片を見つけたのは偶然だが」
「やはり、それは!」



570 :代理投稿:ゼロの少女と紅い獅子 第五話:2007/12/03(月) 04:07:06 ID:hSfSr7AE
 叫びとともにゲンが弾けるようにマグマに飛び掛る、だが万全ではない彼の動きはいかにも緩慢であった。あっさりとかわされると、
したたかに杖を叩き込まれる。思わず半身が折れ曲がったところに間髪をいれず全力の蹴りが跳ね上げられ、ゲンは無様に吹っ飛ばされた。
「この世界に迷い込んだのは偶然だが、中々面白い事になっているようだ。貴様が知っている以上にな。もっとも、」
 仰向けに倒れたゲンにゆっくりとマグマが迫る。
「貴様がここまで弱っているのが最大の発見だがなあ!! ヒヒヒハハハハハ!!!」
 大げさに上体を逸らして大笑いしてみせるマグマ、だがそれはピタリと止まった。そして醒めた視線をレオに送る。
「と言うわけで死ね」
 立ち上がろうとしたゲンを再び蹴り倒して踏みつける。そして杖を高々と掲げた。

 と、同時に杖が爆発した。と言っても粉々に砕け散っただけだったが、マグマの注意を引くのは十分だった。
「うぉおお!!」
 ゲンが力を振り絞って自分を踏みつけるマグマを跳ね除ける、バランスを崩した相手の胴に蹴りを叩き込むのも忘れない。
「あぁん?」
 大したダメージにはならなかったらしい。マグマは憎々しげな視線を向ける。その先にいるのは、
「また失敗、か。まあ今回に限れば成功かしらね」
 片腕でデルフリンガーを抱いたままのルイズがいた。咄嗟に彼女が放った錬金の魔法は、詠唱が不十分だったか、杖自体に
固定化が施されていたか、彼女が予想したほどの威力にはならなかったが、ともかくゲンの救出には成功した。
「ガキが……」
 マグマの顔が憤怒に染まる。だがその顔は再び一瞬で変貌し、再び顔色が伺えぬようになってしまった。
 まるで人が入れ替わったような雰囲気の変貌にルイズが不気味げに呟く。
「何なのあれ? まぐませーじんって皆ああなの」
「おそらく同体化した人物と精神まで一体化してないんだろう。だから表にも別の人格が出てくる」
「どうたい? どっかのメイジと混ざってるの?」
 ゲンはそれには応えず、油断なく相手を見据える。
 
 仮面の男が懐から予備であろう、小型の杖を引き抜く。それを引金にゲンは、ルイズに鞘を持たせたままデルフリンガーを引き抜くと、
「下がってろ!」
 そう叫ぶと一直線に切りかかった。だが無論動きは鈍い。振り回す剣はことごとくかわされ、その間に男は呪文を構築していく。
「相棒! 今のおめえじゃあ無理だ、逃げろ!」
「そうも行かん!」
 逃げ切れるわけがない。そう判断しての行動だった。だがこの相手に対しては無謀だった。
 魔法が完成したか、男が杖を振るう。発動させまいとゲンが大剣を振りかぶるが、男はそれを片手で制すると呪文を唱えた。
「消えよ」
 振るわれた杖から、渦となって回転し刃となった空気発生しが至近距離からゲンを襲う。咄嗟に体を捻って急所への直撃は免れたが、
放たれた『エア・ニードル』はゲンの体のあちこちを貫通した。
「ぐ…あぁ……」
 堪らずひざまずくゲン。男は無力化したゲンには目を繰れずルイズに標的を定める。
「逃げ…ろ!」
 ゲンの叫びが響くが、ルイズは足がすくんで動けなかった。それでも気丈に杖を振るってどうにかしようとした。
「……無駄だ」
 呟きとともに『エア・ニードル』が放たれて彼女の杖を弾き飛ばす。これでルイズはただの少女だ。
「イ、イヤ……来ないで……!」
 へたり込むルイズに男が迫る。
「おおおおおおおおおおおおおお!!」
 最後の気力を振り絞り、ゲンが男を後ろから取り押さえようと飛びつく。男が煩そうに肘をゲンのわき腹に叩き込む。だがそれで離れる
ゲンではない。激痛と消えそうな意識に耐えながら男を羽交い絞めにする。
「ルイズ、逃げろ! 逃げるんだ!!」
 ゲンに叱咤されルイズが立ち上がる、だがそれと同時に男がゲンを振りほどいた。
 再び杖がルイズに向けられる、だが次の瞬間。
「ゲン! 離れて!」
 まったく予期せぬ方向から女性の声がとんだ。ゲンは男と体を入れ替えるとルイズをかばうように彼女に飛びつく。
 数瞬遅れて声のした方から巨大な火球が男に迫った。だが、男もさるもの。一瞬で呪文を構築し人間大の竜巻を発生させ火球を相殺した。
「ジャジャーン! と。ヒロイン登場のタイミングにしてはぴったりかしらね」
 声の主はキュルケだった。その後ろからは無理やりつき合わされたかタバサも続く。



571 :代理投稿:ゼロの少女と紅い獅子 第五話:2007/12/03(月) 04:07:21 ID:hSfSr7AE
「あ、あんた達……何で?」
 ゲンに覆い被さられたままルイズが尋ねる。
「ゴーレムが暴れたと思ったら、今度が赤い巨人が突然現れるんだもの、ビックリよ。で、落ち着いたみたいだったから
どうなったかと思って来てみたら」
 そう言いながら仮面の男の方に視線を向ける。口調とは裏腹にその顔に笑みはない。
「中々、愉快な事になってるわね」
 台詞は終わっていたかどうか。容赦無用と言わんばかりに再び火球を繰り出すキュルケ。男は再び竜巻で掻き消すと
更に呪文を唱えようとしたがそこに今度は氷の塊が襲い掛かる、タバサの呪文だ。今度は烈風を巻き起こし氷を逸らす仮面の男。
「強敵」
「へえ、やってくれんじゃないの!」
 立て続けに魔法を無力化され二人にも流石に緊張がみなぎる。だが、男は意外にも一行から間合いを取った。
 この状況を不利と判断したか、それとも無駄に時間を割きたくなかったか、男は突風を発生させるとその勢いと闇夜にまぎれて
消え去った。

「フン、逃げたか。締まらないわね」
「見逃されたのかも」
 それぞれ感想を述べるとキュルケはルイズ達に向き直る。
「で、何時までそうしてるの」
 依然ルイズはゲンの下敷きになったままだった。逃れようとルイズがもがいている。
「そうじゃないでしょ! ゲン、ねえ、大丈夫?」
 だが、返事はない。ぬるりとした感触を手に感じたルイズは思わず彼の胴の下にあった手を引き抜いた。
 彼女の手は真っ赤に染まっていた。正体は言うまでもない。
「あ……。ねえ! ゲンしっかりしてよ! ねえってば!!」
 突然、ゲンの体がふわりと浮かんだ。タバサが『レビテーション』を唱えてくれたようだ。
「医務室へ」
 意外な人物の対応に一瞬言葉が紡げずにいたルイズだったが、その言葉に無言で何度も頷いた。
「アンタは大丈夫なの?」
 キュルケの尋ねにルイズはわが身を調べてみたが特に外傷はなかった。
「大丈夫、みたい。ゲンが守ってくれたわ」
 そう、と呟いてキュルケはタバサの後に続いた。
 普通なら何が毒の一つも混ぜるキュルケが素直に身を案じてくれる事を、ルイズは嬉しく思った。
 無論、言葉には出さないが。

「おーい、娘っこ。悪いが回収しちゃくれねえか」
 放り出されていたデルフリンガーを鞘に収めて彼女も校舎に戻った。


 驚異的なことに、ゲンは翌日の昼過ぎには意識を取り戻した。校医の診察によれば、肋骨数本の骨折と『エア・ニードル』による
全身の外傷からの出血と内蔵の損傷、そして原因不明の衰弱。
 ありていに言って死んでいなければならない程の重症であった。無論校医がゲンの容態を見るや、校内中から水系メイジを召集して
治療を手伝わせた結果であるのだが。

「ルイズ、無事だったか」
 開口一番この台詞だったので、ルイズは目を丸くした後ため息をついた。
「自分の体のことを心配したほうが良いんじゃない?」
「ハハ、それもそうだな」
 それっきり黙ってしまう二人。たった一夜で色々とありすぎだった。
 常識はずれのゴーレム、それを上回る巨人、謎の物体とそれに対するゲンの行動、そして仮面の男。
 どれから話すか、どれから聞こうか、あるいは聞かずに置くべきか。そんな考えが二人の頭をグルグル回って占領し、
なんともいえない沈黙を作っていた。
「すまない」
 ゲンが口を開いた。ルイズが彼の方に向く。
「いずれこの事はちゃんと説明する。今は、俺にも分からない事が多すぎる」
 ルイズは一瞬俯いたが直ぐに顔を上げて、
「当然でしょ。主に隠し事なんてするのは使い魔失格よ」
 そう言い放つと、部屋を出て行った。部屋を出る直前。
「主を守るという点では最高なんだから、私を失望させちゃダメなんだからね」
 その言葉を残して扉は閉まった。


572 :代理投稿:ゼロの少女と紅い獅子 第五話:2007/12/03(月) 04:07:45 ID:hSfSr7AE


880 名前:ゼロの少女と紅い獅子 第五話 投稿日:2007/12/03(月) 00:00:24 [ sbay41YM ]
以上、第五話でした。遅筆な上に我ながら構成力に欠けます。スンマセン
て言うか、皆様執筆が早くてうらやましい。
そう言えば少し前にゾフィー兄さんがどうのというレスを見ましたが
拙作には今のところ、他のウルトラの皆さんが直接参戦する予定はありません
『早く帰って来い』って文句をたれる方は出るかも。

真に勝手ですが、サルベージをお願いします。
最後ですがいつもwikiに登録してくれてる方、本当にありがとうございます
それでは、さいなら



573 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/03(月) 06:07:55 ID:grqa8HkW
GJ
ハルケギニアでは変身は地球より短くなるのかな?

574 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/03(月) 11:28:36 ID:SC1Cg9EV
>>564
まさかここでシエスタとは思いもしませんでした。
どうやってリンディが助かるか期待です!

575 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/03(月) 11:55:25 ID:djemWP0e
>>572
GJ!!
レオは怒りに萌ている♪

それにしても、その気になれば惑星すら破壊可能な攻撃力を持つレオってバランスブレイカー
もいいところだよな……とか思っていたら、こんな形の制約があるとは。


576 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/03(月) 11:57:23 ID:NtGW6QZx
>>574
死ぬかもしれんぞ

外部に行ったアレといい、なのはクロスは妙に鬱エンドを予想させるものが多い気がするな

577 :ゼロの夢幻竜:2007/12/03(月) 12:00:21 ID:uGV3SLoP
今日は。
今日の13時に予約します。宜しいでしょうか?

578 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/03(月) 12:07:23 ID:Z6O4nhJO
>>577
今からでもいいよ。

579 :ゼロの夢幻竜:2007/12/03(月) 12:40:55 ID:uGV3SLoP
済みません。ちょっと修正ポイントが見つかりました。
少し時間がかかりそうなので又改めて(今から1時間以内)投下します。

580 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/03(月) 13:00:29 ID:1U9VrJZJ
待ってますよー。


ところでゼロ魔で中の人がポケモンに出ているキャラって何人くらいいるんだろう。
エレ姉とテファがフワンテの回のお母さんと長女、
マチルダさんがタワータイクーン
は思い出せた。

581 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/03(月) 13:22:31 ID:axH21GwI
マチルダさんタイクーンだったのかよwww

つまり唯一神やラティオスやエーフィを召喚しても違和感ないのか

582 :ゼロの夢幻竜:2007/12/03(月) 13:41:45 ID:uGV3SLoP
投下逝きまーす!今回はちっとばかし長いです。

ゼロの夢幻竜 第八話「矜持の発揮場」

ルイズ達新二学年一発目の授業は、教師が直々に授業の中止を宣告するという異様な形で幕を下ろした。
哀れにもシュヴルーズは意識を取り戻す事無く医務室に担ぎ込まれる。
その後めちゃくちゃになった教室の後片付けはその場にいた生徒全員一致でルイズ一人がする事となった。
しかしその直後、キュルケが自ら後片付けメンバーの一人に加わると言い出した時、ルイズは内心で『あーあ……』と思ってしまった。
その後シュヴルーズ、そして他の生徒や全員教室から出たのを確認したキュルケは残されたルイズとその使い魔、ラティアスに対し一つの質問を投げかけた。

「舞台は整ったわね……さあ、説明してもらうわよ。私の心に一度ならず二度も三度も話しかけてきた可愛い声の持ち主はだあれ?」

そう言った後彼女は一旦あさっての方向を向き、それからラティアスの方を向き直し意地悪な微笑みを浮かべてこう言い直す。

「訂正。人の心をとーっても不愉快にした、不躾で可愛い声のあなたはなあに?」


本塔の最上階にある学院長室に急いで向かう一人の教師の姿が一つあった。
その教師の名はジャン・コルベール。
春の使い魔召喚の儀においてルイズ達を監督していた教師である。
専門分野は火系統。学院で奉職し始めてから今年で丁度20年は経つ中堅の教師だった。
今彼の心には自分が発見したある事実についての興奮が渦巻いていた。
ミス・ヴァリエールが召喚した使い魔の左手に彫られたルーンはやはり只のルーンではなかった。
スケッチした物を手懸かりに学院の図書館、それも教師のみが閲覧を許される区域でその正体を調べていると丁度その答えに当たったのである。
それは正に驚くべき真実という物に他ならなかった。
一刻も早く学院長であるオールド・オスマン氏にこの事を伝えなければ!
その衝動に突き動かされる彼の足は只ひたすらに速く動かされる。

「失礼します!オールド・オスマン!!」

学院長室に飛び込んだ彼はその場で一気に硬直してしまう。
というのも、その部屋の中ではオールド・オスマンの秘書、ミス・ロングビルが当の彼を蹴り続けていたからである。
大方使い魔を使ったいつもの下着覗きがばれたのだろう。
だが突然の闖入者に気づいた二人は定位置につき、何事も無かったかのよう落ち着き払った姿勢を見せる。
そしてオスマン氏は先程の事は何でも無かったという様に威厳に満ちた声で対応する。

「一体何事じゃ?そんなに慌てて。」
「た、た、た、大変です!」
「大変な事等何もありはせんわ。全ては小事じゃぞ。」
「ここ、これを見てください!小事どころではありません!」

コルベールは図書館から持ち出してきた書物のある一ページを拡げる。

「『始祖ブリミルの使い魔達』?やれやれ、こういった古臭い文献を読み漁っている暇があるのなら弛んだ貴族の親達からもっと学費を徴収する上手い手を考える事じゃ、ミスタ……」
「コルベールです!お忘れですか!」
「そうそう。そんな名前だったな。君はどうも早口でいかん。で、コルベール君。この書物がどうかしたのかね?」
「これも同時に見ていただければ私の慌て様も少しは分かっていただけるかと……とにかくこの文献と共にご覧になって下さい!」

コルベールはラティアスの左手に現れたルーンのスケッチを手渡す。
それを見た瞬間、オスマン氏の表情は急に真剣なものとなった。

「ミス・ロングビル。少しの間だけ席を外してくれんかね?」

そう言われるとミス・ロングビルは立ち上がり、一礼をした後で退室していった。
オスマン氏はその直ぐ後で一応『ディティクト・マジック』を使う。
そして自分とコルベール以外、学院長室の近辺には誰もいない事を確認するとゆっくりと口を開いた。

「確かにこれなら君がこれ程までに急ぐ理由も分かるのう。それでは、詳しい説明をして頂こうかの、ミスタ・コルベール?」


583 :ゼロの夢幻竜:2007/12/03(月) 13:43:06 ID:uGV3SLoP
「はー。速く飛べるだけじゃないとは思っていたけど、まさかそんな力と素性があるなんてねえ。」

感心するキュルケを余所にルイズは未だぶすっとした表情のまま、メイド達に交じってデザート運びをやっているラティアスを遠くから見つめる。
知り合いになったシエスタに、折角お友達になったんだから何か手伝える事がありますかと訊いたところそうなったのだ。
ただ、例の意思疎通の問題がある故に、側にはシエスタが殆ど付きっきりという形になってしまっているが。
さて、めちゃくちゃになった教室の片付けを始める際、キュルケに問い詰められたルイズはラティアスの不始末と気づいていながらも最初の内はしらばくれていた。
が、どんどんと言い訳が出来なくなり、最終的にはラティアスの正直な申告もあって彼女にある程度の事実を話した。
キュルケは家同士の仇敵という事も忘れて、興味深そうにルイズに話しかける。

「そう考えたらラティアスって凄過ぎない?正直あまりよくは知らないけど韻竜と同じ位かそれ以上の能力の持ち主じゃなくて?ちょっとあんたには勿体無い位だわ。」

韻竜……その単語にルイズはほんの少しばかり興味を持つ。
学科試験はいつも良い成績を修められるようにしっかり勉強しているからこそ反応できたものだ。
因みに韻竜とは伝説の古代竜で強力な幻獣の一種とされている生き物だ。
知能が高く、言語感覚に優れ、先住魔法を操るという技能を持っていたとされる。
確かにラティアスは、あっという間にこちらの世界における最低限の知識を呑み込んでいった。
また口と声帯を使った音声機能を使って会話する事は出来ないが、それよりある意味上等な意思疎通術を使って心を許した者と心を継げる事も出来る。
韻竜以上の物を持っている事もまた事実だ。
本気を出せば現実に存在する風竜の何倍もの速度で飛ぶ事が出来るのは言わずもがな、今もしている人間形態への変身がそれに当たる。
ある程度の技量を持った水系統を操るメイジが、自分の姿を偽るという事はよく聞く話である。
だが大きさの違う別種の生き物に姿を変えるという芸当は聞いた事が無い。
スクウェアクラスのメイジでも匙を投げかねない事である。
おまけに普通は変身する相手そのままの姿にしか変身しか出来ない。
が、ラティアスの変身は幾つかの情報を処理し、自身で組み替え直す事によって全く新しい姿を仮の姿として相手に投影出来る点が一般の変身とは一線を画していた。
おまけに服まで構成できるそうなのでいちいち着替えるという事も無いのだとか。
魔法の如何についてはまだまだ未知数の域を出ないが、これ程の仕様があるのだからそれなりの力があると断じても悪くは無いだろう。

「勿体無い訳無いじゃない。あんたとそこにいるサラマンダーの組み合わせ以上に相応しいわよ!」
「ふふっ、あんたさ、それって遠回しに自分が失敗ばっかりだって自覚してるって事になるんじゃない?使い魔がとてつもなく優秀であんた自身がどうしようもない……」

『ゼロ』だと言おうとしてそれは無しになる。
キュルケの側に悲しさとほんの僅かな怒りを表情に織り交ぜた、人間形態のラティアスがいつの間にか立っていたからだ。
一応さっき彼女は自分の非礼を詫びたが、人間の言葉が分かる為に意思疎通を許したキュルケにとっては今のところちょっとした頭痛の種だった。



584 :ゼロの夢幻竜:2007/12/03(月) 13:44:06 ID:uGV3SLoP
「ご主人様は勉強熱心でとても素敵な方です。私にとてもよくしてくれているご主人様を貶める事は私が許しません。」

静かに放たれるその言葉にキュルケはひらひらと手を振って応じる。

「ちょっと……少しは落ち着きなさいよ。冗談に決まってるでしょ、冗談!」
「……なら構いませんが……あなたともしお相手する時が来れば私は全身全霊を没頭させます。」

その発言にキュルケは『面白いじゃない』という表情を見せる。
ラティアスはその場から数歩歩み去ろうとする。
その途中首だけをくるりとキュルケの方に向け言い放った。

「あなたは相当な使い手……後れは取りません……」

あさっての方向を見て『ハイハイ』といい加減な返事をしていたキュルケはやや間があってからはっとした。
たった今ラティアスは自分の事を相当な使い手と言いきった。
自分の名前を教えはしたが、相当な‘魔法の’使い手だという事は教えてはいない。
事実彼女は火系統のトライアングルクラスだが、それを誰かに言った事は無い。
じゃあ何故ラティアスはそれに気づいたのか?
自分の力を予見した?だとしてもおかしい。
理由はラティアスに自分が魔法を使うところを見せていないからだ。
考えれば考えるほど思考のどん詰まりに行きそうになるので、キュルケは軽く片手で頭を支える。

「ルイズ。」
「何よ。」

そのあくまでもぶっきらぼうな物言いに、キュルケは溜め息一つを吐いて言った。

「あんた、本ッ当にトンでもないものを召喚してくれたわね……」


585 :ゼロの夢幻竜:2007/12/03(月) 13:45:08 ID:uGV3SLoP
ラティアスはキュルケと向き合って心底機嫌が悪かったが、シエスタに促されて再び笑顔を取り戻した。
おまけにどこそこのテーブルに行けばその姿の可愛さを褒められる事がある。
喋らない事もその事を引き立てるのに一役かった。
彼女の可愛さに惚れ込んだ男子学生の数名が自分の専属にしようと躍起になっている様も確認できる。
その内、『彼女は酷い過去でも送って口がきけなくなってしまったのだろう。僕が何とかしてみせる!』と、勝手な事を想定して息巻く者達まで現れだした。
困ったなあ、と思いつつ空になった銀のトレイを持っていると、向こう側から数人の男子学生が歩いて来たのが見えた。
中心にいるのは金色の巻き髪をし、薔薇をシャツのポケットに挿している気障そうな少年―ギーシュだ。
ギーシュの周囲にいる者達が彼を次々に冷やかす。

「なあ、ギーシュ!お前、今は誰とつきあっているんだよ?!」
「誰が恋人なんだ?ギーシュ!」

その質問に当の彼は唇の前に指を立てつつ答える。

「つきあう?僕にその様な特定の女性はいないのだ。薔薇は多くの人を楽しませる為に咲くのだからね。」

その言葉にラティアスは悪い意味でぶるっと身震いをする。
雌の自分が見ていて、聞いていて恥ずかしくなる台詞のオンパレード。
例え自分が人間でも恋愛対象としては御免被りたい。
と、その時彼のポケットから何かが落ちる。
ガラスで出来た小壜らしく、中では目が覚めるほど鮮やかに煌く紫色の液体が揺れていた。
後で無くなった事に気づいたら流石に彼とて困るだろう。
ラティアスはその小壜を拾った後、近くにいたシエスタを意思疎通で呼んでからギーシュの側まで行く。

「これはこれは。何の用かなメイド君達?」

相変わらず気障な物言いだが、ラティアスは無言で小壜をギーシュの前に差し出した。

「あなたの落し物だそうです。」

シエスタはラティアスの口となり、彼女が思っている事を伝える。
するとギーシュの表情は途端に曇りその小壜を押しやる。

「これは僕のじゃないよ。他の誰かの物じゃないかな?」

だがラティアスはまたも無言で押しやられた小壜をギーシュにつき返した。

「この子があなたの服にあるポケットから落ちるのを見ていたようです。間違いないと。」
「僕のじゃないと言っている。と言うか右の君、どうして何も喋らないんだい?」

シエスタの言葉を少々イラついて答えるギーシュ。
その時、その小壜の出所に気づいたらしい彼の友人の一人が大声でそれを指摘した。

「おっ?!その香水はもしやモンモランシーの香水じゃないのか?」
「そうだ!その鮮やかな紫色は、モンモランシーが自分の為だけに調合している香水だぞ!」
「そいつが、ギーシュ、お前のポケットから落っこちたって事はつまり君の今のお相手は『香水』のモンモランシーだな?!」
「おいおい、君達。それは違う。彼女の名誉の為に言っておくが……」



586 :ゼロの夢幻竜:2007/12/03(月) 13:46:46 ID:uGV3SLoP
途端にギーシュはつい言いよどんでしまう。
近くからつかつかとやって来た栗色の髪をした可愛い少女が、彼の眼前にやって来てぼろぼろと泣き出したからだ。

「ギーシュ様、やはりミス・モンモランシーと……」
「彼らは誤解しているだけだよ、ケティ。いいかい?僕の心に住んでいるのは君だけ……」

ギーシュはその先を言う事が出来なかった。
ケティと呼ばれた少女が先に返事をしたからである。
返事といっても平手打ちという痛い返事だったが。

「その香水があなたのポケットから出てきたのが何よりの証拠ですわ!さようなら!」

それを捨て台詞としたのか彼女は彼に背を向けてすたすたとその場を後にした。
しかし彼の痛い目がこれで終わった訳ではない。
ギーシュが頬をさすっていると、遠くの席から幾つもの金髪の巻き毛が映える少女が立ち上がり、鋭い踵の音を響かせながら彼の元までやって来る。
そして怒りの顔もかくやといった感じでギーシュを睨みつけた。

「誤解だ、モンモランシー。彼女とはただラ・ロシェールの森まで遠乗りしただけで……」
「ギーシュ……やっぱりあの一年生に手を出していたのね?!」

冷や汗を浮かべるギーシュだったが、怒りに燃える彼女の前では最早どんな言い訳も用を成さない。

「お願いだよ。『香水』のモンモランシー。咲き誇る薔薇の様な顔をその様な怒りで歪ませないでくれよ。僕まで悲しくなるじゃないか!」

そこでギーシュの弁明は終わりを告げた。
モンモランシーは手近にあった殆ど手のつけられていないワインの壜を握り、中身をギーシュの頭の上からかける。
中身が空を迎えた時、彼女はその壜をダンッと乱暴に近くに置き怒鳴った。

「嘘吐き!!!」

そして彼女もその場からさっさと立ち去っていった。
ギーシュは暫く呆然としていたが、直ぐに何も無かったかのようにハンカチを取り出してゆっくりと顔を拭く。
更に首を振りつつ、芝居がかかった口調でこんな事まで言い出した。

「あのレディ達は薔薇の存在の意味を理解していないようだ。」

一部始終を見ていたラティアスは流石に呆れてこう思う。馬鹿らしいと。
シエスタと一緒に仕事に戻ろうと厨房の方まで行く。
すると後ろから今しがたの騒ぎの原因、ギーシュに呼び止められた。

「待ちたまえ。右側のメイド君。君が軽率に香水の壜なんかを拾い上げたおかげで、二人のレディの名誉が傷ついた。どうしてくれるんだい?」

呼び止められたのが自分だと気付いたラティアスはシエスタの制止も聞かずにゆっくりと振り向きこう言った。

「何ですって?もう一度言ってごらんなさい。女の子泣かせさん!」


587 :ゼロの夢幻竜:2007/12/03(月) 13:50:28 ID:uGV3SLoP
投下終了しまーす。
今辺りの段になって
「キュルケの自己紹介端折って良かったかなぁ?」とか
「ドットやラインの説明抜いたけど良かったかなぁ?」なんぞ思ったり。
では、またお会いしましょう。


ああ、早く決闘にこぎつけなくては……

588 :ゼロの夢幻竜:2007/12/03(月) 13:57:16 ID:uGV3SLoP
緊急訂正:ルイズ達新二学年一発目の授業は、教師が直々に授業の中止を宣告するという異様な形で幕を下ろした。
       哀れにもシュヴルーズは意識を取り戻す事無く医務室に担ぎ込まれる。
                                  ↓
       シュヴルーズが意識を取り戻す事無く医務室に担ぎ込まれる異様な形で、ルイズ達新二学年一発目の授業は終わった。


済みません訂正中に手違いがありました。
読者の皆様には深くお詫びを申し上げます。

589 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/03(月) 14:00:49 ID:24ZuwSPT
ある意味ゼロ魔最初の通過儀礼にたどり着いたか。
元ネタ知らないんでラティアスがどんな力を使うのか楽しみだ

590 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/03(月) 15:01:36 ID:ivKRX21R
ポケモンと言えば読みが命の(他称)災いポケモンが居たり……

591 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/03(月) 15:02:13 ID:ko6NVFgo
今度はギーシュ君がどうやられるかが楽しみです。

592 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/03(月) 15:10:19 ID:oOrMZ/N8
たまにはギーシュが勝つ展開も見てみたい。

593 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/03(月) 15:20:29 ID:1U9VrJZJ
ラティアスといえば専用技ミストボールがあるな。
わざ教えじいさんがシエスタの祖父(健在)だったりしたらタルブ戦で流星群が降ってくる?

なんとなく、虚無の使い魔が逃げ回り系で
シェフィールドポジションに金髪赤目で舞いが得意な美女が居たり
テファと一緒に銀髪赤目の青年が居そうな予感。

594 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/03(月) 16:11:02 ID:8QsHyV3r
続編マダァー

595 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/03(月) 16:28:49 ID:Ru38gpaK
伝説系は使わないから固有技とかわかんね。

>>588
シュヴルーズが意識を取り戻す事無く医務室に担ぎ込まれる異様な形で、ルイズ達新二学年一発目の授業は終わった。

彼女たち新二学年初の授業は、気絶したシュヴルーズが医務室に担ぎ込まれるという異様な形で終わった。

こうの方が良いんじゃないかとおもう。個人的に。

596 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/03(月) 16:52:15 ID:1U9VrJZJ
モンモンがタケシのグレッグルを召喚しました。


ちなみに、あのグレッグルはメスだという噂がある。よく見りゃ行動がルイズにそっくり。

597 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/03(月) 17:14:32 ID:zTnRKuuz
夢幻竜の人、乙でした!

いやーさまざまな人間模様ですねぇ。

598 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/03(月) 17:16:06 ID:m4rupFw8
空飛んでサイコキネシスで詰みじゃね
ギーシュに対抗手段がない

599 :宵闇の使い魔:2007/12/03(月) 18:10:43 ID:wC9w919X
ご無沙汰してます。
ようやく仕上がりました……orz
18:15分から投下します。

600 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/03(月) 18:14:49 ID:C/C/cP6K
1番楽しみなのがキタ―

601 :宵闇の使い魔:2007/12/03(月) 18:15:19 ID:wC9w919X
姫様――陛下からの極秘の呼び出しを受けて、王宮へと向かった私達。
そこで陛下と色々な話をしたのだけれど――――
何故か! ミス・ロングビルの為に虎蔵が余計な任務を託されてしまった。
まぁ、陛下の頼みでもあるなら仕方がないのだけど――


宵闇の使い魔
第弐拾弐話:銃士隊の女


「まったく、妙な事になったもんだよ――このアタシが王族の手助けするなんてね」

マチルダがぼやく。
此処は城下街の外れ、裏通りにある宿の二階。その一室。
戦勝ムードに華やぐブルドンネ街からは離れているため、窓を開けて通りを見下ろしても人通りは殆どない。

虎蔵は窓枠に寄り掛かりながら、ふぅと煙を吐き出した。
来る途中に露店で買った葉巻だ。
元はアルビオン将校の物だったのだろうか。
ただの分捕り品にしては、質が良い。
値もそこそこはしたが。

ルイズ達には意地が悪そうなどと言われる笑みを口元に浮かべながら、
粗末なベッドに腰掛けて不満たらたらなマチルダへと視線を向けた。

「ほとんど自業自得だろ?」
「わかってるさ。アンタにも感謝してる。借りばっか溜まってくのは、少し気に食わないけどね」

虎蔵にそう言われれば、彼女は拗ねた様に口を尖らせて明後日の方向を向いた。
年甲斐もないとマチルダ自身は思うのだが、虎蔵と二人でいると自然とこういった仕草をしてしまう事がある。
もしあの赤毛の娘にでも見られようものなら、それこそ烈火の如くからかわれるだろう。
気をつけねばなるまい。

「しかし、わざわざ城の外の宿でなんてね。簡単なお仕事にしちゃ、随分と用心深いことだよ」
「ま、どこぞの隊長の前例があるからな。ほれ、付き添いもメイドだったろ」
「あぁ――そういや、確かに」

自分への照れ隠しのようにマチルダが呟く。
虎蔵がくくっと肩を揺らしてそれに答えると、彼女も城での事を思い返した。
そう確かに、アンリエッタに付き従っていたのは衛士隊のメイジではなくメイドだった。
杖を持っていた様子もなかったことを考えれば、メイジですらない可能性は高い。

「衛士隊が信用できなくなった?」
「かもな。ま、単純に人手不足の可能性もある。こないだので、結構やられたんだろ?
 それと俺らに回ってくる雑用が関係してるかどうかは分からんがね」

ふぅ、っと煙と共に吐き捨てる虎蔵。
マチルダはなるほど、と腕を組んで考え込む。
確かに、それならば自分と虎蔵を使いたがる理由も多少は分かるというものだ。
外部で、それなりに信用の置ける存在。
もっとも、どう考えてもメインは虎蔵で自分が餌だというのは気に食わないのだが。

「ま、仕方がないか――――」

そう、呟き視線を虎蔵に戻した。
彼は相変わらず葉巻を吹かしてはやる気なさげに空を眺めている。
本当に気楽で気侭なことだ。
もしかしたら、自分は餌であると同時に手綱代わりなのではなかろうかとすら思い始めてきた。

――妙な事になったよ。ほんとに―――

602 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/03(月) 18:15:27 ID:A/KAfrM5
タケシと聞いて世紀末リーダーが出てきた俺は末期

603 :宵闇の使い魔:2007/12/03(月) 18:17:22 ID:wC9w919X


数時間ほど、時を遡る。

タルブ平原での大規模な戦闘から数日。
王宮へと召喚されていたルイズ達が面会したのはアンリエッタとマザリーニのみ。
その場で、女王となったアンリエッタ自らの礼と幾許かの報奨金こそ受け取ったが、
またしても正式な褒美を取らせることは出来ないと言う事が告げられた。
理由は当然、ルイズの《虚無》のためだ。

アンリエッタはこの数日のうちに、王宮の情報部門を駆使してあの日の事を徹底的に調査していたため、
ルイズの《虚無》も、虎蔵の"変身"のことも知りえていた。
そしてもし公式にあの戦果の褒美を取らせ、ルイズが《虚無》の使い手であることを知らしめた場合、
どういった事が起きるかも、当然よく理解していた。
敵に狙われるだけではない。味方からも要らぬ関心を集めては、利用されかねない。
女王として以上に、ルイズの友人として、それだけは承服できなかった。
だから、このことは忘れるべきだとルイズを諭したのだ。
マザリーニも、幾つかの政治的な思惑もあり、それを支持していた。

しかし、それを良しとしなかったのが当のルイズ本人である。
《ゼロ》と蔑まれ続けた自分がようやく手にした力。
これで誰かを守ることが出来るのだ。
現に、あの勝利でトリステインの発言力は大きく増し、
ゲルマニアとの同盟のためにアンリエッタが嫁ぐ必要はなくなったのだ。
そのことを知ったルイズは、《虚無》の力で大切なアンリエッタを助けられるということに確信を持ち、
そして誇りを持ちはじめていた。
それを無かったことにしろなどと言われて、「ハイ分かりました」とは頷けない。
そもそも、虎蔵の言う馬呑吐なる超人が敵方に組しているのであれば、対抗できるのは恐らく虎蔵のみだ。
そして虎蔵だけを戦場に立たせるということもまた、ルイズは承服できない。したくない。

結果として、本当にいざと言う時までは《虚無》の力を隠しながら、
アンリエッタを助ける事の出来る方法を考えると言うことで話は落ち着いた。
ルイズの熱心な説得に、アンリエッタの心が動いてしまったのだ。
虎蔵の口から語られた馬呑吐の存在と、タルブ村から譲渡された《ゼロ戦》なる兵器を持ち出したことも大きい。

そしてその後、タバサとキュルケが国にはルイズの事を報告しないという確約をした。
彼女らとしても、悪戯に不信の種を母国に撒く事を良しとはしなかったのだろう。
あっさりと同意した。
虎蔵とキュルケだけには、タバサの反応がやや鈍かったようにも見えたのだが。

さて、此処で話が終わっていれば美談であっただろう。
だが、そうは行かなかったのだ。



604 :宵闇の使い魔:2007/12/03(月) 18:19:14 ID:wC9w919X

アンリエッタが逡巡を見せると、マザリーニが先に口を開いた。

「さて、次は貴女の件についてです。ミス・ロングビル。いえ、《土くれ》のフーケ」

はぁ、とため息をついてマチルダは額を押さえた。
ある程度、覚悟はしていたのだ。
《虚無》の使い手たるルイズに近しい人物の過去を洗い直さない訳がない。
そうなれば、たいした偽装工作も出来ていない自分の過去など、簡単に明かされてしまうと。

それでも此処まで付いてきてしまったのは、何故だろう。
そんなことを考えながら、マチルダは肩をすくめ、口を開いた。

「ま、隠し通せるものでもないね。
 どうする? 打ち首か縛り首か――――それとも牢屋にぶち込まれる程度で許してもらえたりするのかい?」

席を立つ様子もなく、投げやりに肩をすくめるマチルダ。
皆の視線が彼女に集まる。
ルイズにいたっては、マチルダの口から出てきた打ち首や縛り首と言った言葉に動揺したのか、
顔色を悪くしてしまっている。
だが――――

「まぁ、落ち着けよ。こんな状況でそのカードを切ってくるってことは、なんだ。取引があんだろ?」
「お話が早くて助かりますな。まぁ、そう言う事です。こちらを」

虎蔵の言葉にハッとした様子でマザリーニに視線を向ける一行。
マザリーニは一同の視線を集めても表情一つ変えることなく、咳払いを一つ。
そして先ほど渡した報告書と同じような羊皮紙を一枚、マチルダへと渡した。
彼女はそれに目を通して、表情を渋いものへと変えていく。

「――――――ほんとに良く調べてあるね」
「それが仕事ですからな」

舌打ちをして羊皮紙から視線を上げるマチルダに、マザリーニは表情一つ変えずに言い切った。
アンリエッタは多少済まなそう目を伏せがちにしてはいるが、マチルダに向けての物ではないだろう。
ちらちらとルイズを見ている。
もっとも、マチルダの――フーケのやってきた事を考えれば当然ではあるが。

「で、取引ってのはどんなんだい」
「ある任務を引き受けて欲しいのです。使い魔さん――いえ、トラゾウさんと一緒に」
「えッ――トラゾウも、ですか?」

マチルダが羊皮紙をマザリーニへと返却しながら、問いを投げかける。
マザリーニが続けて口を開こうとするのだが、今度はアンリエッタがそれを制して自ら話し始めた。
突然虎蔵の名が出てきたことにルイズが口を挟むが、アンリエッタは落ち着いた様子で頷く。

「えぇ。彼の力が必要になる可能性があるのです。それに、ミス・ロングビルを一人で行かせるよりは安心でしょう」
「うぅ――じゃ、じゃあ私も!」

アンリエッタの言葉を受けて、ルイズは自らも志願を言い出す。
だが、アンリエッタはゆっくりと、諭すように首を横に振った。

「ルイズ――使い魔と主を引き離すことは気が引けますが、今回は堪えてください」
「アタシらだけの方がやりやすい仕事か――或いは、こいつらには見せたくない仕事、か?」
「後者です。決して綺麗な仕事とは言えませんが。余り目立たない方が良い内容だという事で理解してください」


605 :宵闇の使い魔:2007/12/03(月) 18:20:22 ID:wC9w919X

口を噤むルイズ。
確かに、自分は二人と比べればまだ子供で、連れて歩くには違和感があるのは否めない。
虎蔵の主である事を強引に主張することは可能ではあるが、相手はアンリエッタ――女王陛下である。
それに、本心では虎蔵をただの使い魔として扱う事に、それなりの抵抗があることもあった。
故に、わかりました――と承諾するしかないのだった。

マチルダはそれを見て何度目かの溜息をつく。
ルイズが虎蔵を"貸して"くれることに承諾した以上、自分が断る訳にも行かない。
いや、状況から言えば断れる訳もないのだ。

「分かった、分かった。その取引、乗るよ。あんまりこいつらに迷惑かける訳にも行かないしね。
 落とし所としちゃ、上等すぎる。――――付き合ってくれるんだろ?」
「まぁ、しゃあねぇな」

互いに肩を竦め合い、立ち上がるマチルダと虎蔵。
ルイズはそのやり取りが、長く連れ添った相棒同士のようにすら見えて悔しく思ってしまうが、
今はただ見送り、無事を祈るしかない。
一方アンリエッタは二人の様子を見て、やはりこの二人ならば――と僅かに表情を緩めた。

「ありがとうございます。何度もご迷惑をおかけして――」
「なに。今回に限って言えば、こいつの尻拭いでもあるからな」
「し、尻――」

虎蔵の何気ない一言に、同時にボッと顔を赤くするルイズとアンリエッタ。
キュルケも軽く吹いている。タバサは何時も通り――に見えるが。
どうやら上手く意図が伝わっていないようだ。

「――後片付けを手伝うって事だよ」
「最初からそう言え!」

面倒臭そうに肩をすくめながら自分で解説すると、マチルダに頭を軽く叩かれた。
マチルダすら僅かに顔が赤い。
変な想像でもしたのかもしれない。
流石に異文化コミュニケーションは楽ではないようだ。

「そういう言い回しをすんだ。仕方あるめぇよ――んで、詳しい事は何処で聞けばいいんだ? 此処じゃ困んだろ」
「あ、はい。まずは外に居るメイドに声を掛けて下さい。その後は、その指示に」

叩かれた所を掻きながらアンリエッタに問えば、まだ僅かに上ずりながら返事をする。
蝶よ華よと育てられた――と思われるアンリエッタには、よほど刺激が強かったのかもしれない。

「んじゃ、ま――さっさと片してくらぁ」
「悪いね、嬢ちゃん。借りてくよ」

虎蔵は場を仕切りなおすかのようにルイズ達に声を掛けるとドアへと向かう。
マチルダも、ルイズに軽く手を上げて僅かながらの謝意を示すと、後を追った。

「トラゾウ――」
「気をつけて」
「何、たいした仕事でもねーだろ」

心配そうに見送るルイズやキュルケにひらひらと後ろ手を振る虎蔵。
タバサの短い一言を背に、二人は部屋から出て行った。





606 :宵闇の使い魔:2007/12/03(月) 18:22:40 ID:wC9w919X

そしてその後、部屋の外に控えていたメイドからの指示通りにやって来たのがこの宿と言うわけである。
尾行は無かったし、何者かの手が加わっている様子も無い。
仮にあったとしても、この二人の組み合わせを欺くのは至難の業であることは間違いないのだが。

「しっかし、遅いね――――昼寝でもしてろってのかね」

マチルダが安物の枕を叩くと、埃が舞う。
王都でも裏路地の安宿ともなればこんなものかと、ぱたぱたと手で仰いで埃をちらしていると、
ようやくドアがノックされた。

「んー、開いてんぜ」
「あぁ」

虎蔵の言葉に、必要最低限で答えてドアが開けられる。
入ってきたのは、何処にでもいそうな街娘の格好をした金髪の女性。
しいて言えば、パッツンに切りそろえた前髪が目を引くだろうか。
もっとも、虎蔵とマチルダ、二人の目には隠しようのない体術の心得が見て取れる訳だが。

「またせた」
「――あら、やっぱり貴女なのね」
「気付いていたか」

つかつかと遠慮も無く部屋に入ってきたその女性は二人に指示を出したメイドだった。
が、最初から二人の目にはただのメイドにしては身体つきやら、歩き方やらに疑問があったため、特に驚くことは無い。
つまりは、メイドに偽装したアンリエッタの護衛――或いはそれに準ずる何かという事だったのだろう、と。

「そりゃね。あんな歩き方するメイドなんて聞いたことが無いし――」
「そもそも愛想と目付きが宜しくねえな」
「――あれは臨時の措置だ。大目に見ろ」
「ま、アレはアレで似合ってはいたけどな」

脳内にシエスタを思い浮かべながら、意地悪く笑う二人。
女性はその様子に対し、何かを堪える要に手をぐっと握り締める。
あの格好は本意ではないようだ。
だが、直ぐに落ち着きを取り戻すと、ふんっと鼻を鳴らして二人をそれぞれ一瞥する。

「アニエスだ。陛下付きの女中、という事になっている。今の所はな」
「暫くの後は?」
「――銃士隊という、新たに創設される部隊の隊長として、シュヴァリエを名乗ることになる」
「銃士隊? なんだい、そいつは」

聞きなれない部隊名に首を傾げるマチルダに、アニエスは何処か誇らしげに説明を始めた。

銃士隊。
アンリエッタとマザリーニが進めている新設の近衛隊計画である。
近衛隊――魔法衛士隊は元来、グリフォン・ヒポグリフ・マンティコアの3隊で機能していた。
だが、グリフォン隊隊長ワルドの裏切りによりグリフォン隊は一時的に解体され、
その影響で指揮系統が混乱している所にレコン・キスタの襲来が重なり、
決して少ないとは言えない被害を受けてその能力を著しく低下させてしまっている。
そこで、同盟国となったゲルマニアのように優秀な者は平民であっても登用しようと言う事になったのである。

また、アンリエッタにはワルドの裏切りやレコン・キスタの件、そして別の"ある懸案"のせいで、
メイジ――貴族にたいして僅かながら不信感を抱き始めていた。
ワルドのように、自分達が知らないうちに敵方と繋がっているのではないかと考えてしまうのだ。
だがその点、平民を登用するのであれば比較的過去も洗いやすく、
信用の置ける者だけを手元に置いておくことが出来ると考えた。
もっとも、平民であるが故に買収などの懸念もあり、人員の発掘に手間取っているようではあるが。


607 :宵闇の使い魔:2007/12/03(月) 18:23:48 ID:wC9w919X
「なるほどね――まぁ、分からなくも無いか――」

貴族不信という点では、マチルダはアンリエッタに負けず劣らずである。
サウスゴータ時代の件や、フーケとして様々な汚い貴族たちを見てきたためだ。
故に、アンリエッタの考え方には不本意ながら同調できる物がある。
最近はルイズ達の影響もあり、貴族全員が汚いという考え方は改めるようになって来たのだが。

「ま、その辺りは俺らが口を出すことじゃねぇな。
 その"ある懸案"って奴が俺らの仕事なんだろ? そっちを説明してくれや」
「あぁ。と、先に確認しておく。トラゾウにロングビルで良かったな?」
「その通りだ。こっちも名前で呼ぶぜ」

虎蔵、マチルダと視線を向けて確認してくるアニエスに、虎蔵の方が答えた。
マチルダは虎蔵からの問い返しに好きにしろと答えると、任務の説明を始めた。

内容はこうだ。
王宮の高官達による会議では、タルブ平原で多数の艦艇を失ったレコン・キスタは正攻法による侵攻を諦め、
不正規戦を仕掛けてくる可能性が高いと結論が出たという。
そこで現在、少なくない数の軍人が情報収集任務に従事して、レコンキスタの動きに備えているのだが、
その一方でマザリーニがある危険性をアンリエッタに告げてきたのだという。

――――裏切り者。
そう。ワルドの時の様に、内部にレコンキスタと繋がる何者かが居て、
彼らがレコン・キスタの手助け――不正規戦の手引きをする可能性があるというのだ。
マザリーニは既に、ワルドの件で致命的な大失態を犯している。
そのため、こういった点についてはかなり慎重になっているようだ。
だが、確かに彼のいう通りではある。
絶対に、といえる訳ではないが、裏切り者が一人であるという保証は何処にも無い。

そこで考えられたのが、既に銃士隊の隊長候補として極秘に登用し、
アンリエッタ付きのメイドとして身辺警護をしていたアニエスに身内の内偵させると言うものだ。
彼女は銃士隊の隊長となるべくマザリーニから多くの貴族について知識を叩き込まれている。
そこに快盗としての知識・技術を持つマチルダと単身で多数のメイジとすら渡り合える虎蔵を加えることで、
即席ながら十分な実行力を持つ内偵チームを作り上げようという訳だ。

「あー、ま、理には適ってるか?」
「チームワークに致命的な難がありそうだけどね」

かったるそうながら内容は肯定する虎蔵に、マチルダは刺々しさを隠そうともしないアニエスを一瞥して肩を竦めてみせる。
とはいえ、既に引き受けた仕事だ。
何とか上手くやるしかない。
虎蔵もそうだが、マチルダも引き受けた仕事はキッチリとこなすタイプである。
ベッドから立ち上がり、アニエスへと向けて手を差し出す。

「ま、仕方が無いね――――よろしく頼むよ、アニエス」
「あぁ。こちらこそ」

アニエスはその手を握り返して答えるが、余り好意的な様子は無い。
マチルダ=フーケという事を聞いているのは間違いないので、その事で嫌悪感でもあるのかもしれない。

虎蔵はその様子を眺めながら、自分と関わる女は大概"碌な性格"をしていないということを思い出しては、
面倒臭そうに煙を吐き出すのだった。

「結局、何処の世界に居ても面倒を運んでくるのは女か――――」

--------------------------------
以上、第弐拾弐話でした。
ルイズがまったく出てこないこともあるよね。
尚、4巻分・5巻分の内容は多少シャッフルして再構成しています。
アニエスの出番が前倒しされただけで、4巻分の内容も通りますよ。

608 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/03(月) 18:41:50 ID:ivKRX21R
むしろタケシと手持ちメンバー召喚も面白いんじゃないか?

とか思いながら宵闇支援

609 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/03(月) 18:45:30 ID:T6Jcsb6/
投下乙

610 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/03(月) 18:46:52 ID:Iem+tHz9
宵闇さん乙&GJでした!
葉巻の次はパイプタバコをry
虎蔵にマチルダ、アニエスの三人組 こいつぁガクブルなチームだぜ

611 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/03(月) 18:53:35 ID:OTGkQg2m
wikiから来ましたよっと。
ゼロ使とバレットバトラーズのクロス無いかなー? って探してたらwiki辿りついて、個人的にやたらヒットしたんですけど、これってまだ執筆してる人いるのかな?
パート4で止まってたんで……

612 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/03(月) 19:09:19 ID:tcSFBEzA
>>608
トレーナーごとか

そ の 発 想 は 無 か っ た

613 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/03(月) 19:15:14 ID:UyJ1z1+t
>トレーナーごと
そして奪われるボール
窓に映る二つの月をバックに高笑いするルイズ
響き渡るピカチュウの悲鳴
サトシは仲間達を取り戻せるのか!?

614 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/03(月) 19:21:10 ID:6J7rbEL5
>>613
タケシどこ行ったw

615 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/03(月) 19:22:52 ID:axH21GwI
映画のアンノーンプレート召喚すればどうだろ?
どんな願いでも叶えてもらえるぞ

616 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/03(月) 19:29:27 ID:opGkFuH8
>>613
ルイズの声は林原めぐみさんですかw

617 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/03(月) 19:41:31 ID:Vwpjx4e2
>>615
いやいや、いっそドリムノートをw

618 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/03(月) 19:42:55 ID:QpKUwJC2
ドラクエシリーズからモンスター召喚を考えてみたが…
ボス系以外ならどのモンスターでもそれなりに話になりそうだなぁ。

619 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/03(月) 19:44:12 ID:oOrMZ/N8
たいした特徴もないしな。

620 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/03(月) 19:46:08 ID:QkjvebrX
それじゃあ腐った死体を召喚だ!
……これにキスしろと?

621 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/03(月) 19:48:23 ID:QpKUwJC2
ホイミスライム系みたいな戦闘能力皆無だけど蘇生すら出来るようなのだと
ちょっと面白い話が作れるかもシレン<5の仲間になったやつを想定してます

622 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/03(月) 19:49:07 ID:AR4S54cg
スライムかわいいよスライム

623 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/03(月) 19:56:49 ID:tcSFBEzA
じゃあデュラララからセルティ召喚だ!
……どこにキスしろと?

筆談もできないから意思疎通できなくて涙目www

624 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/03(月) 20:01:10 ID:fmKUrlip
>>613
俺は嬉々とボールから出したポケモンたちに
「今日からあたしがあんたたちのご主人様よ!」発言してぼこぼこにされるルイズを想像した

625 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/03(月) 20:02:13 ID:kio3y9FH
君らは何でそう台無しにしたいのかwww

626 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/03(月) 20:02:47 ID:4MeuRgXd
俺はケー100が召還されたらどうなると考えてしまう
ってかどこにキスしろと?

627 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/03(月) 20:02:49 ID:eYxYshFt
>620
あやまれ!
心の底から腐った死体が大好きな、私に謝れ!

…大抵のゲームにゃ、
後半戦に耐えられるようなゾンビタイプの仲間モンスターがイナイorz
(DQモンスターズはあまり趣味じゃない)

628 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/03(月) 20:07:11 ID:L0xGD7Zw
タケシと聞いてビート武が思い浮かんじゃったよ

629 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/03(月) 20:07:46 ID:qsAOpJPh
>>621
ルイズで触手ものですね><

630 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/03(月) 20:19:13 ID:SIc7J0Ll
>>611
遅レスだが一応。
Bullet Butlersの奴は避難所連載。
今まで投下された分は確かに4話までだな。

631 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/03(月) 20:20:30 ID:QpKUwJC2
>>629
うん、絶対誰かそういう発想をしてくるだろうな、と予測してた
まあ、一番無難なのはスライムかスライムナイトだろうなぁ。

632 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/03(月) 20:30:54 ID:hSfSr7AE
>>631
ふむ、バスタードから脱衣スライム召喚とな

633 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/03(月) 20:40:30 ID:kwwVoroN
ルパン三世から石川五右衛門

634 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/03(月) 20:41:53 ID:SHXNu+82
>>632
とかしちまうんだぜい!ってアレかw
アーシェス・ネイを召喚したらおっぱいエルフに同情しそうだな
DSに会うまで迫害の連続だったし

635 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/03(月) 20:42:17 ID:oOrMZ/N8
ROIからローパー召喚。
あるいはデッドエンド召喚。

636 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/03(月) 20:44:11 ID:oOrMZ/N8
椅子を武器にする拳法使いとか
ハンガーを武器にする刑事とか召喚。
ガンダールヴ的に有利。


637 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/03(月) 20:51:05 ID:5r7rEb7u
>>631
スライムナイトが出てきた場合
乗ってる奴とスライムのどっちにキスするか悩みそうだなルイズ

638 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/03(月) 20:51:42 ID:1U9VrJZJ
>>634
テファに同情しそうなキャラと言うと………ウルトラマニアックの仲村沙也香とか?
マイナーだなorz




赤ずきんチャチャの後日談に出てきたユーリンとリーランを召喚。
ハルギケニアにもとうとう魔王が派遣されてきました。

639 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/03(月) 20:51:49 ID:zTnRKuuz
騎士に見える部分は実は下にいるスライムの一部。
分離してるけど。

640 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/03(月) 20:56:51 ID:U9UPCzC8
赤ずきんチャチャの魔王といったら 魔王平八だったっけ?
セラヴィー(本名サンダル)の実弟の。

641 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/03(月) 20:57:59 ID:llkELymN
>>639
作品によって違うぜ。
とりあえず初出のSFC5はナイトとスライムで別扱い。

642 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/03(月) 21:04:26 ID:uJ5ZfIR8
http://cmonet.s58.xrea.com/upload/src/up1463.jpg

643 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/03(月) 21:09:01 ID:QkycvoQs
以前、とある「大佐」ネタを投下宣言したものですが
ここに投下してもよろしいでしょうか

とりあえず召喚のところだけです
携帯からなので少しばかり改行等がおかしいかもしれませんが



644 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/03(月) 21:11:01 ID:oqKpUUyf
>>643
長編?

645 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/03(月) 21:12:25 ID:7zRqEVRa
携帯からは止めといたほうがいい気もする。いろんな意味で。

646 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/03(月) 21:13:34 ID:QpKUwJC2
>>641
逆逆。
DQ5では騎士はスライムに寄生した生物が変化したもの
寄生された際にスライムとの間に主導権争いが発生するとか。

久美沙織の小説が初出だが一応公式扱いされてる

647 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/03(月) 21:13:36 ID:1U9VrJZJ
ごー!!

>>640
魔界の王族の人外度は異常。

648 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/03(月) 21:21:12 ID:iCRlbXIw
赤ずきんチャチャも魔法学校がある世界だし、相性良いかも。
セラヴィーの弟達、全員がどこかの国か世界担当の魔王だよね。
双子の母のどろしーも割とツンデレってるし、案外ルイズに懐きそう

問題は黒髪かピンク髪かだがw

649 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/03(月) 21:22:02 ID:kz6eEi2d
ガッシュって個性的なキャラ多い割りに呼ばれて無いよね。
華麗なるビクトリーム様とか。


タルブの戦いにて

「いくわよっ、ビクトリーム!」

「分離せよ!!我が美しき頭部よ!!」
「視界良好!!この状態に死角なし!!」
「我が体はVの体勢で待機せよ!!!」

(………何の意味が!!?)

「グロリアスレヴォリューション!!スリー・シックス・オー!!」
「アクセル・アクセル・アクセル・アクセル・アクセル・!!」

「マグルガァ!!!」

「敵艦隊、全滅!!」

「やったわ!」

「砦粉砕!!」

「え?」

「我が体、撃沈!!!」
「ブルアァアアアアア!!!」

「何やってんのよアンタは!!」

「やめろぉおおお!股間の紳士をいじめるなーーー!!」


やっぱだめだ。

650 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/03(月) 21:24:14 ID:axH21GwI
>>643
避難所推奨

651 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/03(月) 21:32:55 ID:QkycvoQs
十話前後予定ですね
その辺は空気次第ですが


まあ投下許可くれた人もいますので
何事も挑戦の精神で 2140から投下宣言して見ます
もしダメならようなら次から避難所に行きます


652 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/03(月) 21:35:32 ID:O03opuEr
携帯投稿でもスムーズに行けば問題ない。
かくいう俺も一時期は携帯オンリーだった

653 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/03(月) 21:40:41 ID:TFzqJALA
>>649
コネタのほうで一話だけだけど呼ばれてるよ

654 :ゼロのカウングルッペ:2007/12/03(月) 21:40:49 ID:QkycvoQs
戦場の塵と消えた者は余りに多い
その例は歴史の本を捲れば幾らでも見ることができる
それが滅びゆく帝国の英雄や将兵ならば 尚更の事だ


東部の風雪と鉄の暴風の下で消えた者達がいた
西部で祈祷師と蛍の一斉射撃に欠片も残さず消えた虎がいた
祖国で休養中に反意を疑われ服毒自殺を強要され歴史から消えた狐がいた
戦後、かつての報復を叫ぶ市民による襲撃に消えた者もいる

たから、彼らが消えた事も別に不思議には思われる事は無かった
単なる戦場でおきた不幸な出来事に過ぎず、それ以上の何ものでも無い、と
彼らの足跡をたどった者は皆、同じ結末を目撃する事に成るだろう

「祖国人民最大の敵」
ハンス・ウルリッヒ・ルーデル大佐 及び エルンスト・ガーデルマン曹長
1944年5月6日カノンフォーゲルにて出撃



・・・・・・未帰還、と

655 :ゼロのカウングルッペ:2007/12/03(月) 21:44:28 ID:QkycvoQs
神聖なるサモン・サーヴァントの儀式
その儀式の場でコルベールは首をひねっていた
「ミ、ミスタ コルベール!もう一度サモン サーヴァントを!」
本日既に30余回に及ぶ爆炎と発煙を巻き上げた生徒が周りの野次に負けずコルベールに嘆願する

「よろしい、ミス・ヴァリェール 続けなさい」

ヴァリェールと喚ばれた少女・・・・・・ルイズは再び杖を構え 呪文の詠唱を繰り返し
再び爆風と発煙を辺りに撒き散らす
そして何も現れない

「流石はゼロのルイズ、こんなかんたんな魔法も唱えられないなんて」
「才能ゼロなんだ。そろそろ実家に帰った方が良く無いかい!」
「えぇい!静まりなさい!それでも貴族の一門に名を列ねる者ですか!」
周囲の野次を黙らせながらコルベールは腕を組んで考えた
(おかしいですね 呪文自体は完璧に成功しているハズなのですが)

確かに何かが召喚された気配がする
それは間違いないのだが、なぜかこの場に使い魔が現れないのだ

656 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/03(月) 21:46:48 ID:EXen06/D
これ出展はどこからなんでしょうかー
支援

657 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/03(月) 21:47:15 ID:QkycvoQs
結果としてそれは失敗と見なす他は無いのだが
そうなれば 進学試験を兼ねたこの儀式に彼女は失敗したと言う事になり
ルイズを留年させなければならない事になる
毎夜に及ぶ彼女の隠れた努力を知るコルベールとしては
それはできる限り避けたい選択だった

「ミスタ コルベール!」
ルイズが再び彼に再挑戦の許可を求める
(しかし、いつまでも挑戦させ続けると言う訳にもいきません)
コルベールは一つの決断をくだす
「よろしいミスヴァリェール、しかし次で最後です
これでダメなら来年、この儀式を受け治して貰いますよ」
落第勧告に等しいこの言葉に さすがに彼女も少し怯えたようだが 決まりは決まり、しかたが無い事だった

「しかし疲労したその体では成功するものも成功しないでしょう
私が見本を見せますので、その間に息を整えなさい」
それは咄嗟に思いついた事だった
あるいは日頃の努力を見ていたコルベールなりの無意識のご褒美というべきだろうか
幸か不幸かコルベールの使い魔は既にこの世に居ない
故にこの召喚の儀式を行う事ができる
ならば、この機会に自らも使い魔を召喚し、生徒の模範となるのも教師の勤めというものであろう
「・・・はい ミスタ」

658 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/03(月) 21:47:16 ID:ditzukgw
どんな強敵も「見慣れない敵と遭遇したが全部撃破した」で済ませそうな御仁ですね。

ロリコンだし。

659 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/03(月) 21:48:43 ID:FTEQlj+1
ちょww
ルーデルとガーデルマンwww

>>656
第二次世界大戦のドイツの英雄
実在のバケモノ

660 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/03(月) 21:50:58 ID:OninqdaB
なんて奴等を償還したwww

661 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/03(月) 21:50:59 ID:uZDlzEM7
よくわからんがリアル絢爛舞踏みたいなもん?
支援

662 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/03(月) 21:51:26 ID:oOrMZ/N8
句点が無いのってわざと?

663 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/03(月) 21:52:27 ID:FTEQlj+1
>>661
うぃきぺでぃあ〜
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%8F%E3%83%B3%E3%82%B9%E3%83%BB%E3%82%A6%E3%83%AB%E3%83%AA%E3%83%83%E3%83%92%E3%83%BB%E3%83%AB%E3%83%BC%E3%83%87%E3%83%AB

支援

664 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/03(月) 21:52:43 ID:QkycvoQs
そう考えたコルベールは杖を下ろしたルイズと立ち位置を入れ換えて杖を構えた
そしすぐ後ろに立つルイズに改めて教育するかのようにゆっくりと呪文を発音する

「我名はコルベール。五つの力を司るペンタゴン、我が運命に従いし"使い魔"を召喚せよ」

コルベールが降り下ろした杖と共に呪文が完成する
サモン・サーヴァントの魔法に込められた膨大な魔力が溢れ、空間がねじ曲げられて行く
数秒の後には通常のゲートの数倍のサイズで門が実体化した

それを見た生徒達が騒然となった
彼らの中にも風竜やサラマンダーを呼び出した優秀な者も確かにいる
だが、目の前にあるのはそれらが喚ばれた時以上の"門"の姿
そこから現れるモノが余程のもので有ることは想像に難くなく
そして、その期待に答えるかのようにソレは現れた

竜のようにもゴーレムのようにも、或いは翼を広げた鳥のようにも見えるモノ

それは大地を抉るかの滑空し、周囲に戦鼓の如く轟音を撒き散らし
さらにその衝撃波で生徒を薙ぎ倒ながら、
重力からすら逃れているかのような上昇をみせて空に駆け登る
そして、静に上空で旋回を開始し始める段になって
ようやく生徒達も混乱から立ち直って大騒ぎで空を行くものの正体について議論を始める

グリフォンの亜種だ
いえ、ドラゴンの一種よ
いやいやガーゴイルだろう、と
怪物精霊竜と、知る限りの知識と比較していく
だが、目に移る"ソレ"は彼等の知識に該当する物はないだろう

「・・・ミスヴァリェールのお手本の積もりでしたが――」
周囲を見渡し、生徒達の無事を確かめたコルベールは誰にともなく呟いた

665 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/03(月) 21:54:24 ID:Oyd5m7L3
支援

>>661
ココ参照
つ ttp://hobby10.2ch.net/test/read.cgi/army/1193203937/


666 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/03(月) 21:55:22 ID:2zK/UTwl
その流れだとルーデルはまさかコッパゲと!?

667 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/03(月) 21:55:36 ID:98D1RLWd
ルーデル閣下が召喚なされたら、シュトゥーカも一緒だな。

668 :ゼロのカウングルッペ:2007/12/03(月) 21:55:58 ID:QkycvoQs

肝心のルイズもこの予想外の出来事に先程迄の失敗を忘れたかのように
上空を旋回する"使い魔"を視線で追い続けている

「なにがなんやら、分かりませんが、面白い事になりましたねぇ」
生徒達の中に紛れて空を見上げるコルベールの目に
ゆっくりとソレが高度を下ろして近づいてくるのが確認できた




――彼も彼の生徒も知らない
"ソレ"の名が ju87G 通称 大砲鷲(カノンフォーゲル)と呼ばれる"飛行機械"の化物である事を
――そして彼等は知ることに成る

その中にいる人間こそが
本当の化物である事に

帝国と共和国に存在した数多の英雄の中でただ一人
誰にも再現出来ない程に絢爛豪華に戦場を駆け抜けた男とそれに付き従"う事ができた"男
人類至上最高の勲章を受賞した英雄の中の英雄とその相棒である事に


そう、彼等は来たのだ

669 :ゼロのカウングルッペ:2007/12/03(月) 21:57:30 ID:QkycvoQs
以上です

次からは恐らくパソコンからの更新になるかも

670 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/03(月) 21:59:05 ID:FTEQlj+1
>>669
乙wwww
本当にやる猛者が現れるとはおもわなんだww

671 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/03(月) 21:59:33 ID:iCRlbXIw
こうしてはいられない、支援だ

672 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/03(月) 22:01:59 ID:Qe/2o8dV
リアル絢爛舞踏wwwwwww

673 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/03(月) 22:03:38 ID:Z9QYPKGX
>>669
乙&GJ!続きを期待だ。

携帯から書いたのかよw
一回PCから見て校正かけた方がいいかもな。
携帯から見た場合とPCから見た場合って、文章の見た目や印象がかなり違うぜっ

674 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/03(月) 22:10:29 ID:Oyd5m7L3
>>669
GJ!!
続きに激しく期待wktk

そしてwikiの人仕事はえーよwwwもう登録されてるwww

675 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/03(月) 22:10:39 ID:k+L/zWUR
クロス元が現実はスレ違いじゃないかと思ったがいろんな伝記とかにっでてるからセーフだったぜ

676 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/03(月) 22:11:02 ID:QkycvoQs
>>656

出展は「急降下爆撃機」というSF小説です


677 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/03(月) 22:11:40 ID:EXen06/D
どの伝記が元ネタなのか聞きたかったんだぜ…

678 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/03(月) 22:11:43 ID:025aSuLm
2 名前:名無し三等兵[sage] 投稿日:2007/10/24(水) 14:33:18 ID:???
死にたい赤軍将兵にお薦めの「ソ連人民最大の敵(スターリン曰く)」ハンス・ウルリッヒ・ルーデル
・ベルリン突入直前なら大丈夫だろうと虎の子のJS-3を出したらいつもと変わらないルーデルに撃破された
・Ju-87の機影を発見後一分で重戦車が火の付いた燃料を流して撃破されていた
・足元がぐにゃりとしないので沼をさらってみたら戦車の残骸が敷き詰められていた
・停泊中の戦艦が襲撃され、気が付いたら大破着底させられていた
・高度数百ftで爆弾を投下、というか距離100m以内で機銃をぶっ放す
・爆撃機編隊が襲撃され、爆撃機も「護衛の戦闘機も」一部撃墜された
・トラックから塹壕までの10mの間にルーデルに機銃掃射された
・装甲車の車列に合流すれば安全だろうと思ったら、車列の全車両がルーデルによって撃破済みだった
・全赤軍将兵の3/100がルーデル被撃破経験者、しかも急降下爆撃ならどんな兵器も破壊出来るという彼の信念から「強力で頑丈な兵器ほど危ない」
・「そんな奴いるわけがない」といって出撃して行った戦車兵が五年経っても骨の一つも戻ってこない
・「赤軍将兵でなければ襲われるわけがない」と雪原に出て行ったキツネが穴だらけの原型を止めない状態で発見された
・最近流行っているルーデルは「何が何でも出撃」総統に止められても片足が吹っ飛んでも赤軍狩りに出て行くから
・ベルリンモスクワ間の1620kmはルーデルの襲撃にあう確率が150%。一度撃破されて撤退中にまた襲撃される確率が50%の意味
・ルーデル中隊全体における赤軍襲撃による戦車撃破数は一日平均34輌、うち約17輌がルーデル一人のスコア

679 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/03(月) 22:13:00 ID:EXen06/D
>>676
ありがとうございます。今度の休みに探してみるよ

680 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/03(月) 22:14:15 ID:FxmmDq+B
すごく毛色の変わった出展ですね
あ、悪い意味じゃないですよ。


681 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/03(月) 22:18:06 ID:jMuJfdxO
>>678
実話だから困るw

「誰が破壊したか分からない戦車」があまりにも多かったからバレたんだよな>総統に止められても片足が吹っ飛んでも赤軍狩りに出て行く

……この流れはタバサがシモ・ヘイへ召喚か?

682 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/03(月) 22:19:55 ID:N1kV6S64
ルーデン閣下にガンダールヴなんぞ付けたらどうなっちまうんだw

683 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/03(月) 22:20:29 ID:N1kV6S64
ルーデンって誰だよと自己突っ込み&sage忘れスマン

684 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/03(月) 22:20:57 ID:OninqdaB
>>681
そしてシエスタの曾爺さんが坂井三郎か

685 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/03(月) 22:23:26 ID:iCRlbXIw
>>682
かわいそうな7万人…

686 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/03(月) 22:24:09 ID:FTEQlj+1
7万でも無力に感じる相手って、結構おおいわなぁ・・・

687 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/03(月) 22:24:36 ID:S0JbZN/8
戦争は英雄と書いて化け物と読む者を生むよな

688 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/03(月) 22:24:49 ID:hSfSr7AE
>>686
魔法に類する能力を持つ奴を除けばそんなにいないよ

689 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/03(月) 22:27:28 ID:24kWVWzx
>>649
吹いた 小ねたにおいといてほしい


690 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/03(月) 22:31:01 ID:llkELymN
>>646
違う違うそれこそ逆だ。
初出はSFC5の公式ガイドブック。小説はその後。
公式扱いされているのがどちらかは分らんが。

まあ、ここで言い合う内容じゃないな。

691 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/03(月) 22:32:54 ID:a5CkdaiD
シモ・ヘイヘといいヴァシリ・ザイツェフといいスナイパーは孤高のかっこよさがあるよな。


692 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/03(月) 22:33:47 ID:llkELymN
別のスレで出てたんだが、DQ5のスライムナイトって小説の設定がが公式扱いされてたっけ?

693 :692:2007/12/03(月) 22:34:59 ID:llkELymN
っとすまん。自分で言っといてしつこいな。
おとなしくROMってます。

694 :ギガンティックの人 ◆8J9uQZJJKQ :2007/12/03(月) 22:38:01 ID:Jo0iUWOe
久々に来た気がしますな
さて、投下すると言ってしてなかったインターミッション投下行きますよー。
大丈夫でしょうか?

695 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/03(月) 22:40:44 ID:YS0DxABx
ルーデル知らない人にわかりやすいデータを書いておこう。

* 出撃回数2530回
* 戦車519台破壊
* 装甲車・トラック800台以上破壊
* 火砲(100mm口径以上)150門以上破壊
* 装甲列車4両破壊
* 戦艦1隻撃沈(ソ連戦艦マラート)
* 巡洋艦1隻撃沈
* 駆逐艦1隻撃沈
* 上陸用舟艇70隻以上撃沈
* 航空機9機撃墜(戦闘機2、爆撃機5、その他2。9機のうち2機はIl-2であったとする資料もある)

* (被撃墜回数30回)
* (戦闘による負傷5回)
* (賞金10万ルーブル←敵から賞金かけられた)

人類史上最強のパイロットだ。絢爛舞踏が裸足で逃げ出すぞ。

696 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/03(月) 22:48:22 ID:a5CkdaiD
作者より支援要請!
各員、支援体制をとれ!


697 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/03(月) 22:49:24 ID:YS0DxABx
よし、とりあえず隅っこでミルク飲んでるぜ

698 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/03(月) 22:50:22 ID:RlA81Px3
了解!!これより支援体制に入る!!

699 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/03(月) 22:50:51 ID:n+KyjNvg
>>688
太平洋戦争のエースは化け物ぞろいじゃね?
エース部隊でみんな撃墜数がやばかったり。見るんじゃなくて感じるんだとか言い残したり。

まあ、呼び出しても乗り物なければきついけど。

700 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/03(月) 22:54:38 ID:S0JbZN/8
>>699
凄いニュータイプばっかりじゃないか?

701 :名無しさん@お腹いっぱい:2007/12/03(月) 22:56:21 ID:FgRWM8S9
ナチス第三帝国召喚の長編書かないか?

702 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/03(月) 22:58:22 ID:YS0DxABx
>>699
ドイツと撃墜数比べるとざっと5倍前後違う。あっちは100機撃墜がぞろぞろいる。

そもそも欧州戦線と太平洋戦線では規模が10倍以上違う。
バケモノというなら、日本軍のエースは撃墜=戦死という点はあるけれど、洋上で戦う米海軍だって
リスクはかなり高い。どちらも等しくすばらしいエースだけれど、記録では日本はドイツに大差をつけられてる。

ま、一度欧州戦線のデータを見てみるといい。物量の桁が違うから。

スレ違いなので軍事話は自粛。

703 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/03(月) 22:58:53 ID:n+KyjNvg
>>700
sage忘れてた。

みんな戦績をたたき出したときは若いしね、何か持ってるのは間違いないだろうけど。
そもそも軍人だから素でもサイトよりは強いか。

704 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/03(月) 23:03:05 ID:2zK/UTwl
これより支援体制に入ります

705 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/03(月) 23:04:21 ID:QkycvoQs
支援だよもん

706 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/03(月) 23:07:06 ID:K2AaH4Yx
支援

707 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2007/12/03(月) 23:18:10 ID:DVxI8NmH
sien

708 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/03(月) 23:19:15 ID:DVxI8NmH
sien

709 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/03(月) 23:20:40 ID:DVxI8NmH
sage損なった支援

710 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2007/12/03(月) 23:24:18 ID:DVxI8NmH
sien

711 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2007/12/03(月) 23:24:19 ID:DVxI8NmH
sien

712 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/03(月) 23:26:25 ID:6q3Ul/sf
支援多すぎワロタ

713 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/03(月) 23:45:20 ID:YuchqaZv
siren

714 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/03(月) 23:46:18 ID:+41dZxlj
こないなあ。
規制にまきこまれた?それとも急用…まさか寝落ち?

715 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/03(月) 23:49:49 ID:e6lCFMK5
ちょっと総統に出撃停止命令を食らってるんだよ

そのうちこっそり飛び出してくるさ、牛乳飲んでから

716 :ギガンティックの人 ◆8J9uQZJJKQ :2007/12/04(火) 00:12:53 ID:FmuDDn+K
エラーって怖え
ではでは、許可があればいつでも行けます!すいません!

717 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/04(火) 00:21:52 ID:Ufa31XMs
いけーい!支援!

718 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/04(火) 00:21:53 ID:lSCHnlvb
遅ればせながら支援

719 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/04(火) 00:22:51 ID:Zo2C/zzF
つか雑談ネタだと思ってたらガチでルーデル召喚かよwww

さあ来い、支援の準備は整えた

720 :ゼロの機神 ギガンティック・ゼロ Intermission 「空白」:2007/12/04(火) 00:24:10 ID:FmuDDn+K
-ある貴族の邸宅-

その頃、ある貴族の邸宅の内部。
最新部の主人の部屋に当たるそこに、主人はいない。豪奢なカーペットの上には衛兵が倒れ、その倒れた衛兵達の中心には、一人の女性と一騎のギガンティックが立っている。
「『金獅子の宝剣』、確かにいただいた…と」
女性はペンで紙に何かをかくと、そのカーペットの上におく。そして後ろに立つ機体に話しかけた。
「主人が戻る前に、撤収するよ、ユーノワ」
「わかっている。行こうフーケ」
そして一人と一機は部屋を出る。そう。今しがた部屋を出た女性こそ、今世間をにぎわす「土くれのフーケ」その人である。
今夜も貴族の屋敷に忍び込み、家に代々伝わる宝を戴いたのだ。
そしてそれの隣にいたユーノワと呼ばれた機体こそ、かつて東欧ロシアに仕えた、ゼウスの妻と呼ばれ、2体のギガンティックを葬った青の機神、ユーノワヲである。
彼女とユーノワは階段を駆け下り、廊下を突っ走り、脱出する。もうドアを開けるのも面倒で、ユーノワが機銃でドアを吹き飛ばす。
そして階段を再び駆け下りて、メインホールに繋がるドアを蹴破った。
「あ」
そこに、丁度正面のドアを開けて来たのであろう、屋敷の主がいた。見事にフーケは最も出くわしたくない人間と出くわしてしまったのだった。隣には沢山の衛兵もいる。
「これはこれはフーケ。ワシの『金獅子の宝剣』をどうするつもりかな?」
「きまってるじゃないか。戴くんだよ」
「この数を相手にするというのかね?」
ユーノワが、ゆっくりとフーケの前に歩み出る。まるでフーケを守るかのように。衛兵はフーケ達に剣や槍を向け、既に戦闘態勢に入っている。
この数、常識ならば相手は難しいだろう。だがそこはユーノワ、この程度の敵にやられるわけはなかった。
「ほほう。フーケの騎士というわけかね?」
「…フーケ、『百目』を使う。さがって」
「容赦ないねぇ、アンタは…」
こちらを無視した上に、余裕な口を叩くフーケが、貴族の何かに触れたようだ。貴族は懐から杖を取り出し、フーケに向けた。
額には怒りマークが浮かび、明らかに怒っている。それを見たフーケが、「ありゃりゃ」という顔をした。
「あんた、どうなっても知らないよ?」
「…フーケ、生きて帰れると思うなよ。私はこれでも名の知れたメイジ。貴様一人を葬るなど雑作もないことだ」
「あっそう。ユーノワ」
「わかってる」


721 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/04(火) 00:24:35 ID:FtLfObGB
微力ながら支援

722 :ゼロの機神 ギガンティック・ゼロ Intermission 「空白」:2007/12/04(火) 00:25:48 ID:FmuDDn+K
軽く流すフーケと、それに応じるユーノワ。ユーノワはそう言うが早いか、背中のスラスターを展開し、翼のようなパーツを展開した。
翼は上下に分かれ、目のような意匠をあしらった絵が多数に描かれている。そして、ユーノワは先手を打った。
必撃の先手を。

翼にあしらわれた「目」が光った。
「な、何だこの光は…ッ」
「眠るがいい。悪夢に抱かれて、永久の眠りを」
「ふっ、ふざけるなぁああああ!!」
光に目を潰された貴族は、でたらめに杖から魔術を放つ。だが魔術はフーケにもユーノワにもかすりもせず、無駄な魔力の浪費となった。
だが彼は引き続き魔術を連射し、まるで泣きわめく子供のように叫んだ。
「ああああああっ」
だが、魔術にも限界はある。魔力が切れ、杖からは何も放たれなくなった。だがそれでも貴族はでたらめに杖を構え、叫び続ける。
ユーノワの光は周囲の兵士にも作用し、周囲の兵士も貴族の狂気が伝染したかのように、でたらめな行動をとり始めた。
それもそのはず、ユーノワの放つ光は対象者に悪夢を見せ、自滅させる精神兵器。
今頃貴族の頭の中では、まさしく『悪夢のような光景』が展開されていることだろう。やがて貴族はふらりとして、倒れてしまった。周囲の兵士もそれに釣られて、バタバタと倒れていく。
それを見ると、ユーノワは後ろを向いてフーケに話しかけた。
「フーケ、終わった」
「ごくろうさん。じゃ、撤収するよ!」
「了解」
2人は堂々と正門から、貴族の邸宅を脱出した。

-同時刻-

森の中に、ぽっかりと開いた空間。そこに玄武神は立っていた。玄武神の体には無数のナーブケーブルが巻き付き、自己修復を行っている。
(ありえない…あの小娘…)
玄武神の驚きは未だに頭の隅にあった。ナーブケーブルを行使し、玄武神に致命傷を与えた少女。光神へスティアの力を使い、片手間でビームを弾き返した少女。
あれは玄武神を驚愕させるのに十分だった。
「…あり得んッ!」
思わず口に出して叫ぶ。叫びは周囲の木々へと吸い込まれ、森に眠る動物達以外に、それを聞く物はいない。一瞬切り裂かれた夜の静寂は、再び修復された。
玄武神を修復するナーブケーブルの立てる音だけが、空しく森に響く。
ふとそのとき、玄武神の後ろに何かが出現した。
『ヘルメスよ』
「!」


723 :ゼロの機神 ギガンティック・ゼロ Intermission 「空白」:2007/12/04(火) 00:26:40 ID:FmuDDn+K
それは銀の美しい躯体を持つ、一見騎士の鎧を連想させるギガンティックであった。だがその姿はうっすらと透けており、幽体のようにも見える。
玄武神は彼の存在に気付くと、すぐさま膝をつき、臣下の礼をとる。
『オニクスを処分し損ねたようだな』
「は。申し訳ございません」
『次は無いと思えよ』
「承知しました」
『ユーノワがそちらに向かっておる、次は合同で作戦を行え。アルテミスやヘスティアも、この地に生を受けたようだしな。全く、呼んでもいないというのに』
「…宿命という物でしょう」
『それはどういう意味だ、玄武神よ』
「ギガンティックは最後の一騎になるまで殺し合う。それが、前世から課せられた宿命。なら我々が存在する以上、運命が我々の一人勝ちを許すはずがない。
ふたたびあのWWWを再現するために、きっと運命が…また廻り始めたのです」
『…そうかもしれんな。だが、その運命ももうすぐ消滅する』
「そうですね」
『では健闘を祈る。汝の行く手に、光あらんことを』
幽体のそれが消え去る。それが消えた後も、玄武神はしばらく臣下の礼をとっていた。
「…次こそ…仕留めてみせるさ。オニクス!」


ルイズは目を醒ました。そして身を上げた。周囲を見て、ここが自室でないことを確認する。そして、記憶を辿り始めた。
あの玄武神とやらに撃たれた後の、記憶が不鮮明だ。ルイズはすぐに気付く。その場所の記憶が、キレイさっぱり抜け落ちている。
白い宇宙。
オニクスの声。
ナーブケーブル。
部分部分は抜き出せても、それが繋がらない。眼をつむってジグソーパズルのピースを手探りで探している、そんな感覚。だが、その作業をくり返すうちに、ある単語が見つかった。

「カナ」。



724 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/04(火) 00:27:17 ID:wx+PEtsY
ゼロつながりでルイズの召還したのがウィングゼロカスタム…と

725 :ゼロの機神 ギガンティック・ゼロ Intermission 「空白」:2007/12/04(火) 00:28:37 ID:FmuDDn+K
「…誰?」
疑問。
全て終わって、一段落したはずなのに、頭から疑問が抜けなかった。

こんこんっ。
軽快なノックの音が部屋に響いた。
「どうぞ」
ルイズは返事をする。すると、ドアを開けて入ってきたのはとても見覚えのある顔だった。キュルケが、タバサを連れて見舞いにきてくれたのだ。
「あら、元気そうじゃない。これなら見舞いは必要ないかもね」
「元気で悪かったわね」
「あはは、冗談よ冗談。それより、アンタが魔法を使った時は、ビックリしたわよ」
「え?」
今彼女はなんて言った?
「だから、あんとき。極太ビームを撃って、オニクスを助けたじゃない」
「私が?魔法?いつ?」
「…覚えてないの?もしかして」
キュルケは、事態の詳細をルイズに話した。ナーブケーブル、そしてルイズが魔法を使ったことを。
「…というわけ。すごかったわよ?」
ルイズはまだ良くわかっていなかった。
魔法。私が、魔法。
「…ドッキリとかじゃないわよね」
「ないわよ?」
「もしかしてこれってよくできた夢?」
「ならほっぺをつねってみなさい」
「枯れない桜の生み出した幻ってことは?」
「ないわよそんな」
「VR訓練とか?」
「ないない」
「…うそん」
「ほんと」
「………」

しばらくの静寂の後に、ルイズは再びしばらくの眠りについた。驚きのあまり、螺子が外れてしまったのだろう。
「…あらら」
キュルケはすやすやと眠るルイズを見て、困った顔をした。だがすぐに、その顔は神妙な顔に変わる。
「あれは…魔法なんかじゃなかった」
「…『オニクス』と同じ力」
後ろのタバサがそれに同意する。
「ルイズ…あんたにあのとき、何が起こったの?」

次 回 予 告

謎が謎を呼び、
オニクスは主人と相見える。
そして語られるのは、
歴史の闇に葬られた薄幸の少女の人生。

次回、「疑問」 嫉妬か、憤怒か。あるいは。

726 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/04(火) 00:28:51 ID:Ro2giDkC
>>695
・戦後は若い嫁さんをもらった(19じゃなかったっけ?)
・登山が趣味(義足で)
・山頂にアタック中、バディが滑落死するも、自ら遺体を回収、その後登頂(義足で)

ってのも付け加えてくれ。

・・・どんだけバケモンなんだ

727 :ゼロの機神 ギガンティック・ゼロ Intermission 「空白」:2007/12/04(火) 00:29:55 ID:FmuDDn+K
終了です。
ご迷惑をおかけしました。

さて、他のギガンティックも顔を出し始めましたがどうなることやら。

728 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/04(火) 00:31:28 ID:NtL9FN3S
投下乙
作者にどうなることやらって言われても困るわw

729 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/04(火) 00:33:45 ID:GXjfiwCM
乙〜
後の展開は考えてあるんだよね?

730 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/04(火) 00:40:38 ID:+/z+hQPq
星矢を呼びたいが聖衣が壊れたら誰が修理するんだろうな?

731 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/04(火) 00:42:40 ID:F4NONtow
>>730
もういっそムウを呼んじゃえば?あいつ以外には修理できないし。

732 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/04(火) 00:42:43 ID:GQrimqbu
いい加減に軍オタは自重しろ。
雑談自体は構わないが投下に割り込んでまでやるな。

>>727
投下お疲れ〜。
ロボット物はなかなか展開が難しいだろうけどがんばってくれ。

733 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/04(火) 00:43:39 ID:JYKciUnM
>>731
フェニックス呼べばおk

734 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/04(火) 00:43:45 ID:wBtd9Fxo
>>730
聖衣なしでも7万くらい余裕だろ
ぶっちゃけあまり必要ない

735 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/04(火) 00:44:45 ID:n1CvQCLE
>>730
シエスタの先祖を

736 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/04(火) 00:47:25 ID:v6csrGGq
ピスケスのアルバフィカを召喚
キャンサーのマニゴルドでも可
もちろん俺の趣味で言ってます


737 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/04(火) 00:52:52 ID:lo5xUz2e
>>730
脱いで5感つぶせばパワーアップする変態もいるからどうとでもなるよ
まあ聖衣は黄金聖闘士の血での修復前でないと手がつけられなくなりそうだけどな

738 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/04(火) 00:58:01 ID:yImsxoCT
>>736
昔のビスケスとキャンサーはかっこよすぎる。というかアフロと死面がしょぼすぎる。
アルバフィカの話は俺もかなり好きだ。

739 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/04(火) 00:58:28 ID:RO9XIvgU
ユニコーン座の彼辺りならパワーバランス的にも丁度いいんじゃない?

740 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/04(火) 01:01:44 ID:CGUUMeen
彼なら喜んで馬になってくれる・・・・??
まあワルドと渡り合えるか不安だが。

741 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/04(火) 01:02:18 ID:DVltK7fG
>>739
なんて名前だっけ?

742 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/04(火) 01:03:10 ID:xJg23AeJ
邪武だっけか。

天性の下僕体質だからルイズに合いそうだw

743 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/04(火) 01:05:27 ID:lo5xUz2e
でも青銅って考えてみたらルイズより年下なんだよな

744 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/04(火) 01:06:49 ID:eS9XefXw
ハルケギニアなのに「騎士の鎧」って表現は変だよな。


745 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/04(火) 01:10:16 ID:sgODx9KG
竜騎士なら、鎧付けてるからそれかなあ。
(ソース:12巻第一話)

746 :夏休みの使い魔(1/3) ◆iPwmJvtOls :2007/12/04(火) 01:11:39 ID:eVAYbw7r
第二羽投下します。

注:シエスタが別人

747 :夏休みの使い魔(1/3) ◆iPwmJvtOls :2007/12/04(火) 01:12:46 ID:eVAYbw7r
ハルケギニアで最大の人口を誇るガリア王国の首都、リュティス。
先刻までの晴天が嘘であったとでも言うように、闇色に輝く緞帳が天を覆っていた。
市民は唐突な凶事に眉を顰め、信仰深き者は思わず始祖ブリミルへの祈りを奉げて天を仰いだが、
その中でたった一人、歓喜に打ち震えて闇に語りかける者が居た。
気まぐれに召喚の儀式を行い、この闇を召喚した『無能王』ガリア王ジョゼフその人である。
「どうだ、シャルル……一目見てわかるだろう?おれの使い魔は漆黒の闇だ……。
くくく……はははははははははは!闇だ!闇だと!?そうか、そうだったのか、始祖ブリミルよ!
貴様の望み通り、おれはこの世界を手のひらに載せて遊んでやろう!
あらゆる力と欲望を利用して、人の美徳と理想に唾を吐きかけてやる!
心優しいシャルル!お前の言った通り、おれは目覚めたぞ!虚無だ!伝説だ!
お前をこの手にかけた時より心が痛む日まで、おれは世界を慰み者にして、蔑んでやろう!」
ジョゼフの狂態に呼応するかのように、天に広がった闇が凝り、一つの形を成してゆく。
黒い緞帳は取り除かれ、空は本来の蒼を取り戻した。
その代わり……ジョゼフの目の前に、黒い髪、黒い服―――闇色の瞳を纏った少女が姿を現す。
「―――ああ……」
重たげに開いた口が吐いたのは、意外に普通の人間の言語だった。
真冬の雪山のような寒気を漂わすその容貌に満足したのか、ジョゼフは愉悦の色を浮かべて言い放つ。
「さあ!おれと契約しろ、虚無の使い魔よ!おれが創る盤上遊戯に、その闇色の彩を加えるのだ!」
その少女は、余計な手間を取らせたと言わんばかりに憂鬱そうに呟いて、ジョゼフの手を取った。
「わたしは―――観測する。わたしは―――」

「……―――周防―――九曜―――」

748 :夏休みの使い魔(2/3) ◆iPwmJvtOls :2007/12/04(火) 01:13:51 ID:eVAYbw7r
あまり優しくない『ご主人様』と契約し、固い床の寝床でどうにかこうにか休息を取った俺は、
ご主人様に依頼された任務を遂行すべく朝の洗い場に向かっているわけだが。
一度ぐらいはその手の商売やコスプレではない、メイドとしての業務を忠実にこなすメイドさんを観察してみたい。
俺がそんな期待を胸に洗い場に向かったとしても、誰がそれを責められるというのだろう。
本物のメイドさんが見たいなどと口に出すほどアホではないが、
若くて可愛い女の子がメイド服を着て、かいがいしく業務をこなすさまに心をときめかせるのは、
健全な男子高校生としては至極全うな願望というものではないだろうか。
いや、どうせお年を召したベテランメイドさんが井戸端会議に耽っているのが関の山だ、
などと判った様なことを言ってしまうのは簡単だ。
だが、その中にたった一人でもいい、オアシスとでも言うべき見目麗しい御方がいらっしゃれば。
自称貴族のご主人様の理不尽な仕打ちに耐え、この場所で生き抜く希望を得られるというものだと俺は思う。
これが……この事態がいつものようにハルヒが絡んだ超常現象というべきものであるのならば、
せめてそれぐらいの役得はあってもいいんじゃないか?SOS団員として。

そんなことを考えながら洗い場に向かった俺は、目に飛び込んできた光景に心奪われる事になる。
そこで洗い物に精を出し、たわいもない会話に夢中になっているメイドさん全員が、俺と同年代の少女達だったのだ。
この先の生活に何の根拠もない希望を抱きつつ、俺はそのうちの一人に声を掛ける。
何の気なしに声を掛けただけのその行動が、その後の運命を大きく左右することになろうとは。
いやはや全くもって人生とは実に面白いというか不思議なものである。
「すいません」
「はい、なんでしょうか……」
見覚えのあるその顔を見て、俺は驚き―――あの超能力者が赤い玉になる所を初めて見た時ぐらいには驚き、
思わず相手を指差して「お……お前……」などと意味不明瞭な単語を呟いてしまう。
相手もそれは同じようで、つい先ほどまで会話していた相手を完全に放置して、この俺を驚愕の眼差しで見つめ返す。
たっぷり数分間の静寂の後、俺達はようやくのことで言葉をひねり出して、凍りついた場をほんの少し前に進めた。

「…………キョン」
「……佐々木か?」

俺は思わず佐々木の顔を穴の開くほど見つめる。こいつは何の冗談だ?
一度言葉を発したきり、もう一度沈黙を続ける俺達を不可解に思ったのか、
佐々木と会話していたメイドさんが不思議そうに俺たちを覗き込んで言った。
「どうしたの?」
「ああ、ローラ。この人はキョン。私の……親友なの」
「ふぅん?」
ローラとかいうメイドさんは、疑問符を浮かべたままたっぷりと俺たちを見比べ、意味深に呟く。
「ふぅん?シエスタの親友、ねぇ……」
どうやら例に漏れず、俺と佐々木の何かを誤解してしまったようだ。
俺達を見る奴見る奴、揃いも揃って妙な誤解をしてしまうのはなぜだろうか。
「そう、親友。使い魔召喚の儀式で人が召喚された、という話は聞いたけど、君だったのか」
「どうしてお前がこんな所に居るんだ?それに何だ、シエスタ?」
「いや、それは正に僕のほうでも聞きたいことなんだが……僕にも何が何だかわからない。
僕の主観としては数日前突然この世界に『居た』という事実しか認識できないんだけど、
この世界で産まれ育った記憶も頑として存在する。まるで、何かに上書きされたような……」
「ちょっと待て。この世界と言ったか?」
「ああ、そうだね。この場所には月が二つ存在する。少なくとも僕らの生きていた場所ではありえない」
俺が何となく感じ、それでいて認めたくなかったことをズバリと言い当てられた。
そうだ。今の俺にとっては、こんな事態も十分起こりうる可能性ではないか。

749 :夏休みの使い魔(3/3) ◆iPwmJvtOls :2007/12/04(火) 01:16:03 ID:eVAYbw7r
「この僕の『記憶』によると……佐々木武雄、僕の曽祖父にあたる人がこの世界にやってきて、
結局帰る方法を見つけられずにこの世界に定住したということになっているらしい。
僕の記憶が、そして気が確かならば、僕らの世界でも曽祖父の墓碑銘を確認した覚えがある。なのに……」
曽祖父がこの世界で死んだ記憶もあるし、俺達の世界で死んでいた記憶もあるってことか?
「そう。だから奇妙なんだ。二つの世界の記憶が矛盾しながら、しかし整然と整理されて頭の中にある……
君にはないかな?矛盾しながらも確固とした記憶、自分以外の記憶があるような奇妙な感覚が……」
いや、俺には特にそんな変わったような感覚はないが。
「召喚……その特殊な状況下なら……上書きでなくすり替え?……」
俺の答えに何を見出したのか、佐々木は腕を組んでなにやら呟き、
自らの思考の世界へと心を漂わせた。
どうやら調子を取り戻した佐々木に微かな安堵を感じた俺は、
興味深そうに俺達の話を聞いていたローラとかいうメイドに視線を遊ばせる。
彼女は仕方ないとばかりに肩をすくめ、佐々木を指して俺に促した。
俺は話をまとめ、当初の目的を果たすべく佐々木との交渉に移ることにする。
「とりあえずは、だ。佐々木、協力して欲しい事があるんだが」
「ああ、なんだい?」
「あわれな使い魔である俺はだな、ご主人様に洗濯などを仰せつかってきたわけなんだが……」
「男子高校生という身分の君にとってはとんだ試練になるだろうね。いいよ、ついでだ。洗ってあげよう」
俺はうっかり洗濯物をそのまま無造作に見せてしまった。
間の悪い事に一迅の風が吹き、表面を覆っていたマントの裏から威勢よく下着がこんにちわしてしまう。
瞬間、辺りに気まずい空気が流れた。
「あ、ああいや、これはあれだ……」
「くっくっ、僕は言い訳も聞かずに親友の性癖を否定する程狭量ではないつもりだよ?それをどうするつもりだい?」
だからこれは洗濯物として押し付けられただけであって、俺の性癖がどうという話とは全く関係がない。
そう弁解する俺を至極愉快そうに俯瞰した後、佐々木はふっと気を抜いて言った。
「何、冗談さ。貴族という人種の中には、使用人を人間として見ない傾向のある者が存在する事は知っているからね。
……あのルイズという女の子はそれ程ひどいものだとも思えなかったが、見方を変える必要があるのかな?」
まあ、俺も正直そんなに性質の悪い奴にも見えなかったが、俺達の世界とは違う、
見渡す限りの階級社会にどっぷり漬かって育ってきたというのなら仕方ない面もあるのだろう。
それは俺達の世界にも存在する社会の宿唖というもので、全てを個人の責任に帰してしまうのは酷というものだからな。
そんな言葉を吐いた俺に、佐々木はほんの少し驚きを露にする。
「おや、見違えたよ。君はもう少し何というか……いや、少しは進化しているんだねと賞賛の言葉でも贈るべきかな」
「男子三日会わざれば剋目して見よ、とでも返したらいいか?まあ、短い間にも色々あったって事だな」
そう返した俺を、何故か佐々木は物珍しそうに見て、「君、本当にキョンかい?」などと無礼千万な感想を述べる。
失礼な奴め。いかに俺とはいえ、小難しい理屈が専売特許のニヤケ面や、対人能力に乏しい宇宙人に対して
それこそ毎日乏しい俺のボキャブラリーから言葉をひねり出し、なおかつ特殊な人達に大人気の神様や、
部室に舞い降りた天使(エンジェル)に悪い印象を与えないようにしなければならない、
場合によっては世界が大変な事になるなどというハレ晴レユカイな日常に飛び込むことになれば変わらざるをえんさ。
「へえ、何だか楽しそうだね」
お前こそどうなんだ、と問うまでもなく、佐々木は何がしかの羨望のようなものを俺に浮かべ、そして、遠い空を見た。
「……正直、途方にくれていた所なんだ。始めて会った『異世界人』が君でいてくれて良かった、キョン」
「ああ、そうだな。一人じゃないってのはそれだけで心強いもんだ」
この久しぶりに再会した親友に、北高で俺の陥った奇妙奇天烈な部活の事を話すべきか。話すとして、どう話したらいいのか。
「キョン?」
「ああ、悪い……」
そんな内心の迷いをひとまず保留して、俺は渡しそびれていた洗濯物を佐々木に手渡した。
佐々木が順調に洗濯をこなす様を見学し、洗濯という技能の修得に思考を向ける。

大幅に時間を超過し、ご主人様が寝坊したことに気づくのは、昼近くになってからのことであった。

750 :夏休みの使い魔 ◆iPwmJvtOls :2007/12/04(火) 01:16:52 ID:eVAYbw7r
とうかおわりです

751 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/04(火) 01:17:14 ID:+gvAm3YC
>>661,672,695
というか、ガンパレードマーチ世界でも絢爛舞踏認定されてる御仁だしな。

過去に存在した絢爛舞踏5名のうち、2名はドイツ人ってわかってるから。
(ルーデルと、おそらくはハルトマン)


752 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/04(火) 01:21:10 ID:+gvAm3YC
投下乙。タイミング読まずに申し訳なし

753 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/04(火) 01:22:29 ID:ihp7FznN
>>750
乙華麗
佐々木と九曜か………
だとしたら橘さんの登場まで期待せざるを得ない。
続き楽しみにしてますよ。

754 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/04(火) 01:24:13 ID:WnEVwKlb
GJ
そういえば『海軍少尉佐々木武雄異界ニ眠ル』だったな。
うん、●が乗り移っている相手が目に見えるようだね?

755 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/04(火) 01:25:59 ID:eJZrq1tu
>>754
アッズーロ↓w

756 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/04(火) 03:05:26 ID:IUzBmEqv
>>751
ドイツの軍人は異常、リアル絢爛舞踏が何人いるやら

ゲルハルト・バルクホルン→史上たった二人の300機撃墜
ミハエル・ヴィットマン→そうらしいな。では、教育してやるか
レミ・シュライネン→化け物だらけのドイツ軍最強の化け物


757 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/04(火) 03:12:08 ID:8wHYyspr
いい加減軍ネタは余所でやれ
おまいらの行動で確実に軍オタの評価は下がってるから

758 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/04(火) 03:21:02 ID:xRbjDMj+
ネタ自体は面白いから避難所の元ネタ質問スレでやってほしいな

ttp://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/9616/1186029649/l50

759 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/04(火) 07:23:53 ID:Dr1hA5Ts
ルイズがピンプクを召喚しました。タケシの娘みたいな戦闘力3Aのやつ。
あとは、ピンク繋がりでアニメ版のプリン。彼女は今何処に居るのだろう………

>>730
シエスタの祖父母はアンドロメダ座とカメレオン座で決まりだな。

760 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/04(火) 07:34:54 ID:e0xJP8Pi
>>757
それこそが、水戸ナチオクオリティー

761 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/04(火) 07:41:38 ID:sU1JT+jB
ふと思ったんだが、これまで召喚された中で雷使うキャラって何人いる?
ワルドを消し炭にして『これが本物の雷だ』とか言っちゃうような奴喚ばれないかな

762 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/04(火) 07:49:33 ID:Zo2C/zzF
御坂さんでも呼ぼうか
ツンデレ同士だし相性は知らんが

どっちかと言うと雷よりレールガンなのが難点だが

763 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/04(火) 08:04:29 ID:Dr1hA5Ts
イーブイ八匹召喚ネタ、一匹はサンダースになると思うがサンダースは特性からして
ワルドの天敵になりうるうえに雷攻撃もタイプ一致で強いぞ。

そういやあのイーブイはみんな♀なのかなぁ。リコは男の子の名前だから♂でもいいけど。


764 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/04(火) 08:25:45 ID:IdMP9Vwd
有名どころでは「るいずととら」のとら(長飛丸)がいるな
ラムを呼んだらどうなるのやら

765 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/04(火) 08:50:06 ID:v6csrGGq
呼ばれてる中では長谷川虎蔵も雷が使えるな
呼んでみたいのは……
ガッシュ
天野銀次
ネイ
小説版辺りに準拠してドラクエからディン系使える奴ら(勇者とか)
非殺傷設定で消し炭を作れるか怪しいがフェイト・テスタロッサ・ハラオウン
姉妹スレだが天候を操作するスタンド「ウェザー・リポート」のウェザー・リポート

766 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/04(火) 08:53:54 ID:Y3aMKMWl
零の雷の殷雷は雷気を操れるが。雷落すとかはできんか。

767 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/04(火) 09:09:06 ID:wZzUjGR3
ゼロの雷帝に期待。
しかしゼオンはクリア戦までに魔界に帰れないと。

768 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/04(火) 09:13:58 ID:TxWgi0/s
>>761
アメコミの雷神ソーとか。
姑息な裏切りとか大嫌いっぽい人だから、ワルドはムジョルニアハンマーでぺしゃんこだな。

769 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/04(火) 09:19:10 ID:sU1JT+jB
GODエネル召喚とかどうだろう一瞬思ったが、
天敵のゴム人間が居ないとホントに神になりそうだから困る。
ttp://jp.youtube.com/watch?v=GXZImZ7IZso&feature=related
・・・でも大悪党のクロコダイルだろうと、それなりに受け入れてくれるハルケギニアなら、
ヘタレ属性持ちで、扉絵連載後の多少丸くなってるっぽい彼はマッチしそうな気もするんだ。

770 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/04(火) 09:27:09 ID:kQYsXIdo
封神演義だと
申公豹が使えるな>雷

確か、インの国全土を覆える雷を出せるから
余裕でトリステインからアルビオンまで届きそうだ

771 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/04(火) 10:15:38 ID:PtVgg88R
GO!イエローサンダー♪

772 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/04(火) 10:17:45 ID:Z0YqIwa9
柴田亜美作品だとパプワくんのリキッド、自由人HEROのタイガーあたりか。どちらも強いしほのぼのもいけるね。

773 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/04(火) 10:39:08 ID:8veXh3K8
マジイエロー・小津翼。
グレートマジンガー&剣鉄也。
仮面ライダーストロンガー・城茂。

あとバオーも雷使えます。

774 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/04(火) 10:47:24 ID:MTRXaAvo
メジャーすぎるがピカチュウとかラムちゃんとか

775 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/04(火) 10:50:36 ID:4zRL2oIu
雷かあ……ネギまのネギとか、ナギ辺りも雷っていうか風系統得意だったようなネギの最大魔法が確か雷の暴風だし

ただ、世界観とか、魔法観の相性が悪い気がする

776 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/04(火) 10:55:11 ID:kcBa29Ne
2階の妖怪王女のライも電撃だすな。かなりマイナーだが。

777 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/04(火) 10:55:58 ID:ZOx22jCA
いっそのことワルドを喚べばいいんじゃないか?
スクウェアメイジにガンダールヴの能力プラスってのは
結構凶悪だと思うぞ

778 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/04(火) 11:01:40 ID:v6csrGGq
>>775
魔法の矢(雷)
雷の斧
白き雷
雷の暴風
ネギが使える雷はこの辺りか?
魔法の矢の光と風も使えるし剣を執る戦友で分身も作れる
大体得意属性が風だ
中国拳法もこなすしさりげなく魔法銃で射撃も出来る
ワルドと戦わせるのは面白いかもな

779 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/04(火) 11:01:41 ID:V8cepjNT
需要は少なそうだがな

780 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/04(火) 11:11:31 ID:4upe1SPO
雷ならエピGのアイオリアとコイオス
どっちも強すぎるけどな

781 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/04(火) 11:15:44 ID:yY9LtYdk
>>761
マイナーネタだが魂狩のソウルテイカー、クラッシャー系とか

782 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/04(火) 11:19:25 ID:SnqqHSo3
>>695
ちょwこいつ本当に実在した人間なのかよ?

783 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/04(火) 11:44:52 ID:Zo2C/zzF
>>778
なんとワルドにぶつけたくなるスペック…

784 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/04(火) 11:47:25 ID:eF7imQOr
>>782
実在も実在、戦後もかわいいお嫁さんをもらってバリバリです。

785 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/04(火) 11:57:32 ID:F2ynkp4g
雷と聞くとダイ大のダイが思い浮かぶが・・・。ライデインとかストラッシュとか。

更新再開せんもんかな・・・。

786 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/04(火) 12:20:10 ID:cMU+UXkX
シスの暗黒卿もフォース・ライトニング使えるな

787 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/04(火) 12:27:39 ID:cM4usM8o
なぜ、シエル・メサイア(東京アングラ)が出ていない…

ルイズにリボン預けるとかできるのに

788 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/04(火) 12:59:52 ID:v6csrGGq
>>783
時期次第でかつ距離の設定をどうにかすれば従者召喚で魔法無効体質(しかも自分で無効化するかどうか選べる)で気と魔力の合成が出来る女子中学生を呼べる
あと三分以内(だっけ?)ならどんな傷でも治せるお嬢様とか剣一本で魔法に近い現象を引き起こす流派の使い手でしかも自在に空を飛ぶ鳥族とのハーフとか。

789 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/04(火) 13:23:05 ID:HbUv0ln3
フェイトちゃんは行かせないの

790 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/04(火) 13:39:01 ID:eS9XefXw
「光速」の異名を持ち重力を自在に操る高貴なる女性騎士を召喚。


791 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/04(火) 13:40:17 ID:eS9XefXw
梗塞の持病を持ち重力を自在に操る更年期の女性騎士。

792 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/04(火) 14:06:39 ID:WnEVwKlb
>>709
でもエリオならくれてやるの

793 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/04(火) 14:18:24 ID:dic1tx+Z
二階堂紅丸とか荒れ狂う雷のシェルミーとかも雷撃使いだな。
あと、サイキックフォースのマイトとか、ヴァンパイアシリーズのビクトルとかもそうだな。

794 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/04(火) 14:21:58 ID:97JSHISN
初めての投下……してもいい?

795 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/04(火) 14:25:01 ID:97JSHISN
あと五分後に投下しようと思います。

796 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/04(火) 14:30:59 ID:D4sHMppo
支援

797 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/04(火) 14:32:26 ID:97JSHISN
――これはまだ、自らの運命に気づかぬ、一人の女の物語。


 トリスティン魔法学院の中庭にて行われた春の召喚儀式。生徒達は抜けるような青空の下、各々が召喚したすばらしい使い魔達と親睦を深めていた。
 その傍らで、両手両膝を大地につけてガックリ項垂れる少女が一人。名をルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールという。
 ふわふわした桃色の髪がトレードマークの小柄な女の子だ。
 他の生徒達が召喚したモグラやサラマンダーなどの使い魔と戯れている中で、彼女だけは何も相手にせず、ただ一人でうつむいていた。
 そんなルイズを心配げに見下ろしながらそばに歩み寄る一人の男性。年若い生徒達の中で、彼だけは歳経た深いしわを顔にこさえている。
「ミス・ヴァリエール。元気を出せと言うのも無茶かもしれないけれど、そろそろ顔を上げなさい。“それ”がなんであれ、君はサモン・サーヴァントに成功したんだ」
「……コルベール……先生」
 自分の小さな肩にそっと乗せられた手の感触に気づいて、ルイズはコルベールに顔を向けた。瞳に溜まった涙のせいで、視界はぐにゃぐにゃに歪んで見えた。
 まるで氾濫を起こす寸前の河のようだ。それでも涙をこぼさないのがヴァリエールらしいと思いながら、コルベールはその場にしゃがみこんでルイズの側に落ちていた"それ”を拾い上げると、そっと彼女の手に握らせる。
「変わった金属で出来た物だ。もしかしたら何かのマジックアイテムかもしれない」
 マジックアイテムと聞いて、ちょっとだけルイズの瞳に光が戻った。
「とにかく、"それ”が君の元に召喚されたのはきっと意味のあることなんだ。大事に持っていなさい」
 ルイズは手の中にある“それ”をじっと見つめた。

 綺麗だと思う。それは宝石で出来たわけでもなければ趣向を凝らしたデザインをしているわけでもない。
 けれど、その螺旋を描いた形はなぜかルイズの目をつかんで離さなかった。


798 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/04(火) 14:33:08 ID:97JSHISN



 ゼロのドリル 前編 私を一体誰だと思っているの!



 召喚した"それ”に契約の儀式を行う。金属の塊にキスをするルイズを見た他の生徒達はそろって爆笑して彼女を罵った。
 普段なら意趣晴らしで罵り返す所だが、今のルイズにはそれをするだけの気力は無い。悔しくてかみ切りそうなほど唇を噛みしめる。
 自分以外の生徒達の傍らについて彼等に従う使い魔達。それを見ていると、自分の隣りに何も居ないのがたまらなく恥ずかしかったのだ。
 悔しくて"それ”を握りしめる。ルイズを見て笑う者と、誰にも目線を合わせずに悔しがるルイズ。
 どちらも目をやらない中で、“それ”がうっすらと緑色に発光していたことに気づいた者はいなかった。

 ルイズが召喚した金属の塊は、名前をドリルと言う。
 契約の儀式が終わった後、刻まれたルーンについて調べていたコルベールからルイズはそう聞かされた。
「挿絵を見つけたんだよ! かつて始祖ブリミナルが召喚した使い魔の一人、ガンダルーヴが愛用していた槍とそっくりだ。いや、これは凄い発見だ!」
 これ槍ッスかこれ!? とルイズが驚いているのにも気づかずに、コルベールは一人ではしゃいでいた。
 たしかに棒の先端に付ければ槍として使えなくもない気がするけれど……どうせならガンダルーヴの方が来れば良かったのに。
 ヒモを通して首からぶら下げているドリルを指先で弄びながら、そんな事を愚痴るルイズ。



799 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/04(火) 14:33:40 ID:97JSHISN

 召喚の儀式から数週間後、土くれのフーケと名乗る盗賊がトリステイン魔法学院の宝物庫を襲撃して「カオガミ様の象」を奪うという事件が起こる。
 学院長であるオールド・オスマンはカオガミ様の象が持ち去られたことに激しく狼狽した。
 オスマンの話によると、カオガミ様の象とは一見すると単なる鉄で出来た人形だが、その正体は始祖ブリミナルの時代から存在する最強のゴーレムの一つであるという。
 ブリミナルが作ったとされるそれは歴史的価値ならば始祖の祈祷書なみだ。かつて多くの者がこのゴーレムを動かそうとしたけれど、今まで誰一人として動かすことが出来なかったという。
 けれど、フーケほどのゴーレム使いならば、あるいはカオガミ様の動かし方について何か心当たりがあるのかもしれない。
 それを危惧した学院長オールド・オスマンは至急の追撃部隊を編成しようとするが教師は誰も参加しようとしなかった。
 そんな中、たまたまフーケが宝物庫を遅う場面に居合わせたルイズと、ルイズの仇敵・キュルケ。そして無口なメガネ少女、タバサ。
 この三人が追撃部隊に立候補した。
 やる気のない奴よりやる気のある連中。……ということで、オスマンは危険を承知でこの三人をフーケ追撃のメンバーに選ぶ。
 情報を入手してきたオスマンの秘書、ミス・ロングビルとともにフーケを追うことを彼女たちに命じた。

 ミス・ロングビルの情報を元にたどり着いたのは森の中にたたずむ一軒の小屋だった。どうやらここが、フーケの隠れ家らしい。
 中を見ると灰色の小さなゴーレムの顔が一つ、小屋の中央に鎮座しているだけだった。一目で分かった。これがカオガミ様の象であると。
 顔から直接小さな手足が生えた姿を見ていると、とても学院長が恐れるほどの強力なゴーレムとは思えない。
 辺りにフーケの姿も見えないことから「拍子抜けね」とキュルケが気を抜いた瞬間、ドシンと地響きが小屋を襲った。
 驚いてキュルケとタバサが小屋の外に出てみると、そこには身の丈三十メイルを超える、巨大なゴーレムが出現していた。
「出たわね土くれ!」
 叫んで、キュルケはゴーレムに向かってファイアーボールを唱える。しかし分厚いゴーレムの身体は炎で貫くことができない。
 巨大な手足を振りまわして、ゴーレムはキュルケを狙う。相手は恐ろしく巨大で、踏みつぶされただけで終わりだ。
 地上戦は不利と判断したタバサは自らの使い魔である風竜、シルフィードの背にキュルケと一緒に飛び乗ると天高く舞い上がった。
 いちいちゴーレムなんか相手にしてられない。術者であるフーケを直接叩くことにしたのだ……と、舞い上がった所でキュルケは先ほどからルイズの姿が見えないことに気づいた。
「小屋の中」
 めんどくさそうにルイズを探すキュルケに、タバサは小屋の方を指し示す。
 なんだ、小屋の中に隠れてたのか……キュルケは無意識に息をついていた。



800 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/04(火) 14:35:06 ID:97JSHISN

 キュルケとタバサが小屋の外に出て行ったとき。
 うっすらと、カオガミ様のゴーレムの両目が光っていることにルイズは気づいた。共鳴するように、自分のドリルも緑色に光っていた。
 それから後のことを、ルイズは良く覚えていない。二人が小屋を飛び出したことにも、巨大なゴーレムが起こす地震にも、キュルケのファイアーボールにも気づかなかった。
 何かにひかれるようにカオガミ様の顔に触れて、するとおでこより上の部分がいきなり開いて、中から操縦席のような物が現れた。
 乗り込んで、両壁から突き出た操縦桿を握ってみる。妙に手になじむ。
 目線を前にやると、小さくて丸い穴があった。穴の奥からは、ルイズのドリルと同じ、緑色の光が輝いている。
 なぜかそれを見て、ルイズは分かった。胸元にぶら下げたドリルは、こう使う物だと。

 ルイズは自分のドリルをカオガミ様の穴にねじ込んだ。

 緑色の極光がカオガミ様から放たれて、灰色の顔が深紅と白のカラーリングに入れ替わる。
 ルイズは操縦桿を強く握りしめる。
 ――――行ける!!

 カオガミ様は緑色の流星となって小屋から飛び出すと、鋭い弧を描いて一直線にフーケのゴーレムに突っ込んだ。
 カオガミ様の顔より下からはルイズのドリルより遙かに巨大なドリルが出現している。
 ちょうどゴーレムの顔があった部分に刺さると、ルイズは操縦桿を力一杯握りしめた。ルイズの小さな身体から緑色の光があふれ出て、操縦席の目の前にあるドリルに螺旋を描きながら吸い込まれてゆく。
 光を吸収したカオガミ様はその光を自分のドリルの先端から放出し、フーケのゴーレムの中に出した。
「あんな凄い量を中に出すなんて」
「溢れそう」
 すさまじい光の量に驚くキュルケとタバサ。
 フーケのゴーレムは緑色の光に包まれると、ずんぐりむっくりした姿からスマートな人の形へと変貌する。
 それを、その様子を見ていたミス・ロングビルは唖然としていた。
 岩で出来ているせいでゴツゴツしていた表面も、まるで大理石のようにツルツルになり、ゴーレムというより芸術家が作った彫刻のような姿に変わった。
 美しい女性の姿を象ったようなゴーレムが、そこに誕生した。
 ルイズの願望か、胸には撓わに実った果実が二つ。一流の彫刻家だってこんな美しい女性の象は彫れないだろう。見ただけでそう思わせる姿であった。



801 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/04(火) 14:36:06 ID:97JSHISN

「だ、大丈夫ですか? ミス・ヴァリエール!」
 操縦席の中から外の景色を眺めていたルイズにそんな声が届く。三十メイル以上のゴーレムの足下を見下ろすと、キュルケとタバサ。そしてミス・ロングビルがいた。
 降りようと思って自分はフライもレビテーションも使えない事に気づく。そして今、自分が居るのは巨大なゴーレムの頭の中だ。
 どうやって降りようか悩んでいると、なにやら下から騒がしい声が聞こえ始めた。
 何事かと目を向けると、キュルケがミス・ロングビルに向かってファイアーボールを唱えている所だった。
 驚いてキュルケを静止させようとゴーレムの手を動かすと、すかさずタバサが操縦席のすぐ側まで風龍に乗ってやって来て、ロングビルの正体がフーケであることを伝えてきた。
 うっそーと驚いてロングビルを見ると、彼女は今まで学院の中では見せたことのない、妖艶な笑みを浮かべてすぐさまもう一体、巨大なゴーレムを作り出した。そのゴーレムに乗ってルイズ達から距離を取ると、続けて土の呪文を唱え巨大な岩で出来たドームを作り上げる。
 ドームはルイズのゴーレムごと三人を完全に覆って真っ暗闇の中に三人を閉じこめた。タバサの風も、キュルケの炎も、ゴーレムの拳も、そのドームの壁を破ることが出来なかった。
 三連続で大がかりな呪文を唱えたフーケは心身ともに疲労困憊であったが、なんとか三人を閉じこめたことに一息ついていた。あとはカオガミ様を奪う方法を考えるだけだ。

 閉じこめられたキュルケとタバサは持てる全ての呪文を使ってみたが壁を壊すには至らなかった。
 肩で息をつくキュルケとタバサ。
 その傍らで、ルイズは今も執拗にゴーレムを操って、その拳を壁にぶつけ続けている。
 しかし何度も打ち続けたせいで、逆にゴーレムの腕が砕け始めていた。よく見れば、ゴーレムの身体から出ていた緑色の光も消えかけている。
「無理よルイズ。力押しじゃこの壁は壊せそうもないわ」
「固定化に似た魔法がかけられている。物理的な方法で破壊するのは至難」
 それでもルイズは、砕けた腕をさらに壁にぶつける。



802 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/04(火) 14:36:51 ID:97JSHISN

「うっさいツェルプストー! 私を! 私をぉ!! 一体、誰だと思ってるの!!!」

 魔法を使えなかった。
 貴族の家に生まれながら、ヴァリエールに生まれながら、ルイズは魔法を使うことが出来なかった。
 それでもあきらめずにここまで来た。
 相変わらず魔法は使えないけれど、似たような真似は出来た。今、自分はゴーレムを動かしている。
 なら、あきらめなればきっと――いつか本当の魔法を――――。
 だから! こんな所で!!

「ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールはこんな所でっ! 行く道引いてらんないのよ、バカーーーー!!!」

 ルイズの叫びに呼応するように、操縦席の前面に螺旋状のメーターが出現。メーターは一気にMAXまで高まると、同時にゴーレムも再び緑色の極光に包まれる。
 砕け散ったはずの両腕が再生。さらに腕の先端からドリルが飛び出す。
 空気を切り裂きながら高速で回転するドリル。ルイズはそれを目の前の壁に思いっきりぶち込んだ!
 あれほど硬かった壁がまるで砂糖菓子のように、粉々に吹き飛ぶ。
 壊れた壁から光が差し込む。抜けるように青い青い空が、壁を壊したルイズの目の前に広がっていた。

 壁が破壊されたことに気づいたフーケは一目散にその場から逃げ出した。もう、自分には連中を相手にする魔力が残っていないからだ。
「たかが学生にここまで……。この借りは必ず返すわよ、お嬢ちゃん達」
 森の陰から闇へ、フーケはその姿を消して行った。


 次回 中編 あばよ、デル公! 

 近日公開…………するかどうかはわからない

803 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/04(火) 14:38:45 ID:97JSHISN
投下終了です。

初めてだったから緊張したよ。
マナー違反とかしてなかったかな?

804 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/04(火) 14:41:54 ID:D4sHMppo
少し、誤字だと思うところがあったので、
注意しましょう。

805 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/04(火) 14:55:01 ID:97JSHISN
>>804
まじッスか……orz
ちなみにどこら辺りでしょうか?
後学のために教えていただけると助かります

806 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/04(火) 15:01:14 ID:NlfiXrfP
次回デルフリンガー涙目wwww

807 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/04(火) 15:05:46 ID:Zo2C/zzF
初めてなのに…濃いネタ使う気マンマンだなぁ

ヒント:ガンダールヴ

808 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/04(火) 15:09:45 ID:97JSHISN
>>807
なんてことだ……
ずっとガンダルーヴって読んでいたよ……orz

シュミレーションとシミュレーションなみの間違いだったと信じてる。
次から気をつけます

809 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/04(火) 15:20:06 ID:n1CvQCLE
「風龍」も誤字の範囲かと思ったけどなんかどうでもいい感じだな

810 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/04(火) 15:27:56 ID:yY9LtYdk
今更だが雷と言えば某龍神導師とか騎士ゼロガンダムとか……


811 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/04(火) 15:44:24 ID:F6cQWLxw
始祖ブリミナル?

812 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/04(火) 15:48:59 ID:97JSHISN
原作読んでwikiも見ながら書いたのに……orz

最初からこうだと頭に入れたまま読んでると
いくら推敲しても気づかないのかもしれない……ちょっと吊ってきます

813 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/04(火) 15:50:30 ID:dic1tx+Z
>始祖ブリミナル
てっきりそういう設定になってるのかと思って突っ込むに突っ込めなかったんだ…

814 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/04(火) 16:02:24 ID:cM4usM8o
雷ネタですっかり忘れてたが
エリオ(なのはStS)が来てもおもろいなぁ。
保護直後の黒エリオだともっとうれしい

815 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/04(火) 16:18:06 ID:+a/8rhhe
>>803
こういった場では文章の最初に一マス空けるってのはしない事が多いよ
それと、力を入れたいシーンと、状況説明のみでいーやーってシーンの描写量のメリハリつけたらどうかな?
力入れるシーンで会話とか増やすとゼロ魔っぽい雰囲気出やすいと思われ

全く同じネタを考えた事のある身として、応援してるガンバレ

816 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/04(火) 16:41:57 ID:jEzdUMul
>こういった場では文章の最初に一マス空けるってのはしない事が多いよ
多くは無いだろ多くは
個人個人で違うだけで何が多数派とかそんなものじゃあない

817 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/04(火) 17:00:11 ID:8veXh3K8
槍騎士見習いエリオやネギ先生みたいに年下で有能で性格もいい子を呼んだりしたらルイズおちんこじゃいそう。
まとめWikiのネギは杖貰った直後みたいだからまだお姉さんぶって行動できそうだけど。

818 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/04(火) 17:06:32 ID:vLzH6QIs
2分後に投下します。

819 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/04(火) 17:08:20 ID:ga7itzRB
支援

820 :ゼロの使い魔ももえサイズ−7 ◆m9.upBLdeg :2007/12/04(火) 17:08:52 ID:vLzH6QIs
ルイズが落とし穴に落ちていって消えてしまったのをまるで何事も無かったかのように行動するももえ達。
キュルケはこの状況に戸惑っていたが、タバサはこの場所がすっかり気に入ってどうでもよくなったらしく本を広げて完全にくつろぎ始めた。
「そうだ、二人ともこのままごはん食べていかない?」
ももえがキュルケ達にそう声をかけた瞬間、客間の扉が開いておぼんに料理を載せたメイが現れた。
「…どうぞ…。」
出された料理はだしがはいったどんぶりの上に麺と天かすとナルトとネギが乗ったもの。つまり…
「うどん?」
「そう、うちらの世界では有名な食べ物なんだよ。」
そう言って、ももえは慣れた手つきで箸を口で割った。
キュルケは初めて日本料理を目にした外国人のように目をぱちくりとさせている。
ちゅるるん
キュルケもももえのを見よう見まねでうどんを食べてみる。
すると、口の中にスープに似た温かみと、だし汁の香りがいっぱいに広がった。
「おいしい! ねえ、これおいしいわよねタバサ?」
一方、初めてとは思えないほど箸を器用に操ってうどんを食しているタバサは、顔を上げて一言
「サマンサタバサ」
と言った。
「え、ちょっと待って? 今の何?」
タバサは戸惑いまくるキュルケをよそに、またうどんを食す作業に戻った。
『裏設定から解放されたタバサは、もはやタバサでしかないのだ!』
部屋の中はうどんの啜る音と湯気で満ち満ちていた。デス子はふと顔を上げて水を飲んだ。そしてももえに聞いてみる。
「なあ、ももえ」
「ん?」
ももえはうどんを銜えたまま顔を上げてデス子の方に向いた。
「なんで、前回は斬って落ちなかったんだ?」
「ぼふっ」
ももえは音を上げてうどんを目の前のデス子に噴出した。
「いや、でも読み返してみたら前々回も斬った後に色々あったし………」
慌ててキュルケがあたふたとフォローを入れる。
デス子はうどんまみれのままにタバサから七味を受け取り、それをうどんにかけて音を立てて啜った。
「あれは無印ももえの3話のチョコのネタを使っただけだろ? 前回は明らかなオリジナルでたんなる入れ忘……
「わーわーわーわー」

「(作者を)どげんとせんといかん」は褒め言葉
「ゼロの使い魔死神友情タバサの裏設定タバサの母フレイムデルフリンガーシルフィード香水下級生ももえサイズ」

821 :ゼロの使い魔ももえサイズ−7 ◆m9.upBLdeg :2007/12/04(火) 17:10:12 ID:vLzH6QIs
たららららった、たーらららった、たーらら、らーららー
「いたたたた…………」
一方、落とし穴に落ちてしまったルイズは思いっきり尻を地面に打ってしまい、尻をしきりになでなでしていた。
「何なのよいったい………ってこの格好は何?」
ルイズは目の前の水晶に移っている自分の姿に大いに驚いた。
そこには緑のとんがり帽子をかぶり、緑のローブに身を包み、緑のマントをはめた緑ずくしの衣装に身を包んだ自分が居たのだ。
「ださっ………」
ルイズは真っ先にこの衣装を脱ぎ捨てたい衝動に駆られた。緑色は4大元素の風属性を象徴する色である。自分に合うはずが無いのだ。
『ルイズは服を脱ごうとした
しかしルイズは服を脱ぐことが出来なかった!』
「なんでなのよ! いくらちい姉さまに着替えてもらってたからって、服を脱ぐくらい一人で出来るに決まってるじゃないのよ!」
思わずルイズは叫んだ。そこで、ルイズは自分が今おかれている状況に初めて気付いた。
「遠くが……見えない……。」
そう、ルイズがいる部屋以外は何も見えないのである。右や左に部屋と部屋とを結ぶ通路があるのが分かるくらいだ。
「で、この杖は………あーっ!!! この杖、私のじゃないじゃないのよ!」
見ると自分の杖とよく似ているが別物なのである。ルイズはパニック状態に陥り、杖を闇雲に振り回す。
ぶんっ
ぶんっ
ぶんっ
ぶんっ
「全く、わけがわかんないわね。早くここから脱出しないと………」
そういって、ルイズが右斜め前に1マス動いた瞬間
「あれ……?」
この時、ルイズの四方にはたまねぎの形をした青色の生物がいた。どうみても敵キャラである。
「囲まれた………?」

「不可思議のダンジョン?」
「うむ。ここの地下は不可思議のダンジョンといって、入るたびにダンジョンの形が変わる不思議な場所なんだよ。」
食後に出されたお茶を皆で飲みながら、デス子はそう言った。すると急に遠い目をして語り始める。
「あれはももえがまだ幼い頃、ももえが一人で屋敷の探検をしたんだよ。」
外はまだ暴風が収まらず、風がびゅうびゅう吹いていた。タバサもキュルケもデス子のほうに注目する。
「今は、不可思議のダンジョンの入り口は封印してあるのだが、昔はももえが入ってしまえるほど緩かったんだ………。」

「ねー ママ この大きな穴って何?」
「あっ、その穴に入ってはだっめえええええええっ!!!!」
好奇心旺盛だったももえはその穴の中に入り込んでしまった。
「私も行くぞっ!」
デス子はすぐさま穴の中に飛び込んだものの、そこにはももえがいなかったのだ。

「不可思議のダンジョンは帯同者を連れて来ることは許されてない。
だからその時、私達は同じ不可思議のダンジョンに入っているのにもかかわらず、全く違うところにいたのだよ。」
「つまり、二人は離れ離れになっていたということですか?」
「その通り。その時は外部から連絡する手段なんて無かったから気が気で仕方が無かった。
早く脱出しようとしたのだが肝心なときに脱出に必要な巻物が全く見つからなくてな。」
「そしていつしか宝探しに夢中になってて、巻物を見つけて脱出したのが80Fあたりだった………。」

宝物を持ってダンジョンを脱出したデス子が見たものは担架の中で横たわっているももえだった。
「ももえ、しっかりしろ、ももえ!!!」
「まま わたしおへやのなかでなきさけんでてたらきゅうにすこっぷもったもぐらがでてきてよってたかってわたしをいじめたんだよ
ずっとなぐられるとおもってめをつぶってたらいつのまにかしらないおじさんたちにたんかでかつがれてここまではこばれてきたの
ままごめんね わたししらないおじさんたちにゆうかいされそうになっちゃったよ しらないおじさんにはなしかけられたらけりとばせってままにいわれてたのに」
「ももえ、しっかりしろおい! ももえーーーーー!!!!!!!」
デス子は眠りに就こうとするももえの体を必死に揺さぶり続けたのであった。

822 :ゼロの使い魔ももえサイズ−7 ◆m9.upBLdeg :2007/12/04(火) 17:11:46 ID:vLzH6QIs
「嫌な事件だった………。」
そう言ってデス子は湯飲みに口を付ける。するとおもむろに湯飲みを思いっきりちゃぶ台に叩きつけた。メイは慌ててきゅうすを持って走り出した。
「不可思議のダンジョンにはモンスターがたくさんいる。」
「モンスター?」
思わずキュルケは割り込んで質問してしまった。しかし、デス子はそれを気にすることも無く話を続ける。
「そう、モンスターだ。スライム、ゴーレム、バーサーカー、シャーマン、他諸々が生息している。
私も80Fぐらいまでしか行ったことがないからわからないな。あと、お宝とかそういうのも色々あるぞ。」
「ちょ、80Fって………」
また突っ込みかけたキュルケだったが、
「…どうぞ……。」
メイが急須を持って戻ってきたので話は中断された。メイがデス子の湯飲みにお茶を入れ、デス子はそれを一気に飲み干した。
「!!!」
デス子はおもむろに立ち上がると壁に向かって頭を打ちつけ始めた。
ガンッガンッガンッガンッ
「……熱かったんですか?」
キュルケがそう問うと、デス子は首を激しく縦に振りながら壁に向かって頭を打ちつけ続けた。

「どうする、どうするのよ私!?」
一方モンスターに囲まれたルイズは自分がポシェットのようなものを持っていることに気付き、その中に何かないかがさごそと漁り始めた。
「あった!」
ルイズは中に巻物が入っているのに気付いて、それをおもむろに取り出した。
『大事に使ってね(はぁと)』と書かれていたが、日本語が読めないルイズはそれが理解できない。
だから巻物の使い方も理解できなかったのだ。
『ルイズは聖域の巻物を読んだ! しかし何もおきなかった』
「何でなのよ!全然使えないじゃないのよ!」
ルイズがそう言って巻物を放り投げた刹那、今まで石のように動かなかったモンスターたちが急に襲いかかってくる。
「痛っ!」
『ルイズは2ポイントのダメージを受けた!』
「はぅっ!」
『ルイズは3ポイントのダメージを受けた!』
「きゃあっ!」
『ルイズは3ポイントのダメージを受けた!』
「あれ?」
『モンスターの攻撃は外れた』
ルイズは自分の体力が確実にダメージを受けていることに気付いた。
恐らく次のターンでダメージを受けたらもうダメだろう。それだけは避けなければならない。
ルイズは大きく息を吸い込みやけっぱちになって呪文を唱えた。
「もうどうにでもなれーーーーーっ!!!!」
思わずルイズは目を閉じた。その瞬間ルイズの体が七色に光りだした。
「………あれ?」
しばらくして、ルイズが目を開けてみるとそこにはモンスターが一匹もいなくなっていた。
『たららたったったらー ルイズはレベル3になった!』
「あれ、なんか心なしか強くなったような気が………」
ルイズが自分の体をくまなく調べようとしたが、またモンスターがやってきた。今度は落ち着いて杖をかざして呪文を唱える。
「ファイアーボール!」
ファイアーボールは見事、モンスターに命中しモンスターは消え去っていった。
するとルイズは自らの体の変調に気付いた。
「あれ、なんか心なしか体力を消耗したような気が………」
『魔法使いは自らのHPを引き換えにして魔法を使うのだ!』
「何その設定………」
ルイズは足を引きずりながらもとりあえず階段を目指して歩き始めた。

823 :ゼロの使い魔ももえサイズ−7 ◆m9.upBLdeg :2007/12/04(火) 17:13:42 ID:vLzH6QIs
「ところでももえ………」
食後、メイが皆にお茶を入れてくれた。その茶を皆で啜る。タバサはお茶請けのきんつばを楊枝を使ってぱくぱくと食べていた。
「大丈夫なの? そんなに食べて」
思わずキュルケはタバサを心配した。明らかに食べすぎだからである。しかし、タバサは茶を啜りながら一言
「私、胃下垂だから。」

???ものしり館???
胃下垂【いかすい】
胃が正常な位置下までたれ下がっている状態の事を言う。
俗に胃下垂だと食べると太らないと言われている。ある女子高生漫画でもこういう設定のキャラがいた。

「あぁ……そうなんだ………」
どこか遠い目をしたキュルケもお茶を啜った。本当においしい飲み物だと思った。
そして、顔をタオルで拭いたデス子はももえが口に何も含んでいないことを確認して聞いてみることにした。
「ところで、穴に落ちた彼女は一体何者なんだ?」
「魔法使いだよ。」
ももえは端的にそう答えた。デス子は顎に手をあてて少し唸った後、更にももえに聞いてみた。
「ふむ………。で、あいつはお前にとって何なのだ?」
「うーん…………。」
ももえは珍しく頭を抱えて考え始めた。キュルケは何も考えずにただお茶を啜り、タバサは何も考えずにきんつばを口に運ぶ。
「強いて言うなら………使い魔……かなっ」
キュルケとタバサが同時に噴出した。しかもデス子のほうに向かって。
「まさか」
すかさずメイがさっきのタオルで顔を拭いたがデス子は気にせず会話を続けた。
「使い魔というものはまず、主人の目となり耳となること…つまり感覚の共有。これを行わなければならない。」
キュルケは目が点になった。それに気付くことも無くデス子は話し続ける。
「更に、あちこちに眠る秘薬を探してくるのも使い魔の重要な役目だ。この秘薬があるのとないとでは全然違うからな。
そして、一番重要なのは身を挺して主人を守ることだ。これすら出来なければもはや単なるお荷物でしかない。
あいつを見る限りとてもじゃないがそんなことは出来そうに見えないのだが……」
「できるよ」
ももえは笑顔で即答した。それを見たデス子はふっと母らしい笑みを見せ
「そうだな、私の娘が見込んだ使い魔だ。出来が悪いはずが無い。はっはっはっは」
「はっはっはっは」
ももえと一緒に高笑いをしたのであった。
「ねえ、モモエが使い魔であってるのよね?」
キュルケはタバサにそう耳打ちをした。タバサは首を激しく上下させる。
「……お嬢様…は……いつも……本気…です…。」
メイのつぶやきに二人はびくっと体を震わせた。
「まああの不可思議のダンジョンをクリアしたら認めてやらなくは無いが………まず無理だろうな。」
「だね!」
二人して高笑いするデス子とももえ。すると、博士がそっと耳打ちをしてくれた。
「扉を出て左に向かってすぐの部屋にダンジョンにワープできる装置がございます。それでルイズさんを連れ戻して来て下さい。」
「でも、あそこは危険だって……。」
「学生でも魔法がある程度使えるのでしたら問題は無いでしょう。ここはあなたの腕を見込んでお願いしているのです。」
そう言われて、キュルケは思わず笑みを浮かべて、「そうね、いつまでもこんなことしてられないし………ってあんたも露骨に嫌そうな顔しないの! あんたも来るのよっ!」
タバサを引き摺るように立ち上がらせた。
「あれ、あんた達どこいくの? あっ、まさかトイレ!? 連れションなの? あんた達って連れションをするような仲なの!?」
「連れション言うな」
そう突っ込みを入れてキュルケとタバサは客間を後にしたのだった。
「ねえ、ママ私も後で見に行っていい?」
「ああ構わんさ。我が死神家のGPSにかかればあの小娘の居場所など造作ないさ」


824 :ゼロの使い魔ももえサイズ−7 ◆m9.upBLdeg :2007/12/04(火) 17:16:38 ID:vLzH6QIs
「はぁはぁはぁはぁ…………」
数々の魔法を駆使して27Fまで辿り着いたルイズ。ここでルイズは初めて、敵以外のモンスター達と遭遇した。
「やあ、こんなところで人間に会えるなんて奇遇だねえ。」
「あんた、私を見ても攻撃してこないのね……とりあえず敵じゃなさそうだわ。」
「君は俺に攻撃してきたけどね。」
声をかけてきた彼は大柄でへそだしのシャツを着ており筋肉隆々の上半身をルイズに見せつけていた。
「お嬢さんの知り合いかい?」
「お嬢さん………って事はあんたモモエの使用人なの?」
「いかにも。俺の名前はヒル 死神家の運転手の仕事をやらせてもらっている。そして君が……」
「やあ、あなたがルイズ・フランシスカ・ブ・ライト・マキ・ハタ・サイボーグだね?」

???ものしり館???
マキハタサイボーグ
メジロブライトの代表産駒 ステイヤーズSを9番人気で優勝した


「そう、私は……って誰よそれ! だいたいそれ最初のルイズしかあってないじゃないのよ!」
「これは失礼。確かルイス・フランドル・ル・オーシバ・ド・ラ・ゴノーツ……」
「全然違うじゃないのよ! それに最初のルイズすらあってないじゃない! それに最後のドラなんとかって…」
「胸の大きさではジークリンデの圧勝だな。」
「そんなこと誰も聞いてないわよっ!!!!」
ルイズはヒルの横に大きな生物がいることに気付いた。首を上げて見上げてみると何か小さな生き物も乗せていた。
筋肉隆々の巨大な体に蝶ネクタイがやけにマッチしているような気がした。
「こいつは庭師のオクタイ君。上に乗ってるのがペットのケモンさ」
ヒルがそう紹介するとオクタイ君は首を上下に動かしておじぎをした。それだけでダンジョン内が揺らいだように見えたが恐らく気のせいだろう。
「私の名前はルイス・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール。 ヴァリエール家の令嬢で、トリステイン魔法学院の二年生で………ってあんたたちどこへ行くのよ!」
何事も無く去ろうとする彼らをルイズは必死になって引き止めた。
「あんたたちこのダンジョンから来たんでしょ?脱出する方法も知ってるわよね? だから私を早く脱出させなさいよ!」
「お前を脱出させてやるには構わないが……俺らはおつかいを頼まれててな。それが終わってからでもいいか?」
「ええ、いいわよ。」
了承したルイズはヒル達にダンジョン内をついて回ることにした。すると………
「あれ? これなんかの巻物じゃない? 今まで見たこと無いものだけど………。」
いきなり巻物を拾ったルイズはとりあえず巻物を読んでみる事にした。すると急にアイテムがルイズの下に集まった。
「おおっ。この巻物すごいじゃない! なんかアイテムが私にひきよせられてる感じですっごくいいわね!」
嬉々としているルイズをよそに、どんどん顔色が青ざめていくヒル達。そして周りの空気が一瞬にして変わる。
「何よ!? あんた達、せっかく私がアイテムをひきよせたんだからもっとよろこびなさ……ってええっーー!!」
ルイズ達の目の前に大勢のガーゴイルが現れたのだ。
「では俺達は先に失礼させてもらうよ。」
ヒル達は手にした巻物を読んであっという間にこの場から消え去っていった。
「って、私置いてけぼり!? 今度こそどうする、どうするのよ私!?」

825 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/12/04(火) 17:17:48 ID:uqYUBzyu
支援

826 :ゼロの使い魔ももえサイズ−7 ◆m9.upBLdeg :2007/12/04(火) 17:18:36 ID:vLzH6QIs
「って、私置いてけぼり!? 今度こそどうする、どうするのよ私!?」
ルイズは壁の隅に逃げ込もうとするが、ルイズの2倍の速さで動くガーゴイルにたちまち追い詰められてしまう。
ざくっ
『ルイズは54のダメージを受けた』
「って今のでHPのほとんど削られたじゃないのよ! このガーゴイル強すぎるわよぉ!」
そして、壁の隅に逃れたものの三方を固められたルイズ。もはや逃げ場など無い。
「いやあああああああああああっ!!!!」
思わず涙を流して泣き崩れたルイズ。ガーゴイルが攻撃を食らわそうとした瞬間
ずばっ
ずばっ
ずばっ
「…あれ?」
ルイズが目を開けると、音も無く崩れ落ちたガーゴイルと
「全く、あんたも世話を焼かせるねえ。」
「モモエ………。」
9方位+1貫通で攻撃できるカマを持ったももえがいた。
『ももえのカマで斬られたモノの存在はももえが肩代わり』
「ルイズ、助けに来てやってわよ!」
「キュルケ!」
キュルケはそう言って火の魔法をガーゴイルにぶつける。
「タバサ!」
「任せて」
タバサは風の魔法で部屋全体のガーゴイルに攻撃をかけた。
「負けちゃいられないわね。よーし…………」
ルイズは精神を集中させて今ある限りの力を篭めて呪文を唱えた。
「はあああああああああああああ!!!!!!」
刹那、ルイズの体が光りだす。そして部屋に大きな爆発が起きた。

「………私達も帰ろうか。」
ももえ達も巻物を読んでその場を後にした。

827 :ゼロの使い魔ももえサイズ−7 ◆m9.upBLdeg :2007/12/04(火) 17:20:47 ID:vLzH6QIs
「ただいま、ママ」
「おかえり。」
ももえ達の帰りをデス子達が迎えてくれた。
「どうだった?」
「うん、おつかいは無事に済んだよ。はい」
ももえは食物が入った買い物かごを買い物リストと一緒にデス子に渡した。
「ふむふむ………よし、今回はちゃんと買えたみたいだな。」
デス子はにっこりと微笑んだ。ももえも明るく笑っている。
「……ルイズはどうしてますか?」
キュルケがきょろきょろと周りを見回した後にデス子に声をかける。するとデス子にもわからないらしく首をかしげていた。
「まあ、そのうち帰ってくるだろうが……あ、きたきた。」
「本当に知らないおじさんだったんだ………」
ルイズは見知らぬおじさん達に担架で運ばれてダンジョンの入り口にそっと安置された。
ルイズは目が虚ろで口が半開きの状態でとてもヒロインと呼べるような状態ではなかった。
「あは、ははは………」
「ルイズ、大丈夫? しっかりして!」
キュルケは思わずルイズを揺さぶった。それにあわせてルイズの両腕がぷらぷらと音を立てて揺れているのが分かった。
「あはは………せっかくわたしまほうつかいになったのにぜんぜんじゅもんとかおぼえてないんだよ
なんかね、もうどうでもよくなってきちゃったっていうか
わたしはもうへいみんとふぁーすときすからはじまるふたりのこいのひすとりーをてんかいしたいっていうか」
「重症ですな………」
それを見た博士は思わず唸った。そしてルイズの額に手をあてる。
「ふむ………」
博士は目が虚ろになったままのルイズを見て診断の結果をこう断言した。
「これは風邪ですな。」
「風邪? じゃあ、さっき買ってきたものにいいのがあったね。メイちゃんそれ貸して」
ももえはメイから買い物かごを受け取るとがさごそと漁ってあるものを取り出した。
「じゃーん」
「これは…」
「何?」
「…ネギ……です…。」
二人の疑問にメイがそう答えた。一方、ももえはネギとカマを取り出す。
「じゃあ半分貰うね。」
ざくっ
『ももえのカマで斬られたモノの存在はももえが肩代わり』
「それをどうするの?」
「…お尻に……刺しま…す…。」
キュルケに聞かれたメイは少し顔を赤らめながらそう答えた。
「じゃあさっそくいくよー。ルイズ、あんたよつんばいになって。」
「はーい」
ルイズはももえに言われるがままにスカートをおろしてよつんばいの体勢になる。
「とおっ」
そういって一気にネギを突き刺したももえ
「アーッ!!!!」
ルイズはあまりの激痛に目を極限まで見開き、舌と涎を垂らせてぴくぴくとよがっていた。
「……お嬢様………」
「何、どうかしたの?」
さらに奥深くにネギを突っ込もうとするももえに対しメイは思わずももえにつっこんだ。
「……刺す場所……間違えて…ます…。」
「あ」

※ おわり これまでのご愛読、ご支援ありがとうございました。
※ 次回から始まる「ゼロの使い魔死神ガーゴイル友情タバサの裏設定タバサの母フレイムデルフリンガーシルフィードネギ香水下級生ももえサイズに乞うご期待!!!

おまけ
○●●●  ○=ルイズ
●●△●  △=ももえ
●●●●  ●=ガーゴイル
●●●●

828 :ゼロの使い魔ももえサイズ−7 ◆m9.upBLdeg :2007/12/04(火) 17:22:26 ID:vLzH6QIs
以上です。とりあえず死神家勢ぞろいということで
なぜかダンジョン話を練っていたらいつの間にか話がどんどん転がっていって長くなってしまいました。

しかし自分の書くルイズっていつもこんなのばっかりだよなぁ……… ではまた

482 KB
■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています

>>1000 /test/read.cgi/anichara/1196483832/">★スマホ版★ 掲示板に戻る 全部 前100 次100 最新50

read.cgi ver 05.04.00 2017/10/04 Walang Kapalit ★
FOX ★ DSO(Dynamic Shared Object)